奇しくも芙蓉は敵地内である、うちは領地で戦争の「銃後」の現実を知ります。
マダラは千手一族との総力戦に臨みますが、千手の思惑は違い、作戦は失敗してしまいます。
それによりますます一族からの信頼を失うなか、芙蓉の存在・言葉はマダラにとってかけがえのないものになっていました。
二人の恋の展開は・・・?
そしてついに、千手一族とうちは一族は最終決戦を迎えます。(原作の場面を少し引用)
※芙蓉とマダラの濡れ場描写があります。
戦闘服姿の忍が町中に増えた。どうやら戦が近づいているらしい。
芙蓉は胸が苦しくなった。
いったいどういう気持ちで居ればいいのか、分らなかった。
今日の授業でも少し集中力に欠けた。それは、何人かの忍の孤児が、戦の準備のために欠席しているからだ。
「アメ、今回は親父さんの仇を取れるといいな。」
「私のお父さんとお兄ちゃんの分も、仇を取るって言ってくれたよ!」
「アメもシラキも二人とも写輪眼開眼してるし、ぜってぇ仇の千手を見つけられるって!」
「今度こそ、千手の忍を全員やつけて、皆の仇を取ってくれるといいなぁ」
休み時間、そんな会話が聞こえてきた。
芙蓉はこれが銃後の状況なのだと初めて知った。
自分は忍の長の仏間に育てられ、柱間と扉間と共に育ったにも関わらず、何も知らなかった。
知ることを禁じられてきたとはいえ、忍の家族や子供たちがこんなふうに生きていたなんて…知らなかった。とてもショックだった。
自分も、柱間と扉間がうちはによって殺されていたら、こんな風に憎んでいたのだろうか。
芙蓉はこれまで、幾度となく繰り返されている忍の戦に対して、なぜ話し合いで平和的な解決が出来ないのだろうかと考えてきた。
だが、そんなに簡単な事では無いのだとようやく理解できた気がした。
うちはと千手は、互いに相手から大切な人を守る為に戦い、相手の大切な人を殺す。
そしてまた新たな憎しみが生まれ、憎み、恨み合う。
その連鎖は簡単に止められるものでは無い。
しかし、このまま戦い続けて相手を降伏させても、目の前のこの子たちと同じ存在は消えない。憎しみは、消えないだろう。
芙蓉は重い足取りで家に帰ると、庭でマダラが見慣れない忍具を振り、動きを確認している様子が目に入ってきた。
すぐにマダラが芙蓉の姿に気づく。険しい表情でこちらを見た。
「ただいま帰りました…すぐにお食事の準備をしますね。」
つい忍に関することは見聞きしてはならないという癖で、見てはいけないものを見たという感覚になり背を向けた。
「これはなぁ、うちはの長に代々伝わる神器でな…」
マダラは気にせず芙蓉に言った。芙蓉は恐る恐る振り返った。
「お前。もしかして、敢えて自分で忍の事から遠ざかってきたんじゃねえのか?」
「…そうかも…しれませんね…」
芙蓉は悲しそうな笑顔で地面に視線を落とす。
マダラはその神器を持ったまま、芙蓉に近づいて行った。芙蓉は驚いて後ずさる。
「怖いか?」
ドキドキと心拍数が速くなる。恐る恐るその神器を見た。
「怖いです・・・もしかして、大切な人を・・・失うんじゃないかって。」
マダラは神器と自分のことが怖いかと訊いたつもりだったが、芙蓉の答えは少し違うようだった。芙蓉は涙ぐんでマダラの顔を見る。
芙蓉もまた、戦で大切な人を亡くしたのだろうかと、マダラは思った。
「俺はな、弟たちを千手の忍に殺された。最後の一人の弟は、扉間によってな。」
「・・・・!」
マダラの目は怒りを写したかのように真っ赤に染まっていた。瞳には幾何学的な模様が浮かび上がっている。
マダラは芙蓉の前まで歩み寄った。
「弟は俺にこの目を残した。うちは一族を守るためにな。」
芙蓉は無言でマダラの顔を見上げ、瞳を見つめた。
「…綺麗な瞳ですね…弟様は今でも、マダラさまと一緒に生きていらっしゃるのですね…」
綺麗。
写輪眼を見てそんな風に言われるとは想定外だった。しかも畏れないとは。
芙蓉にとって忍とは一体どんな存在なのだろうかとマダラは戸惑う。
「弟様は今も、マダラさまと一緒に綺麗な風景を見て、一緒に書類に目を通して、一緒に戦い、そして一緒に涙を流してくれているんですね。とっても優しい弟様ですね…」
芙蓉は涙を浮かべて微笑みながらそう言うと、マダラの写輪眼がふと消えた。
マダラは茫然とした表情で芙蓉を見る。
弟殺しとして仲間からも陰口を叩かれ批判されることが増えたマダラにとって、弟は共に在ると言ってもらえたことは、弟と自分を認めてもらえたような気持になった。
芙蓉は弟が今も、自分と一緒に生きていることを認めてくれたのだ。
嬉しかった。
だが、なぜここまで他人を、忍を理解することが出来る人間が、全く忍についての知識を持っていないのか。
この時マダラの中に以前からあった疑問が再び浮かび上がってきた。
「お前の大切な人ってのは、忍か?」
「・・・はい」
「なぜ忍であるそいつのこと、知ろうとしなかったんだ。」
「・・・知るのが怖かったから。色んなことに目を背けていたからです。」
そう言って芙蓉は俯く。
「きっと、相手の忍の家族も、私と同じく大切な人の帰りを待っていたんです…それを考えるのが怖かったから…だから、私はただ信じるしかなかった。大切な人が、誰かの大切な人を殺してるなんて、考えたくなかったから!」
芙蓉はそう言うとうずくまって、泣き始めた。
マダラは片膝をつき、芙蓉の頭にぽんと手を乗せた。
「そうだったんだな…お前も、辛かったな。」
心外にもマダラは、柱間と夢を語り合っていた日々を思い出してしまった。
柱間が千手でさえなければ、もしかしたらあの夢を二人で叶えられていたかもしれない。
芙蓉に、仲間に、兄弟に、こんな思いをさせずに済んだかもしれない。
だが今は、マダラは大切な兄弟全員を千手によって失ってしまっているのが現実だ。
今はもう、柱間を消し、一刻も早くこの戦を終わらせるしか、うちはを守る道は、無い。
「明日、千手との戦に出る。」
「・・・・!!」
「お前の大切な忍も死ぬかもしれんな。」
芙蓉は思わず顔を上げる。目は充血し、顔じゅう涙で濡れている。
「私は二人とも仲良くしてほしい!二人とも死んでほしく無いです!マダラさま、どうかご無事で帰ってきて下さい!」
芙蓉の言っていることはマダラにとって支離滅裂である。だが、自分のことも心配してくれているらしい。
「ああ。解った。」
マダラはそう言うと芙蓉に手拭いを差し出した。
「拭け。お前いまスゲー不細工な顔してるぞ。フフッ。」
「・・・・。」
芙蓉は頬を膨らまし、急いで手拭いで顔を隠した。
◆
「なんだと⁉柱間が居ない?しかもほぼ全てが空知一族だけの小隊とは…こちらとは、決戦しないつもりか!」
「そのようです。あちらは国からの任務を優先させたようです。しかも同時に我らの後方支援の道を破壊されました。既に退散し始めています。」
「おのれ柱間…総力決戦と見せかけて、こちらの戦力を見るだけのつもりだったのか…。空知一族は小隊での連携プレー能力はかなり高い。空知一族と会談していたのはこの為か。まぁいい…。空知一族を捕まえて作戦の情報を吐かせろ!!」
うちは一族側は今回の戦に総戦力で向かっていた。
現在の戦況はうちはのほうが劣勢なのはマダラ自身も分っており、その上での作戦を練って挑んでいた。
しかし、千手側は正面から決戦することは無く、うちは一族が陣営を組んで一ヶ所に集まっている隙に、他国へ向かって火の国からの任務を空知一族の力を借りて実行したのだった。
「許さんぞ…柱間!」
マダラの目は怒りで写輪眼が浮かび上がっていた。
◆
柱間と扉間、そして空知一族の長・カワモとその部下が千手一族の指令室で話してる。
「うちはの今の総戦力が解ったな。しかも迅速に任務を実行したお陰で、あちらの国のうちはへの後方支援の道と宿場を破壊することができた。今後の戦いが更に有利になったな。」
カワモが作戦図を改めて眺めながら、満足そうに言った。
「カワモどの、今回の協力感謝する。さすが空知小隊の連係プレーは最強ですな。」
「我ら空知一族も、これで千手の領地に駐屯地を構えられ戦力を強固にできる。そうなれば女子供も安心して暮らせる。ありがたい。」
話が終わり、カワモが柱間と二人で話しがしたいと、他の者たちを外に出した。
「柱間どの。これに見覚えはないだろうか?」
カワモは袋から何かを取り出して、柱間に見せた。
「・・・こ、これは!芙蓉のものです!」
「やはりか…今回の任務中、うちはの領地境界付近を捜査していた小隊が見つけたのだ。金の指輪の裏に、柱間どのと芙蓉どのの名前が書いてあったので、そうだろうと。」
それは芙蓉が首にかけていた、指輪の首飾りだった。
「・・・・な、なぜそんな所で・・・詳しく聞かせてくだされ!」
「森の中で戦闘の痕跡があり、それを調べていた時に見つけたのだ。足跡やチャクラ、臭いは無かったから、もうかなり前の痕跡だろう。この首飾りが落ちていた草木には僅かだが血が残っていた。だが周囲には死体はなかった。…推測だが、芙蓉どのはうちは領内に連れ去られたのかもしれない。」
柱間が手にした首飾りは鎖が切れ、血が付いて黒くなっている。
嫌な予感しかしない。
「カワモどの。その場所を教えて下さい。」
「勿論だ。だが、今行くのは止めた方が良い。今回のことでうちははかなり憤慨しているはずだ。領地内外の警備を厳しくすることは当然だが、もし芙蓉どのが生きてうちは領地に居るとしたら、どんな目に遭うかも分らん。刺激するような事はやめた方が良い。まずは、その場に行くよりも他の策を練る事だ。」
焦っていた柱間は我に戻り、カワモの意見に同意した。
・・・じゃあどうすればいい。どうすれば・・・
◆
「扉間!これを見てくれ。芙蓉のものだ。空知一族の小隊がうちはの領地境界付近の森でみつけたのだ。」
柱間は扉間に芙蓉の首飾りを見せた。そこには自分の買ってやった白金の指輪もあった。
「・・・間違いないな。」
「何か感知できないか⁉」
「・・・・・この血は、芙蓉のものだな。」
「やはりか…芙蓉はうちはの忍に危害を加えられた可能性が高いな。だが、なぜ芙蓉がそのような場所に居たんだ…。扉間、お前本当に心辺りはないのか?」
「無いな。だが芙蓉は自ら荷物を纏めて出て行っている。出て行く理由があったのだろう。
…そういえば、芙蓉は以前、俺に兄者とも俺とも結婚したくはないと言っていた。兄者が留守中に出て行くとは、それが理由かもしれんな。」
「なぜそのことを早く言わんのだ!」
「なぜ俺がわざわざそんなことを報告せねばならん。俺にはどうでも良い事だったから今まで忘れていただけだ。」
「そう言っていたのはいつ頃だ?」
「・・・昨年の夏。俺があいつと一緒に指輪を買いに行った日だ。」
・・・あの日か。そういえばあの日以来、扉間は芙蓉を避けるようになったな・・・
「結婚、したくない、か…。」
「ほかに男が居たのかもな。」
「・・・!」
「男と駆け落ちして、うちはの領内に入ってしまった所、襲われた…」
「ま、まさか!そんな!」
「推測だ。だが今は捜索に行く時期ではない。」
「解っておる…。やはり、うちはに休戦協定の申込をするしかないな。」
「女一人のために休戦協定か。兄者、どうかしてるぞ。うちははマダラを倒して降参させるほか道は無い!」
「いや。芙蓉のためだけではない。もうあちらも限界なはずだ。現に今回の総戦力の数もたったあれだけだ。亡命者や難民も日に日に増えている。これ以上犠牲を出すわけにいかん。出来れば休戦協定から条約を結び、この戦を終結させたい。」
柱間はそう言うと、再び一人で指令室へ戻って行った。
◆
稲穂が黄金に染まった田んぼが広がり、山には山葡萄や棗、あけび、柿が鈴生りになっている。
日暮れもずいぶん早くなり、十六時にはもう夕陽になっていた。
その日、初めてマダラが孤児院に芙蓉を迎えに来た。
「マダラさま~!」「わ~い、マダラさまだぁ!」「マダラさま、元気でしたか~?」
子供たちがマダラに群がる。
芙蓉の授業初日での出来事以来、マダラが学校へ行って芙蓉との漫才のようなやり取りが何度も繰り返されるうち、それを見ていた子供たちにとってマダラは身近な存在となり、すっかり懐かれていた。
「マダラさま、もう授業おわっちゃったよ?」
「ばか!マダラさまは、先生のこと迎えにきたんだよ。」
・・・ば、バレてる・・・
「そうそう!陽が沈むの早いから、先生ひとりで帰らせるの危ないもんね!」
・・・完全に、バレてるな・・・
「わたし、先生呼んできてあげるね。センセーイ!彼氏が迎えにきてるよー!!」
マダラがズッコケそうになる。
・・・か、カレシ⁉・・・
「違う。俺は、彼氏じゃない!」
「え?違うの?私ずっとマダラさまって先生の彼氏だと思ってた。」
「オレも~。マダラさまにだったらセンセー譲ってやっても良かったのになぁ。」
・・・さ、最近のガキはぁぁっ!ていうか、芙蓉はどんな教育をしているんだっ!・・・
「あ、マダラさま!どうなさったんですか?何か御用ですか?」
「先生のこと迎えにきたんだよー。ねぇ?」
子供のほうが先に答える。
「あら!ありがとうございます。ではすぐに準備しますね。」
「ねぇねぇ、先生はマダラさまの彼女じゃないの?ケッコンしないの?」
「?」
「マダラさまは先生の彼氏じゃないんだってさ~。」「そうそう。」「ざんねーん。」
芙蓉は恥ずかしそうにしているマダラの顔を見て、ニッコリ笑って言う。
「マダラさまはとっても偉い人だから、先生なんて釣り合わないのよ。皆もマダラさまにあまり失礼なことを言っては駄目よ?」
「なんたってマダラさまは最強の忍だもんなぁー!カッコいいよなぁ!」
・・・だったらもっとリスペクトしような!涙。・・・
「じゃあさ、先生は、最強の先生だよ!だってマダラさまに対抗できるのって、うちはじゃ先生しかいないもん!ねぇ?」
アハハハハと子供たちに爆笑が起きた。
夕陽が傾き、辺りはオレンジ色になってきた。二人の影が長く伸びる。
芙蓉はいつものようにマダラの斜め後ろ、三歩ほど後ろを歩いている。
「おい…隣、歩けよ。」
「え?でも…男性の、しかもマダラさまの隣りを歩くなんて…」
「俺は後ろに立たれるのが嫌いなんだよ!」
「そ、そうでしたが…分りました。じゃあ失礼します。」
芙蓉は大股で三歩歩き、マダラの隣りに立ち、マダラの顔を見上げ、嬉しそうにニッコリとした。
二人は再び、ゆっくりと歩きだす。
風が吹き、小さなモミジの葉が飛んできてマダラの頭頂部の髪の毛にくっついた。
「マダラさま、髪の毛にモミジの葉っぱが付いていますよ。」
芙蓉は自分の頭の頂点を指さしてマダラに教えた。マダラは手で髪の毛をはたいたが、ギザギザした葉のモミジは、逆にマダラの髪の毛に絡んでいく。
「まだ取れてません…もうそのままでもいいのでは?可愛いですよ。ウフフ。」
「お前なぁ!一番俺に対して失礼なのは、ガキどもじゃなくて、お前だろが!だからガキどもが俺に対してだな…」
「じゃあ取って差し上げましょうか?」
芙蓉が楽しそうに笑って言った。
「ああ…じゃあ、頼む。」
そう言うとマダラは芙蓉の腰を持って体を持ち上げた。芙蓉の顔がマダラの顔の高さと同じ高さになる。
芙蓉は思ってもみないマダラの行動に驚き、固まる。
「…あの、なぜ持ち上げられているんでしょうか…?」
「なんで俺がお前に頭を下げなきゃならねーんだよ。ほら、いいから早く取れ。」
芙蓉は、ああなるほど、と思いながら髪の毛に付いたモミジをそっと取り除いた。
それはとても鮮やかな赤色の美しいモミジだった。
「見てください。凄く綺麗なモミジですよ。」
芙蓉は抱えあげられたまま、マダラの顔の前にそれを差し出した。
思わず、モミジ越しに目が合う。
琥珀色の芙蓉の瞳は、夕日に照らされて黄金に輝いている。
芙蓉は優しく微笑み、モミジを自分のほうへ戻し、目線を落としてマダラに降ろしてもらうのを待っている。
その伏目がちな目のまつ毛はとても長く、夕陽を受けてキラキラと輝いている。
きゅっと結ばれて口角の上がった唇はわずかに濡れて、こちらも輝いている。
チュッ・・・
二人の影が完全にひとつになる。
マダラの口づけはとても優しかった。
むさぼるわけでもなく、吸い付くわけでもなく、そっと芙蓉の唇を包み込んでいる。
芙蓉は突然のことに驚きつつも、うっとりとした気持になり、目を閉じてその感触に浸った。
自分の心臓の音が聞こえてきそうなくらい、胸が高鳴っている。
・・・好き・・・私、マダラさまのことが、大好き・・・
そっと唇が離れ、再びマダラと目が合う。
マダラの端正な顔は近くで見るとますます美しく、芙蓉は恥ずかしくなる。
普段髪の毛で良く見えない大きな目はくっきりとした二重で、意外にまつ毛も長かった。吸い込まれそうな美しい瞳をしている。
芙蓉はマダラに見惚れそうになって、はっと我に返る。
「あ、あの!お、重くないですか⁉私!」
「いや全然。」
芙蓉をぽんっと地面に降ろした。
マダラも自分の行動に動揺していたが、一方で達成感にも似た爽快な気分だった。
はと芙蓉の反応が心配になり、芙蓉のほうを見る。
先ほどのモミジを夕陽に照らしてみたり、よく観察してみたり、嬉しそうにしている。
「このモミジ、栞にして使おうかな。」
芙蓉も赤く染まったマダラの顔を見て、満面の笑顔を向けてきた。
「フッ・・・」
マダラは照れ隠しに笑ってから、前を向いて歩いた。
◆
先のうちはの作戦の失敗により、マダラはますます一族の中で孤立していた。
「弟を殺して目を奪っておいてもこの程度なのか」
「あまりに独断が多すぎる。目的のためなら仲間も犠牲にするのか」
「こんな戦いが、いったいいつまで続くのか」
こんな意見がささやかれ、亡命者も更に増えた。町も明らかにすさんできた。
犯罪も増え、一般市民が犠牲になる事件も増えた。悪の連鎖でますます人が減ってゆく。
しかし、マダラは焦りではなく、怒りを感じていた。
千手を倒し、親兄弟の仇を討ってこの戦を終わらせようという気概のある者は減り、それどころか千手に亡命をする。うちは一族の誇りはどこへ行ったのか。
…コンコンコン…
指令室の扉を叩く音がした。マダラは入るよう促す。
「先ほど千手側から、このような書簡が届きました…」
部下がマダラに書簡を手渡す。マダラは封印を解き、書簡を開く。
それは、柱間からの休戦協定を申し込む書状だった。
マダラはそれを握りつぶす。
「なにが休戦協定だ…俺一人になっても必ず、千手を、柱間を倒してうちは一族を守る。」
マダラは書簡を破り捨てた。
最近は学校に来る生徒の数も減っていた。休校にさせられることも増えた。
芙蓉はこれからどうなってしまうのか、不安だった。
その心を写したように、空には鉛色の分厚い雲が垂れこめている。
「これ以上戦わずに、和解する方法は無いのかしら…」
誰もいない教室で一人、芙蓉は降りだした雨を眺めながら考え込んだ。
ガシッ!
「・・・⁉」
突然後ろから何者かに抱き締められ、口を押えられた。
「静かにしろ…」
聞き覚えの無い若い男の声だった。強い力で抑えられており、体が全く動かない。
男が後ろから芙蓉の口に布を巻き、次に目にも布を巻かれた。
床に体を倒される。
・・・怖い!助けて・・・!
四つん這いで芙蓉に覆いかぶさり、芙蓉の両手を抑えて男が耳元で囁く。
「あんたのこと、ずっと好きだったんだ。俺はいつ戦で死ぬか分らない。一度でいいんだ。想いを遂げさせてくれ…」
男は忍のようだった。芙蓉の帯を震える手で解き始めた。芙蓉は必死に抵抗しようとするが、男の忍術で動けない。
こんな時なのに、床の冷たさに、生徒たちと床に円になって座って遊んだ時のことを思い出す。
教室の後ろにはマダラも居て、優しく子供たちを見ていてくれた。
・・・みんな・・・マダラさま・・・助けて!!!・・・
ガッシャーン!「うおっ…」ドサッ!
ガラスの割れる音がして、同時に自分に覆いかぶさっていた男が居なくなる。
「芙蓉!大丈夫か!」
マダラの声だった。凄い速さで目隠しと口の布が外される。
芙蓉の顔を確認してすぐにマダラが芙蓉を抱きしめた。
「…マダラさま…怖かった…怖かった…」
芙蓉は何とか言葉を洩らし、マダラの腕の中で泣きだす。
「もう大丈夫だ。心配ない。」
マダラは優しく言い聞かせ、芙蓉の頭を撫でる。
芙蓉を襲った男はうちはの若い忍で、すぐに上忍たちによって連行された。
芙蓉は、襲われた日からマダラの住む建屋の一室に住むことになった。
新しい部屋はとても広く少し居心地の悪さを感じたが、隣の部屋にマダラが居ると思うと嬉しかった。
今日もまだ、マダラの部屋には灯りが付いている。
襖の間から伸びる細い光の筋に芙蓉の顔が重なる。マダラの様子までは流石に見えない。
思い切って布団から出て襖をノックしてみる。
「あ、あの…マダラさま?まだ起きていらっしゃいますか?」
「ああ。」
「入ってもよろしいですか?」
「構わん。」
芙蓉は上着を羽織ってからマダラの部屋に入った。
マダラは忍術書や地図、計算が書かれた紙などを見ながら考え事をしていた。マダラの隣りには本と巻物が山積みされている。
「まだお仕事されているのですか?」
「ああ。もう少しやってから寝る。」
「お茶でも淹れましょうか?」
マダラは少し考えたあと、答える。
「茶も良いが、酒でも飲むか。お前、好きなんだろ?」
「え?あ、はい。でもよろしいのですか?」
「台所の食器棚の下に色々ある。お前の好きなの持ってこい。」
芙蓉は台所に行き、酒の瓶を開け香りを嗅いで、一番甘い香りのものを選び、一号徳利に酒を入れ、猪口と一緒に盆に載せて持ってきた。
「花陰か。お前なかなか良い酒選んでくるな。俺もこれ好きだぜ。」
「一番甘い香りがしたので、これにしてみました。」
芙蓉はマダラの猪口にそっと酒を注ぐ。
注ぎ終わるとあ!っと何かを思いついた。
「マダラさま!今日はとっても綺麗な満月なんですよ。月見酒にしませんか?」
そう言うと襖を開け、縁側に出て空を指さした。
マダラも縁側に出る。
空には大きな満月が浮かんでいた。
辺りは月明りで明るく照らされ、庭のススキが銀色に輝く様がとても美しかった。
「本当だな。そうしよう。」
芙蓉は盆と座布団を縁側まで移動させ、二人で座った。
改めてマダラの猪口に酒を注ぐ。酒の表面がゆらゆらと輝く。
「貸せ。注いでやる。」
「ではお言葉に甘えて。」
マダラによって芙蓉の猪口にも酒が注がれる。
マダラはゆっくりと丁寧に注いでくれた。こういう所作に、マダラの繊細で優しい性格が垣間見れる気がする。
「「乾杯」」
二人は月を見上げて猪口に口を付ける。
「美味しいですね、これ!」
「ガキのくせに分かるのかよ。お前甘けりゃあ何でもいいんだろ。梅酒でも飲んでろよ。」
「私ちゃんと成人してますよ?十九歳ですもん。その梅酒って美味しいんですか?」
「今度飲ませてやるよ。」
「…月、本当に綺麗ですね。あの、本当に月に人って居るんですかね?」
「かぐや姫ってやつか?どうだろうなぁ。まぁ俺たち忍が居るくらいだから、居るだろ。」
二人はたわいのない話を続けていたが、ふいに沈黙が訪れた。
最初にマダラが口を開いた。
「千手に最終決戦をしかける。」
「・・・・そうなんですね。」
あまり驚かない様子の芙蓉をマダラが見る。
「私、うちはと千手が戦わずに和解できる方法は無いか考えてみたんです。」
「・・・・。」
「私の答えは、休戦協定を結んで、条約を作る事です。」
「解ったような口をきくな!」
「はい。私の正しいと考える道と、マダラさまが考える道は違います。でも自分が正しいと思う方を選んでも、きっと私、心ではうまくはやれないと思うんです。」
「・・・?」
「私、マダラ様の事、大好きです。だから…愛する人の信じる道が、私の道なんです。」
マダラは茫然として、芙蓉を見つめた。
「あ、すみません…女から告白なんて、はしたないですよねっ。すみません…」
「今更はしたないもあるかよ…これまで散々俺のことおちょくっといて」
「・・・すみません。」
マダラは芙蓉をきつく抱きしめた。マダラの目には涙がうっすらと滲む。
こんな心の奥から感じる温かさは、いつ以来だろう…
「俺も、お前を愛している。芙蓉。」
二人は見つめ合い、互いに気持ちを確かめた後、口づけを交わした。
マダラは抱きかかえていた芙蓉をそっと布団の上に降ろして横たえる。
再び口づけをした。
芙蓉は緊張で息が早くなり、少し不安そうにマダラを見つめる。
「怖いか?」
「ちょっとだけ…」
「俺もだ。」
そう芙蓉の耳元で囁くと、その唇は芙蓉の首筋を伝い、何度も優しく口づけをする。
「んっ・・・あっ・・」
思わず芙蓉は吐息を洩す。
マダラは芙蓉の帯を解き、寝間着を脱がすと芙蓉の真っ白い肢体が現れる。
月の光で青白く輝いて見える。左肩には出会った時の傷跡が残っていた。
マダラはその傷跡に口づけをした。その頬を、芙蓉は掌で優しく撫でる。
「跡が残っちまったな。」
「でも、私とマダラさまが出会った記念だし…」
「記念って…。お前なぁ…」
マダラは呆れた顔でクスッと笑い、自分も浴衣を脱ぐ。そして芙蓉の手を取り、細くて長い指をしゃぶる。
「ぁあんっ・・・・」
指をしゃぶりながら芙蓉を上目遣いで見ると、目が合う。芙蓉は恥ずかしそうにそっと目を逸らした。
左手で芙蓉の右手を握ったまま、今度は芙蓉の右の乳房に吸い付く。
「あぁっ・・・んっ・・・はぁはぁはぁ・・・」
芙蓉の息がどんどん上がってゆく。
芙蓉の手を離し、腰から太ももにかけて優しく愛撫する。芙蓉の滑らかな肌は絹のようだ。
ぴくん、ぴくんと芙蓉の身体が上下する。
愛撫する手を芙蓉の股間に伸ばす。
ねっとりと濡れて、それはマダラがくるのを待っていたように思えた。
濡れた場所を優しく何度も触る。
「…恥ずかしいです」
恥ずかしがる芙蓉を見て、更に愛おしさが増す。
「芙蓉、綺麗だ。」
胸の中央からへそまで舌でなぞり、次にわき腹から乳房まで舐める。
「ぁん・・・っ・・・マダラさまっ!」
マダラは芙蓉の両ひざを持ち、脚を開いた。
「いやっだめ。見ないでっ。」
「芙蓉、美しい眺めだぞ……お前は俺のものだ。」
芙蓉の膣の入り口に硬いものが当たる。
「い、いたいっ・・・」
芙蓉がマダラのほうを見ると、マダラの太い男根が自分に突き刺さっている。
「まだ奥まで入ってないぞ。」
マダラは芙蓉の腰を両手で掴み、ゆっくりと腰を前後に動かす。
その度に芙蓉の乳房が一緒に揺れる。その様子を見てマダラの腰の動きが速くなる。
痛みとともに、感じたことのない快感を感じる。
脳が痺れるような感覚である。そして芙蓉の膣がどんどん濡れてゆく。
「・・・・・・・あっっん!」
マダラの男根が芙蓉の子宮口まで達する。
芙蓉とマダラの鼓動が近づく。
そして、頂点で一つになった。
芙蓉は願った。
『マダラさまと二人で、一生一緒に生きてゆけますように。』
二人は裸のまま布団の中に居た。
芙蓉はマダラに抱きついて胸に顔を埋める。
「必ず、生きて帰ってきて下さいね。」
「当たり前だろ。いなり作って待ってろよ。」
「ふふっ。はい。」
◆
「イズナはどうした。」
扉間が柱間の横でマダラに問う。
「この前の傷が元で弟は死んだ…うちはを守るために俺に力を残して!」
マダラが写輪眼を発動した目で扉間を睨みつける。
柱間が一歩前に出て、落ち着いた様子でマダラに言う。
「休戦協定の書状を送ったはずだ…うちはを守るなら、もうこんな戦いは止めようぞ。」
「・・・」
マダラの瞳に、二人の見たことのない写輪眼の模様が浮かび上がる。
「あの目は…!」
ズズズズズズズ・・・
轟音と共にマダラを包むように、半透明の巨人の骸骨が現れた。
禍々しい赤褐色に燃えており、四本ある巨人の手には剣が握られている。
「須佐能乎!!」
マダラがその巨人と一体化し更に巨大化する。
「柱間ァ!いつまでガキのようなことを言っている!腑を見せ合うことなんてできやしねーのさ!」
柱間は一瞬考えるように目を閉じ、そしてまた目を開き、覚悟を決める。
襲い来る巨人の剣を、柱間が迎え撃つ。
二人の戦いが始まった。
間に合いはしない。
お前の謀など…絶対にな。
この目には、永遠の万華鏡写輪眼には全て見えているのさ!
忍び寄る、貶める、騙し討つ、裏切る、嘘をつく…
柱間と扉間とマダラ。
三つ巴の戦いと同時に、うちはの忍と千手の忍たちの戦いが始まる。
これまでの戦い以上に、急速に壮絶さが増していく。
千手もうちはも皆、この戦いで雌雄を決する覚悟で戦っていた。
ついに柱間とマダラのサドンデス。
相手の一挙手一投足が、戦法を次から次へと塗り替えてゆく。
冷淡な時と引き換えに、思考、神経、チャクラが容赦なく犠牲になってゆく。
…いい加減、解ってくれよ…
唾とその感情を飲み込み、柱間は容赦なくマダラに攻撃をする。
…容赦などしない。邪魔だ、殴りたい、蹴りたい…
マダラは冷静さを失いそうな感情を飲み込み、柱間に反撃する。
一分一秒が、“知”で知を洗う戦い。
解決策はもう、相手が倒れるまで戦う他は無いのだ。
ならばその前提で賽を振るしかない。
サドンデスの行方は…?
二人の戦いは、もう扉間が手出しできるレベルの戦いでは無かった。
最高位の術と術のぶつかり合い。術が繰り出されるたび周囲の景色が豹変していく。
部下たちに二人から遠ざかるように指示を出す。
「兄者…頼むぞ。」
…全部、意味が分からない。お前のその理屈も、正義も。
俺が正しい。お前を消す。ただ、それだけ…
本当にそれだけ、なのか?…
一日中続いた戦いの末、マダラは初めて地面に背を付けた。
「マダラ…終わりだ。」
扉間が刀をマダラの咽喉元に突っ立てる。
「…待て扉間。」
「なぜだ兄者⁉今がチャンスだろ…⁉」
「手出しは許さん。」
柱間の静かだが大きな威圧に扉間が後ずさる。
「フン…いっそ…一思いにやれ…柱間。お前にやられるなら…本望だ。」
マダラは覚悟を決め、動かない体で目だけを柱間に向ける。
「かっこつけても無駄ぞ。長であるお前をやれば…お前を慕う若いうちはの者が暴れ出す。」
「もうそんな芯のある奴はいねーよ…」
「いや、必ず居る。」
ザーーーー…
柱間の背後から水の流れる音がしている。
「また…昔みたいに水切りできねーか?一緒に…」
「…そりゃ無理ってもんだぜ…俺とお前はもう同じじゃねぇ…」
柱間がその言葉に反論しようとするのをマダラが遮る。
「今の俺にはもう兄弟は一人もいねぇ…それに、お前らを信用できねぇ…」
「どうすれば…信用してもらえる?」
その言葉に少し驚いてマダラは柱間のほうへ顔を動かす。
マダラの心はもう、何も感じられないほど傷ついていた。
頭ももう正確に回りそうにない。
誰が味方で、誰が敵なのか。
もう、みんな、消えてくれ。
『じゃあ、夢を諦める覚悟はある?』
一瞬、そう問いかけてくる芙蓉の顔が浮かんだ気がした。
「腑を見せ合えるとしりゃあ…
今、弟を殺して見せるか…己が自害して見せるか。
それで…相子だ…そうすりゃお前ら一族を、信用してやる。」
「ふざけた事いってんじゃねーぞ、この…」
「・・・」
部下の一人がマダラに怒鳴るのを柱間がスッと手を挙げて止めた。
「言っていることが無茶苦茶だ!どうするんだ兄者⁉…この俺を殺すのか?それともこんな奴の為に死ぬのか?…バカバカしい。こんな奴の言葉に耳を貸すな兄者!」
柱間は少し微笑んで立ち上がった。
「ありがとう。マダラ。やはりお前は情の深い奴だ。」
ガシャンッ!柱間は身につけていた甲冑を外して地面に落した。
「!」
「いいか扉間…俺の最後の言葉として心にしっかり刻め…俺の命に代える言葉だ。一族の者も同様だ。」
そう言って扉間と部下たちを見渡した。
「俺の死後、決してマダラを殺すな。今後うちはと千手が争うことは許さぬ。」
柱間はクナイを自分の心臓の前に構えた。
「皆の父とまだ見ぬ孫たちに賭けて誓え。・・・さらばだ」
柱間の目からは一筋の涙が流れた。
両親、兄弟、仲間たち、そして芙蓉の顔が浮かぶ。
川面に水切り石が投げられた。
届け・・・届いてくれ・・・
ガシッ!
マダラが心臓を突き刺す寸前の柱間の手を掴んだ。
「・・・・・!」
「もういい・・・お前の腑は・・・見えた。」
◆
「マダラさま!!」
芙蓉がマダラの姿が目に映った瞬間、マダラに向かって駆け寄り、抱き着いた。
「お、おい‥恥ずかしいからやめろ。皆見てるだろが。」
「ご無事で良かった…お帰りなさい…」
周りに居た部下や市民、そして芙蓉の生徒たちがヒューヒューと歓声をあげ拍手する。
「やっぱり二人とも恋人だったんだね!」
「先生、マダラさま、おめでとう!お似合いだね、最強同士!」
「あ!マダラさま顔が赤ーい!あはははは。」
生徒たちが二人を取り囲んで囃し立てる。
「…お、俺の威厳が…涙。」
そう言いい苦笑しつつも、マダラも嬉しそうである。
・・・俺が消したかったのは柱間じゃなく、捨てきれない夢だったのかもな・・・
子供たち一人一人の屈託のない笑顔を眺めながら、マダラは思った。
食卓には大量のいなり寿司と、様々な料理が豪勢に並んでいる。
「そうですか…それは、本当に良かった。」
芙蓉はマダラの盃に酒を注ぎ終わると、感慨深い表情でその盃を見つめた。
長かった戦が、終わった。
マダラは和解した経緯を芙蓉に話した。
芙蓉は少し不安そうな表情で箸を止め、その話を聞いていた。
「柱間とは再び友に戻ったのだ。うちはと千手は手を組む。そしてこれから、新たな里を作る!」
マダラは嬉しそうに盃を飲み干す。
芙蓉は、柱間が弟の扉間を殺すのではなく、自害を選ぼうとしたことに胸が痛んだ。
・・・いかにも柱間さまらしい。本当に優しくて立派な方。そういう所が大好きだった。でも・・・
浮かない表情をしている芙蓉に気づき、マダラが言う。
「これでまた、お前も親友に会えるな。」
「え?あ、そうですね。元気にしてるかな…樹ちゃん。早く会いたいなぁ。」
戦が終わり、千手とうちはが手を組むことは心から嬉しい。
だが、これでマダラとの生活も終わってしまう。
自分が柱間と扉間の許嫁ということは、きっとすぐにバレてしまうだろう。
そうなれば、マダラは自分を嫌うに違いない…そう考えると芙蓉は泣きたくなった。
「お前…新しい里でも、俺と一緒に暮らさないか?柱間には俺から事情を話す。」
芙蓉はその言葉を聞いたとたん、思わずマダラの首に抱き着いた。
・・・許嫁のことがバレるまでの少しの間だけでもいい。
もう少しだけ…一緒に居させてくだい。マダラさま…ごめんなさい・・・
芙蓉は罪悪感に潰されそうになりながら、マダラの言葉にすがりついた。
「私も、ずっとずっと一緒に居たいです。マダラさま・・・愛しています。」
マダラは芙蓉の自分への愛情の深さを感じ、これからの新たな里づくりのなかに、自分だけに降り注ぐ、まっすぐで温かい光を感じた。
「俺も、愛している。」
マダラも芙蓉を抱きしめた。