※この作品はR-18です。

愛のカタチ   作:チビサイファー


原作:少女終末旅行
タグ:R-18 少女終末旅行 現パロ チトユー
人を愛でるときの形はきっと人それぞれ何だと思います。

今回はおせっせするときは主導権を握られてしまうちーちゃんが仕返しをしちゃうお話です。

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愛のカタチ

 

 

 

 チトは不満だった。何が不満かといえば、ユーリとの夜の営みについてだった。

 

 別に淡泊になってきたとか、セックスレスになったとか、そう言う事ではない。ユーリのテクニックはバリエーション豊かでチトを満足させなかったことなどないのだ。

 

 そう、それである。チトが不満に思うのはそこだった。

 

 ユーリがチトを満足させる、ということは、ほとんどの確率でユーリに主導権を握られているのだ。つまり、攻められてばかりでされるがまま。幾度となく主導権を握ろうと試みたが、体を使わせたらどうしてもユーリには勝てず、いつの間にか立場が逆転している。そんな日々を送っていた。

 

 そうなると、一度くらい自分がユーリを好き放題してもいいじゃないか。と負けず嫌いが出てしまう。いつだったか電車の中で知らない男に痴漢されていると思ったら、こっそりついてきたユーリだった時のことは忘れてない。

 

 そういうわけで、チトはじっくりと主導権を握るにはどうしたらいいか数日程考えた結果、一つの作戦を試すことにした。

 

 その作戦を行うための道具が、今まさに宅配便で届いたところである。

 

「……ごくり」

 

 チトは唾を飲みこみ、ゆっくりと段ボールを開封していく。人生で初めて「警告。あなたは18歳以上ですか?」という問いかけに「はい」と返答して購入したものだ。いや、実際18を超えた年齢であるから、そこまで気張る必要はなかったのだが、それでも少なからずの緊張は漂うものである。

 

「うわ……」

 

 開封し、思わず声を漏らす。箱の中に黒光りする目的の品物。普通の生活をしていたらまず使うことのないそれは、なかなか怪しい雰囲気を出していた。何というか、用途のことを考えると生々しい、という感じだろうか

 

 あとはこれをどうユーリに使うかだ。次おまえとするとき、これ使って主導権握りたいんだけど。いや言えるわけないし、言ったらユーリが使いたいと言いかねないから却下。とすると、食べ物に睡眠薬を盛って……いや、一気に犯罪に近づくからやめておこう。

 

 チトはうんうんと唸り、どうやってユーリに「これ」を使うか考える。そうして考えた結果、ぐっすり眠ったときを待ち、こっそりつけようと結論付けた。

 

 果たしてそう簡単に上手くいくだろうか。まぁ、ダメだったらその時はその時だろう。チトは一通りの品物を開封して、ベッド下の収納へとこっそりいれた。

 

 

*

 

 

 そしてその機会はあっさりと、その日の夜にやってきた。いつものようにユーリがふらりとチトの家を訪ね、ビールを煽りながら夕食を共に食べた後、こてりと眠りについてしまった。少しアルコールが入っていたこともあってか、チトはそんなユーリの寝顔をみてムラッとする。やるならもう、今しかない。

 

 チトは残っていたビールを一気に飲み、ベッドでぐーすかと寝ているユーリの服を一旦脱がす。どうせなら雰囲気を楽しもうと、チトの部屋に置いてあったユーリのYシャツを着せる。

 次にベッドの下に隠しておいた「それ」を取りだし、ユーリの腕に、足に、そして目に着けてやる。

 

 動作一つ一つを行う度に、少なからず罪悪感がチトを襲う。しかし、一つ一つ終える度に背徳感がそれを上回る。知らず内に、自分の唇が釣り上がっていることに彼女は気付かない。

 

 すべての作業を終え、チトは大きく息を吐く。まだ最後に一つだけ残していたものがあったが、それはユーリが起きた時に使おうと思う。

 

「んっ……んぅ」

 

 ユーリが寝返りを打とうとして、しかし体が動かないことに違和感を覚えて、意識が覚醒する。

 

「あれ……まっくら」

 

 目を覚ましているはずなに、視界が暗かったら驚くだろう。チトはそっとユーリの目の前に近づく。ベッドがぎし、と音を鳴らしてユーリはチトの存在に気付く。

 

「……ちーちゃん? そこにいるの」

 

 顔を近づけても、ゆーりは気づかない。すぐ目の前にいるというのに。ああ、面白い。

 

「ユー、おはよ」

「なんか、暗いよ。ってかあれ……え、手が、動かないんだけど」

「足もだよ」

「うそ。ってまじだ……え、何これ」

「拘束具」

「……へ?」

「拘束具」

 

 そう。チトがユーリに着けたもの。それは黒光りする拘束プレイ用の拘束具一式だった。

 

「……あの、縛るやつ?」

「そう」

「なんで私縛られてるの。ってか服が」

「ユーをちょっといじめようと思って」

「え、待って待って、突然過ぎない? どしたのちーちゃん、なんかこわいよ」

 

 目隠しをしているから、チトはユーリの表情は分からない。けど、分かる。この目隠しの下は、少し不安そうな顔をしている彼女が居るのだと。何が何だか分からないまま、ユーリは私に弄ばれるのだ。

 

 それは想像ではない。現実なのだ。

 

「とりあえず一旦落ち着かない? ね、せめて目隠しをはずし……」

「ユー」

 

 くい、とチトはユーリの顎を持ちあげ、間髪入れずにユーリの言葉をぶちぎった。

 

「んっ!?」

 

 ユーリが吃驚する。そうだろう、こんなことするのは私だって初めてだからな。私の初めてはお前の初めてでもある。いつも主導権を握られているから、こっちからガンガン行くぞ。

 

 ぬろりと舌を入れ、容赦なくユーリの口の中を支配する。そう、お前がいつもやっていることだ。こうやって口の中を好き放題するの、大好きだろう?

 

 状況が飲みこめないユーリは、困惑したままチトの舌を受け入れるしかなかった。真っ白になる頭を再起動させようにも、今までにない積極的なチトにやはり困惑するしかない。

 

 ちぱ、とチトはわざと音を立てて唇を離す。ユーリは少し息が上がっていて、さっきより静かになっていた。予想外に大人しくなっていたから、チトは意外に思う。しかし、ユーリの苦手なものを思いだしてすぐに納得が行った。

 

(そうか、ユーは暗いところが苦手だからか)

 

 なら、面白そうだ。チトは最後の一品を取りだすと、ユーリの口の中に指を入れる。無抵抗になったユーリはされるがままに口を広げられ、チトが用意したものを口に咥えさせられた。

 

「!?」

「動くなよ」

 

 そういいながらチトはユーリの後頭部にバンドを通して最後の仕上げ、口枷を加えこませることに成功し、完全に拘束されたユーリが完成した。

 

 両手は頭の上で固定され、足は少し余裕を持たせてM字に開くようにして固定。Yシャツの下からはユーリの下着がちらりと覗いている。

 

「んっ、ふ、ぐぅ」

 

 何が何だか分からないユーリは、声を出そうとするが、口枷のせいで何を言っているのかが分からない。ああ、可愛いかも。チトはちょっとアブノーマルになる。

 

「いつもユーにいじめられてばかりだからさ」

 

 人差し指を太ももにつー、と這わせる。びく、とユーリが跳ねる。

 

「今日は、そのお返し」

「ふ、ふーふぁ……」

 

 ユーリの首元に鼻を押し付け、すんすんと匂いを嗅ぐ。少しだけ汗の混じったユーリの匂いは、着実にチトの理性を破壊しに来ていた。けど、自覚はある。このままいけば止まらなくなる。でも悪いのはお前だ。ユーが私をそうさせたんだ。

 

 かぷ、とユーリの首筋を甘噛みする。ユーの声にならない悲鳴。はむはむとユーリの首の感覚を楽しみながら、口の中では舌をぬろりぬろりと這い回らせる。それから逃れようとユーリが首を曲げるが、手を拘束されては動ける範囲が一気に狭まるから逃れられない。

 

 ちゅう、と首筋を思いきり吸い上げる。わざと唾液を混じらせ、口を話すときにちゅぱ、と音を立てる。その音を聞いて、ユーリがふるふると震えた。

 

(あっ……これ、楽しいかも……)

 

 チトの中でまた理性が崩壊する。ほんのりと赤くなった首筋に再び口づけをする。ユーリは必死に顔を背けるが、首ばかりはどうあがいても無防備に晒されてしまう。

 

 首筋を責める一方で、太ももへの愛撫も忘れない。前後左右、縦横無尽にユーリの太ももを愛でてやる。触り心地のいい、肉付きのあるむっちりとした太ももだ。

 

 首筋から口を離し、ユーリの太ももを眺める。真っ白で汚れを知らないような美しい脚がそこにあった。ふと思う。おいしそうだと。

 

 少し名残惜しいが、首筋から離れると、ユーリの足元へと移動する。M字に開かれたそこは、彼女の下着を惜しげもなく晒し上げていた。紺色の無地の下着、ユーリらしいシンプルなものだった。それがまたいい。

 

 ふぅ、とユーリの太ももに息を吹きかける。びくんっ! とユーリの体が跳ねる。逃がさない。そのままチトは太ももにかぶりつく。

 

「んふっぅううう!」

 

 ユーリが首を動かしてもがく。しかし、ベッドの重さを利用して固定した拘束具が外れることはない。

 あむあむと太ももの触感を味わった後、口を離してみる。ほんの少しだけ歯形がついていた。舌を伸ばし、歯形を追いかけるようにぺろり。足を閉じようとユーリはもがくが、ピンとベルトが伸びきって、それ以上動けない。

 

 なんて素晴らしいことだろう。私は、今ユーリを支配している。罪悪感はあっという間に背徳感へと変貌する。

 

 唾液で湿っている場所を撫で、顔を上げる。ふーふーとすでに荒い呼吸を繰り返すユーリ。チトは体を起こし、覆いかぶさる形になると額にキスをする。

 

「ユー、可愛い」

 

 むに、とユーリの豊満な胸を揉む。肩を狭めて縮こまろうとするユーリ。その反応が面白くてチトはむにむにと数回揉んだ後、手のひら全体で胸を押し込み、撫でまわす。

 ブラ越しでも分かるユーリのバスト、自分にはない膨らみは幾度となく羨ましいと思った。でも、自分が持っていたら分からない楽しさがある。この胸を好き放題に触れるという独占感は、最高だった。

 

「……好き」

 

 Yシャツのボタンに手をかけて、ぷつりぷつりと外していく。その隙間から現れるユーリの素肌とブラがそそる。下着とセットのシンプルな紺色だ。

 

 まずは晒されている上の乳房を指で押し込む。マシュマロという表現では足りないくらいの柔らかさ。今度は指でつまむ形で軽く揉み、たまらず谷間に顔を埋める。ユーリの胸の柔らかさは、「至高」としか表現できないだろう。ぐりぐりと顔を埋めると、ユーリがくすぐったそうな反応をした。

 

 顔いっぱいに柔らかさと匂いを堪能したチトは上乳にキスをし、そのまま吸い上げる。啄むように何回も何か所も吸い上げ、その隙にブラのフロントホックをするりと外す。

 

「んっ……」

 

 ユーリがブラの感覚がなくなったことに気付く。腕を拘束しているので完全に外すことができないが、フロントタイプなのであっさりとユーリの豊満な胸が晒される。

 

(すごい……なんていうか、可愛すぎ)

 

 チトの目の前にいるのは、喋ることも出来ず、両手を持ちあげられて、足もM字に開かれたほぼ全裸のユーリ。哀れともいえるような姿だが、そうさせたのは自分だと思うと、気持ち良すぎて馬鹿になりそうだった。

 

 むに、と両手でユーリの胸を持ちあげる。むにむにと揉んで、既にぷっくりと固くなっているその先端を親指で弾く。

 

「ふぅっ!」

 

 突然の刺激にユーリが再び声を上げる。油断してると何が来るか分からないぞ? 親指で固くなった乳首をこねくり回し、それに合わせてユーリの乳房を揉みしだく。形のいいお椀型の乳房は自由自在に形を変え、形を変えるたびに口枷から息が漏れる。

 

 チトはユーリの乳首を、かるく一舐め。ぴくりと反応する体、そこにふーふーと息を吹きかける。

 

「ひぐっ、んぅ……」

 

 切なそうな息を漏らすユーリ。そうだ、いい反応だ。自分が触れるたびにユーリの起こす反応全てが愛おしい。

 

 チトはかぷ、と乳首に吸い付くと、舌でコロコロと転がり回す。固くなったその乳頭の感度は非常に敏感で、ユーリはたまらず足を動かしてもがく。もちろん、自由に動くことはできない。

 

 片方は吸い上げ、もう片方は指で刺激を与えながら揉みしだく。ユーリがチトの弱いところを知っているように、チトだってユーリの弱いところを知っているのだ。

 

(そうだよな、おまえは胸が弱いもんな。私よりもずっと)

 

 ぬろり、ぬろりと乳首で舌を転がし、唾液でねっとりと湿らせる。今度は反対方向だ。顔と手の位置が入れ替わり、同じように愛撫する。

 

 ちゅぱちゅぱと水音が部屋に響く。一見赤子のような仕草に見えるが、その口の中ではユーリを弄ぶ欲望が蠢いているのだ。

 

 存分にユーリの乳房を楽しんだ後、口を離し、ぬーと唾液が糸を引く。さて、そろそろメインディッシュの時間だろうか。

 

 チトは再びユーリの下半身に目を向ける。紺色の下着のクロッチ部分が、やや色濃くなっている。それが意味することは一つしかない。

 

「ねぇユー。感じてるんでしょ」

「んっ、むぅ」

「どんな気分? へへ……いつもはこんな感じのこと、ユーリが言ってくるもんね」

「んーっ、んー、ぐむっ」

「まだまだこれからだよ」

 

 チトは再びユーリの太ももに手を乗せる。ユーリが体を強張らせる。ああそうだ、その通りだ。お待ちかねだよ。

 

 チトは指をクロッチに当てて、ぎゅう、と押し込んだ。

 

「んぅぅ!」

 

 やはり、性欲に深くかかわる人間の部位は敏感だな、とチトは変に冷静に思ってしまう。だが、一瞬でその冷静さは消える。

 

 ぐり、と指を押し込む。じわ、と下着の奥から悦びが溢れる感覚。

 

「むぅ! んっ、んっ!」

 

 ぐいぐいと押し込めばユーリの声と共に止めどなく溢れる。拘束してるから脱がせないので、クロッチの隙間から指をするりと入れて割れ目をくちゅくちゅと撫でる。

 

「もうぐっしょりだな」

「むぅ……ぐっ」

 

 ぐっしょりと外にまであふれた愛液は簡単にチトの指を濡らす。たっぷりと指に蜜を絡めて、チトはユーリ首筋に湿った指を擦りつける。

 

「ほら、こんなに濡れてるんだよ。ユーってさ、実のところ私より濡れやすいんじゃない?」

 

 ユーリは答えない。その代り、ゆっくりと顔を背けた。その反応を見てチトは満足げな笑みを浮かべ、ユーリの耳元で自分の指をなぶる。指からはじっとりと、ユーリの味がした。

 

「んむっ、ユーリの味がする……」

「ひゅ、ぐぅう……」

 

 恥ずかしそうな呻きを上げるユーリをニヤニヤ見つめながら、チトはわざと大きく音を立て、ユーリの反応を楽しむ。

 

 その間も蜜壺への愛撫は忘れない。左手を下着の中に滑り込ませると、ぷっくりと膨らんだ陰核を指で突く。いやいやと首を振るユーリ。だが、逃げられない。逃がさない。

 

 チトはユーリの耳の中に、容赦なく舌を突っ込んだ。

 

「んんんぅぅううっっ!!」

 

 一段と大きい悲鳴が、口枷越しに響く。ぢゅ、ぢゅ、と舌を入れながら耳の中を吸い上げる。ぶるぶるとユーリの体が震える。意外と彼女の絶頂は近いのかもしれない。チトは膣の中に指を入れる。たっぷりと濡れた彼女の膣は容易く受け入れた。

 

「ほら、どこまで我慢できる?」

 

 とん、とんと子宮が位置する所を指で叩く。どうやら今までの愛撫で子宮口が降りてきているようだった。チトの指でも届く位置にまで来ている。ユーリは子宮口、俗にいうポルチオが弱い。そこを開発したのもまたチトである。

 

(電車の時の、おかえしだ)

 

 つん、とチトはポルチオに触れる。ユーリの体が跳ね上がる。これから自分がどこを責められるのかを悟ったユーリは、呼吸が荒くなっていた。

 

 ぬるぬると膣内で指を掻き回し、その都度ポルチオに刺激を与える。

 

「ふー、は、んんーー! んんんーーーっ!!」

「ユー、イっちゃう?」

 

 ずん、と強めに指を押し込む。続けて指を前後にピストンさせる。

 

「んぐぅー! むぅ、んむっ、!!」

「可愛いよ、ユーリ。イきたい?」

「んっ……んぅ」

「そうかそうか。うん、ごめん。何言ってるか分からない」

 

 その言葉を合図に、ぐちゅぐちゅとチトはユーリの蜜壺を掻き回す。時折指が子宮口に触れてユーリに快楽が押し寄せる。熱い膣内がぎゅうとチトの指を締め上げる。仕上げだ。

 

「イっちゃえ」

「むっ、んんっ、んんんーーーーっっ!!」

 

 その言葉と同時にチトはポルチオに指を押し込み、クリトリスを親指で押し潰した。

 

「ひぐぅぅうううううっっ!!!」

 

 体の自由を奪われた状態でユーリの体は強制的な絶頂を迎えた。数度にわたる痙攣の後、ユーリの体はくたりと人形のように力が抜ける。ふーふーと荒い呼吸。口枷の空気穴からはユーリの唾液が溢れている。思わずおいしそうだとたっぷりのキスをしてやりたくなる。が、直後それ以上に試してみたいことが一つ浮かんだ。

 

(…………これ、このまま黙ってたらどうなるんだろう)

 

 そう、放置プレイだ。このままユーリを無視し続けていたらどうなるのだろう。

 あっと言う間に好奇心が勝り、チトはベッドから出来るだけ音を立てないように降りると、床に座る。ユーリはまだ余韻に浸っているようで、肩で呼吸をしていた。

 

 しかし、しばらく時間が経つと、ユーリは異変に気づいたのか静かになった。部屋の中を静寂が包み、コチコチと時計の音が鳴る。

 

「……むぅ、ん?」

 

 おそらく、自分を呼んでいるのだろう。だがここで返事をしても意味がない。さぁ、見せて。ユーリの可愛いところを。

 

「むー……むぅ?」

 

 きょろきょろと周囲を見回すユーリ。しかし、目隠しをされているから探そうにもチトの姿は見つからない。

 

「……むー、んぅー!」

 

 次第にユーリの声が大きくなる。だが、いくら声を上げても、何を言っているのか分からないし、聞く耳も持つつもりはない。ただ、どうなるのかを見てみたい。それだけなのだ。

 

「んー! んんっーー!!」

(ユー……どんな気分? ドキドキする、興奮する?)

「んんーーぅ! ふっぐ、むぐ、むぐぅーー!!」

(いいよ、もっと呼んで。私のこと、探してみて)

「ふー、ふぁ……むぅ、っぐ」

(ふふっ。私はこっちにいるよ)

「むっ、ぐぅ……ふっぐ、ひっぐ……」

(……あれ?)

 

 ふと、チトは異変に気がついた。なにか、こう、どんどん声が小さくなっていくような。それに合わせてしゃっくりが増えていくような

 

(というか、え。これ、もしかして……)

 

 チトの頭が急激に冷えていく。あまり考えたくない予測が面白いように組みあがっていく。そう、今ユーリは。

 

「ひっぐ……ふ、ひっぐ! うえぇえええ!!」

 

 号泣していた。

 

「ふぐぅううう!! むぅうううう!!」

「ユ、ユー!」

 

 チトは大慌ててユーリに駆け寄り、大急ぎで口枷を外す。それと同時に部屋の中をユーリの嗚咽が駆け回った。

 

「うわぁあああああん!! ちーちゃん、っんぐ、ちーちゃんどこなのーーー!?」

「あああ、ユー、ユーリ! ここ、目の前、ここにいるから!」

「ひっぐ、うっぐ、うあああああ!! 怖いよ、いやだよ、くらいのやだぁあああ!!」

 

 本気の絶叫。大号泣。こんなユーリ見たことない。暗いのが苦手なのを利用しすぎたせいで、完全に行きすぎたところまでやってしまった。

 

 チトは既に涙でぐっしょり濡れていた目隠しを急いで外す。その中から真っ赤に目を腫らし、涙で顔がぐしゃぐしゃになったユーリが現れた。

 

 次いで手の拘束を外し、足もやや強引に解除。わんわんと泣き喚くユーリを抱きしめて、どうにか落ち着けようとする。

 

「うえぇえ、ばかぁ、ちーちゃんの、ばかぁ!!」

「ご、ごめんユーリ……本当にごめん、ごめんね」

 

 ユーリの嗚咽は留まることを知らない。チトは焦りが止まらず、とりあえず自分の薄い胸にユーリの顔を押し込む。

 

 それが意外なことに功を奏し、ユーリは泣くことこそ止まらなかったが、チトの腰に手を回してぎゅう、と抱き着く。さっきまで頭を満たしていた背徳感はあっという間に罪悪感で満たされる。

 

「ごめん、本当に……ごめんね、ユーリ」

 

 ユーリはチトの胸の中でえぐえぐと泣き続けている。彼女の頭を優しく撫でて、どうにか平静さが戻ることを祈る。ユーリはしばらくチトに抱きしめられながら、ひたすら「ばか」と言い続けていた。

 

 結果として、ユーリが平静さを戻すことはなかった。理由は簡単、ユーリはそのまま泣き疲れて眠ってしまったからだ。それを確認したあと、一安心したチトもいつの間にか睡魔に意識を乗っ取られ、二人で抱き合ったまま眠った。

 

 

*

 

 

 ユーリが眠った後、一緒にベッドで眠ったチトは目を覚まして違和感を覚えた。おかしい、目を覚ましたはずなのに真っ暗なままだ。電気が消えているのだろうかと思い、起きあがろうとする。

 

「!?」

 

 だが、体がまるで縛り付けられているかのように動かない。なぜだ、なぜ体が動かない? 頭の上で両手は固定され、足もどうやらM字に開いているようだった。なんて恥ずかしい格好で寝ているんだ……。

 

「……って、まさか」

「そのまさかだよ」

 

 ベッドがぎし、と軋む音。自分の目の前からユーリの声が聞こえた。

 

「ユー!? お前まさか……!?」

「当たり前。昨日あんなことしておいて、許すわけないじゃん」

 

 ユーリがチトの頬を両手で包み、直後に唇を押し付けてきた。

 

「むぐっ!?」

 

 ぬるぬると、昨日チトがユーリにしたように口の中を舌でこねくり回される。抵抗しようにも展開が早すぎてチトの思考はショート寸前だった。

 

「……っはぁ」

 

 ユーリが唇を離す。何が何だか分からないチトは、抵抗するという考えに至るまでいつもの何倍も時間がかかった。

 

 その時間は、ユーリに次の一手を打たせるには十分すぎる物だった。

 

「ちーちゃんの気持ちはよく分かったよ。確かに私ばっかり苛めてたらちょっとつまらなくなるかもね」

 

 ユーリはチトの唇をこじ開け、指を入れる。チトは無意識に口に入れられたユーリの指を舐める。

 

「でもさ、ちーちゃん。私の性格考えたらさ。お返しが必ず来るのって、知ってたよね?」

 

 刹那、口の中に何かが押し込まれる。昨日、自分がユーリの口の中に押し込んだ口枷だ。

 

「道具だってそのままだったし。本当は、こっちの方がほしかったんじゃない?」

 

 ぞくっ。チトの背筋が凍る。それは恐怖か、はたまた快楽か。どちらとも言えなかった。

 

 次から次に押し寄せる情報をどうにか裁こうとするが、ユーリは額に口づけをしてその思考を強制停止させる。考える暇なんて与えられない。許されない。

 

 こいつは、どこまでも私を弄ぶに違いない。

 

「じゃあちーちゃん。覚悟してね」

 

 不敵な笑みを浮かべたユーリ。くすくすと聞こえる笑い声。不気味なその笑い声は、チトの聴覚を経由して全体を刺激する。

 

 何をするんだろう、何をされるんだろう。どこから弄ばれるのだろう。その快楽は支配される悦びという、少し歪んだ愛で作られる麻薬のような虜。

 

 欲しい。来て。私を愛して。チトはいつの間にか求める。そう、恐怖なんて最初から存在しなかった。

 

 身体はひたすら、ユーリに支配されていくその先を貪欲に求め続けていた。

 

 

 

 

 

 了

 


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