「ミナミ!私、美波のことが好きです!」
そんな一言から始まった人気ユニット、ラブライカのアナスタシアと新田美波の恋愛関係。
始めは冗談半分だった美波もアナスタシアの積極的なアプローチに次第に絆されていく。
そんなある日水着のMVを取るために向かった先で、彼女と同じホテルに泊まることに。なるべく何も起こらないようにと考える美波に対して、アナスタシアは一緒にお風呂に入ろうと言いだして―――。

それは二人のアイドルの恋の物語

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白鳥が結ばれた日

「んっ………あっ、ミナミ……」

 

「アーニャちゃん……あっ」

 

 

快楽混じりの甘い声が部屋に響く。

部屋を照らすは細い橙色の光。

ベッドに横たわるは二人の少女。

 

彼女達は頬を赤く染めながら互いの身体を貪る。

 

目を閉じてキスをする。触れ合うような優しいものではない。

舌を絡め合い、互いの口内に這わせ唾液を混じり合わせる情熱的なものだ。

ぐちゅぐちゅと淫靡な音を鳴らす。その音が一層二人を興奮させる。

 

「んっ、美波………好き、です。愛してます」

 

アナスタシアは一旦キスを止めた。嬌声に混じりながら、もう何度目かわからない愛の告白を発した。

 

「私も好きだよ……アーニャちゃん」

 

新田美波も紅潮しつつも真摯に応える。そして再び口づけを交わした。

 

気持ちいい。

快楽を求めていることに変わりはないが、相手が愛おしくてたまらない。この世の誰より愛している。

たとえ性別の壁なんてものがあっても問題じゃない。そう二人はほぼ同時に確信していた。

 

 

―――ただ

と新田美波はぼんやりと思う。

 

まさかこんな事になるとは夢にも思わなかった。

きっと昔の自分に言っても到底信じてもらえなかっただろう。

 

 

 

 

―――まさか自分がユニット、ラブライカのパートナーであるアナスタシアと付き合うことになるだなんて。

 

 

 

 

「二人には一週間後に新曲のPVと水着グラビアの撮影に行ってもらいたい」

プロデューサーはアナスタシアと新田美波を事務所に呼び出してそう告げた。

まだ二十代後半の若いプロデューサーで爽やかさが特徴的だ。

 

彼はずっと二人、ラブライカに主に力を入れてプロデュースしていた。

まだ新人だった頃の二人に光るものがあると引っ張ってくれて、こうやって今も仕事を持ってきてくれるあたり、二人にとって感謝してもしきれない存在だった。

 

ただアナスタシアは僅かに難色を示していた。

 

「ダー………また美波は水着ですか」

 

受け取った書類に目を通しながら彼女は不満を口に出した。

難色を示すというより少し拗ねていると言ったほうが的確だった。

 

以前から彼女は美波が露出度が高い仕事が多いことに不満を抱いていて、美波ももっと可愛い衣装を着るべき!と主張していた。

 

「す、すまん。ただ美波はそっち方面での人気も高いし、こちらとしてはそっち方面でも頑張ってほしいというか………」

 

「ニェット!美波は綺麗ですけど、あんまり肌を見せるのは良くないです!」

 

「まぁまぁアーニャちゃん落ち着いて。私もこういう仕事嫌いじゃないから大丈夫だよ」

 

「ダメです!男の人そういう目で見ちゃいます!」

 

「まぁある程度は仕方ないんじゃないかな」

と美波が苦笑いしながら言うとアナスタシアは益々頬を膨らませた。

 

「というかアナスタシア?お前もちゃんと水着着るんだけどそれは良いのか?」

 

「ダー、それは別に構いません。アーニャは、美波が綺麗すぎるから、男の人を魅了しちゃわないか心配なんです!」

 

「まぁそれもアイドルの仕事だと思ってわかってくれ、な?今度二人になんか奢るから」

 

「しょうがないですね、三人で食べに行きましょう。約束ですよ?」

 

 

両手を目の前で合わせてお願いします!と彼が訴えると

アナスタシアも渋々と言った感じで、しかし笑顔で了承した。

もちろん彼女とてこれが大事な仕事であるのはわかっているので本気でやめさせる気は無いのだろう。

 

 

 

「それじゃあ準備の方よろしく頼むな。ちゃんと俺も同行するから安心してくれ。それと日程とかはその書類に書いてあるから一通り目を通しておいてな。わかったか?」

 

「はい!」

 

「ダー!」

 

 

二人で事務所から出るとアナスタシアが美波の服の袖を無言で引っ張った。

 

「アーニャちゃん?どうしたの?」

 

「美波、水着の仕事とか、嫌だったらちゃんと言わないとダメですよ?」

 

「もう、アーニャちゃんは心配症だなぁ。本当に嫌いじゃないし、せっかくのお仕事だから頑張らなきゃ」

 

「あと、アーニャ、美波がみんなにそういう姿を見られちゃうとちょっと嫉妬しちゃいます」

 

 

そう言ってプンプンと怒る様子を見ると最高に可愛かった。

 

 

「大丈夫だよ、アーニャちゃん。私は貴方の」

 

「ヴァズリュブリェンヌイ、恋人、ですからね!」

 

 

そうやって微笑む姿は、まるで宝石のように美しく、花のように愛らしかった。

 

 

 

アナスタシアと新田美波は付き合っている。

 

 

以前から二人で遊びに行ったりご飯を食べたりと

公私共に中が良いのは周知の事実であったが

まさか女子同士で付き合っているとは誰も夢にも思わないだろう。

 

もちろんプロデューサーにも他のアイドルにも内緒だ。

そんな二人の内緒の関係はしばらく前から続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは遡ること三ヶ月。

「ミナミ、ちょっといいですか?」

それは、アナスタシアと二人でライブのレッスンを終えて帰宅しようと思っていた矢先のことだった。

 

一日のダンスと歌のレッスンを終えて、先にトレーナーが退室していた。

レッスンは順調で特に残らないといけないほどではなかった。

それに他に要件も無かったので解散しようとしていると、突然呼び止められたのである。

 

「ん?どうしたの?アーニャちゃん」

 

振り返ると、何故か決まりが悪そうなアナスタシアがいた。

妙にもじもじとこちらを見ている。それに彼女の白い肌も若干顔も赤くなっている。

 

いくらダンスレッスンのあととは言えここまで赤くなることは無いだろうし

そもそも彼女は普段からクールに特訓もこなすタイプだ。

 

「もしかして具合悪かったりする?顔赤いよ?」

 

心配して少し急いで近寄る。熱でもあるのかと咄嗟に自分の額を彼女のそれを合わせた。

 

「み、ミナミ!?」

 

彼女は慌てて顔を離してしまった。

 

確かに、突然近づいて顔面を至近距離に近づけたら驚くのも無理はない。

美波は少し反省した。ただどうやら熱は無さそうだ。

 

―――ならこの不思議な態度は一体なんだろう?

 

と思案に暮れていると、アナスタシアはぱっとこちらの両手を握ってきた。

先程からずっと顔を伏せたままだからどんな表情をしているのかはわからない。

 

「アーニャちゃん?」

 

その後彼女はぱっと顔を上げた。息を吸い込み、そして勢い良く口を開いた。

 

「ミナミ!私、ミナミのことが好きです!」

 

「えっ、うん、私も好きだよ?」

 

あまりに突然言われたので咄嗟にそう返した。

 

男子はともかく、女子に好きと言われる程度で狼狽するほど耐性がないわけではない。

それに女子からなら普通に行為を伝えられるのは嬉しい。

 

という意味で返答したのだが。

 

「ニェット!違います、そういう意味じゃないです!」

 

と頬を膨らませてしまった。

 

「えっと………それってつまり、本気ってこと?」

 

そう言うと再びアナスタシアは頬を染めて俯いてしまった。そして小さく首を縦に振る。

 

確かにアナスタシアは同性に好きというくらいで狼狽える娘ではない。

美波も何度か彼女に好意を伝えられたことはあるし、それに彼女は臆面もなくそういうことを言う。

そう考えると必死とも言える様子で発したこの言葉は恐らく『本気』なのだろう。

 

「で、でも、私達女の子同士だよ?」

 

「ニェット!そんなの関係ありません!私、本当に美波が好きなんです!

ずっと、ずっと一緒にいたい!愛してます!」

 

 

再び顔を上げて必死に訴えてくるアナスタシア。その形相に思わず美波も面食らってしまった。

 

 

困惑のあまり何と言ったら良いかわからない。自分は同性での恋愛に差別的な目を持っているわけじゃないが、

まさか自分がそのような状況の当事者となる日が来るとは夢にも思わなかった。

 

故に何と返答したら良いか迷っていると、そんな様子を感じ取ったのか。

 

「やっぱり…………ダメですよね」

 

彼女はもう今にも泣きそうな顔になってしまった。頭を下げてはいるが声は震えている。

 

「イズヴィニーチェ………ごめんなさい、ミナミ。ごめんなさい、嫌でしたよね」

 

美波はまだ断ったわけではないのだが

そう言われたも同然と思ったのかとうとう泣き出してしまった。

 

「あ、アーニャちゃん!一回落ち着いて、ね!」

 

そう言ったものの泣いたまま落ち着いてくれる様子は一切ない。

だがそれも当然だ、と美波は思った。

 

いつもクールで大人びているアナスタシア。だが彼女は十五歳の少女で、そんな彼女が性別を超えて好意を勇気を持って伝えたのに微妙な反応をされたらショックで仕方ないだろう。

 

 

ふっ、と体が動いた。美波は自分でも気が付かない内にアナスタシアを抱きしめていた。

傷ついた少女を慰めるように、優しく穏やかに。

そして美波は優しく口を開いた。

 

「ねぇ、アーニャちゃん。私も、アーニャちゃんの事好きだよ」

 

「ミナミ………?」

 

「だからさ、付き合っちゃおうか」

 

「ミナミ、ほんとですか?」

 

「うん、本当だよ」

 

半ば勢いで言ったことだった。目の前で傷ついている少女を慰めるにはこうするのが一番簡単だったからだ。

それに女子同士で付き合ったところで何か変わるわけではないだろうという打算もあった。

 

それに恐らくアナスタシアは恐らく恋愛経験がない。

だから本当に好きな人が出来たらその人と幸せになれるだろう、と踏んだのである。

アイドルだから難しいかもしれないが、それまでの間しばらく付き合うなら悪くはないと思った。

 

そう言うとアナスタシアは顔を輝かせて美波を強く抱きしめた。

 

「スパスィーババリショーエ!ありがとうミナミ!

アーニャ、とっても嬉しいです!改めてよろしくお願いしますね!」

 

 

 

―――それに、彼女の眩しい笑顔を見て多少なりとも可愛い、と思ってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

それからと言うもの、彼女のアプローチは凄まじかった。

今までも積極的だった彼女は更に激しくなったのである。

 

スキンシップは当たり前で、見られてないところで頬へのキスやハグもしてきた。

オフの日はデートに誘ってきたり、腕や指を絡ませたりと美波も思わずドキッとしてしまう事も多かった。

それにプレゼントをくれたり、時々お弁当を作ってきて持ってきたりと色々な事をしてくれた。

 

 

以前美波が何気なく見ていた雑誌に、アナスタシアは女性人気が高いという記事があった。

 

クールでイケメン、それでいて付き合うとすごく尽くしてくれ、様々な面でリードしてくれそうと書いてあったのである。

言い得て妙だなと彼女は膝を叩いていた。

 

そんな生活を続けている内に、最初は冗談半分で付き合っていたのだが

いつの間にかいつも彼女を考えているほどに美波は傾倒してしまっていたのである。

 

アナスタシアと付き合ったところで特に変化はないだろうと考えていたのはまるで甘かった。

逆にこちらが惚れさせられたのである。

一応頭では本気じゃないと否定しているが、心が完全に認めてしまっていた。

 

実を言うとアナスタシアは恋愛経験はないだろうとか偉そうなことを考えていたが

新田美波も恋愛経験というものはは皆無だった。

 

 

以前とある友人からは、新田美波は恋愛運大凶だ、と評されたことがあった。

 

今まで好きな男子がいなかったことはない。ただ告白するとドッキリを疑われてまともに相手にされなかったり、すでに彼女持ちだったりと散々だった。

 

では告白されたことはというとこれもないのだ。

その友人曰く、高嶺の花すぎて声がかけられないのだとか。

 

 

なのでこうやって告白されてグイグイ攻められるというのに基本的に耐性が全くないのだ。

周囲からは大人っぽいなどと言われはするが実際は生娘もいいところであったのである。

 

そんな様子だから、これ以上絆されないよう気をつけよう………と密かに胸に誓う新田美波なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

照りつける太陽。輝く青い海。白い砂浜。

 

夏の海を代表する要素が詰まっている、ここは某県の有名なビーチだ。

日本とは思えないほど美しい砂浜で、観光名所としても有名である。

今は夏の季節なので、普通ならビーチは連日大盛況なのだが、今日はごくわずかしかいない。

 

「いいよ~美波ちゃん!そこで笑顔!はいっ、良いね~!その調子~!」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

とカメラマンが水着姿の新田美波をノリノリで撮影している。

 

 

現在このビーチは事務所が貸し切って撮影に利用している。撮影期間は丸二日間で今日は一日目だ。

朝から事務所を出発して新幹線で移動、昼に到着してそこから昼食後撮影に入っていた。

MVの撮影の前にプロマイドや雑誌用に一人ずつ写真を撮っていた。

 

一方アナスタシアは美波の後なので

今はプロデューサーと一緒にビーチ近くにある海の家の椅子に座ってスタンバイ中だった。

何か注文したいところだが貸し切りのため店員も無人なのでクーラーボックス内のジュースしかなかった。

まぁ日陰でゆっくりできるだけ重畳である。

 

 

「なんだかあのカメラマンさん、いやらしいです」

 

「いや気のせいだって。あのおっさん、もとい、あのカメラマン、ああいう感じで緊張を解させているんだよ。腕

は確かだから大丈夫さ」

 

「ンー………本当ですか?」

 

「………多分」

 

というくだらない話をしていた。プロデューサーと言ってもこういう時はひたすらに暇である。

それも当然で、プロデューサーの他にもカメラマン含めスタッフなど数名が常駐しているから

彼の仕事など特にないのだ。

 

「それなら良いですけど」

 

そうこぼした後、二人はしばらくジュースを飲みながら無言で遠くの新田美波を眺めていた。

 

ビキニ姿で頬を紅潮させて撮っている彼女。

普通に水を掛ける程度の構図で撮っているのもあったのだが、

胸とかお尻とかを強調させているポーズもあって、アナスタシアからしたら少し気持ち穏やかではなかった。

 

 

「プロデューサー」

 

「ん?なんだ?」

 

「恋したことってありますか?」

 

「………どうしたんだ?いきなり」

 

「聞いてみただけです」

 

プロデューサーが不思議そうな目で見つめてくる。

確かに何となく沈黙が気まずかったからというのも嘘ではなかった。

ただ彼のそういう話も聞いてみたかったというのも確かである。

 

「恋かぁ………まぁあるっちゃあるな」

 

「どんな感じでしたか?」

 

「高校の時に付き合ってた娘がいた。そこそこ楽しかったよ、しばらくしたら別れちゃったが」

 

「なんでですか?」

 

「振られたんだ」

 

「どうしてですか?」

 

「結構容赦なく聞くよなお前」

 

苦笑いしながらも彼は答えた。

 

「私の事好きじゃないんでしょ、って言われちまった。

恥ずかしくて好意とかあんまり伝えられてなかったんだ。それに達観しすぎてたってのもあるかもな」

 

「達観………ですか?」

 

「ああ。相手を束縛しないことを重視してたら、興味が無いみたいに解釈されちまってた。情けないけどな」

 

「そうですか………」

 

本当に好きだったんだけどな、と彼は乾いた笑いとともにそうこぼした。

 

「お前はどうなんだ?アイドルになる前とか好きな男子とかいなかったのか?」

 

「ダー………いませんでした」

 

「なんだよ、恥ずかしい思いしたの俺だけじゃねえか!………まぁいいけどな。あと、これは普通に助言なんだが」

 

「何ですか?」

 

「好きな人が出来たらグイグイ攻めたほうがいいぞ?それくらいが丁度いい」

 

「………アーニャはアイドルですよ?」

 

「それでもだ。後悔しないように生きたほうがいい。ま、バレてもちゃんとフォローするから心配すんな」

 

「はい、わかりました。スパスィーバ、ありがとうございます」

 

「おう」

 

笑って彼はそう答えた。

 

 

 

「すいませーん!そろそろアナスタシアさんの方準備よろしくお願いしまーす!」

 

遠くからスタッフの声が聞こえてきた。どうやら新田美波の方の撮影は一区切りがついたようだ。

なら今度はアナスタシアの番だ。

 

「それじゃあプロデューサー、パカ ヤ スコーラ、行ってきますね」

 

「おう、頑張れよ」

 

 

そう言ってアナスタシアは砂浜へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様です、プロデューサーさん」

 

「おう、そっちこそお疲れさん」

 

撮影を終えてパーカーを着た美波がプロデューサーのもとにやってきた。

近くのクーラーパックに入っていたペットボトルのお茶とタオルを差し出す。

 

彼女はお辞儀しながらそれを受け取った。

 

軽く汗を拭いて緑茶で喉を潤す。

それだけの挙動でどことなく艶かしく見えるのが彼女の魅力なのかもしれない。

 

「暑い中大変だろ。少しでも具合悪くなったらすぐ言うんだぞ?」

 

「はい、ありがとうございます。でもぜんぜん大丈夫ですよ」

 

「そりゃ何よりだ。しばらくはアナスタシアの撮影だろうからしばらくゆっくりしときな」

 

「そうしますね」

 

そう言って彼女はプロデューサーと向かい合う形で椅子に座った。

 

「撮影は順調だったか?」

 

「はい、水着姿で少し緊張しましたけどスムーズに出来ました」

 

「そうか。一応見てたけど、あのセクハラ親父に何かされなかったか?」

 

「セクハラ親父・・・カメラマンさんのことですね。最初はびっくりしましたけど途中から面白く感じてきて楽しかったですよ?」

 

彼女は笑ってそう答えた。

 

プロデューサーとて本気で心配していたわけではなく、ただ話を振ってみただけだ。

あのカメラマンはこういった感じで今までも撮影しているし事務所の他のアイドルを担当したこともある。

一々不祥事を起こしていてはとっくにカメラマンなど出来ているはずもない。

 

「ただお前は良くても、アナスタシアのほうがずっと気にしてたぞ?」

 

「アーニャちゃんが?」

 

「ああ。あのカメラマンさん怪しいです!って言ってな。まぁ無理は無いけど、あいつはお前のこと大好きだからなぁ」

 

「そっ、そんなことないですよっ!」

 

「?そうか?」

 

慌てて否定する彼女をプロデューサーは怪訝そうな顔で見つめた。

 

 

その後彼女は気づいた。

彼はただ二人が仲が良いというのを言いたかっただけで

二人の関係について言及したわけではないということを。

 

 

なんだか気にしすぎているようで恥ずかしい、と內心彼女は思うのだった。

 

 

「ま、まぁ確かに仲はいいですけど」

 

「だろ?アイドルだから仕方ないんだろうけど、あいつにとってお前は姉ちゃんみたいなもんだろうから、そういう目で見られるの嫌なのかもな」

 

「そうかもしれないですね」

 

と彼女は答えたが内心では違うと思っていた。

 

アナスタシアはきっと本当に他の人に美波を見られたくないのだ。

それはつまり独占欲があるということ。

また美波が好きということなのだろう。

 

 

遠くで撮影しているアナスタシアを眺める。

オレンジ色の新田美波の物と違い、彼女は青いビキニだ。

スタイルはまだ成長中なようだが今のままでも芸術品のように美しい。

 

「はぁ………」

 

「どうした、ため息なんてついて。やっぱり疲れてるのか?」

 

「いや、そういうわけじゃないんですけど………」

 

思わずため息が漏れる。

 

 

アナスタシアからの好意はもちろん嬉しいのだ。

好かれることが億劫に感じるなどよほどの天邪鬼だ。

 

 

むしろ問題なのは、彼女の好意が本気すぎるのと、それに絆されてどんどん本当に惚れていっている自分である。

 

「プロデューサーさん」

 

「なんだ?」

 

「恋って何でしょうか」

 

黄昏れたまま何となくそう聞いてみる。

異性にこういうことを聞くものではないかもしれないが

プロデューサーを特にそういう目で見たことはないので別に気にならなかった。

 

「恋なぁ………ひょっとして今回の新曲の件か?」

 

「まぁ………そんな感じです」

 

本当は違ったがあえて否定する気はなかった。というか全く違うというわけでもなかった。

 

 

 

 

 

今回ラブライカが歌うことになった新曲。それは彼女達が挑戦したことがないタイプの曲だった。

 

今までラブライカの楽曲と言えば物悲しく切ない失恋ソング、というような印象の曲が多かった。

だが今回は水着のPVを撮っているようにそういうものとは些か毛色が異なった。

恋愛ソングであることに変わりはないがポップなメロディーでいかにも夏という曲だった。

 

それに歌詞も印象的だ。ざっくりと纏めれるとこういう感じだ。

 

 

 

女性が旅行先のビーチで出会った男性と恋に堕ちる。

女は男に話しかけて仲良くなるが男性の方は友人としか思っていない。

 

そうこうしている内に帰る日が来てしまった。

 

本当は好きじゃないからと言って折り合いをつけて諦めてしまおうと思って空港まで行った彼女だったが

やっぱり諦めきれず彼に思いを伝えに行く。

 

 

 

といった内容である。

 

 

「恋ならお前のほうがし慣れてそうだけど」

 

そう言ってプロデューサーが美波を茶化す。

 

「私彼氏とかいたことなくて」

 

「………おいおいマジかよ」

 

「失恋の経験なら何回かあるんですけどね」

 

「お前みたいな美人放っとくとかどんだけレベル高えんだよ」

 

茶化していたのから一転、彼は心底意外そうな顔をした。

 

「友だちが言うには、高嶺の花過ぎて相手にされないって」

 

「あ~なるほどな、それなら納得だわ」

 

そう返した後彼はしばらく考え込んだ。恋、恋なぁ………などと独り言を呟きながら。

 

「なんかあいつにも似たようなこと聞かれたぞ」

 

「あいつ………アーニャちゃんですか?」

 

「そうそう。恋したことあるかってな。なんか恋愛のアドバイスしちゃったけど、今思えばあいつも曲のアドバイ

スのほうが欲しかったのかもな」

 

これもまた違う、と美波は考えた。

 

 

やはりアナスタシアは本気で新田美波に恋をしている。

だが彼女も彼女なりに悩んでいることもあるのだろう。

 

「まぁ恋が何かは正直良くわからん。ただこの曲作った奴からこの曲の趣旨は聞いてんだ」

 

「趣旨ですか、どんなものなんですか?」

 

「素直になれってことだ」

 

「素直ですか」

 

美波は無意識の内に反芻していた。それを聞いてプロデューサーは続ける。

 

「細かいことなんて気にせずに自分の気持ちに素直になって振る舞ってほしい、という思いで書いたそうだ」

 

「そんな意味があったんですね」

 

不思議と胸に響いた。

まるで今の自分に当てられたメッセージなのかと疑ってしまうくらいぴったりな物だった。

 

「そうだな、お前はちょっと遠慮しがちなところがあるし、この歌みたいにもっと素直になってみたらいいかもな」

 

「そうかもしれませんね」

 

そうこぼして再び海岸を眺めた。

その視線はやはり砂上の彼女に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「美波、この部屋、とっても綺麗です!」

 

「そうだね、アーニャちゃん」

二人はホテルの一室にいた。

海岸近くにある大きなホテルでロビーから内装全体に至るまで高級感に溢れていた。

ホテルの中には遊戯施設や有名なレストランなどもあり、更には屋上にはバーもある。

 

 

 

二人は撮影を終えるとスタッフやプロデューサーと食事を済ませ、ようやく二人が宿泊する部屋までたどり着いたのだ。

窓から外を見るといつの間にかすっかり夜になっていた。

いくら夏真っ盛りとは言え、流石に九時ともなると外は暗くなっている。

ただ街の明かりがポツポツと夜を照らしていていい眺めであった。

 

「ベッドもフカフカで気持ちいいですね」

 

ボフッ、という音と共にアナスタシアはベッドに座り込んだ。お気に召したのか寝転がってごろごろしている。

 

 

部屋は収録のための宿にしてはとても綺麗だった。

二つの大きなベッドがあり、壁には街が一望できる大きな窓がある。

小さなテーブルと椅子もあり広さも申し分ない。

当然アメニティグッズやシャワールーム、それにバスタブも完備だ。

 

 

本来はただ寝るだけなのにここまで大層な宿を用意する必要はないのだろう。

 

それでもアイドルを安い所に泊まらせる訳にはいかない

と言って聞かないプロデューサーの意向でアイドルたちはロケ先でもそこそこのホテルに泊まることになっている。

もちろん高級で困ることはないのでアイドルたちからは好評だった。

 

まぁプロデューサーは予算をやりくりするので各方面に頭を下げたりと大変なようだが。

 

 

「アーニャちゃん、お風呂先に頂いてもいいかな?」

 

ベッドに転がる彼女に美波は尋ねた。

 

確かに一日疲れたのでお風呂には早く浸かりたかったが、どうしても先に風呂に入りたいわけではなかった。

もしアーニャが先に入りたいと言えば譲るつもりだったし、そうでなければ自分が先に入るつもりだった。

 

これでも長女なのだからそれくらいの弁えはある。

なので彼女の意思を確認すべく聞いたのだが、帰ってきたのは意外な答えだった。

彼女はベッドから起き上がってこう答えた。

 

 

「美波………お風呂、一緒に入りませんか?」

 

「うえっ?」

 

あまりに予想外過ぎて変な声が出てしまった。

 

「アーニャ、美波とお風呂入りたいです」

 

「で、でもバスタブとか一人用だろうし………」

 

「二人で近寄れば入れます!」

 

 

なんとか断ろうとしてから美波は気がついた。

普通に以前二人でお風呂で入ったことがあるのだ。

その時は特に何とも思わず二人で風呂でおしゃべりした。

 

 

しかし今は違う。今は、一緒に入るのが恥ずかしいから、という理由で断ろうとしているのだ。

いかに自分がアナスタシアをそういう対象として認識しているか改めて気づいた。

 

「美波とアーニャは恋人同士です。美波は、アーニャとお風呂入りたくないですか………?」

 

ダメ押しだ。恋人同士という一言で更にそういう関係なのだと認識させる。

無意識だろうがかなりの小悪魔っぷりだと美波は感じた。

 

 

それに普段は凛々しさや無邪気という表情が多い彼女だが、このようなときの弱気な顔のアナスタシアは普段よりも信じられないくらい愛らしい。

そんな彼女に上目遣いで頼まれて断れる人間などいるのだろうか、いやいるはずがないのだ。

 

 

果たして新田美波は半ば強引に二人でお風呂に入る事になってしまったのであった。

 

 

 

 

 

「ふぅ、ヴァーンナ………お風呂は暖かくていいですね」

 

「そ、そうだねアーニャちゃん」

 

湯船に浸かったアナスタシアはそう気持ちよさそうに漏らす。

そしてその向かい側には顔を真っ赤にして落ち着かない新田美波がいた。

お互いに生まれたままの姿で風呂に入っている。

 

二人用ではないため少々狭く、脚など当たっており少し密着している。

温泉の濁りもないし入浴剤も入れてないから無色透明。

見ようと思えばいろんな所が見えるし、正直意図せずとも目に入ってしまう。

 

 

以前お風呂に一緒に入った時は特に思いもしなかったのに、裸の彼女を直視できない。

またそれ以上に裸を見られるのも恥ずかしい。彼女の手は無意識の内に胸を隠す方向に行っている。

女子同士だから問題なし、と割り切ることも出来ず新田美波の目線はあちらこちらへと行っていた。

 

 

 

「どうしましたか?ミナミ。まだ入ったばっかりなのに顔真っ赤です。風邪ですか?」

 

不思議そうな顔で首を傾げそう聞いてくるアナスタシア。

それがわざとなのかそうでないのかは美波にはわからなかった。

 

「だ、大丈夫!ちょっとお風呂の温度高めかなって思っただけだから!」

 

まさか目の前の貴女が綺麗すぎて、なんて言えるわけもない。

相変わらず目の前の彼女を直視できずにおろおろしてしまう新田美波。

心臓が早鐘を打っている。早く風呂から上がりたいようなそうでもないような不思議な感じだった。

 

 

「それにしても、ミナミの身体はティ タカーヤ セクスァラィナ、とってもセクシーですね」

 

「ゴホッゴホッ、あ、あ、アーニャちゃんっ!?」

 

思いっきり狼狽してしまった。

 

綺麗な体と言われたことはあるがそういう時は普通にありがとうと返せていた。

しかし今の彼女に対してそんな返答ができるわけもない。

 

「どうしました?綺麗って褒めただけですよ?」

 

「アーニャちゃん!もう、もしかしてわざとやってる?」

 

「シトー?何のことですか?」

 

 

再び真顔で質問を返してくるアナスタシア。ふざけている様子は全くない。

だがもういっそ小悪魔的に言ってくれている方がまだマシだ。

無自覚でこれならたらしも良いところでますます始末が悪い。

 

 

「ふふっ、それにミナミは可愛いですね」

 

「うぇ!?えっ、あぅ………」

更に追い打ちを掛けてくる彼女。

美波は慌てすぎて上手く返すこともできず、そんなこと短い声しか出せなかった。

それを見て微笑む彼女を見て、年下に翻弄されるのが少しだけ悔しくも思った。

 

 

 

「ねぇミナミ、今アーニャ、とっても幸せです」

 

「?どうしたのアーニャちゃん?」

さっきまでとは声の調子を変えて彼女はそう答えた。様子が変わったのを感じ、彼女の方へと目線を向ける。

 

………なるべく顔から下を見ないように。

 

「アーニャ、前からミナミのこと好きでした。でも言ったら嫌われちゃうんじゃないかって言えませんでした。だけど勇気を出して言ったら受け入れてくれてとっても嬉しかったです」

 

「アーニャちゃん………」

 

「付き合い始めてからも、ミナミはずっと一緒にいてくれましたね?ミナミと一緒にいる時間はいつだって楽しいです。だからアーニャはとっても幸せです」

 

 

そう朗らかな笑顔で彼女は語った。

その笑顔があまりに幸せそうだったからこちらまで嬉しくなってしまった。

 

「ミナミは、アーニャのこと、好きですか?」

 

彼女は笑いつつも、ちょっとだけ不安そうな顔でそう尋ねてきた。

きっとさっきはそう言ったが、それでもまだ少し不安なんだろう。

 

もし新田美波がアナスタシアを好きじゃなかったらと。

 

 

 

もっと素直になってみたらいいかもな

 

 

 

昼に言っていたプロデューサーの言葉が頭によぎる。

自分の気持ちに素直になる。

自分は彼女のことをどう思っているか。彼女に伝えたい言葉は何か。

 

 

 

―――ああ、そうか

 

 

 

ふと答えが湧いてきた。あまりに単純で、だからこそ今まで言えなかった、認められなかった想い。

 

 

 

「うん、好きだよ。アーニャちゃん。愛してる。この世界の誰よりも、貴女が好き」

 

 

 

まっすぐと彼女を見つめてそう告白した。

 

 

隠す必要なんて無い。自分をごまかす必要もない。

ただ自分が思うままに、自分の想いを口に出してしまえばいい。

なんて簡単だったんだろう。内心少し笑ってしまった。

 

 

「ミナミ………」

 

アナスタシアはそう呟くと静かに泣き始めてしまった。

しかしそれを止めようとはせず、微笑んでこう続けた。

 

「ありがとう、ミナミ。本当に、ありがとう………」

その様は息を呑むほど美しく、また魅力的だった。でも、もう目を逸らしたりはしない。何故なら彼女は私の恋人なのだから。

 

彼女が美波の手を握った。そして二人の距離を詰めてくる。

そしてその整った顔を近づけてくる。

 

彼女が何をしようとしているかわからないほど新田美波は初心ではない。

でも、それを拒む必要はもう無かった。

よく見ると彼女の顔も十分赤い。それを愛おしく思いつつも、目を閉じて受け入れた。

 

温かい感触。触れ合うような優しいそれが唇で感じられた。

 

―――ああ、キスしちゃったな

 

彼女はぼんやりとそう思った。ずっと恋人がいなかった自分の、初めてのキス。

それは蕩けてしまうくらい優しく気持ちよかった。

 

 

絡めあった手に力が入る。アナスタシアの白い肌から熱を感じる。

そして何より重なり合った唇が興奮を高めている。五感が気持ちいいと訴えている。

思わず意識が飛びそうなくらい気持ちいい。他の事なんてどうでも良くなってぼーっとしてしまう。

 

 

 

体感では恐ろしく長い口づけを交わしていた。すると彼女が唇を離した。

お互いに目を開ける。はぁはぁと甘い息が漏れ出す。

 

熱い、熱い。灼けてしまいそうなほど体が熱い。

 

しかしそれで終わらず再び彼女はキスをした。

 

 

続いてアナスタシアは握っていた手を片方離した。

 

そして腰から肌をゆっくりとなぞり、美波の乳房へと持っていった。

揉むような、撫でるような優しい動きで彼女を刺激する。

 

「んっ」

 

唇を密着させた状態で思わず嬌声を出してしまった。

 

またも彼女は口を離した。

キスを止めてしまうと、もっとして欲しくなってしまう。

粘膜の接触がこんなに気持ちがいいなんて夢にも思わなかった。本当に蕩けてしまう。

 

「ミナミはここも、可愛いですね」

 

「んっ!」

 

彼女は少しいたずらっぽくそう言って、美波の胸の蕾へと手を伸ばす。

決して強くはない。むしろ優しく丁寧に撫でている。

 

自分のおっぱいを、年下の少女に弄ばれる。

自分で弄った経験が無いわけではないが、他人に触られるとそれとは違う類の快楽が襲いかかる。

 

「だっ、ダメだよっ、アーニャちゃん」

 

気持ちよくておかしくなりそうだ。流石に止めようとするが身体に力が入らない。

更に彼女は頭を胸の位置まで下げた。そして弄っている乳房とは逆の方へ頭を近づけ、そして舐め始めた。

 

 

―――!?

 

 

声にならない快楽が脳を刺激する。手で優しく撫でられながら、口でも攻められる。

ダメだと思いつつも快楽に流されてしまう。続け彼女は乳首を口に含んだ。

そしてまるで赤ん坊の用に舐めたり吸ったりしている。またしても快感が体中を走る。

 

舌先で蕾を弄ぶ。転がして、撫でて、時には力強く吸って。

まるで母乳を求める赤子のように、一生懸命おっぱいを貪っている。

 

 

―――ああ、なんて可愛いんだろう

 

 

必死に自分の胸を貪る彼女を見て、不意に母性のような物も感じた。

 

彼女が愛おしくてたまらない。気がつけば自分の手は彼女の頭部を包んでいた。

 

 

蕩けた頭は未知の快楽を貪っている。もっと、もっとと求めている。もっと愛しい貴方を感じたい。もうとっくに理性なんて物はほとんど流されてしまったようだ。

 

 

 

 

 

しばらく胸に顔を埋めて満足したのかアナスタシアは再び顔を上げた。

いたずらっぽい表情。赤く染まった彼女の白い肌。

彼女も興奮しているんだと考えると何故か美波も嬉しくなった。

 

 

彼女はまたもや顔を近づけてくる。だが今度は美波の顔にではない。

 

美波の側頭部にだった。手を首に回され今までで一番接近する。

そして彼女の耳に口を近づける。ほぼ間はない。むしろ若干当たっている。

 

そしてボソッと

 

 

「気持ちいいですか、美波」

 

 

と囁いた。まるで内緒でいけないことをしているような、そんな小さな声。

その声音に今までどことなく呆けていた彼女の羞恥心のようなものが刺激された。

だがそれさえも気持ちよく感じてしまった。

 

 

しかしそれだけでは終わらない。彼女は口を近づけるだけでなく、ふっと息を掛けた。

 

「んっ」

 

声を我慢できなかった。元から耳が敏感でいじられるとくすぐったく感じるのだが

今はそれが快楽に感じられてしまう。

更に留まるところを知らず、アナスタシアは舌を出し耳を舐め始めた。

 

「んっ………あっ……ああっ」

 

「ここがミナミの気持ちいいところですか?」

 

いたずらな声を出して美波を煽る。

息だけでも感じてしまったのに舐められるとどうにかなりそうなくらい快楽が迸る

彼女の声も相まって更に興奮してしまう。

 

 

アナスタシアは耳を舐めたまま首の後に回していた手を離した。

そしてデコルテ、胸、腹部と指を這わせていく。

お湯の中でゆっくりと、だが確実に肌を蹂躙していく。

 

触れたところから幸福感を感じてしまう。

触れられると快楽とはまた違った幸せな気持ちになる。

好きな人が触ってくれている幸せだろうか。

 

 

そしてそのまま鼠径部を通り………美波の秘部に触れた。

 

「だ、だめっ。アーニャちゃん!そこはっ、んっ!」

 

初めて誰かの自分の陰部を触られた。静止しようとする声も自分の嬌声に流されてしまう。

 

 

だめ、気持ちいい。だめ、やだ、もっと、もっとっ。

 

 

頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。

頭が真っ白で何も考えられなくなる。

このままぼーっと悦楽に心を委ねたくなる。

 

 

だがそれを許す気は彼女には無いのか、それとも全くの偶然なのか。

 

彼女は続けて言の葉を紡いだ。

 

 

「ふふっ………こんなに感じて、美波は悪い子ですね」

 

 

 

昂ぶった声音。未だかつてないほどに彼女の声が脳に響く。

ほんの僅かに残った理性を揺さぶり、新田美波の肉体に染み渡る。

背中がゾクゾクとする。頭が痺れる。恥部は濡れてしまう。背徳と羞恥と快楽が渦巻く。

 

 

「ここ、とっても敏感になってますね」

 

 

そう言って、美波の女陰を弄ぶ。さすさすと撫で、くりくりと指先で弄る。

まるで焦らすような動きに、甘い声が口から溢れ出る。手で口を抑えているが全く意味をなしていない。

 

 

「美波、痛かったら言ってくださいね」

 

 

耳元でそう囁き、そしてついに、つぷっと自分の中に彼女の指が入ってきた。

刹那、声にならない快感が全身を駆け抜けた。まるで電流が流れたかのように。

 

 

―――もうだめ、本当におかしくなってしまう

 

 

追い打ちをかけるかのように彼女は耳から口を離し、再びそっと唇を重ね合わせた。

 

 

しかも先程のキスのように触れ合うだけではない。彼女は舌を出して彼女の唇をこじ開けた。

 

驚いたものの、美波にそれを抵抗する力も理性も残っていない。

 

受け入れる。舌と舌とが絡み合う。前のキスとは比べ物にならないほど情熱的。

 

互いの生暖かい粘膜が擦れ合い口からも快楽を感じてしまう。

自分と彼女の唾液が混じり合う。恐ろしく甘い媚薬だ。

あるいは甘美な毒。もっと欲しいと貪ってしまう。

 

 

びちゃびちゃ、といやらしい音が口の中で広がる。それが内側から脳に伝わる。

興奮は次第に高まっていった。自分で触ったときとは比べ物にならない。

 

 

イク、いっちゃう。みっともなく果ててしまう。

 

 

心が無意識に抑えようとする。意志と関係なく、これ以上はまずいと本能がブレーキをかけようとする。

でも、そんなものはまるで意味がなかった。

声は大きくなるばかりで我慢どころではない。

 

しかもそれを感じ取られたか、彼女がダメ押しに一度口を離し、耳元でこう紡いだ。

 

 

 

 

「いって、ミナミ」

 

 

 

 

なにもかもが、こわれてしまった。決壊してしまった。

 

もう何も抑えられない。いや、抑えなくていい。

口を抑えていた手もすでに離れて、ただ彼女の名を呼んでいる。

一度たかが外れるとどうしようもない。

 

 

気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。イッちゃう、イッちゃう、イッちゃう―――!

 

 

 

 

ひたすら快楽に喘ぎながら、新田美波は脳が灼けるような絶頂を迎えた。

 

 

 

 

 

 

はぁはぁ、と荒い息が溢れる。

最近は自分で触っていなかったから、多分一年ぶりくらいに絶頂した。

それも他の女の子の、私の恋人の手で。

 

 

アナスタシアは重ねてキスをした。今度はまた優しいものだ。

互いの愛を確かめ合うような優しいフレンチキス。溺れるような快楽とは違う優しい幸せを感じる。

 

 

ああ、全く本当にずるい。

 

 

あれだけ身体を弄っておきながらこうして幸せにさせてしまうのだから。

 

 

 

 

気がつけば長いことお風呂に入ってしまっていた。

こういうことをしていたせいか身体も熱くなっている。早く上がってしまおうか。

 

そうぼんやりと考えていたが、一つ問題があった。

 

「えっと………アーニャちゃん」

 

「ん?何ですか?ミナミ」

 

「その………もう一回………」

 

しませんか、という声は今更戻ってきた恥ずかしさの為にボソボソとしか言えなかった。

 

身体が火照ってしまって仕方がない。風呂のせいだけではないように思う。

もしかすると完全にスイッチが入ってしまったのかもしれない。

 

さっきのようにもう一度絡み合いたい。もっと愛してほしい、もっとほしい、もっと彼女に見てほしい。

そんな欲望がとめどなく溢れてきた。

 

 

それを聞いたアナスタシアは嬉しそうに微笑み、再び耳元でか細い声を出した。

 

「それじゃあ、次はクラヴァーチ………ベッドでしましょうか」

 

 

ああ、やっぱり彼女は思ってたよりもS寄りなのかもしれない

と新田美波は彼女の優しくも悪戯な声を聞いてそう思った。

 

 

その言葉を聞いてまた鼓動が早くなるのを感じながら。

 

 

 

「んっ………あっ………んんっ」

 

「ミナミ………ミナミ………」

 

ベッドの上で二人は女体を重ねながら口を重ね合った。

 

二人の上下関係と同じように美波が下で、アナスタシアがその上に乗ってマウントを取っている。

 

だが決して嫌ではなかった。

むしろ好きな人に好きなようにされる、という従属する快楽に美波は軽く酔いしれていた。

 

それに彼女は決して重くはない。

それどころか適度な重みが肌を重ねる感覚を更に鋭くしてくれる。

生まれたままの姿で、手を絡め合い抱き合うというのは想像を絶する気持ちよさだった。

 

 

 

 

風呂を上がってから軽く身体を拭いた。

その後軽く水で水分補給をした後、美波はアナスタシアに押し倒された。

もちろんベッドの上に、優しくゆっくりと。

 

 

部屋を照らすのは部屋の橙色の薄暗い光だけ。

だから明るい風呂場よりは見られる感覚は薄いが、それでも少し冷静になった頭は本能的に胸と股を隠そうとした。

 

だがそうするよる前に同じく一糸まとわぬアナスタシアが両手を握った。

いかにも恋人らしく指を絡め合う。

手をつなぎ合うと、まるで心まで繋がっているようで少し幸福感を感じる。

 

 

そして再び近づいて口づけ。

 

 

再び熱が戻ってきた。またあの快楽が味わえると思うと思わず昂ぶってしまう。

だが悟られるとまた良いように攻められそうなので隠そうとする。

 

 

一応こちらの方が年上なのだ。

さっきはされるがままだったが今回は彼女の感じる顔も見てやろう

と負けず嫌いな彼女は密かに胸に誓っていた。

 

 

だがそんな誓いも、彼女が与える快楽の前には脆い。

再び熱く舌で口腔を貪られる。またさっきみたいに感じてしまう。

互いの唾液が混ざった甘い媚薬、そして何より混ざり、溶け合う感覚自体が彼女を蕩けさせる。

 

もう何時間もそうやっていた気がする。

 

もちろん現実ではそうではないのだが、長くやっていると快楽もそうなのだが安心も感じてきた。

 

恋人と肌を合わせて、粘膜でも触れ合う心地よさ。

それは快楽だけではなく、不思議と穏やかな感情も与えてくれた。

 

ずっとこの時間が続いてほしい。この幸せな時が永遠だったら良いのに。

そんな多幸感に身を包んでいた。

 

 

そうやって味わっていると彼女が唐突に口を離した。

まるでおもちゃを取り上げられた子供のような寂しそうな表情。

それを見て、アナスタシアはまたも優しくかつ妖艶に微笑んだ。

 

「大丈夫、まだやめませんよ、ミナミ。」

 

安心させるためか美波の頭を撫でる彼女。それはまた先程までとは別のベクトルの心地よさだった。

 

 

弟を持つ姉であり、事務所の中でも年齢が上な彼女は誰かに甘える、という立場にはあまりなかった。

もちろん年上のアイドルやトレーナー、プロデューサーもいたのだが

それでも美波は誰かに甘えられる側に立つことのほうが圧倒的に多かったのである。

 

だからこそこうやって頭を撫でられて安心させられる感覚はある種未知のもので

しかし安心する奇妙で嬉しいものだった。

 

 

―――やっぱり敵わないなぁ

 

 

普段絶対何事にも負けたくない彼女でも

やっぱりアナスタシアには勝てないのかもしれない。四つも年下なのになぁ。

 

 

 

「ミナミ、少し耳塞ぎますね」

 

「えっ?」

 

「あと目も閉じてください」

 

唐突な彼女の言葉がそんな思考を中断させた。言われるがままとりあえず目を閉じる。

彼女は撫でていた手を離し、文字通り両手とも耳元にやった。そして細い指で耳を塞ぐ。

 

 

何をするつもりなのだろう、と考えていると勢い良く接吻した。

 

そして何の迷いなく美波の口へと舌を滑り込ませる。

 

そして勢い良く唾液をかき混ぜ始めた。それもかつてないほど激しく。

 

 

 

―――!!??―――!―――!!

 

 

 

 

衝撃だった。

 

声を出すことも許されず、ただ音をだすことしか出来ない。

 

 

じゅる、じゅるるるる

唾液をかき混ぜられる音が頭に響く。

 

耳を塞がれると外界の音が何も入ってこない。

それだけに口の中の音が直接脳へと向かう。

 

だから口の中を蹂躙される音が、まるで頭の中も蹂躙しているような心地になる。

 

 

じゅっ、じゅるっ、じゅるるるるる

 

 

―――!―――!

 

 

まるで脳が犯されているように

 

 

ぐちゅっ、ぐちゅぐちゅ

 

 

汚いはずなのに淫靡な音が頭を狂わせる。

 

 

 

 

溶ける。溶ける。溶けてしまう。理性も、感覚も全て。

 

 

 

 

目を閉じ、耳も塞いでいるため感覚が鋭利になる。

彼女の匂いも、味も、肌の温度も体液も感じてしまう。

 

先程までとは文字通り桁が違う。

 

全身が性感帯になったかのような感覚。

どんな媚薬や興奮剤もこれには勝てまい。

少しでも力を抜いたら気を失いそうなほどの凄まじい悦び。

 

それは少女の雌の本能を呼び覚ます、雌を堕とす淫らな音だった。

 

気がつけば美波も必死に彼女の舌を貪っていた。もう思考がまるで追いつかない。

 

否、もうそんなことどうでもいいのだ。

 

 

彼女に愛される幸せ、それ以外もう何もいらない。

足りない、足りない、もっと貴方を、貴方がほしい。

 

 

そうして二人は一心不乱に唾液をぐちゅぐちゅと混ざらせ、泡立て、互いの口内を犯しあった。

 

 

 

ひとしきりやった後、アナスタシアは耳をふさいでいた指と口をほぼ同時にゆっくりと離した。

互いの口を混じり合った最高峰の媚薬が糸を引く。

たまらなく官能的だった。新田美波は呆けた頭でそれを眺めていた。

 

 

 

 

―――もう、ダメ♡

 

 

 

 

完膚なきまでに理性が砕けた。

堕とされてしまった。

四歳も年下の少女に、底知れない快楽の海へ。

 

 

体裁なんてどうでもいい。もっと、もっと気持ちよくなりたい。

もっと愛してほしい。もっと、もっと、もっと。

 

「とっても気持ちよさそうですね、美波」

 

そう微笑むアナスタシア。

 

ひょっとすると彼女は無邪気に微笑んでいるつもりなのかもしれない。

しかし美波には妖艶な笑みを浮かべているようにしか見えなかった。

 

 

「ふふっ、自分で触っちゃうくらい良かったですか?」

 

 

再び艶めかしい笑顔で語りかける。

 

何のことだろう、と言われてから気がついた。

 

自分が無意識の間に自分の性器を弄っていたことに。

 

「お願いっ、アーニャちゃん。もっと、もっと欲しいのっ♡」

 

でももう隠すほどの羞恥心も溶けてしまっていた。

 

今の新田美波はアイドルでもお姉さんでもなく、ただ彼女からの愛と快楽を求める雌に過ぎないのだ。

 

「ダー、良いですよ。もっと攻めてあげますね」

 

アナスタシアも紅潮した表情でそれに応じた。仰向けになっていた美波をうつ伏せにした。

 

「良いですね………とっても綺麗です」

 

うなじからお尻まで全て晒していたが恥ずかしくない。

むしろ視姦されているように思えて感じてしまった。すこし濡れてしまう。

ひょっとしたら自分が思っていた以上にエッチな女の子だったのかもしれない、と美波はそう思った。

 

「んんっ」

 

背筋をすっと指でなぞる。耳だけでなく背中も敏感な彼女はまたも声を上げてしまった。

指先でゆっくりと、うなじからお尻まで線を引いていく。ゾクゾクする。たまらない。

 

 

そしてアナスタシアは背中に馬乗りになり、ゆっくりと身体を倒して密着させた。

美波程の大きさではないが美しい彼女のおっぱいが背中に当たる。乳首も当たっている。

その柔らかい感覚にますます発情してしまう。

 

「それじゃあ、いきますよ………」

 

アナスタシアは後ろにいるし、部屋は薄暗いので何をする予定なのかはわからない。

だがその何をされるかわからない不安と不自由な視界が同時に期待を高めていた。

 

 

「んっ♡」

 

 

後ろから抱きしめた彼女が美波の秘部を弄り始めた。

 

風呂場でされたときとは異なり、見えない状態だとここまで感覚が違うのかと愕然とする。

より自分の体が敏感になっている。

 

 

 

しばらく撫でると体の内側から液体が滲み出る。

本来は男根を受け入れるための愛液は、今彼女に身を委ねるためにあるのだ。

 

 

「濡れてますよ………ミナミ」

 

 

耳が弱いという事を知って気を良くしたのか、再びそっと耳元で囁いた。

慣れることも出来ず、また自分の性器が濡れているという事実にますます興奮してしまう。

気付けば思わず息を忘れそうなくらい夢中になっていた。

 

 

 

「本当にミナミは………可愛いですね」

 

 

 

恍惚とした声でそうつぶやいた後、彼女はまたも予想外の行動をした。

耳から舌を這わせ、首筋を舐め始めたのだ。

 

 

「ああっ♡」

 

 

またも嬌声が溢れ出る。

 

首は別段触られるのが苦手というわけでもないのに、彼女に舐められるとゾクゾクしてしまう。

 

「それに良い匂い………シャンプーと、ミナミの匂いです」

 

舐めるだけでなく髪に顔を押し付けて息を吸っている。

それだけの仕草なのに不思議と気持ちよく、安心してしまう。

 

 

そして再び首を舐る。

首を言いようにされると、まるで相手に自分のすべてを委ねているようなそんな気になってしまう。

 

そう、まるで自分がマウントされた犬のような、そんな感覚に陥ってしまう。

そしてそれが至上の快楽へのスパイスとなる。

 

 

「ミナミは意外と、Mなのかもしれませんね」

 

 

更に彼女の言葉攻めは止まらない。

否、彼女はそんなつもりはきっとないのだろう。

だが今は彼女の言の葉全てが媚薬として脳に浸透してしまう。

 

 

 

―――そうかもしれない

 

 

 

美波は不思議と納得していた。だって身体はこんなにも彼女を求めているから。

マウントされて、ベッドで組み伏せられて、屈服することに悦びを覚えているから。

それにもっといじめてほしいとさえ思っているのだから。

 

 

 

 

「そう……ですっ、私は、貴方のっ、メス犬ですっ♡」

 

 

 

 

 

ついに言ってしまった。

 

認めてしまった。

 

でもそう言うとまるで本当に自分がメス犬のように錯覚する。

アナスタシアというパートナーに組み伏せられるただの雌。

 

そこに身をやつす快楽のなんと大きいことか。

 

 

「ミナミ、よく言えました」

 

 

ご褒美と言わんばかりに、指と舌の動きが激しくなる。

 

撫でるだけだった秘部へは、ついに指を挿入した。

十二分に湿っていた性器は拒むどころかすんなりと受け入れた。

ゆっくりと、だが着実に自分の膣を蹂躙していく。

 

首筋もより執拗に舐めていく。

首の横から耳、うなじのあたりまで。

美波を味わい尽くすかのように、そして美波は自分のものだとマーキングするかのように舌を滑らせていく。

 

通った後は汗と唾液でいやらしく暗い光の中湿っていた。

 

「良いっ!気持ちいいっ!アーニャちゃんっ、お願い、イカせてっ、イカせてくださいっ♡」

 

メス犬らしく懇願する新田美波。もう矜持も何もない。ただ互いを求める雌が二人ベッドの上で絡み合っていた。

 

 

「イキたいですか?ミナミ」

 

 

「は、はいっ♡」

 

 

そう聞いてくる彼女。

彼女の動きは激しくなるばかり。もう絶頂を迎えるの時間の問題だった。

早くそれをもたらしてほしいとまるで盛りがついた犬のようにねだってしまった。

 

「そうですか」

 

それに笑顔で答えるアナスタシア。必ず美波の要望に答えるのかと思った。

 

 

「でもぉ」

 

 

しかし彼女はいたずらっぽい声を出した。

 

 

「ニェット、まだイッちゃダメです」

 

 

そう言って攻めるのを止めてしまった。股からは手を離し、首からも顔を遠ざけた。

 

「ど、どうして………?」

 

 

美波は呆然と彼女の顔を見た。

 

さっきまであんなに激しかったのに、突然止められてしまって寸止め状態だ。

身体は火照っているのにこれ以上してくれないなんて切なくて死にそうになる。

思わず、もしかして放置プレイとか………?と邪推してしまった。

 

 

だが彼女は美波が思ってしまったほど意地悪というわけではなかった。

 

アナスタシアは美波の身体を再び仰向けに治すと、ゆっくりとキスをした。

最初のように優しく、触れ合うようなものだ。そしてすぐに口を離す。

 

「イくときは、ミナミの顔を見ながらがいいです」

 

「アーニャちゃん………」

 

じっと顔を見合わせてそう言うアナスタシア。

そうだ、思わず攻め方が積極的で失念していたが、彼女はまだ十五歳の少女なのだ。

そういう風にしたいのも当然かもしれない。

 

 

「そうだね、一緒にイこう、アーニャちゃん」

 

 

 

改めて正常位の形で密着する。全身の肌から相手の熱が伝わってきて心地良い。

またも口づけ。もはや何の躊躇もなく舌を絡め合う。

更に乳首が擦れあって敏感な胸が快楽を発している。

 

彼女は指で身体をなぞり、再び美波の女性器へと触れた。

既に濡れた秘部は何の抵抗もなく彼女の指を招き入れた。

 

「んっ………♡」

 

自分の中に別の何かが入ってくる感覚。決して不快でも激しくもない、優しい手つき。

それが愛する人だと、気持ち良いだけでなくこの上なく幸せにさえ感じる。

 

 

接吻で頭を蕩けさせながらも、じわじわと全身に広がる優しい快楽を受け入れていく。

徐々に気分が高揚していく。

今までの激しいのも良かったが、こういう穏やかな気持ちになれるのも心地よくて好きだ。

 

 

美波はふと思い立って手を動かした。密着した身体の隙間から彼女の股の部分、女性器へと。

そして自分がされたように優しく秘部を撫でた。

 

「んっ、ミナミっ!?ら、らめですっ、んっ♡」

 

「ふふっ、アーニャちゃんのここもすごく濡れてるよ?」

 

今までずっとアナスタシアにしてもらってばかりだった。

だから彼女も自分の手で気持ちよくしてあげたかった。どうやら効果は想像以上だったようだ。

さっきまでぐいぐいと攻めるばかりだった彼女が忽ち喘ぎ始めた。

 

 

 

「だめっ、ずっと我慢してました。アーニャが美波を気持ちよくするってっ」

 

感じながらもそんなことを言うアナスタシア。

 

 

ひょっとしたら、と美波は思う。

 

彼女は何か使命感のようなものをもっていたのかもしれない。自分が美波をリードしないといけないという。

 

 

「大丈夫っ、アーニャちゃんもっ、気持ちよくなって良いんだよ」

 

甘い吐息を漏らしながらそんなことはないと否定する。

美波だって一緒に気持ちよくなりたい。どちらが与えるとかではなく一緒に同じだけ同じように。

 

「ミナミ………スパシーバ。んっ」

 

どうやら彼女も受け入れたようで、美波の指で短く喘いだ。そして美波の指を同じく受け入れた。

 

 

「あっ……ミナミの指が、あんっ、あっ、気持ちいいです♡」

 

「うんっ私も気持ちいいよっ、アーニャちゃん♡」

 

 

お互いがお互いの指で互いの膣内を弄んでいく。

キスで唾液が、肌で汗が、秘部で愛液が混ざり合う。

二人が一つにつながっている。身体でも、心でも。こんなに幸せなことはなかった。

 

 

「ミナミっ、アーニャ、イッちゃいます♡」

 

 

「うん、一緒にっ、イこうっ、アーニャちゃん♡」

 

 

快楽がどんどん大きくなっていく。

それはもうただの悦楽ではなかった。深い情念も混じり合った、確かな愛。

それがゆっくりと着実に広がっていく。

 

 

「愛してるっ、アーニャちゃん!アーニャちゃん!」

 

 

「んっ、ミナミっ♡ヤ チェビャー リュブリュー、愛してます!」

 

 

強い快楽の波が押し寄せる。互いの指が互いを慰め合う。

 

 

そうしてお互いの名を呼び合って、二人は共に絶頂を迎えた―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、なんでアーニャちゃんってあんなに………こういうこと上手なの?」

 

美波は頬を赤らめながらも同じベッドの上でアナスタシアに聞いてみた。

 

 

 

 

二人はあの後結局まだ満足できず三回戦ほど繰り返した。

いずれも激しく、また情熱的なものであった。

 

その後流石に疲れてしまい服も着ずに裸のまま布団をかぶっておしゃべり、いわゆるピロートークを行っていた。

 

 

はっきり言って彼女は十五歳にしてはあまりにも上手すぎた。

いくら経験がないとはいえ十九歳の新田美波は翻弄されっぱなしだったのだ。

それに思い出すだけで恥ずかしいが自分もそれに乗せられて、いじめられたいとさえ思ってしまったのだ。

というか元からそんな気はしていたが彼女はやっぱりS寄りだと思う。

 

とにかくあんなに上手いのはさぞ経験豊富なのかと聞きたいところだ。

ただもし実際経験が多いと言われると………その………。

 

 

ふふっ、どうしました美波?ヤキモチですか?

 

 

といういたずらな微笑み混じりの返答が今にも聞こえてきそうだった。

そんなことない、と否定する用意は一応あった。

 

 

 

 

だが彼女の返答は予想外のものだった。

 

 

彼女は顔を真っ赤にして毛布で顔を半分隠してしまった。

そして普段の様子とは真逆の弱々しい態度で答えた。

 

「その………美波とこういうことしたくて、本とかインターネットとかでお勉強してました………」

 

「じゃあこういうことの経験は?」

 

 

「ま、まったくない、です………」

 

 

正直予想外に可愛い返答だっので思わず彼女の頭を撫でてしまった。

すると彼女は少しだけ嬉しそうに頬を綻ばせた。

 

 

「美波は、エッチしたがる娘は嫌いですか………?」

 

 

しかし少し不安そうに尋ねてきた。それに答えるべく、彼女の頭に手を回し近寄せる。

そしてゆっくりと自分の裸の胸に押し当てた。

「もう、そんなわけないでしょ?私はどんなアーニャちゃんも愛してるんだから。それにとっても気持ちよかったよ」

「ミナミ………スパシーバ」

最後に少しだけお姉さんらしいことが出来たかな、と嬉しくなった。

 

 

 

 

「ねぇ、アーニャちゃん。私最初貴方から付き合ってほしいって言われた時、すぐに諦めるだろうって思ってた。半ば冗談みたいで付き合おうって言っちゃったんだ。付き合っても特に何も変わらないだろうとも思ってた」

 

気付けば美波は内心を吐露し始めていた。

 

 

そう、最初は本当に好きな人が出来るまでのその場しのぎ、みたいな面が確かにあった。

彼女が好きじゃなかったとまでは言わないがあくまで友人としてであって、決して心から愛しているとは言えなかった。

 

 

 

「でも貴方はそんな私を心から愛してくれて、本当に嬉しかった」

でもそれは誤りだった。

彼女は本気で新田美波という個人を愛してくれた。

それは今まで恋人がいなかった美波にとっては本当に楽しい時間だった。

 

 

 

「本当にありがとう、アーニャちゃん。あのね、アーニャちゃん。私………」

ここまで話してから初めて彼女から反応がないことに気づいた。

 

アナスタシアはまるで赤ん坊のように、自分の胸元ですやすやと寝息を立てている。

その寝顔はまだまだ十五歳の子供だなぁと感じられる可愛らしいものだった。

 

寝ている相手にこれ以上言っても仕方ない。

明日もラブライカでの仕事がある。早く自分も寝てしまおう。でもその前に。

 

 

 

 

彼女の寝ているところまで顔を下げる。

じっと彼女の綺麗な顔を見つめる。

本当にお人形さん、芸術品のように美しいなぁと思う。

 

 

 

そしてこんな娘から好かれている自分は幸せ者だなとも。

 

 

 

自然に、ゆっくりと顔を近づける。なるべく起こさないように。彼女の息が感じられるまで近づける。そして

 

 

 

ちゅっ、と唇を重ね合わせた。

 

 

 

永遠のような一瞬の時間。その時間触れ合ってまた離れた。

 

初めて自分からキスが出来た。ずっとされっぱなしだったからちょっと嬉しかった。

どうやら目覚めてはいないようだ。

安堵してから、最後に彼女に言葉をかけた。今までで一番穏やかに、そして愛を込めて。

 

 

 

 

 

 

 

「アナスタシア。私、貴方のこと愛してる」

 

 

 

 

 

 

 

言葉をかけ、枕の位置へ頭を戻した。

もうやることはなくなった。

そして穏やかに睡魔へと意識を手放していく。

 

 

 

この夜の思い出を抱いて、そして明日からまた、そして二人で永遠に一緒にいるために。

 

 

 

 

「おやすみなさい。アーニャちゃん」

 

 

 




皆様はじめまして。アナスタシアを担当しておりますミハイルと申します。
この度はSSをご閲覧頂きまして誠にありがとうございます。
ここまで読んでくださっただけで本当にうれしいです。

今回は何となくラブライカのR-18SSが書きたいと思い付きこのような形で投稿させていただきました。まだ新人プロデューサーですのでキャラがおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で見ていだければ幸いです。
もしくは指摘等あれば直ちに修正する所存ですので気軽にお願いします。

またR-18と言っても、まだ私が高校三年生でまだ十八歳になったばかりという身の上ですので拙い部分も多々ありますが、それでも楽しんで頂けましたなら幸いです。

R-18ということもありまして、かなり自分の性癖を詰め込んだ作品となっております。アナスタシアは攻め、美波は受け、というイメージで書いております。良いですよね百合。年の差ということもありこのカプ本当に大好きです。グイグイ攻めるアナスタシアが新田美波を翻弄する話、たまらん。

私事ですが先日のデレマスバレンタインでも二人、それに神崎蘭子がチョコを渡しに来てくれて不思議な縁を感じております。それにしてもあれどういうシステムなんですかね。

さて話はつきませんが書き終わった深夜に後書きを書いていてへとへとですのでそろそろ失礼します。
また気が向けばR-18で無いかもしれませんが別のカプや、同じラブライカで別のネタを書くかもしれませんのでご期待ください。
それではまたお会いしましょう!

PS
今のところ2/14にラブライカのバレンタインネタを軽くですが投稿する予定です。そちらもご覧頂ければ嬉しいです
Twitterやってます。よろしければ是非→@sovietanastasia

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