真面目に書いた初めての小説です。
ああ、この感覚はなんなんだろうか。
まるでアダムとイヴが初めて知恵の実を食したような甘美で背神的な禁忌を犯してしまったかのようだ。
あそこにいる女
こんな風に人間家具を作ったのは果たして何人目の彼女だったか、もう覚えていないほど多く作り変えてきたが、安心してほしい。彼女たちとの記憶は僕がいつまでも覚えているだろうし、たとえ記憶喪失になったとしても(
こう冷静に描写してみると私は非情な頭の狂った人間なのかと普通の人は思うかもしれない。こんなことできるのは血も涙もない狂人だと。私だってそう思う。いや、そう思ってたのかもしれない。もう正常な判断ができなくなっていたかもな。
なぜなら私には愛情だけあればいいのだから。
私は笹ヶ峰。ごく普通の家庭に生まれごく普通の生活をして偏差値として53くらいの可もなく不可もない大学に入学し、そこでゆるい音楽系サークルに入っていた。そこでの毎日はとても楽しいものだった。仲間たちは皆良い人でそこまで上手くはなかったが、年に一度の定期演奏会やライブハウス等での演奏会など各々の本番に向けて日々努力していた。もちろん自分も勉強やアルバイトと両立させながら日々充実した毎日を送っていた。たくさんの友人ができ、数人はお互い色々なことを腹を割って話せる親友になっていた。そして私はなけなしの勇気を出して同じサクソフォーンを吹いていた天吹愁子に告白し、恋仲になっていた。初めての恋だった。3ヶ月くらい付き合ってクリスマスには一人暮らしをしていた自分の家に泊め、初夜を過ごした。彼女は美乳で揉み心地も良く中の具合も最高だった。お互い愛し合い。その翌日の朝は彼女が味噌汁を作ってくれた。私は多分幸せだったのだろう。あの日までは。
「私、もうすぐ死んでしまうみたいなの。」
彼女からそう言われた時、頭が真っ白になった。絶句していると彼女はこう続けた。
「癌らしくてね。医者も匙を投げるくらいの進行度らしいの。だから、ごめんね。」
私は何を言ったのか覚えてはいないが、それから彼女が死ぬまでなるべくともにいようとした。自分で彼女の癌が治る方法を模索しようと考えはしたが、私のような凡人には知れるはずもないし、そんなことで彼女と過ごす時間が減るのは嫌だったからだ。
それから3ヶ月後、大学で講義を受けている最中、彼女の親から彼女が危篤だという連絡が来た。急いで病院へと向かった。病室に駆け込んだ際に彼女が見せたあの笑顔が今でも頭から離れない。
彼女の死から数日間の記憶がない。私は気付くと古本屋にいた。何か握っている感触がある。よく見てみるとそれは一冊の本であった。全く見覚えのない本だったが、妙に気になって家に帰って読んでみた。それは
ゆえに私は
彼らとの対話で彼らは私が求めるレベルの技術、つまり完全に愁子をその魂から健康な体で蘇らせることは流石にできないと言われたが、もし私が彼らの研究に貢献するのならその研究をしてやっても良いといわれた。私はこの地球の科学者や医者、魔術師といった存在に頼むよりもずっと可能性があると思ったので、喜んで協力体制をとることにした。
彼らはまず私に多くの大人の女性の脳を素材として提供するよう求めた。私はそのようなことをすれば多くの人が行方不明になるのだから必ず不審がるものが出てしまうといったが、彼らのスマートな提案があり、私はそれならば、とその案を受け入れた。それは彼女らを彼らが作ったホムンクルスと入れ替えるというものだった。記憶は取り出した脳から情報を読み取り、こちらの都合の良いように改竄し、それをAIに学習させてホムンクルスに同期させることで彼女たちは殺された後も彼女自身として何事もなく生活してもらうのだという。つまり死体さえどうにかすれば完全犯罪が成立するというわけだ。
そこで私は死体の処理方法として彼女たちを家具に置き換えるつまり人間家具を作ることにしたのだ。理由はよく覚えていないが、私一人のエゴで犠牲になる彼女たちに少なからず罪悪感を抱いていたので、忘れないようにと考えたせいかもしれない。今ではその家具は私が愛した彼女たちの
一般人から見れば狂気の家であっただろう我が家が今まで怪しまれない理由も彼らの技術力にある。彼らの認識阻害の結界のおかげで私以外の人間には完全防音の部屋以外私の作った人間家具が普通の家具に、私が普段飲んでいる彼女たちの血液がトマトジュースに、私がいつも食べている彼女たちの肉が普通の豚肉や牛肉などに認識されている。もちろんこの家も彼女たちの体や血肉でできていたりするのだが、端から見ればただの一軒家にしか見えないだろう。ここら辺はただのアリバイ作りなのであり、私の目的とはあまり関係がないのだが、いつかこの家で愁子とともに暮らしたいな、と考えていたりする。念願のマイホーム生活だ。想像するだけでワクワクする。だけど彼女からすれば浮気相手に囲まれて過ごすのだからちょっと不快に感じるのかもしれないな。もしそう言ってきたならしょうがないか、この家は燃やして新しい家をどこか買って二人で暮らそう。私は一途だからね。愁子以外一線を超えたことはないよ。偉いだろう?
作業をしているとぐぅ〜と腹がなったので冷蔵庫(肉屋の小枝さん)から肉を取り出して生姜焼きにして夕飯を済ませた。さすがに冷蔵庫の役割を担わせるために氷室形式にしたため、維持費が多くかかるが仕方がない。金なら多くの死体が手に入る関係上、臓器売買などで解決している。こういうことももう慣れた。
さて、少し喉が渇いてきたな。新鮮な
「おやすみ、愁子。愛しているよ。」
彼の末路とこの光景を見た彼女がどのような選択をするかはご想像にお任せします。
Nyarlathotep「やっぱり人間は面白いなぁ。あいつらを差し向けた甲斐があったよ。」