さやか「おはよう、まどか」 まどか「私何でベットに拘束されてるの?」 作:阿沙川 楓
原作:魔法少女まどか☆マギカ
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~プロローグ~
「おはようまどか。よく眠れた?」
聞き慣れたような声で目が覚めた。半ば寝ぼけた様子で周囲を見渡す。が、周囲には誰もいない。ぼんやりとした意識が覚醒し始めたのでそろそろ起きようかと目覚まし時計に手を伸ばしたその時、自分の手と足に違和感を感じた。
まどか「あれ?何で私の手足がベットに固定されてるの?」
おかしい。昨日の夜は自室でいつものようにベットに入って寝たはず。何で手足が錠前付きの鎖でベットにに繋がれているのか。
とりあえず外れないものかと引っ張ってみる。しかし鎖はその見た目通りの拘束力を存分に発揮しており、どんなに引っ張っても外れる気配はない。
誰か呼ぼう、今日は休日だしママもパパもタツヤもいるだろう、と思い当たったところで誰かが階段をゆっくり上って来る音に気づく。誰がこんなイタズラをしたのかはわからないけど、こんなことするのは家の中だからママくらいしかいないだろうと思いつき、さすがにずっと拘束しておくわけではないだろうし、ほどきに来たんだと納得する。いくらなんでもここまでのいたずらは初めてだ。やりすぎだと叱っておくべきだろう。やっぱり会社でのストレスなのかな。
階段を上ってきた足音は案の定部屋の前で止まり、そのドアがゆっくりと開き始める。しかしドアが頭1個分ほど空いた時、見えたその頭は母の髪ではなかった。父やタツヤとも違う、きれいな水色のショートカットだった。
まどか「さやかちゃん!?なんでここに?」
自分がまだ寝間着だったことに気付き、恥ずかしさでとっさに隠そうとするが、もちろん手足の自由は利かないのですぐにあきらめ元の体勢に戻る。
さやか「おはよう、まどか。よく眠れた?」
まどか「え?まあ寝起きは悪くないけど・・・。とりあえずこれ外してくれない?動けないの。」
さやか「ちょっと待っててね。」
そういうとさやかちゃんはまた下に降りていった。拘束が解けることに安堵しつつも、何か不自然なことに気づく。
まどか「私をみてすぐに拘束されていることに気づいて、下に降りていったってことはさやかちゃんが犯人なのかな。驚きもしなかったしね。でもなんでこんなイタズラをしたんだろう。こんなに朝早くから。今日って何かあったっけ?」
思い返してみても特別予定ははない。そのうえさやかちゃんの態度もいつも見るものと違っておとなしいというか、淡々としているといったような感じだった。そんな疑問はあったがさやかちゃんだし大丈夫だろう、私の考えすぎだよねと結論付け、おとなしく待つことにした。
だが待ってもなかなか来ない。下で時々足音や生活音のような音はするのに、さやかちゃんが戻って来る気配がない。段々不安になってくる。
それから30分くらいたっただろうか。再び階段を上って来る音が聞こえ、安心と遅すぎだというちょっとした怒りと共にドアに顔を向ける。そしてドアが開いて・・・顔を出したさやかちゃんの手にはお盆にのった朝ごはんのようなものがあった。
さやか「まどか、おまたせー!」
元気よく飛び出し、机の上にお盆を置き、”朝ごはん”を広げ始める。
まどか「さやかちゃん、何してるの?鍵は?」
さやか「まあまあそう慌てなさんな」
そういうとさやかちゃんは手足の拘束具の紐の長さを調整してくれた。これでとりあえず起き上がることは出来た。少し動けるようにはなったが、ベットから離れられるほど長くはならなかった。
さやか「はい、あ~ん」
まどか「え?ちょっと待っ・・はぐっ!」
そこには箸に挟まれたウインナーが顔の前にあった。半ば強引に口に入れようとするので仕方なく食べる。さやかちゃんの態度といい、この状況のおかしさといいわけがわからない。混乱してきた。彼女に事情を聞きたいが、次から次へと朝ごはんの料理を差し出してくるので、聞く暇がない。
まどか「さやかちゃんちょっと待って!まずこの拘束を解いて!」
さやか「はいはい、これ食べ終わってからね~。」
あまりにも自然な笑顔を見せられ、拒否された。口を閉ざしてこれ以上抗議してもどうしようもなさそうなのでここはさやかちゃんに従うことにする。トマト、卵焼き、パンと順に口に運ばれていく。さやかちゃんは丁寧に小口サイズにしてくれたため、比較的マイペースで食べることができた。人に食べさせてもらうという経験は、寝ている体勢というのもあって、もちろんなれないものだったが、15分ほどかけてようやく食べ終えた。
まどか「ごちそうさまー。」
さやか「お粗末様でーす。」
まどか「これいつもとメニューが違うけどさやかちゃんが作ったの?」
さやか「うん!そうなんだ!おいしかった?」
まどか「そりゃおいしかったよー」
さやか「そいつはよかったぜ!」
食べ終わって一息着こうとしたところで、気がついた。友達にご飯を食べさせてもらうというプレイをしていたせいか、自分が拘束されているというのを忘れそうになっていた。いつもなら自分はこんなに抜けていないと思ってたけど、案外抜けていることがあるのかもしれない。そろそろ事情を聞いて、解いてもらわないと。
まどか「ところでそろそろこの拘束を解いてほしいんだけど・・・。というかこれしたのさやかちゃんなの?」
さやか「うん、ちょっと驚かそうと思ってね~。」
まどか「さやかちゃんさすがにやりすぎ!友達にしてもこんなドッキリは限度あるよ!いいから鍵開けて!」
さやか「そうだよね。友達にしてはやりすぎだったよね。ごめん!」
さやか「あと鍵のことなんだけどさぁ・・・無くしちゃったんだよね。」
まどか「えー!?」
さやか「まどかをベットに固定したのって朝になってからだし、それまではあったはずなんだ。さっき部屋からでて下に行ってから探したんだけど、見つからなくてね。待たせるのもなんだから、とりあえず朝ごはんを作ることにしたんだ。ほんとごめん!」
まどか「それで遅かったんだ、さやかちゃん。」
さやか「うん、そうなんだ。」
少し焦ったような、戸惑った表情でそう答えた。
さやか「それでさ、その・・もう少しこのままでもいいかな。」
まどか「え?」
さやか「ほら、鍵も見つからないし。探しにいってたらまどか一人で何もできないから暇でしょ?」
まどか「確かに暇かもしれないけど・・・。」
さやか「もちろん探しもするけど、しばらくここで一緒にいてもいい・・?」
心なしかさやかが鍵を探しに行くことに積極的でない、そんな気がする。さっきまであったけど気づいたらなくなっていたという物を探すのは、自分だって憂鬱になる。小さな家で探索範囲が狭いにも関わらず、何十分も探して見つからなかったらなおさらだろう。何よりこの前の件のこともある。元気になったとはいえ、彼女は完全には吹っ切れていないのかもしれない。彼女の要望に応えてあげよう。
まどか「わかった。いいよ。」
~~~~
さやかは焦っていた。鍵をなくしたというのは嘘だ。今もポケットの中にちゃんとある。鍵をなくしたと嘘をいってしまったのは少し罪悪感がある。それでもこの作戦を確実に成功させるにはこうしなければならなかった。まどかが私を受け入れてくれる確証があれば拘束なんてする必要はなかった。
だから鍵を探さず、このままの状態でしばらく彼女といることにした。もちろんずっとというわけではない。昼御飯を食べる(食べさせる)までだ。そのあと今度こそ想いを伝える。彼女が逃げられない状況でわざわざやるなんて何て卑怯なんだろうと自分でも思う。それだけ彼女に対する想いは強く、失敗することは出来なかった。
こんなにも彼女に想いを寄せるようになったのはきっと、彼の、恭介のせいだと思う。彼のことはずっと好きだったが、想いを伝える前に彼はいなくなってしまった。
話は少し前に遡る。
~さやかサイド(約三週間前~)~
恭介が亡くなってから一週間が経った。バイオリンを弾けないことを知った彼は、お見舞いに行った日の翌日に病院の窓から飛び降りて自殺した。その日に喧嘩別れしたこともあり、さやかの心には大きな傷が残った。
迷っていた。魔法少女になることと代償に恭介の手を直すことはできるが、魔法少女になればマミさんのような最期をたどることになるかもしれない。明日中には決めようと眠って、起きた次の朝には恭介はもういなかった。
その報せを聞いたときは、目の前が真っ暗になった。なんですぐ決められなかったんだろうかと何度も後悔した。だがその後すぐにその後悔をなくす方法を思いついた。
さやか「そうだ、魔法少女の祈りで生き返らせればいいじゃん。そうすれば全部なかったことに出来る・・!」
その時は分かっていなかった。人を生き返らせることがどういう意味を持つのかを。
QB「その願いは君にとって、魂を差し出すに足る物かい?」
QBは問う。
無くしてから気づいた。もっと早く気づくべきだった。恭介の夢を叶えるためなら、後悔はしない。もう迷わない。そう、意を決して応える。
さやか「うん、お願」「ちょっと待って!!」
突然大きな声に遮られた。
まどか「ちょっと待って、さやかちゃん。」
そこにいたのはまどかと・・・その隣には暁美ほむらがいた。走って来たのだろうか、息が切れている。
さやか「まどか・・・・。暁美ほむらは何の用?」
ほむら「あなたは一つ大きな勘違いをしている。」
さやか「は?なんのことよ!」
こいつはいつも私の邪魔をしてくる。初めて会ったときはQBを攻撃していたし、マミさんを助けずグリーフシードだけ奪っていった。信用してはいけない。
ほむら「人間は生き返らない、例え奇跡でも。ちゃんと説明してあげなさい、インキュベーター。」
QB「正確にはそうだね。でもそんなことは君たちにとってそれほど重要なことかい?」
ほむら「重要なことよ」
人間は、恭介は生き返らない・・・?どういう意味なのか。
さやか「どういうこと?」
QB「そのままの意味さ。生き返らせると行っても死んだ体と魂を元通りにするのではなく、上条恭介の情報を基に新たな生命体を作るんだ。見た目も中身も生前そのままに再現できるよ。見かけ上はただの人間さ。」
ほむら「要するに生き返ったとしてもそれは上條恭介ではない。ただの上條恭介のコピー。」
さやか「そんなことたいした問題じゃない!」
ほむら「本当にそう思うの?記憶や経験なんかの情報を引き継いだ人間が作れるということは、それらの情報に干渉して改変することもできる。例えば、自分に好意を持たせることも出来るし、何なら奴隷にだってすることができる。」
さやか「私はそんなことしない!」
ほむら「ああ、指も直してあげないとね。また自殺されるのは嫌でしょう?」
さやか「っ!」
肝心なことを忘れていた。指を治さない限り、恭介はきっと生き返らせたとしても幸せにはならない。2人が来てなかったらまた不幸を繰り返すことになっていたのかもしれない。
さやか「たとえ生き返ったのが恭介のコピーでもそれでいい!恭介が助かるなら!また会えるなら!」
ほむら「まだ分からないの?あなたのその願いはただのあなたのエゴなのよ。作られた上条恭介がこの事実を知ればあなたに感謝すると思う?今まで通りの関係を続けられるの?」
さやか「違う!私は・・・!」
ほむら「違わない。あなたのやろうとしていたことは、私のやったことと私のやっていることと大して変わらない。自分のために魔法を使おうとした。あなたは自分の後悔を消したかっただけ。あなたのやろうとしていたことは、死者への冒涜。誰も救われない。」
何も言い返せなかった。暁美ほむらの言ったことは確かに間違っていない。自分の後悔をなくすために、恭介を生き返らせて魔法少女になっても、マミさんのような正義のためとか人のために活動する魔法少女には本当の意味ではきっとなれない。1人の少年を自分のためだけに利用したのだから。そんな魔法少女にはなっても意味がない。
それに恭介が本当にそんなことを望むだろうか。人の人生を犠牲にしてまで、自分が人生をやり直していると知ればきっと悲しむ。恭介に会わせる顔がない。
全てを悟って、私は泣き崩れた。
まどか「さやかちゃん・・・!」
その肩を駆け寄ってきたまどかは受け止めてくれた。ぎゅっと引き寄せ抱き締められた。
まどか「大丈夫だよ、さやかちゃん。」
泣いた。ひたすら泣いた。胸に残ったのは忘れることのない後悔と悲しみ。まどかに体を預け泣き続けた。
~まどかサイド(約三週間前)~
その日の朝は、窓をノックする音で目覚めた。休日だったこともあって好きなだけ寝ようと思い、目覚ましもかけず遅い時間に起きる予定だった。
ほむら「まどか!開けて!まどか!」
声が聞こえカーテンを開けるとそこにはほむらちゃんがいた。家を教えた覚えはないのになぜかそこに居て、しかも窓から現れた。その姿は既に何度か見た、魔法少女に変身した姿だった。
まどか「ほむらちゃん・・・?何でここに?」
ほむら「時間がない。美樹さやかが危ない。早く来て!」
まどか「さやかちゃんに何かあったの?」
ほむら「ごめんなさい、説明する時間がないの。行く途中で説明するから。」
ほむらちゃんのその必死さは初めて見るものだった。とても彼女が嘘を言っているようには見えなかった。
まどか「わかった。ちょっと待ってて。」
すぐに着替え、忘れずに家族にいってきますを言う。どうやらママもパパもみんな寝ていたらしい。朝早くだったので仕方ない。タツヤだけは出ようとしたときに足音で起きたらしく、頭を撫でてからちょっと出掛けるねと言うと元気よく返事をしてくれた。
家を出ると、そこには魔法少女ではなくいつもの制服姿に戻ったほむらちゃんがいた。
ほむら「あなたを背負って走っていくこともできるけど、それだと目立つ。急いでいてもその方法はとれない。走りましょう。」
まどか「うん、わかったよ。」
ここからさやかちゃんの家までは歩いて15分ほど。走れば5分か10分で着く。
走りながらであったが、ほむらちゃんは簡潔に説明をしてくれたので大体の事情は理解できた。上条くんが窓から落ちて死んだこと、さやかちゃんは上条くんを魔法少女の祈りで生き返らせるかもしれないこと、そうなった場合さやかちゃんは間違いなく破滅の道を進むだろうということ。そして自分だけでは話を聞いてもらえず説得できないだろうから、さやかちゃんの親友である私を呼んだということ。
ほむらちゃんが上条くんの死を知ったのも今朝のことらしい。その後すぐにこの可能性に気づき、私のところまで来たのだという。どういう経緯で知ったのか聞こうとしたところ、公園のベンチでQBと話すさやかを発見し聞けずじまいになってしまった。
ほむらちゃんはすぐに状況を理解できたのか、さやかちゃんを説得し始めた。さやかちゃんはひどい顔つきで少し喧嘩腰ではあったが、最終的には分かってくれた。上条くんを生き返らせることがどういうことかやっと悟ったとき彼女は泣き崩れた。すぐに駆け寄って抱きしめ、大丈夫だよ、大丈夫だよと彼女が泣き止むまで諭し続けた。
~ほむらサイド (約一ヶ月前)~
なぜ今まで気づかなかったのか。もっと早く試してみるべきだった。私はずっとまどかを魔法少女にしないようにするため、まどかしか見てなかった。それがいけなかった。
まどかを魔法少女にしようとする要因は
①魔法少女の力or魔法少女になる代償に叶えられる奇跡が必要な状況になり、そこにQBが現れる
②まどか自身の魔法少女に対する憧れ
③ワルプルギスの夜に私たちが敗北し、まどかが魔法少女にならざるを得ない状況になる
の3つだけだと思っていた。
でも要因はもう一つあった。
美樹さやか。
彼女が魔法少女になることでまどかは確実に魔女や魔法少女と接触する機会が増えた。魔法少女ではないにも関わらず美樹さやかの親友として、一緒に結界に入ったり、杏子との争いの場に居合わせたりしていた。
そこで一つの答えにたどり着いた。
”美樹さやかを魔法少女にさせない”こと。
彼女が魔法少女にさえならなければ巴マミ死亡後、彼女たちと魔女・魔法少女との繋がりはかなり薄くなる。QBの干渉は避けられないが、美樹さやかが魔法少女にならなければ魔女になることもなく、巴マミが死んだことによりやってきた佐倉杏子とワルプルギスの夜戦で共同戦線を張ることができる。2人なら、長年魔法少女としてやってきた佐倉杏子となら倒せるかもしれない。
そもそもQBや、巴マミと接触をなくしてしまえばいいのではと思ったが、それは今までさんざん試して失敗している。まどかが魔法少女の存在を知ることは避けられない。それを踏まえて、現状美樹さやかを魔法少女にしない方法はいくつかあった。
①まどかと同じように魔法少女にならないよう、説得、誘導する
②美樹さやかの願いそのものを無くす
③美樹さやかの殺害
①はずっとやってきたが、全て失敗している。②は要するに上条恭介の指が動くようになればいいということだが、それを実現するには魔法少女の祈りを使うしかないので難しい。③はできればやりたくない。まどかが悲しむし、何より私がまどかに顔向けできなくなる。私と出会う前からまどかの友達だった彼女に手をかけたくなかった。それに彼女には魔法少女の才能がある。無くすのは惜しい。魔法少女にならないとしても手元に置いておきたかった。
結局美樹さやかを魔法少女になるのを防ぐのは無理じゃないかと諦めかけたその時思いついたシナリオが今回のことだった。
上条恭介を殺す。
具体的には病院の窓から突き落とし、自殺に見せかける。そうすれば美樹さやかの「上条恭介の指を直す」という願いは叶えられなくなる。もちろんそれで終わりではなく、美樹さやかなら今度は願いの内容を「上条恭介を生き返らせる」に変えるかもしれない。しかしそうなってしまえば説得できる自信がある。
今回の時間軸では、巴マミを死なせてしまった。だからこそ彼女を最大限活かす。
美樹さやかは自分勝手な魔法少女にはなれない。巴マミに憧れ、尊敬する彼女なら。魔法少女になることを代償に叶えられる願いは、自分のためだけのものにはならないし、その後の魔法少女活動も人のために尽くす。巴マミが死んでから美樹さやかが魔法少女になった時間軸では全てそうだった。私や佐倉杏子のように割りきるには時間がかかる。
それを利用する。上条恭介を生き返らせる具体的方法、生き返った後のこと、そして彼女の正義感に漬け込み、人を生き返らせる願いが自分のためだけの願いでありエゴであることを納得させる。これで上手くいく。
説得にはまどかも連れていき、説得力を少しでも高める。説得が成功すれば、まどかには「魔女は私たちが倒すからあなたには美樹さやかを任せる」とでも言って2人を魔女から遠ざける。
これでいい。私は悪役に徹する。まどかを救うためなら手段は選ばない。たとえ彼女を裏切ることになっても。
上条恭介の部屋には盗聴機と監視カメラを設置、前回の時間軸の情報を基に監視し、ちょうど半ば喧嘩別れした日の夜に彼を突き落とした。それが功を奏し、美樹さやかが上条恭介の自殺が自分のせいではないかと勘違いさせることもできたせいもあり、成功した。
これでワルプルギスの夜さえ倒せば、やっとまどかを救える。今度こそこのループを終わらせてみせる。
~さやかサイド (約二週間前)~
その日から私は外に出ず家に引きこもるようになった。もちろんずっとこのままというわけにはいかないのでいずれ学校に復帰はするが、今は学校に行きたくない。何も考えたくはなかった。
あの日からまどかは毎日家に来るようになった。平日は学校が終わってから、休日は朝から一日いることもあった。食事、洗濯、家事、彼女は何でもしてくれた。時々悲しくなって泣いてしまったときは、彼女は私が落ち着くまでずっとそばにいてくれた。
そんな日々が8日ほど続いた。
自暴自棄になって自分も死のうかとまで考えたこともあったが、次第に落ち着き普通に生活できる程度には回復した。休んでいた学校にも復帰した。
いつまでも彼がいなくなったことを悔やんでいても仕方がない。前を向かないと。
そうして私は彼がいなくなる前の以前の生活に戻りつつあった。が、完全には戻らなかった。仲の良かった幼馴染み(兼好きな人)を無くす痛みというのは、私にとってトラウマになった。それ故に自宅に帰り1人になると極端にその恐怖感に捕らわれる。
私の場合その対象は”まどか”だった。
彼女は私が立ち直れなかった時間ずっとそばにいて、支えてくれた。しかし学校に戻り始めると当然彼女が自宅に来ることはなくなった。度々まどかと遊びに行くことはあってもあの頃のように、家に来ることが当たり前という感じではなくなっていた。
朝彼女に会うと安心した。帰り道で彼女と別れるのが苦しくなった。今は苦しくてもこんな毎日に慣れてしまえばきっとこの痛みも消えるだろうと思っていた。けど消えなかった。消えてくれなかった。そしてやっと気づいた。この気持ちは恋だと。
きっと純粋な恋ではない。人間の弱さとか本能とかそういうものが、彼女が好きだと錯覚させているのかもしれない。つり橋効果的なものがあるのかもしれない。でも、この気持ちに嘘はつけない。
彼女へのこの想いを自覚してから、彼女と別れたくない、ずっと一緒にいたいとい気持ちがより強まっていった。
ある日の夜、夢を見た。学校の帰り道で通り魔に襲われまどかが死ぬ夢だった。次の日は、些細なきっかけで喧嘩してその帰り道でまどかが事故に遭って死ぬ夢。その次の日は学校からの帰り道で何故かゾンビに遭遇して、襲いかかって来たところをとっさまどかが庇って、まどかまでゾンビになってしまう夢。きっと追い詰められていたんだろう。この気持ちを相談する人もおらず、この呪いのような恋心は限界に達していた。
まどかが欲しい。まどかが心配だ。まどかを独り占めしたい。まどかは今何をしているだろうか。まどかがずっと私のそばにいればいいのに。まどかと明日は何を話そうか。
もう我慢は出来なかった。今すぐでもまどかを手に入れなければ。
そこからの行動は早かった。ネットのアダルトショップで拘束具を購入。次の日に学校を休みまどかの家を訪れ、まどかの父に事情(の一部)を説明。まどかがさやかの家を訪れ世話をしていたことを知っていた彼は、私が彼女に朝御飯を作ったり、一日彼女の世話を焼きたいという願いを聞き入れてくれた。普通なら娘の友達がそんなことを言い出せばおかしいと疑われるだろうが、私のまどかへの想いを見抜いたのかもしれない、すんなりと了承してくれた。その上、まどかの父は、母と息子のタツヤも連れてどこかに小旅行をして一泊して来るのはどうかとまで提案してくれた。彼の提案をありがたく受け、計画の準備は着々と進んでいった。
もちろん「まどかをベットに拘束して一日過ごす」なんてことは言わなかった。
そして話は冒頭に戻る。
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ずっとさやかちゃんのことが好きだった。はっきりと自覚したのは出会ってしばらく経って頃だった。だけどどうしてもこの気持ちを彼女に伝えることは出来なかった。もし拒絶されてしまったら、今の友達という関係すら壊れてしまうかもしれない。拒絶されてしまったら、彼女と今まで通りに友達としてやっていく自信がなかった。だからひたすらこの気持ちを押し殺し、今まで”友達”としてやってこれた。
でもある日、彼女には好きな人がいることを知ってしまった。彼女の幼馴染みの男の子らしい。それを知ったとき、「ああ、さやかちゃんも女の子なんだな」と思った。思ってしまった。私の好きなあの子は女の子を好きになる自分とは違う。どこにでもいる、男の子に恋する乙女なんだと気づいてしまった。
それを機に私は彼女のことを諦めざるを得なくなった。どう考えても勝てない。彼女にとって私は友達でしかない。彼女にとって彼は好きな人。同じ土俵にすら立てない。そうしていつしか彼女への想いは心の奥底に沈んでいった。
けどその”彼”は死んでしまった。彼女はひどく落ち込み、半ば自暴自棄の状態だった。とても見ていられなかった。だから彼女の世話を進んで引き受けた。ほむらちゃんに頼まれ、担任の早乙女先生にも気にかけるよう頼まれたが、頼まれずともやるつもりだった。
彼女の世話をほぼ私しなければならないし、平日は学校が終わってからすぐ彼女の家に通わなくてはならないため大変ではあった。それでも私にとってこの生活はずっと求めていたものだったのかもしれない。彼女と同じ時間を過ごすうちに、自分の中に閉じ込めていたものは次第に溢れだしていた。それは忘れかけていた、大切な気持ちだった。
一週間ほどして彼女はまた以前のように学校に通うようになった。元気になったことを素直に喜ぶ気持ちと、彼女の家に行く口実が減ってしまうのは寂しいという気持ちが半々で複雑ではあった。でももうライバルはいない。チャンスならいくらでもある。
まどかがベットに固定され、目を覚ました朝はそんなときだった。その時はまさか彼女が自分に同じような想いを持っているとは想いもしなかった。あくまで友達としての態度を彼女にとったのだった。
彼女がなぜこんな行動に出たのかは分からない。でも不思議と恐怖はなかった。
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朝食を食べ終えた後はおしゃべりしたり、時々探してなかった場所を思い出したふりをして飲み物や必要な物を取ってきたりと、時間はゆっくりと過ぎていった。
気温が徐々に上がり、日差しも暑くなって、もうすぐ昼になるという時だった。まどかが話しながらではあるが、もじもじとしていることに気づいた。何かを我慢するようなその様子は、すぐに何を意味しているか分かった。朝起きたらすぐにするもの、その存在をすっかり忘れていた。
さやか「あの・・・もしかしてトイレ行きたい?」
まどか「!・・うん・・・///。」
少し恥ずかしそうに彼女は答えた。どうやらずっと我慢していたい。気づけなかった自分が情けない。鍵は持っているので外してしまえば解決はするのだが、こんなことで終わらせてしまうのはもったいない。それに他に方法がないわけではない。まどかには悪いが、少し恥ずかしい思いを我慢してもらうことにする。
さやか「ちょっと待って、今持ってくるから。」
~~~~
朝ごはんを食べ終わったときから尿意はうっすらとあった。それから数時間の間は彼女と話したりしているうちに気が紛れて一時的にはおさまっていた。でもそのまま帰ってこないはずはなくて・・・。どうやら限界が来てしまった。漏らすわけにはいかないし、このまま鍵が見つからなかったら彼女に処理を任せることになってしまう。それは嫌だった。もちろん彼女に処理をさせるのが嫌なわけではないが(むしろ嬉しい)、単に恥ずかしい。まだ心の準備ができていない。だから彼女が鍵を見つけてくれるのを期待して待った。
でも残念ながらその期待が叶うことはなかった。さやかちゃんは下の階に行っては戻り行っては戻りを繰り返したが、鍵を見つけてから戻ってくることはなかった。代わりに欲しい物を言えば持ってきてはくれたが。
途中までは彼女に気づかれないよう我慢しながら会話することができていた。が、それが出来ていたのも我慢し初めてから3時間までだった。そして彼女にも気づかれてしまった。もう逃げ場はない。漏らすよりはましだと自分に言い聞かせ、腹をくくった。
私の様子に気付き、部屋を出ていった彼女は、すぐに戻ってきた。その手には洗面器があった。
さやか「その・・悪いけどこれに・・。」
まどか「うん、じゃあ・・お願い・・。」
さやか「あっ、そうか自分で脱げないのか・・。」
何度か一緒に風呂に入ったことはあるので裸が視られたことがないわけではない。それでも二人だけで、私室で、しかも自分の好きな人に脱がさせてもらうとシチュエーションは緊張する。恥ずかしさで頭は爆発しそうだった。
ゆっくりと寝間着のズボンに手を伸びてくる。その手はついに腰まで到達し、ズボンのゴムに手をかける。必然的に彼女のその手は私のお腹辺りの肌に触れる。
まどか「ひゃっ!」
さやか「うわっ!」
思わず声が出てしまった。少しひんやりとしたその触感は自分のものではない、明らかな外部からの刺激だった。私が驚いたことに彼女も驚いたのか、少し身を引いていた。心なしか彼女の顔も赤くなっていたような気がしたが、突然のことに驚いたせいだろう。
さやか「ごめん、大丈夫?」
まどか「ああ、ごめん。さやかちゃんの手がちょっと冷たくって思わず体が反応しちゃって。」
さやか「いや、ごめん。じゃあ続けるね・・・。」
まどか「うん。」
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とりあえずまどかのズボンを脱がすため彼女の腰に軽く手を突っ込んだところ、妙に色っぽい喘ぎ声のような声が出たので思わず驚いてしまった。普段は聞かないその声に胸が高鳴る。これで興奮しないわけがない。さっきまでの緊張など忘れ、何だかよく分からないが楽しくなってきた。
再びズボンのゴムに手をかけ、ゆっくりと下におろしていく。足は拘束されているため脱ぎきることはできず、ズボンは膝辺りで止まる。
彼女は恥ずかしさに耐えかねるように顔を隠した。
まどか「お願い、見ないで・・・///。」
彼女の懇願も虚しく、私はその場所を見てしまった。そして・・。そこに現れたのは熊さんだった。紛うことなき熊さんパンツだった。何て可愛らしいんだろう。微かに顔がにやける。
まどか「今笑ったでしょ!違うの!普段から履いてる訳じゃなくて、寝るときだけ小学生の時に使ってた楽なパンツにしてただけなの!」
そんなこと言われずともすぐわかる。でも必死に弁解しようと焦っている様子が可愛い。別にバカにしている訳ではない。こういう子供っぽい所もまどかの魅力の一つだろう。今やっている行為そのものは大人(一部)もやっていることなので、こういうポイントは一般的には(一部の人には)プラスに数えられる。だから問題はない。むしろは誇っていいところである。
さやか「別にバカにしている訳ではないよ。ただ何か可愛いなって思っただけだし。」
まどか「ほら、やっぱりバカにしてる!!」
恥ずかしさを怒ったように振る舞うことでごまかそうとしているのがバレバレだ。これ以上長引かせるとさすがにかわいそうなので、そろそろパンツの方にいかないといけない。
さやか「それはそうと、早くパンツ脱がないと漏れそうなんじゃないの?ほらやるよ。」
熊さんパンツを見られる以上に恥ずかしいイベントが後に控えていることを思い出したのか、黙りこんでより顔が赤くなっていく。
まどか「そうだね・・・///。」
彼女の同意を確認し、再び彼女の腰に手をかける。それに呼応するように彼女は上着をたくしあげた。
この布の下には熊さん以上の収穫が待っている。覚悟を決め、パンツの淵を持つ。深呼吸して興奮を少し抑えた後、ゆっくり且スムーズに、ついにその布切れを降ろした。
さやか「おお・・・!」
真っ白なラインに、僅かに生えた毛。見た目の幼さに比例したような、その未成熟な陰部は、まだ汚れを知らない、生まれたての子羊のような”ばぶみ”を含んでいた。彼女のこの領域へと足を踏み込んだのは私が最初だろう。ここを聖地とする。
まどか「あ、あんまり見ないで・・・///。早くしよ・・・。」
一瞬思考が停止していた。すぐに彼女の下に洗面器をセットし、彼女がその上に座り込む。それを確認し、立ち上がるって回れ右をする。ここから先はまどか一人でも出来るので部屋から出た方がいいだろう。惜しい気持ちもあるが、ここらで満足しておくのが妥当だと思う。この先は告白が成功した後にとっておく。
だがそんな決意はすぐに意味をなくした。ドアノブに手をかけ部屋を出ようとしたそのときだった。
まどか「どこ行くの、さやかちゃん?洗面器を持っててくれない?固定してないとベットにこぼれちゃうかもしれないから。」
~~~~
最初は恥ずかしかった。熊さんパンツを見られた時点でその恥ずかしさは頂点に達し、限界を迎えていた。だからパンツの下を見られたときはその限界を越えてしまった。超えてしまったからだろうか。「もうどうにでもなれ」という半ば投げやりな気持ちが出てきて、なぜか部屋を出ようとする彼女を引き止めてしまった。長年彼女への想いを我慢してきたせいというのもあるかもしれない。それは経験したことのない悦びだった。恥ずかしさと興奮の入り混ざった、不思議な感覚だった。
さやか「え///・・・わかった。」
さやかちゃんも顔が真っ赤だったが、私はもっと赤く染まっていたに違いない。
しゃがみこみ股を開く。その下には洗面器とそれを持つ彼女の手、目の前には時々目を逸らしながら私のそこを凝視する彼女がいた。自分で彼女を引き止めておいてこんなことをさせているのだから今さら見ないでとも言える訳もなく、もちろんそんなことを言おうとも思わず、ついに我慢してきた尿意は発散される。
じょろじょろじょろーーー!!!
盛大に音を立て、黄色い液体が放射される。その勢いはとどまることを知らず、たっぷり30秒、体感にして2・3分くらいの時間をかけ流れ続けた。洗面器には黄色い液体がたまり、そこからは仄かな香りが漂う。
まどか「さやかちゃん、拭いてくれる・・?」
さやか「!!」
頑張って手を伸ばせば自分で拭くことも出来たかもしれない。少なくともその気があれば、自分で拭けるか試してできないことを確認した後に彼女に頼むのが順当だと思う。でも・・。
まどか「自分で拭けないから・・・。」
そんな気は既に無かった。生まれてすらなかった。この場面に泥酔していた私は
理性をほぼ失いかけていた。確かめてもいないのに自分で拭くことはできないと断言し、彼女の逃げ道を完全に断った。
さやか「わかった。」
短く一言だけ呟いた彼女は、近くにあったティッシュ箱から何枚か取り手に重ねる。
さやか「じゃあ、行くね・・・!」
彼女の右手がゆっくりと、かつ一直線に私のそこに向かって伸びてくる。パンツとパンツの下を見られるだけでもこんなに興奮したのに、さらに触られてしまうとまでいくとどうなるのか。想像だけでも絶頂に達しそうな気分だった。
髪がついにそこに触れる。濡れている全体を丁寧に拭く。だがそんな時間は一瞬だった。
さやか「終わったよ。」
あまりのタイムの短さに思わず呆気にとられ、フリーズする。思ったより早く終わってしまった。想像していたほどの気持ちよさもなく、得られたのは自分で拭くのとたいして変わらない感覚。思えば直接触ったのは”彼女の手”ではなく、”ただのティッシュ”だという点を見落としていた。拭くという動作に無駄な時間は必要ない。日常的に各々自分で拭いている場所でもあるのですぐに終わることだった。
若干の物足りなさを感じつつもとりあえず礼は言っておく。
まどか「ありがと。」
さやか「うん。」
その後再びパンツとズボンをもとに戻し、ちょっと片付けてくるからといって洗面器を持って足早に部屋を出ていった。
彼女が出ていけば当然また一人になる。仰向けに戻った後、ぼんやりとさっきまでの出来事を思い出す。
ズボンを下ろしてもらう前まではいつも通りだった。でもその後からは・・・。
まどか「んああああああ~!!!」
思い出すと恥ずかしさで死にそうになる。仕方のなかったこととはいえ、途中からノリノリだった自分がいた。それにこんなにも積極的になったことは今まで一度もなかった。
まどか「私、ただの変態じゃん・・・。」
軽く自己嫌悪に陥りながらもさっきの熱が覚めず、一人悶々とするまどかだった。
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物凄くドキドキしたが、何とか平然を保つよう振る舞えた(と信じたい)。彼女の態度は明らかにいつもとは違っていて、性的というか、淫美というか、とにかくやばかった。拭き終わってズボンまで履かせた後、すぐに逃げるように下に降りてきた。
時計の針は気がつけば 11:15を指していた。あの一連の流れはたった15分にしか満たなかった。もっと経っていると思っていたが、時間の流れとは不思議なものだと改めて思う。
さやか「そろそろ昼御飯作るかな。」
昼御飯はオムライスを作るつもりなので、本当ならもう少し後に作り初めても十分昼に間に合う。けど・・。
さやか「今部屋に戻っても気まずいしなぁ・・。」
そもそも今の私に手ぶらで彼女のいる部屋に戻る度胸はない。ちょっと早めの昼御飯にはなってしまうが、仕方ない。
さやか「よし、作るか!」
およそ30分後。一人暮らしで培ったスキルもあり、難なくオムライスは完成した。彼女の好みに合わせた少し甘めの味付け。それに、正確な手順・分量を調べあげたのでいつもよりは良い出来になっているはずだ。これで準備は整った。部屋に持っていこう。
さやか「ただいま~。ちょうど昼頃だったしまた作ってきたよ。」
まどか「うん、おかえり。ありがと。」
30分前のことなど気にしていないというように平然を装う。
さやか「オムライス作ってきたんだ。口に合うかわかんないけど・・。」
まどか「ううん。じゃあいただきます!またお願いね。」
朝御飯でしたのと同じように、一口大のオムライスをスプーンにのせて彼女の口へと運ぶ。
まどか「うん、おいしいよ。」
さやか「よかった~」
ほっとした。次から次に口に入っていくオムライスに、黙々と口を動かす彼女の姿は、ほのかな幸福感とともに安心感を与えてくれる。そこそこの量だったが、同じペースで食べ続けていたのもあって10分足らずで食べ終わってしまった。
まどか「ごちそうさまー!」
さやか「お粗末さま。じゃあ片付けてくるからちょっと待っててね~。」
鍵を探しに行ったけど見つからなかったというのは、いつまでも突き通せる嘘ではない。彼女もおかしいと思っているはずで、私が鍵を本当になくしたのか、実は持っているのではないかと疑わない筈がない。よく考えれば私の行動は最初からおかしいのですぐにそのことに切り込んでくるはずだが、今まで友達として積み重ねた信頼がどうにかここまで持ち堪えさせてくれた。
今日の一連の流れはまどかの反応を見たかったから。しばらく家まで来て世話をしてもらった恩返しというのもあるが、それは別にこんなことをしなくても返せることだ。
やっと想いを伝えることができる。たとえ拒絶されても彼女は今逃げれない。こんなにも告白をしやすい場はないだろう。もし告白が失敗し彼女が女の子は好きになれないとでもいった時は、こっちの道に力づくで引き込む。強引なやり方だし卑怯だとはわかっていても、私のこの恋は成功させなければならない。
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再びさやかちゃんが食事をもって部屋に戻ってきた先程の熱さも落ち着いていた。オムライスは美味しかった。少し甘いような気もしたが、甘すぎというほどでもない。2回目ともなると人に食べさせてもらうことも少しは慣れる。
それにしても。何故かいつまで経っても鍵が見つからない。さやかちゃんにしても不自然な点はある。朝御飯も昼御飯もそれなりに良くできていた。一人暮らしで料理をしているのでそこそこはできるだろうが、一人暮らしにしては料理が懲りすぎている。自分ではなく人に食べてもらうのだから手を抜かないのは当たり前かもしれないが、そうだとしてもまるで”最初から料理を作るつもりで事前に準備していた”という気がしてならない。
別にこれはこれで楽しかったので良かったが、そろそろ不便に思えてきた。もし彼女が鍵を持っているというなら、外して解放してほしい。
10分ほどしてさやかちゃんが部屋に戻ってきた。
まどか「鍵はまだ見つからない?」
さやか「うん、ごめんね・・・。その・・・私のせいでこんなことになって・・・。」
まどか「別にさやかちゃんのせいじゃ・・。」
そう言って黙りこんでしまった。そのままいつものように雑談するでもなく、5分ほどお互いに黙りこんでいた。約半日も一緒にいておしゃべりしていたら話すこともなくなってくる。そのせいだろうと思っていた時、彼女が突然喋り始めた。
さやか「まどか。」
まどか「ん?」
さやか「その・・恭介がいなくなって引きこもっていたとき、ずっと私の世話してくれたじゃん。あのときはホントにありがとう。おかげで立ち直ってまた学校にも戻ってこれたし。」
まどか「そんな、あれぐらい友達として当たり前だよ。さやかちゃんが元気になって良かったよ。」
さやか「それでね、恭介がいなくなって初めて大切な人を失うことの辛さがわかったんだ。私はもう二度とあんな思いはしたくない。勿論そんなわけにはいかなくて、永く生きれば生きるほど人との別れは避けられないし、そうじゃなくてもある日突然大切な人がいなくなることもあると思うんだ。」
まどか「うん。」
さやか「だからこそ私はそんなことになっても後悔しない生き方をしたい。そういう生き方をしないといけない。次に私が好きな人を突然失ったら正気を保てる自信がないから。人が死ぬのは当たり前なのに、知らず知らずのうちにその感覚を忘れていたんだ。私は。」
まどか「うん。」
さやか「恭介を失ってから、私を支えてくれたのはまどかだった。まどかのおかげで私は救われたんだ。でも私がまた学校に行くようになってからまどかは家に来なくなった。そのときとても寂しかった。だから学校でまどかと会ったときとても嬉しかった。私はそこでやっと自分の気持ちに気づいたんだ。」
さやか「まどか、私はあなたのことが好き。友達としてではなく人として、恋愛対象として。これから私と一緒にいてくれませんか?」
言葉にできなかった。叶うことのない恋だと思っていた。だから彼女が好きだという想いはずっと閉じ込めておくつもりだった。でも、こんな幸せがあっていいものだろうか。答えは決まっている。
まどか「こちらこそよろしくお願いします。」
~エピローグ~
さやか「まどか、私はあなたのことが好き。友達としてではなく人として、恋愛対象として。これから私と一緒にいてくれませんか?」
ついに言えた。後悔はない。
まどか「こちらこそよろしくお願いします。」
さやか「え?」
迷いのないその回答に一瞬戸惑う。てっきり困惑する反応を予想していたので、この返し方は想定外だ。
まどか「私もずっと好きだったんだよ、さやかちゃんのこと。恋愛対象として。」
さやか「・・・・マジ?」
まどか「うん。さやかちゃんと出会ってしばらくした頃から。ずっとね。さやかちゃんは上条くんに夢中で気づかなかったけど。」
さやか「まどかの方が先に私を好きになってたのか・・・。その・・ごめん、気づかなくて。」
まどか「今さら謝るの?ずっと我慢してたんだからね!」
照れ隠しをしたような顔をして彼女はそう言った。
そうか。私は、私の気持ちに気づかない恭介にずっともやもやさせられていたけど、私もまどかに対して同じことをしていたのか。そう考えると少し罪悪感もある。されたことがあるから余計にそう感じるのかもしれないけど。
でももうそんなことにはならない。私自身の気持ちも、彼女の気持ちも漸く繋がった。これから彼女に我慢させていた分も返していけばいい。
さやか「さて、実は鍵をなくしたっていうのは嘘で、今持ってるんだけど。どうする?」
まどか「どうするってどういうこと?というか、今日の出来事ってさやかちゃんが告白するためにセッティングしたの?」
さやか「まあね。しばらく私の家に来て世話してくれたことの再現っていうのも”一応”あるよ。それでどうする?」
まどか「”一応”なんだ・・。どうするっていっても・・・とりあえず鍵を外そう?。」
しばし考える。告白が成功した今なら少しのわがままも聞いてくれるかもしれない。それならこの機を逃すわけにはいかない。
さやか「さっきの続きしたくない・・・?」
まどか「さっきって・・え!?いや、心の準備が!///」
さやか「何言ってるのさ。さっき生まれたまんまの姿まで見ちゃったんだしさ。今さら何を恥ずかしがるのさ!」
まどか「さ、さやかちゃん、鼻息が荒いよ!落ち着いて!」
さやか「じゃ、いただきまーす!」
まどか「んあーーーーー!!!ビクンビクン///」
こうしてまどかは美味しく頂かれた。余りは作者が頂いた。
~fin~
その頃のほむら・・
ほむら「百合の鼓動を感じる・・・!」
次回「ほむほむの逆襲」
続く・・・・・かもしれない
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