「曜さん?………曜さん!」
「んん……っルビィ…ちゃん?」
「もう外明るくなってますよ」
「えっ?……ええっ!?」
困惑した表情で、曜さんは慌ててスマートフォンの画面をタップする。…少し遅れて、その無機質な物体が光を発した。
「時間なら大丈夫ですよ、今日土曜日だから」
言いながら、ルビィは部屋のカーテンを開ける。眩いばかりの日の光が部屋の中に注いだ。
「まぶしっ」
「あははっ、今日は良い天気ですね」
「ねぇ、ルビィちゃん。私達昨日……」
部屋の明るさと対照的に暗い表情で、曜さんはぼそりと呟く。……それは、昨日の行為を後悔しているようにも見えた。
「はい、シちゃいましたね」
「だよね、ごめんね……」
言いながら、曜さんはルビィを抱きしめる。曜さんの体は善子ちゃんよりもちょっとだけ温かくって、押し付けられた柔らかいものの感触は、何だか安心感があった。…ちょっと、お母さんみたい…だなんて。
……そういえばルビィ、善子ちゃんにも謝られたっけ。
「どうして謝るんですか?」
ルビィはそっと曜さんの頭を撫でる。善子ちゃんの綺麗なストレートの髪と全然違う、柔らかくてふわっとした可愛い髪の感触が、手のひら越しに伝わってきた。
「だって……あんな事されて…嫌だったよね?」
なんて、曜さんは善子ちゃんみたいな事を言う。これじゃあまるで昨日の繰り返しみたいだ。
「嫌なんかじゃないですよ。ただ―――」
「……ただ?」
「本当はルビィに謝る理由、違うんじゃないですか?」
「え……」
ルビィの言葉に、曜さんは時間が止まったかのように硬直する。
……やっぱり、そうだったんですね。
「曜さん、昨日一日ルビィのこと見てませんでした。…曜さん、今ルビィ以外で好きな人がいるんですよね?」
「………知ってたの?」
「バレバレですよ」
……多分知らないのは、みかんが大好きなあの先輩くらいだ。
「だから、ルビィからも謝らせてください。…曜さんの気持ち知ってて誘っちゃいました。ごめんなさい」
「……いいって、ルビィちゃん。…頭上げて?」
「……うゆ」
「でも、なんで誘ったりしたの?まさか欲求不満ってこともないよね?」
欲求は不満どころか昨日から満たされまくりなんですよね。
「はい、勿論違います。……ただ、その…お節介かもしれないんですけど、いつまで待っても曜さんから動きがないので……それで、昨日善子ちゃんと色々したことを理由にして曜さんと接触すれば、素直な曜さんの意見を聞けるかもしれない、自分の気持ちに素直になってくれるかもしれない…って思ったんですけど、変ですよね……」
「変なんかじゃない!」
言って、曜さんは再びルビィを抱きしめる。さっきよりも、少しだけ力強く。
「それって、ずっと私のこと考えてくれてたってことだよね?」
「はい。そうですけど…」
「ありがとう、ルビィちゃん!……それから、えっと…改めてごめん!先輩なのに要らない心配かけたみたいだね……」
「いいんですよ、ルビィが勝手にやったことですから」
少し曜さんのハグが心地良くて、ルビィも思わず曜さんの背中に手を回して、抱き締める。…それは秋の早朝の寒さを忘れさせるくらい温かくって、幸せだった。
……あぁ、こんな温かくて幸せな時間が、ずっとずっと続けば良いのに。
「……ただ、ルビィちゃんは良かったの?私なんかと…」
「ルビィは大丈夫です。心配なのは曜さんのほうですよ」
「私が……?」
「……はい。えっと……千歌さんのことを想って昨日あんなに激しくシたんだと思うんですけど、でも、ルビィは千歌さんじゃないですから……」
「あっ……あっ」
徐々に曜さんの目からハイライトが消えていく。…まぁ、昨日生まれたままの姿で体を求め合った人から淡々とその行為を指摘されるのは、中々の罰ゲームだよね。…止めないけど。
「えと……でも、ルビィで良ければ、いつだって千歌さんの代わりになります。……千歌さんを想うその気持ちは、ちゃんと大事にして下さいね。ルビィは曜さんのこと、応援してます」
「うわーん!ルビィちゃーん!」
「ちょっ…曜さん言ったそばから!?」
本当は、曜さんの指摘の意味は分かってる。
それは多分、「ルビィちゃんもそうなんじゃないの?」という先輩からのメッセージで……。
分かってる。
でも、分からない。
ルビィにはまだ、そういう感情がどれかなんて、分からない。
善子ちゃんが好き。曜さんも好き。お姉ちゃんや花丸ちゃん、それに千歌さんや他のメンバー皆だって、大好きだ。…それはもう、体を重ねるくらいなんてことない程度には。
でもそれは……特定の誰かを愛していないってことなのかな?
軽いのかもしれない。心が体の成長に追いついてないのかもしれない。
でも。人になんと言われようともルビィにはそれが愛なのか、ライクなのかラブなのか、それが分からなくて。
……だから、曜さんや善子ちゃんはそれを確認するのに"丁度良い"って、思わなかったと言えば嘘になる。
最低だと思う。
でもね、曜さん。
ルビィが自分の気持ちに疑問を持ったのは、グループ内で、同性同士で愛し合おうとしてる
「ねぇ……ルビィちゃん?」
「何ですか?」
「善子ちゃんの…その……」
「おちんちんですか?」
「あー…うん。その、おちんちんなんだけど、結局生えた理由は何なんだろうねぇ?」
「うーん……あっ!不思議なお薬の力で生やしたり!」
「はは、ルビィちゃんは想像力豊かだねぇ。このこの」
「あぁっ!せっかく結った髪がァ!?」
◇
「……もしもし、梨子ちゃん?……うん。……うん、私もびっくりしたよ。まさか……まぁとにかく、送ったやつ見てね。それじゃ」
ごめんね……ルビィちゃん。
盛り上がってきたあぁ!!
今書いてて滅茶苦茶楽しいです。
…あ、あとエロなくてすまんね。
……まぁ、こんな感じでシリアスな雰囲気で物語進むからよろしくね?
ただのふたなりじゃ許せないですからね。