暁の堕姫~堕ちていく人妻~ 作:人妻大好き
斐川志緒を診るように上役に言われてしまった綾瀬には、断るという選択肢はない。縁堂縁にはよくしてもらっている。魔族である綾瀬が普通に暮らすには、何かしらの後ろ盾が必要で、縁はその一人である。それに、頼んできたのが縁でなくとも、旧知の友が困っているのならば助けたいと思うのが人の情というものだ。
とはいえ、問題がないわけではない。
志緒の心身を蝕むのが唯里を苦しめる呪毒と同様の効能であれば、確かに綾瀬がその効果を軽減することはできる。が、その方法は相手の心身にも影響を及ぼす。唯里の場合は、確かに性欲を抑えているし、人前で発情することはなくなったが、綾瀬との繋がりを絶つことはできないでいる。誰彼構わず発情するか、綾瀬にその欲望が向くかの違いだ。それを志緒が容認するか。
「変なことをするとぶん殴られそうだな」
志緒の性格を一言で言えば勝ち気だ。負けず嫌いでもある。けんかっ早いわけではないが、唯里が大好きで、唯里が絡むと周りが見えなくなることがある。そんなところだろう。唯里を肉体関係を持った綾瀬を目の敵にする姿が目に浮かぶ。その一方で意外と弱々しいところもある。普段はあまりそういう面は見せないが――――。
バイクを走らせること一時間弱。綾瀬は、駅前の大通りにやって来た。自宅近くの田園風景とはまったく異なるオフィスビルが建ち並ぶ界隈は、この町で最も賑わう区画だ。町全体は過疎が進む一方で、中心市街地は近年の再開発で若干活気づいたように見える。
大手不動産会社が手がける駅近マンションの建設工事が着々と進んでいて、二週間前に来たときよりもずいぶんと背が高くなったようだ。
碁盤の目状に整備された町を右に左に曲がっていって、やって来たのは駅前のビジネスホテルだ。駐車場にバイクを停めて、エントランスに入る。すでに話が通っているので、受付をしてからそのままエレベータで十四階まで上がっていく。
約束の部屋は、窓際の1405室だ。決まった回数を決まったテンポでノックする。少ししてから、ドアが開いた。
「……いいぞ」
部屋の中にいたのは志緒だった。
赤を基調とした制服を着ている。決まった学校に通っているというわけではないが、志緒の年代は制服を着ていた方が怪しまれずに活動できるようだ。
「久しぶりってほどでもないか?」
「最後に会ったのは半年前だっけ? まあ、確かに久しぶりってわけではないかな」
志緒が言うとおり、半年前に一度獅子王機関の本部で顔を合わせている。たまたま、廊下で会って、少しだけ話をした。それだけだったが、意外にも覚えているものだ。
短く刈ったショートヘアに気の強そうな視線、どれも幼い頃から変わらないが身長差だけは、ここ一、二年で大きく開いた。昔は志緒のほうが背が高かったが、気がつけばすっかり追い越してしまって、今では綾瀬の胸の高さが志緒の頭の高さになっていた。
「綺麗な部屋だな。ビジネスホテルは、あんま泊まったことないけど、けっこういいとこなんだな」
ベッド脇の床に荷物を置いて、綾瀬は室内を見回した。一般的なビジネスホテルだ。煙草の臭いはなく、うっすらと病院にも似た消毒の匂いがする。一人用の部屋なので間取りも大きくはない。
「わたしは任務で何度かビジネスホテルを使うけど、ここは確かに綺麗なほうだな。酷いところはフロア全体が煙草の匂いでいっぱいだったり、ちゃんと掃除してないんじゃないかって疑問になるところもあるからな」
手頃な価格のビジネスホテルならそんなものだ。アメニティに期待するのなら、そこそこの値段のホテルなり旅館なりを探すべきだ。
その点、二人が利用しているホテルは利用しやすい値段の割に設備は充実している。ここで暮らせと言われても何の不都合もないだろうし、綺麗さで言えば綾瀬の自室よりも格段に綺麗だ。
「それで、斐川。身体の調子は?」
「ん……う……いきなり聞くか?」
「センシティブな話なのは分かってるし、時間を掛けていいのならそれでもいいけど、そういうわけでもないんじゃないか?」
「それは……う、む……うう……」
志緒は悔しげに歯がみして顔を紅くする。
綾瀬は志緒の事情を一通り聞いてからここに来ている。志緒が強力な媚薬を浴びて、性的に興奮しやすい身体になっていることも承知していた。
とはいえ、事情を知っているからといって今の志緒の状態を客観的に確認したわけではない。綾瀬がここに呼ばれてきたのは、唯里の症状を押さえ込んだ実績を買われてのことだ。
「薬は飲んだ?」
「飲んだ」
「効果は?」
「まあ、そこそこ。意識しなければ問題ないくらいに落ち着いてる」
「そりゃ、よかった」
媚薬の歴史は長い。当然、対抗措置も何通りもある。今回の薬は強力な新薬なので、最適な解毒剤はまだ見つかっていないが、対症療法として症状を抑える薬はあるのだ。唯里はその薬を使っても、まだ性欲が抑えられなくなることがあるが、志緒は幸いなことに媚薬を浴びただけで摂取しなかったことや、濃縮前の原液だったこともあって、唯里よりも落ち着いているのだった。
「唯里と同じ薬にやられたって聞いたから、心配してたんだけど、俺の出る幕じゃなさそうだな」
「わたしのこと、心配したのか?」
「そりゃ、そうだ」
「そうなのか」
志緒の顔が紅い。瞳も潤んでいる。部屋に漂う消毒の匂いに混じって女の匂いが強くなった。
「斐川、薬、効いてるのか?」
「き、効いてる」
「そう。でも、完全に抑えられてるわけじゃないみたいだね」
綾瀬の指摘のとおり、志緒の身体は「酷い時」よりはマシになっているが、だからといって媚薬に浸かる前と同じ状態というわけではない。
快楽を無視していれば耐えられるが、僅かでも意識してしまうと快楽に引きずられてしまう。だから、志緒にとってはこの環境そのものがよくない。異性と狭い密室で二人きり。それも、自分の症状を緩和するために呼びつけられた男だ。昔馴染だから他の男よりも気心が知れているのも、よくない。つい「綾瀬になら……」と安易な期待に流されてしまいそうになるのだ。
綾瀬の手が志緒の頬に触れた。それだけで、敏感な肌その刺激だけでも性的興奮を生み出してしまう。膝に力が入らなくなって、思考力が低下していくのを自覚する。
「や、やめろ。今、触らないで」
うっとりと表情を蕩かしながら、志緒はそう言った。綾瀬の手を払いのけ、その反動でベッドに座り込んでしまう。
「はあ、はあ……はあ、うぅ♡」
苦しげに呼吸する志緒。薬で抑えていた性欲がぶり返してきたのだ。心臓がバクバクと高鳴っていて、息苦しい。ブラウスが擦れる肌が熱い。全身を掻き毟りたくなるような快感がじわじわと心を責め苛む。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫だ。心配、いらない。こんなの……はあ、ふう……ん」
「無理するなよ」
「こんなの大したことない」
けなげに媚薬に耐える志緒。頬を艶めかしく朱に染めて、汗ばんでいる様は色っぽく見える。もともと可愛らしい顔立ちで、美少女と言うに相応しい容貌ではあったが、強気な言動から女性らしさでは一緒にいることの多かった唯里の影に隠れがちだった。
時折、思い出したかのようにしおらしくなるのは長い付合いなので知っているが、この表情は意外だった。普段とのギャップに綾瀬もドキドキしてしまう。
「なあ、斐川。治療するか?」
「う、なっ、いや、それは……」
綾瀬の提案に志緒は絶句し、顔をますます紅くした。綾瀬の治療は、すなわち性的に繋がることを意味する。夢魔と繋がることは夢魔に性欲の主導権を渡すことになる。攻魔師としては、あまりいい選択ではない。しかし、問答無用で媚薬に責め苛まれている状況を改善するには、確かに考えられる選択でもあった。
おまけに志緒は今、冷静さを欠いている。
性欲に煽られた心身を躍起になって抑え込んでいる状況である。そこに、性欲解消の期待を抱かせる提案をされると天秤が一気に傾いてしまうことになる。
「く、薬が切れたのかもしれない……ちょっと、落ち着くまで待って」
「落ち着けるか?」
「それは……く……ふう……あ……だ、ダメだ、そんな……うく……ふう、ふう……はあ♡」
熱く悩ましい吐息を漏らして志緒は心を落ち着けようと努力している。その努力をあざ笑うかのように、身体の熱はますます上がっていくのだ。何もかもを投げ捨てて、心の赴くままに振る舞いたいという欲求を堪えるのは、並大抵の精神力ではできないことだ。
そうしている志緒を見ていると、綾瀬のほうが我慢できなくなってしまいそうだ。もとより、彼女を治療するのが今日の仕事だ。
きちんと合意してから事に及ぶべきなのは当然だ。獅子王機関の依頼なので、断るわけにもいかないが、志緒が本気で拒否するのなら綾瀬は引き上げるが、志緒からは躊躇の気配は感じるものの拒否の気配を感じない。
だから、綾瀬はまた志緒に手を伸ばす。また頬に触れて、敏感になったという彼女の肌を撫でる。すべすべとした肌触りのいいきめ細かい柔肌だ。普段からちゃんと手入れを怠らないでいるのだろう。
「ひゃ、あ……触ったら、ダメだって言ってるだろ……あ、ん……はあ……ぅ、ぁ……ん」
志緒はくすぐったそうにしながらも、今度は手を払いのけなかった。むしろ、猫がすり寄るように綾瀬の手に頬を擦り付けてくる。
「ぅ、あ、わたし……」
「斐川、まだまだ落ち着かなそうだな」
「い、言うな。くそ、こんな媚薬なんかで、はあ、はあ、はあ……ふう」
性欲の匂いが強くなる。志緒の性的興奮がかなり高まってきているのだ。ここまで来ると、我慢して落ち着くのを待つのは無理だろう。
綾瀬は志緒の肩を抱き寄せる。やはり抵抗はない。志緒の顎を上げて、唇を寄せる。
「あ……待って」
唇が触れあう直前に、志緒が怖じ気づいたように離れる。盛り上がってきたところだが、志緒は最後の踏ん切りがつかないでいるようだ。
「中途半端に止めると、後がキツいぞ」
「それは……うく……ふう……だって、唯里が……」
「斐川は唯里のために頑張ってこうなったんだろ? ちゃんと治療しないと唯里だって安心できないだろ」
「で、でも……」
志緒の心が大きく揺れる。志緒の身体は媚薬にほぼ支配されていて全身の感覚が研ぎ澄まされている。理性の天秤は欲望に振り切れていて、親友への罪悪感だけで辛うじて踏みとどまっているのだ。それでも、綾瀬の手が力強く肩を抱いてくると全身がゾクゾクする。頬から耳まで撫でられると、今まで感じたことがないほどの多幸感に襲われて何も考えられなくなる。
(わたしだけで抑えないといけないのに、拒否できない)
綾瀬のキスを二度も拒否する理性は志緒には残っていない。
「はあ、ぁ……ん……♡」
最後には、口付けを自分から受け入れてしまった。
(男の唇、思ってたより柔らかいんだな)
そんなことをふと思った。
志緒は緊張に身体を硬直させながら、初めての口付けの感触を客観的に捉えていた。
「ん……はあ……はあ……はあ……」
(綾瀬とキスしちゃった……ごめん、唯里)
親友への謝罪は同時に綾瀬を受け入れることの表明でもあった。最後の枷が外れてしまえば、志緒が我慢する理由は何もなくなる。
「斐川、口開けて」
「あ……ん……っ、んんっ」
言われるがままに口を開けたところに綾瀬は舌を押し込んだ。突然にディープキスに驚いて固まる志緒は、口の中を綾瀬のなすがままにされる。
「はふ……んあ……ん、ん、んんっ、あう……ん、ちゅ……ぁうちゅ……れる……ん、ん、んんんっ、ぁう、ん……ん……ちゅ……ん♡」
(こんな、急にディープキスなんて……うう、ダメだ、気持ちよすぎて頭が変になる)
志緒はすぐにディープキスを受け入れて、自ら舌を絡ませてきた。綾瀬の舌が上顎をなぞり、内頬を舐めて舌に巻き付いてくる。そのすべてが気持ちよくて、志緒は離れがたい愛情を感じてしまった。他人の舌が自分の口の中を舐め回しているということに、何の不快感もなく、むしろ強烈な多幸感に支配されてしまっていた。
「ふう……あ、ああ♡」
しばらく舌を絡ませてから唇を離すと志緒はすっかり惚けた顔をしていた。
ベッドに志緒を押し倒す綾瀬。
発情して快感を受け入れるばかりとなった志緒の頬にキスをして、白く細い喉を軽く噛む。その刺激すら今の志緒には強烈で、腰をひくつかせてしまう。
皺になるといけないので、志緒の衣服を脱がせる。志緒はブラウスもスカートも、そしてその下に隠れた空色の下着も脱がせて生まれたままの姿にさせた。
志緒は恥ずかしげに前を手で隠す。
「そんな見るな」
「どうして?」
「は、恥ずかしいからに決まってるだろ。それに、わたしは唯里みたいに胸も大きくないし……」
「まあ、確かに唯里は大きいけど……別に胸だけが全部じゃないし、それに志緒は綺麗だと思うよ」
「思ってもないようなこと言うな、わたしが……」
「思ってるよ。斐川の肌は、すごく綺麗だ」
そっと志緒のよく鍛えられたしなやかな腹筋を撫でる。ほどよく割れた健康的な腹部は、厳しい戦いに備えている証だ。不要な肉はまったくない。引き締まったウェストは、理想的な体型であると言える。
「やめ、撫でるな。今、わたしは敏感になってるんだ。知ってるだろ!?」
「もちろん。だから、触ってるんだけど」
「こ、このへんたい、ひゃ、あっ、胸、胸はっ!?」
腹から胸に手を滑らせて、乳首を指先で擦る。目に見えて志緒の反応が変わった。乳首がビンビンに勃って、太ももの内側をもじもじと擦り合わせている。
「あっ、あっ、あっ、いや、だ、こんな……はふ……あっ……胸、だけで、あ、ああう♡ もう、ん、あ♡ やめ、て……んふ……はっ♡」
媚薬で全身の肌が性感帯も同然になった志緒にとって、もともと性感帯だった乳首の鋭敏さは群を抜く。優しく撫でるだけで気が狂いそうな快楽に苛まれるのだ。
それを確認してから綾瀬は志緒の乳首を重点的に責めた。志緒は抵抗することもできず、次第に声を上げて身悶えするようになってきた。
「あ、んあっ、ふあっ、あああっ、あっ、胸、ばかりっ、さっきから、いじ、弄って、んふ、う♡ はあ♡ あ、あ、乳首、乳首はダメだ、ほんとに、お、おかしくなるからっ、あ、あ――――♡」
志緒は白い喉を反らし、痙攣する。
(うう……胸だけで、こんなになるなんて……)
恥ずかしさと悔しさに志緒は歯がみした。自分の身体がまったく別物になってしまったようであった。意思に反して身体はどんどん敏感になっていく。身体に引きずられて意思すらも、さらなる快感を求めるようになっていく。
(唯里は、もっと強い薬を使われたって言うのにわたしは、この程度の媚薬にこんな……)
情けなさに涙すら出てくる。
悔しい、情けない、ふがいない、そんな負の感情がふつふつと湧き上がってきて志緒を責める。
「ふぐ……う、あ、ふあっ!?」
しかし、綾瀬の愛撫は志緒からネガティブな感情をかき消してしまう。罪悪感が一瞬の快感に消し飛ぶ。太ももの内側を撫でられただけで、腰が跳ね上がってしまう。それがさらに鼠径部にまで達し、いよいよ秘所を探り始める。
「あ、あ、やだ……そこ、一番だめなとこで……ん、ふう、はあ、あ、あ、ああっ!」
くちゅ、と愛液の滲む音がした。クリトリスを指先で擦られて、突き刺すような快感が志緒を襲った。綾瀬の指が高速でクリトリスと膣口を行き来する。
「んぎぃあっ、はひっ、あああああああ、やめ、やめろっ、それ、それは、だめ、だめらぁ♡ あは、ふは、あ、あ、あ、あ、あああああああああああああああああああ♡」
まだ膣内に指を入れていないのに志緒の秘所はびしょびしょだ。媚薬で跳ね上がった感度は、志緒の秘所も当たり前のように強烈な快楽受信機に変えていた。特にもともと性感を得るための器官とまでされるクリトリスの感度は強烈だ。
愛液を垂れ流す膣内に、綾瀬は指を押し込んだ。膣内を弄って、Gスポットを探り当てると、そこをコリコリと弄り始める。
「んあ゛っ、あ、あがっ、ああ、ああああああああああああああああああああああああああああ♡」
苦痛とすら思えるほどの快感の波が押し寄せてくる。喉を引き裂く絶叫を上げて、全身の筋肉が引き攣る。勝手に腰が上がってブリッジしてしまうほどよがり狂わされた。
自分でオナニーしていると、羞恥心であったり強烈な絶頂への恐れからつい加減をしてしまう。綾瀬にはその加減がない。絶頂の階段を全速力で昇らせて、その頂から突き落とすように激しく強い快感を問答無用に与えてくる。
「ひぐっ、いぐ、からっ、あひ、んあ、あ、あ、やめ、やめろ、もう、お、お、イク、あ、イッてるから、はひっ、ぐちゅぐちゅするな、やめ、ひゃめて、変になる、なるから、もう、あ、あ、ああ~~~~~~♡」
志緒は身体を捻り、頭を振って快感から逃れようとする。しかし、志緒の肉体は襲い来る肉欲を悦んで受け入れて貪り食らうように膣肉を指に絡ませてくる。
膣内から指を激しく抜き差しすることで、志緒は何度も絶頂した。言うことを聞かない身体から快楽信号が継続して発せられ、志緒は信じがたいオーガズムに晒されたのだ。
「はひっ……あひっ、あ、あ、すご、い……イった……ぁ」
頭の中が真っ白で、体内に溜まりに溜まった欲求不満がはじけ飛んだ。
「これで準備、オッケーだな」
「へ、ぇ?」
イキまくって半分意識を飛ばしていた志緒の眼前に、綾瀬のそそり立つペニスが現れた。おどろおどろしい肉棒である。勃起してはち切れそうに膨れ上がったペニスは、本当に人体のパーツなのかと疑問に思えるくらいの変わり様だ。
「斐川、いいな?」
「え、あ、あれ、ちょっと……」
志緒はここで意識をはっきりさせた。ペニスの迫力に愕然とした。綾瀬が志緒の両足を開き、その間に入ってくる。
「あの、それ、それ、わたしに?」
「セックスするんだから、当たり前だろ」
「そ、それは、そうだけど……」
綾瀬のペニスが膣口に宛がわれる。それだけで志緒の胸は今までにないくらいに高鳴ってしまっている。セックスへの期待感が膨らむにつれて、不安も大きなものになっていく。
「綾瀬、待って。わたし、は、初めてなんだ。そんなのわたしの身体に入るわけない。無理、無理だって」
「大丈夫だって。別に俺だって人間の規格を出てるわけじゃないし」
「そういう問題じゃ、う、うぁ、あうっ……ひゃあっ」
挿入しないままに仰向けに寝転ぶ志緒を抱きしめて、首筋から耳までキスした。形のよい胸を手の平に納めて、優しく揉みほぐし、志緒の身体に快感を溜め込ませていく。志緒から抵抗力を奪い尽くして、ゆっくりと腰を沈み込ませる。
亀頭が膣口に入り、エラが膣の中に入ったら、後は掘り進むようにして狭い膣内を押し広げていく。
「ふ――――はっ、あっ、何して、ああ、挿入って、膣内に、痛っ、は、はひぃ♡」
破瓜の痛みに悲鳴を上げそうになった志緒は、次の瞬間、今までにない快感に流されて絶句した。
ペニスが一番奥深くに辿り着く。志緒の膣は初めてらしく狭くキツい。しかし、媚薬の影響で興奮しっぱなしだったからか、潤いは十分過ぎるほどであった。
「斐川。全部、入ったぞ」
「う、あ……わたしの膣内にお前のが……あんなに大きいのが、うく……はあ、はあ、ふうう♡」
(お腹の中にすごい存在感がある。これが、綾瀬のおちんちん。本当にセックスしてしまったのか、わたしは……!)
志緒の膣内に入ったペニスを綾瀬は半分まで引き出す。そして、突く。ゆっくり引き抜いてゆっくり挿入する。志緒の身体をセックスに慣れさせるために、たっぷりと時間を使う。
「ふう……はあ……はあ……んふう……はあ……うあっ……あっ、ふう、はあ……んっ、んっ……はふっ……ん、く……はっ、あっ、ん、はあ……」
志緒の肉襞がカリ首に引っかかる。甘い刺激が腰を蕩けさせる。射精よくがどんどん湧き上がってくるのを綾瀬は堪えて、セックスを続ける。
二、三分もそうやって慣らしていると志緒から漏れる甘い声が強くなってきた。さすがに媚薬で身体がおかしくなっているだけあって、膣肉の感度も相当だ。破瓜の痛みもすでになく、快感のみが志緒を支配している。
「はあっ、はあっ、んあっ、あ、ふー、んっ、ひゃ、あっ、いあっ、お腹、あがっ、ひいっ、んふあっ、い、イイっ、これ、イイっ、何だ、これ、ふあ、あ、あ、ふぐ、あ、違っ、これは、んんあ♡」
志緒の骨盤を掴んだ綾瀬はペニスの確度を変えて膣壁を突き上げるようにして突き込む。
「きゃはっ、あ、ひは、あ、なんで、こんなに感じて、ん、ふあっ、あっ、あっ、あぎっ、強っ、いっ、んあっ」
「斐川、もうイキそうだな?」
「ひっ、違う、こんな、わたしは、まだ、ん、ん、ああ、違う、違うのにっ、セックスなんか、わたしは、あ、あ、あっ、ああっ、なんで、どうしてっ、こんなにっ、ひゃあ、あ、あ、ああ、んくぅぅ♡」
志緒は唇を噛んで快楽を堪えようとしている。
その努力をあざ笑うように綾瀬は膣奥を突く。膣の狭さにも慣れて、志緒の弱所を把握した綾瀬には容赦がなかった。志緒の弱いところを的確に責め立てて、休む間を与えない。
「あっ、ひっ、あっ、あひっ……ん、くう……あふっ、あっ、あっ、んあっ、あぐっ、はあ、はあ、は、あっ、ひあっ、んあっ、あ、あっ、気持ちイイっ、あっ、んあっ、イクっ、はひっ、あ、あ、綾瀬、だめ、わたしっ、はひっ、あ、あっ♡」
「いいよ、俺もイクから」
「ひうっ、あ、あ、あ、ん、あっ、あ、ああ、イクっ、イクっ、あ、もう、無理、はあ、ひっ、あ、んああああ、あああああああ♡」
志緒の絶頂とともに膣肉が激しく打ち震えてペニスを締め上げる。ぎっちりと捕まれたままでペニスを突くと強い引っかかりで快感が増す。こみ上げる精液を堪えきれず、綾瀬は志緒の膣内に精を送り込んだ。
「あ、んあっ、膣内に来てるっ……はひっ、あ、熱っ、ああっ!」
流れ込んでくるのは精液だけではない。綾瀬の魔力も一緒に志緒の胎内に注ぎ込まれている。子作りのためではなく、性欲を支配するための結合だ。本来は快楽中枢を支配して、相手を性的に支配する夢魔の術だが、今回は媚薬で底上げされた志緒の性感を調整するための結合でもあった。
ともかく、流し込まれる雄の精を受けて志緒の子宮は悦びに震えて何度も小刻みに痙攣してしまう。
「ひ、いいいっ、あっ、あっ、イクっ、ん、んんっ♡」
(なんだこれ、本当に気持ちイイ……唯里は、こんなのを毎日味わってたのか)
綾瀬と交わって申し訳ないと思う一方で唯里を羨ましいと思ってしまう。味わったことのない快感が発散されて生まれた満足感が志緒を満たしている。
「うっ、あっ」
ずるり、とペニスが志緒から引き抜かれた。愛液と精液に濡れたペニスはどろどろと汚れ、蛍光灯の明かりを受けて鈍く光っている。
(こんなに凶悪な物がわたしを貫いていたのか)
胎内に綾瀬の魔力を感じる。ずっしりと重く、そして熱い。魔力を注ぎ込むための結合なので、妊娠の心配はないはずだ。
「なんで、まだ大きいままなんだ?」
「そりゃ、夢魔だし一回で収まりつかないぞ」
「そういうものなのか?」
「そういうもんだ。特性だな。斐川、お尻こっち向けて」
「は? 何言ってるんだ」
「何って続き」
「わ、わたしはもう十分だ。これ以上続けるのは、さすがにもう無理だ」
「そうは言ってもな。斐川の身体のほうは、全然収まってないみたいじゃないか」
「あ、う、何言って……」
志緒の否定の言葉は続かなかった。
綾瀬の指摘は事実ではある。子宮が下りてきて、もっと綾瀬とセックスしたいと訴えている。初めてのセックスで知った快感は、すぐに忘れられそうにもなかった。これ以上すれば、きっと抜け出せなくなる。そういう危機感を志緒は感じていた。
「斐川、いい加減素直になれって。我慢しても媚薬は収まらないし、俺の治療も進まないんだからな」
「うるさい。うう……あのときミスをしなければこんな、ん、ぁ……ぅ……」
志緒は弱々しく呻いた。綾瀬に押し切られる形で身体を明け渡してしまう。どうしても抵抗できなかった。媚薬が与えてくる苦痛にも似た快感よりも綾瀬が与えてくれた快感のほうが気持ちよかった。快感を快感と認識できるレベルで与えてくれる。
自問自答しながらも志緒は体勢を変えて四つん這いになる。
(恥ずかしい……なんて屈辱だ。綾瀬にこんな姿を見せるなんて)
すべすべとした尻をなでつけると、志緒は甲高い嬌声を上げて絶頂する。肌の敏感さはまだ収まっていないのだ。
綾瀬は志緒の腰を押さえて、ペニスを膣に挿入する。
正常位とは異なる体位での結合は、やはり違った快感をもたらす。
「はひっ……ああっ、そんな急に、んっ、ふはっ♡」
あっという間に膣奥に達するペニス。ずん、と重たく響く抽挿に志緒の子宮が悦んだ。
ペニスに馴染んだ志緒の膣に様子見は必要なかった。
リズミカルな抽挿を繰り返して、快楽を与えていく。
「んぐっ……あぐっ……んあっ……んあっ……ふあっ……あ、ん、んあっ、ああ、はあっ、んあ、あ、ああ、んん、くふっ、あ、あ、ああっ」
「斐川、キツい。めっちゃ絡んでくるな」
「ぐう……言う、な……んく……はあ、んあ、あ、ん、ひはっ、あ、あ、あっ、当たる、奥っ、あ、く、さっきより、深、いい♡」
甘い嬌声で志緒は快楽を叫ぶ。
パンパンパン、と力強く腰を打ち付けられ、志緒は身体を支えられなくなってベッドに崩れた。腰は綾瀬ががっしりと固定して、悶える志緒に追い打ちをかけていく。
「きゅふっ、んはっ、あ、あ、んあ、あ、あ、んんあ! あ、ひゃめ、あ、奥、ばかり、突きすぎだっ、あん♡ そんあ、こと、続けられたら♡」
「斐川、反応がよすぎる」
「んきゃっ、あひゃっ、あ、あ、あーーーー♡」
根元まで挿入してから、ぐりぐりとポルチオを圧迫すると志緒は気持ちよさそうに悶絶する。
継続して抽挿していると志緒の滑らかな媚肉が柔らかく解されて、キツいながらも優しい締め付けに変わってきた。肉襞に引っかけてペニスを引いて、膣奥を強く突く。やはりポルチオは志緒も大好きなようで、ここの反応がとてもいい。調子に乗って何度も突いていると、志緒は狂ったように嬌声を上げた。
「あ、あ、ああん♡ ふああ♡ ああ、奥ばかりぃ♡ んひっ、あは、もうダメ、もうダメだぁ♡ ふは、あはっ、気持ちイイ、そこ、気持ちイイよぉ♡ あ、綾瀬ぇ、もっと、もっと突いてくれ♡ もっとイカせてくれぇ♡」
涙目になって志緒は懇願してくる。だらしなく笑みを浮かべて快楽に犯された頭では羞恥心すら感じられない。
ポルチオを重点的に突いているうちに、志緒はすっかり堕ちてしまっていた。
「にゃあ、あんっ、んあっ、あはっ、あ、あ、あ、ああっ、あ、そこ、イイっ、んふっ、くふぁ♡ はあ、はあ、はぎっ、ぃ、ああっ、すごいっ、深い、くうぅっ、あ、んあ、んふあっ、ひはあ♡」
綾瀬は体重をかけて志緒の子宮口を狙う。勢いを付けて叩き付けるようにペニスを挿入する。志緒の身体は突けば突くほどはっきりと反応を示す。絡みついてくる媚肉に負けないようにピストン運動を繰り返す。
「ふぐっ、んあっ、ふはっ、あ、あ、あ、あっ、ああ、すごい、イクっ、また、イク、ああ、イクぅっ!!」
「ぐ、くっ」
志緒の膣がひときわ強く引き締まりペニスを圧搾する。悦びに浸る志緒の膣内に、綾瀬はさらにドクドクと精液を注ぎ込む。より深く繋がり、魔力を循環させるようにだ。膣の奥にたっぷりと注いで、逃がさないように、しばらくペニスを差し入れたままにする。
「んふ……ふぐっ……あふっ、うあ……ぁぁ……う……」
志緒はどうやら気を失っているらしい。激しい絶頂に耐えかねて、意識を飛ばしているのだ。ペニスを引き抜くと、行き場をなくした精液と愛液が流れ出た。その刺激だけで志緒の身体はビクビクと震えていた。
一時間後、意識を取り戻した志緒は頭を抱えて悶えていた。
「うううううう、してしまった。あんなことまで、ふぐぐぐっ」
全身を掻き毟りたくなるくらいに恥ずかしい。快楽に流されて、自ら男を求めてしまうなどありえないことだったはずなのに、結局、綾瀬とのセックスを途中から楽しんでいた。綾瀬に言われるまでもなく、卑猥な言葉を口走り、動物のように求めてしまう醜態を曝したのだ。
「斐川、可愛かったぞ」
「うるさい、変態色情魔、うう……もういっそ殺せ……ああ、どんな顔で唯里に会えばいいんだ」
シーツを取り替えて綺麗にしたベッドの上で、志緒は悲嘆に暮れた。
羞恥を感じれば感じるほど、自分をこうも追い込んだあの犯罪者が憎くなる。今は取り調べの真っ最中だが、機会があれば心臓を射貫いてやるとおどろおどろしい感情がわき上がってくる。
「ひどい言われようだな……で、斐川、身体は?」
「は? あ、そういえば……ちょっと、いや大分楽になったような」
欲望を刺激する肌の感覚がかなり和らいでいる。綾瀬と行為に及ぶ前は、身体中の肌が性感帯も同然の状況だったことに比べれば、格段に改善されている。服薬しなければ、衣服の刺激だけで絶頂してしまうほどに敏感だったのだから、今は本来の状態に近いと言えるくらいに症状が落ち着いていた。
「これがお前の治療ってことか。女を手籠めにするだけじゃなかったんだな」
「もしそうなら、縁堂様が俺に仕事を回したりしないわ」
効果があるからこそ、仕事として認められているのだ。本来なら、こんな性行為を勧めるなどということはできないのだ。
綾瀬は財布とスマホを確認して、リュックサックのチャックを閉める。
「帰るのか?」
「ここ、一人用だろ。あまり長居はできないよ」
「あ、ああ、そうだな。唯里もいるしな」
「まあな」
唯里も調子がよくなってきているとはいえ、万全にはほど遠い。様子が気になるところではあった。
「なあ、綾瀬」
「ん?」
「お前の治療の効果は、どれくらい続くんだ? これで、完治ってわけじゃないんだろ?」
「そればかりは個人差があるからな。俺が近くにいれば、ある程度魔力でコントロールもできるけど、斐川はそうじゃないし、分からないな」
「それなら、やっぱり、またぶり返すこともあるわけだな」
「そうだな。治ってないわけだから、多分、そのうち来ると思う」
「じ、じゃあその時は、また、治療、頼めるか? 勘違いするなよ、あくまでも、治療だぞ、治療をしてもらわないと、困るから……」
媚薬の効果が現れれば、獅子王機関から処方された薬だけで今後どこまで抑えられるか疑問だ。綾瀬の治療に即効性があるのなら、頼るのは合理的な判断だ。そのために性行為をすることになるのだとしても、一度一線を越えたのだから、二度目へのハードルは大分下がっている。これは決して綾瀬とセックスをしたいというわけではない。あくまでも、日常生活の維持と早期の復帰のために必要なことなのだ。
「斐川が必要だって言うのなら、断る理由がないよ」
「あ、ああ、うん……そのときは、よろしく」
志緒の声が先細り、綾瀬を見ていられなくなって視線を逸らした。
昔馴染の珍しい姿に綾瀬は微笑ましいものを感じ、ホテルを後にした。