二番目に書いた小説もまた、二次創作でした。
初めての。一次創作です。
文字数は少なめですんでサクッと読めると思います。
是非ご一読ください。
○○○がいた。○○○は無感情で無表情で。何に対しても無関心であった。
○○○は自分が何者であるのかわかっていなかった。だから○○○は目が覚めてから眠るまでの間漠然と『自分が何者であるのか』を考えていた。
ただ、『空腹』というものは知っていた。空腹になるとうまく考えられなくなる。頭の中が白っぽく、モヤがかかったようになる。○○○はこの瞬間が一番嫌だった。
自らの住む館を出て、食事をしに行く。どこからか、イイ匂いがした。○○○はふらりと立ち寄る。丁度、好物が目に入る。○○○は齧り付いた。夢中になって咀嚼し、溢れ出る汁を啜り、喉を鳴らして飲み込む。満たされる……。○○○はこの瞬間が一番好きだった。
なにやら周りが騒がしくなってきたが、我関せずと○○○はその場を後にし。館へ戻って再び考えを巡らせた。自分が何者なのか────やがて思考に疲れた○○○は、気絶するように眠った。
○○○がいた。○○○は無感情で無表情で。何に対しても無関心であった。
○○○は自分が何者であるのかを知りたかった。しかし誰にも聞くことができなかった。○○○が館を出ればそこには誰もいない。誰も自分と顔を合せなかった。
しかしある時。○○○が外を歩いてると声が聞こえた。その声によると。どうやら自分は『おとこ』というらしい。『おとこ』がなにかはわからなかったが、おとこは嬉しかった。嬉しさを堪えられずに、飛び跳ねながら館へ戻ると、館のなかにある本を漁り。『おとこ』を調べた。
調べたところわかったのは、どうやら自分は本当に『おとこ』らしいということ。そして、自分の好物もまた、『おとこ』に関係があるらしい、ということだった。
ふと、気付く。おとこは空腹になった。また、うまく考えられなくなる。
館を出て匂いを頼りに食事に行く。────今日はココにしよう。覗くと、やはり。自分の好物が目に入る。おとこは齧り付いた。夢中になって咀嚼し、溢れ出る汁を啜り、喉を鳴らして飲み込む。満たされる……。
またもや周りが騒がしくなるが、それらを捨て置き。おとこは館へ戻り『おとこ』についてもっと詳しく調べ、もっと深く考えた。────やがて思考に疲れたおとこは、気絶するように眠った。
おとこがいた。おとこは無感情で無表情で。何に対しても無関心であった。
おとこは自分がおとこであると知った。しかしそれだけでは無い気もしてきた。だからおとこはまた、目が覚めてから眠るまでの間漠然と『自分が何者であるのか』を考えていた。
おとこはふと。気になった。自分の好物は一体なんなのだろうと。『おとこに関係がある』のなら、自分にだって関係あるはずだ。それがわかれば、さらに自分のことがわかるかもしれない。おとこは必死に考えた。が、やはりなにもわからなかった。────そして、空腹になった。
館を出て食事に向かう。今日は……ココでいい。入ってみるとやはり好物が目に入った。おとこは齧り付こうとして……一瞬止まる。すると、好物の所有者が今になって『ソレ』を隠す。
なぜ?なぜ隠すのだ?あれほど自慢げに見せびらかしていたのに。今更隠したところで自分が諦めるとでも思われているのだろうか。おとこはこの者の行動が理解できなかった。
無理矢理に好物を出させ、齧り付いた。咀嚼し、溢れ出る汁を啜りながら好物の所有者の叫び声が耳に入る。そして、おとこは新たにその叫び声から自分の好物が何かを知った。
『ペニス』と言うらしい。
おとこは自分の好物が『ペニス』だとわかり嬉しくなって館へ戻り、また本を漁った。そして、自分にもその『ペニス』がついてることがわかり、今度は満足して眠った。
おとこがいた。おとこは自分の事が次々とわかるので今が幸せの絶頂期なのだと信じて疑わず、何に対しても興味津々であった。
ある日、外へ出ると。自分に聞こえないようにしてるのであろう会話が、四方八方から聞こえてきた。その会話の中で、『きゅうけつき』という単語を聞いた。
『きゅうけつき』?『きゅうけつき』とはなんだろうか。おとこは気になってしょうがなくなり、館へ飛んで引き返した。館の中にある本を漁ると……。どうやら、「『ち』を『すう』『おに』のことを『きゅうけつき』」と、言うらしい。のだが。『ち』とはなんだろうか。
おとこは大層気になった。自分はもしかしたら『きゅうけつき』かもしれないが『ち』を『吸って』いないのなら。自分は『きゅうけつき』ではない。自分は本物の『きゅうけつき』じゃないのに『きゅうけつき』を名乗ってしまうことになるかもしれない。それは嫌だった。
空腹になった。今は一度忘れよう。空腹を満たすのが先だ。
今日はどこに行こうか……。そう考えてると一つ。考えが、浮かんだ。
本によれば、『きゅうけつき』とは。ただ、『ち』を『すう』のではなく食事を自分の館で取るのだとか。ならば。
真似をしてみれば。自分が本物の『きゅうけつき』かどうかがわかるかもしれない。そう考えたおとこは、館を飛び出し。匂いを頼りに好物である『ペニス』を探し。見つけた『ペニス』の所有者ごと抱えて館に急いで戻り。床の上に放り投げて、食事をしようとした。
────のだが。おとこの好物である『ペニス』は先程よりも小さくなっているようだった。これでは、食事はできても満たされはしない。おとこは困り果てた。所有者はと言うと。こちらも困惑しているようだった。
恋人とのひと時を過ごしていたら、突然裸のまま連れ去られ、わけのわからない男に見つめられれば困惑するのも致し方無いだろう。
おとこは、所有者に聞いてみた。どうしたらいいのかと。所有者は困惑した様子で何をしたいのかおとこに質問した。おとこは答えた。食事がしたい。『ソレ』をさっきみたいにしてくれ。その答えを聞くや否や所有者は顔を青くし、後退った。
逃げられるのはマズい。そう思ったおとこは、所有者に近づき。逃げられないよう、足を捥いだ。
予想外のタイミングで予想以上の恐怖と痛みを与えられた彼は、叫ぶことしかできなかった。
おとこは不思議がる。何を叫んでいるのだろうか。お前たちが後生大事にしてる『ペニス』にはまだ触れてもいないだろう、と。
その時。おとこは。何かに気付く。今。自分が。持っているモノから。出ている。赤い汁。この匂い。好物と同じだ。と。
口を。近づける。汁を口に含む。飲み込む。少しだが。────満たされる。
その様子を見ていた所有者が叫ぶ。『きゅうけつき』と自分を指差して言う。バカな。自分は『ち』を『すって』などいない。『赤い汁』を『飲んだ』だけだ。が。『きゅうけつき』と言って聞かない。
改めて聞いた。所有者に。『きゅうけつき』とは誰のことだ。と。所有者はハッキリと答えた。お前だと。
おとこは嬉しくなった。自分は。そうか。
『吸血鬼』だったのか……!
吸血鬼は心の底から、初めて満たされた。ような気がした。
そして、そうだ。『吸血鬼』は『血』を『吸う』のであった。ならば。自分が『吸血鬼』だとわかった今。『血』を『吸う』べきだ。と、思った。
吸血鬼は今までにないほど食事を堪能し、腹と心を満たした。
食事が終わると、吸血鬼はいつも以上に膨らんだ腹をさすりながら鼻歌を歌い。もう一度外へ出て月の光に体を濡らす。そのままの体勢で翼を広げ、月へ近づく。そして。
月の下。たった一人で歌を歌いながら夜空を舞い踊った。
吸血鬼は嬉しかった。嬉しくてしょうがなかった。『自分が何者であるのか』をようやく認識することができた。そして、気付く。眼前に広がる夜空は。あの月は。この世界は。
こんなにも美しかったのだと……!
吸血鬼がいた。吸血鬼は感情的で表情豊かで。この世の全てを愛していた。
吸血鬼はかつて自分が何者であるのかわかっていなかった。しかし今や吸血鬼は目が覚めてから眠るまでの間、自らを満たすことを繰り返していた。
空腹になれば自らの住む館を出て、食事をしに行く。匂いをたどって男を探し、館に連れ去りベッドへ導く。疼く身体に正直になる。捕食対象として捕らえた男にそのまま欲望をぶつけた。お互いのペニスを刺激し、吸血鬼の魔術によって対象を興奮させ、最上の快楽を与える。そして絶頂まで導き、果てようとしたそのペニスに。
吸血鬼は齧り付いた。夢中になって咀嚼し、溢れ出る汁を啜り、喉を鳴らして飲み込む。満たされる。その瞬間自らも果て、自身のペニスから情欲が放たれる。吸血鬼はこの瞬間が一番好きだった。
目覚め。腹が減り。攫って。魅了し。愛撫し。愛撫させ。犯し。犯させ。果てさせ。咀嚼し。満たされて。果てて。眠る。
そんな生活が続いた。吸血鬼は。幸せだった────。
全てを思い出した。自分が何者なのか。何をしていたのか。何故こうなったのか。何が起こったのか。その全てを。
彼は吸血鬼ではなかった。彼は有名な強姦魔だった。年端も行かない幼い少女から、体のあらゆる機能に綻びが出始める老女まで。自らの欲望のままに犯しつくして、更に命まで奪っていた。極悪残忍な外道だった。
ある日いつものように目に付いた女に襲い掛かり、いつものように犯すと。その女は泣きも喚きもせず、静かに笑った。
女は自らを魔女だと名乗った。そしてその魔女は彼に呪いをかけた。彼が自らの罪を思い出すたびに苦しむように。と。そして呪われた男はその全ての記憶を失い、自らのこともなにもわからなくなっていた。
強姦魔は認識した。自らが喜んで咥えていたモノがなにか。自らが欲望を誰にぶつけたのか。何に興奮し、魅了され、果て続けていたのか。
強姦魔は思わず吐き出した。今まで自分が飲み込んできた全てを。体から絞り出すように。強姦魔は自身のペニスを引きちぎった。痛みは感じなかった。とにかく今は、汚らわしいソレを早く切り離したかった。まだ足りない。────そうだ。命を絶てば。苦しまずに済む。そう考えた強姦魔は自らの喉に爪を立て、引き裂いた。
不自然にあいた穴から空気と血が溢れる。まだ死ねない。強姦魔は自らの顔を持ち、首をへし折った。
強姦魔は漸く、意識が遠のくのを感じた。────これで。────解放される。
薄れゆく意識の中、魔女の笑い声を聞いた気がした。
強姦魔は気絶するように眠った。
○○○がいた。○○○は無感情で無表情で。何に対しても無関心であった。
○○○は自分が何者であるのかわかっていなかった。だから○○○は目が覚めてから眠るまでの間漠然と『自分が何者であるのか』を考えていた。
完