―――あった・・・・・・、よかっ・・・・・・よ゙がっだね゙ぇぇ~・・・・・・ッ
あの日、後期日程の合格者掲示板に俺の受験番号を見つけた先生は、号泣しながら自分のことのように俺の合格を喜んでくれた。
―――合格したらおっぱいを揉ませて下さいッ!!
今考えると、とてつもなくバカなお願いをした俺にである。俺が合格してしまったら、「合格祝い」に自分の胸を揉ませないといけないのに、彼女はそんなことを微塵も考えていないかのように(事実、本当に考えていなかったのだろう)本気で泣いてくれた。
その喜びに溢れた泣き顔を見た瞬間、「合格祝い」のことなどどうでもよくなり、そして俺は先生に本気の恋をした。
先生とは言っても、彼女は本物の教師ではない。俺の家庭教師だった人だ。
志望校ははっきりしていたが、塾に通うことを嫌った俺は、親に無理を言って家庭教師をつけてもらうことにした。そのときに某有名家庭教師派遣会社から紹介されたのが彼女だった。
たまたま俺の志望校の在校生ということで派遣されてきた彼女の第一印象は、ずばり『地味』
理系の眼鏡女子で研究一筋といった感じで、想像ではあるがたぶんお洒落とかにもあまり頓着がないような気がする。だが、巨乳。それもかなりの逸品で、本人は全く意識してないようだが、地味なわりにはやたらと胸が強調されやすい服を着ていることが多いので、目のやり場に困ることが結構多い。お約束ではあるが、眼鏡を取るとかなりの美人であったりする。いや、眼鏡かけてても可愛いんだけど。
そんな彼女に前期日程を目前に控えた俺は、先述のマンガでしか見ないような極めて頭の悪いお願いをしたのだが、当然彼女の返事は「NO」だった。俺のアホなお願いに先生は初め驚き、それでも顔を真っ赤にしながらさんざん悩んでくれるあたりに彼女の性格の良さが現れている。
しかし、その時の俺はそんなことを考える余裕もなく、先生の返事に勝手に意気消沈したまま受験当日を迎え、ものの見事に撃沈した。
合格発表の掲示板を前に、がっくりと肩を落としてうなだれる俺の姿を見た先生は、そこで持ち前の真面目な性格を斜め上に爆発させた。
「わ、わかった!わかったから後期日程がんばりなさい・・・・・・ッ!!」
「・・・・・・へっ?」
真っ赤な顔をして、ばんっ!と掲示板を叩いた先生の姿に、訳が分からず間抜けな声を上げてしまった俺に彼女がさらに続けた。
「だ、だから、その・・・・・・合格したら、わたしの・・・・・・むっ、ムネを・・・・・・」
耳まで真っ赤に染め上げて、最後の方は消え入りそうになってしまっている先生の姿を呆然と見ていた俺は、その言葉の意味するところを理解するのに少しばかり時間が掛かってしまった。そして何度か頭の中で反芻して彼女の言葉の意味を理解できたとき、俺は思わず「よおっしゃあ~~~!!」っと両手を天に向かって高く突き上げたのだった。
そして現在。俺は、後期日程の試験に何とか合格し、大学の教室で講義を受けている。
「はあ・・・・・・」
念願叶って滑り込むことのできた大学なのに、無意識にため息が漏れてしまう。まあ、その原因は明白だ。
―――会いてえ・・・・・・
昼下がりの、春の日差しが差し込んでいる教室の窓をぼんやりと眺めながら先生のことを想う。
先生の学部が、ここのキャンパス内にあるのは間違いない。それは分かっているのだが、入学したての1年坊主が研究室にまで押し掛けていくのははばかられる。なにより、受験の時のバカなお願いのことを考えると、やはり顔を会わせ辛いという気持ちもあるのだった。
会いたいのに、顔を会わせ辛いというのは、はっきり言ってかなりキツい。この状況をできれば何とかしたい。そのためには、学内でばったりというようなシチュエーションを期待しているのだが、なかなか世の中そうはうまく行かないようだった。
「はあ・・・・・・」
入学してから何度目になるのか分からないため息が、再び口をついて出る。
「はい、じゃあ答案は行き渡りましたね?間違っていたところは各人で確認して、解らないところは私かアシスタントの院生に聞くように」
教壇から初老の教授の声が響き、視線を下に降ろした。
目の前には、先日早々に行われた理解度テストの答案が置いてある。俺はのろのろと教科書を開くが、まったくやる気が起きず、そのまま机に突っ伏する。
「こら、そこの子、いきなり居眠りしようなんていい度胸ね?」
突然、頭の上から笑いを含んだ聞き覚えのある声が降ってきた。
―――・・・・・・え!?
がばりと慌てて頭を起こすと、そこには見慣れた先生の笑顔があった。
「せん、せい・・・・・・」
「寝ぼけてるの?『先生』じゃなくて『先輩』でしょう?」
呆然と呟いた俺に先生が「ふふっ」と小さく笑い、周りからも俺の間抜けな反応にくすくすと抑えた笑いが上がった。
「す、すいません・・・・・・」
「どう、解らないところはない?」
未だに状況をよく飲み込めていない俺をよそに髪を掻き上げながら、どこか他人行儀な口調で先生が俺の答案用紙をのぞき込む。
「いえ、今の・・・・・・ところは」
「そう」
そう言って先生は素っ気なく一言だけ応えると、くるりと踵を返してしまった。
―――え~~~!?
そのあまりにもドライな対応に内心、不満を漏らしつつ机の上に視線を戻すと、二つ折りにされた紙片が目に入った。その紙片を何気なく手にとって開いてみると、そこには見慣れた字が並んでいた。
(終わったら 学食でね)
慌てて顔を上げると、そこには少しだけ恥ずかしそうな表情で、俺にだけ分かるように小さく手を振っている先生の姿があった。
これまでの鬱々とした気分が吹き飛んだのは言うまでもないだろう。
浮かれた気分のまま講義を終えた俺は、いそいそとノートやテキストを鞄にしまい込むと、足早に食堂へと向かった。
午後の講義の後ということもあり、食堂の人影はまばらで、飲み物を片手にくつろいでいる学生がぽつぽつといる程度だった。立ち止まって広い食堂をぐるりと見渡すと、すぐにお目当ての人物を見つけることができた。
先生は窓際のカウンターテーブルで、片肘をついて何やら分厚い本をぱらぱらとめくっていた。講義中は動転してて気付かなかったが、家庭教師をしてもらっている時にも何度か見たことのあるニットのハイネックとジーンズ姿に懐かしさを憶える。
「先生!」
駆け出して行きたい衝動をぐっと堪えて、それでも少し早足になりながら先生のところへと歩いていく。
俺の声に気付いた先生が顔を上げ、そして俺の姿を認めると笑顔を浮かべて胸の前で小さく手を振った。
「ごめん、待った?先生」
「ううん。さっきも言ったでしょ?もう『先生』じゃなくて『先輩』よ」
「いいじゃん、二人の時くらい。誰かいるときはちゃんとセンパイって呼ぶからさ」
おどけて言う俺に「しょうがないなあ」と、少しだけ困った顔をしてくすりと微笑む。
「さっきはびっくりした?」
隣に座った俺に、いたずらが成功した子供みたいな表情で訊いてくる。
「した。先生は俺がいるって知ってたの?」
「知ってたよ。アシを頼まれたときにね、もしかしたらと思って教授に名簿を見せてもらってたの」
「だったら先に教えてくれよぉ。おかげで恥かいちゃったじゃん」
口を尖らせて、べたぁ~っとテーブルに伸びる俺の頭を先生の手が「よしよし」と撫でる。
「ふふ♪ごめんごめん」
頭を撫でる柔らかな感触が心地良い。同時に、先生の俺に対する弟に接するような気安さは、俺の心を複雑な気持ちにもさせるのだった。俺の欲しいポジションは、そこじゃないのだから。
それからしばらく、大学生活のことや単位取得、時間割のコツ、どの教授は気を付けた方がいいとかのアドバイスをもらい、話題が家庭教師をしていた頃の思い出話に移った頃、先生が食堂の時計を見上げて「あっ」と声を上げた。
「どしたの?」
「ごめん、そろそろ研究室に戻らなきゃ。キミはもう終わりだよね?」
「そうだけど。・・・・・・これから?」
「そうよ。院生だってそれなりに忙しいんだから」
ぱぱっと手早くテーブルを片付けて立ち上がった先生を見上げながら、次はいつ会えるのだろうかと考えて、少しだけ暗い気分になった。
「あ、そうだ!ね、週末って空いてる?」
今思い出したという感じで、唐突に先生が切り出してきた。
「いや、特に何もないけど・・・・・・」
突然の振りに戸惑いながらも、淡い期待が持ち上がる。
「じゃあ、ウチにご飯食べに来ない?よく考えたら、まだちゃんと合格祝いしてあげられてなかったじゃない?」
いつもより早口の先生の表情が、少しだけ緊張しているように見えるのは気のせいだろうか。しかし、俺にとっては、そんなことよりその言葉の内容の方が重要だった。
「えっ!?いいの!」
「うん。私の料理が嫌じゃなければ、だけどね?」
うっすらと顔を朱く染めて微笑む先生の姿に胸が高鳴る。
「嫌じゃないですッ!!」
咄嗟の直立不動である。俺の声が大きすぎたのか、食堂中の視線が俺たちに集中する。
「こ、こらっ!!」
顔を真っ赤にした先生が、両手を「アワアワ」とさせている。この人は基本的に目立つことが苦手なのだ。
「まったくもう、キミは相変わらずなんだから・・・・・・」
苦笑いを浮かべながら、あきれた顔で俺を見るがその瞳の中にはどこか優しい光が宿っている。
「じゃあ、またあとで連絡するから」
「うん、待ってる」
ひらひらと先生の背中に手を振りながら、俺は心の中で全力のガッツポーズをした。
週末をこんなに待ち遠しく感じたのはどのくらい振りのことだろう。一日々々がものすごく長く感じられ、週末が近づくに従って気持ちが昂ぶってくる。さすがに受験前にした「合格祝い」はないだろうが、そんなものはなくとも先生と二人で会えるということだけで十分だった。
受験の頃と比べると日は長くなってはいるものの、さすがに夕方も6時に近付いてくると薄暗くなってくる。
そろそろ道案内をしてくれているスマホの画面がまぶしくなってきた頃、地図アプリが目的地付近に着いたことを知らせてくれた。
「っと、ここか?」
目の前には、2階建ての同じようなアパートが何棟か建っていて、そこの壁面に書いてあるアパートの名は、先生が教えてくれたものと一致していた。外観は比較的新しめで、1棟毎の部屋数から察するに学生か一人暮らし向けのものなのだろうと思う。そして、その中の一つが先生の部屋なのだが、いざ目の前にしてみると緊張してしまう。
よく考えるまでもなく、彼女いない歴=年齢の俺にとって初めて訪れる女性の部屋で、しかも好きな相手である。先生は俺のことをどう思っているかは分からないが、少なくとも家庭教師が終わってからでもお祝いをしてくれるぐらいにはよく思ってくれているはずである。一方で、こうも気安く部屋に呼んでくれる時点で、異性として意識されていない可能性もなきにしもあらずなのである。
―――だめだ
弱気になろうとする気持ちを振り払うために頭を振った。先生が俺のことをどう思っていようが、俺は俺のすべきことをするだけだ。
「うし!」
先生の部屋の前に立った俺は、自分を鼓舞するために一つ気合いを入れてから呼び鈴のボタンへと手を伸ばした。
「は~い・・・・・・あ!ちょっと待ってて、すぐ開けるから」
かちゃんと鍵を開ける音がして、開いたドアから先生が顔をのぞかせる。
「いらっしゃい。どう、迷わないで来れた?」
「スマホが教えてくれたから」
玄関に入りながら手にしたスマホを振る。
「よかった。もうちょっとだから上がって待ってて」
ゆったりとしたロンティーにジーンズという、くつろいだ格好にエプロン姿が新鮮だ。これでお玉を持ってたら完璧なのにと、ついついくだらないことを考えてしまう。
「おじゃましまぁ~す」
玄関に上がるとすぐに食欲をそそる匂いが迎えてくれた。普段の晩飯の時間よりはやや早いのだが、匂いにつられて急に空腹感を覚え始める。
「ごめんね、散らかってて」
と、先生は言うが俺の部屋と比べたら余程片付いている。テレビにちゃぶ台、パソコンデスク、本棚、ベッドとそこそこ物はあるのだが、不思議と窮屈さが感じられない。部屋の中も全体的に明るい色でまとめられていて、やっぱり先生も女の子なんだなあと改めて実感する。
「あんまりじろじろ見ないで、恥ずかしいから」
物珍しそうに見回している俺を、料理が乗った皿を持ってきた先生が窘める。
「そんなことないよ、俺の部屋よりよっぽどきれいだ」
「そうかなあ~?キミの部屋も男の子にしてはいつもきれいにしてるなあって思ってたんだけど」
「あれは先生が来るときだけだって。今は毎日、母さんに片付けろって言われてるよ」
口元に指を当てて、先生がくすりと笑う。
「そうなんだ。じゃあ、また私がキミの部屋に行かないといけないね♪」
先生の何気ない一言に、どきりと胸が鳴る。
―――部屋を片付けるだけで先生が来てくれるなら、毎日だって掃除するけど?
すぐそこまで出掛かったその言葉を、俺は何とか飲み込んだ。
「あらためまして、合格おめでとう」
「あざっす」
先生が差し出してきたグラスに、俺のグラスを軽く当てる。かちんと軽い音を鳴らした俺のグラスの中身はジンジャーエール。先生のはチューハイだ。ずるい。
「俺もそっちが良かったなぁ~」
「ダぁ~メ。お酒はハタチになってから、ね?」
口を尖らせる俺を微笑みを浮かべて窘める。まあ、先生の性格を考えたら、端から分かっていたことだし食い下がる気もない。一種のお約束みたいなもんだ。
「ごめんね、ありきたりの物ばかりで。男の子の好みってよく分からないから・・・・・・。はじめにキミの好きな物聞いとけば良かったね」
確かに目の前に並ぶのは、揚げ物、肉、炭水化物と男子の好きなもの三種の神器みたいなラインナップだ。
「いや、聞いてても結果は同じだったと思うよ?」
目の前に並んでいる物以外で好きなものを上げろと言われても、あとはラーメンとハンバーガーくらいしか思いつかない。
「それよりもさ、先生が料理できたってことに驚いてる」
「なにそれ、ひどい」
俺のからかいに、先生が子供のように頬をぷくっと膨らませた。
「先生ってガチの理系じゃん?研究とか論文ばっかりで、そんなのできないと思ってた」
そう言って唐揚げをひょいと口に放り込む。噛んだ瞬間、肉汁が溢れてタレの香ばしさが口一杯に広がる。
「しかもウマいし・・・・・・」
「ありがと。でも、自炊って一人暮らしだと節約の基本だよ」
「えっ!?そうなの?でも、当分一人暮らしなんてしないだろうしな~」
「家から大学に通えるもんね。しようとは思わないの?一人暮らし」
「母さんも色々うるせーし、したいとは思うんだけどさ」
「彼女も呼べないし、ね?」
次々と料理に箸を伸ばす俺を、楽しそうに見ていた先生がいたずらっぽく笑う。
「そっ、そんなのいねーよ!」
「知ってる」
ふふっと笑った先生の顔は、アルコールのせいかほんのりと朱く染まっていた。
「そういう先生はどうなのさ?彼氏とかいねーの」
何気ないふりを装って、ずっと気になっていたことを切り出してみる。この回答如何によっては、俺の大学生活はある意味早々に終わってしまうのだから、平静を装っていても内心はかなり緊張している。
「余計なお世話ですぅ~。彼氏がいたら、いくらキミでも部屋には呼べないよ」
んべっと可愛く舌を出す先生に笑いながらも、内心ほっと胸を撫で下ろした。
「なになに?ってことは、俺のこと少しはオトコとして意識してるってこと?」
冗談めかして言った俺の言葉に、先生の顔がみるみる朱く染まっていく。
「なっ・・・・・・!?そ、そりゃあ、まあ、少しは・・・・・・って、でも、ほとんど弟みたいなものだからっ!!」
その正直すぎる反応に、吹き出しそうになるのをぐっと堪える
「なによぉ・・・・・・」
箸の先をくわえた先生が、恨みがましそうに俺を見た。
「いや、先生ってホントそういうところ可愛いよなあってさ」
「もうっ!先輩をからかわないの!!」
さらに顔を赤くする先生に、たまらず俺は笑い出してしまった。
楽しい時間はあっという間とはよく言うが、本当にその通りだと実感する。週末が来るまではあんなに長く感じていたというのに、先生の部屋に来てからは時間が倍速で回っているんじゃないかと思うほどだ。
先生が入れてくれたコーヒーをすすりながら、ちらりと時計を確認すると8時半に近付きつつあった。この後の片付けも考えると、あまり遅くなっても悪い気がするし、先生もさっきから缶カクテルをちびちびと舐めるように飲みながらも、どことなく落ち着かない雰囲気を出しているから、もしかしたら遅くなるのを気にしているのかもしれない。
「コーヒーのおかわり、いる?」
視線を落とすと、いつの間にかカップの中は空になっていた。
「あっ、じゃあもう一杯だけ」
空になったカップを先生の方へ差し出すと、それを取ろうと先生は手に持っていたカクテルの缶をちゃぶ台に置いた。
「・・・・・・あっ!」
声を上げたのは同時だった。先生が俺のカップに手を伸ばそうと前屈みになった拍子に、ぽんと先生の胸がテーブルに置いた缶に当たり倒れてしまった。残っていた中身がちゃぶ台の上に広がり、フルーティーなカクテルの香りが立ち上る。
「わっ!ごめんね、ちょっと待ってて」
先生は慌てて缶を立てると、キッチンから台拭きを取ってくる。
「大丈夫、汚れなかった?」
俺に身を寄せるようにしてちゃぶ台を拭く先生から、ふわりと甘い香りが漂ってきた。
「あ、ああ、俺は大丈・・・・・・夫」
「そう、よかっ・・・・・・」
振り向いた先生の顔が予想外の近さに来て、お互い動きが止まってしまう。眼鏡越しの先生の瞳に俺の顔が映っている。あと数センチ、二人が顔を寄せれば唇が触れてしまう距離。
「ごっ、ごめんっ」
先に我に返ったのは先生の方だった。慌てて顔を離すと、そのままくるりと背中を向けてしまう。俺の方は「お、おう」と応えるのがやっとだった。
沈黙があたりを包む。先生は、俺に背中を向けて正座したまま、胸元で両手をぎゅっと握って身じろぎもしない。壁に掛けた時計の秒針の音だけが、やけにはっきり聞こえていた。
「あ、あのね」
先生が背中を向けたままぽつりと口を開く。
「前に約束した、その、合格・・・・・・祝いのことなんだけど・・・・・・」
どくん、と俺の胸が鳴る。今の今まですっかり忘れていた、前期日程の合格発表の出来事が脳裏に浮かぶ。
「あ、ああ、あれなら、もう・・・・・・」
「気にしないで」と続けようとしたとき、先生の口から思いもかけない言葉が発せられた。
「・・・・・・いいよ」
「へ・・・・・・?」
思わず間抜けな声を上げる俺。
「約束・・・・・・したし、キミはがんばって、合格・・・・・・したんだから」
髪の間からのぞく耳が真っ赤に染まっている。少しだけ丸めた背中に、うっすらと下着のラインが浮かび上がっていて、その下に包まれているものを意識させた。
「だから・・・・・・いいよ」
頭に血が昇る。あのときの約束は、先生も俺が不合格となっていたことで気が動転していたときにしたものだし、俺の中でもそう整理を付けていた。それに、今のこの状況で、そんなことをしてしまったら、抑えが効かなくなってしまうのではないかとも考えてしまう。しかし、しかし・・・・・・
「ほ、ホントに、いいの・・・・・・?」
「・・・・・・うん」
小さく頷いた先生が、胸元で握っていた手をゆっくりと膝に降ろした。
背中を向けたままの先生に、ゆっくりとにじり寄る。俺が近付いた気配を察してか、先生の身体に緊張が走ったのが分かった。
「し、失礼します」
「ど、どうぞ」
先生が膝の上に置いた拳をぎゅっと握るのが見えた。俺も緊張で口の中がカラカラに乾いている。
俺は震える手をゆっくりと伸ばし、先生の脇から両手を差し込むとおそるおそる乳房を下から支えるように触れてみた。
「・・・・・・っ!?」
ぴくんと先生の身体が震えた。指先にゆっくりと力を入れてみると、薄いシャツ越しに下着に包まれた乳房の感触が伝わってくる。
―――う・・・・・・わ
女性の乳房がこんなにも柔らかいものだということを、俺は初めて知った。下着越しにも分かる信じられないほどの柔らかさと弾力が本能を揺さぶる。さらに俺を驚かせたのは、乳房の大きさだった。いつも間近で見ていて大きいとは思っていたが、先生の乳房は手のひらを広げても溢れるほど豊かで、持ち上げるとずっしりとした重みを感じた。
「んっ・・・・・・」
先生が小さくうめきにも似た声を漏らし、わずかに身を強ばらせるが、それ以上の抵抗も拒否するような素振りも見せなかったため、俺は再び乳房を躊躇いがちに揉み上げ始めた。
手のひらに感じる先生の体温と心臓の鼓動、間近で先生の身体から立ち昇る甘い香りとかすかな汗の匂い、それらが一体となって俺の理性のたがを外しに掛かる。
乳房を持ち上げるように揉み上げていた五指を乳房の曲線に沿って、カップの頂点へと這わせていく。
「はぁっ!」
乳首が隠れているであろう乳房の中心付近を、指先で挟むようにすると先生の唇から甘い声が漏れた。先生は慌てて口をつむぐが、俺の手の動きに合わせて「んっ、んっ」と喉を鳴らし身体を震わせていた。
「先生・・・・・・」
乳房をゆっくりと揉みしだきながら、先生の耳元へ囁く。
「な、なに?」
「直接、触っても・・・・・・いい?」
俺の言葉に先生が息を呑む。
「ダメ、だめ・・・・・・だよ」
「先生の肌を直接感じたいんだ。だから、お願い」
先生がきゅっと下唇を噛むようにして口を引き結ぶ。たっぷり1分近く逡巡したあと、先生は俯いたままゆっくりとした動作で服の下に手を入れると意を決したようにブラジャーのホックを外した。ぷちんと音がして、カップがたわむと乳房の大きさがさらに増したように見えた。
「ここまで・・・・・・だからね」
「う、うん。ありがとう、先生」
そう言うと、シャツの裾から両手を潜り込ませた。俺の手が肌に触れた瞬間、先生がぴくんと身体を震わせ、わずかにめくれ上がった裾からは白いわき腹がちらりとのぞく。緩やかに曲線を描く身体のラインに沿って手を上げていき、たわんだカップの下へと差し入れると、そっと両手で乳房を包み込んだ。
「やっ・・・・・・」
手のひらにしっとりとやわらかな乳房の感触が伝わってくる。吸いつくような肌理の細かい肌は、少し力を入れただけでも指先を呑み込んでしまいそうだった。しかも、ブラジャーの支えを失ったにも関わらず、その位置をほとんど変えることなく、重力など感じていないかのように張りを保っていた。
「はあぁぁ・・・・・・」
手のひら全体を使って乳房を揉みあげると、先生の唇から震えるような甘い吐息が漏れる。先生の乳房は、俺の手の動きに合わせてその形を変え、そのたびにぴくっとひきつるように身体を震わせた。
「ねえ・・・・・・もう、ここまでに、しよ・・・・・・?」
うなじまでうっすらと朱に染めた先生が弱々しく首を横に振る。それでも強い抵抗をしないのは、先生の優しさなのか、あるいは・・・・・・
「ごめん、もう少しだけ」
広げた五指でやわやわと乳房を揉みしだきながら、手を上の方へと滑らせていった。
「んくっ」
指先が乳首に触れた瞬間、先生が甘い声とともに身を縮こませるようにして身体を震わせた。先生の乳首は、すでに小指の先ほどに勃起していて、触れている俺の指先を独特の弾力で押し返してくる。溢れんばかりの乳房を包み込みながら、指先を勃起した乳首に添え、こりっとつぶすように転がした。
「んっ、ああっ!」
ひときわ高いあえぎを発して先生の首が反り返った。露わになった白い首筋に、俺はほとんど反射的に唇を押しつけた。髪の毛の間から立ち昇る甘い芳香を感じながら、先生の首筋をちろりと舐めると、ほんのりとした塩気が舌先に広がった。
「あぁっ!だめ・・・・・・、ダメぇぇ」
乳首を転がす俺の腕を先生が掴むが、その力は弱々しいものだった。指先で転がされるたびに、先生の乳首はさらに硬さを増していき、息を荒げながら艶やかな喘ぎを漏らす。
先生の髪を掻き分けるようにして白いうなじに唇を這わせつつ、乳房を揉みしだき乳首を転がしているうち、先生の身体から徐々に力が抜けてくるのが感じられた。やがて、自分では身体が支えられなくなったかのように、後ろから抱きすくめる形になっている俺に、寄りかかるように身体を預けてきた。
「先生・・・・・・」
耳元で囁いた俺の方に、先生がゆっくりと振り向いた。眼鏡の向こうのその瞳は、艶を含んでゆらゆらと揺れている。その瞳に吸い寄せられるように顔を近付けていくと、先生の瞼がすっと閉じられた。
―――先生
もう一度、心の中で呟くと俺も目を閉じて先生の唇へ俺の唇をそっと重ねた。
先生の唇は、マシュマロのようにふわりと柔らかく、そして甘い。夢中になって唇を押しつけ、甘噛みするように口を動かすと、先生も応えるように唇を動かしてくる。
先生が応えてくれた、そのことが嬉しかった。もしかしたら先生も俺のことを・・・・・・という思いが強くなり、熱い吐息が漏れる薄く開いた唇の間へと舌を挿し入れる。
「ん・・・・・・」
俺の舌先が先生の舌先にちょんと触れると、躊躇いがちに先生が舌を絡めてきた。ついさっきまでは憧れでしかなかった先生が、今はこうして唇を重ねていることが信じられなかった。
先生と舌を絡ませながら、うっすらと目を開けると眼前に朱がさした先生の顔がある。眼鏡の下の瞼は閉じられていて、切なげに眉根を寄せていた。
「んっ・・・・・・んんっ、んっ」
舌の動きに合わせて悩ましく先生の喉が鳴る。
俺は左手を乳房から離し、服の下から抜き取ると、先生の背中側から身体をずらして横抱きに先生の肩を抱く。
先生もまた右手を俺の背中に回し、左手は俺の頬を一撫でしてから後頭部へと回された。慈しむような動きで俺の背中を撫で、そして髪に指を絡めてくる。
―――もう、我慢できない
唇を重ねたまま、ゆっくりと先生の身体に体重を掛け、カーペットの上へと押し倒す。
「先生・・・・・・」
わずかに身体を起こし、先生を見下ろす。上気した先生の顔がゆっくりと俺の方を向き、艶を帯びた目で見返してきた。
「・・・・・・うん」
囁くように言った先生が恥ずかしそうに、わずかに顔を逸らした。俺はその無防備となった首筋へと唇を押しつける。
「あっ・・・・・・」
舌先を尖らせて首筋を舐め上げながら、右手で先生のシャツの裾をその下の下着ごとめくり上げていく。
「やっ、だめ・・・・・・」
先生がわずかに身をよじる素振りをするが、俺は構わずたくし上げると乳房を露わにさせた。服の下からこぼれ出た先生の乳房は、横になったせいでやや扁平になってはいるものの、弾力のあるきれいな形を保ち、その頂点では桜色の乳首がぴんと尖っている。
「ねえ・・・・・・、恥ずかしいから、電気・・・・・・消して」
顔を真っ赤にして顔を背けた先生が、消え入りそうな声で懇願する。
「俺は、先生の全てが見たい」
目の前に横たわる先生の肌は透き通るように白く、細身ながらも適度な肉付きの身体は艶めかしい曲線を描いている。その全てを目に焼き付けたいと心の底から思うのだった。
「で、でも・・・・・・」
俺は身体をずらして先生の胸元へと顔を移すと、乳房の頂点でぴんと勃起している乳首を口に含んだ。
「ああっ!」
先生の身体がびくんっと震える。乳首を舌先で転がしながら、右手で乳房を揉みしだく。芯が入ったように硬く勃起した乳首が舌先を押し返す。
「あっ・・・・・・んっ!んんっ・・・・・・」
先生の唇から漏れる喘ぎがより甘く湿り気を帯びたものに変わってくる。先生をもっと感じさせたい。この甘い声をもっと引き出したいという想いがますます強くなる。
「綺麗だよ、先生・・・・・・」
そう言って、乳首を唇で挟んで甘噛みする。
「あうっ・・・・・・、そんなの・・・・・・ずるい」
先生がむずがるように小さく身体を捩るが、本気で拒もうとしているのではないことは明らかだった。
唇と舌で乳首を愛撫しつつ、右手を先生の下腹部へそろそろと降ろしていく。しっとりとした肌の上を身体の曲線に沿って這わせると、先生がくすぐったそうに身体を震わせる。
指先がジーンズの縁に触れると、そのまま縁をなぞるように指先を前の方へと滑らせて、ジーンズのボタンをこじるようにして外した。
「・・・・・・やっ」
先生が身じろぎするが、俺は構わずジッパーを下ろしていった。押さえを失った前あきが逆三角形に開き、薄いブルーの下着の一部がのぞき見えた。
その光景に、ごくりと生唾を呑み込んだ。ズボンの下ではがちがちに屹立したペニスが痛いくらいに布地を突き上げている。俺ははやる気持ちを抑えながら逆三角に開いた隙間へと指先を滑らせていく。
「んっ」
おへその下で緩やかにくぼんだ肌が、股間に近付くにつれこんもりと盛り上がる。その丘の上では、生い茂った陰毛がふわりとショーツの布地を持ち上げている。
そして、丘を越えた指先は急角度で太腿とで形作る谷間へと落ち込んでいく。
「くぅ・・・・・・」
小動物のような声を漏らして、先生の身体がわずかに強ばる。指先が潜り込んだ谷間は、湿った熱を帯びていた。性器からわずかに浮き上がった股布は霧を吹いたようにしっとりと湿っている。俺は指先をわずかに曲げるとそっとクロッチを押し込んでみた。
「んっ!」
布地越しにもふっくらとした肉の谷間が指先に感じられた。中指から伝わる淫靡な温もりと柔らかさに指を動かせないでいると、クロッチの下からじわりと濡れが染み出してきた。指先を縦割れに沿ってゆっくりと動かしてみると、想像以上の滑らかさで布地がぬるりと滑る。
「・・・・・・先生、すごく、濡れてる」
「いっ、言わないで・・・・・・」
真っ赤な顔を横に背けた先生が、俺のシャツの裾をきゅっと握る。
「脱がしても、いい・・・・・・?」
横を向いて視線を逸らしたままの先生が、こくんと小さく頷いた。俺は先生のジーンズの中から手を抜くと、ウェストに両手をかけて引き下ろしていく。生地が硬くタイトなジーンズは、じりじりとしか脱がせない。そのもどかしさが、前のめりになりがちな気持ちを抑えて、逆に冷静さを取り戻させた。
ジーンズを完全に抜き取ってしまうと、先生は恥ずかしそうにくるりと背中を向けてしまう。シャツがめくれて露わになった背中のライン、ショーツに覆われた柔らかそうなお尻、そのどれもが美しく、艶めかしい。そしてよく見てみると、ふっくらと盛り上がったクロッチには親指大の染みが楕円形に浮き出ていた。
俺はいそいそと服を脱ぎ、トランクス一枚になると背中から先生の肩をそっと抱いた。
「先生・・・・・・こっち向いて」
「恥ずかしいよ・・・・・・」
背中を向けて、胸元で両手をぎゅっと握り、少女のように恥じらう年上の先生を心の底から愛おしく思う。
「俺も。でも、先生の全部を知りたいんだ」
そう言って、めくれ上がったままの先生のシャツの裾に手をかけた。先生は観念したように、おとなしく俺がシャツを脱がせるのに任せ、それからショーツと揃いのブルーのブラジャーを肩から抜き取った。
「先生」
肩を掴んだ手に力を入れると、両手で胸を隠したまま先生がゆっくりと振り向いた。
「んっ・・・・・・」
再び唇を重ねた俺たちは、今度は初めから積極的に舌を絡めていった。二人の舌が互いの口腔を行き来するたび、二人の唾液が湿った水音とともに混ざり合う。
重なり合った唇の隙間から二人の熱い吐息が漏れる。
俺は夢中で先生の舌を貪りながら、背中に回した手を下半身へと滑らせてお尻に触れる。すべすべとしたナイロン生地に包まれた先生のお尻は、乳房とはまた違った柔らかさで、俺の指の動きに合わせて自在にその形を変える。
「はうっ・・・・・・んっ」
先生の眉間にわずかに皺が寄り、絡めている舌の動きが激しくなる。
ぐにぐにと先生のお尻を揉み上げながら、俺の身体を上にして下着の股間へと指先を滑らせていった。
「んむっ!」
クロッチの中心に中指を押し当てた瞬間、先生の身体がびくんっと跳ねるように震え、塞がれたままの唇の下でうめきにも似た喘ぎを上げた。
再び触れた先生の下着は、さっきよりも明らかに濡れを拡げている。じっとりと湿ったクロッチは、指先に少し力を入れて押すだけでも、じわりとぬめりを溢れさせそうだった。
中指を割れ目に沿って力を入れると、クロッチの下に溢れた愛液が、ぬるりと容易く股布を滑らせる。
「あっ・・・・・・あっ・・・・・・」
指を往復させると、先生が甘い声を上げる。指をあてがったクロッチの表面が、じっとりとした湿り気から粘液質のぬめりへと徐々に変化していく。表面のぬめりが増すのにつれて、心なしか先生の足も開いているような気がした。
「あうっ!」
何度目か、指を往復させ縦割れが始まるあたりに触れると、先生がひときわ高い声を上げて身体を震わせた。試しにもう一度、同じ場所をこすり上げると「ああっ!」と再び先生が声を上げる。
―――ここって、もしかして・・・・・・
指先に意識を集中すると、割れ目の中にぽつりとしこりのようなものがあるのが分かった。布地越しでは、意識してないと見逃してしまいそうな小さな肉の粒、しかしそこを指先で転がすとびくんっと身体を震わせて先生が喘ぎを上げる。
「だ、ダメぇぇぇ」
下着の上からでもこんなに感じているのなら、直に触れたらどうなるのだろうという思いと、先生の性器を直接見て、触れたいという欲望が交錯する。俺は身体をずらして、両手を先生のショーツの縁に掛け、引き下ろそうと力を入れた。
「あっ、やっ、だめ・・・・・・」
慌てて先生が俺の手を押さえようとするが、俺は構わずゆっくりとショーツを引き下ろしていく。
「ね、お願い、電気・・・・・・消して」
先生が現れ始めた陰毛を隠すように両手で覆う。こんもりと盛り上がった恥丘の上には、柔らかそうな陰毛が逆三角形に生い茂っていた。
「だめ、だめぇ・・・・・・」
引き下ろされるショーツを止めようと指先を掛けるが、その抵抗は弱々しく、簡単に引き剥がされてしまう。
「あぁ・・・・・・」
先生の絶望的な声が漏れ、ショーツが完全に腰から抜けた。引き下ろされたショーツは、股間に張り付くように裏返り、性器から透明な糸を引きながら剥がされる。真っ白なクロッチの上には縦長の黄色い汚れがうっすらと描かれ、溢れ出た愛液が部屋の明かりをにぶく反射していた。
ショーツを完全に抜き取ってしまうと、閉じようとする先生の足の間へと身体を割り入れる。
「ダメ・・・・・・、見ないで、見ないでぇ・・・・・・」
肩幅ほどに開かされた足を閉じようとしながら、先生が両手で股間を覆い隠す。
「全部見たいんだ、先生」
股間を隠す先生の手をそっと掴んで引き剥がし、さらに身体を潜り込ませて足を開かせる。
「あああっ、だめぇっ」
先生が逃れようとするように腰をくねらせる。目の前に逆三角形に生えた陰毛の茂みと、その奥にのぞく性器の切れ込みが露わになる。まばらに陰毛が生えた肉厚の大陰唇の中心には、舌先を出すように小陰唇が覗いている。わずかに開いた性器は、表面をとっぷりと透明な愛液が覆い、てらてらと会陰へと川を作っていた。
「・・・・・・すごい」
目の前の淫靡な光景に息を呑む。同時に、むわりと甘い体臭と汗の匂い、かすかな獣臭に尿臭が混じり合った生々しい香りが鼻腔を刺激する。香水のような華やかな香りではないが、それが先生の飾り気のない本来の匂いだと思うと激しく興奮を掻き立てられる。
俺は両手で先生の内腿を押さえつけると、躊躇うことなく濃密な淫臭が立ち昇る性器へと口付けた。
「あっ、はあぁぁっ!」
先生の唇から甲高い喘ぎ声が漏れた。
性器に触れた唇にぬめっとした粘液の感触があった。舌先を割れ目の中身をすくい取るように舐め上げると、微かな甘みと鉄っぽさ、そして塩気が複雑に混ざり合った粘液の味が舌の上に広がる。
「やあっ、ダメっ!汚いィ・・・・・・まだ汚いのにぃぃっ!」
先生が慌てて俺の頭を押しのけようとするが、その手には全くと言っていいほど力が入っていなかった。
「そんなことないよ、先生」
鼻先を柔らかな陰毛の茂みに埋めながら、夢中で割れ目の中を舐め回す。
「なにを・・・・・・言って、あぁうっ!」
赤みがかった大陰唇を割り拡げ、粘液をとっぷりと蓄えたサーモンピンクの粘膜からぬめりをすくい取る。
「それに、すごくきれいだ」
「うそ・・・・・・うそ・・・・・・」
駄々をこねる子供のように先生がかぶりを振るが、足は押さえていなくても閉じようとはしなくなり、むしろ初めよりも開いている。心と体が羞恥と快感の狭間で綱引きをしているようだった。
ぱっくりと開かされた性器の奥に、いびつな円形をした膣口が見えた。
「んうぅぅっ!」
舌先を尖らせて膣口から愛液をすくい取る。膣口から舌先が離れると暇を開けず、とろりと白く濁りの混じった粘液が零れ出る。
「おいしいよ、先生」
とめどなく溢れ出る愛液を一滴残らず舐め取るつもりで、ぴちゃぴちゃと粘った音をさせながら舌先を往復させる。
「あああっ、だめぇっ!はあっ」
言葉では拒絶しつつも、わずかに腰を浮かせて、それはまるで性器を俺の唇に押し付けようともしているようだった。俺の顔を離そうとしていた先生の手は、いつの間にかその細い指を俺の髪に絡ませて、撫でるような動きへと変わっていた。
「先生、気持ちいい?」
自分の愛撫で、こんなにも感じてくれていることが純粋に嬉しかった。だから、もっともっと感じさせて甘い声を引き出したかった。
「やっ・・・・・・、そんなこと・・・・・・き、聞かないで」
「先生が感じてくれると、俺も嬉しい。だから・・・・・・」
俺は舌先を尖らせると、割れ目の上にある小さな突起に押し付けた。
「あうっ!!」
びくんっ、と先生の身体がのけぞるように跳ねた。肉の鞘から顔を覗かせた真珠色のクリトリスが、先生の呼吸に合わせてひくひくと震えている。陰毛を掻き分けて親指の腹で肉鞘を押さえると、つるりと包皮が剥けてぷっくり膨らんだクリトリスが露わになる。
「やっ・・・・・・ああっ!」
むき出しのクリトリスを舌先でくるりと転がすと、俺の頭に添えられた先生の手が性器に押し付けるように力が入る。
先生の手の動きに後押しされ、俺は舌の動きをさらに激しくさせる。尖らせた舌先でツンと勃起した肉芽をはじき、ほじるように転がし、ぎゅうと押しつぶす。
「あっ、アグゥっ、はあっ・・・・・・ああっ」
先生の嬌声と性器から上がる水音が、部屋の中に響きわたる。
「だ、だめっ、わたし・・・・・・もう・・・・・・もう・・・・・・っ!」
先生の声が切羽詰まったものに変わってきて、下腹部が小刻みに震えながら力が入り始める。
「イキそうなの、先生?」
俺は肉鞘ごとクリトリスを唇で包み込んだ。
「んうぅぅっ!」
返事の代わりに先生が腰をしゃくりあげ、同時に性器に押し付けるように頭に添えた手に力が入る。
その瞬間、俺は唇で包んだクリトリスをきゅうっと吸い上げた。
「やっ、だっ・・・・・・ああああっっっ!!」
がくんがくんと先生の腰が何度も震え、俺の頭を性器に押し付けながら、甲高い嬌声とともに先生が絶頂に達した。
「はっ・・・・・・ああぁぁ・・・・・・」
先生の腰がどさりと落ちる。M字に開かれたまま、ぴくぴくと小刻みに震える太腿の間に顔を埋めたまま、性器から溢れ出た白っぽい愛液を舐め取った。
「はあぁぁぁ・・・・・・」
先生の唇から甘い吐息が漏れる。
「挿れていい?」
性器から顔を上げて表情をうかがう。先生は呼吸を整えながらも、とろけたように潤んだ瞳を向け、恥ずかしそうに小さく頷いてくれた。
ついに先生と結ばれる時が来たという喜びを胸一杯に感じながら、最後に一枚残ったトランクスを脱ぎ捨てる。
痛いほどに勃起したペニスが、戒めを解かれて下腹に付きそうな勢いで反り返っていた。
俺は開かれたままの先生の脚の間に身体を滑り入れ、柔らかな身体に折り重なっていった。
「いくよ」
ゆっくりと腰を沈めていき、割れ目へとペニスを押し当てる。
「ん・・・・・・」
濡れた割れ目に触れた瞬間、先生が小さく喉を鳴らした。ペニスの先が柔らかな大陰唇を割り拡げ、わずかに潜り込む。先端に先生の中から溢れ出たぬめりと温もりを感じながら、ぐいっと腰を突き出すが、俺のペニスは膣口を捉えられず、つるりと割れ目の上を滑ってしまう。
「ご、ごめん」
なぜだか恥ずかしさがこみ上げて、とっさに謝ってしまった俺に、優しい眼差しで見上げながら先生が小さく首を振った。
「焦らなくても、大丈夫だよ」
そう言って先生は両手を俺の腰に添えると、ゆっくりと引き寄せる。
「だから・・・・・・ね?」
その言葉に促されて、俺は再び先生の性器へとペニスを押し当てる。今度は外してしまわないようにと、割れ目の奥にある膣口を探してゆっくりと腰を動かした。
「んっ、もうちょっと・・・・・・下」
柔らかな先生の手の動きも頼りにして、慎重にペニスの位置を変えていくと、ペニスの先端にわずかに引っかかりのような感触があった。
「あっ・・・・・・、そ、そこ」
くんっと先生の手のひらに力が入り、亀頭がぬるっと呑み込まれた。
「はあっ!そ、そのまま・・・・・・来て」
先生の中の温かなぬめりに導かれるように、ペニスに力を込めて腰を押し進める。
「あっ、あっ」
先生が両手を俺の背中に回し、ぎゅうっとしがみついてきた。ペニスが半分ほど埋め込まれたところで、ぐっと腰を突き出した。
「あああああっ!」
十分に濡れそぼっていた先生の膣は、ぬるりと俺のペニスを根本まで受け入れた。
「先生っ!」
俺は先生の頭を掻き抱くと、唇にむさぼりついた。先生も夢中で挿し入れた俺の舌に、甘い吐息を漏らしながら吸いついてくる。
初めて味わう先生の中は、信じられないほどの熱と柔らかさで俺のペニスを包み込んでいる。ねっとりと絡みつく膣壁は、舌の動きに呼応するかのようにひくひくと蠢き、まるで俺のペニスを奥へ奥へと呑み込もうとしているようだった。
「先生のなか、温かくてすごく気持ちいい」
ペニスを埋め込んだまま先生を抱きしめる。全身で感じる先生の体温と、胸板の間で押しつぶされている乳房の柔らかな感触が心地いい。
「わ、わたし・・・・・・も、あうっ!」
根本まで挿し入れたペニスをさらに奥に押し込むように、ぐいっと腰をしゃくりあげた。
「やあっ、そ・・・・・・そこ、だめぇっ」
俺の背中を抱きしめる先生の手に力が入る。桜色に染まった先生の身体が小刻みに震え、膣がきゅうっと収縮する。
「くぅっ・・・・・・ここが、いいの?」
腰を密着させたまま、ぐりぐりとこねるように膣壁にペニスの先を押し付ける。
「うっ・・・・・・ん、そっ、そのまま・・・・・・して」
俺の首筋に顔を当てて、先生がさらに強く抱きしめてきて、膣がきゅううううっとペニスを痛いほどに締め付ける。
「う・・・・・・わっ、すご・・・・・・い」
「んっ、んっ・・・・・・んん~~~っ!!」
先生がきつく抱きついたままびくっ、びくっと何度も痙攣のように身体を震わせる。
「先生、もしかして・・・・・・」
「女の子にそんなこと聞かないの」
顔を離した先生が「めっ」と俺の唇に人差し指を当てた。「それに・・・・・・」と先生が少し恥ずかしそうに俺を見上げる。
「キミも、好きに動いていいんだよ?」
「大丈夫?」
おそらくは絶頂の余韻で、まだ先生は呼吸が整ってないように見える。
「・・・・・・うん、それに、わたしばっかりじゃ・・・・・・恥ずかしいから」
先生は両手を俺の腰に添えると、ぐっと密着させるように引き寄せた。
「う・・・・・・」
先生の中でぱんぱんに勃起したペニスに舞い電流が走り、びくんとペニスが跳ねる。
「だから・・・・・・ね?」
そう言って先生が上気した顔で、優しく微笑んだ。俺も、興奮と快感で長くは保ちそうもないのが分かっていた。
「じゃあ、動くよ」
両手で上半身を支え、ゆっくりと腰を引く。
「ん・・・・・・」
ずるるるる、とペニスを引き出して亀頭の縁で止め、間を置かずに再び腰を沈めていく。
「ああっ!」
先生が俺の二の腕を掴み、首を仰け反らせる。先生の膣壁の感触、襞の一枚一枚を感じ取るように腰を振る。
「はあっ、あっ・・・・・・ああっ」
腰を打ち付けるたび、先生は眉根を寄せ、苦悶の表情にも似た顔で喘ぎを上げる。二人が繋がった場所からは、ぐちゅぐちゅと粘った水音が上がり、俺たちの荒い息と一緒に部屋中にこだまする。
「せ、先生、俺・・・・・・めちゃくちゃ気持ちいい」
「わたしも、わたしもぉぉぉっ!」
俺は唇をきゅっと引き結び、夢中で腰を振りたくりながら射精感が身体の奥から沸き上がってくるのを感じていた。
俺は再び先生に覆い被さると、熱く火照った身体を抱きしめて唇を重ねた。
「んっ、んむっ!」
挿し入れた俺の舌に自分の舌を激しく絡みつかせながら、先生も俺の身体を抱きしめて腰をグラインドさせる。二人の汗で、抱きしめ合った肌がぬるぬると滑る。
「ごめ・・・・・・、俺・・・・・・もう、我慢できない」
下腹部の奥にぎゅうっと力が入り、急激に快感が高まっていく。
「んんぅっ!だめっ!だめえっ!」
先生が髪の毛を振り乱すように首を振るが、その言葉とは裏腹に俺の身体をさらにきつく抱きしめてきた。
「うっ、先生、先生っ!」
「やっ、だめっ!あっ、ああっ!」
俺が最後の一突きを先生の最奥へと突き入れるのと同時に、先生の膣がぎゅぎゅっと収縮する。
「くああっ!」
次の瞬間、これまで感じたことのない快感が身体の中心を稲妻のように駆け抜け、ペニスが激しく脈動しながら、先生の子宮をめがけて精子を吐き出した。
「あああああっ!!」
先生も甲高い喘ぎを上げながら、俺の身体を抱きしめる。
ペニスを引き絞る膣の中では、どくどくといつ果てるともしれない射精が続いていた。
激しい絶頂を迎えた後も、俺たちは乱れた息を整えながら抱きしめ合っていた。火照った身体を通して、とくんとくんと先生の鼓動が伝わってくる。
「もう、だめって言ったのに」
先生が俺に抱きついたまま耳元に囁く。その口調は、いつもの先生らしい、弟に言い聞かせるような口調に戻っていた。
「う・・・・・・、ごめん」
素直に謝る俺の頭を優しく撫でながら、先生が「ふふ」と小さく笑った。
「いいよ、たぶん大丈夫なときだと思うから」
そう言って、再び俺の身体を優しくぎゅっと抱きしめる。
先生の身体の温かさに、胸が締め付けられる。この温もりを離したくない、他の誰かのものになんてさせたくないという想いが、急激に膨らんでくる。でも、そのためには俺の気持ちを先生にはっきり伝えなければいけない。だから、俺は身体を起こして先生の瞳を正面からじっと見据えた。
「・・・・・・先生」
「ん?」
先生が、まだ赤み掛かった顔をわずかに傾げる。
「俺、先生のことが好きだ」
俺の言葉を聞いた先生が、一瞬だけ驚いたような表情を浮かべ、そしてくすりと微笑んだ。
「順番、逆だね?」
「わ、分かってる。けど、こうなる前から、ずっと先生のことが好きだったんだ!」
慌てて言い繕う俺を見た先生が、優しい表情で目を細めた。
「うん、ありがと。でも・・・・・・」
「でも?」
今度は俺が首を傾げる番だった。俺の下で先生が恥ずかしそうにしながら、わずかに視線を逸らした。
「わたし、すぐオバサンに、なっちゃう・・・・・・よ?」
一瞬、先生が何を言っているのか分からなかったが、その意味を理解すると、思わず吹き出してしまった。
「わっ、ひどい!わたしだって真剣なのに」
頬を膨らませた先生が「う~」っと睨んでくる。
「ごめん。先生がそんなこと気にするなんて思ってなかったから」
「するよぅ。だって、キミが卒業する頃には、わたしもうアラサーだよ?」
苦笑いを浮かべる先生の頬に、俺はそっと手を添えた。
「それなら俺も同じだよ。俺はガキだし、少なくともあと4年は何の力もない学生でしかない」
だからといって、先生を諦めるつもりなんか毛頭なかった。この想いをどうにかして先生に分かって欲しい。
「それでも、俺は先生のことが好きだ。頼りないかもしれないけど、先生のそばにいたい。先生を守りたい。この気持ちは他のどんな奴にも負けないつもりだ」
頬に添えた手に力を込めて、先生の瞳をまっすぐに見つめる。
「あなたのことが好きです。僕の彼女になってください」
眼鏡の奥の瞳が部屋の明かりを反射してゆらゆらと揺らめいている。
「もう、そんなこと言われたら・・・・・・断れないじゃない」
先生の顔が泣き笑いのようにくしゃりとゆがみ、俺の手をきゅっと握った。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
そう言って笑った先生の顔は、これまで見た笑顔の中でも一番の笑顔だった。
「院生ちゃんと後輩君~俺と新生活と先生と~」を読んでいただきありがとうございました。
浅倉椎です。
次はニセコイものでと言いつつ、やっぱり予定は未定を体現してしまいました。
しかも今度は別のカップリングというね。
今回は、突発的に「降りて」きたものなのでシリーズ化するかどうかは全くの未定です。
ていうかストックがないので・・・・・・
さて、次回はほんとにニセコイもので。
Hシーンの触りまでは書け(ry
ではでは