※この作品はR-18です。

創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius   作:JNEXEL

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※当話は予告編です。


Season1 MyProgres"S"
File.0 新たな力をBUILDせよ!


明かり一つない真っ暗な部屋。光そのものが吸い込まれ消えてしまいそうな程の漆黒の空間。その部屋の中心に赤と青の光が集まり、人の形を成していく。鋭い双眸に光が灯る。両肩と状態の一部もぼんやりと青く発光した。直角的なラインに、V字型のアンテナ。見れば誰しもガンダムタイプだと分かるだろう。

「さぁ、実験開始だ」

ガンダムタイプのコクピットに座る青年は、眼前のコンソールパネルをタッチした。部屋の奥からゆっくりと明かりが灯りだした。床と天井に光源が仕込まれており、全て点灯するとかなり眩しくなる。赤と白を中心とし、所々に青いクリアパーツを配しているが武装や装甲を増やしていない。故にかなりシンプルな姿をしていた。どちらかと言えば正統派のガンダムタイプと取れる風貌をしている。やがてガンダムタイプの目の前に別の光が集まり、2体のMSを形成した。

「ダブルオークアンタフルセイバー、V2アサルトバスターガンダム。うん、相手にとって不足は無し。それじゃあ、行くか」

ガンダムシリーズの中でも強烈な性能を持った2体を相手にするようだが、この青年は一切動揺していない。むしろこれでようやく、この機体の性能を確かめられると言いたげな表情をしていた。クアンタフルセイバーがGNソードビットを自身の周囲に展開し、一気に加速をかけガンダムとの距離を詰める。GNソードⅣフルセイバーに右手をかけ、今にもガンダムを斬り裂かんとした。しかしガンダムはひょいと右にステップし斬撃を避けると、サイドアーマーから柄を引き抜く。柄の先端から光が揺らめいたかと思うと、瞬く間に刃の形を成した。その名もビームサーベル。MSの武装としてはごく標準の武装だが、使い勝手と取り回しの良さから全ての機体が装備していると言っても過言ではない。ガンダムがビームサーベルでGNソードビットを一基刺突して破壊すると、そのまま昇竜斬りでクアンタフルセイバーを打ち上げようとした。しかしクアンタフルセイバーもGNソードⅣフルセイバーの腹を向けて防いだ。ところがこれも青年の読み通りであった。ガンダムがGNソードⅣフルセイバーの腹を蹴り飛ばし、仰け反らせた所へエルボースマッシュを叩きつけた。V2アサルトバスターがクアンタフルセイバーの上に現れ、全砲門を前面に向け一斉発射した。

「やっべ...!?」

4つもの砲口から放たれるビームに加え、範囲外をカバーするかの如く迫るミサイル。青年の駆るガンダムにはシールドの類は一見して存在しない。だがそれでも青年は驚くだけでパニックには至らなかった。ガンダムの踵についたタイヤがギュルリリリリ!と唸りを上げた。何とガンダムはローラースケートのように床を滑った。V2アサルトバスターもビームとミサイルは標的を失いただ床に大穴を開けた。クアンタフルセイバーも同時に動き出し、GNガンブレイドを両手に構えガンダムの行く手を阻むように撃ち込む。ガンダムはそれをビームサーベルで斬り潰し、V2アサルトバスターの方へと突き進んだ。

「早速試そうか!ウェポン・ビルドアップ!」

青年が宣言する。突然、ガンダムの左手にパーツのようなものがどこからともなく集まり、ガシャン!と音を立てながらバズーカ型の武器を形成した。砲口と言うには径が小さい。銃口と言うほうが近いだろう。それが4つ配置されており、さながらガトリング砲である。V2アサルトバスターがメガビームシールドからバリアビットを展開、自身の目の前に置いて離脱を図った。しかし。

「ただのビームランチャーとは思うなよ?」

ガンダムの持つビームランチャーから、極小の光の粒が飛び出した。その内の2つがV2アサルトバスターの設置したメガビームシールドに着弾した途端、青白い爆風を起こし本体を削り取ったかのように消失させた。これと同じ特徴の武器はただ一つ。

「F91のビームランチャーと、ユニコーンのビームガトリングガン。そしてG-セルフのフォトントルビード。いい組み合わせだと思ったけど最早ベストマッチだ」

クアンタフルセイバーが時間を稼ごうと前に出た。次第に機体を真紅の輝きが包む。青年はそれを見るや興奮したように喜んだ。

「来た!トランザム...ならこれはどうだ?ウェポン・ビルドアップ!」

コンソールを操作する。選択したのは、テスタメントガンダムのコンピュータウイルスとキュベレイのファンネルとローゼンズールのサイコジャマー。クアンタフルセイバーをギリギリまで引き寄せ、わざとビームサーベルをブーメランの要領で投げつけた。クアンタフルセイバーは見事に引っ掛かり量子化した。そのまま背後から串刺しにしようとしているのか中々姿を見せない。だが青年としてはそれでよかった。V2アサルトバスターが武装ユニットを全てパージ、ミノフスキードライブから光の翼を羽ばたかせながらビームサーベルで斬りかかる。ガンダムも素早く反応してV2の右腕を掴みぐるりと立ち位置を変えた。クアンタフルセイバーが量子化を解除して攻撃に移るが、標的だったはずのガンダムではなく、僚機のV2を斬りつけてしまった。その間にガンダムはバックパックのコンテナからファンネルを射出、クアンタフルセイバーとV2の周囲に取りつかせた。現状クアンタフルセイバーはトランザムを稼働させた状態にある。つまり解除するまでは量子化する可能性が高い。そして案の定クアンタフルセイバーは再び姿を消した。

「よし、勝利への解は出た。後は実行するだけだ!」

青年が勝ち誇ったように声を上げ、指をパチンと鳴らした。ファンネル同士が光の線で結ばれ、矩形の檻を作り出した。V2が唐突に挙動不審に陥り、何もないところへビームライフルを連射し始めた。そしてクアンタフルセイバーの量子化も突然解除され、暴れ狂うV2に攻撃されていく。ガンダムの左手には先程のランチャーが握られていた。ファンネルから展開していたフィールドを解き、全方位から撃ち込むのと同時にビームランチャーからフォトントルビードを連射、クアンタフルセイバーとV2諸共消し去ってしまった。

 

「凄いな、これは」

戦いの様子を見ていたスーツ姿の眼鏡をかけた男は、ガンダムの持つ力に嘆息した。青年もダイバーズから戻ってき、スキャナからガンプラを取り出した。先程のガンダムに変わりないが、ビームサーベル以外の武器がない。あのビームランチャーもファンネルも、ダイバーズの中でのみの存在だったのだ。

「どうですか、東郷さん。一応戦闘用に改造しましたけど」

「全く君は恐ろしい奴だよ...水崎。何でもありじゃないか...で、その機体。何て言うんだ?」

東郷に問われ、ガンダム操っていた青年"水崎 諒馬"は暫し天井を見上げた。そして思いついたのか指を鳴らした。

「ビルドブレイズガンダム。"造る"、"形成する"って意味の、ビルドだ。ブレイズはスターバーニングのバーニングを言い換えてみた。最っ高でしょ?」

諒馬は得意げに笑い、ビルドブレイズガンダムを再びスキャナの上に置いた。その矢先、携帯電話が振動した。どうやら通話の着信らしく、諒馬は東郷に一言断って部屋を出て応答した。

「はい、水崎です」

「いきなりのご連絡申し訳ございません。私監査法人わかさリサーチの〇〇と申します」

わかさリサーチと聞いて、諒馬はピンときた。諒馬の所属する会社「ZeuS」の監査法人だと聞いたことがあった。しかし、監査法人から一社員に過ぎない諒馬に直接連絡を寄越すと言うのは、理解しがたい。普通ならば然るべき部署に連絡が行くものではないのか。諒馬は内心呟いた。

「監査法人ですか...どうなさったんです?」

「お電話ではお話しできない事でして、実は本日中にでも直接お会いしたいのですが」

何事かもわからず、諒馬は釈然としないまま返事をした。

 

3時間後、諒馬はわかさリサーチの会議室を訪れた。そこに居たのは諒馬と歳が近い男性社員だった。

「下田と申します。本日はご足労いただきありがとうございます。こちらへどうぞお掛けになってください」

下田に促され、向かい側の席に腰かけた。下田がスーツ姿に対し、諒馬は明らかに私服だった。と言うのも、ZeuSのダイバーズ開発部はある程度の役職の者以外は基本的に服装は自由なのだ。それは下田も知っていたので何事もなく話は進む。

「実は水崎さんにお願いしたいことがありまして。ガンプラダイバーズでの事件の事後処理なのですが」

「事後処理...?確かに起こしたのこちらですし、それは責任だとは思いますが...なぜ俺に?」

戸惑いを隠せない諒馬を見て、下田は少し申し訳なさそうな口調になった。正直事件を起こした人間達は行方も掴めぬ状態であり、現在のZeuSで連絡を取れる社員がほぼいなかった。ZeuSの当時の取引先を介してようやく見つかったのが諒馬と言うだけの話であった。

「あの事件の規模から想像もつかないほどの損害額を算出したため、データの整合性を確保するためにも被害状況を集約しなければならないのです」

「でも、それって監査法人の出番じゃないんですか?」

「私もその様に進言したのですが、全てのサーバー群をシステム面からでも調査できるのはやはり開発側以外にない、と。しかも事件の中心となった組織の後継者を標榜する連中まで出てきたと聞きます。解体させるにはダイバーズの経験者でないと難しいでしょう。ですが我々にはその様な人材が無く、これも致し方なく」

「冗談でしょう...だけど俺がやるにしたってどうすればいいんだ...」

ガンプラダイバーズの開発以前からその成長に力を尽くした立場としては、悔やんでも悔やみきれなかった。あの事件の影響で人格の豹変まで起こしたという話も耳にしていた。まさか開発した人間でさえ想像し得なかった事象が発生してしまう。信じたくはないが、これが事実なのだ。だとすれば、他の誰かに任せるなんて事は絶対にできないと思い始めた。それが開発者としての責任だと自分に言い聞かせる。

「...分かりました、お引き受けします」

「かなりお辛いものになると思いますが、我々も出来る限りのサポートはしていきます。どうか、よろしくお願いいたします」

「いや、やるなら俺にすべてやらせてください。結果は必ず持ち帰りますから」

 

開発部に戻るなり、諒馬はガンプラダイバーズの開発環境ソフトを立ち上げた。

(やるなら今しかない...これはダイバーズを立て直せって言う事なんだから、出来る事は全部するんだ。ビルドシステム...こいつさえあれば、ダイバーズはあるべき姿を取り戻せる...!)

諒馬のキーボードを叩く速度がいつにも増して速くなる。同時並行でUML図を逐一見直しつつ、SNSを使って現在の被害状況の確認も行う。これだけのタスクを重ねて作業を行うのは並の人間では気が狂うだろう。しかし、諒馬はむしろこの作業方式の方がやりやすい。同僚から恐れられた事もあったが、このスタイルを変える気はないようだ。

「動き出す時までにはこいつもまともに戦えるようにしないといけないのか...いや、やって見せるさ。何たって俺は天才だからな!」

スキャナの上に置かれたビルドブレイズガンダムを見て、諒馬はますます気合が入った。

 

贖罪の為の戦いの幕開けまで残り僅か。水崎 諒馬はどんな運命を辿るのか。




[次回予告]
不良集団も同然の連中から追われる女の子を助けたリョウマ・アルキメデスこと水崎 諒馬は、彼女の頼みを受けチンピラ連中と戦うことに。ビルドシステムを実戦で使うのは初めてではないが、まだ完成度が低いために苦戦を強いられる。だが、リョウマは引き下がる道を選ばなかった。

次回、創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius File.1「運命のボーイ・ミーツ・ガール」

初っ端から飛ばしちゃダメか?
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