創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius 作:JNEXEL
突然姿を消した弘を追い、交流広場第8区画へやって来た諒馬達。リョウマはそこでグロックと遭遇し、ブルームーンと呼ばれる組織が解体された事を告げられ、動揺してしまう。一方の弘は親友である望の気配を信じ、一人バトルエリアへ飛び込むのであった。
ビルドレイザーとイフリートコラプス。両者の間に訪れた静寂を先に破ったのは、前者だった。動き出してからすぐにフラガラッハ3を消滅させ、GNソードⅡロングを二振りを形成しX字に斬りつける。イフリートコラプスもすぐにヒートサーベルを振り上げ一の太刀を受け止め、二の太刀も同様に防ぐとサイドアーマーからダートビットを射出した。ビルドレイザーは素早く反応して、ヒートサーベルを支店に飛び退き、頭部バルカンでダートビットを次々と破壊する。そのままバーニアの推力を上げ真下からの掬い上げるように斬撃を加え、その反動を利用して一気に振り下ろした。しかしイフリートコラプスはそれにも見事に対応した。最初の斬り上げは敢えて刀身で受け切り、破壊させてから再度ビルドアップして再生させた。これで刃こぼれしたとしても、瞬時に攻撃力を取り戻せる。そして振り下ろされたGNソードⅡロングの重撃を、交差斬りによる衝撃波で弾き返した。リョウマはシューインもとい、東郷 純一がダイバーズをしたことが無いと思いこんでいたため、少しの戸惑いを感じた。
「割にやる.....!て事はこの為だけに始めたんじゃないのかよ」
「戯け。私がこれを始めたのは初めからお前を消すためだ」
イフリートコラプスが駆け出し接近すると見るや、ビルドレイザーは僅かに下がりつつ、GNソードⅡロングをソードモードからライフルモードに切り替え、三日月型のビームを放った。範囲の広いビームなら、真横に避けられたとしてもダメージは与えられると踏んでの選択であった。だがイフリートコラプスはリョウマのそんな予想を簡単に裏切った。突然倒れ込む様にして地面スレスレを飛び、ワイドカッター状のビームを躱した後、バレルロールしながらビルドレイザーの真横に着地したのだ。これにはリョウマも舌を巻いた。
「何だよ.....簡単に避けるなんて....!?」
「これ位造作も無い。この為だけに作られたイフリートを、舐めてもらっては困る」
イフリートコラプスが放つ突きを、ビルドレイザーは仰け反って回避、GNソードⅡロングを放り投げ次の武器を形成した。
「クソ.....こうなったらこれでやってみる!ダブルビルドアップ!」
ビルドレイザーはすぐさまイフリートコラプスの腹に横蹴りを食らわせ、距離を作ると右腕と両足に光が集まった。右腕には前腕を覆う程の大きさの、先端部がドリルの近接武器"ドリルクラッシャー"、両足は形を変え爪先が鋭利になり踵には微細な刃を生やしたホイールを生成した。地を滑るように駆け回り、ジグザグに動きながらドリルクラッシャーをすれ違いざまに叩き込む。奇妙な挙動変化にシューインは眉を顰め、歯を食いしばる。
「なんて動きだ!ふざけているのか!」
「遊びなんかでこんな事やるかよ!東郷さん、アンタは何で今の今までアーネストに手を貸した!?ダイバーズの傷跡を広げるような真似までして、何がしたいんだ!!」
ビルドレイザーが助走をつけて飛び上がり、勢いと質量を上乗せしてドリルクラッシャーを叩きつけた。イフリートコラプスは衝撃を受けながらも踏ん張り、カウンター気味に再形成したヒートサーベルをビルドレイザーの首元に向けた。
「負の遺産は遺産として後世に残し、二度とあの様な惨事を引き起こさぬ決意を示す為だ....!何も間違ってないだろう。だがお前はどうだ?全てを浄化して無かった事にするだけだ。そんな事で前に進めると思うのか!?」
「俺はただ、その傷跡を利用してダイバーズをまた人が人であるのを失わせる、そんな道具なんかにされたくないだけだ!そうならない為にも、ビルドシステムは必要だし完成させる!ダイバーズを本来の姿に戻してやらなきゃ、また同じ過ちだけが繰り返される!東郷さん....アンタのやってる事はZeuSが....百崎が作ってきた歴史を、また歩むだけになるんだぞ!それを分かれってんだよッ!!」
辛うじて堰き止めていた左手のヒートサーベルが砕け、ドリルクラッシャーの一撃が胴部装甲を抉った。高トルク回転による衝撃は並のものではなく、イフリートコラプスを弾き飛ばす程の力を見せた。しかしイフリートコラプスも反射的に、ヒートサーベルを振り上げておりビルドレイザーの顔面に裂傷を負わせた。左の青い眼が潰され、モニターに激しいノイズが走るようになった。リョウマも左腕に強い痺れを感じたが、まだ戦いを諦めるつもりはない。
「ヤバくなってきたな.....だけど後には引かないって決めてるしな....最悪だ」
F91-Mは限界稼働に移行し、残像を発しながら空中を縦横無尽に駆け回る。ビームカーテンを次々と寸断し、動きやすい環境へと作り変えていく。無論ノアールロータスを追い続けているのには変わりはない。ビームサブマシンガンと、ジェットペネトレイターのビームマシンガンを斉射しながら、行先を詰め続けた。しかしノアールロータスはムーンサルトも絡めた鮮やかな回避行動を見せ、鉄塔を蹴りつけてF91-Mを飛び越えた。
「悪いけど、まだあなたには負けられないのよ」
飛び越えながら身をよじらせ、ビームアサルトライフルを頭上から撃ち込んだ。スワンが上手く反応したお陰で最低限の被弾で済んだが、そこから即座にノアールロータスの飛び蹴りがシールド発生器に命中、破壊したままくるりとF91-Mの腕の上に乗り上げ、顔面に強烈な回し蹴りをぶつけ撥ね飛ばした。
「な、なんて強さ....!!完全に不利を取られてる.....!」
スワンが思うに、F91-Mとノアールロータスはほぼ似たコンセプトで作られている。しかし両者は高機動+白兵戦向きでありながら決定的な違いがあった。F91-Mはミノフスキーブースターと限界稼働による爆発的な加速を以て、相手を貫く。謂わば直線機動に強みを持つ機体。ところがノアールロータスは、高機動型としては最低限の加速性能だがその分取り回しの良い武装を持ち、身軽かつ高い運動性からくる旋回能力で相手を翻弄し弱点を突く、小回りの良さが強みとして機能している。そう言った違いがあるのだ。AMBACを最大限活用したとしても、追い縋れる保証は全くと言っていいほど無い。スワンの"機体の強みを先鋭化させる"手法が、このノアールロータスを相手する時に仇となりやすかったのである。だがここで引き下がるのは、スワン―奏に流れている血が許さなかった。
「まだ勝機があるかも知れない.....ここまま引き下がりません!」
スラスター噴射で起き上がると、再びミノフスキーブースターの出力を上げた。F91-Mの背中からまるで翼が生えるかのように光を発し、あっという間に上空へと飛翔させた。そのまま揺らめく光の翼を雄々しく羽撃かせ、翡翠の如く急降下した。ジプシーは「懲りないわね」と笑みを見せ、ノアールロータスをジャンプさせ攻撃を躱した。しかしスワンはこれが狙いだった。
「少しでも可能性があるなら、私はそれを物にする.....そうだよね、レイ!」
スワンは胸に拳を当て祈るように瞼を閉じ、大きく見開いた。コンソールの上に高精度スコープモニタが迫り出され、ジェットペネトレイターの先端部にロックオン表示がなされた。スワンは手早く照準を合わせると、間髪入れず引き金を引いた。ジェットペネトレイターの刀身の基部、その周辺から一瞬放電しブースターを点火させて本体から勢いよく射出し、更に加速をかけながら突き進んでいく。
「ショットランサーとでも言うの!?は、速すぎるッ.....えぇい!!」
ジプシーは自らの反応の遅れを呪った。ビームアサルトライフルを放り投げ身代わりにして、槍身を巻き込んで爆破しようとした。しかしその目論見はいとも容易く破られてしまう。ジェットペネトレイターはビームアサルトライフルを秒もかからず貫通し、勢いを殺さぬどころかますます強めてノアールロータスのシールドを左腕ごと貫き、そのまま切り落としてしまった。そこから続けざまに、ジェットペネトレイター本体を放棄したF91-Mが、両手にビームサーベルを持ち斬りかかる。
「今度こそは倒します!どうかご覚悟を!!」
「私は私の正義を貫き通す.....!こんな所でやられる訳には!」
袈裟に振り下ろされるビームサーベルめがけ、ノアールロータスは剣を叩きつけた。緑の刀身は淡い光を放つとビームサーベルの出力を奪い、掻き消したのだ。
「こ、これは!?サーベルが吸い込まれる.....!?」
未知の機能にスワンは当惑し、思考が止まりかけた。その隙を突いてノアールロータスは一回転して勢いをつけ、緑の光を帯びた黒い剣でF91-Mの胸部を突き刺し、蹴り飛ばして叩き落とすとジプシーは迷わずノアールロータスを戦場から離脱させた。
「後数ミリ秒でも遅れたら......取り敢えず、戦力の分散は出来たから私の仕事はここまで....本当、下手したらやられてたわね....!」
F91-Mやスワンにではなく、ジェットペネトレイターの恐ろしさを評価する。どう見ても機体に不釣り合いな武器でしかないが、単体で見ると非常に魅力的に映った。一方F91-Mは建物を何棟も突き破りながら吹き飛ばされ、最終的に公園の大地に叩きつけられた。
「逃げられるなんて.....!ごめんなさい、水崎さん....常岡さん....お役に立てなかった....!」
スワンはコンソールに突っ伏し、肩を震わせた。上手く行ったはずの賭けが見事にひっくり返された挙句、完全にとどめを刺すこともなく見逃された。悔しさが募り、溢れてくる涙を流すのでさえ許し難かった。そのまま機体は爆発し、光となって消えた。もちろんスワンは死ぬことも無ければ、"自分を失う"事もない。だが、その無念さは容易に想像できるだろう。
リゲルはこの状況を利用できるのでは無いかと考えた。急遽加勢したウヴァルスタークと、自分の正体に気づかず対峙してきたドラグハート。リゲルとしてはドラグハートの攻撃の矛先を上手くウヴァルスタークに仕向けたかった。そうすればきっと、弘は自分に気づく糸口を見つけてくれると思った。
(考えろ、考えるんだ.....どうすれば弘の攻撃を全て奴に向けられるか.....考えるんだ!)
一歩引いた位置から戦いに参加しつつ、そのタイミングを狙う。ウヴァルスタークは両肩のシールド先端からビームサーベルを伸ばし、左右から挟み込む形で斬りつけた。ドラグハートが両腕から発したバリアフィールドで弾き、即座に拳撃に移った。だがウヴァルスタークに全て読まれ、簡単にいなされてしまった。
「おいおいそんな事じゃ強くなれねぇぞ?お前さんが倒したいのは俺じゃないのか?」
グロックがさも心配げに言い放ち、弘は頭に血が上る思いがした。
「うるせぇ!いきなり割り込んできやがって!お前みたいなのが一番気に食わねぇんだ!!」
ドラグハートが右足に青い炎を纏わせ、ハイキックを仕掛けた。ウヴァルスタークは肘の一撃で衝撃を相殺し、逆に足を掴んでドラグハートを投げ飛ばした。
「クソッ.....何なんだこの強さは!」
「年季が違うんだよ。それに頭も使わなきゃこのゲームには勝てない。昔っからそう言う物なのさ」
グロックの口振りはその殆どが弘の神経を逆撫でする物ばかりだった。両方の声を聞ける立場のリゲルには、彼の意図が読めなかった。
「リゲル君戦ってるかい?命握られてんだぜ?もうちょっと仕事してくれないと、困るなぁ」
ウヴァルスタークに肩を叩かれ、コクピットが揺れた。リゲルは舌打ちし、レバーを前に倒した。
「黙れぇえ!!」
パラサイトスパイダーがドラグハートに飛び膝蹴りを浴びせ、腕の3連装マシンガンを接射した。ドラグハートがよろけた所へ、すかさずヲルタースパイダーを呼び寄せ突進させ、更に大きく弾き飛ばした。
「がぁッ.....!?マジで.....手に負えねぇ....けどなぁ.....俺だって負けらんねぇんだよッ!アイツを....望を連れ戻すまでは、負けるわけには行かねぇッ!!!」
弘の闘争心に呼応し、ドラグハートの両肩から青と金の炎が噴き出した。全身のクリアパーツからも赤い炎を滾らせ、まるで炎神のような姿となった。
「ビルドアップ!俺だってな...やれるんだよ!」
ドラグハートが前に手をかざすと、炎と光が集まり、内から吹き出す風と混ざり合い生まれたのはストームブレイドだ。
「うぉおおおおりゃあああ!!」
一気に駆け出し、最上段から振り下ろした。パラサイトスパイダーは直ぐにサーベルを突き上げて跳ね返すが、あまりの剣圧の強さにリゲルの手が痺れた。
「あれぇ、こっちにもビルドシステムがあったのかぁ.....初っ端から安売りしてんのかね、アレ」
ウヴァルスタークはリアアーマーに懸架していた、大型武装に手をかけた。それはMSの全長に匹敵する大きさのチェーンソーだった。刃先を地面に滑らせながらゆっくりと歩み寄り、パラサイトスパイダーごとドラグハートを斬りつけた。
「どこを見ているんですか、味方まで巻き込んで!」
リゲルの抗議に耳を貸さず、グロックはドラグハートをに視線を向け不敵な笑みを浮かべた。
「ちょっと面白そうだな、それ。試してみろよ」
「んだと?上等だッ!」
ドラグハートはストームブレイドの刀身基部にあるもう一つのグリップを、素早く前後に動かした。刀身に沿う形で風が起こり、やがて透明な風刃となる。居合の構えで接近し、一閃する。ウヴァルスタークはチェーンソーで向かいうち、鍔迫り合いに持ち込んだ。グロックはストームブレイドから生まれる風の刃を注意深く観察した。原理は異なるが、これと似た特徴の武器が思い当たり、納得してうなずいた。
「なぁるほどね.....そりゃ見えなくしちまった方が強いよな?....ありゃ、何か来ちまってんな」
グロックはレーダーをチラリと見て、軽く笑いながら背後に目をやった。ビルドレイザーが転がり込み、それを追ってイフリートコラプスが着陸した。弘もそれを目の当たりにし、ようやく状況が理解できた。
「リョウマ!?お前いつの間に来た!?.....いやそうじゃねえ、これヤバくなって....!?」
「今頃理解したか!大馬鹿が!」
ウヴァルスタークの爪がストームブレイドを圧し折り、立て続けにドラグハートのV字アンテナを劈き空中へ放り投げた。
「弘....!畜生、最悪過ぎるだろ....!」
力無く倒れるドラグハートを見て、リョウマは絶望した。ここまで作戦を早く展開してきた、シューイン側との圧倒的な戦力差に為す術もない。このまま戦っていても、余計な被害を生むしかない。
「くっ.....ウェポン、ビルドアップ!」
ビルドレイザーの左腕にラッパ型の装置が形成され、周囲を一瞬にして煙に包んだ。ビルドレイザーとドラグハートに効果が及び、電子の揺らめきとなってバトルエリアから姿を消した。
「苦肉の判断だな。けど適切とは思うさ。なぁ、旦那」
グロックはへらへらと笑いながらシューインに問いかけた。彼は一切表情を変えず、ビルドレイザーの居た場所をじっと睨んでいた。
「ビルドシステムの完成度は、こっちの予想を超えて低かった....奴はやはり、できない事をやろうとしているに過ぎなかった.....ならばこちらで完成させるのみだ」
イフリートコラプスもバトルエリアから離脱し、ウヴァルスタークとパラサイトスパイダーのみとなった。
「あぁあ、躍起になっちゃったか....旦那も働き者な事で感心感心。ところでお前さっきから、ドラグハートの攻撃を俺に当てれるように立ち回ろうとしたよな?」
ウヴァルスタークがゆっくりと振り向き、パラサイトスパイダーの肩に手を置いた。リゲルはいきなり見抜かれ、肝が冷え口を固く閉ざした。
「まぁ、お前達と俺はそういう繋がりがあるから、仕方無いよな....だけど見当違いと言うやつかな、俺は直接手出ししていない。お前達の親御さん共が、勝手に滅んじまっただけの話だ。それが真実だって教えたよな?藤堂 望君?また会おう、Ciao!」
舞夜のナイトシーカーは2時間ほど前に、リョウマ達と同じバトルエリアに向かったはずだった。しかし、何故か見覚えの無い場所に転移先を変えられ、気がつけば機体からも降りていた。どこまでも続く白い景色に、薄く水が張った地面。少し目を凝らしてみれば、青く光る鎖が天と地を貫き通した、奇妙な光景も見られた。舞夜はこの空間に何の記憶もないが、ただ漠然とした安心感だけはあった。しかし同じだけの不安感もある。相反する感情をもたせる空間が、ただただ不思議でならなかった。突然人の気配を感じ、振り返ると青いレザージャケットを着た、服と同じ色の髪をした人の姿が。舞夜が目を細め様子を窺うと、その人物も視線に気づいたのか、向き直った。顔立ちと体型から、女だと言うのは一目瞭然だった。そして青いレザージャケットの下には、真っ白なドレスと言う変わった姿をしていた。
「あなたは....何者?」
舞夜は警戒しつつ問いかけた。しかし返答はなく、空しいまでの静寂が広がる。その後10分程間を空けて、女は口を開いた。
「それは重要じゃない。私は.....アンタの命がどのくらい残っているのかを"識"っている」
「命.....残念ですが、私は現実に存在しなくなっています。そんな話をしても意味が無いと思いますが?」
「分かっている。でもアンタを形作っている物がもうすぐ閉じられようとしている.....きっと、完全に閉ざされるのも時間の問題かもね」
この時舞夜は珍しく動揺した面持ちで、自らの胸元に視線を落とした。喉の根本から鎖骨の繋ぎ目、鳩尾の近くにいたる、何かがあるのだろう。ストールの下から薄らぼんやりと紫の光が漏れている。
(確かに......アレから僅かに狭まっている.....ある種の時限爆弾のような物、とあの男は言っていたが....)
舞夜はいつもの感情のない顔に戻り、女に向き直った。恐らく目の前にいる彼女から感じる、超然的なオーラは"本人のものでは無い"と推察した。彼女は依り代にされているのだろうか。女はそんな問いも察したのか首を横に振る。
「アンタの考える通りだったら、私はとっくに消えているし、こうして会うこともなかった。この異空間に閉じ込められるような事も無かったはず.....私に宿ったもう一つの魂を、奴らに気づかれたから....」
「シオン・ハルカス.....私の頭に入って来た名前に間違いは?」
「無い」
この異様極まり無い状況が物語るのは、きっと舞夜のこの先の運命に相当する事象を告げた、一種の予言のまた一端であるという事。この青い髪と瞳の女は、その身に宿したもう一つの魂で舞夜をこの場所から観続けたに違いない。舞夜もまた、シオン・ハルカスと言う名前を持つその魂に同じ存在だと思われているのも理解していた。しかしそれが嬉しい事とは決して考えられなかった。
「.....それでも、私はあなたとは違う。望んでこの身体になった私とは.....」
舞夜は真っ直ぐ彼女を見据えた。
[次 回 予 告]
リョウマこと諒馬は、弘の独断専行を許せずドラグハートの返還を要求するが、それは達することが出来ぬまま時間が過ぎようとした。
神宮寺 英梨はZeuSの社屋へと足を踏み入れ、新たな事実にたどり着く。そして出会いを果たした当事者から齎された、諒馬の両親が行っていた研究での出来事。全てが雪崩の如く進んでいく。
次回、創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius
File.14 RECORDから掴んだ悲劇
謎が一つ解かれようとする。その時、諒馬の行く先はどうなるのか。誰にも分からなかった。