創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius 作:JNEXEL
頭がガンガンと揺れる感覚に襲われ、諒馬は目を覚ました。と言うより、意識を取り戻した。水面に反射された光が天井を照らす、牢獄の中に放り込まれてから数時間。百崎翼との対戦からの記憶が全く無いが、なぜ自分がここにいるのかは理解するのに時間はかからなかった。問題は、自分の上にのしかかって眠る女の存在だ。諒馬はふと陰部が濡れているような感覚に不気味さを感じ、女を押し退けようとした。だが女はすぐにそれを察し、諒馬の肩を押さえて身を起こした。諒馬はその女の顔を見て、驚愕する。
「お前は........ジプシー・ノアール......!?」
「ようやく目を覚ましたようですね......水崎諒馬、さん.......んぁ.....はぁ....」
この牢獄には、諒馬よりも先に投獄された人間がいた。それがこの女、城島結利香である。ガンプラダイバー、ジプシー・ノアールとして何度か諒馬達と衝突した、スパイ紛いの女。言ってしまえば諒馬からすると敵でしかない存在だ。結利香は諒馬の身体から離れ、隣に倒れ込んだ。天井から反射された光に照らされた肌は白く、汗のような滴りが滑り落ちていた。諒馬は彼女を震えた目で見つつ、急いでジーンズを履き直した。
「なぁ.....?一体俺に何をした.....!?」
諒馬の絶望を滲ませた声音に、結利香は乾いた笑いを上げ、顔を向けた。
「私、壊されてしまったんです......望む物も、女としての私自身も......陵辱の果てに壊され、何もなくなってしまった.....もう、何も躊躇えなかったのです....この痛みへの慰めが......欲しかった....」
輝きを失い濁りきった瞳で見つめられ、諒馬は座った状態で後退りし部屋の隅へと逃れる。
「だからってこんな事するのかッ!......こんな事してどうなるってんだ.....!?」
恐怖に震える諒馬。今の彼は、後一歩踏み込めばヒステリーに陥らんとする状態にある。結利香は振り向く事なく、その姿勢のままで口を開いた。
「何も得る物はないし、失う物もない.....そこに答えなんて求めても何も出てこない......私の望んだ正義も、貴方が求めていた救済も、全部絵空事にしかならないのだから......」
「ふざけるな!!ふざけるな.......!ふざけるなよ.........!ふ、ざ.....けるな........!!」
だがその先に言葉を紡ぎ出せなかった。彼は悔し紛れに唸るように呟くしかなく、頭を垂れ蹲った。突然ドアが重たい音を立てて開き、純一が姿を見せる。服を脱ぎ散らかし、裸体で倒れる結利香に眉を顰めながら、縮こまる諒馬を見ると、失望したと言わんばかりの口調で「哀れだな」と言い放った。
「お前の覚悟というのはそんなもんなのか」
そう訊いたのと同時、別の足音が聞こえ純一は振り向いた。秀晃である。彼は純一に掌を向け質問を制した後、壁の角に寄りかかり諒馬を見下ろし開口一番。
「こんなはずじゃなかった。って思ってんだろ?考えが甘いんだよ。そんなこっちゃ、何も変えられない。ハザードを与えた意味を良く考えてみろ。じゃあな、Ciao!」
秀晃はそう告げると手を振りながら廊下の奥へと消える。純一も「ハザードを与えた意味」が引っかかり、ドアを閉じて後を追った。再び静寂が訪れる。諒馬はブツブツと何かを言いながら思考を巡らせ始めた。だが思うような結論に至らないばかりか、全く頭が働かず苛立ちばかりが募る。
純一が秀晃を追いかけ辿り着いた先は、屋上のヘリポートだった。手摺りに掴まって外を眺めていた秀晃は、純一を一瞥すると視線を景色に戻しニヤリ、と口を歪めた。
「どうせ気になるだろうと思ってたさ。東郷の旦那なら、きっとハザードを欲しがるだろうってな」
「何故奴にハザードを与えたのですか。その真意を教えてもらいましょうか」
純一から殺気立つオーラを感じたのか、秀晃は肩を竦め向き直る。
「俺は....と言うより、大将の狙いなんだがな。奴を強くしなきゃいけないんだよ。ハザードに順応するだけの力をつけさせ、俺達が差し向けた奴らを倒させる。そうする事で、仲間をやられた人たちの恨みを買うわけだ。戦争が始まるきっかけは政治だが?政治的思惑が作用しないダイバーズで戦争を起こすなら、どうするね?」
まさか、と純一が悪い予感を抱く、秀晃はそれを見抜き手をパチンと叩いた。
「そういう事だよ。物事は常にシンプルな原因の積み重ねで起きる。大きな流れが生まれてしまえば、人は簡単にその流れに乗ってしまう。群集心理と言うのかねぇ.....ま、人間ほど扱いやすい存在は無いってことさ。恨みを積もらせるためのトリガーとして、水崎諒馬を使う。その為にハザードを与えた。それが答えだ」
「水崎を殺させた上で、戦争にまで持っていくと言うのか....!」
「百崎家もアルマーニュ家も元々、宗教的教義に基づいて遥か大昔から研究を続けていた。でも何ら他者を犠牲にせず進化する方法なんて存在しなかった。人間ってのは己よりも周りを塗り替えて自己の存在を強めたがる生き物だ。つまり進化としては一つの終焉を迎えている。でもそれでは人間なんて生き物は、すぐに絶滅してしまうかもしれない。ならばこそ、命を根絶やしにしない仮想世界にあえて舞台を移すことで、全く違う方向へのアプローチをかけていこうじゃないか....それが、この先の歴史を観測するシュミレータとしてのダイバーズって訳だ」
「トライ・アンド・エラーによる、結末の取捨選択と言う事ですか」
「それだけ分かりゃあ、後は何をすべきか分かるだろ?」
秀晃は軽く純一の肩を叩き屋上を後にした。
(その為に、仮想世界大戦を起こす.....たかだかゲームでそんな事が分かるものか....!)
ビジネス街を睨み、純一は歯軋りした。
旧ZeuS敷地内にある、ラボと呼ばれる部屋。弘と奏がいつもの様に訪れるが、彼の姿はどこにも無く困惑した。部屋の様子も最後に諒馬を見た時と何一つ変わっていないまま、残っていた。
「アイツ、電話にも出ねぇと思ったら....ここにも居ねぇのかよ」
呆然と呟く弘。奏は憂鬱な顔でハンガーにコートを掛け、自分に割り当てられていたデスクについた。
「水崎さん.....どこにいるのでしょうか.....」
何の気なしに、いつもの流れでコンピュータの電源を入れた。デスクトップ画面が表示されるの同時に何かを受信しているらしく、ミニウィンドウが現れる。暫く待っていると"ダウンロード完了"と表示が切り替わり、自動でウィンドウが閉じられた。そして奏はデスクトップのド真ん中に見慣れぬフォルダを見つけた。
「"EXTEND_ARMS".....?何でしょう、これ」
恐る恐るカーソルを重ね、ダブルクリックした。中にはかなりの枚数の設計図ファイルが収められており、奏は息を呑んだ。
「弘さん!これ....!」
ある設計図を開いた瞬間、奏は思わず弘を呼びつけた。何事かと弘もそこへやって来るが、モニターに表示された機体に、目を大きく見開いた。
「何だよこれ......ドラグハートの、新装備じゃねぇか......!?」
「知ってるんですか?」
「知ってるも何も.....これのプロトタイプとか言うの....使った事あんだよ。諒馬に頼まれてな」
弘はかつて、この武装を諒馬と共に実験した事があった。その当時はまだ未完成という事もあり、フル出力で使用した直後に消滅させている。モニターに映る設計図は、弘の知るそれとは大きく形が異なる。だが彼がこの設計図の正体を掴むのに全く時間を要さなかった。
「ドラグハートガンダム、チャージド.....!」
奏は聞き返しながら、別のファイルを開いた。今度は何やら刀らしき武器の設計図だ。全体のリーチからして、平均的なMS向きとは違う大きさで、奏はじっと観察しながらこれはどういう物か推し量る。
「これ、ただの刀では無い気がする......何だろう.....?」
「ああだこうだ考えるより作っちまった方が早そうじゃねぇか?」
「へ?あぁ.....それはそうですけど、弘さんガンプラ作ったことない....です、よね......」
弘が無言で頷き、奏はため息を付き机の引き出しからカッターボートを取り出し、適当な場所に敷いた時だった。小さな駆動音が聞こえ、二人はきょろきょろと周囲を見渡した。
「あ......こっちから聞こえますね....!」
諒馬の机の奥、電灯に照らされた装置を見つけ奏は近くまで寄り、じっと観察する。3本ものアームが忙しなく動いている。極細の先端部から光を発しながら、中央にあるプラスチックの塊を掘削していた。彫刻の様子を早送りで見ているような気分である。弘もすぐに気づき、奏の後ろから様子を眺めた。装置の中では塊から削り出されたパーツが組み合わさり、いよいよガンプラの一部らしきものへと変化した。
「さっきの新装備じゃないですか?」
「ああ、間違いねえ.....諒馬の奴、こんな便利なもん隠し持ってやがったのか....汚えぞ!」
よく見ると削り出す為のプラスチック塊は、一つではなくいくつかの色が用意されており、完成したパーツもキチンと色分けがなされていた。これには奏も感心を通り越して恐怖すら感じる。
「こんなのがあったら、工場いらないですよ....!?」
チン、と小気味よい音を鳴らした後にドアが自動で開いた。組み立てもほとんど済んだ状態で排出されたパーツを、弘は早速ドラグハートに取付てみる事にした。カラーリングは青を基礎として、縁を銀に染め何かしらの噴出口パーツは金色である。勿論青地の方にも、金と銀の引っ掻き模様めいたアクセントもあった。可動範囲の妨げにならないどころか、新造されたバックパックから伸びた、細い可動アームで肩アーマーと繋いでいるおかげで、実機も肩が抜け落ちる心配がなくなっていた。今まさに、弘の目の前でドラグハートが進化したのである。
「これが、完成したドラグハートチャージド....超ヤベェだろ!!もうこれ最強なんじゃねぇか!?なぁ!?」
弘が興奮気味に奏の肩を揺する。確かにパーツの精度は商品レベルに高く、実戦においても絶大な効果を発揮するのは、奏の目にも明らかであった。しかし、それだけで戦い抜けないのがガンプラダイバーズだ。性能ばかり追い求めても、肝心の使い手が未熟であれば振り回されるだけになり、意味がなくなってしまう。人が機械に使われると言うのは、あまりいい話でもない。だがそれは致し方ないことでもあった。
「これまで以上に戦えるとは思いますよ。でも、使い慣れてないと上手く行く物も、上手く行かなくなる。とりあえずは使いこなせる様にならないと」
「まぁ.....そりゃそうだな。奏ちゃん、練習に付き合ってくれねぇか?」
「はい。私も元々その気でしたからっ」
そして奏もこっそりと、先に見た刀を出力させていた。しかし装置から出された刀を見た奏は、驚く余り目を丸くした。刃が青く半透明だったのだ。
奏―スワンと弘は、ダイバーズに飛び込んですぐにバトルエリアへ転移した。F91-Mは先の刀を、ドラグハートは新装備を取り付けていたが、何故か未装着状態のまま。これには二人して首をひねる。
「どうなってんだよ?出て来ねえじゃねぇか!」
「私に言わないでください!?....多分、条件があるんじゃないかと思うんですけど....?」
「そんなのあったか?.....まぁいいや、もうやっちまおうぜ!」
ヘリオポリスの地に降り立ち、ドラグハートはファイティングポーズを取り、F91-Mは刀を中段に構えた。僅かな静寂の後、先に踏み出したのはドラグハート。助走をつけて幅跳びをし、素早く接近してジャブをする。F91-Mがそれを避け、最上段から縦に一閃。弘の反応速度を超える紫電が襲い掛かり、ドラグハートはプラフスキーフィールドで跳ね返すのがやっとであった。しかしF91-Mは攻撃の手を緩めず、更に逆袈裟、突き、昇竜斬りを次々と繰り出しドラグハートを追い詰める。
「この刀......!」
スワンは異様な程に手に馴染む感覚に圧倒される。ジェットペネトレイターやビームサーベルとは、まるで比べ物にならない扱いやすさ。それは最早、スワンとF91-Mの為だけにあるような武器であった。
「スワンちゃんマジかよ....刀持たせたら化けやがった.....だったらこっちだって!やってやらぁ!!」
弘も多少の不利を感じたが、それに反して闘志が燃え滾る。ドラグハートをダッシュさせ、ワン・ツーをぶつけF91-Mに避けさせると、ぐるりと身を翻し炎を纏わせた回し蹴りを叩き込んだ。F91-Mは素早く反応しビームシールドて受け止めたが、途轍もない威力で発生器が割れ、機体も地をわずかに滑った。すかさずドラグハートが天空から拳を振り下ろすが、F91-Mは後退しつつ、リアアーマーから装備したビームサブマシンガンを足元に放ち、煙幕と拘束を同時に行った後、刀を居合に構えミノフスキーブースターを噴射した。
「どうか、ご覚悟を!!」
亜光速レベルのトップスピードまで加速し、更に限界稼働まで発動させ一気に機体の性能を引き上げる。そのまま煙の中へ飛び込み、閃光の如き太刀筋で斬り抜ける。だが、しかし。
「へっ.....防いでやったぞ!!」
何と、ドラグハートが両腕からプラフスキーフィールドを発生しており、F91-Mの居合斬りを防ぎきったのだ。
「うぉりゃッ!!だぁあああああ!!!」
プラフスキーフィールドの出力を上げ、無理矢理刀を押し退けると、地面を力いっぱいに殴りつけた。拳が触れた場所からF91-Mの足元目掛け一直線に火柱が立ち上り、緊急回避を強要させた。
「ならば!!」
スワンは迷わずウェポンセレクタを操作、F91-Mのミノフスキーブースターのカバーが最大まで開き、蒼に輝く光の翼を解き放った。上空へ飛び上がり、そこから一気に滑空しながら降下、刀を低く構え懐に飛び込む。
「どんなド派手なのが来ようが、俺にゃ関係ねぇ!!」
ドラグハートも右手に青い輝きと蒼炎を纏い、相手の顔面へストレートを突き出した。だが、その拳は光の翼によって弾かれてしまい、ドラグハートは大きくバランスを崩された。その隙を突く形でF91-Mが居合斬りで斬り抜け、背後に回るや否や回転を加えた袈裟斬りを仕掛ける。しかしドラグハートも直ぐに体勢を立て直し、リアアーマーから太刀を引き抜いて斬撃を弾き返した。
「刀対決ってか....!」
「はあぁあああああ!!」
「速過ぎんだろッ!?」
F91-Mが予備動作もせずに、刀を横薙ぎに振るって来たので弘は慌てて太刀で跳ね返し、最上段から斬り下ろした。F91-Mも即座に刀身を横に構け受け止めると、推力を落として鍔迫り合いに持ち込んだ。しかしスワンの狙いは、そのまま押し切る事には無かった。
「こう言うやり方がある!」
一瞬だけ刃を離し、その状態から勢い良くドラグハートの太刀の鍔に振り下ろして叩き落としたのだ。
「だったらこれならどうだ!!」
ドラグハートは後ろへ飛び退き、右手にストームブレードを形成、刀身基部のレバーを数回倒し竜巻を発生させる。そのまま一気に叩き斬ろうとしたが、有ろう事かF91-Mがこちらへ向かって突撃してくるではないか。弘は一瞬戸惑うが、ストームブレードを振りかぶり叩きつけた。しかしその刹那、嵐を纏った刃がガキンと音を立てて弾け飛び、宙を舞い地面に突き刺さった。弘が気づくよりも早くF91-Mはドラグハートを蹴り飛ばし、刀からX字の斬撃を放ち追撃をかける。
「やはり刀の扱い、練習が必要みたいですね!」
F91-Mが止めと言わんばかりに、天空からカワセミの如く飛び込み、刀の切っ先でドラグハートを貫かんと迫った。ドラグハートは刃を掴んで止めようと手を伸ばすが、反応が間に合わず胸部左ダクトを貫かれてしまう。
「ぐがああああっ!!........畜生ッ!何で使えねぇんだよ、チャージドってのは!?」
だがそんな弘の意思を反映するかのように、ドラグハートは刀を掴み凄まじい力で押し返しながら、胸部から引き抜いたかと思うとF91-Mの腹に正拳突きを見舞い弾き飛ばした。その途端、ドラグハートのコクピットにウィンドウが表示される。
「さぁ、行くぜッ!」
"DRAGHEART CHARGED"。弘はようやく来たかと、舌打ちをしウィンドウを殴った。ドラグハートの様子がおかしいと感じたのか、スワンは困惑気味にじっと眺めた。それから幾ばくかの時間が経ち――。突然、ドラグハートが全身から赤と青の炎を噴き上げた。その直後、両肩と両腕、腰、両足に光の鎧が近づき、ぶつかる様にして装着させた。光の鎧はドラグハートに装着され、忽ちはっきりとした姿を現し始める。青、金、銀に彩られた追加装甲。この姿こそ、ドラグハートの進化したカタチなのだ。ドラグハートガンダムチャージド。エネルギーが全体に行き渡ると、激しいスプラッシュを発してツインアイを黄色から蒼に、輝かせた。
「す、凄い......!」
スワンはようやく使えるようになったのだと思い、拍手までして喜んだがそれも束の間。異変に気づいたのはまさに今である。弘の悲鳴がコクピットに反響し、スワンはF91-Mを急行させた。
「弘さん!?どうしたんですか!?返事してください!弘さんっ!!」
接触回線伝いに問いかけるも、絶叫に掻き消され意味を成さなかった。そして、あってはならない事が起きてしまう。
「うぁあああああああああッ!!!でぇえッ!!」
叫びがピタリと止んだと思った矢先、徐ろにF91-Mを殴り飛ばしたのだ。スワンは機体が転倒する前にバーニアで踏ん張り、一旦距離を取るがドラグハートチャージドは右腕から高圧水流を放出。F91-Mを撃ち落とすとダッシュで接近して腹部にアッパーを突き刺した。
「きゃあああっ!!ど、どうしたんですか!?私です!!スワン!スワン・マスターピースです!!弘さん....目を覚ましてください!!」
悲痛な声で訴えかけるスワン。だがドラグハートチャージドは容赦などしなかった。
「俺はぁッ!!こんなもんじゃねぇッ!!こんなもんじゃ足んねぇんだよ!!誰が俺を満たしてくれんだぁああああッ!!」
フックでよろけさせた所へワン・ツーを浴びせ、止めに大きく開いた右手に龍を象ったオーラを纏わせ、跳躍と同時にF91-Mの胸部を掴み――。
「え......?止まっ....た.........?」
持ち上げられ、スワンは万事休すかと目を瞑っていた。しかし、そこから一切何も起こらず静寂だけが広がるようになり、恐る恐る目を開いた。ドラグハートチャージドが機能停止していた。と言うのは、カメラアイにもセンサーにも発光が見られず、間もなく駆動部にかかっている力も消え、F91-Mを落下させたからである。それとほぼ同時、弘も我に返りこの現状に絶句した。