※この作品はR-18です。

創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius   作:JNEXEL

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File.65 再誕のCRIMSON KNIGHT

グレイズナイトシーカーを高く飛び上がらせ、鉄塔から鉄塔へと移動する。グレイズフレズヴェルグが素早く回頭し、対空砲火を始めるがグレイズナイトシーカーを足止めするには至らない。グレイズナイトシーカーのサブマシンガンが火を噴き、グレイズフレズヴェルグの砲門を半数程無力化させた。だがそれがグレイズフレズヴェルグの逆鱗に触れたのか、両脚のハッチを開きホーミングミサイルを放出した。

「その程度.....!」

ミサイル同士がぶつかる軌道を即座に計算し、弾き出したルート通りにグレイズナイトシーカーが鉄塔から飛び降りる。絶え間ない弾幕など舞夜からして見れば、無意味な攻撃そのもの。舞夜の目は、グレイズフレズヴェルグの右腕一点のみに注がれる。グレイズフレズヴェルグが再びダインスレイヴを構える素振りを見せ、舞夜は好機だと言わんばかりに機体のバーニアを全開にした。プロトグラビティエッジに青い光が灯る。そして次の瞬間。グレイズフレズヴェルグの右腕が宙を舞い、地面に力なく落下した。間髪入れずグレイズナイトシーカーが近づき、切り口めがけサブマシンガンを撃ち込んだ。思いの外ダメージが大きかったらしく、グレイズフレズヴェルグは素早く飛び退き、左腕からもダインスレイヴを撃とうとした。しかしその時点ではグレイズナイトシーカーの姿が消えていた。否、既に相手の左腕も奪い去っていたのだ。まるで忍者の如き早業。だがグレイズフレズヴェルグもここまでされて、黙ってはいない。両肩の中央に位置する砲門にエネルギーを収束させ、一気に放射した。拡散メガ粒子砲である。グレイズナイトシーカーは次々と建物を飛び移りながら、攻撃をやり過ごした。このまま全てを破壊されてしまえば、決定打を与えられなくなる。舞夜は意を決し、グレイズナイトシーカーを急降下させ狙いをガスタンクに固定した。

「シャノアール、直ちに合流してください!」

ブリッツシャノアールに通信を送り、反応を待たずしてトリガーを引いた。サブマシンガンの銃弾がガスタンクを蜂の巣にし、大爆発させた。やがて炎がパイプに伝わり、グレイズフレズヴェルグの頭上で燃え盛りやがて破裂。爆破の衝撃でグレイズフレズヴェルグが蹌踉めいた刹那、突如現れた黒い影にその首を刎ねられ、敢え無く沈黙させられた。

「まさかあなたの所でも、こんな事になっていたとは.....」

「感謝します、シャノアール」

グレイズナイトシーカーが止めに相手に乗り上げ、首の切り口にサブマシンガンを接射。最後にプロトグラビティエッジを突刺し息の根を止めた。

「すぐに合流出来なくてすみません。今のと同じ物を相手にしていまして」

「他にもいたのですか。しかしあなたが無事なのは何故....?」

どうやらシャノアールも別のグレイズフレズヴェルグと会敵していたらしく、今まで合流出来なかったようだ。しかしながらブリッツシャノアールがほぼ無傷で生還しているのが、舞夜にとっては不思議でならない。

「あぁ、あのグレイズ。電気系統へのダメージに極端に弱いみたいでした。このブリッツシャノアールが特効ユニットのようになっていたのでしょうね」

ブリッツシャノアールはネブラブリッツの仕様変更機で、武装もほぼそのまま用いられている。マガノイクタチを始めとした出力回路に直接作用する武器は、グレイズフレズヴェルグにかなりの効果をもたらしていたのだろう。

「成程.....さて、あのクラックゾーンを閉じます。シャノアール、護衛を頼めますか」

舞夜はクラックゾーンの手前までグレイズナイトシーカーを歩ませ、修復作業を開始した。だがこのクラックゾーンは、舞夜の想像を超えて恐るべき特徴を見せるのだった。

(SECTOR-ZEROに繋がっている....!?単なるクラックゾーンではなく、ポータルだと言うのか.....?)

通常の処理ではどうにも出来ないと判断すると、手早くやり方を変えた。どちらにしてもSECTORへの"門"が開かれたままでは、今後に影響しかねない。

「な......!?空が割れた.....っ!?」

唐突にシャノアールが声を上げ、舞夜は弾かれるように目を遣った。突如として空中に大きなヒビが走ったかと思うと、ガラス窓が砕けるかの如く割れ落ちてゆくではないか。

「クラックゾーン.....また数を増やそうと言うのか....」

空が割れる現象は全ての区画で同時に発生した。無論、大地にもその牙を剥き襲いかかる。数多のガンプラダイバー達が突然の出来事に混乱し、生き残る為に生身での闘争すら始まってしまう。

その報せは当然リョウマのもとにも入って来た。

「あんなデカいクラックゾーン、どうやったって簡単には修復出来ねえぞ.....奴め、とうとう本気で世界を壊そうとしてんのか、最っ悪だ....!」

椅子から立ち上がり、コートを羽織ると仮設ブースを飛び出した。

「永峰!作業は中断だ!すぐにビルドスパークルを出す!」

去り際に亜樹子に手短に指示をして、ビルドスパークルのコクピットまで走る。ほぼ同じタイミングでスワンのV2セリシールと、ミナのビルドストライクカミカゼが着艦した。恐らく簡易的な補給と休憩を兼ねているのだろう。

「エスもミサも、作業はそこまでだ!そこの二人はエルニアはどうした!」

ちょうどよくミナがコクピットハッチを開け、リョウマの問が聞こえたので返す。

「それが、どこに行ったのか分からなくて!やられてなければいいけど.....!」

風が強すぎるせいで精一杯叫ばねば聞こえなかった。

「不吉な事は考えるもんじゃねえ!弘の奴だって戻って来てないしな....探しながら戦うしかない!」

リョウマはコクピットに座り、コンソールとモニターを起動させた。ロボットアームに固定され、下面のハッチに移送され出撃準備が完了する。カタパルトが全て埋まらないようにする為の配慮である。

「すぐに投下してくれ!」

ハッチが開き、ビルドスパークルが空中にダイブした。ある程度の高度で姿勢を保つと即座にアサルトパックをビルドし、推力を最大にして前線へと突き進む。超巨大クラックゾーンを前に、リョウマは戦慄した。かの紫フードの集団の比ではない、大規模な破壊の跡だ。このような物を容易く生み出せてしまう、アーネスト勢力の技術は人ならざる者が生み出しているのではないかと疑いたくもなる。

「やるしかねぇ....!」

こちらに気づかぬまま巡回するレグナントに照準を固定、ビームキャノンで撃ち落とした。エスのストライクJOKERが追いついたらしく、アサルトパックのビームキャノンに手を触れる。

「一体これ.....どうなってんです....!?世界が壊れるってこう言う事を言うんですか....?」

「たった今の事なんだよ、分かるわけ無いだろ!来るぞ!」

上から下からと、グレイズフレズヴェルグが襲いかかる。ビルドスパークルとストライクJOKERは互いに離れ、攻撃をやり過ごすが見慣れぬ相手を前に足止めを食ってしまう。

「ここにあるのはモビルドールだけじゃないのか....」

だがエスは。

「いや、違う!人が乗っているんだ....!」

「有人機か....こんな状況になっても奴に与する人間がいるって事かよ」

グレイズフレズヴェルグが赤熱化した斧を担ぎ、ビルドスパークル目掛け突進して来た。リョウマは已む無くビルドスパークルからアサルトパックを分離させ、囮にした後次の武器をビルドさせる。

「ナノラミネートアーマーなんざ、こいつで貫いてやる!」

ドリルクラッシャーを右手に形成し、グレイズフレズヴェルグの懐に潜り込みアッパーを突き刺した。ギュイイイイ!と金属を掘削する摩擦音がコクピットを包むが、リョウマはこらえレバーをひたすら前に倒し続ける。やがてドリルクラッシャーが相手の右肩関節を貫き、片腕を損失させた。その頃ストライクJOKERも空間跳躍を利用してグレイズフレズヴェルグの背後に回り込み、サイドアーマーから引き抜いた大剣"エレクトロスラッシュ"を最上段から唐竹割りを見舞った。警戒していたのとは裏腹に、電撃を付与した攻撃が特効薬のような力をもたらしていた。

「これが効くのか.....!リョウマさん!!」

「今見ちまったよ!けどもう遅いな、倒してしまった」

ビルドスパークルの足下にドダイ改をビルド、弘達の捜索に戻る。

 

上空を行くカイト型の巨大な輸送船。紅いマントを羽織った青年が、内部に格納されたMSに乗り込む。一斉にコンソールとモニターが起動し、生体認証を通して彼を主と認めた。

「ウェルス君、ここで大丈夫?」

ミニウィンドウにはエリィの姿が映し出され、ウェルスは静かに頷いた。

「欲を言えばもう少し先でも構わないが.....エリィさんの時間を奪い続ける訳には行きません。....ここまでしてくださった事に感謝します」

「私は別にいいんだけどなぁ〜....そんじゃ、もうすぐ指定座標だから!頑張ってウェルス君!」

通信が切れると同時、眼下のハッチが重い音を立てて開いた。

「ウェルス、BLADET-L!出る!」

各部のロックが外れ、中空に落下する。愛する者の居場所はすぐにでも感じ取れ、一切の迷いがなくなった。かつての愛機の正統後継機にして、彼の持てる技術を全てつぎ込んだ、史上最強のBLADET。BLADET-Lの初陣だ。

フルーティストCは続々と群がるグレイズフレズヴェルグに押され気味であった。

「相手が相手だから....離脱もさせてくれないなんて!」

格闘戦以外全く攻撃が通らず、完全に不利を背負ったまま。エルニアも格闘戦の心得があるとは言えど、完全に物にしている訳ではなかった。相手の砲撃をビットで潰すのが精一杯と言ったところ。その最中で、エルニアは天空から落ちてくる光を見た。

「え......まさか.....」

敵か味方か。考える間もなく彼女はそれを理解する。だがそこで足を止めている場合ではなかった。グレイズフレズヴェルグがダインスレイヴを集中砲火し、フルーティストCを追い立てる。土煙が吹き上がり、エルニアの視界があっという間に奪われた。

「こ、これじゃ......!?やられっ.....!?」

煙を突き破ってグレイズフレズヴェルグの斧が、フルーティストCの脳天めがけ振り下ろされんとしたその時。ガキン!と甲高い音と何かを砕く衝撃がして、グレイズフレズヴェルグがその動きをピタリと止めた。一瞬の静けさにエルニアが恐る恐る目を開け、そして確信した。

「ウェルス.....!」

グレイズフレズヴェルグを貫く紅刃。身動きを取れなくなったところで持ち上げられ、遠くへと投げ捨てられる。エルニアを救ったのは、やはり紅蓮と漆黒の騎士。

「待たせて済まなかった....エル」

ウェルスがぎこち無く声をかける。エルニアは思わず涙がこぼれ、指で拭った。

「もう!ウェルスはいっつも遅過ぎなんだから!」

「だがもうお前は一人じゃない」

そしてウェルスは敵の群れを睨み、宣告した。

「お前の相手は、この俺だ!」

真なる敵はグレイズフレズヴェルグの群れの奥、四脚のモビルアーマー。BLADET-Lは一度のジャンプで数キロを飛び、肩に担いだ象徴たる大剣"BアームズⅢ"を振り回して、敵の群れを一気に薙ぎ払う。ダインスレイヴやら銃弾が飛んでこようがお構いなしに、荒々しくも美しさを感じさせる乱舞で敵をなぎ倒し続けた。

「コイツらは人間なのか....気配はあっても生気がない....」

両肩の刃を前に向け、粒子を収束させ狙撃する。するとモビルアーマーを守護するようにグレイズフレズヴェルグの1機が立ち塞がり、無力化させた。だがそこから一呼吸も置かずにBアームズⅢに斬り捨てられ、情けなく宙を舞うのだった。

「強襲する!」

アーチを描きながらジャンプ、モビルアーマーからの砲撃を避けながら着地を挟み、僅かに右へステップするとくの字を描きつつ急接近する。そして素早くBアームズⅢの切っ先を突き出し、相手の片足を押し退けた。そのままBアームズⅢで回転斬りを仕掛け足払いをするが、モビルアーマーがふわりと浮き上がり、地面に向けて大量の爆弾を投下した。

「舐めるな!」

BLADET-Lが側宙しながらGNフィールドを展開、その後背面と肩のバインダーを移動させる。前世代機BLADETから引き継がれた、形態変化である。格闘戦に秀でたブレイダーモードから、射撃戦に重きを置くシューターモードに換装したのだ。再び側宙して弾幕を掻い潜りながら、サイドアーマーから2挺のビームライフル"アイファ・ライフル"を引き抜き、すかさず連射した。ウェルスの目にはあのモビルアーマーの動きを止められる、"弱点"が見えていた。モビルアーマーの下側に、着陸用のセンサーらしきものが光っていた。これを撃てば相手はしばらく着地はできないと踏んだウェルスは、即座に実行に移したのである。そしてこの狙いは見事に的中する。センサーを破壊されたモビルアーマーが、空中でバランスを崩しながらその場に停滞したのだ。

「今なら....!」

BLADET-Lの左腕から、綱状のビームを放ちセンサー跡に固着させ、振り子の要領で相手の眼前まで飛び上がる。即座に左腕のユニットをパージすると、再度ブレイダーモードへと変身した。ほぼ同時、モビルアーマーのドーム状のパーツが爆ぜ、蛇型のアームが勢いよく飛び出してきた。これもウェルスには見えていたらしく、素早くGNフィールドを起動させ蛇の毒牙を弾き返した。

「やはりな....!そう来るのは分かっていた!」

レバーを一気に前に倒し、バーニアを全開にする。迎撃のレーザー砲をすり抜け、相手の顔面に取り付き左手のアイファ・ライフルを変形し、ビームソードを発振した。

「これで終わらせる!」

顔面にビームソードを突き刺し、蹴りつけて飛び退きもう片方のアイファ・ライフルで狙撃してモビルアーマーを爆散させた。エルニア捜索にこの地にたどり着いたエスも、この爆発を見て大急ぎで駆けつけるが――。

「BLADET.......!?」

紅と黒の騎士を前にエスは、見知った機体を想起する。ある意味間違っては居ないのだが。

「惜しい。BLADET-Lだ」

ミニウィンドウに映る顔にエスはぎょっとした。

「ウェルス.....ウェルスなのか!?」

「見ての通りだ。現実"そと"からも様子を観察していたが....ここまで酷くなるとは思わなかった。だから予定も一週間繰り上げてここに戻ってきた」

「そうだったのか....そう言やあっちで何をしてたんだ?」

「それは後で追って話す」

BLADET-LがチラリとフルーティストCにチラリと目を向けたように見え、エスはストライクJOKERを浮き上がらせた。

「だったら先に戻ってるよ」

飛び立つストライクJOKERに目を瞬かせるウェルスだったが、エスの意図が読め呆気にとられる。

「アイツ.....そんな事をやれる奴だったのか....?」

気を取り直し、フルーティストCのいる場所まで歩く。どうやら彼女もストライクJOKERを見つけたようで、機体に手を振らせていた。

「さっきのMAを片付けた瞬間、奴らは一斉に停止したようだな」

「そう....みたいだね。アイツらを相手してる時、本当に生きた心地しなかったもの」

「相手はナノラミネートアーマー持ちだからな....ビーム主体の機体では太刀打ちしづらい。にしてはよく持ったな」

「葉山さんに頼み込んで、ファンネルミサイルを増し増しに積ませてもらった.....それより、私に何か言うこと、 な〜い?」

突然メインモニターが切り替わったかと思うと、エルニアがずいっと顔を近づけてきた。流石のウェルスも驚きを隠せず、背もたれにびっちりと背中をくっつける。

「し、心配させて悪かった....!これからはそばにいるから、許してくれ....! 」

いくらウェルス言えども、エルニアの無言の圧力には勝てなかった。

「ま、しょうがないなぁ〜....ちゃんと帰って来てくれたし、良しとしますか!」

と言うと徐ろにフルーティストCが、BLADET-Lに歩み寄り、首元に腕を回した。エルニアが「ん!ん!」と何かを催促する。しかしウェルスには何が何だか分からなず、ただ困惑気味にフルーティストCを見つめるしかない。とは言えここで答えを聞けば、エルニアの機嫌を損ねるのは目に見えていたので、彼なりにトライする。恥を押して、である。

「こ、こうか.....?」

BLADET-Lが何とかフルーティストCを抱き上げる。所謂お姫様抱っこと言う物だが、どうやらそれが正解だったらしくエルニアが嬉しそうに笑っていた。

「これでブルームーンに行け、と....!?」

「当たり前でしょ〜?疲れ果てて操縦したくなーい!」

ここぞとばかりにウェルスに甘えるエルニア。日頃から何かと世話を焼いてもらっている手前、ウェルスも下手に断れず従うしかなかった。

「仕方ない....!このまま帰投する....!」

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