創造戦士ガンプラダイバーズSide:Genius 作:JNEXEL
突然姿を見せた氷の壁に、徹は顔を歪めた。意識を失わぬ程度に力を吸い上げていたのが、そもそもの失策なのか。徹はそれを振り払うかのように、踵を返して地下の奥深くへ歩いた。クリスタルの大樹の根本、瘤のように膨らむ樹洞の中に眠る、黒き創世神。こちらにはそれ程影響していないが徹の手が力場に触れられた。MSを繋いでいた管が次々と外れていき、地面にバタバタと落ちた。そして何かを感じ取ったのか、徹の表情が先程とは対照して高揚したものになる。
「これは運命だ.....これで僕は、世界を統べる救世主に....!」
「やけに嬉しそうじゃあないか、大将」
頭上から声がし、振り向くと上の通路から見下ろすグロックの姿が。
「完成したんだよ....僕を指導者、そして救世主たらしめる力さ」
「ほぉ〜....?にしちゃあ、結構小ざっぱりしたなりなもんで?」
グロックの言う通りで、この黒いモビルスーツは単純にカラーリングを変えたストライクフリーダムその物の外観をしている。しかし徹はそれは誤った物の見方だと笑った。
「この機体はレイ・ブルームーンの力....そしてガンプラダイバーズと繋がっている。即ちこの機体こそ、ガンプラダイバーズその物と言っても過言では無いんだ」
クラックゾーンから無数に湧き出るモビルドール。その様はまるで蝗害が起きた日の空であろうか。Bm-8のシローはひたすら高機動戦を維持しつつ、第二波出撃の為に前線を保つべく弾幕を張り続ける。撃ち落とすにしても、何百機ものモビルドールが雪崩のように押し寄せてくる。どう足掻いたとて潰されるのは明白だが、彼も仮想世界の明日の為に戦う身である。
「グラハム達はとにかく先行してくれ!クリスタルの樹の位置を探ってもらう方が先だ!」
シローの要請に従い、ソルブレイヴス隊が敵の網の目を潜り抜け先行した。
「了解した!アマダ中尉は前線の維持を任せます!少佐、経路の予測データ、ブルームーンから受信しました!」
ソルブレイヴスの紅一点、カリーナが素早くグラハムに報せる。グラハムも座標データを見ており、より眼光を鋭くした。
「こちらでも確認している!ソルブレイヴス隊各機、フォーメーションイーグルで敵前線を突破する!トランザム!」
グラハムの号令がかかると同時、隊列を組むブレイヴの装甲を赤い輝きが包み込む。そして急加速を始めドレイクハウリングとGNミサイルを放射しながら、モビルドールの群れを強行突破した。
「まるでELSを相手にしているようではないか....!」
無数に生み出される、意思を持たぬモビルドール。グラハムにとっては、"劇場版00"で観たELSを相手に戦うのとほぼ等しく思えた。
「そこを通させていただきます!秘剣・雷光一閃ッ!! 」
V2セリシールが構えるグラビティエッジⅡに電撃を纏わせ、光の如き速さで空を一閃した。空間を切り裂く斬撃がBm-8の頭上を駆け抜け、何百体ものモビルドールを一掃する。切断された空間が時間の巻き戻しよろしく、元に戻りシローを驚愕させた。
「何だ.....!?今の、スワンがやったのか!?」
「前線を押し広げる位はしないと、また押されます!エルニアさんがずっと押さえ込めるわけじゃないんですから!」
V2セリシールが最前線に躍り出、圧倒的なスピードで敵を次々と斬り伏せてゆく。
「せいッ!!やぁああああ!!」
ビルゴⅡの胴を居合斬りで奪うと、Gビットとトーラス諸共脳天から袈裟斬りを浴びせた。
「皆そろそろ出てくる頃か....!」
シローの目がレーダーの反応を捉え、自らの立ち回りを切り替える。V2セリシールの位置から僅かに下がり、ロケットランチャーを2連射した。頭を破壊されたNPDリーオーが墜落、真下を飛ぶベースガンダムの真上にぶつかる。そこへもう一発の砲弾が命中して火達磨になりながら、地面へと落ちていった。
「真後ろから....熱源!?何だって言うんだ?」
クレッセント・ブルームーンの方角から突然大きすぎる反応がやって来る。その正体を目にしたシローが反射的にレバーを引き倒した。
「熱っ!?どうなってる.....!?」
業火を纏った影がBm-8の目の前を駆け抜け、炎の龍となって敵を一網打尽にしながら、最前線に突入する。
「シローさん!艦を頼んだぞ!」
弘からのメッセージを受け取り、シローはBm-8をクレッセント・ブルームーンの近くまで寄せ、艦の防衛に回った。
「一騎当千の連中が出るんだからな....!帰る場所くらいは守ってみせるさ!」
弘は横目でBm-8を見届けると、再び前に視線を戻し拳を手のひらに叩きつけた。
「全員まとめてぶっ飛ばしてやるッ!」
右手に火炎、左手に水球を作り上げそれらを合体、巨大な2頭の龍を生み出し一気に解き放った。
「どぉおおおおりゃあああああ!!」
集団で防衛陣形を組むモビルドール達を呆気なく吹き飛ばしてしまい、そのまま何キロも先の標的を粉砕した。空中での格闘戦もお手の物で、軽やかな挙動から繰り出される強烈な一打は、メリクリウスのプラティネイト・ディフェンサーでさえ、簡単に打ち破れてしまえる。そのままV2セリシールと共に、敵の群れに突入。一瞬にして空を覆い尽くす鉄の"虫"を駆逐した。
「エルニア!こっちだ!」
多数のビットで光の網を織りなし、艦の守護に徹していたエルニアのもとに、ウェルスからの通信が入る。BLADET-Lがプルーマを串刺しにし、地面に投げ捨てフルーティストCの背後についた。
「ウェルス?い、今は手が離せないの!」
「ミサも他の人達も出ている!この数だ、お前一人では危険過ぎる」
「じゃあどうしろって!?」
「こっちに移れ!」
ウェルスの一言にエルニアは耳を疑い、BLADET-Lを凝視した。コンソールにもあちらへの転移コマンドが表示され、疑いの余地は消え去った。
「移るって....分かった!やって見る」
フルーティストCからエルニアが消え、数秒足らずでBLADET-Lの後部シートに転移した。何を隠そうBLADET-Lは、ウェルスとエルニアが乗ってこそ真の力を発揮する。その為に複座式にしていたのだ。
「お前にはビットとナビゲートを任せる」
「OK!やり遂げちゃる!」
BLADET-Lが高空に飛び上がり、フルーティストCからジャックしたビットを一斉に射出した。タクトポインターこそ持たぬが、BLADET-Lの通信性能の高さから問題にはならない。
「グラハム達が見つけたのか....!ならば!」
シューターモードで全方位に弾幕を張りながら前進、更に加速をかけクリスタルの大樹がより見える位置を目指す。エルニアが背後からの襲撃を伝えると、ウェルスが即座に対応。BLADET-Lは振り向きざまにアイファライフルを放ち、ガガキャノンを撃墜した。しかしエルニアは、また別の機影を見つけ再びウェルスに告げる。
「Gビット!?何でこのタイミングで...!」
「無人機だから当然だ!サテライトキャノンを撃たれる前に仕留めてみせる!」
二人の手元、コンソールに新たな表示が現れた。これは一体何を意味するのか、深く考えずともエルニアには理解できた。二人の能力を共振させる事で、より大きな力を発揮させる。ウェルスが自分をBLADET-Lに乗せたのは、そういう意味があったと思うからだ。
「準備はいいか、エル!」
「分かってる!いつでも....!」
二人の手が同時にコンソールに触れた。
「「LINKAGE-BURST!」」
BLADET-Lがブレイダーモードに切り替わり、顔を覆うバイザーが左右に展開しツインアイを露わにした。全身から鮮やかな赤のオーラが発され、BLADET-Lの推力を2乗化させる。サテライトキャノンを構えるGビットの1機の顔面を、真紅の大剣が貫いた。迎撃に向かう2機もまとめて斬り捨て、遠くにいる同型はビットであっと言う間に葬り去った。
「もう少しでリョウマ・アルキメデス達が出る....!僅かでも血路を開く!」
目にも留まらぬ速さで敵陣を崩していくBLADET-L。弘もその様子に呆然としていたが、突然頭に飛び込んできた気配に、素早く反応する。
「あの野郎.....今度こそ!」
ドラグハートオーフレイムが戦線から外れ、ある目標めがけ全速力で突進した。その相手とは――。
「早速感づかれたか....そうで無けりゃ、面白くねぇけどな」
グロックのウヴァルスタークがバーサークキャノンを構え、放った。赤黒い死線をドラグハートオーフレイムは躱し、炎の太刀を右手に作り上げ唐竹割りを見舞う。ウヴァルスタークはひょいと軽い身のこなしで避け、浮揚しながら逆立ち掬い上げるようにバーサークキャノンを薙ぎ払った。
「やらせるかよ!」
ドラグハートオーフレイムもプラフスキーフィールドを展開、バーサークキャノンの砲撃を無効化させながら裏拳をぶつけ、火炎太刀で滅多切りを浴びせる。それをウヴァルスタークは左手で受け止めて見せ、相手の腹を蹴りつけるとサイドアーマーから、反しのついた禍々しい得物を引き抜いた。
「お前相手にこれを使うことになるとは....人生どうなるか、分かったもんじゃないよな」
ウヴァルスタークが大剣"ライオグレイド"を肩に担ぎ、瞬時に相手の背後を取り斬りつけた。その反しに接触した瞬間、ドラグハートオーフレイムを電撃が駆け巡り、押しのける事すら出来ぬまま攻撃を受けてしまった。
「ぐあぁあああああ!!?......ど、どうなってやがんだ!?撥ね退けられねぇ....!」
「そんな事考えてる余裕があるのかよ、えぇ?」
ウヴァルスタークがドラグハートオーフレイムの胸ぐらを掴んで立たせ、ライオグレイドで胴を横薙ぎにした。内部にはチェーンソーも仕込まれており、ドラグハートオーフレイムの装甲に激しい損傷を与え、深々と創傷を刻みつけた。
「ふざけやがって.....!こんな所で立ち止まってたまるかぁあああッ!!」
袈裟斬りを喰らう前にサマーソルトキックをぶつけ、ドラグハートオーフレイムが再起。火炎の太刀を更に燃やし、勢いよく薙ぎ払った。ウヴァルスタークがライオグレイドで防ぎ切るも、ドラグハートオーフレイムの太刀が間髪入れず振り下ろされ、桁違いの剣圧により押し込まれる。
「感情によって力が増幅する....確かお前の機体はそう言うのだったか....」
グロックは「ハザード」と宣言し、ウヴァルスタークのハザードシステムを起動させる。そして高く飛び上がり運動エネルギーを上乗せする形で、ライオグレイドを相手の脳天めがけ振り下ろした。ドラグハートオーフレイムが素早く左ステップしてこれを避け、ストレートを決めるがしかし。ウヴァルスタークが上体を反らしてこれを回避すると、ライオグレイドの反しで相手を引っ掛けハンマーの如く振り回し、思い切り地面に叩きつけた。振り回されている間、エネルギーが吸収されており、ドラグハートオーフレイムの出力が急激に低下する。
「ごはっ......!?うぐぅうう!!」
強引に押し退けようとするが、触れていればそれだけでパワーを吸い取られる。このライオグレイドは、ゴールドフレーム天のマガノイクタチを携行兵器化した武装故である。この武器が破壊でもされない限り、常に不利が付いてしまうのだ。
「復讐するなと言った本人が、俺に殺意向けて殴りかかってくるとはね」
「望も世界も殺そうとしたテメェが言えることか!」
「俺は頼まれた仕事をしているだけだ....お前と奴の両親を始末するのだって、その一つだよ」
誰の命だろうと、グロックからすれば依頼者より引き受けた所謂"標的"に過ぎない。それがきっかけで恨みを買う事はあれど、グロック自身は大して気にかけない。気にする必要もないのである。弘と望、2つの家庭を支える親達を殺しているが、それもやはり仕事だからやった事。彼らの気持ちなど興味も沸かない。
「ふざけんなよ.....それでもテメェは、人間かよ.....!?」
「その質問も聞き飽きたなぁ....人間かどうかだって?見ての通りだろう?お前と同じ人間なのさ。残念だったな、俺が宇宙人とかだったら納得出来たかも知れないけどな」
「そんな人間が居てたまるか.....!見てくれは人間でも、やってる事は人間じゃねぇ!」
ドラグハートオーフレイムが左手を地面にかざした。その直後、ウヴァルスタークの足元から突如として噴火が始まり、相手を下がらせるのに成功した。やがて噴出する溶岩の一部がドラグハートオーフレイムに吸い寄せられ、豪々と燃え盛る火炎の鎧へと変化した。両手甲からビームセイバー"フレイムソード"を発振、一飛びでウヴァルスタークの眼前に迫り、火炎の刃を振り下ろした。グロックはその出力を一目で察し、ウヴァルスタークの左肩からバーサークキャノンをパージする。
「チィ....!奴ぁ、本物のバケモンか....!」
フレイムソードが伸長してバーサークキャノンは愚か、ハザード状態のウヴァルスタークにさえもダメージを与えた。突然リーチを伸ばせるほどの考えも出来るのかと、グロックは舌を巻いた。
「もう逃がしゃしねえ....!今度こそッ!テメェをこの手でブチのめしてやるッ!」
弘の意思に呼応し、ドラグハートオーフレイムの背面にある円環が煌めく。すると円環から6枚もの炎の翼が生み出され、ドラグハートオーフレイムの機動力を爆発的に上昇させた。瞬間移動と見紛う速度で相手の懐へ飛び込み、アッパーを叩き込む。ウヴァルスタークが左手で受け止めたが、ほぼ同時に発振したフレイムソードに貫かれてしまった。あらゆる攻撃に対し、かなりの堅牢性を見せた高硬度レアアロイでさえ、事も無げに破壊する。ドラグハートオーフレイムは最早、戦略兵器レベルのマシンパワーを有したと言っても過言ではない。衝撃に耐えきれず仰け反るウヴァルスタークに、すかさずボディーブローを決め更にフレイムソードと拳を交えた、"乱刺打"を見舞い高空へ打ち上げ自身も跳躍した。
「この俺が......コイツに負けるだと....!?」
ウヴァルスタークが受け身を取りながら、リアアーマーからバーサークブレイドを抜き放ち、迎え討たんとする。だがグロックの知覚できる限界を超えた速さで、ドラグハートオーフレイムの蹴りがウヴァルスタークの顔面に突き刺さった。この時、ウヴァルスタークの十字の眼がパキパキと音を立てながら割れ、本来の素顔を晒してしまう。
「フェイスガードを破られただとぉッ!?テメェ.....調子に乗るなぁあああ!!」
遂にグロックが激昂する。紅い四眼を鋭く光らせ、ドラグハートオーフレイムの顔面めがけ拳を叩き込む。だが弘はボクサーであった。肉弾戦に持ち込めばほぼこちらの独壇場、プロ選手が相手でもない限り攻撃を見切るのは簡単なこと。ウヴァルスタークの拳を見切り躱して見せると、カウンターにとばかりに掌から灼熱の炎を放ったのだ。しかもその衝撃は並のビーム射撃をゆうに超え、戦艦の主砲レベルである。ウヴァルスタークが空中を舞いながら地面へ一直線に落ちてゆく。顔面が焼けただれせいか、モニターも全く機能しなくなった。弘もグロックがもう反撃に出ないとは思ったが、これまでの戦いを忘れたわけではない。やられる素振りを見せては突然姿を消すのが、彼のやり方ならば今度こそは本当に止めを刺さなければなるまい。
「逃がすかッ!!」
再度ドラグハートオーフレイムを加速させ、落ち行くウヴァルスタークめがけ追いかける。そして右手に紅焔を滾らせ一直線。
「ドラゴニック・フィニッシュ!!」
空を揺らしかねない爆音が響き渡る。ドラグハートオーフレイムの拳が、ウヴァルスタークの胴を貫いた。そして遅れて生じた衝撃波がフレームと装甲諸共、粉々にしてしまい見事に弘は本当の意味での勝利を果たしたのだ。地面をスライディングして制動をかけたドラグハートオーフレイムの視線の先に、ウヴァルスタークのコクピットブロックが転がる。
「まさかお前がハザードは愚か.....この俺までも超えてしまうとは......!最後の仕事だってのに、気分が悪い話だぜ.....!」
「テメェが最後の最後まで、俺を甘く見てるからだろ....んなの自業自得だろうが!人の命まで奪っといて、何が仕事だよッ!!」
「ハハハ......ハッハハハハハハハハッ!!」
敗北したと言うのに、笑い出すグロック。弘が正気を疑い奥歯を噛む。
「何だよテメェ.....!何がおかしいんだよ!?」
「お前はやっぱりバカだよ.....何でお前の両親が殺されたのか、考えた事も無かったのか?何が原因で、誰が引き金になったのか知ろうともしなかったのか?」
唖然とする弘。グロックは更に続けた。
「借金だよ。全部、借金がトリガーなんだよ。確かお前の親父は、社長をしてたよな?小さいながらもそれなりに上手くいってたが?会社を大きくしたいってだけで、色んな所から借金を拵えてきた。だがその借入先の一つが俺と繋がっていたのさ....しかも余りに多くの所から借りてきたせいか忘れちまったようだ。けど貸した側は覚えてる、当然の話だよな?全く返済しなくなったもんだから、俺に直接依頼してきた....."常岡 幸一を始末しろ"ってなぁ。しかしまぁ、名前も知らなけりゃ顔も分からねぇ。だからそいつの家を教えてもらって....後は分かるな?金って怖いよなぁ....人を生かすも殺すも思いのままだからよ。んで、リゲルの両親も殺したのはその様子を見られたからってだけだ」
「な、何だよそれ.......嘘だろ.....有り得ねぇ、俺の親父が原因な訳.....!」
弘の父親がヤミ金に手を染めていたとは全く聞かされておらず、まさに寝耳に水だった。全ての発端は父親の借金にある。その事実が弘を混乱させた。では今まで誓ってきた事は何だったのか?望に復讐させまいと奮闘してきた、これまでの戦いは何だったというのか?何より、両親の敵を討つ為にグロックと戦い勝利したが無意味だったのか?弘の頭の中をそんな疑問がぐるぐると渦巻き始めた。だがこの戦いの意味を見出すのは、思うより簡単なことだった。
「そうだろうと関係ねえ。お前が殺した事実に変わりはねぇし、何よりテメェらが戦争を起こした事だって何一つ変わりゃしないんだよ!俺はこの戦争を最速で終わらせる為に....戦ってきたんだ!」
「事実を聞かせてやってんのに、考えを改めねぇたぁ馬の耳に念仏ってか?まぁいいさ、今度はお前を殺る事にするよ。Ciao」
グロックの呆れたような笑い声と共に、ウヴァルスタークの残骸が消失する。
クレッセント・ブルームーンでは、第二波出撃の準備が整いつつあった。ソルブレイヴス隊がクリスタルの大樹の座標を送ってくれたお陰で、リョウマも進行ルートの計算がスムーズに進んだ。
「俺とミナで露払いをします。...これが最後の戦いです、絶対に勝って世界を取り戻して見せましょう、リョウマさん!」
ストライクJOKERのエスから通信が入る。リョウマもそうだなと返して、レバーを握り込んだ。
「やれることは全てして来たんだ。世界をちゃちゃっと救って、皆のもとに返してやらなきゃな」
エスとミナ、舞夜にシャノアールが頷く。アヤカからのアナウンスを合図に、それぞれのモビルスーツが発進した。
「エス・ブラックベイ!ストライクJOKER、行きます!」
「ミナ・ツバクラメ、カミカゼストライク発進します!」
「シャノアール・エスプリーク。ブリッツガンダムシャノアール、出ます」
「比良坂 舞夜....グレイズナイトシーカー、出撃する!」
「リョウマ・アルキメデス!ビルドスパークルガンダム、ミッションスタート!」
人類史に名を残すかも知れない、最後の一戦の火蓋が切って落とされた。