原作:Wonderland Wars
タグ:R-18 ボーイズラブ 残酷な描写 Wonderland Wars ピーター・ザ・キッド ナイトメア・キッド アイアン・フック バッドエンド
ピタ→メア気味のメアピタ(ピタピタ)。R18G、小スカとか悪堕ちとかごった返しているので、何でも許せる方向け。
「どうしても、欲しかったものがあったんだ」
「……それが何だったのか、もう思い出せないけれど」
*
――尻の穴を押し広げられる感覚で、目が覚めた。
「っ、ぁ!?」
息が漏れる。
気が付いた時には、俺はナイトメアに組み敷かれて、仰向けにベッドで横になっていた。薄暗い部屋の中、向かい合わせになったナイトメアの顔の、黄色い目だけが光って見える。
分からなかった。どうして、こんなことになってるんだろう。俺、さっきまで何してたっけ。考えようとして、けれど体の奥を揺さぶられる感覚に、すぐに頭が真っ白くなる。
ぐちゅり、と水音が鳴る。ぱんぱん、と太腿と太腿が打ち合う音がする。ナイトメアのペニスが、穴を出たり入ったりする度に、俺の口から小さな悲鳴が上がった。
俺は『こういうこと』をするのは、初めてだった。なんとなく『やり方』は知っていて想像したことも少しはあった気がするけれど、本当にそれだけで。お腹がナイトメアので、めいっぱいに広がって、ひどく苦しい。穴も裂けてるみたいで、ヒリヒリと痛んだ。涙で目尻が熱い。
気にせず、ずぼすぼとアナルを掘り進めてくるナイトメアを押しのけようと、俺は目の前の胸板を叩く。
「ナイトメア、やめてくれよ。お前、何し――」
肩に走った鋭い痛みに、一瞬息をするのを忘れた。ナイトメアの頬と白い髪が、返り血で濡れている。
横に顔を向けると、右肩に、ナイフの刃が深々と突き刺さっていた。焼けるような激痛が途端に湧き上がってきて、そのまま叫ぶと、今度は顔に拳が飛んでくる。何度も何度も、俺が叫び疲れて声を出せなくなるまで、ナイトメアは拳を振るい続ける。
嫌な音と鈍い痛みが、右と左を行ったり来たり、絶え間なく俺を責め立てた。右瞼は腫れあがって途中から目が開かなくなって、殴られた衝撃に歯で口の中が切れたらしく、血の味が不味い。
「いたい」とか「やめて」とか啜り泣いていた気がする。分からない。最後には俺は諦めて、中に埋めこまれたナイトメアのペニスの、その温かさだけを感じてた。
「黙れよ」
笛の音のような弱々しい息をする俺を、ナイトメアは黙って見下した。感情のない瞳だった。
「お前はさ、黙って俺に犯されてりゃいいんだ」
ナイトメアは俺の体を抱きしめると、中の壁をペニスで擦り上げる。逃げられないように体を抑えこんで、奥へ奥へ、ナイトメアの形を教え込むように、乱暴に腰を打ちつけてきた。
痛みは治まっていないはずなのに、何だかだんだん、気持ちよくなってきた。ナイトメアので体が貫かれる度に、頭の奥が痺れるみたいで。腸液に空気が混じって、ぐちゃりぬちゃりと、えっちな音を立て始める。立ち上がった俺のペニスの先が、ナイトメアの固い腹筋を撫でた。
「っ、ふあ、……あ、ぁー……」
「気持ちいいか、ん?」
だらしなく口を開けて涎を垂らしている俺の耳に、得意げに嗤うナイトメアの声が聞こえる。抱きしめ合っていたから、お互いの言葉は、お互いの耳元で囁かれていた。ナイトメアが気持ちよさそうに吐いた息は、とても熱い。
ナイトメアは俺の穴に、自分のを根本まで咥えこませて、中を押し広げるように、ゆっくりと腰をグラインドさせる。わざわざナイフの刺さった右肩に腕を回して、手を血で汚しながら、自分のペニスに俺の体を押し付ける。
ナイフを弄られる激痛と、中の壁の全部が犯されていく快楽が混ざり合って、俺はつま先をピンと伸ばした。
「う、ぁ……あっ!? 、いた……ぃ……っ」
「まだイクなよ。俺は満足してない」
ナイトメアは上半身を浮かせると、ぺろりと自分の指を舐めた。褐色の肌に赤色の舌が映えて、思わず見惚れてしまっていると、突然俺のペニスが無造作に掴まれる。ビクッと体が震えた。ナイトメアは掌全体で俺のを包むと、親指で尿道の周りをグリグリと弄ってきた。
ナイトメアの唾液と、俺のペニスから出た液が、合わさるのが分かる。俺がもどかしさに腰を動かすと、中に入れられたままのナイトメアのペニスが中で擦れて、勝手にあえぎ声が漏れた。
「苦しいか?」
その時、薄暗い部屋を背景に、ナイトメアの目と口だけがやたらと浮かび上がってみえた。にやにやと笑って、俺を見下していて、『コイツに好き勝手に犯されているんだな』って痛感してしまう。お腹の奥が、熱くなる。
俺のペニスを触るナイトメアの動きは、緩慢だ。わざとやっているのは、言葉からも分かった。俺のはもう、張り裂けそうなくらいに膨れ上がっていて、でも最後の一押しが来ないのが、あまりに切なくて。ペニスを握られたまま、出来る限り腰を動かした。
接合部から、控えめに音が鳴る。
「……ちっ」
舌打ちと同時に、ナイトメアは俺の顔に顔を寄せてきた。殴られて膨れ上がった瞼を舐めると、今度は耳の中に舌を突っ込んでくる。ぺちゃぺちゃと撥ねる唾液の音と、柔らかい舌で舐められる感覚に、そわそわとする。
快楽に流されるがままになっていると、突然、耳に当たる感触が硬い物に変わった。「あっ」と叫ぶ暇もなくて、次の瞬間、耳に焼けるような痛みが走る。ベッドから飛び跳ねそうになる俺を、ナイトメアは抱き締めるように拘束していた。
「がっ、! ぎゃ、う、ああああああ!?」
くちゃくちゃ。耳元で咀嚼音がしている。今まさに、耳を食べられているんだと分かる。ナイフで刺された時とは違う、断続的な痛みの波に、下腹部が物理的に温かくなるのが分かった。時折、かじられた耳の断面が舐められる。
しゃぁ、と堪えきれなかったおしっこが漏れる音。
「何だよ、お漏らしなんかしやがって。子どもかよ」
ようやく体を離された時、ナイトメアの口は俺の血で真っ赤に染まっていた。
アンモニアの匂いと、血の匂いが完全に混ざってしまって、もう何が何だか分からない。痛みと快楽が頭をすっかり満たしてしまって、何も他に、考えられる部分がなくて。
「まぁいいや。そろそろイかせてやるよ」
ナイトメアは大きく一回、ぱんっと中を穿つと、今まで以上に激しく腰を打ち付けてきた。俺の事情なんて全く無視して、やたらめったらペニスを中に叩きつけた。
激しく掻き回される穴から、ぐっちゅぐっちゅと大きくて恥ずかしい音が鳴る。
「あっ、あぁっ、あんっ!」
「こんな血だらけになっても喘ぐなんて、とんだ変態だな?」
耳を食べられた痛みに縮こまっていたペニスが、もう起き上がっていた。身体中の神経の全部が、今体の中で動いている、ナイトメアのペニスのことを考えているようで。俺はむせび泣いて、首を壊れた人形のようにぶんぶん振った。
ああ、ダメ、だ。これ以上されたら、なんか、戻って来れなくなりそうな。
「ナイトメア、っ、……俺、お前とは……ゃ、あ……もっと、ちゃんと……ぁ、ふうん、や、だ……ぅ、ああっ!」
「……」
俺が名前を呼ぶと、ナイトメアはそこで一度、腰を止めた。
――冷たい感覚。
体の奥で繋がったまま、ナイトメアは俺の額に銃口を突きつけた。
「わりぃ。やっぱ、飽きたわ」
引き金が、引かれた。
*
天気が良いのもあって、俺は窓を全開にして仕事に臨んでいた。船上での生活に慣れてしまっている所為で、どうにも、肌を風が撫でていないと落ち着かない。これもまた、ある種職業病と言えるやもしれないな。
今日の風は穏やかだ。潮の香りがしないのが寂しいが、まぁ望み過ぎだろう。後は書類の隣に、珈琲か紅茶が置かれていれば完璧なのだが、そうもいかない事情があった。
「いいだろ、ナイトメア! 偶には付き合ってくれたってさ」
「うっせぇバカ。誰がテメェなんかと」
小僧どもは今日も今日とて、椅子に座る俺の隣で、ワチャワチャとしている。
どうして毎回俺が書き物をしている時を見計らってくるのかと、一度尋ねてみた。『邪魔できそうだから』と屈託のない笑顔で返された。アホか。その根性物理的に叩き直してやろうか、クソガキ。
この『ピーター・パン』兼『ビリー・ザ・キッド』どもは、どうにも俺に構いたくて仕方がないらしい。実際のところは、他に理由があるようだが。ともあれ、こうなった以上は無視に限るので、俺は頭を掻きながらもペンを進めた。最近、また髪が薄くなった気がしないでもない。今度スミーの奴を誘って、温泉やらに行ってみるのもいいかもしれないな。
「お前この前だって、俺との約束破って修練場行ってたんだろ!? 俺、知ってるんだからな!」
「テメェとのお遊びよりも、ヴィランの討伐の方が何百倍も面白いんだ。そんくらい分かれよ」
「俺、オヤツ食うのも一旦やめにしてたんだぞ!」
「俺が知るか」
ぎゃーこらぎゃーこら、毎日よく話題に事欠かないことだ。あと数分もしたら、取っ組み合いの大喧嘩に発展するに違いない。今まで三桁はこの流れを見てきたが、外れたことは一度もなかった。
今日は試しに耳栓を付けてみる。……流れ弾が耳栓の先端を擦ったらしく、数秒後には俺の耳から外れ、部屋のどこかに跳び去っていた。こいつら、その銃の腕前をもっと別のところで使えないのか。
流石に一度叱りつけておく。
咳払いを一つ。
「――このクソガキども! 部屋の中で銃を抜くなと、何度言えば分かる!」
「わっ、船長が怒った!」
「なんだ。お前居たのかよ」
「ナイトメア・キッド。お前部屋に入った時、俺を見て思いきり舌打ちをしていたよな? 貴様の頭はニワトリか」
「……」
「おい、こっちを向け。叱られた猫か、貴様は」
まぁ、こんな風に説教をしてやったところで、耳のない神に祈っているようなものなのだ。
一分も経たない内に、そっぽを向いているナイトメアのマフラーを、ピーターが引っ張った。当然のようにナイトメアはナイフで切りかかり、ピーターは『エアーウォーク』でそれを躱しながら逃げ果せる。
「待ちやがれ、このアホ緑!」
「その緑にイタズラされるお前の方がアホだろー?」
俺が小言を言う前に、開け放たれた窓から、二色のマフラーが飛び去っていった。後に残ったのは、風に巻き上げられた書類と、溜め息をつく俺だけだ。
決して本棚や壁に傷をつけることはしないとはいえ、俺みたいな歳の男が、あの悪ガキどものテンションに付き合うだけでも重労働に違いない。もっと落ち着いて跳び回れ。落ち着いて飛び回るってなんだ。
「まったく、あれだけ仲が良いなら、自分たちだけで遊んでいればよかろうに」
小僧どもが居なくなったので、これ幸いと葉巻に火をつけた。
先程も語った通りだ。あいつらはどうにも、俺の邪魔をするという名目で、二人でつるんでいたいだけらしい。あの二人は片方がもう片方にちょっかいを出し続けて回る、永久機関みたいなもんだ。普通に仲良くしないのは、まぁ年頃のこともあるし仕方がないのだろう。あの歳の男の子二人が、お互いを尊重しあっていたらそれはそれで教育上宜しくない。殴り合ってるくらいが健全だろう。妥協点を探し始めるのは、子ども特権、無尽蔵の体力に限界が来たときにすればいい。
……別に、俺が気にかけてやる必要はないのだが、
「片方が先に居なくなったら、どうするつもりなんだろうな。あいつら」
葉巻の煙が、窓の外へと流れていった。
*
「ってぇ……」
俺は咄嗟に鼻を抑えた。顔から木の幹に突っこんだ所為で、鼻血ならぬ鼻インクが流れていた。あまりに強い衝撃に、目がチカチカと火花を散らして、頭はぐわんぐわんと揺れている。
たしか、図書館の外でばったりヴィランに会っちまったから、ナイトメアと二人で飛んで逃げてて……そうだ、その時に、突然ナイトメアに真横から蹴っ飛ばされたんだ! 思い出したら、なんだかめちゃくちゃ腹が立ってきた!
「おい、ナイトメア! こんな時まで、ふざけてる場合じゃないだろ!」
さっきまでナイトメアが飛んでいた方向へ振り返ると、青い花が樹に大輪を咲かせていた。
このめちゃくちゃキツいインクの匂いはきっと、俺が鼻からインクを流している所為じゃない。
ナイトメアは、木の幹に磔になっていた。
胸にクロノダイルの刃が正面から突き刺さって、手足は全部、だらりと垂れている。青い鮮やかなインクがナイトメアの胸元を汚して、芳香を辺りに充満させていた。
俺は突然の惨状に、動けなかった。地面にへたり込んだまま、ただ、串刺しになったナイトメアを見送っていた。視線が、離せない。
「て、め……ぇ……!」
口からインクを吐きながら、ナイトメアがホルスターに手を掛けようとするのが見える。
瞬間。びちゃり、と。何かの飛沫が上がる音。どちゃり、と。何か質量が地面を落ちる音。何かが俺の目の前に、ぽーんと跳んでくる。
転がってきたのは、スイカ程の大きさの物体だった。斬り落とされたナイトメアの生首だった。
白い髪は、すっかり青いインクを吸いこんで、蛍光色に光っている。薄暗い黄色をした瞳と向かい合った時、俺はようやく、『こいつ意外と綺麗な顔をしていたんだな』みたいな感想を覚えた。
*
「やっぱりだ」
俺の銃を弄っていたナイトメアは、銃の上に付いている、なんか引き金を引いた時に動く部品を指でつついた。
「ここの動きが悪い。多分、ここが良い感じに動くようになれば、元に戻ったことになるんじゃねぇか」
「めちゃくちゃアバウトなアドバイスだな?」
「……お前、銃のパーツの名前とか、いちいち覚えてんの?」
「いや、全然」
「だろ? 別にいいんだよ。使える程度に分かってればさ」
ナイトメアは俺に向かって、ピストルを放り投げた。
慌てて銃を受け止めながら、「ちょ、何すんだよ!?」なんて文句を言う俺に、得意げな顔で答える。
「なに焦ってんだ。俺が暴発しないように投げてやったんだから、大丈夫だっての」
「そんなこと出来んの? 何、投げる角度とかで変えられる訳?」
「いや、俺が暴発しないって思っただけだけど」
「はぁ?」
俺は首を傾げる。こいつは銃のことになると、途端によく分からないことを言い始めるんだ。不思議の国のウソツキ猫の話の方が、よっぽどせーごーせー? 取れてるって感じ。
その時の話も、俺にはちんぷんかんぷんだった。まず、ナイトメアが遠くの方を指さす。俺は釣られてそっちに目を凝らす。
「あそこに的あんだろ?」
「あるな。遠くにあり過ぎて、ドーナツの穴みたいな大きさになってるけど」
「例えば俺が、今から早撃ちで、全部の弾をあそこに当てるとする――」
次の瞬間、ナイトメアはホルスターからバッと自分の銃を抜いて、前に腕を突き出すと同時に、引き金を引いた。銃声が三発響いて、全部が全部、的の中心を撃ち抜いた。俺はかなり目が良いから、見間違いじゃない。本当に、弾丸が的の中央に吸い込まれていくみたいだった。
銃口から漏れている煙を、ふーっと息で吹き飛ばしながら、ナイトメアは言葉を続ける。
「メンドイから、本当に当てといた。今だって俺は、『当たる』って思って撃ったんだ。つまり、そーいうコト」
「よーするに、お前の思った通りに銃が動くって?」
「そっ。俺が当てたいと思ったら、勝手に体が標準合わせて、勝手に弾が風向きを考える。俺はただ撃つだけ」
多分なんだけど、ナイトメアは銃に関しては天才なんだと思う。俺が超一流のサポーターなのと同じで、あいつも超一流のアタッカーなんだ。だから、体がすっかり銃の扱いを覚えていて、本当に、なんだって出来るんだ。
俺も早撃ちには結構自信があったけれど、でも、本当に偶に、こいつの天才が羨ましくなった。『俺はただ撃つだけ』とか、めちゃくちゃカッコいい言い回しじゃないか? いいな、俺も言ってみたい!
「ところでさ」
「ん?」
「今の『俺はただ撃つだけ』っていうの、クソカッコよくね? マネしていいぜ」
……やっぱり、言うのはやめとこ!
*
今日は生憎と天気が悪い。俺は窓をすっかり閉じ切った部屋で、物書き机に直っている。やはり、風が肌を撫でていないと、どうにも調子が出ない。早速葉巻を一本取り出して、火を点けた。
書類の隣には、スミーが淹れてくれたレモンティーがある。紅茶の深みのある橙に、レモンの鮮やかな黄色が浮かんでいた。
「……まさか懸念していた通りになるとはなぁ」
葉巻の煙を口内に充満させて、たっぷり味わった後で吐き出した。白い煙は部屋の天井のところを漂って、ラム酒の芳しい匂いを振りまいていく。
ピーターが、生首を抱えて戻って来たのは、一週間ほど前のことだ。腹から下をナイトメアのインクですっかり汚して、図書館の扉の前で泣きじゃくっていたらしい。急いで結成された討伐隊が、どうにか残りの体も取り返したが――図書館の加護のない、外の世界での傷だ。本体であるブックにも傷が及んでいるらしく、予断を許さない状況だとか何とか。
片割れが欠けてしまうと、生意気な小僧は俺の部屋を尋ねてこなくなった。それどころか、図書館の方にも顔を出していないときた。何処で何をしているんだか。
「ん」
分厚い書類の束を捲っていて、気付いた。大方の書類には既に目が通されて、後は判を押すだけになっている。
「……スミーの奴、余計なことを」
葉巻を灰皿に置くと、ガシガシと頭を掻く。
俺は善人じゃない。ただ、人並みに感情は持っている。そういえばシレネッタの奴が、ナイトメアをどうにか治療しようと血眼になって資料を集めていた気がせんでもない。ここで小僧に恩を売って、いくらか大人しくさせるというのも手ではある。そもそも、キャスト戦力が減ると、俺が戦いに駆り出される回数が増える。陸地を走る時間で、船を走らせていたいのが正直なところだ。
俺はレモンティーをぐいっと呷ると――もったいないことに、葉巻の味が微妙に混じった――今日の仕事をさっさと終わらせてしまうことにした。
*
俺がナイトメアと初めて会ったのは、修練場でのことだった。
不測の事態とか何とかで、その時は普段とは違う場所にヴィランが召喚されちまったらしい。偶然ばったりヴィランに出会っちまった俺は、どうにか足止めに専念していた。図書館の中なら援軍はすぐに来るし、多少怪我してもどうにかなるしな。
ジャバウォックが鉤爪を振りきったところで、俺は魔力を練り上げた。『スカイフォール』の玉を空に蹴り上げながら、詠唱。
「『さてと……大人しくしててもらおうか!』」
咄嗟にジャバウォックは、大きく後ろに跳ね退いた。空振りした『スカイフォール』の魔力が地面に拡散するのが見える。外したのはおもしろくないけど、これでジャバウォックとの距離はだいぶ出来た。『エアーウォーク』の魔力だって、残してある。時間稼ぎと考えれば、十分な成果だな。
俺は良くも悪くもサポーターだった。そりゃあ、ここから一人でヴィランを討伐できたらカッコいいんだろうけど、俺に求められている役目はそうじゃない。変に無理したって、失敗してもっとダサいことになるのは分かってた。
ジャバウォックは前屈みになると、勢いつけてこっちに突進してきた。爪が砂を削って、重い体が地面を沈める音。一歩一歩が大きいから、普通に飛ぶんじゃ追いつかれる。早撃ち勝負の時と同じ、タイミングを見計らって、
「『空の彼方へ!』」
ジャバウォックが攻撃の為に大きく上体を持ち上げたと、全く同時。そいつの脇腹のスレスレを通るように、真っすぐ、一直線に空に飛び立った。
慌ててジャバウォックは鉤爪で俺の後ろを追いかけるけど、少しキツい風圧が後ろ髪を撫でるだけ。風になった俺を、止められるはずがない!
「へへっ、ざまぁみ」
その時、俺は気付いた。弾丸よりかは遅いけど、何かが空気を裂いて飛んでくる音がする。
『スカイフォール』と『エアーウォーク』で魔力は切れていた、『風の魔法(ドローショット)』で壁を作るにも心もとない。すぐさまピストルを抜いて、音の方向に三発。銃声。たしかに標的には当たった。けど、ダメだ、勢いを殺しきれない――ッ!
「、かはっ」
鈍い、痛み。冷たい。何かが腹に突っこんできて、衝撃のままに地面に叩き落とされる。
貫通はしてないけれど、思いっきり腹を殴られたみたいな形で、たまらず口からインクを吐き戻した。地面に思いきり打ちつけた背中が、痛む。涙目になってるのが自分でも分かった。
お腹を抱えてうずくまる姿勢になりながら、それでも、攻撃が飛んできた方を見る。俺がうずまっている地面には砕けた雪玉が散乱していた。
巨大な雪達磨の輪郭が、遠くの方から迫ってくる。間違いない、フロスティだ。アイツの雪玉は、それこそ敵の城から味方の城まで届く程度には、射程が長い。
俺の後ろからは、鉤爪が地面を抉る音。そろそろ、ジャバウォックも次の行動に移る頃合いだ。『エアーウォーク』分の魔力は溜まりつつあるけど、それで、どうすればいい。片方のヴィランの攻撃は避けれても、今と同じだ、その硬直の間にもう片方の攻撃が飛んでくるのは間違いない。どうすれば、どこに飛べば。
ぼそり、と。溜め息のような言葉。
「つんだ?」
毒を帯びた紫の魔力が、視界端に迫る。
思考を、完全に停止してしまいそうになった、その瞬間。
――「右に飛べ、ピーター・ザ・キッド!」
その言葉に、我に返った。
声の通り、思いっきり右に『エアーウォーク』、ジャバウォックの凶腕をすんででかわす。静止した俺に、フロスティが人参の弾丸を放ってきたけれど、
「『貴様ら、のろ過ぎなんだよ!』」
誰かの腕が、俺の服の首根っこを引っ張った。フロスティの攻撃は、俺のブーツの底を軽く擦るだけに留まる。喉を圧迫されて「ぐえっ」ってなりながらも、突然俺の体を引っ張り上げたソイツに、目をやった。
俺と似た背格好に同じ服を着て、けれども色だけは違った。赤い上着とマフラーの合間から見える肌は褐色で、風に靡いて白い髪がさらさらと揺れている。空中で俺を持ち上げたそいつは、黄色い目で俺をまじまじ観察した。
「……ふーん。ヴィラン二体相手にその損傷なら、まぁ上出来か」
「おわっ!?」
突然手を離されたから、俺は慌てて自分の魔力で飛ばないといけなかった。俺が「危ねーだろ!」とか文句を言うよりも先に、そいつは俺に言い放つ。
「合わせろ、ピーター・ザ・キッド。アイツらを潰しに行くぞ」
「はっ、へ? ちょっと待ってくれよ、俺、お前の名前だって知らないし」
「俺はナイトメア・キッド。使う武器はお前と同じ、フォールの魔法も使える。これでいいか」
面倒くさそうに俺を横目で見ると、一方的にまくし立ててきた。俺はそこでようやく、目の前のそいつが『アナザーキャスト』ってヤツなんだと気付いたんだ。
俺の物語の別側面。たしかどっかの世界だと、同じ町で、俺とは違う方法で悪人を懲らしめてるんだっけ?
「ちっ」
俺が反応に困っている間に、舌打ち。直後、早撃ちで発砲。ナイトメアの銃口の先を見ると、痺れを切らしたジャバウォックが、こっちに突進してくるところだった。
咄嗟に、魔力を放つ。『ドリームウィンド』の詠唱。
「『いい夢見させてやるぜ!』」
風の魔力に、赤色のマフラーがゆるく舞う。同時に、そいつの横顔がにやりと笑った。口角を吊り上げる、獰猛な笑み。
「悪くはねぇな?」
ブーツの底で空中を蹴って、ナイトメアはジャバウォックに向かって飛び込んだ。さっきと同じ『エアーウォーク』の詠唱で振りかざされる爪を掻い潜ると、ヴィランの後頭部のところでぴたりと止まり、振り向き様にピストルの引き金を引く。連射する。魔力のこもった弾丸に肌を削られたジャバウォックが、薄気味悪く鳴き叫んだ。払いのけようとする腕は、俺の魔力も手伝ってか、赤いマフラーに掠りもしない。ヴィランの攻撃を嘲り笑いながら、ただ銃を撃ち続ける。
俺は自分でいうのもなんだけど、超一流のサポーターだ。こういう時、どうすればいいのかは分かってた。
「『さてと……大人しく、しててもらおうか!』」
詠唱を叫ぶ声が、なんとなく清々しい。
ジャバウォックを援護しようとしていたフロスティに向かって、思いっきり魔力の玉を蹴り飛ばす。『スカイフォール』は攻撃の構えを取っていたフロスティに命中して、その動きを中断させた。
「八秒」
ぽつり、と呟く声。同時に、何かが硬直するフロスティに放たれた。
「『目障りだ、堕ちろ!』」
着弾すると同時に、紫の魔力が弾ける。間違いない、あれは俺と同じ魔法だ。いろいろと細部は違うみたいだけど、それでも。
「おい、何ぼけっとしてやがる」
ジャバウォックを軽くいなした後、その爪を蹴った反動で、ナイトメアはこちらにひらりと飛んできた。
自分の手元の銃を上に放って、落ちてきたのをキャッチする。それはまるで、俺を挑発しているようで、
「お前も抜けよ。とっとと片方潰して、残りも狩るぞ」
いや、実際挑発でしかなかったみたいだ。
初対面かつ口の悪いコイツに、俺がどうして反発しなかったのか、正直今でも疑問に思うことはある。この時も、軽いデコピンくらいはしてやってもよかった気がするんだ。
多分だけれど、その一番の理由は
「やっぱり思った通りだ」
機嫌が良さそうな声で笑った、そいつの不敵な表情と、敵に向かって銃を構えるシルエットが、
「俺と同じヤツにサポート任せるのが、一番やりやすい」
やたらとカッコよく見えたからなんじゃないかなって。そう思う。
子どもが西部劇のガンマンに憧れるみたいな心境。アウトローが何をやっているのかは置いておいて、とにかくカウボーイハットを抑えて銃口に息を吹く姿のカッコよさが、頭の中で先行して。アウトローとしての誇りとかの難しいところを知らないまま、ただ単純にマネしたくなるような感覚だ。
ある意味こういうのも、一目惚れって言うんだろうか。
「まったく、いきなり出て来ておいて、えらそーなヤツ!」
俺は笑顔で悪態をつくと、そいつの隣に立った。同じように、ヴィランたちに銃を向ける。
「仕方ねぇから、ここはお前に合わせる! 俺のサポート、無駄にするなよ? ナイトメア!」
「馴れ馴れしいヤツ……まっ、いいけど」
同時に、ブーツの底で、宙を蹴り飛ばした。
*
――そうだ、ナイトメアが怪我をしたのは嘘なんだ。
俺は自分の天才的な発想に、ハッと顔を上げた。
ナイトメアを図書館に送り届けて以来、ヴィランと出会った森の中で、ずっと何もせずにぼーっと座っていた。何回お日様とお月様が交代したかも分からないけど、今の外は真っ暗だった。
ナイトメアは超一流のアタッカーなんだ。いつだって何かにつけてカッコつけて、それでも絶対に一定以上の成果は上げる、なんかすごいんだかすごくないんだか分からないヤツなんだ。そんなヤツが、俺を庇って怪我をするはずがない。ましてや、その所為で死にかけたりするはずがないんだ。
アイツだったら俺なんか見捨てて、寧ろ怪我した俺を見下して「弱いヤツ」なんて吐き捨ててるはずだ。だってアイツに必要だったのは、ただの都合の良いサポーターで、だからそのサポーターが足手まといなら、その時点で捨てるはずなんだ。そもそもアイツ、俺のコトいつも『バカ』とか『アホ』とか呼んでるし、やっぱりあそこで庇う理由はない。ついでにいえば、そもそも咄嗟に誰かを庇うタイプでもない。庇うよりも先に銃を抜いて、軌道をずらすなり何なりしようとするタイプだ。それでダメでも、まぁオトリくらいにはなったかな、みたいな感じで割り切るに違いない。それが悪いか良いかは置いておいて、とにかく戦いについては、わりと現実的でシビアなヤツなんだ。
ナイトメアとの生活を思い返してみているけれど、うん、やっぱり俺を庇いそうな要因はなかった。俺はアイツのことを偶に、口が滑る感じで褒めたりすることはあったけれど、アイツは基本的に褒められるの当然だと思っている感じだし。寧ろ俺がアイツにイタズラして、アイツを苛立たせることが多かったんだから、多分アイツの中ではそっちの印象の方が大きいはずだ。いつもイタズラしてくる面倒なヤツを、わざわざ自分を犠牲に庇ったりするか? ないない。ああ、そういえば、アイツと今度、船長がこっそり隠してる秘蔵酒を盗み出そうって話してたっけ。アイツ普段あんなんだし、酒を飲んだらどうなるのか逆に興味が有るよな。イタズラついでにアイツのことも少し分かるなんて、いいんじゃねぇか。
えっとそれで、何を考えてたんだっけ俺。そうだ、ナイトメアが俺のことを庇うなんて絶対にあり得ないって話だ。それじゃあ、あの時クロノダイルに胸を裂かれて首を斬られたヤツは誰だったんだろう? たしかにあの時、誰かがクロノダイルに殺されたんだ。だって、俺の目の前に生首が飛んできたんだから、これはもう間違いない。悪夢って可能性もあるけど、俺ってそもそも夢の番人だからなぁ。さすがにないと思う。あの時はそう、俺とナイトメアの二人しか居なかったんだ。それで、ナイトメアは死んでない。となると、
「……俺が死んでたんじゃね?」
考え事の終着点を、口に出したその時。俺は不思議なことに気付いた。
周りが、あまりに真っ暗過ぎる。星や月が見えないだけじゃなしに、地面や木の境界すら見えない。自分の体以外、世界の全部が黒一色に塗りつぶされている。
何度か嗅いだことがある、腐ったインクの匂いがした。倒されたヴィランが消えていく時の、あの――
*
俺が目を覚ますと、白い天井が目の前にあった。左の方から「! やった、目を覚ました! 船長、私やったよ!」なんて、騒がしくキンキン鳴く声がしてくる。この人魚の声は、子どもほどじゃないが、耳に響く。寝起きには最悪だ。クッソうるせぇ。
重々しい足音が、こちらに近寄って来る。
「ようやくお目覚めか。気分はどうだ? ナイトメア・キッド」
「どうもこうも。そこのクソ人魚の所為でサイアクだ」
「そう言うな。アイツが居なかったら、お前は今も眠りっ放しだ」
「なんだと……?」
俺はその言葉に、慌てて上半身を起こす。かけられていた毛布が落ちたところで、俺はようやく、自分が今までベッドに寝ていたことに気が付いた。辺りを見回せば、いかにも医務室らしい白い壁や妙な機械が目に入る。
視界の端、さっきまで騒いでいた人魚が、空いたベッドに上半身を投げ出して、爆睡している。
「ろくに寝ずに、お前に回復の魔法を歌い続けていた。惚れたくなるくらい健気だな」
「俺はそんなこと頼んでねぇ」
クソ船長の言葉にそっぽを向きながら、俺は記憶を辿る。
どうしてこんなことになっている? 俺はいつ、こんな醜態を晒すようなヘマをした?
――視界が、青色のインクで彩られる感覚。激痛が頭から足先までを一直線に貫いて、それに腹が立って、銃を抜いて。
最後にアイツと、目が合った気がした。
「っ、ピーター! ピーター・ザ・キッドはどこに居やがる! あのアホ、俺が居ねぇとすぐバカしやがるんだ! この前だって、イタズラするとか何とかで、デカい本棚をブッ倒して――」
「お前が迎えに行ってやれ」
何を言われたのか理解が追いつかなくて、つい瞬きをして船長の顔を見た。
「あの小僧は、お前が自分を庇って怪我したことで、すっかり塞ぎこんだみたいでな。少し前から、こっちに帰ってきていない」
「……俺はアイツの保護者じゃない」
「だが、言いたいことはあるんじゃないか? ほら、『あの時、お前がもっと早く『ドリームウィンド』を打ってたら避けれたんだ! 次こそはきちんとしないと、ただじゃおかねぇからな!』だとかな」
「妙に具体的に言うんじゃねぇ。ぶちのめすぞ。ついでに似てねぇし、そのモノマネ」
俺はベッドから下りると、船長の隣を通り過ぎて、扉の方へ歩く。クソ船長の言葉に従うことになるのは癪に障るが、まぁ正論だ。
俺の所為で塞ぎこんでるだと? 俺を助けないで、ぷるぷる震えていた分際で? アイツ、脳みその代わりに脱脂綿か何か詰まってるんじゃねぇの? そんなことでヘソ曲げてる暇があったら、とっとと俺の為に戦場での応用力上げればいいんだ。俺のインクは、そんなクソ甘野郎を庇う為に消費できるほど、安いもんじゃねぇっつーの。俺が先行投資してやった分、アイツにゃ俺の為にキリキリ働いて貰わないと困るんだ。
だって、ほら。アイツが一番、俺の攻撃パターン理解してるし? そりゃあ、相性的にはマリアンとかにサポートまかせた方がいいけど、あの女は気が強いし、なんか嫌だ。その点アイツは普段つるんでる分、いろいろ気兼ねなく言えるし、ガンマンが何をやりたいのか、よく分かってる。
俺が、俺の為に見つけた人材だからな。アイツの有能さは、俺が一番知ってるんだ。
「おい、ナイトメア」
「なんだ」
「スミーからの伝言だ。台所の机に、まだ封を切っていないクッキー缶があると」
「……テメェのところのアイツ、ほんとお節介好きだな?」
*
目の前で、ピーター・ザ・キッドが死んでいた。
額の銃創から流れる血が、顔や明るい色の髪を汚している。チンコを突っ込んだままの穴の中は、まだ温かい。
分からない。気が付いたら、俺は俺を犯していた。
俺がナイトメアの名前を呼んだのがムカついて、ナイフで突き刺したり、気持ち良く喘いでいるのに腹が立って、耳を食い千切ってやったり。泣き叫んで嫌がったりする俺を、とにかく犯して壊して、最後には殺していた。
死んだ俺の体の、腰のところを掴んで、ひらすらに突き上げる。がくがくと壊れた人形のように、俺の体は力なく揺れた。肉と肉がぶつかりあって、ぱんぱんと音を立てる。俺は特別、目の前の死体に対して感情を抱いていなかったから、ただただ死体の穴でチンコを扱いているようなもので。
「……うっ」
とにかく、自分が気持ち良くなったからというそれだけで、死体の穴に射精をした。とぷとぷと、好き勝手に精を吐き出す感覚が、心地良い。
「俺は、何をしてるんだろうな」
ひとしきり終わった後、俺は俺を見下ろしていた。中から自分のモノを抜き取るのも忘れて、黙って見つめていた。
俺はきっと、許せなかったんだと思う。あの時、ナイトメアを助けられなかった自分が、どうしても許せなくて。
これはきっと、凄まじくリアルな妄想だ。俺が、『俺なんかこんな風にナイトメアにされても仕方ないんだ』って、そういう八つ当たりをした結果なんだと思う。
酷く、虚しかった。こんなことをしてもナイトメアが生き返る訳ないのに。というか、犯されてる俺が気持ちよさそうにしていた辺り、これは多分ナイトメアが死んだことに託けてよがりたいだけの、俺の自己満足だ。死んだ人間でオナニーして、俺、何してるんだよ。バカかよ。
こんなのただ、ナイトメアを貶めてるだけじゃないか。ナイトメアのこと、こんなことする奴だって、言ってるようなものじゃんか。
あーぁ。俺、自分がナイトメアに抱いている気持ちは、もっと綺麗なものだと思ってた。こんなんじゃ、永遠の子どもなんてまかり間違っても名乗れそうにない。というか、もうナイトメアにどんな顔をして会えばいいのか分からない。
「……」
俺を撃ち殺した銃は、まだシーツの上にあった。煙はさすがにもう吹いていなかったけれど、持ち上げた銃身は、ほのかに暖かい。
ピストルを、自分のこめかみに突きつける。白いシーツと血溜まりに倒れた死体に、カッコいい形をした影が覆いかぶさった。ああ、やっぱり、コイツは最後までカッコいいヤツだった。
「俺、こんなことする想像するくらいだからさ」
引き金に、指を絡ませる。
「多分、お前のこと、好きだったんだよな。ナイトメア。すっかり汚れちまったけど」
――銃声。
救いのない世界という解釈に迷いましたが、やはり『一番身近に居る自分が、自分を永遠に許さない』というのが一番救いがないのではないでしょうか。
誰にも責任転嫁出来ず、かつて自分が抱いた淡い憧憬さえ踏みにじって、「ああ、もうなにもなくなったんだな」と思ってしまった瞬間。もうその世界には、未練すら抱けない気がします。
描写出来ていたら幸いです。
鬱フレマでリクエストを下さった方、ありがとうございました!