大地は親身に澪の話を聞くつもりではあったが、彼女の悩みは彼が全く想像すらしていなかったことで――
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この作品は『ノクターンノベルズ』にも掲載しています。
真っ昼間に涼しい部屋で、ベッドに寝転がりながらマンガを読むのは至福の時間だ。昨日までのバイト六連勤から解放され、俺は今日、極力動かないと決めた。父と母は日曜日だからとどこかに出掛けてしまったが、死人が出そうな猛暑の中、余計な外出なんてどうかしていると思う。
マンガのページが真ん中辺りに差し掛かった時、インターホンが鳴った。せっかくの自由な時間を邪魔されたことを疎ましく思いながらも、重い身体を起こして部屋を出る。
一階に下りて来客のモニターを確認すると、日に焼けた肌と、やや吊り上がった大きな目が見えた。この顔は見飽きている――澪(みお)だ。そこで会話することはせず、その足ですぐに玄関に向かって扉を開けた。
「よう」
「いきなりごめんね……忙しかった?」
「いや、そうでもないけど。とりあえず、暑いから中入ったら?」
「う、うん……じゃあ、お邪魔します」
そういえば、最後に彼女に会ったのは、お互いが大学生になる少し前だっただろうか。思えばもう五ヶ月も経つ。
記憶では短かったはずの癖のない黒髪は、肩に触れるくらいにまで伸びている。淡い緑のTシャツはまだしも、白いロングスカートなんて持っているとは思わなかった。制服以外でスカートを履いているところなんて見たことがない。
なんとなく、いつの間にか彼女が少しだけ大人になったような気がして、胸が高鳴った。
「あっ……ジュースでいい? 持っていくから先に俺の部屋行ってて」
「うん、ありがと」
そう言って、彼女は階段を上がっていった。
俺はキッチンに向かうと、ふたつのグラスに氷を入れながら、なぜ彼女が突然ここに来たのかを考える。どちらかといえば笑顔は少ない方だが、さっき見た限りではあまり元気そうに見えなかった。悪い知らせがなければいいが。
■□■□■
俺が部屋に戻ると、澪は大人しくクッションの上に座って待っていた。テーブルに炭酸飲料とグラスを乗せた盆を置く。テーブルを挟んで彼女と向かい合い、俺もクッションの上に腰を下ろし、あぐらをかく。グラスにジュースを注ぐ。
「しばらく顔見てなかったし、今日は何かあって来たんだろ? どうしたんだ?」
注いだジュースを手渡す。
「ども。う、うん……まあね」
歯切れの悪い返事をして、彼女はジュースを一口含んでグラスを置いた。見当もつかないが、やはり言いにくいことなのだろう。急かすのも可哀想なので、ジュースを飲みながら次の言葉を待つ。
静まり返った部屋の中に、けたたましい蝉の声だけが響く。
「……今日は大地(だいち)に聞いてほしい話があって来たの」
30秒ほどは待っただろうか。ようやく口を開いた。それだけ重苦しい空気をまとっていれば、何か話があることは言わずとも分かる。大学生になってから、俺自身がそれなりに周りの環境が変わったし、彼女もきっとそうだろう。悩みのひとつくらいはあっても不思議じゃない。
「澪はあんまり自分の思ってることを言わないし、また人間関係か? そういや、高校でも――」
「うーん、今日はそうじゃなくて」
俺の言葉をそっと遮って、彼女は俯いてしまった。人間関係でないならなんだろう。彼女の悩み相談は、小学生くらいの時から何度も何度も受けてきたが、大体が人間関係のことだった。いつも聞いていただけで、解決出来ていたとは言えないが。
「聞いてほしいのは、その……身体の悩みというか」
「身体?」
あまりにも予想外すぎてオウム返ししてしまった。
つい彼女の身体に目が行ってしまう。昔は痩せていた身体は、中学生くらいからふくよかになった。また細くなりたいのかもしれない。彼女には言えるわけもないが、Tシャツを持ち上げている大きな胸にはいつも理性を揺さぶられる。
「うん、身体。ずっと気になってて……こんなこと女友達にも恥ずかしすぎて相談出来ないし。もう大地しかいないの」
今にも泣き出しそうな目が突き刺してくる。
「かなり切羽詰まってるんだな。とりあえず落ち着け、話は聞くから」
もし、ダイエットをしたいと言うなら協力してもいい。だが、運動部に所属していても変わらなかったのだから、劇的な効果を出すのは難しい気がする。
「じゃあ……言うね。私、たぶんアソコの毛が濃い方だと思うんだ。それを大地に確かめてほしくて」
「……は? いやいやいや、ちょっと待て……はあ?」
体型のことかと思っていたら、随分とデリケートな悩みですぐに返す言葉が浮かばない。それより、そんなことを俺に暴露するということに抵抗はないのだろうか。思わず彼女の濃い陰毛を想像してしまうが、それを無理矢理掻き消す。
「ダメかな……やっぱり、大地は私のアソコの毛なんか見たくないよね」
「そういう問題じゃない! えっ、羞恥心はないの?」
「恥ずかしいよ。でもそれ以上に悩んでるの。見るだけでいいから……ダメ?」
正直なところ、彼女の下半身を見たくて堪らない。これまで彼女のイヤらしい姿を想像しながら、オナニーをしたことは数え切れないほどにある。その想像でしかなかったものを実際に見るチャンスが今、目の前にあるんだ。
しかし、彼女のことは物心ついた頃から知っている。見るだけとはいっても、間違いなく性的な目で見てしまうことをするのに後ろめたさがある。
返事を出来ないでいると、痺れを切らしたのか彼女が急に立ち上がり、背を向ける。
「お、おいっ……やめろって」
「私、今日は大地に見てもらうまで帰らない」
彼女はためらうことなくスカートの中に手を入れると、足の先から青いパンツが出てきた。それを小さく折り畳んでその場に置く。
あっという間に、引っ込みがつかないところまで来てしまった。こういう時だけは思いきりがいいのが、俺にとっては都合が悪すぎる。見た目には何も変わらないのに、ゆっくりと振り返る姿は妙に艶っぽく感じた。スカートの生地一枚で、恥部が隠されていると思うと興奮してしまう。
次に彼女は、スカートの前部分を両手で摘まんだ。そのまま持ち上げるのかと思ったが、手は止まっている。顔を見てみると、目も唇も固く閉じられて真っ赤だ。やはり、なかなか見せるところまでは吹っ切れないのだろう。
「……やっぱり、やめた方がいいんじゃない?」
「ヤダ。もう少ししたら見せるから、待って」
見せずに済むならそうしてほしいところだが、逃れられないようだ。
「今から見せるから……ちゃんと見てね」
スカートを掴む手が震えながら動きだした。彼女の膝があらわになり、そして――
目に飛び込んできたのは逆三角形に生えた陰毛だった。生えている範囲は広く、この距離でも股間の筋が見えないくらいに濃く密集している。毛の一本一本が長く縮れていて、毛先はあらゆる方向を向いている。
女性の一般的な陰毛の濃さは分からないが、彼女が濃い部類であることは間違いないだろう。悩む気持ちは分からないでもない。
――ヤバイ……勃(た)ってきた。
勃起してしまったのを悟られたくなくて、そっと股間を左腕で隠す。彼女にとっては深刻な悩みのようだが、俺にはその悩みの種そのものが、とても魅惑的で誘惑的で――出来ることならもっと見たい。
「なんか言ってよ。モジャモジャすぎて引いちゃった……?」
彼女の言葉で意識を引き戻される。いざ目の前に下半身が晒されると、こんなに簡単にエッチなことで頭がいっぱいになってしまった。
「うーん、その……ここから見るだけだとちょっと分かんない」
嘘を吐いてしまった。分からない振りをすれば、もっと見せてくれるかもしれない。下心を察せられなければいいが、もし断られたら素直に諦めよう。
彼女は手を離して、持ち上げていたスカートを下ろした。もう恥部を見ることは出来ないのだろうか。俺は表情をうかがうために顔を上げると、彼女は目を白黒させていた。
「あっ、ごめん! 見えにくかった? えっと……どうしたらいい?」
これはまだ見せてくれるということだろうか。
「じゃ、じゃあ……ベッドの端に座ってくれない?」
「うん、分かった」
彼女は小さく頷くと、奥のベッドの方へ歩いていき、縁に腰掛けた。こんなにあっさりと指示に従われると、逆に拍子抜けしてしまう。俺は勃起に気付かれないよう慎重に立ち上がり、彼女の足先に座る。
「M字開脚って分かる?」
股間が一番晒される体勢といえば、これしかない。
「えーっと、グラドルとかがするようなポーズだっけ……?」
「グラドル」という言葉が出てきたということは、どういう体勢なのかは分かっているようだ。
「うん、そうそう。出来る?」
「見せること自体はさっきと変わらないんだけど、M字開脚? は、さすがに恥ずかしすぎる。心の準備が……ふう。ちょっと待って」
頬を赤らめながら、深呼吸をしている姿が色っぽい。昔から彼女は緊張すると、よくこうやって自分を落ち着けていた。だが、それが性的なことをする前触れだと思うと、卑猥に見えてくる。
「……そんなにジロジロ見ないでよ。準備が出来たら言うから、それまで大地はあっち向いてて」
「あ、うん。分かった」
背を向ける。視界から彼女の姿が消えると、自分の心臓の音がうるさいくらいに頭に響く。
「こっち向いていいよ」
ほんのわずかな時間が随分と長く感じた。また身体を反転させると、彼女は体育座りで座っていた。足を交差させて股間は全く見えないが、両脇から柔らかそうな白い尻が覗いている。ふくらはぎ辺りまでは日に焼けているが、そうでない部分はとても白い。色気を感じながらも、同時にまだ彼女が色白だった幼い頃を思い出した。
「アソコが見えないんだけど」
「もう! 今から見せるから急かさないでよ」
彼女は一度尖らせた唇を真一文字にすると、ゆっくりと交差していた足を解いて開いていく。すると、隠されていた恥部があらわになった。襞の小さいピンク色の割れ目と、放射状に薄茶色のシワのあるアナルが覗いている。
しかし、それらは長く濃い陰毛でほとんど隠れている。ここまで生えているのはかなり珍しいのではないだろうか。
「どう、かな……」
「あまり気にすることないんじゃない? 俺には普通に見えるけど」
なるべく平静を装って淡々と言った。本音は濃いと言いたいが、こんなところで彼女を傷付けても意味はない。
「……ホント? 絶対濃いよ――」
もはや理性を保つだけでも精一杯だ。この距離でも「女の匂い」が漂ってきそうな股間を前にして、冷静にいられるはずがない。自分を押し止めていた何かが、音を立てて崩れていく。幼なじみだからとか、悩んでいるからだとか、そんなものは取り払っても――
「……ねえ、澪の全裸が見たい。それとおっぱい触らせて」
「え? 急にどうしたの……?」
「マン毛を見てほしいっていう要求には応えたんだからさ、今度は俺の要求を聞いてよ」
彼女は静かに足を閉じて股間を隠した。眉をひそめて警戒していることは分かるが、何を考えているのかまでは読めない。
「大地って私のアソコ、お願いしたから仕方なく見たんじゃなかったの?」
「ん?」
質問の意図が分からない。
「何言ってるんだ、みたいな顔しないでよ。大地は私の裸を見るのは嫌なんだよね? だから裸が見たいなんて、ましてやおっぱいを触りたいなんて言うと思わなくて、ビックリしちゃった」
何を疑問に思っているのかがなんとなく分かった。俺が彼女に対して性的に興味がある、という考えがないのだろう。
「こんなことあんまり言いたくなかったんだけど……澪の身体って、男はどうしても目が行っちゃうと思う。特におっぱい」
「えっ、そうなの!? 部活辞めてから、ちょっと太ったの気にしてたくらいなのに……それに男の人ってみんな、モデルみたいなスラッとした人が好きなんだと思ってた」
確かにそういう男もいるのだろう。ただ、その豊満な身体は、多くの男を惑わせられるのは間違いない。少なくともその一人に俺が含まれている。
「おっぱい触られるのは嫌?」
「嫌っていうわけじゃないんだけど、大地にそういう……エッチな目で見られるの恥ずかしい」
両手を膝の上に置き、顔を伏せてしまった。拒絶されると思っていたが、意外にも満更ではなさそうだ。
数秒ほど沈黙が続いていたかと思うと、彼女は伏し目がちに赤くした頬を覗かせた。
「……おっぱい、触りたいならどうぞ」
蚊の鳴くような声だが、確かにそう言ったのが聞こえた。俺は思わずニヤけてしまいそうになった口元を、奥歯に力を入れて締める。
「じゃあ、上脱いでくれる?」
「うん……」
もう股間が見られた後だからなのか、呆気ないほど話が早い。彼女は左手で自身のTシャツの右袖を掴む。右腕を袖から抜くと、次は左腕と脱いでいく。息つく間もなくTシャツを脱ぐと、それを横に置いた。
下半身と同じく上半身も、服で隠れていた部分がやけに白く感じる。それより、やはり特に目が行くのは、青いブラジャーに包まれた零れ落ちそうな胸だ。服の上からでも大きいことは分かっていたが、はち切れんばかりの谷間を前にすると、それをありありと感じられる。
「おっきいね」
「そ、そう、かな? えっと……次はブラだよね」
今度は手を背後に回すと、左腕で胸を隠しながらブラジャーを外した。それをTシャツの上に置く。
「ある意味、アソコよりおっぱいの方が見られるの恥ずかしいかも……」
眉尻を下げながら、そっと胸を隠していた左腕が下ろされた。洋梨のような流線形をした胸は、ほとんど垂れることがなく前に突き出している。乳首は小さく、乳輪はやや大きめだろうか。色は少し茶色がかってはいるが、それがむしろ生々しい。
自分の腕に、さっきより勃起したチンコが当たる。この胸を見て興奮しないのは無理だ。
「何カップあるの?」
「……Gだよ」
「G!?」
Gカップという響きに圧倒されて、目が離せない。どれくらい柔らかいのだろう。
「――なんか険しい顔してるけど、大丈夫……? 私のおっぱい、見ない方が良かった?」
そう言われて慌てて表情を緩める。
「いやっ、そんなことはない! 綺麗な形してる思う」
「ホントかなあ。でもそう言われるのは嫌じゃないかも」
口元に笑みを浮かべて、少しは緊張が解れただろうか。
立ち上がって俺もベッドに上がる。近付けば近付くほど、その胸の重量感が伝わってくる。
「触るね……」
小さく頷いたのを合図に、左胸に右手で触れてみる。しっとりとした柔らかさが、掌に貼りつくようにまとわりついた。少しだけ手に力を入れると、それに伴って胸も、指の間から擦り抜けて形を変える。今の俺はまるで、おもちゃを与えられた幼児のようになっているだろう。夢中で胸を揉み続ける。
「んっ……大地、ちょっと……」
どこか悩ましい声が聞こえて我に返り、弾かれるように手を離した。
「あ……ごめん。どうした?」
「ううん。くすぐったいというか、なんて言ったらいいのかよく分からないんだけど……なんだか変な気分になっちゃって」
もしかして、性的快感を感じたのかもしれない。それが分からないということは、彼女はセックスの経験がないのだろうか。これだけ艶かしい身体が、まだ俺以外の男に触れられていないと思うと、どことなく優越感が湧いてくる。
「たぶんそれ、気持ちいいんだと思うよ。澪はオナニーしないの?」
「お、オナッ!? うーん、しない……と思う」
「ははっ、何それ」
彼女の言葉を聞く限りでは、本当に性的快感がよく分かっていないのだと思う。
「また触ってもいい?」
「……いいよ」
眉間にシワを寄せて不安そうな顔をしているが、手荒にするつもりはない。大丈夫だろう。自分に都合のいい理由をつけてしまうほど、今は理性を保っていられない。
今度は両手で鷲掴む。柔らかい感触と、揉む度に形が変わる視覚的な刺激が癖になる。彼女は唇を震わせながら経験したことのない感覚に耐えているのだろうが、構わず揉み続ける。
「んん……あっ」
気持ちいいのだろうか。物心ついた頃から知っている彼女が今、エッチな声を上げている。そう思うだけで、チンコがさらに勃起していくのが分かる。もう彼女に気付かれてもいい。
しばらくそうしていたら、いつの間にか彼女は、荒い息を吐きながら赤面していた。苦しそうなので、一旦手を離す。
「大丈夫……?」
「んっ、はあ……大丈夫」
胸を触られただけでここまでなってしまうのだから、性的快感に慣れていないということが分かる。それでも、もっと彼女の身体に触れたい。
「スカートも脱いでほしいんだけど」
股間はさっき見たとはいえ、どうせなら全裸の彼女も見ておきたい。陰毛を見てほしいという要求に対して、自分の要求が釣り合わなくなってきた気がするが、この際、拒絶されるまでしたいようにしよう。
「え? さっき、私のアソコ見たのに?」
「全部脱いでるとこが見たいんだよ」
「うーん……よく分かんないなあ。別に構わないけど」
彼女は間髪入れずに、座ったままスカートを足から抜いた。両足を向かって左側に投げ出し、横座りになる。
一糸まとわない彼女は、思わず息を飲んでしまうほどに綺麗だ。日焼けした部分とそうでない部分のコントラスト、脇腹から腰の辺りにかけての肉付き、股間に黒々と繁る陰毛。それに加えて、このどうしようもなく目に入る大きな胸。非現実と生々しさがない交ぜになって佇んでいる。
もう我慢が出来なさそうだ。出来ることならこのまま押し倒してセックスをしたいところだが、処女かもしれないし、強姦紛いのことは出来ない。それなら――
「え? ちょっと……何してるの?」
俺は立ち上がった。興奮で手につかないながらも、なんとかベルトを外してズボンを脱ぐ。彼女は今にも目が回りそうだが、気にせずパンツも脱ぎ、その場に投げ捨てた。
「きゃっ!」
彼女は慌てて顔を後ろに向けた。俺はその場に座る。
「脱ぐなら一言くらい言ってよ……ちょっと見えちゃったじゃん」
「別に見たらダメってわけじゃないから、こっち向いたら?」
恐る恐る振り返ったところで、両肩を小突く。
「きゃ……!」
いとも簡単に、ベッドに跳ねて横たわった。見下ろしてみても色気のある身体をしている。
「さっき、俺におっぱい触られて気持ち良さそうにしてたよね? 今度は俺も気持ち良くなりたい」
訳が分からないのか、俺の目を黙って見ているだけだ。これは好きにしていいのだろうか。チンコが視界に入っているだろうから恥ずかしいが、それより自分の快感を優先したい。
「腕でおっぱいを挟んで、真ん中に持ち上げてくれない?」
せっかく、目の前にこんなに大きな胸があるのだから、これを利用しないなんて勿体ない。
「……これでいいの? 何がしたいのか全然分かんないけど」
指示どおりに胸が持ち上げられるのを見て、俺は腹をまたいで膝立ちになる。なるべく体重をかけないようにして腹の上に乗り、胸の谷間にチンコを押し込んでいく。しっとりとした柔らかさがチンコを包み込む。
「あのさー……今、私のおっぱいの間に挟まってるのって、もしかして……大地の、お……おちんちん?」
「そうだよ。嫌?」
「う、ううん……私だって大地にアソコを見てもらったわけだし、嫌じゃないよ。おちんちんってこんなに硬いんだね。なんだかあったかいし」
処女だろう彼女の胸にチンコを突っ込んでいるのは、かなり無茶をしている気がするが、性知識が乏しいのもあってそこまで考えていなさそうだ。それどころか、チンコに興味がありそうなことを言っている。
「動くよ」
「動く、って?」
言葉を無視して腰を動かす。ピストンをする度、その動きに合わせて胸が包み込む。快感はもちろんだが、それより支配感の方が強い。ピストンしながら今度は両胸を揉みしだく。
「あっ、んん……」
今までただ俺を見ていた顔が歪んだ。やはり、胸を揉まれることに何かしらの刺激があることは間違いないだろう。性感帯なのかもしれない。胸が大きいと感度が悪そうに思えるが、そうでもないらしい。
「はっ!」
指の腹で乳首を擦ってみると、かすかに身体が跳ねた。一旦、腰を動かすのを止める。
「乳首が気持ちいいの?」
「分かんない……くすぐったいような感じ」
「乳首触るのはやめた方がいい?」
「うーん……やめな――」
「えっ、なんて?」
語尾が小さくてよく聞こえなかった。なぜか頬が赤い気がする。
「だからー、やめなくていいよ。大地がしたいようにして」
「もしかして……やっぱり、気持ち良くなってきた?」
「そ、そんなんじゃない! ……と、思う」
そこまで必死に否定しなくても、気持ちいいならそれでいいと思うが。ただ、彼女が乗り気だということが分かったので、改めて好きにさせてもらおう。
今度はさっきより早く腰を動かしながら、指で両乳首を転がしてみる。
「やっ……ん! は……ああっ!」
やはり、胸を揉むより乳首の方が反応がいい。
「乳首、硬くなってきたよ」
「あんっ、言わな、いでっ……! 恥ずか、し……い」
上手く喋れないのが可愛い。しかし、そろそろ射精感が強くなってきた。このまま胸に射精してもいいが、胸以外ももっと味わいたい。感触を名残惜しく思いながら、チンコを引き抜いて手も離す。
「はあ……終わった?」
ぐったりとしていて少し可哀想ではあるが、これで終わるつもりはない。
「いや、まだお願いしたいことがあるんだけど、いい?」
「んー……まだなの? 何?」
「澪のアソコをもっと近くで見たい」
「え!? さっきも充分近いとこから見たじゃん」
言い分はもっともなのだが、俺は顔に股間が当たるくらいの距離で見たいんだ。それを言ったら、絶対にさせてくれなさそうだから言わないが。
「ダメ?」
「うーん、大地が分からない……もう、好きにして」
呆れや諦めを帯びた冷たい声音が返ってきて、少し罪悪感を感じる。ただ、断られたわけではないので、言葉どおりにさせてもらおう。
足の先に移動する。
「じゃあ、膝を軽く曲げて、足を肩幅くらいに開いて」
「簡単に言うけど、アソコ見られるのものスゴく恥ずかしいんだからね」
そう独り言ちながらも、指示どおりに足を開いてくれた。優しさなのか性的なことに興味が出てきたのかは分からないが、笑ってしまいそうになる。このまま顔を近付けてもいいが、やりたいことをやらせてもらう。股の間に膝立ちになり、彼女の腿の裏に両手をかける。
「え? ……きゃあっ!」
持ち上げてまんぐり返しをしてみたが、マンコは両手で隠された。ただ、とっさにそこまで頭が回らなかったのか、アナルは丸見えだ。この体勢にして初めて分かったが、毛はアナルの周辺だけではなく、尾骨の辺りにまで生えている。野性的というか、本能を直接刺激してくるような色気を感じる。
「見てもいいとは言ったけど、こんなカッコにしていいとは言ってない!」
顔を真っ赤にしてまで怒らなくてもいいとは思うが。
「見ることには変わらないんだし、いいじゃん。手をどけてよ」
「んー! 大地のイジワル……」
抵抗するだけ無駄だと思ったのか、眉尻を下げて拗ねる姿が可愛らしい。
しばらく黙って目を見つめていると、彼女はひとつ大きな溜め息を吐いた。股間を隠していた手がゆっくり下ろされる。今まで以上に近い距離であることと、丁度、蛍光灯の光が当たる角度なのもあって、さっきよりもはっきりとマンコが見える。
――濡れてる?
ほんの少しだけではあるが、筋の辺りで光を反射している透明の液体は、愛液で間違いない。彼女も興奮しているのだろうか。
「そっ、そこまで近付かなくても……見える! でしょっ」
顔を陰毛がくすぐるのも気にすることなく、限界まで股間に顔を近付ける。すると、ほのかに汗とチーズが混ざったような複雑な匂いが香った。頭の先の方を揺さぶられるような、性欲を煽る匂いだ。セックスが出来ないなら、せめて股間に顔を埋めながら射精したい。一旦、顔を離す。
「見ヌキさせて」
「み? み、ぬ? って、何?」
「見ヌキ。見ながらオナニーするってこと。両手が塞がってると出来ないから、協力してもらってもいい?」
明らかに嫌そうな顔をしているが、もう止められない。
「協力って……この体勢だと身動きもとれないんだけど」
「いや、動かなくていいから、澪が自分の足を持ってこの体勢を維持してくれれば」
「うっ……されるのもかなり恥ずかしいのに自分でしろだなんて……ヒドイ」
これさえしてくれれば、後はしたいようにオナニーが出来るのだが。こちらもそう簡単に引くつもりはない。顔をクシャクシャにした、潤んだ瞳の彼女をじっと見つめる。
「……分かった。やればいいんでしょ? どうせ、私がするまでこのままなんでしょ?」
「ごめん」
「謝らないでよ。その……大地がそんなに私の身体に興味持ってくれるの、嫌じゃないし……」
そう言って、頬を赤らめて顔を逸らした。
そういえば、彼女は今までその身体に向けられる視線を、意識したことがない様子だった。普通は少しくらい感じてもいいはずだが、引っ込み思案な性格からして気付かなかったのだろう。もしかすると女性として、性的な対象として見られることに喜びを感じ始めたのかもしれない。
「じゃあ、してもらってもいい?」
「うん……恥ずかしいけど」
顔を横に向けたまま、自身の手で腿を掴んだ。女性にとってこの体勢は屈辱的だろう。しかし、思ったよりあっさりと指示に従う。やると決めた時の彼女は思いきりがいい。
手が空いたところで、まずは白桃のような大きな尻に両手を伸ばす。
「んんっ!? ミヌキ? するんじゃ、なかったの!?」
胸とは違う、より弾力のある柔らかさを味わう。
「いやあ、目の前にあるからつい。尻は尻で揉み心地がいいな」
「ヤン……あ、あっ……」
乳首ほどの分かりやすい反応はないが、尻もそれなりに感じるようだ。ある程度揉んだところで手を離し、いい加減見ヌキをさせてもらう。マンコに鼻を近付けて、むせ返るほどの甘い匂いを嗅ぎながら、右手でチンコを握ってシゴく。
「……ひゃっ!」
筋に舌を這わせると、彼女の身体が跳ねた。まさか、クンニされるとは思ってもいなかっただろう。舌に薄いヨーグルトのような味がする。
「あっ……そんなと、こっ! 舐め、たら……汚いっ! から……」
時々、抜けた陰毛が口に入るのを指で摘まみ、取り除きながら舐め続ける。反応を見る限りではあるが、気持ち良さそうにされるともっと確かめてみたくなる。
クリトリスはどうだろう。舌先でつついてみる。
「ああ!」
身体が大きく震えた。ここも感度はいいようだ。というよりは、未知の刺激に過敏になりすぎているようにも思える。
――……イキそう。
彼女が快感に身をよじるのをまだ見ていたい。しかし、射精もしたい。悠々と考える時間はないので、自らの快感に任せることにした。
股間から顔を離して尻にチンコを押しつけ、シゴく手の動きをさらに早くする。
「澪……出すよ」
「え、えっ!?」
射精感がチンコの根元から亀頭にかけて走り抜け、その後、目が眩むような快感と共に精液を吐き出した。
「わっ、あったかい……?」
彼女は意外にも大人しく、俺の目をじっと見つめながら精液をかけられている。オナニーでは記憶にないくらい長い射精が続き、今まで見たことがないくらいの量の精液が出た。こんなに気持ちいいオナニーは初めてだ。
□■□■□
「なんかごめん……あんなことになっちゃって」
「ううんっ! 謝らなくていいよ。元々は私が変なお願いをしたのがきっかけなんだし……」
あれからしばらくして澪が帰ることになり、俺は玄関まで見送りに来た。彼女はどことなく表情が硬いように見えるし、俺もどんな顔をしたらいいのか分からない。
「じゃあ、行くね」
「うん……」
扉に手をかける彼女の後ろ姿を見ながら、なんとなくもう二度と会えないような予感がした。拒絶はされなかったものの、自分が欲望に任せてしてしまったことは、彼女を傷付けるのに充分だ。
「あ、そうだ」
そう言って、彼女は扉にかけていた手を離して振り返る。最後に俺に罵声を浴びせるつもりだろうか。それなら黙って受けよう。
「大地もまだまだ夏休みはあるんだよね?」
「ん? あ……うん。ほとんどバイトで埋まってるけど」
全く想定外の質問を投げかけられて、上手く返事が出来なかった。そんなことを聞いて、一体どうするつもりなのか。
「そうなんだ。でも一日か二日くらいは、お互いの時間が合う日はありそうだね」
「まあ、たぶん」
彼女の考えていることが分からない。
「それなら……今度はうち来ない?」
「え?」
まさか、次の誘いを受けるとは思ってもいなかった。
「あはっ! そんなに驚くことないでしょ? 高校の時まではよく来てたじゃん。また空いてる日連絡するね」
「澪のうちに俺が行って何するの……?」
かなり間抜けな質問をしてしまったような気がする。だが、なぜかそれに対して彼女は頬をかすかに赤く染め、俯きがちに口を開いた。
「……また会いたいなって思っ――よ。バイバイ」
一部がよく聞き取れなかったが、慌てた様子で出ていってしまった。
扉の閉まる音をまるで遠くに感じながら、彼女の言葉をやっと実感する。もしかしたら、今度会う時はセックスが出来るかもしれない。期待で思わず顔がニヤけてしまう。
「澪とエッチしたいなあ」
一番、欲望に忠実な独り言を呟きながら自分の部屋に戻った。
――Fin.