彼女を不意に襲う、卑劣な災厄。
残虐なる荒縄が、布地越しの柔肌に食い込んでゆく…。
◆ ◆ ◆
例えるなら、"さざ波立った水面を覗き込んだ時のような"。そんなグニャリグニャリと歪んだ光景が、視界一杯に広がっている。
一体、ここは何処なのか。見知った自宅の一室のだろうか。それとも、アイドル研究部の部室だろうか。いや、学校の屋上かも知れない。
はたまた、全く見知らぬ場所なのかも知れない。
(…私…一体、どうしちゃったんだろう…?)
液化した鉛の中にブチ込まれたような鈍い思考をノソノソと巡らし、この光景に到るまでの過程を思い返す。
すると、視界の光景がグンニャリと酷く歪んだと思うと。途端に色彩が豊かになり、輪郭も明確になってゆく。所々、魚眼レンズ越しのように歪んで見える箇所もあるが、把握に際して
明晰になって光景。それは、蒼穹に茜色が混じり始めた夏の夕空の元に広がる、見知った秋葉原の街並みである。
「練習は疲れたけど…今日もバイト、頑張らなくちゃ!」
独りごちながら自身に気合いを入れ、街並みを歩くのは、彼女――南ことりである。学校での
秋葉原は平日でも人でゴミゴミしている。ことりはそれを嫌い、表の大通りを避けて、細い裏道を通る事が多い。外が暗い時は、流石に素直に表通りを歩くが、夏のこの時間帯なら迷わず裏道を選ぶ。
女の子1人の身の上での裏道利用は、危なっかしいものがある。が、ことりは秋葉原に通い慣れた事もあり、特に危険意識を抱くことはなかった。
…が、それが今回は裏目に出た。
バイト先までそう遠くない距離まで迫った頃。とあるビルの角を曲がった、その直後の事だった。
「んむっ!?」
突如、口元を押さえつけられる。何が口元を覆ったのかは…思い出そうとすると視界が激しく歪み、思考が混濁してしまう。ただ、生暖かい温度と、ジメリと湿った感覚、そして鼻孔を突く鋭い刺激臭だけはリプレイされる。
それからの後の事は…思い出そうとすると、やはり、視界が激しく歪んでしまう。単に記憶が欠落しているのかも知れない。
(…私、一体…?)
過去の回顧を捨て、現在に思考を巡らせた途端。視界が急に暗転した――直後、一転して
(何なの…!?)
チクチクと目が痛み、瞼が反射的に光を拒絶して閉じようとするが。集中して反射に抗い、少しずつ瞼を開いて行く。瞼は鉛のように重いが、徐々に隙間が広がり――。
遂には、一気にパッチリと瞼が全開する。
すると――。
◆ ◆ ◆
「…え…!?」
網膜に飛び込んで来た光景に、ことりは困惑する。
今まで見たことのない天井が、そこに広がっている。雨漏りの痕でも付いているような汚い木板と、埃を被って茶黒く濁った傘を持つ蛍光灯。ただし、蛍光管だけはスッキリとした白色を呈しており、取り替えたばかりである事を物語っている。
「ここ…どこ…!?」
と、言葉を口に出すと。舌に痺れがあり、喋れないほどではないが、呂律が回りにくくなっている事を実感する。
同時に、体は痺れが強く、指すら満足に動かせない状態である事を把握する。
「何…? 何なの…? どうして…?」
一体、自分の身に何が起こったのか? 先ほど目にしていた光景が、過去の記憶に基づいた夢ならば、バイト先に向かう途中でトラブルに遭遇してしまったようだ…と予測できる。
あの時、顔を覆ったものは、質感や刺激臭から考えるに、睡眠薬だ。とすれば…。
「誘拐…されちゃった…!?」
他人事だと思っていた事件に巻き込まれた事への衝撃はあまりに大きく、思わず口から声が漏れてしまう。
ことりは更に状況を確認しようと、痺れて重い首を何とか横に向けて、部屋の内情を確認する。
"汚部屋"とまでは行かないが、汚い部屋だ。
床は、剥げの目立つ日に焼けた畳である。壁は昭和感の残る塗り壁で、これもまた所々に剥げが目立つ。
床の上には、踏み場がない程ではないものの、ゴミが散在している。潰れたビールの空き缶や、丸めたティッシュが多い。壁際の状況は非常に酷く、ビニール袋にまとめられたゴミの塊がぞんざいに並んでいる。
…そう言えば、さっきから鼻孔の中に異臭を感じると思っていた。これらのゴミがその正体であろう。
ことりは生まれてこの方、これほど汚れた部屋に足を踏み入れた事がなかった。故に、ゾワゾワと生理的嫌悪感が一気に胸中を満たす。
「どうして…こんな事…!」
尋ねるが、答えはない。
そもそも、部屋の中にはことり以外の人の気配はない。主は外出しているらしい。
「誰か…助けて…!」
声を上げてみる。この古い建物がアパートならば、隣の部屋の住民の耳に届くかも知れない。
だが、痺れた舌では大きな声は出せなかった。薄い壁であっても、絶対に漏れない程度の小さな声しか出せない。
それでもことりは、「助けてぇ…」と声を上げ続ける。何もせずに不安と戦うだけよりも、ずっとマシな行動だと判断したからだ。
こうして、必死ながらも空虚な努力が暫く続いた後…。
ガチャンッ! 錆びた金属が耳
そして、遠慮のないドカドカとして足音が近付いてくる。部屋の主が、帰ってきたらしい!
(どうしよう…!)
胸が張り裂けんばかりに不安が爆発的に膨らむ。だからといって、現実はことりの不安に応えてはくれない。
無情にも、荒々しく
◆ ◆ ◆
「おー? 目が覚めてるようじゃん?」
ことりは丁度、
ことりは自らの予測を確かめるように、鈍い動作で首を回すと。そこには案の定、中年の男の姿があった。
やや小太りで中背の男である。綻びが目立つ着古したグレーの衣類を上下に身につけている。顔や手と言った肌の露出している部分は浅黒い。その色は日焼けのような健康的なものではなく、病的で汚らしい印象のするものだ。
髪型は角刈りが崩れたようなだらしないもので、無精なヒゲもまた、男のだらしなさを物語っている。右手にはコンビニで購入してきたらしいビニール袋を下げており、その中からはビール缶とツマミが見えている。
「だ、誰…!?」
勿論、ことりの知らない人物だ。バイト先で客として見かけた記憶もない。
「名前なんてどうでも良いだろ?
…いや」
男は出っ歯の目立つ唇をいやらしく歪める。
「近いうちに、お前のパパになる男だ。
…いや、それも違うか?」
男は更に、涎でも垂れそうなほど口をだらしなく半開きにし、目を三日月のように細めて笑う。
「親子丼でまとめて喰っちまうかも知れねーからな。お前の旦那になる男って名乗る方が良いかも知れねぇな」
「な、何それ…!?」
ことりは、男が何を言っているのか、サッパリ理解出来ない。――パパになる? 旦那になる? 親子丼で食べる?
何が目的なのか、理解できない。
ただ、汚らわしい不安ばかりが、心臓をチクチクと
ことりが困惑している一方で、男はビニール袋をぞんざいに床に放ると。ドカドカと大股でことりに近づき、片膝を立てて座り込む。
男が接近した途端…ムワッ、と異臭が鼻を突く。アルコールに雑巾を浸したような、酷い体臭だ。毎日入浴しているのか、問い掛けたくなる。
そんな男は、ゴワゴワの手でことりの顎を荒々しく掴み、真正面を向かせる。そのまま暫く、ジッとことりの顔を見つめていたが…やがて。
「よく似てンなぁ、あの女に。
流石は親子、っつーか、世間が騒いでるクローンってヤツみたいじゃねーか?」
"あの女"。"親子"。これらのキーワードを拾い、ことりは一つの事情を覚る。
「…お母さんの…こと!?
お母さんに…何かするつもりなの…!?」
悲鳴じみた声を精一杯あげたつもりだが、痺れた舌ではあまり大きな声にはならなかった。それでも男は聞き取るのに苦ではなかったらしく、ニタリと笑って答える。
「お前はな、ママを
「!?」
…やはり、ことりは誘拐の憂き目に遭っているのだ!
しかし、何故この男は、母を誘き出そうとしているのだろうか。
それの問いを痺れた舌の上に乗せるより早く、男が自分から語り出す。その時の男の有様と来たら…焦熱地獄に住まう鬼ともつかぬ、炎を吹き出すような憤怒の形相である。ことりは思わず、はっと息を飲んでしまう。
「あのクソアマはなぁ、オレの事を見下しやがったんだ…! ゴミムシを足で蹴り払うような感じでなッ!
その所為でな、オレの人生は滅茶苦茶だッ! 留置場で臭いメシは食わされるわ、クソ高い罰金は支払わされるわ、仕事はクビになるわ!
自分がお高い立場に居るからって、粋がりやがって…! クソクソッ!」
男は激しく地団駄を踏み、口角泡飛ばして叫ぶ。階下や隣の部屋の住人には甚だ迷惑になるはずだが、不思議と苦情は来ない。仕事に出ていてまだ帰宅していないだけか、そもそも無人なのだろうか。
男は
「だからな、今度はオレが、あのアマを落とす番なんだよ…! 泥水
テメェはその為の、大事な大事な小道具なのさ!」
そう言った矢先、男はことりに背を向けると。部屋の隅にうずくまり、なにやらゴソゴソと漁る。
ことりは視界を巡らすものの、男の姿を捉えることはできなかった。故に不安が膨らみ、押しつぶすかのように彼女へとのし掛かる。
「な、何をするつもりなの…」
問う声は痺れよりも鮮明な震えを伴い、恐怖の色を鮮明に表す。
男は無言のままであったが。やがてドスドスと不作法な足音を立ててことりの元へと戻ってくる。ことりの顔の真正面に、このまま頭を踏み潰してくるのではないか、という程の距離まで接近してニタニタと見下ろしてくる。
彼の手には、漁って取り出したであろう"異物"が握られている――その正体は、荒縄だ。
「何…それで、何をするつもりなの…?」
「決まってンだろう? 縛るんだよ!
盛った薬が切れちまって、テメェが逃げちまったら大変じゃねぇか? 常識的な話だろぉ?」
「!!」
ことりは抵抗しようと必死に体を動かすことを試みるが。盛られた薬はまだまだ効力を発揮しており、指すらまともに動かせない状態が続いている。
そこへ男は屈み込み、荒縄を鞭のように長く伸ばして張り、威嚇しながらゲヘヘと笑う。
「だがよぉ、ただ縛るんじゃあ、面白くねぇ。
折角、こんな上玉な女子高生を手に入れたんだ。ジックリ、楽しませてもらうぜ」
男が、酷い体臭をばらまきながら、ことりへと更に接近してくる。
(誰か…! 助けて…!)
ことりの眼から、涙がブワリと
…そしてことりは、男と荒縄によって、"玩具"に仕立てられる。
◆ ◆ ◆
「大丈夫だ。汚しゃしねぇよ。
「そ、そんな事…」
男の誹謗に反論することりだが、直後…。
「痛…ッ!」
小さな悲鳴を上げて眼をギュッと
男がことりの手首を後ろ手にし、荒縄で幾重にもグルグルと巻き付けた上で、堅く縛ったのだ。
「ここでオレがヤッちまったら、肝心な時に勃たなくなっちまうかも知れねーからな。
あのクソアマの
語りつつ男は、小鳥を自分の膝の上で仰向けに寝かせる。
ことりは完全に手を封じられた事で不安がますます膨らんだが。母に対する穢らわしい情欲を耳にした途端、不安よりも恐怖よりも、家族への愛情に基する怒りがこみ上げる。
優しくも凛々しい母。それがこんな卑劣な男の毒牙に掛かり、穢されるなど…許せるはずがない!
「お母さんに、そんな事、させない!」
「おーおー、威勢が良いなぁ! やっぱり女子高生は活きが良いなぁ! ムラムラくるぜ!」
そして男は、後ろ手から回した荒縄を、小鳥の胸――乳房の真下あたりに回すと、ギュッと締め付ける。
「んあッ!」
制服越しにも伝わってくる、荒縄のゴツゴツした感触。それはギチギチとした暴力を伴い、ことりの柔肌に食い込んで行く。
男は、グヘヘ、と下卑た嗤いを漏らしながら縄を一回転させると。今度は乳房の上に縄を巡らせる。
この動作を何度も繰り返すと…やがて、ことりのたわわな乳房は食い込む荒縄に挟まれて、服の上からでもクッキリと谷間が見えるほどに浮き出て見える。
「おーおー! いい眺めだなぁ!」
男はネットリとした視線でことりの胸を撫で回すと。眺めるだけでは我慢が利かなくなり、垢にまみれた爪が汚らしい浅黒い手で、ことりの熟れた果実のような双丘を鷲掴みにし、揉み回す。
「んひぃっ!」
ことりが声を上げたのは、乳房に乱暴されているからだけの問題ではない。男が服越しに的確に乳首を探り当てて摘まみ上げながら、乳房をこねくり回し始めたからだ。
「やめ…ッ! はぁぅっ! 痛…よぉ…!」
ことりは眼に涙を浮かべながら訴える。しかし、その涙は悲哀のみで形成されたものではなかった。
桜色の唇から悲鳴とともに漏れる吐息は微かな桃色を帯び、涙には火照った情欲の輝きがチラリと見える。
乳房という性感帯をこねくり回される事に生み出される、生理的な快楽。加えて、体を支配する痺れが、乳房にこそばゆいような感覚を付与し、ことりの理性を
(嫌なのに…! なんで…気持ち良くなっちゃうなんて…!)
一方で男は、ことりの表情にメスの情欲が点った事に呼応したのか、荒々しい息を吐いて更に乳房を揉み回す。
「んあんっ! やめて…! こんなの…酷いよぉ…っ!」
訴えることりの悲鳴は、火に注ぐ油でしかない。男は更に興奮して揉み回すが…。
その動作が、ピタリと止まる。
ようやく止めてくれたのか、と思うのも束の間。男の欲情したイヌのような顔に、ことりは不安を隠せない。
次の瞬間、男はかぶりつくようにことりの双丘の間に顔を埋める。
「いやあぁぁ…!」
ことりが叫ぶのも構わず、男はスゥハァスゥハァと嫌らしい呼吸を伴いながら、顔をグリグリと乳房に擦り当て、その柔らかみを堪能する。
「やめてよ、やめてよ、やめてよおぉぉっ!」
もしも痺れさえなければ、ことりは足を思い切りバタ付かせるところであったろう。しかし、悲しいかな、足はビクリとも動いてはくれない。
顔を
「…おっと! やべぇやべぇ…!」
男は跳ねるように体を起こす。
「あのアマにブチまける前に、発射しちまうところだったぜ…」
そう語る男は、サラサラと自らの股間を撫でながら語る。ことりが思わず視線を向けてしまうと、そこにはガッチリと"テントを張った"隆起が見える。
その正体を、当然しっていることりは、顔を赤くしながら「いやぁ…!」と悲鳴を上げる。
男はことりの乳房に欲情し、自慰に及ぼうとしていたのだ。その行為が母への執着によって回避されたのは、喜ぶべきことなのだろうか。
「…さて、気を取り直さねえとな。
金玉に溜めるのは良いが、ブチまけちゃあ、元も子もねぇからな。
そんじゃあ…」
男は荒縄を両手で持って、ことりに見せつける。
「続き、行くとするか」
ゲヘヘと嗤う男に、ことりは身震いですら抵抗を示すこともできなかった。
◆ ◆ ◆
男はその後、真っ先に足首を縛ってから、ことりの肉体を更にキツく締め込んでゆく。
しかし、その縛り方は、"拘束"を目的とするにはあまりにも不合理な――つまりは、無駄の多いものである。
アクション映画などで見かけるような、
先に縛り上げられた胸元を始め、女体の膨らみや
そして男は、"メインディッシュ"とばかりに舌なめずりすると、ニタリとことりの"一部"を見やりながら語る。
「さぁて、最後のお楽しみだ」
男が見ている部分――そこは、中途半端にめくりあげられたスカートの中。純白のパンツに包まれた、股間だ。
男は荒縄を腿の合間に通すと――股間の中央、女性の秘裂に食い込むように、荒縄をグイッと締め上げる。
「あぁんっ!」
少し痺れが取れてきたことりは、ピクン、と体を震わせる。しかし、暴れることはできない。いかがわしい荒縄によって、不合理な縛り方とは言え、全身をガチガチに拘束されているのだから。
「んん? どうしたぁ?
感じてンのかぁ? おい?」
男はニタニタと嗤いながら、股間に食い込ませた荒縄をグイッと引き、更に食い込ませる。
「んはぁっ!」
喚くことりの口からは、悲鳴と共に情欲の桃色がはっきりと見て取れる。
男はことりの反応を面白がり、今度は荒縄をズリズリと前後に動かして、露骨に秘部を責め立て始める。
「んあんっ! んくっ!
や、やめて…!」
薄い布地越しに伝わる、生々しい荒縄の感覚。そのゴツい凹凸に陰唇を、そして陰核を嬲られ、ことりの秘裂がジンワリと湿り気を帯びて行く。
パンツの純白に卑猥な水気によって彩られると。それを見た男が、ベロリと唇を舐めて語る。
「なんだ、おい? この程度で濡れちまうのか?
普段はもっと、男の太いのを咥え込んでるんじゃねぇのか? あぁん?」
「そんなこと…んっ! して、ない…!」
「今の女子高生どもは、すぐに股を開くっつーからな! お前もアキバに来るエロオタク相手に、小遣い稼ぎで股開いてるんだろ?
なんたって、伝説のメイドさんだからな! ご主人様に、身も心も捧げてご奉仕してンだろぉ!?」
男はことりの事をよく調べあげているようだ。そう言えば、ことりがよく使う近道を熟知し、待ち伏せて誘拐しているのだ。
"坊主憎けりゃ袈裟まで憎い"と云う言葉があるが。この男は、どれほどことりの母に憎悪を
「クッソ、テメェのマンコにブチ込めないのが残念だぜ!
代わりに…お漏らしでも、してもらうかなぁ!」
男は言うが早いか、荒縄で布越しにもクッキリと隆起が分かる陰核を執拗に責め立てる。
「んんんん…っ!」
ことりは必死に歯を食いしばり、脊椎を撫でる電撃的な快楽と恥辱に耐えていたが…。抜けきっていない痺れも手伝ったのか、彼女の尿道は、ついに降参の白旗を振ってしまった。
ジョロロ…ジョロロロ…チョロチョロ…。純白の布地に黄色の染みが広がったかと思うと、布地を突き抜けて異臭を放つな瞬かな排泄液が溢れ出す。それはことりの肉感的な太股を伝い、畳の床にジンワリと広がって水たまりを作る。
「んはぁ…ああぁ…ん」
甘い声を上げて放尿の快楽に浸る、ことり。その様子を見た男は、パンパン! と手を大きく叩いてゲラゲラと声を立てて喚き笑う。
「いい眺めだなぁ!
あのアマとソックリの娘が! オレを見下していたアマの娘が! こんな無様な姿に成り下がってよぉ!
いい気味じゃねぇか!
ああ~、ションベン臭ぇなぁ!」
ことりは羞恥の余りに目を伏せていたが。すぐに股間を
「ねぇ…お願い…! パンツだけでも、取り替えさせて…!」
しかし男が素直に言う事を聞くワケがない。男は畳に染み込んでゆく排泄液を指ですくって、ベロリと舐め上げてから、語る。
「良い格好だぜ、暫くそのままで居ろよ、な?
ママに見てもらえよ、良い年こいてお漏らししちゃいました、ってよ!」
そして男は再び、ゲラゲラと笑い上げる。
ことりはもう、絶句するしかない。もうここでは、彼女に何もかもが通用しないのだ。
狭い鳥籠の中に監禁された小鳥の味わう、失意と絶望感。
その暗い感情が胸中を満たしたことりは、言葉にならない不満を虚しく舌の上で転がせながら、ボロボロと大粒の涙を
◆ ◆ ◆
「さてとよぉ…」
ことりの漏らした排泄液がすっかりと畳に染み込んだ頃。部屋に入る時に持ち込んだビニール袋の中からサンドイッチを取り出し、グチャグチャと汚く食い荒らして
「そろそろ、本命のママに登場してもらおうかねぇ?」
「!!」
ことりは排泄の恥辱も忘れ、純然たる怯懦の衝撃に襲われる。
「や、やめてッ! お母さんにまで酷いこと、しないでッ!」
ことりは涙ながらに叫んで訴える。四肢さえまともなら、力一杯組み付いてでも止めて見せるのに。拘束された状態では、せいぜい口出しすることしか出来ない。
「やめろ、だぁ?
ここまで来てよぉ…誘拐の実行犯にまでなってよぉ…やめるワケねぇだろうが! それこそ、バカみてぇじゃねぇかッ!? あぁん!?」
男はサンドイッチで血糖値を上げたと言うのに、前にも増して激情を露わにして恫喝する。その鬼面のような表情に、ことりは思わず
…しかし、ことりは自分に言い聞かせる。今、母を守れるのは自分だけなのだ。何としても、この男を説得してみせる…!
「い、今なら…通報されていない今なら…まだ、罪にはならないです…!
私、この事は誰にも言いません…だから、こんな事は止めて下さい…!
お母さんがあなたに何をしたのか、分からないけど…! 悪気があったワケじゃないと思うんです! むしろ…留置場にまで入った、あなたに落ち度があるんじゃないですか…!?」
この時、ことりは男のこめかみにクッキリと血管が浮き出るのを認識して居なかった。だから、舌の滑りも良くなって来た事にも背中を押され、更にキツく男を責め立てる。
「あなたは、最低な人です…!
このまま罪を重ねても、最低は最低なままです…! 誰も認めてなんて、くれません…!
だから、せめて…今からでも真人間になるように、ここで改心して…」
「うるせぇよッ!」
ことりの言葉が終わらぬうちに、男はダンッと音を立てて立ち上がり、素早くことりに近寄ると。彼女のわき腹に思い切り蹴りを見舞う。
「あうっ! ゲホッ、ゲホッ」
内臓を揺さぶるような強烈な衝撃に、ことりは悲鳴を上げて咳き込む。胃の中身を吐き出さなかった事は、不幸中の幸いだったのか。それとも、日頃のスクールアイドル活動で鍛えたお陰なのか。
ことりが悶えている間に、男は部屋の隅を漁ると、"何か"を握り込んでことりに近づく。しゃがみ込み、未だに咳き込むことりの顔をグイッと掴み上げると、唾液で濡れる桜色の唇の合間に"何か"をねじ込む。
"何か"の正体は、SMクラブで使用されるような、ボールギャグである。
「んむ…っ!」
ことりは口の中に広がるプラスチックの味に抵抗し、吐き出そうと唇と舌を動かすが。男は素早くボールギャグのベルトをしっかりと締め付け、ことりの口を封じてしまう。
「んむっ! んむうぅっ! んむっ!」
ことりは抗議の罵声でも上げているのだろう。しかし、声は形にならず、ボールの表面にベチャベチャと唾液を塗りたくるだけである。
ことりはもはや、緊縛もののアダルトビデオに出てくる女優のような状態だ。
これで全裸であったら、完全にAV女優そのものになっていただろう。
「おおー、可愛げが出て来たじゃねぇか!
やっぱり女は、静かなのに限るなぁ!」
男は態度を一変させ、優越感満々でニタニタ笑ってことりを眺めると。荒縄で強調された胸の双丘を再び揉みしだく。
「んんんんーっ!」
ことりは悲鳴を上げるものの、形にならず、悲しげな呻きにしかならない。
「さぁて…景気付けしたところで。電話してやるかなぁ、てめぇのママによぉ!」
乳房をもぎ取るくらいにグニグニと揉みしだいた男がようやく手を離すと。今度は小さなテーブルの上に置かれた、古い機種の携帯電話に手を伸ばす。
男はことりの母の個人的な連絡番号など知るワケがない。自宅の電話番号も然りである。
しかし、男はインターネットなどの情報から、ことりの母が理事長の職についている事を知っている。
だから彼は、迷わずに音ノ木坂学院へと電話を掛ける。
ことりは相変わらず、「んーっ! んんーっ!」と抗議の声を上げている。しかし、男は最早構いはしない。電話にだけ意識を向けている。
「…あっ、学院さん? お宅のとこの理事長さん、出してくれる? 大事な用事があるんですわ」
男は初め、
男の態度は次第に険悪になり…ついには、顔を真っ赤にして怒号する。
「てめぇンとこの理事長に伝えろッ! 娘は預かってるってなぁッ!
モタモタしてンならブッ殺してやるぞ、ゴルァッ!
あぁんッ!? うるせぇな、そんな御託は良いんだよッ! 早く出せってンだよ、あのクソアマをよぉ!」
この恫喝に至ってからも、男の怒号によるやり取りは数分続く。その間、部屋の隅の方から、場の雰囲気を全くそぐわぬ明るいテンポの着信音が響く。
ことりはこの音に聞き覚えがある。自分のスマートフォンの着信音だ。それも、家族からの着信を示すメロディである!
(お母さんだ…!)
学院はとうとう、今回の事件のことを理事長の耳に入れたようだ。そして母は、事実確認のためにことりに連絡を入れたに違いない。
着信音は2分以上も続いた後、一度切れる。が、1分もしない内にもう一度鳴り始める。
ことりは、目の前に母の心配そうな顔が目に浮かび、涙が溢れ出してくる。
(…ごめんなさい、お母さん…!
私の所為で…!)
ことりに落ち度があるとすれば、多少なりとも危険性の高い裏道を常用していた点であろう。だからと言って、それは指差しで非難されるような落ち度だとは、決して言えないだろう。
それでもことりは、自らの行動に責任を感じ、だからと言って拘束された身で何か出来るワケでもなく…ただひたすら、胸中で懺悔をしながら泣くばかりだ。
2度目の着信音は、5分以上も鳴り響いて、ようやく鳴り止んだ。
それから程なくだ。電話をする男の語り口が、怒号からニタニタした
「ああー、理事長さんだな。
覚えてるかなぁー、オレの事? 声だけ聞いても分かんねーかなぁ?
オレはテメェの声、しっかりと覚えてるンだけどなぁ」
…どうやら遂に、電話口に母が出たらしい。
母は男の事を「分からない」と答えたのだろう。転瞬、男の顔が鬼面の如くに険しくなり、轟雷のような咆哮が発せられる。
「テメェの無駄口の所為で、臭ぇ留置場にブチ込まれた男だよッ!
覚えてねぇのかよッ! あの地下鉄駅での事をよォッ!」
そして男は、自らが抱く恨みをことりの母へとブチまける。…その内容に、ことりは唖然とせざるを得ない。
「テメェには関係ねぇ事だったろうがッ! テメェがやられたワケじゃねぇだろう!?
どこの誰とも知れねぇ女の、クッソ短いスカートの中身を撮ったところで、テメェに何の関係があるんだよ、あぁん!?
むしろ、あの
他のヤツだって、それが常識だって理解してたンだよ! だから、黙ってたンじゃねぇか! だっつーのに、テメェと来たらよぉッ、空気読まねぇんで、要らん事しやがってッ!
お陰でオレは、ブチ込まれたどころか、高い金は払わされるは、前科は付くは! 職場からはクビにされるはで、何もかも滅茶苦茶になったンだよ! どうしてくれんだよッ!」
…つまり、男は盗撮をことりの母に通報された事を、根に持っていると言うことだ。なんとも身勝手で、卑しい事情だろうか!
(こんな最低な人に…良いようにされてるなんて…!)
ことりは愕然とした失意と悲しみと共に、憤りが湧いてくる。しかし、抗議の意を露わにするにしても、眉を怒らせるくらいしか出来ない。勿論、男はことりの事よりも電話にばかり集中しているので、ことりの怒りを感知することもない。
男は不満をブチ撒けた後、暫く黙って受話器に耳を傾けている。母が何か言っているらしい。そしてその内容は、男の暗澹とした胸の内を満足させるような内容であったらしい。
「…なんだなんだ、理事長様?
だいぶ声が震えてるじゃねーか? あの時みたいな凛々しいお声はどうしたんですかねぇ?
…そんなに娘が心配か? ん? 声が聞きてえのか? そうか?」
母は男の言葉に耳を傾けるよりも何よりも、ことりの無事についてせっついたらしい。それをニタニタと煽りながら聞いて男は、突如崩れたブタのような表情を作って破顔する。
「ヒャァハハハハッ! ダーメダメッ! ダメだよーんッ!
…おっ、なんだ、何をそんなに喚いてんだ? 泣いてンのか? ん?
良い気味だなぁ、スーッとするぜぇッ!」
そして男は鼻の穴を小指でほじりながら、言葉を続ける。
「ウッソウソウソ、ウソだよーん!
テメェの娘が確かにオレの手の内にあるって事、知らしめてやらにゃなぁ!
待ってろ、今聞かせてやるよ!」
男はスタスタと小鳥の元に近寄りしゃがみ込むと、小鳥のボールギャグを乱暴にずらす。ベチョリと唾液で濡れたギャグは顎の方にずり下げられ、ことりの桜色の唇がようやく空気に触れる。
ことりの唇は空気を満喫するよりも早く、顔にあてがわれた携帯電話の受話器に噛みつくように声を上げる。
「お母さん! お母さん!」
「ことり…!? ことり、無事なの!?」
スピーカーから流れてくるのは、確かに、母の声だ。その声音ときたら、顔など見なくとも、不安に揺らぐ痛ましい表情が脳裏に浮かぶ。
「無事だよ、お母さん…!
お母さん、ごめんなさい…! こんな、こんな…!」
ことりは、ボロボロと泣き崩れながら謝る。自身の失態で愛する肉親の心を深く痛める結果になった事が、身を裂きたい程に悔やまれてならない。
「良いのよ、ことり…! あなたには、何の落ち度もないわ! だから、泣かないで…!
今、助けるからね、もう少し、」
そこまで聞いたところで、ことりの耳から電話が奪われる。男が自らの耳に当てて、母との話を引き継ぐのだ。
「可愛い娘さんだなぁ! 美人のアンタにソックリだ!
だが、
母が何か叫んでいる声が、少しだけ聞こえてくる。その母に声を届けるべく、ことりは訴える。
「お母さん! こんな人の言いなりになっちゃダメ! お母さん! お母さん!」
「…クッソ、うるせぇガキだなぁッ!」
男はこめかみに青筋を浮かべると、思い切りことりの下腹部を蹴る。内臓から脊椎に抜けるような強烈な鈍痛に、ことりは唾液の混じった咳をして、言葉を失う。
母の声が、一段と高く聞こえる。それを無視して男は携帯電話を一度ポケットに突っ込むと、ことりに改めてボールギャグを噛ませる。
そして再び携帯電話を耳にあてがうと、未だにイライラしながら受話器の向こうの母に愚痴をこぼす。
「こういう生意気なガキ、ズッタボロに犯して、ザーメンまみれのキチガイにして、素っ裸で放り出してやりたくなるぜッ!
ンナ事したら、人質の意味がなくなっちまうからな、我慢してンだけどよぉっ!」
母は何かを必死に訴えたらしい。声が男の耳と電話機の間から聞こえてくる。それを耳に入れる男は、段々と表情に余裕が生まれ、憎らしい優越感が露骨に顔に張り付く。
「…ああ、返してやるぜ。オレの言うことをちゃんと聞けば、ちゃんと返してやるさ。
まずは…当たり前だが、警察に言うな。そこに居る職員達にも通報させるなよ。
それから、お前1人でここまで来い。手ぶらだ、何も持ってくるな。歩いてこれるはずだ、その学院からならな。
…場所? ああ、言うの忘れてたぜ。場所は…」
男は秋葉原の一画の住所を語る。そこは、雑然としたビル群に埋もれるようにして存在する、古いアパートであった。
「…良いか、1人で来いよ? 絶対に1人でな! でなければ、お前の娘をズタボロに犯してやるからな!
…そうだな、18時に来い。妙な真似はするなよ、分かるんだからな!」
そう語り終えた男は、母の意志を確認することなく、一方的に電話を切る。しかし、母は間違いなく、ことりの事を心配して解放に動くことだろう。
男はポケットに携帯電話をねじ込むと、ことりの方に振り向き、垢っぽくゴワゴワした手でことりの頬を撫で回す。
「そういうことで、18時にお前のママは迎えに来る。
それまで、まだまだ時間があるよなぁ? 暇で仕方ないだろう? だからよぉ、おじさんと…いや、未来のパパと遊ぼうかぁ?」
男はネットリとした口調で語りかけると。「んーっ! んーっ!」と抵抗の呻きを漏らすことりの体に、手を伸ばす。
◆ ◆ ◆
母が来るまでの間、ことりが強いられた辛苦は正に地獄であった。
卑猥さをタップリと含んだ手つきで、制服の上から、または制服に覆われていない顔や腕や腿を撫で回し、揉み回す。
特に男は、乳房と股間を執拗にいじりまわす。
「んんんーっ!」
ことりが目を見開いて、ボールギャグ越しに呻く。その一方で男は、荒縄でクッキリと形を浮かび上がらせた両の乳房に手を伸ばし、制服の上から乳首をつねり上げている。
「おーおー、コリコリした感じが服越しにも分かるぜぇ。
しっかし、オレも
だがよぉ…グヘヘ」
男は乳首から手を離すと、今度は股縄が回る股間に視線をやり、パンツ布をズラす。
露わになる、薄い茂みに覆われた秘裂。それは縄で隠されてはいるものの、少しズラすだけで陰唇が丸見えだ。
この秘裂に荒縄を押しつけ、グイグイと擦りつけると。ことりは全身をビクンと振るわせて、見開く。
「ここだけは、よぉく見えるなぁ!
薄いなぁ、マン毛。剃ってパイパンにしちまえば良いものを。
ホレ、ホレ、濡れるだろ? こうしてやると、気持ちよくなるだろぉ?」
男は荒縄で秘裂を
「んふぅっ!」
相手は忌み嫌うべき、汚らわしい性犯罪者だと云うのに。ことりの女性は情けなくも、性欲的本能に負けて、濡れる快感を背筋へと伝えるのだ。
「ああ~、こうしてマンコをビラビラしてるとよぉ、
クッソ、早くテメェのママをドロッドロに犯して、テメェとの親子丼を楽しんでやりてぇなぁ!」
「んんんんーっ!」
ことりの悦楽とも悲鳴とも付かない喚きは、男が指定した18時まで、ほぼ絶え間なく続いてゆく。
◆ ◆ ◆
トントンッ!
男の汚い部屋に、押し殺したような調子ながらも力強いノック音が響いたのは、部屋の時計がキッカリ18時を指した頃だ。
ことりも男も、すぐに悟る。ことりの母が、男の指示通りにやってきたのだ。
男は直前までことりを
そして、閉めたカーテンを少し開いて、外の様子を見やる。警察を警戒しているのだ。
…どうやら、外の様子には一安心したらしい。表情を少し綻ばせた男は、今度は早足で扉へと向かう。そして覗き窓から、ノックの主を確認する。
この時の男と来たら、溶けたロウソクのようにグニャリとしたいかがわしい笑みを浮かべる。来訪者は、彼が待ち望んだ者だったようだ。
ガチャリと鍵を開き、扉を開いて来訪者を迎えると。
「おーおー、来ていただけましたねぇ、理事長さぁん!
まぁ、上がりなよぉ!」
そう言って、来訪者を室内に招き入れる。
汚らしい室内に姿を表した来訪者の姿を見て、ことりは目を見開くと同時に、涙がブワリと
汚らわしい室内には余りにも不釣り合いな凛とした
「ことりっ!」
歓声と共に、涙を伴って破顔した母は、床に転がされた我が娘に駆け寄ろうとする。
――が、男がすかさずそれを許さない。だらしない体に見合わぬ素早い動作で母と娘の間に割り込むと、ことりの腹に軽く足の裏を置く。
ことりは、お母さん、と叫びたかった。だが、口を塞ぐボールギャグに阻まれ、「ンーンッ!」と
男に娘を踏まれた母は、ピタリと動きを止める。そして、唇をギュッと噛みしめたまま、火を噴くような視線で男を睨みつける。
ことりの母は、決して人相の悪い人物ではない。それでも、彼女の険しい表情は多くの人々を縮み上がらせるはずだ。
しかし、男は縮み上がるどころか、爆発するように顔に満面の笑みを浮かべて、ゲラゲラ笑う。
「そうだ、そうだよっ! その顔が見たかったんだよっ!
どうにかしたくて仕方ねぇだろ? でも、出来ねぇだろぉ!? 悔しいだろぉ!?」
母は黙っていたが、怒りに震える全身が男に全面的な抗議を訴える。
その表情が激情の琴線にでも触れたのか、男は表情を一変させ、鬼面のような憤怒の面持ちを作る。
「まだこの程度で済むと思うなよ、クソアマッ!
オレは社会的に殺されたんだッ! テメェもボロクソにしてやるぜッ!」
「…どうすれば、良いと言うの…?」
母がようやく一語を発すると。男はことりの腹部を軽くグリグリと足の裏で弄びながら、今度はニタニタとした笑みを浮かべる。
「娘を踏み殺されたくないなら、オレの言う事を黙って聞くんだな」
「…何を、すれば良いの…?」
「そうだなぁ…まずは、脱げよ」
「…脱ぐ…?」
母が眉をしかめて聞き返すと、男はポンポンとことりの腹を軽く蹴りながら続ける。
「そうだよ、服を脱ぐんだよッ!
だが、下着だけは残せ。いきなり素っ裸になられても、興奮しねぇからなぁ!」
「…
やはり、あの場で通報しておいて良かったわ!」
「どう言われようが、痛くも痒くもねぇよ!
そんな事より、早く脱げよッ! そのエロそうな体、見せろってンだよッ!」
母は
汚い床に凛然としたスーツを脱ぎ捨てた母は、高校生の子供を持つ母とは思えないほどにプロポーションの整った、美しい姿をしている。肌もまだまだ張りがあり、みずみずしい果物のようだ。そんな彼女の裸体を覆っているのは、濃い紫色をしたブラジャーとパンツだけである。
母の姿を見た男は、思いっきり鼻の下を伸ばして、歓声を上げる。
彼の股間は、服越しにも分かるほどに男性器がビンと勃起している。
完全に丸腰になったことりの母に安心した男は、ようやくことりの腹から足を退けると、ズカズカと母の元へと歩み寄る。
(ダメ…! やめて…! お母さん…!)
ことりは訴えたくとも、声も出せなければ体も動かせない。
そして男は遂に、母の間近に寄ると。ゴワゴワの掌で母の豊満な胸を鷲掴みにする。
「んふぅ…っ」
母が性的に熱を帯びた喘ぎを漏らすと、男はゲヘヘと笑い、乳房をもみ回しながら語る。
「さぁてよ、理事長さん。
そのエロい体を、オレのモノにさせてもらうぜ?
オレの臭ぇ臭ぇザーメンまみれにして、気が狂うほどによがらせてやる。そしてその写真を撮って、バラ撒いてやるからな!
お前も、社会的に死ぬ苦しみを味わいやがれ!」
男は片手でブラジャーを外しながら、残る片手で自らのズボンをずり下げる。下着も一緒にずり下げたようで、隆々と勃ち上がった赤黒い男根が露わになる。
男はチラリと後ろを振り返り、ことりに視線を送る。
「それじゃあ、お嬢ちゃん。
オレがお前の新しいパパになってやるからな!
ついでに、弟か妹も作ってやるよ!」
(…やめてよぉ…!)
ことりはボロボロと涙をこぼしながら、瞳を伏せる。
淫猥な悲劇が顕現しようかと言う…その時だ。
汚らしい部屋の中に、バァンッ! と勇ましい音が響き渡る。
それは、悲劇を打ち破る"勇者達"の到来を告げる音だ!
◆ ◆ ◆
男は音を耳にした途端、何が起こったのか分からずに、ポカンと口を開いて立ち尽くした。
が…次の瞬間。パン、パン、パンッ! と連続する乾いた音が響くと共に、男が床に倒れ込んで転がる。
「い、痛えぇぇッ!」
一体、何が起こったのか? ことりは理解出来ず、キョトンと事の成り行きを見守るばかりだ。
そんな彼女の顔の目の前に、コロコロと小さな"何か"が転がってくる。それは、黒い硬質ゴムで出来た、弾丸だ。
男は、このゴム弾を撃ち込まれて叩きのめされたのである。
直後、ドタドタドタ、と複数の足音が
雪崩込んで来たのは、4人の男性――フルフェイスのヘルメットを被っているため性別は不明だが、大股な動きからして男性と談じた――である。深い紺色の衣服の上に黒い防具で更に防御を固めた彼らは、警察の機動隊のメンバー達だ。
「大丈夫ですか!」
機動隊の内の1人が声を上げて、ことりの母の前に立ちふさがり、庇う。
残りの内2人は、手にしたゴム弾射出銃を手に、転がる男を油断なく囲んで銃口を向けている。最後の1人はことりの元に小走りで寄ると、真っ先にボールギャグを外す。
「怪我はないですか!?」
「は、はい…」
「それは何よりです!」
機動隊員はキビキビと発言しながら、小さなナイフでことりの身体を高速する縄を外す。自由になったことりは、どう行動すべきか困惑し、そのまま座り込んでいたが。隊員に手を差し伸べられると、しっかりと掴んで立ち上がる。
「さあ、こちらへ!」
隊員はことりの背中を優しくポンポンと叩いて、前に進むよう励ますと。ことりは不意に涙を
「お母さん…!」
「ことり…!」
母と娘は、ひしと抱き合った。
――ことりの母は、男の指示に反して、警察に事態を通報したのだ。
警察は何かとマスメディアに弱みを叩かれているが、問題行動は極一部に過ぎない。そして、ことりの母の通報に対して迅速に救出計画を建てた担当者は、優秀な経験者であったのだ。
彼らは迅速かつ慎重に準備を進め、男を油断させた上で無力化したのである。
「すみません、あなたにこんな事をさせるはずではなかったのですが」
母を警護する隊員が、床に放られていたスーツの上着を渡しながら、母に謝罪する。
警察の目論見としては、母の脱衣は想定外だったようだ。
しかし母は隊員を糾弾することなく、首を横に振りながら安堵の笑みを浮かべる。
「娘が無事に帰ってきたのですもの。この程度のこと、何でもありません」
母と娘が地獄を脱したのに反して…。男は、今からこそが真の地獄に叩き込まれる番である。
「立てッ!」
隊員2人は、なおも痛がってうずくまっている男を無理矢理に立たせると、両腕を背後に回して手錠を掛ける。
「盗撮を通報されて逆恨みするとは、なんとも見下げた根性だな!」
隊員は激しく非難を浴びせながら、男を部屋の外へと連れ出してゆく。
途中、男はことり達とすれ違うと。カッと目を見開き、唾を激しく飛ばしながら叫ぶ。
「クソアマッ、またハメやがったなッ!
次はヤるだけじゃ済まねぇぞッ! 殺してから、犯してやるッ!
せいぜい震えてすごせッ!」
「その言葉、恐喝の罪にもなるぞ! 良いのかッ!」
隊員に脅し掛けられると、男は流石に罪の増加を忌避し、グッと口を噤む。但し、呪いを込めた視線をことりの母に向けることだけは、最後まで止めなかった。
男が室内からすっかりと退場すると。母と娘は今一度、しっかりと抱き合う。
忌むべき汚らわしい悪夢は、とうとう終わったのだ。
◆ ◆ ◆
事件が終結した、その日の夜――。
くたびれた一日の疲れを癒すために、早めに床に入ったことりであったが――中々寝付けずにいる。
昼間の事件の興奮が未だに冷めやらない…と云うのは、的得た見解だ。
ただし、その"興奮"は人質にされた恐怖や恥辱が原因ではなかった。
(…なんで…こんなに…)
ベッドの上に寝転んだことりは、熱い吐息の呼吸を繰り返している。そして、身に着けたパジャマの上に指を滑らせ――股間に到達すると、布地の上からスリスリと撫で回す。
布地の下には、コリコリとした突起の感覚が見て取れる。それは、勃起したクリトリスの感覚だ。
「んあ…!」
クリトリスを刺激した快感に身を震わせながら、ことりは身体に籠もった熱に浮かされた頭脳で、ぼんやりと考える。
(こんなに…身体が
自問こそしているものの、その答えは既に知っている。
緊縛され、排尿してしまった時の背徳感。それが今、彼女の性的興奮となって、思考と脊髄の中をグルグルと回っていたのだ。
あの荒い縄で、直に皮膚を縛られたら…一体、どんな感覚なのだろうか。そのあられもない姿を衆目に晒したのならば…一体、どんな感覚が芽生えるのだろうか。
人質になり、拘束されていた時は、恐怖と不安ばかりが胸中に
今は、秘裂が濡れそぼり、クリトリスが痛い程に勃起するまでに、興奮している。
(縛られたいよぉ…見られたいよぉ…!)
服の上から陰部をいじり回すことりは、下着が湿り気を越えてビッチャリと濡れてもなお、桃色の吐息を荒く繰り返しながら、興奮に眠気が勝る宵を悶々と過ごすのであった。
◆ ◆ ◆
――翌日。
ことりはごく普通に通学し、
ことりが誘拐された出来事は、学内に公表されることはなかった。ことりが周囲から奇異の視線に晒されることを回避した結果だ。だから、ことりや教師達が口を滑らせない限りは、生徒達は誰1人としてことりの災難を認知しないのであった。
例え、それがμ'sのメンバーであっても、である。
ことりは、μ'sのメンバーに昨日の災難を話すことをしなかった。余計な心配をかけてしまう事をおそれた、というのも理由である。
しかし、もっと別の――しかも
「それじゃあ、今日の練習はここまでにしましょう」
夕空に絵里の声が響き、μ'sの放課後の練習が終わる。
練習が終わっても、μ'sのメンバーの結束は堅い。談笑しながら集まり、練習帰りになにをして遊ぶか、と云うことについて話し合いを始めている。
しかし、1人だけ――ことりだけは、誰と会話するでもなく、いそいそと荷物をまとめて始める。
その様子を見た穂乃香が、背越しにことりに声を掛ける。
「あれ、ことりちゃんは帰っちゃうの? 今日、バイトじゃないよね?」
ことりはギクッと身体を強ばらせたが。すぐになるべく自然な笑みを浮かべて振り向く。
「今日は…ちょっと、用事があって」
「そうなんだー、残念だなぁー!
せっかく、クレープ屋の新しいメニューを試そうと思ったのにー」
「ごめんね。今度、一緒に行こうね!」
そう云いながら、ことりはそそくさと荷物を肩に掛け、屋上から逃げるように小走りで脱出する。
――ことりの胸の内は、張り裂けそうな程に狂ったような鼓動が暴れている。
抑えきれない…どうしても、抑えきれない。
もう授業中から、ずっとこんな調子だ。
練習の時は集中していたお陰でなんとか乗り切ったが。終わってしまった今、またこの興奮が胸中を支配する。
…ああ、また股間が湿ってきた…!
(早く、早く、早く…!)
ことりは走って、学院の敷地内から飛び出す。
ことりが向かう先は――秋葉原。その華やかで騒がしい表通り…ではなく、ジメジメとした空気が漂う、陰鬱な裏街である。
ことりは穂乃香に言った通り、バイトをしに来たのではない。――いや、バイトに関わることではあるが、まだ採用されてはいない。
今から、採用試験に向かうのだ。
ことりが足を運んだ先は――猥褻な看板がズラリと並んだ、古びたビル。そこは、水商売系の店舗が詰まったテナントビルである。
彼女の目的は、そこの4階にある店舗。その名も――『緊縛の桃色館』。
店名から容易に想像できるように、その店は緊縛をメインに据えたSMクラブである。
店舗入り口にたどり着いたことりは、立て看板にデカデカと描かれている、全身網タイツに荒縄を食い込ませ、艶やかな表情を見せている成人女性の写真を眺めて――ニヘラ、と
(これで、私は…!)
服の上からでもわかる程に胸を弾ませながら、ことりは店舗の中へと入ってゆく…。
後日。
『緊縛の桃色館』を訪れた1人の中年サラリーマンが、そわそわと個室で女の子の到着を待っている。
彼は常連であり、冷え切った家庭と窮屈な職場のストレス発散に、このSMクラブで女の子を弄り倒している常連である。
「新入りの娘が入って聞いてたけど…どんな娘なんだ?」
1人ごちながら、スーツのズボン越しにビンビンに勃起した男性をさすりつつ、数分待つ。
すると――。
「お待たせしました、ご主人様ぁ…」
蕩けるような声とともに現れたのは、メイド姿をしたサイドテールの美少女である。
身体は足以外を荒縄で縛られ、歩く以外の行動は満足に行えそうにない。そんな不自由な状態だと言うのに、顔は今にも溶けだしそうなバターのように嗤いで歪んでいる。
「お相手、お願いしますね…」
そう言って、男の前にかがみ込んだ少女。それは、紛れもなく――南ことり、その人である。
常連の男は、ハッとする。"南ことり"という個人の事はよく知らないが、彼女がアキバで"伝説のメイド"と呼ばれているミナリンスキーである事を熟知していたからだ。なぜならば、彼はことりのバイト先のメイドカフェの常連でもあるのだから。
「ミナリンスキーちゃん…!
ぼ、僕は、君をずっと…縛って…遊んでみたいと、思ってたんだ…!」
するとことりは、桃色の吐息を交えて誘惑する。
「早くぅ…いじめて下さぁい…ご主人様ぁ…」
――そして男は、ズボンを下げ、部屋の中にある荒縄やボールギャグを手にし、ことりに魔手を伸ばす。
自由に飛べるはずの、小鳥。
しかし、鳥かごの中での安穏とした快楽に浸ってしまえば、大空の事など忘れてしまう。
ましてや、性的本能という強烈な鎖に脳を
ー了―
Pixivでリクエストを戴いて書いた作品です。
この作品がきっかけになったのか…ワタシへのリクエストと言えば緊縛系という感じになりました(汗)
ワタシは別に緊縛好きってワケじゃないんですがね。とは言え、リクエストされれば書きますけど…。
そろそろ淫夢ネタも書きたくなってきました(爆)