ちょっとした導入です。エロはないです( ˘ω˘ )
次の話から入ります。
ゆるりと
「ヘリアンさん……急用というから来たのですが……一体何用で?」
そこは世界のどこかの司令部の一室。その中のデータルームと呼ばれる部屋に彼女ヘリアンに呼ばれきたわけなのだが、はてさて何用かと頭の上にハテナを思い浮かべる。部屋の傍らには何故かAR小隊が控えているのは大事な案件というわけなのだろうか。もしや敵の……鉄血の本部でも見つかったのかと身構えるが、さしあたって緊迫した空気を感じないことからその線は低いだろう。
AR小隊の面々と話していたのか、AR小隊の一人がこちらに気づくのと同時に、どこか黒く濁ったような赤い軍服を来た銀髪の長髪の女性がこちらに向き直った。
「よく来た指揮官。何、そう身構えるような案件でもないから、落ち着いてくれて大丈夫だ。これを君に渡して欲しいとペルシカに言われてな」
「何の液体です?」
渡されたものを見れば、小さな半透明なビンに薄いピンク色をした液体が入ったモノが手渡された。
「さてな。感覚共有ナノマシンとだけしか私も言われていなくてな」
「……感覚共有、ナノマシン?」
「ペルシカ曰く安全は保証するとのことだ。加えて、それは飲み物らしい。すでにAR小隊の面々に女性用のモノを飲ませている」
「それで……これが男性用と……」
「あぁ……」
「…………」
「…………」
これを飲めと……? いかにも怪しげなこの液体を飲み干せと? え? すげぇ嫌だ。
「なんの実験です?」
「私も特に何も聞かされてなくてな……」
そんなものを渡さんでくだせぇ。
確か、ナノマシンって極小の機械装置だったかなんだったかと記憶してるんだが……それを体に入れろと?
彼女たち戦術人形なら……まぁ、問題はないだろうと思うが……生身の人間の俺がそれを飲むのか……。
「…………飲んだのか……お前たちも?」
と、僅かな希望に縋りながら聞けば、こくりと皆が皆頷くばかり。
「ヘリアンさん……今すぐ飲んだほうがいいですか?」
「あぁ、出来れば飲んだことを報告してくれと言われてるのでな」
「……そうですか」
飲むしかないのか……この謎の液体を。
いいだろう。少なからず安全が保証されているのであれば、命までは失われないはずだ。
ビンの蓋をひねり、中から漂うエナジードリンク風味の香りが鼻を擽る。
まず匂いの段階では特に怖いものはない。いや、むしろそれらしい匂いがしないことが怖いが、それはさておき。
いざ、心意気が残ってる間にその液体を口に含み、一気に喉を通したのと同時。AR小隊の一人が小さくガッツポーズをしていたのだが、彼は知る由もなかった。
「ふぅ……これで報告できますね」
「あぁ、すまない。今日呼び出したのはそれだけだ。通常通り元に戻って構わない」
「はい……では、これで失礼します」
飲み干してみた感想? どう考えてもエナジードリンク系の味がしたとだけ言っておこう。
正直、体にこれといった異変は感じない。と言っても後から効能が出るものという可能性もあるから何も言えないが。
それにしたって感覚共有ナノマシンとは……なんともまぁ……。名前の通りに言えば、多分飲んだもの同士の感覚を共有するってことなんだろうが……戦線に立つものと司令部にこもる指揮官の感覚を共有でもして何がしたいのだろうか。戦線の痛みを知れとでもいうのか……? いや、ペルシカさんに限ってそんなことはないとは思うが……はて、とにかくこの唐突に襲い来る眠気は間違いなく先ほどの液体の所為に違いない。
どうにかこうにか、執務室へと戻り椅子にどかりと座り込むのと同時、俺は眠気に身を任せるようにまぶたを閉じたのであった。