というか、間違いなく抱きに来る方だと確信しました。えぇ……。
AR-15と共に夜を過ごした日から幾日がたったとある日。
いつものように執務室にて書類整理を終わらせ、少し早めの自由時間を得た俺は、自室にて今では数少ない娯楽の一部と化しているお酒を片手に、何をするでもなく、何もない平和な時間を過ごしていた。
無論、この後は何もない非番の日……なんてことはなく。数時間もすればまた仕事に取り掛からねばならぬのだから自然と溜息が増えていくのは致し方なしというものである。
「はぁ……、全く、どうしてこんなことに……」
お酒を飲んでから何度目かの後悔の念を込めた呟きは、静かな部屋に浸透するように消えていった。
ねぇねぇ、どうして俺はAR-15とやってしまったん?
――そりゃ、おめぇ据え膳食わぬはなんとやらってやつやろ……。
いや、まぁ……そうなんだけども……。
――抱き心地はどうだったよ。
最高でした。って違う。そうじゃない。
――はぁ……。
本日何度目かの溜息を吐き出して、ホントどうしたもんかと天を仰ぎ見る。もっとも、そこに青空などなく、どこまでもシミ一つない手入れの施された自室の天井が映し出されるのみ。そういえば、ここ最近全く外に出ていないなと現実逃避にも似た思考を打ち破るように、ガチャリと無遠慮に開かれる扉の音を背後に感じて振り返ってみれば、よぉ! と片手に酒瓶を持った少女が笑顔携え堂々の入室をしているところを目の当たりにした。
俺のプライベートさん……どこ? ここ……?
「M16……、入室を許可した覚えはないんだが?」
「そう言うなって、私と指揮官の仲じゃないか」
「親しき仲にも礼儀ありって言葉を知らないようだな……」
「酒瓶持てば皆笑顔にって言葉なら知ってるがね」
そんな言葉初耳だぞ。と突っ込み返せばハッハッハと笑いが返ってくるのみ。ずかずかと我が物顔で部屋を歩く彼女を見ながら、そういえばと彼女もまた同じく感覚共有ナノマシンなるモノを飲んだ一人だったと思い出す。まさか、彼女がとは思わなくもないが、いかんせん先日のAR-15のせいでどこか身構えてしまう自分がいるのもまた事実だった。
「隣、座っていいかい?」
「ん? あぁ……構わないよ。ただ、コップは一つしかないがね」
「なぁに、私も使わせてもらうさ」
はて? と思わず彼女の方へ向けば――。
「まさか、間接がどうの……なんて年じゃないだろう?」
ニヤリとこちらを伺うさまに、直接口にでも注いでやろうかと言えば、ラッパ飲みは趣味じゃないんだがなぁと笑いながらM16はコップにお酒を注いでいた。
コップに小気味いい音を出しながら注がれていくお酒を尻目に、はてさてと、これからどうしたもんかと考える。
あの日から幾日か経過して、なおも尾を引いている俺に対してAR-15の様子はと言えば、代わり映えもなく、まるであの日の出来事が夢であったかのように、いつもどおりがそこにあり、対して俺は彼女に引き目を感じるしまつ。その豪胆さを俺にも寄越せと思ってしまうほどに、俺も大概女々しいもんだ。据え膳食しておいて、目が冴えれば後悔を感じるなんて……彼女がそのことを知ったらどう思うか、いや考えるのはよそう……。こんな思いなどお酒と共に飲み下してしまえと、コップに手を伸ばそうとして、テーブルからコップがないことに気づく。左を向けば、ゴクリと喉を鳴らしコップを呷っている姿を見かねて、やはりコップをもう一つ用意しようと席を立とうとして、肩に回される重みに気付いてM16へと視線を向ける。
「なんだ……?」
「ん? いや、指揮官が席を立とうとしてたもんで、ついな……」
「別にどこへも逃げやしないっての、コップを取りに行くだけだ」
「いいや、どこへも行かせやしないさ」
肩にかかる重みが増したかと思えば、ぐいっと肩に寄せられるように引っ張られる。
「なんの真似だ?」
「なぁ……指揮官」
俺の言葉は無視か、と抗議の目を向けるもなに食わぬ顔でこちらを見やる凛々しい顔に、小さく溜息一つ、なんだ? と言葉を返す。
「私は、指揮官が好きだ」
「なっ……!?」
「無論、ライクではなくラブでって意味だぞ」
「んなことは、雰囲気から分かる……って違う。そうではなくてな」
突然真面目な顔で何をいうかと思えば、いつかの日を思い出す告白である。突然の告白は姐御肌の特権てか……。無駄にイケメン具合を発揮しやがって、いや、ホントにイケメンだなちくしょうめ。
「まさか、告白のために俺の部屋に来たってのか?」
「あぁ、そうだ」
彼女はこちらを向いて言ってのけた。
「AR-15とはヤったんだろう?」
「んぐっ……」
続けざまに何でもないように爆弾を放り込んでくる悪魔を前に逃げようにも、がっしりと回された腕がそうはさせてくれない。
「別に、それを責めようなんて思っちゃいない。そもそもそういう段取りだからな」
「なに?」
それは初耳だと聞くまもなく、彼女は話を進めていく。
「AR-15で始まり、次は私だ……。だからこそ今私はここにいるわけだからな」
「次は……と言ったが、お前で最後……ってことはないのだろうな」
「あぁ、次は可愛い可愛い妹らの番さ」
そいつはまた……。何とも言えないな。ただでさえ、AR-15とのことが消化出来ていないというのに、そんなことはお構いなしと言わんばかりに次があるとは思わなんだ。そもそも、なぜ彼女たちAR小隊の面々がその事に至ったのかが思い至らない。好かれている? いやはや、それは男冥利に尽きる。だが、それはそれとして、何故? という疑問が尽きない。一体全体なぜそうなったのか、まさかあの液体のせいかと思わなくもなかったが、いやそれならばとペルシカさんに問い詰めねばならぬだろう。
「感覚共有ナノマシンってのは凄いな……、まさかAR-15が私らに向けて感覚を飛ばしてくるとは思わなかったよ。流石にあれには疼いちまった……。だからかなぁ……ホントのところもう少し待ってからヤろうと思ってたんだが、我慢が出来なかった。すまん」
とは言うが、顔を覗き見るにとても反省の色は見えなかった。代わりに見えるのは、獲物を捉えて離さないと言わんばかりに酷くぎらついた目だけが意を表明するように覗き込んでくるだけ。あぁ……なるほど……獲物は俺かと。ライオンを自らの檻に入れてしまったのだろうと半ば諦めにも近い溜息を吐き出して、最後に一つ質問をいいかと彼女に告げると、無言の肯定が返ってくる。
「感覚共有ナノマシンを作るように命じたのは……誰だ?」
「私たちだ」
そうか。と、この身に宿る誰かの熱を感じながら、小さく息を吐き出していく。
「もう一つ、構わないか?」
「なんだ?」
「この手を放すつも――」
「ないな。ないさ。放すもんか……絶対に」
噛み締めるように、誰にも渡さぬと言うように、肩を掴む力が強まっていく。成すがままにならぬように力を込めて離れようとするも、それ以上の力でもって肩に寄せられる。もともと、人間と戦術人形とでは馬力に違いがありすぎるのだ。例え見てくれが少女や女性のソレだとしても、中身は間違いなく機械のソレである。力勝負など合ってないようなもので、人が彼女らに勝つには不意を打つほかないのである。
もっとも、組み付かれてから打てる不意など限られるが……。
「そういえば、酒を飲もうとしてたな」
こちらのことなど意に介さず、彼女は徐ろにコップをテーブルへと下ろし、酒瓶を片手に豪快に呷ると、喉に通さずにコトリと一升瓶を下ろしてこちらに向き直った。
まさか、と思った時には既に眼前に彼女の顔があり、肩に回された手を頭の後ろに固定して逃すまいと抵抗するまもなく、唇をこじ上げるように舌を入れられるのと同時、口の中に液体が流し込まれていた。
「んっ、くっ……ゴクッ……お前……」
「どうだ? 美味しかったか?」
と言うや、また酒瓶を片手に酒を呷り、返答も待たずに次が流し込まれる。
続けざまに三口目、四口目と口に流し込まれた時には既に、この身の熱が自分のなのかすら怪しくなっていた。
「おい、いい加減に……ッ……」
逸る心臓の音は誰のか……言うまでもなくM16のだろう。彼女もまた、なんともないような顔をして口移しをしているが、その身は熱く火照っているのが分かる。それにつられるように、我が身すら熱くなってきているのだから、笑えやしない。これが感覚共有の影響かと考えている間も、容赦なく彼女からの口撃は続いていた。
「はぁ……はぁ……」
「なぁ、指揮官……伝わっているか……私の鼓動が……」
「嫌というほどにな……」
「そうか、そうかそうか……私は見てわかるとおりだ。興奮しちまってんだ。お前にだ。指揮官。お前に、私は、欲情しちまってるんだよ」
言われるまでもなく。この頭にかかるような茹だるようなモヤや、胸を流れる熱く滾るような熱を与えられて、加えてこうしてまざまざと行為に移されているのであれば嫌が応にも
「知らないねぇ。そのまま私の熱に溶けてしまえばいいさ」
と、なんとも男前に答えが返ってくる。熱にあてられ、俺自身も欲情してきてるなんて言えるわけもない。そんな小さな小さな男の矜持が、今も少しづつ崩れていく感覚なんて。
そして、気づけば彼女は俺の眼前へと膝の上に座るように、奇しくも先日のAR-15と同じように跨ると、片手に酒瓶を持ちそれを口に含めると、また顔を近づけてくる。両の手を頭の左右に置かれては逃れる術もなく唇を押し付けられ、またこじ開けられるように酒を流し込まれる。口に入りきらなかった酒が、口の端から一本の線を作っていく。
「なるほどなるほど、確かにこれは……酷くそそられるな……」
彼女は何と言っていたのか、茹でった頭が情報を処理する能力すら破棄したのか、どこかぼぉーっとした感覚を覚える。
存外自分は酒に弱かったのだろうか。いや、そんなことはないと思うも、確実に着実に如実に、体に変化が訪れているのは誰が見ても明らかだったろう。こくんと彼女の胸に倒れこむように頭が沈んでいく。あぁ……やばいな。これは確実に酔っている。朦朧とする頭で視界の片隅に見えたのはジャック・ダ○エルと英名で記された酒瓶だった。なるほど、道理でとどこか他人事のように納得して、そりゃそうだと納得するしかなかった。自分のペースで飲むならまだしも、相手のペースで飲まされたとあっては酔うのも致し方なしか……。
「昼間っから度数四十度超えの酒を飲まされる羽目になるなんてな……」
「なぁに、安心してくれ……このあとの仕事は全部こっちが肩代わりする手筈だからな」
「何から何まで用意周到とは流石というべきかね……」
「そう褒めないでくれ。照れちまう」
「褒めたつもりはねぇよ……」
全く、何が悲しくて昼間っから酒を呷ってたと思ってんだ。
「まだ、飲ませるつもりか……」
「なんだ。恥ずかしくなってきたか?」
「…………」
「マジか……」
「半ば無理やり飲まされるわで頭朦朧としてきたし、体も熱いしで、まともに体が動く気がしねぇよ……全く、誰のせいだ……」
ゴクリと、唾を飲み下す音が頭上から聞こえたのも気にせずに、何度も何度も頭を打ち付けるようにしていたが、酔った頭でやるべきではなかったと頭痛のする頭を上げれば、真顔がこちらを見下ろしていた。いや、こえぇよ。
「それはつまり……襲われ態勢が出来たってことでいいんだよな?」
「おめぇの頭は真っピンクか……」
「そうみたいだ」
そうみたいだじゃねぇよバカ野郎。返す言葉も出ねぇよ。
半眼で睨みつけるも、返ってくるのは徐々に荒くなっていく吐息だけ。
「さて、そろそろ指揮官の相棒を拝むとするか」
「あっ、コラ……やめ……」
抵抗らしい抵抗も出来ずに瞬く間にあらわにされる愚息はとき既に天高くへとそびえ立っており、確かな熱でもってその存在をいきり立たせていた。
「ほぉ、随分と凶悪なもん持ってんじゃねぇか」
「マジマジと見ないでくれ頼むから……」
興味津々といったふうに、彼女は愚息へと手を伸ばし始める。ピタリと、その手先が触れると、甘い感覚が体を広がり始める。誰にも触れさせたことすらなかった愚息を、彼女は興味本位であの手この手と何が面白いのかクニクニと弄り始めた。
「ッ……、お、い……やめろ……」
聞こえているのか聞こえていないのか、その手は休むことを知らず。次第に手で輪を作ると上下に扱き始めた。
「なぁ、私に……指揮官の感覚をくれないか?」
「嫌だ、と……言ったら?」
「なに、ちょっとばっかし乱暴に……犯すだけさ」
ハハと乾いた笑い零して、降参気味に感覚を送り届ければ、彼女の体がピクリと僅かながらに動いたのを感じた。
「これが、……なるほど、いいな。すごく……いい……」
これで、俺の体が受けている感覚を隠すことなく余すことなく彼女に知れ渡ってしまうわけだ。手探り気味に再開された手コキが、何かを探るように徐々に、徐々に力が込められていく。
「指揮官はここが……気持ちがいいと……」
無論、俺が気持ちいいと感じてしまえば彼女にもソレが伝わるのだから、そこを刺激されてしまえば限界などすぐであった。
くちゅり、ぐちゅりと音を立てて扱かれていく愚息の限界を彼女はその身で感じていることだろう。限界に近づくにつれ、早まっていくストロークに息が荒くなっていく。
「はぁ……M16待て、あっ、くっ……」
「イキそうなんだろう? 分かるさ。まさに手に取るようにな。イっちまえよ。し・き・か・ん?」
耳元で囁く優しい声音に反して、彼女の手はこれでもかと扱くのをやめない。それこそ言葉通りに俺をイかせようと、その手は休むことなく情け容赦なく刺激を与え続けていた。我慢など出来るはずもなく、俺は溜まりに溜まったそれを、吐き出していた。
「あぐっ……あぁ、あぁ……ッ……」
「ハハ、これが男のイクっていう感覚……指揮官の……感覚、かぁ……」
背もたれに倒れこむように天井を仰ぎ見れば、M16はまだまだ興奮冷めやらぬと言った風に、こちらを見ていた。
「まだ……続ける、つもりか……」
「あたりめぇよ。まだ入れてすらないんだぜ?」
こちとら、たった一回達するだけでも既に体力の七割が持ってかれた感覚だってのに、その感覚を多少なりとも味わってるであろうはずのこいつはなんともないらしい。むしろ、ギアが上がってるとさえ思える。
「まぁいいさ。指揮官はそのままでいい。それに、こちらさんはまだ元気だしな」
そう言ってツンと愚息を触れられ、思わず小さく喘ぐ。
当の本体である俺が息も絶え絶えだというのに、どうにも息子様は元気らしい。彼女はと言えばうんしょと何やらもぞもぞしている。そのうちよし、と準備が出来たかのように、満面の笑みを浮かべると息子に触れてどこかに導こうとしている。
「うっし、じゃ……迎え入れるとすっか……」
先端にぬめり気を覚えた瞬間。ずりゅっと何かを突き破る感覚の後に温かみを愚息を覆った。
「んぁ……、M16……」
「ここにいるぞ指揮官。ずっとだ。あぁ……気持ちいいんだろう? そのまま気持ちよさに身を預けちまえ。そうすりゃすぐだからな」
「あっ……、くっ……ッ……」
指揮官……指揮官……。と三日月を描く口を覗かせる彼女の姿は、間違いなく捕食者そのものだった。食われていると思っても仕方なかろう。せり上がる止めようもない快楽に、頭がチカチカとショート寸前の機械のように、小さく喘ぎを堪えるので精一杯な俺をよそに彼女の腰はさらに激しさを増す一方だった。
「もっとだ……もっと私に指揮官を感じさせてくれ……あぁ、愛しの指揮官よ……」
二度目の限界は既にそこにあった。茹だるような熱さに抵抗の二文字はなく。彼女の中に、俺は快楽の全てを……その身に吐き出していた。
「ぐぁ……あぁ……M16……」
「あぁ……あぁ……分かってる……これで、終いじゃないさ。まだまだ一日はこれからさ」
まだやるのかと、既に白旗を上げている俺のことはよそに、彼女はフフと笑みを浮かべると、唇を奪っていく。
「ちゅ……ん、指揮官……」
――まだ、こんなんじゃ終われないのさ。
あぁ……俺はきっとこのまま腹上死で一生を遂げるのだろうと諦めにも似た感情が体を覆う。
せめて、朝日が拝めればと、淡い期待を抱きながら、彼女の熱を感じ始めるのだった。
やめて、指揮官のライフはもうゼロよ!!
私のターン!! ドロー!! モンスターカード!!(以下略)
長い一日になりそうだねぇ……指揮官。頑張りたまえよ。
というわけで、今回はM16でした( ˘ω˘ )
オーケストラ衣装を見ると、なんだかんだと身長高めな印象を受けたのもあって、ここのM16姉さんは身長高めの設定です。
指揮官は165ほどと思っていただければ幸い。
良ければ、感想のほどを
誤字脱字の報告もお願いいたします。
どうしても、やっぱり抜けてしまうからね(´・ω・`)