窓の外から聞こえるバイクの音が頭の中を駆け巡り、うっすらと意識が浮かび上がる。胸がやけに重い。ぼんやりと瞼を開くと、見慣れた天井はまだ薄暗かった。全身を包み込む気怠さに身を任せ2度寝を決め込もうと寝返りを打つ。
むにゅっ
二の腕に当たる柔らかな感触と、同時にやってきた胸を触られる感触。今までに感じたことのないふたつの刺激で意識が急速に覚醒していく。布団を跳ね除けるように起き上がると栗色の長髪が背中を流れ、胸に実ったたわわな果実が物理法則に従って跳ね回った。皮膚を引っ張られるような痛みで眠気が吹き飛んでいく。
「マジか……マジかマジかマジか!」
思わず心情を吐露した声もいつもと違う。男なら誰でも耳を傾けてしまうような、天使みたいに愛くるしい声だった。
机の上に無造作に置かれている錠剤に視線を向ける。昨晩俺が飲んだ、『TS03』とだけ印字された薬がそこにはあった。深夜のテンションに任せてインターネット通販で買ったオナホに、これまた深夜のテンションと酒の勢いに任せてレビューを書いたところ『平素より弊社製品をご愛顧頂きまして〜』などというありきたりな文言と共に送りつけられた粗品である。お堅い表現で書かれた使用方法や長ったらしい注意書きが書かれていたが、要点だけ纏めると『飲んでシコッて寝ればオカズにした相手になれる薬』だった。ジョークグッズか何かだと思っていたのに飲むと猛烈にムラムラして、精を吐き出した途端眠気に襲われたのだった。そして、俺が昨晩性欲のはけ口に選んだのは───。
そこまで思い出した俺は枕元に転がっているスマホを手に取った。皮脂で汚れたスリープモードの画面にぼんやりと少女の顔が映っている。長さの足りない充電ケーブルを引きちぎるように抜き取り起動しようとしたが、指紋認証が通らない。いつもは片手で持っているそれを両手で持ち、無駄に長いパスワードを叩き込んでカメラを起動する。インカメラに切り替える1秒にも満たない時間が、やけに長く感じられた。
可愛いという言葉を凝縮したような美少女が画面に映し出された。整った顔立ち、吸い付きたくなるような唇、絹のように艶やかな栗色の髪は寝起きでボサボサであるが、それもまた愛嬌を引き立てている。まだどこか眠たげにぼんやりとしている長い睫毛で覆われた瞳が驚愕でみるみる見開かれ、本来の愛らしいクリクリとした瞳に近づいていった。
「本当にしまむーに……卯月ちゃんになってる……」
口を動かせば画面の少女の口が動く。頬を触れば画面の少女に手が添えられれる。首を絞めるように喉元に手を当てるが、喉仏の感触はない。顎に触れた指からは髭のチクチクとした感触なんてこれっぽっちも返ってこず、もちっとした少女の柔肌が存在を主張しくる。
「あー、あー。あーーー♪」
元の自分のものとはかけ離れた可憐な声、それを俺が出しているという現実に理解が追いつかない。だが、手のひらから伝わる振動が、この愛らしい声の発生源が自らの喉であると雄弁に物語っていた。
飲み込まれていく生唾とともに、手と目線が胸元へと下りていく。鎖骨を通り過ぎ、程なくして現れた柔らかな稜線をなぞっていくと、指先にパジャマと脂肪の上からでもわかるほど早鐘を打ち鳴らす鼓動が伝わって来る。マシュマロの山を制覇した手で、そのまま峰を包み込んだ。
「おっぱいだ……しまむーのおっぱい……」
男の手にならばちょうどよく収まるであろうそれは、今の自分の手には少し大きい。揉みしだくと溢れそうになるたわわな果実を落とさないようにムニムニと、モニュモニュと手のひらで受け止める。ずっと触っていたくなる柔らかさだった。
しばし魅惑の膨らみの虜となっていたが、ふと我に帰った。否、膨れ上がった好奇心がおっぱいの魔力を僅かに上回ったというべきだろうか。手がそろりそろりと下りていく。ワナワナと震える手がぶかぶかになったズボンとトランクスの間に潜り込み、大股を開いているせいで生まれた下着と股間の隙間をゆっくりと押しつぶしていく。たった数センチの空間をゆっくりと押しつぶしていくと、指先からぷにっとした感触が送られてきた。
「ない……」
手のひら全体で股間をさするも、返ってくるのはのっぺりとした触り心地の良い丘の感触だけだった。あるはずのものがない違和感。一度意識してしまうとどうしても気になってしまい手を股の間から離せない。相棒を探し求めるようにガサゴソと股間を弄り続けた。
ふと、カメラを起動しっぱなしのスマホ画面が視界に入る。にたにたとした気色の悪い笑みをレンズが捉えていた。島村卯月という少女を象徴する大輪の花のような笑顔とは真反対の、にやにやとした薄気味悪い笑みが張り付いている。一瞬何故笑っているのかわからなかった。だが、今何をしているのかを自覚した途端に疑問は氷解した。
「俺、しまむーのおまんこ弄っちゃってる……」
その事実を口にした瞬間に一抹の申し訳なさと、それを上回る圧倒的な好奇心や下心、支配欲といった劣情の入り混じった不純な感情が押し寄せてくる。僅かばかり生まれた罪悪感は山津波のような邪念に飲み込まれていった。国民的アイドル島村卯月の、ファンどころか彼女の親友ですらまともに見たことがないであろう秘められし蜜壺が、文字通りこの手の中に収まっている。それだけにとどまらない。この天真爛漫な声でどんな淫猥な言葉だって紡ぐことができるし、美しい肢体を扇情的に飾り付けることだってできてしまう。
「くふっ、ぐひっ、くひひひひひひひひっ!」
数多の淫語やフェティッシュな衣装が脳裏に浮かんでは消えていく。この天女をどう穢すしたものかと思い悩むだけで、無垢な少女の身体に似つかわしくない下卑た笑いが込み上げてくる。口角がますますつり上がり、毒々しい笑みが深まっていく。それなのに、その俗悪な笑顔は島村卯月という少女の顔に張り付いたというだけで小悪魔のような面妖さを醸し出していた。画面に映る妖艶な笑顔の少女を眺めながらたったの布切れ1枚越しに感じられる秘所の手触りを堪能し、突如舞い降りた天上の花をどう手折ったものかと思いを巡らせた。
突如、ムズムズとした疼きが股間から生じた。卑猥な妄想と陰部への刺激が重なり執拗な愛撫となって、少女が雌に変わるスイッチに手をかけていたのだ。先ほどまでと全く同じ動きなのに、どんどん官能が高まっていく。触れられているという感触しかしなかった股間が微弱な快感を発し始めた。ひと摩りするごとに甘い疼きが全身に広がり、おまんこが柔らかくなっていく。指を動かすたびに劣情が膨れ上がる。下の口から発せられる快楽の囁き声は次第に大きくなり、全身に木霊していく。快楽に誘われるままにほんの少し強く触ると、ジンッという経験したことのない一際大きな快楽が響き渡った
「んんぅっ♡」
気持ち良さが脳をシェイクし、思わず声が漏れてしまう。それを合図に、無垢な乙女の身体が淫らな雌に切り替わった。
「なんだよこれ……イッたときより気持ちよかったのに、まだ全然……」
下着が濡れた感触が伝わってきた。まだほんの入り口に立っただけなのに身体を制御できなくなるほどの女体の快楽に思わず手が止まる。耳を流れる血の音が聞こえるほど心拍数が上がり、呼吸が荒くなっていた。発情した身体は恥部を疼かせ触らずとも微弱な快感を発し、指をそこに誘ってくる。抗うことなんてできるはずがなかった。
だが、あまりに強烈すぎる快感の前に尻込みしてしまった俺は、少しだけ問題を先送りするかのようにのそのそとズボンを脱いぐことにした。健康的に引き締まった、けれども女としての柔らかさを十分に堪能できる絶妙なバランスを保った太ももが露わになる。すね毛など1本も生えていないすべすべの肌と柔らかいパジャマの生地が擦れて心地いい。内股になり脚を擦り合わせ、柔肌の心地よさと脚線美の両方を堪能しようとした。だが、それと同時にぶら下がっていたものがないせいで生じる三角の隙間が否応無しに女体の神秘への好奇心を掻き立ててしまう。胸も、腕も、腰も、お尻も、脚も、てっぺんからつま先までむしゃぶりつくしたいはずなのに、女の子の1番大事な器官に誘われてしまう。
意を決してトランクスに手をかけた。散々中身を弄り回し腰骨の中程までずり落ちていたそれをゆっくりと下ろしていく。愛液が思っていたよりも大きな染みを作っているのが見えた。それと同時に島村卯月の秘密の丘が姿を現す。
「うっわ、しまむーパイパンじゃん……いや、全部処理してるのかな?」
気になってワサワサと脇を動かしても、肌と肌の間に毛のようなものがある感じはしなかった。こちらもしっかり処理されているようだ。労せずして女体の美味しいとこだけいただいている、そんな最低のクズのような行為をしているにも関わらず心の中は愉悦でいっぱいだった。
「じゃあ、しまむーのおまんこ……見るよ」
誰に断るでもなくそう呟き前かがみになったが、自分の視点からでは半分も見えなかった。もどかしげに消えかけの画面をタップして再びカメラをアクティブに、そして股間に近づける。
ぼやけた肌色が映った。数秒後、自動でピントが調整され花開きかけた肉の蕾が画面いっぱいに映し出される。はしたなく脚を開くと穢れを知らぬ一本筋から綺麗なピンクの花びらを覗かせる。本人ですら見たことがないであろうほどまじまじと、淫靡な花を見続ける。
カシャリ
無意識にシャッターボタンを押してしまい、その音で我に帰る。そして身体の状態を思い知らされた。
女陰に灯された快楽の種火が燃え広がり身体中が火照っている、全身が鋭敏になり身動ぎしただけでくすぐったい、息が荒くなり胸の膨らみが目に見えて上下している。そして何より、下品に開かれた股間が、どうしようもなく疼いている。肉襞がヒクヒクと蠢く度に、なすすべもなく情欲が催される。花に誘われる蝶のように、あるいは火に誘われる蛾のように、指が蜜壺へと伸びていく。
「ひぅっ♡」
スマホの画面を頼りに秘所の入り口をなぞり上げると、身体の内側をくすぐられたようなゾワゾワとした快楽が全身に広がっていった。心地よいのにおぞましい、不思議な気持ち良さ。もう一度なぞり上げる。病み付きになりそうな快感が身体中に刻み込まれていく。
「ひっ♡あふっ♡まんこっ♡おまんこヤバっ ♡ん゛んぅうっ♡♡」
二度、三度、四度。指が止まらない。声も抑えられない。何度も快楽を積み重ねる。指を動かす度に何かに引っかかる。その度に別種の快楽が混じり込んで来るのがわかった。最初に感じたのと同種の快感、一度感じただけで少女から雌に変えられてしまったあの気持ち良さ。おまんこの快感に隠れていたそれはどんどん大きくなり、嫌が応にでも意識せざるを得なくなる。快感の源を探るようにゆっくりと指を滑らせていくと、快感の発信源はすぐに探り当てられた。というよりこんなものに気がつかないなんてありえない。
それは女性器の上側にあるしこりだった。知識としては知っている。クリトリス、女のチンコ、神様が悪戯でつけたとまで言われている女の子が気持ちよくなるためだけに存在する器官。ただ指を滑らせているだけで堪え切れないほどの快感を発していたそれを、優しく擦ってみる。
「ん゛ひぅっ♡♡ヤっヤバッ♡なにこれっ♡なにこれぇっ♡♡」
そっと触れているだけなのに快感が稲光のように瞬いた。ダメになるような快楽が粘膜の下から込み上げてくる。一擦りする度に固く、大きくなっていき、それに伴い気持ち良さも膨れ上がっていく。そしてついに、小指の先ほどに大きくなったソレがひょっこりと粘膜の下から顔を出す。快楽に夢中になっていたせいで気づかず無遠慮に、禁断の肉芽に触れる、触れてしまった。
「ひぎっ──────♡♡♡!!!」
悲鳴のような嬌声が漏れる。身を滅ぼすような気持ち良さが、身体中に快感を撒き散らしながら脊椎を駆け上がっていく。理性と意識をボロボロに焼き焦がしながら一瞬で脳髄に到達し、弾ける。刹那、視界が、思考までもが白く染まる。息が止まり、全身の筋肉が硬直した。快感で塗り固められてしまったかのように身体の自由が奪われ、快楽を感じることしかできなくなった。
「はっ♡はっ♡はぁっ♡ふぅ……♡」
快感の牢を破ったのは荒く艶やかな吐息だった。息をするのも忘れるほどの快楽。それに浸りすぎたせいで身体が酸素を求めている。庇護欲をそそられるような吐息が喉から発せられる。過呼吸になりそうなほど大きく息を吸うと少しだけ落ち着いた。
「今のクリイキ、だよな? なのになんで、なんで……♡」
イッたはずなのに身体の熱はちっとも引かず快感は全身にこびりついたままだった。桜色の包皮からはみ出たクリトリスは真っ赤に充血し、魔性の宝石みたいな存在感を醸し出している。
「ん゛っ♡♡」
魅了されてしまったかのように指がそこに吸い寄せられる。触れたとたんに再び快感が暴れまわった。そっと触れたおかげでトぶほどではない。だがそれでも目がチカチカするし、一瞬身体が自分のものでなくなったかのように自由が効かなくなる。
「んぁ゛っ♡♡ひぅ♡♡い゛っ♡♡♡らめっ♡♡ひぐっ♡♡♡」
快楽の虜にされ、少しでも長く気持ち良さに浸ろうと始まった、絶頂しないギリギリを攻める快感のチキンゲーム。何度か快感がデッドラインを超え、罰ゲームだと言わんばかりにアクメが身体を襲った。快楽が全身を支配し、雷のような快感が身体の中を駆け巡る。だがその度にボーダーが引き直され、より強い快感を受け入れられるようになってしまう。
「こんなっ♡♡♡じゅりゅ、ひっ♡♡♡ムリッ♡♡あ゛っ♡♡♡」
理性が受け止められる気持ち良さなんてとっくに超えていた。それなのに陰核を摩る指が止まらない、止めることができない。快楽を貪るだけの雌と化した身体に溢れるほどの快感が雪崩れ込んでくる。何度も何度も逹し、気持ち良さが際限なく上がる。絶頂の間隔がだんだん短くなっていく。ほぼイキっぱなしになり、もうこれ以上快感を受け止めきれない。そう本能が訴えた瞬間、指が勝手にクリトリスを押しつぶした。
「ひぎっ♡♡♡♡イ゛っ♡♡♡♡♡あ゛っ──────♡♡♡♡♡♡!!!!!!!」
雷に撃たれたように意識が、世界が白く染まり暴風雨のような快楽が吹き荒れた。耐えきることなど不可能な快感の嵐に、ただただ翻弄され続ける。身体を支えることすらできずベッドに倒れ込んだ。全身がこわばり快楽に震え、怖くなるほどの圧倒的な気持ち良さに耽ることしかできない。ただひたすらに真っ白な快感に飲まれ続け───プツンと意識が闇に落ちた。
どれくらいそうしていただろうか。羊水の中にいるような心地よさに沈んでいたのに無機質な電子音で眼が覚める。重たい瞼を無理やり開けると見慣れた天井はもう明るくなっていた。全身が重りをつけられたように気怠いのに、ふわふわと浮かんでいるみたいに気持ちがいい。
「すっごかったぁ……」
初めての異性の、女の快楽は恋さえまともにしたことのない自分には刺激が強すぎた。そっと股間に手を当てる。まだ愛液の乾ききっていないその場所に触れただけで、身体に燻っていた快感がパチっと爆ぜたような、そんな気がした。汗や愛液に塗れた身体を引きずるようになんとか起き上がらせる。電子音の犯人であろうスマホを見るとあの薬を送ってきた通販サイトからのメールだった。『あなたにオススメの商品はこちら!』そんなタイトルのメールが送られてきている。普段なら開きもせずに迷惑メールフォルダにぶち込むであろうそのメールを開くとローター、ディルド、バイブなど色とりどりの女性向けのアダルトグッズが目に飛び込んでくる。
「商売が上手だな……待てよ?」
ふと思いつき、評価が高くそれほど値がはらないものをいくつかカートに放り込むと即座に注文ボタンを押した。早ければ2、3日で届くはずだ。またレビューを書けば何か貰えるかもしれない。机の上に転がる薬に目をやりながらそんなことを考えた。
「しかし色々あるなぁ。乳首用のローターなんてあるんだ……うっわこんなの挿っちゃうの?」
好奇心のままアダルトグッズを物色しそれを使っている自分の姿を妄想していると、股間がムズムズしてお腹奥がキュンとした。さっきあんなに気持ちよくなったばかりなのに身体が、心が快感を求めて疼いている。
「くふっ、卯月ちゃんの身体はえっちだなぁ♡じゃあ今度はこっちで気持ちよくなろっか♡」
そうひとりごち、胸を揉みしだく。パジャマの下で男を惑わす双丘が形を変える。乳首がみるみる勃起して、擦れる度に甘美な快感を発し始めた。セカンドステージの開演だ。
まだ日は中天にも達していない。島村卯月の身体でいられる時間はたっぷりある。享楽の1日は始まったばかりだった。