※この作品はR-18です。

鹿屋基地の物書き提督と艦娘の日常   作:hayao@鹿屋提督

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ハーメルンをご覧の皆さん、初めまして。筆者のhayao@鹿屋提督です。
この度はこのハーメルンの場を借りて拙作の「鹿屋基地の物書き提督と艦娘の日常」を公開させていただくこととなりました。
予てよりTwitterの方で公開していた作品故、もしかしたら見たことがある方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、こちらでもお付き合いいただければ幸いです。

今作の触れ込みとしては「能隠す鷹は能に悩む」と言ったところでしょうか。
とはいえ、この触れ込みに直接斬り込んでいく前に、まずはのほほんとした日常から楽しんでいただき、後半から斬り込んで行った少し重めになる物語を、是非お楽しみください。

今回は物語に触れていく前の、所謂舞台説明や役者紹介のようなものです。
これから長く舞台となる鹿屋基地の秘密や娯楽、艦娘たちの生活の様子や出撃や遠征以外での生活基盤などなどを、ごった煮の如く詰め込みました。
最後に少しだけ、鹿屋基地の主要人物らのシーンを挿むので、そちらもぜひお楽しみください。


泡沫と平穏とノスタルジー
0:今作の登場人物など設定について


 

【登場人物】

 

提督:基本無口で面倒くさがり。仕事はそつなく熟す方で、

   若白髪のある日本人で御年25歳である以外は謎に包まれてる。

   執務中は丁寧ながらも威圧感がある喋りだが、

   オフの時は輪をかけて口が悪くなり粗暴になる。

   服装は出向以外では厚めのシャツの軍服にグレーのニットタイ、

   青のチノパンと黒のエンブレム入りのハイブーツと意外とお洒落。

 

   名前:甲木 燈 年齢:25 血液型:AB 身長:175㎝ 顔立ち:ユダヤ系

   瞳の色:灰褐色 髪型:ツーブロリバースショート(基本黒+若白髪少々) 肌色:白人色

 

 

五月雨:提督の初期艦。ドジッ娘だが常に一生懸命で、

    その様が周囲を浄化していることに本人は無自覚。

    提督が酒もたばこもやるので真似してやってみたら癖になった。

 

千歳:現在改修5段階目を経て軽空母という名の何かになった。

   水母の時には提督に気軽に酒を進めていたのに、最近になってそれを黒歴史認定した。

 

比叡:鹿屋基地における初戦艦。

   お召し艦や練習戦艦という遍歴からやれば何でもできる子で改二。

   着任以来初めて作った料理がカレーだったが、

   気合とスパイスを入れ過ぎて提督の胃を痛めた経験あり。

 

赤城:大本営から来た正規空母。

   食べることが大好きで、出撃後の食事が1日の間で最大の至福だという。

   鎮守府で噂されている提督の素性を考えると頭が痛むらしい。

 

摩耶:鹿屋基地が誇る対空番長改二。番長の名があるほどには男勝りで、提督の悪友枠。

   同じく男勝りな天龍や木曽と偶に一緒に飲んでるところを目撃される。

 

鳳翔:おそらく鹿屋基地における初空母。実際に前線に出たのは結構後だったこともあり、

   どちらかというと鎮守府で駆逐艦の面倒を見てたりする方が得意。

 

五十鈴:鹿屋基地の立ち上げの頃から居る初軽巡。

    現在改修2段階目を終え、対空対潜共に鎮守府には欠かせない存在。

 

天龍:鹿屋基地立ち上げの頃は出撃メンバーとして活躍していたため練度は高めだが、

   現在は駆逐達の教官を兼ねて遠征に精を出しつつ、

   空いた時間に提督に稽古をつけてもらっている。

 

木曽:最近雷巡に改装した眼帯艦娘2人目。

   眼帯からか天龍とシンパシーを覚えたらしく、高確率で天龍と一緒に居る。

 

明石:鎮守府の近海を対潜哨戒してた時に発見された工作艦。

   提督が工業系にも興味があって足しげく通うのでそれなりの親交がある。

 

夕張:提督よりか五月雨LOVE勢。五月雨と一緒に出撃すると戦果マシマシ。

   偶に提督と五月雨と一緒にアニメを見てることがある。

 

夕立:ワンコ。現在いるのは2代目で改二。

   何となく似た雰囲気のある時雨にシンパシーを覚えている。

 

時雨:ワンコ2匹目。こちらも2代目で現在改二。

   扶桑と山城にべったりながらも提督の臭いには敏感である。

 

衣笠:鹿屋基地初の重巡。比叡が来るまでは主力として数々の難関海域へと出向いていた。

   提督に対して割と露骨なSEXアピールをするが乗ってこないので、

   逆にセクハラし出すエロ親父気質。

   姉妹艦の青葉が思い付きで始めた広報紙を

   暇つぶしがてらにやってあげる優しいお姉さん改二。

 

川内:ヤセンダイの通称がある程度の夜戦キチ改二。

   だけれど口で騒ぐほど夜戦が好きな訳じゃない。

   アホの子っぽいけど意外と切れ者だったりする。

 

 

【鎮守府の設備】

 

庁舎:執務室や作戦室などの艦隊運用のための施設。

   庁舎のすぐ近くには明石が経営する購買があり、

   日用雑貨や有料の資材などが揃えられている。

 

喫煙所:購買の裏側に存在する喫茶店の様な佇まいの小屋。

    提督の影響からか喫煙者が多い鎮守府では憩いの場として利用されている。

 

居住区:艦娘と提督の暮らす社宅がある区域。

    基本的には姉妹艦同士で暮らせるようになっているが、

    姉妹艦がいない子たちは基本的にアパートで暮らしている。

    居住区の真ん中に住居とは別に共同浴場があり、

    日替わりで様々な香りが楽しめる大浴場が人気。

 

入渠ドック:補給所も兼ねているので、出撃や遠征帰りの艦娘たちが猪一に立ち寄る場所。

 

訓練場:運動用のグラウンドにそのほかスポーツのコートなどが用意された場所。

    地上での基礎訓練などは大体ここで行われる。

    運動好きの艦娘たちが休日に体を動かしたりするのに利用する。

 

???:何かの建設予定地。そこそこの規模があるらしく、現在は立ち入り禁止の区域。

 

工廠:艦娘の艤装開発や建造などを行う場所。

   明石が本格的に鎮守府に所属したため、装備の改修なども行えるようになった。

 

 

 

【その他の設定】

 

 

『深海棲艦との戦争』

 

初めて観測されたのは現在から遡る事およそ20年前のソロモン海。

それ以後の観測はばったりと途絶えていたが、

6年前突如として現れ人類に対して初の攻撃を仕掛けた。

それを機に彼らは輸送経路上を航行するタンカーなどを襲撃、

加えて一部沿岸地域に上陸して占拠などの侵略行為を開始。

それから3年後、艦娘と呼ばれるWW2時に活躍していた軍艦の魂と

深海棲艦を打ち倒す力を持った少女たちが出現。

人類は彼女らを鎮守府と言われる防衛拠点に集結させ、

それぞれの指揮官"提督"の元、制海権を奪還すべく戦争へと乗り出した。

 

 

『鹿屋基地の現状』

 

艦種を問わず、酒煙草などの嗜好品が公開され、

飲む飲まない吸う吸わないなどはそれぞれの自己判断に委ねられている。

また喫煙については自宅の自室か、庁舎横の喫煙所でのみ可能とする。

また、性交渉を含む色恋沙汰は本人たちの間で解決させるものとし、

原則として鎮守府の風紀を乱してはならない。

 

 

鹿屋基地の喫煙者の割合

 

紙巻き:40% 煙管:5% 葉巻:3% 吸わない:48% 嫌煙家:3%

 

 

提督のブロマイド

 

主に青葉が撮ってそれを直接買う形式で流通している提督の盗撮写真。

露出度に比例して値段が高騰し、一番高いものでベッドで半裸で寝ている状態の物。

 

 

居酒屋鳳翔

 

居住区共同浴場横にある鳳翔の小料理屋さん。

鎮守府の呑兵衛たちが足しげく通うことで深夜までにぎわい続けている。

 

 

提督の素性

 

娯楽の少ない鎮守府生活の中で生まれた都市伝説染みた噂。

恐らくは根っからの軍人であろうことがわかっているが、

その経歴や戦歴に至るまですべてが謎である。

また提督の年齢が25歳と若いにもかかわらず現在の階級が中将と重役で、

かつ武芸十八般に覚えがあり、

高い身体能力を有しているというタレコミもあり迷走を極めている。

 

 

『鹿鎮のシステム』

 

 

通貨

 

鹿鎮内に飛ばされたローカルネットワークを基盤としたキャッシュレス。

ネットが普及するまでは購入物を申請し、自身の口座から支払われるという形だった。

現在では全艦娘を対象に携帯端末が支給されており、そこから現在の口座残高などが確認できる。

貯金などの管理に便利な口座内フォルダなるものも活用されているようだ。

 

 

演習場

 

バッティングマシーン3台とサッカーグラウンド1つ、

それに加えて別途野球場にテニスコート2つ。

他に武道修練道場と室内球技ホールとプールなどの多岐にわたる運動施設が併設されている。

普段の艦隊演習は鎮守府近郊に設けられた演習海域で行っているが、

雨天時などに使える演習ドームなるものも存在している。

演習ドームでは様々な環境を再現した演習が行えるため、

難関海域などに出る前の最終確認で使われることが多い。

 

 

生活

 

基本的にベッドとテレビ、冷蔵庫にコンロと言った必要最低限のみ支給されるが、

それ以外は全て艦娘の実費である。

家賃こそ免除だが食費や光熱費・水道代などは自身で支払わなければならない

と言うところは民間人の生活に限りなく近いものだ。

全艦娘にはベーシックインカムとして月々10万が支給されるが、

それ以上は出撃や遠征などを熟さなければ手当が支払われないと意外とシビアな構造。

金銭の貸し借りは原則自己責任だが、

行う場合は金融管理サーバー上でお互いが納得する期間と

利子の取り決めを行わなければならない。

 

 

陸上訓練

 

鎮守府全体の総員起こしこそないが、高練度の艦娘らによる武道教練が午前中に存在する。

武道教練と呼ばれているが、実際にやっているのは実戦形式である場合が多く、

如何に少ないダメージで相手を叩きのめすかを叩き込まれる。

この訓練により手酷く揉まれ入渠というのは鹿鎮ではよくある光景だそうだ。

 

最近のトレンドは3人以上で行われる30秒毎に1人を標的にする方法である。

短いスパンで標的と味方がコロコロ変わるため、

状況判断能力と素早い対応力が求められ高い効果が見込める。

但し低練度の内は一方的にボコボコにされるため推奨されてはいない。

 

提督が実際に教練に当たるのは週1程度ではある。

 

 

治安

 

お互いに命を預け合う仲間同士ということで比較的治安は良好。

朝起床して門扉を開けば隣人との挨拶が行き交う昭和の下町を思わせるものがある。

 

 

流通

 

基本的に明石が経営する購買で賄われている。

規模もそこそこある上に購買に掛かり切りになれない明石に代わり、

接客などは他の艦娘が代理で引き受けていたりする。

もちろん代理による手当などは購買の運営費から支払われるため、

体のいいアルバイト感覚で駆逐艦らが店番していたりする。

ちなみに7時開店の23時閉店で大型家電や衣類などは妖精さん製。必要に応じて1から作られる。

 

 

待機時の行動

 

出撃や遠征がなく、実質的な休暇を与えられてる艦娘らの行動については特別制限がない。

が、出撃や遠征をしているわけではないので

ベーシックインカムの10万を元手に生活をすることになる。

流石にそれでは手持無沙汰だしやりたいこともやれないということで、

自己申告制のアルバイトの様な物が存在している。

例えば資材庫の管理や装備品の点検、明石の購買の手伝いに甘味処間宮の手伝い。

他にも庁舎等の公共物の清掃などを各監督者に申し出て仕事として受けることが可能である。

出撃や遠征の様な危険手当は出ないが、その代わり毎日継続して仕事があり、

一定時間費やすため給料としては悪くはない。

 

以下監督者早見表

 

枝元|【1】提督(総責任者):全ての仕事の最終的な報告先であり受注先。

  |           最近ではネットで応募状況の仔細などが

  |           把握できるようになり楽になったそうだ。

  |

  |【2】五月雨(副責任者):資材管理や装備品の点検・夜警を含む軍備部門の受注先。

  |

  |【2】千歳(副責任者):流通や公共物に関する生活部門の受注元。

  |           (カジノなどの設備点検を含む)

  |

  |【3(千歳)】明石(購買部門):購買の仕事の受注先。

  |

  |【3(千歳)】間宮(甘味部門):甘味処間宮の仕事の受注先。

  |

  |【3(千歳)】青葉(TV部門):AOBTVのアシスタントの受注先。

  |

  |【3(五月雨)】赤城(教練部門):高練度(70以上)限定で志願できる教導者の受注先。

  |               これには着任したての艦娘の座学や

  |               午前の武道訓練の教官が含まれる。

  |

  |【3(五月雨)】川内(夜警部門):夜間警備の受注先。志願は練度が50以上から。

  |

枝端|【3(五月雨)】五十鈴(資材・備品部門):装備品の検品や資材管理の受注先。

 

 

 

【1】

 

私は趣味で物書きをしている者だ。

この手記を書いているのは単なる思い付きである。

これと言ったお題もないので、私が体験してきた日常を淡々と描写していこうかと思う。

 

「提督っ! 今日はよろしくお願いしますー!

 はいー! この五月雨にお任せくださいー!」

 

この空のように青い髪を地面すれすれまで伸ばし、

顔には快活そうな笑みを湛え、やる気一杯と言った様相で私の執務机に身を乗り出している娘。

先程本人でも名乗った様に、彼女の名前は五月雨。

駆逐艦白露型の6番艦として建造された彼女は、所謂私の初期艦だ。

鎮守府に配属されてから最も長い付き合いになるのも必然的に彼女ということになる。

 

「ところで五月雨、スカートの裾が捲り上がっているぞ」

 

「え?.......、えぇー!? 何でーっ!?」

 

見ての通り、ドジっ娘である。

 

「まあまあ、今直してあげるから」

 

私はそう言うと席を立ち、彼女のそばまで寄る。

彼女はそのことに恐縮といった面持ちで肩を竦め、私に頭を下げた。

 

「す、すみません提督......」

 

「気にするな。君のドジっ娘は今に始まったことではないだろう? 私も慣れてきたよ」

 

「うぅー.......」

 

恥ずかしそうに俯く彼女の裾を直し終えた私は、眼前に差し出された頭に手を置いた。

すると彼女は不思議そうに小首を傾げ、私を見た。

 

「提督.....?」

 

「確かにドジっ娘かもしれないが、君が頑張っていてくれていることはよく知っているよ。

 だから、自分のドジをそこまで気にすることもないさ。

 こんな私でも慕ってくれる君だ、こう言う時くらいは世話を焼かせてくれ」

 

私はそう言って、彼女の頭に置いた手でそのまま彼女を撫でた。

その事に恥ずかしそうに頬を染める彼女が愛おしくて、

それでも嬉しいのか止めようとはしないのが小動物染みていて、とても愛らしかった。

一通り撫でて満足したので彼女の頭から手を退けると、

 

「あっ.....」

 

と少し名残惜しそうに彼女は私の手を見つめた。

 

「さ、今日の執務に取り掛かるとしよう」

 

「.....あ、はっ、はいーっ!」

 

今日も一日が始まる。

戦争はまだ終わらないが、こんな日常が続くのなら提督業も悪くはない。

 

 

 

【2】

 

「軽空母千歳、只今帰投しました」

 

「ご苦労様、千歳。早速だが作戦の報告を」

 

服越しにでもわかるほどに豊満な体をした女性、

嘗ては水上機母艦、今は改修によって軽空母になった千歳型一番艦の千歳は、

現在進行中の作戦の報告をすべく執務室へと来ていた。

柔和な笑みを湛えてはいるがその姿勢に一切のブレはなく、

私が有する艦隊の中でも最高練度を誇ることをその姿勢が告げている。

 

「はい。現在進行中の北方への強行偵察の結果、AL方面に敵艦隊の大規模な泊地があることが分かりました。

 強行偵察の中に接敵した艦隊の中に有力な空母艦隊を補足したことを踏まえると、

 この泊地にはそれ以上の空母.....最悪の場合は"鬼級"や"姫級"が居ることも考えられます」

 

彼女は手に持った報告書を自身の考察を交えて述べた。

 

「そうか......報告ご苦労。入渠が必要なものには入渠の準備、それと補給を各自始めてくれ」

 

「了解しました」

 

机に置かれた報告書を一瞥していた私は、その海域で行われた戦闘記録を眺めていた。

その海域で行われた戦闘は合計3回、そのうちの2回で千歳が功労艦として記述されていた。

水上機母艦から軽空母へ改装された彼女は、暫くの間艦載機の扱いに悩んでいるようだったことを鑑みるに、

ただでさえない時間を割いて修練に明け暮れていたのだろう。

......とは言っても、現在彼女は空母となって2度目の改装を終えている。

もしかすると、"気が付いたら慣れていた"。という感じなのかもしれない。

 

「.........」

 

その様なことを考えていると、ふと視線を感じた。

視線の先に目戦だけ移すと、ドアノブに手を掛けた状態でこちらをチラチラと見る千歳が居た。

まあ、この秘書官の五月雨が居ない状態で彼女以外の人間が私を見ているはずもないのだが。

次にすべき指示は与えた。普段なら即座に行動に移る気真面目な彼女だが、

こうして私を凝視しているということは、何かしらの意見具申があるのかもしれない。

 

「......どうした? 私に何か言いたいことでも?」

 

報告書を机上に置き、椅子の背もたれに背中を押し付けながらに言った。

すると固まっていた彼女は弾かれた様にこちらに向き直り、慌てたようにこちらに手を向けた。

 

「え、えええええっとそっそそそそそそのっ......」

 

.....別に叱責するわけではないのだし、そこまで慌てなくともいいのではないか?

私は軽く溜息を吐きながら立ち上がり、執務用のデスク横の窓から出撃港を見下ろした。

 

「......千歳、別に私は怒っているわけではないよ。

 先程からこちらを見ているようだったので、何か言いたいことがあるのか、そう聞いただけだ」

 

私はそう言い終えると彼女に向き直り、問いに対する答えを待った。

向き直った際に見えた彼女の顔は朱に染まっており、答えるのを渋っている理由は単純に恥ずかしいからに見える。

 

「えっと......その.....」

 

彼女は私の視線から逃れる様に目線を下げ、下腹部の前で組ませた手を所在なさげに弄んでいた。

その様子を見るに、今の素面の状態では言い出しそうにない。

なら私の言うべき、いやすべきことは1つだろう。

 

「......今日は久しぶりに、鳳翔の店にでも行くか?」

 

彼女は生粋の呑兵衛である。

彼女が部下に成って都合数カ月程度の付き合いだが、その間にどれだけ酒を勧められたことか。

まあ、私も酒は好きだ。ぶっちゃけた話、毎日寝酒を欠かさない程度には酒を飲んでいる。

 

「........!」

 

彼女は私の誘いを受け、機嫌よさげに顔を私に向けた。

なんだ、ただ一緒に呑みたかっただけか。

 

「今晩、執務が終わったら部屋まで迎えに行こう。

 それまでの間に出撃の疲れを癒してくれ」

 

「はいっ! ではまた今晩に」

 

待ち合わせの由を伝えた後、彼女は意気揚々と執務室を後にした。

 

「.....ふっ」

 

その姿を見た私は、彼女たちが兵器であることを忘れかけていた。

兵器があのような反応をするだろうか?

少なくとも私には、彼女たちは同僚以上に人間らしく思える。

ましてや、彼女らを兵器と呼びぞんざいに扱おうとする上層部の方が、余程人間らしくないとさえ思える。

 

「......さて..」

 

私は視線を自身の執務机へと戻し、そこに溜まった書類の束を見やり気を引き締めなおすように言った。

 

「もうひと頑張り......するとしますかね...」

 

これは鹿児島県に位置する、南西海域の対深海棲艦特別司令部鹿屋基地、

通称『鹿屋鎮守府』の艦娘と、そこを指揮するちょっと変わった提督との日常を淡々と語る物語である。

 

 

 




最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は小説形式での掲載となりますが、次回からはセリフの前に名前が付く、皆さんお馴染みの形となります。
次回もお楽しみにしていただければ、これ幸いに存じます。
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