https://syosetu.org/?mode=ss_detail&nid=179060

の個別ルート+エッチな描写があるお話です。

多分、よっぽど気分が乗らないと書かないと思います。

基本的には性的被害者な彼が普通のエッチをするお話です。

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ST AR-15

 汚染された大気越しに地表を照らす月が頂点へと達する時間。

 

 主な業務を終えたグリフィン基地では、昼間の騒がしさも大方収まり、寝るには快適な静けさを保っている。

 

 そう、本日は夜間の作戦も後方支援任務も無い殊更に静かな夜。売店もカフェスペースも閉まり、殆どの戦術人形はスリープモードへと移行し、明日へと備えているのだ。

 

 この基地の戦術指揮官を任されている彼も、本日は司令室での一人飲みと言う密かな息抜きをすることなく、基地内に与えられた自室にいる。それに、最近の彼はその趣味を堪能することはほぼ無くなっている。

 

 何故なら――

 

「……指揮官」

 

 彼はSTAR-15と誓約を結び、人間と人形その枠組みから外れた仲となったからだ。

 

 彼女が居るのは、指揮官に与えられた私室にある寝室、そのベッド。二人は誓約を結ぶと、同じ屋根の下と言っていいのかはわからないが、同じ部屋で暮らす様になった。

 

 共に同じベッドで寝起きし、二人だけで食事をとり、偶には一緒にお風呂に入ったりもする。そんな二人でいる事を中心とした生活を送っているのだ。

 

 AR-15がベッドに居るという事は、これから二人も眠りにつくのかと思われるかもしれないがそうでは無い。

 

 二人はこれから、深く深く仲を深めるための行為に耽る予定なのだ。

 

 指揮官はあくまでも紳士として振る舞おうとしているようで自分から行為に及ぼうと誘ってくることも、無理矢理行為を迫ってくることも無かった。

 

 それのことはAR-15にとって大事にされている様で嬉しくもあったが、同時に焦れったくもあった。

 

 もう二人には身体を重ねるに行為を遠慮をする理由は何一つとしてない。今の二人は人間と人形の双方に認められている仲なのだから。

 

 確かに指揮官から抱きしめてくれたり、甘い言葉を贈って貰ったり、口づけを交わすことは幸せと感じている。でも、今の彼女は我慢が出来なかった。自分の中で溢れんばかりの想いを、自分は指揮官のことを愛しているのだと、更に愛されたいのだと、演算によって導き出される感情とは別の何かが訴えていたのだ。あの日、指揮官と夜の司令室で二人っきりで飲んだ時の様に。自分の想いを抑えきれなくなっていた。

 

 だから、彼女は伝えた。今朝、二人揃ってこの部屋から出る前に。玄関の先へと歩みだそうとする指揮官の手を掴んで。訝しげな表情を浮かべる彼に、顔の皮膚が融けてしまいそうな位に真っ赤にしながら、しっかりと口にしたのだ。

 

「今夜は……私と……その……愛を……深めませんか……?」と。

 

 自分で口にしたくせに余りにも自分らしくない言葉。指揮官の返事を待つのも緊張しすぎて辛くなって、顔を背けそうになったその瞬間。彼から口づけと共に「ああ、いいよ」と短いながらも確かな承諾の言葉を得たのだ。

 

 今のAR-15はベッドで指揮官の事を待っている状態。彼は行為に臨む前にもう一度シャワーを浴びに行ったから。普段の彼は仕事が終わって私室の浴室での入浴を終えたら、その日の入浴は完全に終わり。二度も入ることはまずない。では、何故もう一回シャワーを浴びに行ったのかと言うと答えは単純。彼も緊張をしているという事だろう。普段は掴みどころが無い彼が緊張している事がはっきりとわかって、彼の背中を微笑ましそうに見送ったのをAR-15は覚えている。

 

 その間、AR-15は指揮官は自分のことをどのように抱いてくれるのかと夢想していた。彼は優しくしてくれるのか、或いは自分のことを強引に犯そうとしてくるのか。

 

 指揮官と交わった経験なんて、司令室で指揮官の事を押し倒したのが初めてだし、それがAR-15にとった初めての身体同士の交わりだった。性の知識なぞ自分の中に刻み込まれていた知識しかないのに、あの夜はよくやったと今振り返っても彼女は思っている。

 

 だからこそ、AR-15は期待に胸を高鳴らせ、指揮官の事を想うたびに下腹部が疼く様な感覚を覚える。その度に彼女は自覚する。『私は指揮官と交わりを心の底から楽しみにしているのだ』と。

 

 浴室から聞こえるシャワーの音が止んだ。どうやら彼のシャワーが終わったらしい。彼が寝室にくるのは、残り数分もしない内だろう。

 

 AR-15は何度も息を吸って、吐く。自分の感情を整える為に。それと、AR-15が緊張している理由は、これからの事が楽しみだからと言う理由だけでは無い。それは、カリーナからから彼女に秘密裏に贈られた物資にある。今のAR-15はその物資を装備し、指揮官の事を待ち構えているのだから。

 

「指揮官は喜んでくれるかしら……」

 

 愁いを帯びた息を吐き出すAR-15。わさわさと体とタオルが擦れあう音も無くなったと、彼女の耳は音を分析した結果と予測を頭脳部に送り込む。

 

 たんたんとスリッパが床を踏む音が寝室へと近づいてくる。AR-15は胸に手を置いて息を整えほんのりと熱を帯びた頬を冷ましながら、彼の到着を待ちわびる。

 

 足音は寝室の前で止まり、「入るぞ」と緊張からか若干上擦った声で入室を伝える指揮官。

 

 浴衣姿の彼が寝室に入るとそこには、

 

「待っていました指揮官」

 

 常夜灯と月明かりに照らされた彼女が、カリーナから贈られた黒のブレザーと白のワイシャツ、黒のミニスカートにニーハイソックスと言う制服一式に身を包んだAR-15が、ほんのりと朱に染まった面持ちで指揮官に微笑みかけてくれていた。

 

 指揮官はAR-15の制服姿に見惚れ、しばし行動の自由を失っていたが、AR-15の碧眼がさざ波のように不安に揺れた事で、自分の身体が動けることを思い出せた。AR-15に倣うように指揮官はベッドに腰を下ろし、彼女の目を見据えて感想を伝える。

 

「あぁ……その……よく似合ってる。ちょっと言葉が上手く出なくて悪いんだが……すごくかわいいし似合ってる……」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

 頬を掻きながら品評を伝える指揮官の方が可愛らしくてAR-15は口許に手を当てて感想の礼を伝えて、彼の頬に唇を押し付ける。

 

 予想外のお返しで彼の顔が薄明りの中でも赤くなってるのがよくわかる。

 

 AR-15は指揮官がどういう人物なのかはよく知っている。いつもは掴みどころが無いようにぶっきらぼうに振る舞うが、本当はお人好しで巻き込まれ体質で情けない面も多い人物。だけれども、そんな不愛想に振る舞おうとしても世話焼きな面が隠せない彼を好きになった。

 

 かつては(指揮官の同意はほぼ無いが)色んな戦術人形達と肉体関係を持っている彼だけれども、一人しか愛せないと誠実さを貫こうとする彼だから。そんな不器用さを隠せないながらも、好きになった人を大事にしてくれる。そんな彼をAR-15は愛しているのだ。

 

 だからこそ、頬に口づけられ初々しく目を泳がせる指揮官を愛らしく思えてしまって、彼の両頬を手で包んで口づけをしてしまうのだ。

 

「え、AR-15」

 

「ふふっ、なんですかセンパイ」

 

 困惑したような声をあげる指揮官にAR-15はさらに追い打ちをかける。いつものように指揮官と呼ぶのではなく、敢えてセンパイと呼んだ。これも、カリーナから贈られたアドバイスの一つ。『こう呼んであげることで、指揮官様の青春の熱を呼び戻すことが出来ますよ!まぁ、私は青春とかよくわからないですけど』と言う言葉と共に。

 

 その呼び方に驚いたのか、或いは彼の過去の記憶を呼び起こしたのか、彼が小さく息をのむ音を、彼女は確かに聞き取った。

 

「センパイ……」

 

 AR-15は甘えるように彼の胸に倒れ込む。彼女の嗅覚センサーは彼の肌から漂う石鹸のフレッシュな香りを識別し、彼女の頭脳にリラックスするように命令を送る。

 

「ねぇ、センパイ……」

 

 AR-15は指揮官の手の甲に自らの手を重ねる。リラックス効果を得れたおかげだろうか、これから行為に及ぶと言うのに、少しばかり彼の昔の事が気になってしまった。

 

 指揮官は初等、中等、そしてこの時代ではかなりの費用がかかる高等教育も修了し、このグリフィンの指揮官へとやってきている。つまり、彼の人生は今のところその大半を学生として過ごしていた筈なのだ。

 

 だからこそ、気になってしまう。気になっていた事を口にしてしまう。彼の専属、否彼の伴侶として。ここに来る前に付き合っていた女性が居たのかと。グリフィンに来る前の彼の過去は、手を伸ばしても永遠に届かない所にあるから。

 

 AR-15は水面のように揺れる瞳で彼の顔を見上げる

 

「付き合っていた人とか居たんですか?」

 

「居たな」

 

 その瞬間、熱に浮かされていたAR-15の瞼が指揮官を睨むように細められた。

 

 予想は出来ていた。AR-15が贔屓目なしに見ても、彼の人柄に惹かれる女性はさぞ多かった事だろうと。

 

 でも、だからと言って、即答することは無いだろう。彼もこの和やかで甘い雰囲気に流されていると言う事なのかもしれないが、即座に答えるのは如何なものだろうか。

 

 あぁ……わかってる。AR-15の頭の中は電子頭脳が融解しそうな位に沸き立っているが、今自分の中を支配しているモノが何なのか。

 

 それは、嫉妬だ。悔しさだ。

 

 彼の初めての恋人では無かったと言う、過去に恋人位は居ただろうと予想してたくせに自分にとって都合が悪い答えが返ってきたことの身勝手な口惜しさだ。

 

 AR-15の白魚の様な指が折り曲げられ、指揮官の男の手とは思えな位に滑らかな触り心地の肌に爪を立てる。

 

「そうですか」

 

 彼女から鋭い視線と、棘が隠しきれてない語気、手の平から感じる硬質な爪の感触。それによって指揮官は、自分が先ほど雰囲気に流れて何を口走ったのか理解した。

 

「あーっと……」

 

「これからするような事もその方ともしたのですか?」

 

「あっと……えっと……その……」

 

 指揮官は目を泳がせて返答に困っている様子だが、エメラルドの炎が灯ったAR-15は指揮官の手の甲に爪を深く食い込ませる事を止めない。否、止まらない。

 

「答えてください、センパイ」

 

 自分が彼の初めてになる、と言う身勝手な願望を裏切られた彼女の負の感情は視線と語気と、指の爪へと集中し、そして――

 

 彼の泳いでいた視線が歪み、彼女の指先は彼の肌から湧きだした温かみのある液体に触れた。

 

「痛っ」

 

 彼が小さくあげた言葉でAR-15は自分が何をしてしまったのか気づいた。先ほどまで爪を立てていた彼の手の甲を見ると、彼の肌が破れて微かに赤い液体を――血を噴き出していた。

 

 その瞬間、AR-15の細められた瞳は大きく開かれ、先程まで期待と嫉妬で赤くなっていた顔も、塗りつぶされたかのように真っ白になっていく。

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 そんなつもりは無かった。そう言おうとしてももう遅い。そのつもりが無かったとしても、現に彼は自分のせいで傷を追わせてしまたのだから。

 

「ははっ、AR-15は悪く無い。悪いのは答えを出し渋った私だ」

 

「そんな事はありません!私が勝手に期待してたことを裏切られたと思ったから――」

 

 生温い血液を湧き出す手の甲を撫でながらAR-15は顔を俯かせる。確かに、指揮官が中々質問に答えなくて苛立ちが加速したのは間違いない。でも、それは彼の過去を詳しく知らないくせに彼に勝手な期待を抱いて、それを勝手に裏切られたと思ったから。

 

「ごめんなさい……」

 

 AR-15の瞳からは雨が零れる。それは絵画などで表現するとしたら彼女の海色の瞳と同じような綺麗な青色で塗られる様な雨だろう。

 

 だけれども、司令官はそんな絵画を望んでいない。

 

 興味と言うのは、どんな存在であっても抱いてしかるべきものだ。動物も人間もロボットも。

 

 それも、自分達はお互いにとって特別な仲で、お互いのことはこれからもっともっと知っていく段階だ。

 

 指揮官は何となくAR-15はこんな事をした理由が予想がついていた。彼女は指揮官の『初めて』になりたかったのだろう。AR-15と特別な仲になるまで知らなかったが、彼女は独占欲が強い。最近は指揮官が他の女性や戦術人形と話し込んでると、手の甲を強く抓って『いい加減私のことを見て』と言わんばかりの視線を向けてくる位には。

 

 そんな実は嫉妬深いAR-15だから、自分を愛してくれている彼女のために、指揮官は彼女が知りたがっていることを答えるのだ。

 

 指揮官はAR-15の頭を自由な左手で抱き寄せる。彼女から降る雨が彼の浴衣に落ちて、温まった身体にその液体の冷たさをよく伝えた。

 

「……したよ」

 

「……!」

 

 AR-15の身体がピクリと震える。彼が答えを出し渋ってた辺りで、彼女も心の何処かで察していたのだろう。彼女は指揮官の手を握りしめる。まだ信じたくないと言わんばかりに。

 

 それに、この真実はここで終わりでは無い。彼の胸の内で身体を縮こまらせるAR-15に、指揮官は言い辛そうに頬を掻く。

 

「でも、だなぁ……。その……したけど……私にはされたことしかないと言うというか……」

 

「それは……どういう……」

 

 その言葉だけで察して欲しかった指揮官ではあったが、流石に言葉足らず。洞察力が高いAR-15もそれだけではくみ取れない。指揮官は言葉遊びをやめて、諦めた様に全てを伝える。

 

「付き合った人もいた……。確かにその人ともそういう事はした……。だけど、私はその人たちにAR-15みたいに襲われただけで、こういうちゃんとした形では……」

 

 そう、指揮官は、グリフィンに来る前から性的な被害者であったのだ。彼は学生の頃に二回ほど恋人と言える相手は出来たのだが、何故かよくわからないが当時の恋人それぞれから性的に襲われた経験がある。

 

 彼がAR-15から襲われた時に、あまり取り乱しておらず『そういう雰囲気じゃ無かっただろ!』と咎めただけで完全な拒絶をしなかったのは、彼の過去の恋愛模様にあったのかもしれない。

 

 そんな風に中々に刺激的な学生時代を送っていた彼なのだが、女性から一方的に想いを伝えるためでなく、男女が愛情を深め合う目的で交わるのは初めてなわけで。

 

「ほらっ」

 

 本当は男らしくリードしたい願望があった彼だが、過去を告白し居た堪れなくなって、左手でAR-15の頭を自分の胸に押し付けた。その先には、彼の真実があるから。

 

「あっ……」

 

 AR-15の音声識別機能は彼の力強い鼓動を聞き取る。ハイペースに彼の胸越しに脈拍を打つそれは、胸越しにAR-15の頬に振動を伝える。ドクンドクンと言う彼の力強い心音と脈拍が心地よい。

 

 ――緊張しているんだ……

 

 彼のぶっきらぼうな態度と、高鳴る心音でAR-15はやっと彼も緊張していた事がわかった。彼が胸板にAR-15の顔を押し付ける力が弱くなった隙をついて彼女は顔を上げる。そこには、過去の恋愛を告白したからか、或いは過去からの苦悩を言ってしまったからか、それとも色んな感情が処理しきれてないからか、月明かりで逆光になっている彼の頬が、ほんのりと熱を帯びているのがよくわかった。

 

「ふふっ」

 

 自然とAR-15から笑みが零れる。お互いに『本当に初めて』と言えるかはわからないが、これから愛を深める為にするそれは間違いなくお互いに『初めて』と言えるから。そう思ったら、先程までの嫉妬に狂った緑色の炎は鎮火して炭となり、その炭を使って真っ赤な愛情の炎が一気に燃え上がってきた。

 

 AR-15は指揮官の胸元から離れると、鮮血が湧き出る彼の手の甲に唇を落とす。

 

「AR-15?」

 

 困惑の声をあげる指揮官を他所に、彼女は手の甲の爪痕を舌で舐めとる。その姿はまるで、噛みついたことを詫びようとする子犬のよう。

 

 指揮官の血液の味をメモリに記録を残しつつ、AR-15は彼の傷口を舐めたり吸ったりして彼を癒そうと必死に奉仕する。

 

「くすぐったいぞAR-15……」

 

 元々傷口は浅い。だから、傷口を舐められる痛みよりも、彼女の滑らかな舌の感覚が手の甲の毛穴をくすぐられる感覚の方が勝ってしまう。でも、AR-15が必死になって傷口を舐めるAR-15の姿は愛らしいので、本気で止めようとも思えれない。

 

 指揮官はその葛藤を口には出さないようにしつつAR-15からの奉仕を受けていると、突然手の甲に針を刺されたような、血管が破けたような痛みを覚えて、身体を跳ねあがらせる。

 

「いっ!?」

 

 指揮官が一際高い声をあげた事に満足したのか、涎で唇の潤いを取り戻したAR-15が顔を上げていたずらっ子のような口角を吊り上げた笑みを浮かべる。

 

 AR-15の口付けから解放された右手を見てみると、傷口の隣に小紫色の染みがじわりと広がっていた。肌に浮かび上がる痛みを伴う染み。それが何なのかは、夜伽の知識が実は書籍レベルでしか知らない指揮官でもわかる。それはキスマーク。愛しているモノへと贈る所有印。

 

 彼女はキスマークの出来具合を気に入ったのか、それを指先でなぞる。その後が確かについていることを確認するように。彼が自分のモノであると確かめるように。

 

「確かに、昔のあなたは誰かのモノでした。それは変えようの無い事実で、私には干渉することが出来ない過去です。ですが――」

 

 キスマークを上書きするようにAR-15は口をつける。溢れ出る愛おしさを止められないと言うかのように。

 

「今のあなたは、私のものです。そして、これから先も―――ね?」

 

 AR-15は熱に浮かされた瞳で指揮官に微笑みかけた後、ゆっくりと瞼を瞑る。彼女の求めている答えは、それを伝える方法はただ一つ。それがわからないほど、指揮官は鈍感では無い。

 

 彼女は自分の中の嫉妬に決着をつけたのだ。自分ではどうにも出来ない過去を羨むのではなく、指揮官の未来を自分が独占することによって。

 

 ――あぁ、本当にAR-15は嫉妬深い……。でも、そんなところもAR-15を好きになっていく一因なんだろうな。

 

 彼女は、あらゆることを指揮官と共に体験していきたいと、これからを歩んで行きたいと願っているのだろう。それこそ、指揮官の過去にも嫉妬してしまうほどに。

 

 彼女の願いを叶えるためには、指揮官の協力が必要不可欠だ。そして、指揮官の答えはもう決まっている。それこそ、彼女と誓約を交わした時から。

 

 指揮官はAR-15の肩に手を置いて、自分の中にある答えを伝える。

 

「私はこれからもAR-15のものだ。だけど、AR-15は私のものだ。だから、ずっと一緒だ。ずっとずっと……!」

 

「……はい!」

 

 指揮官からの答えに、AR-15は花開く様な笑顔を浮かべる。

 

 月明かりに照らされた二つのシルエットが一つになって融け合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 口付けを止めた二人はお互いに向き合う形になる。互いに薄明りでもわかる位に火照った顔していて、二人は自然と笑みを浮かべる。

 

「緊張しますね」

 

「ああ……だな……」

 

 方や逆レイプを仕掛けた側、方やこれまでの人生で逆レイプしかされたことが無い側。

 

 一方的に愛情を押し付ける事しか知らなかった側と、一方的な愛情を受け止めざるをえなかった側。

 

 立場も条件も違う経験をした二人が、今はお互いの愛情の糸を結ぶため一つになろうとしているのだ。

 

「ん……」

 

 指揮官はAR-15の肩を離すまいと掴み、AR-15は指揮官を逃がすまいと頬を両手で包み、お互いに視線を交えて唇を重ねる。

 

 ――好きです。自分でも抑えきれない位にあなたのことが

 

 万感の思いを唇に乗せて彼に伝わるように祈りながら、AR-15は唇を強く押し付ける。

 

 指揮官は唇を重ねながらも、小さく口を開けてAR-15の唇を舌でノックする。彼女も彼の意図を察し、ゆっくりと口を開いて彼の舌を迎え入れる。

 

「ちゅむっ……んん……」

 

 二つの真っ赤な舌がAR-15の口の中で交わる。指揮官の舌がAR-15の舌に重なり、獲物を品定めする獣の様に暴れ回る。彼の力で自分の舌を抑えつけられるの心地いい。彼の舌が自分の歯列をなぞられるたびに、味覚センサが倒錯の味を電子頭脳に伝えてくる。痛覚センサが無理矢理口を開かれる痛みを快楽と錯覚している。この全ての快楽は、彼が自分を求めてくれると言う喜びから。

 

「ちゅる……んっ……」

 

 薄暗い部屋に響くのは、お互いの鼻呼吸と口内で交わる水音。AR-15が彼の頬に当てていた手は知らぬ間に彼の後頭部へと回され、自分へと押さえつけている。

 

 ――もっと、もっと、私を求めて

 

 言葉に出来ないから行動で。もっと彼に求めて欲しいと彼の舌がもっと奥に来るように彼の顔と更に密着する。

 

 先程、AR-15が彼に贈ったキスマークがAR-15にとっての所有印なら、この蹂躙はAR-15にとって指揮官から贈られる所有印。

 

 彼の舌が粘性を増した唾液を運ぶ。AR-15はそれを恵みの水のように甘受し、喉の奥へと送り込む。彼から贈られる唾液はAR-15にとっての所有印。内側から自分の全ては彼のモノだと刻みこませるような、シロップで出来た甘い鎖。

 

 自分の中に彼の唾液が送り込まれる度に、AR-15の背筋に痺れが奔る。それは、自分が彼のモノへと作り替えられる事を喜ぶように。

 

 彼がAR-15の肩を叩く。彼の呼吸が荒くなっていることに気が付いたAR-15は指揮官から名残惜しそうに口付けを終える。

 

 二人の間にかかる透明な橋と、月灯りでテラテラと艶めかしく光るAR-15の唇がなんとも色っぽい。

 

 指揮官は大きく息を吸って吐いてを繰り返して呼吸を整える。ある程度の運動能力はある指揮官だが、彼はあくまでも人間なので鼻呼吸だけではいずれ酸欠を起こしてしまう。

 

 酸欠で顔が赤くなった指揮官にAR-15は不安そうに瞳を揺らす。

 

「その……やりすぎましたか……?」

 

「いや、私も限界がわからなかった。ついつい、夢中になって……。その……がっつきすぎて無かったか?」

 

「どうでしょう……。多分、どっちもがっついてたんだと思います。」

 

「ははっ、そうか。そうかもな」

 

 二人は自然と手を取り合うと、どちらからともなく唇を重ねもう一度深く唇を重ねる。AR-15は先程のお返しとばかりに唾液を贈り、彼は喉を鳴らして飲み込む。内側からお互いのモノだと塗り替える作業は交互に続いていく。

 

 唾液を贈るついでに彼に倣うようにして、彼の口内を蹂躙していく。彼の舌と絡み合い、舌に乗せられた唾液を味わい、歯列の凹凸を楽しむようになぞる。

 

 二人の舌によって奏でられる水音はお互いの頭を溶かし、更に良い音を奏でようと深く繋がる。呼吸、水音、手を握り直して肌が擦れる音。その全てが二人の事を祝う音楽と化す。

 

 今度は限界を迎える前に二人は口づけを終える。透明な橋をかけながら離れていく二人の目は、一つになれた幸福感に蕩けていた。

 

「AR-15……」

 

 指揮官はAR-15の肩に手を置き、力を込める。AR-15は彼の力に流される様にしてベッドに倒れ込む。

 

「指揮官……いえ、センパイ……?」

 

 制服を着ているからかどちらで呼ぼうか迷いがあるらしい。

 

「どっちでもいいさ」

 

 そんな風に雰囲気を作ってくれるAR-15に指揮官はどっちでもいいと微笑みかける。どちらで呼ぼうとも、彼にとってはAR-15から特別な呼び名で呼んで貰っていることには変わりないのだから。

 

「でしたら――」

 

 AR-15は瞳を閉じて逡巡すると、

 

「あなた、で」

 

 新たなる選択肢を提示しながら、顔を綻ばせた。

 

「ありがとう」

 

 指揮官や、センパイと呼ばれるよりも特別な呼び名。今の彼にとって正解以上の選択肢を彼女は提示した。だから、彼は自然と許可では無く感謝の言葉が口に出た。君の特別にしてくれてありがとうと。

 

「んっ……」

 

 言葉では言い表せない感謝の念を唇に乗せて送る。先程までのお互いの奥の奥まで求め合う様な激しいものでは無く、重ね合うだけの優しい口づけを。

 

「もっと、あなたをください……!」

 

 口付けを止めるとAR-15は口付けだけでなく、もっと彼の事が欲しいと両手を広げて訴える。その姿はまるでおんぶをねだる子供の様。

 

「ああ、わかったよ」

 

 彼女の求めに短く応じると、彼女のワイシャツのボタンを下のボタンから一つずつ外していく。可愛らしいおへそが露わになり、続けてみぞおちと、彼女の上半身を構成するパーツが露わになっていく。

 

「じょ、上手ですね……。その……他人のボタンを留めたり外したりするのは難しいとよく聞くので……」

 

 何か言葉にしないと、恥ずかしさで今の自分を保っていられそうにない。だから、AR-15は思い浮かんだことを口にする。

 

「ん?そうか、大して変わらんとおもうけど」

 

「もしかして、昔に他人のボタンを外した経験が――」

 

 ジッとAR-15は指揮官の事をわざとらしく睨みつけると、彼は顔を引きつらせながら答える。AR-15には彼の答えはわかっているけれど。

 

「そんな経験あるか!」

 

「ふふっ、知ってます。指揮官の胸の高鳴りは嘘とは思えませんから」

 

 彼が抱きしめてくれた時に聞き取れた胸の高鳴りは嘘をつけない、人間は自分の内臓のコントロールは自分の思うように出来ないから。

 

 それに、今のAR-15は嫉妬に駆られる事はもうない。彼の事を心の底から信じ、全てを委ねているのだから。

 

 指揮官のボタンを解く指が、AR-15の胸元に到達する。

 

「あっ……」

 

 彼の指が服越しに触れる度に、触られた箇所に微弱な電流が流れ、彼女の身体を巡る。

 

 彼の指が胸元のボタンを外し、彼女の胸が露わになる。軽口で覆い隠していた緊張感が再び表に出ようとしてくる。プラスチックと布が擦れる音が止み、彼女の身体の正中線が露わになる。全てが露わになったわけでは無い。でも、これから全てを彼に曝け出すのだ。

 

 そう思った瞬間、期待と緊張で疑似汗腺から汗が噴き出る。羞恥に炙られた体を冷やすために。

 

 だけれども、それで冷えるのは身体だけで、心は冷えることは無い。その証拠に、彼女の顔は湯気が出そうな位に真っ赤になっている。

 

「あ、あなた……見ないで……!」

 

 さっきまでは、彼に全てを見せる決意を固めていた。でも、羞恥や緊張感とはいつ、いかなる時に湧いて出るかは本人にもわからぬモノなのだ。羞恥に負けたAR-15はボタンを解かれたワイシャツを掴み胸元を覆い隠す。

 

 指揮官と言えば、彼女の肌が露わになっていくたびに彼女の芸術品の様な肌に惚れ惚れし全てのボタンを外して露わになった正中線に息を飲んでいた。当たり前だが損傷を追うたびに修復しているので当たり前だと言われるかも知れないが、月灯りを弾く彼女の肌が、祖母が存命中の頃に見せてくれたロマンス映画に出てくる白い砂浜のように美しかったから。

 

 ――ああ、また一つ。彼女が好きな理由が増えてしまった

 

 そんな事を想っていたら、突如羞恥が甦ったAR-15に折角開いた前を閉じられてしまった。

 

 中々見れないAR-15の恥じらい姿は何とも可愛らしい。羞恥に頬を染めつつも、何とかそれを収めようとして、自分とワイシャツを掴んだ手を視線が行き来する葛藤する姿が何とも意地らしい。

 

 AR-15の全てをこの目で見たい。でも、彼女の意志に反して無理矢理はしたく無い。

 

 だから、指揮官は彼女と口づけを交わす。

 

「んんっ……」

 

 震える手で胸元を押さえる彼女の頭を撫でて、大丈夫だと、自分は待つと唇越しに想いを伝えて、また離れる。

 

「あっ……」

 

 AR-15が名残惜しそうな声をあげるので、指揮官は一度微笑みかける。もう一度しようかと。

 

「んっ……」

 

 AR-15は胸元を抑える力を弱めつつも、瞳を閉じて顔を上げる事で催促する。私に勇気を分けて欲しいと。

 

 彼女の催促を受け取った彼は、もう一度彼女の潤いを帯びた唇に自らのそれを重ねる。

 

 それから、更に一度、またもう一度と催促され、それに応えて重ねるうちにAR-15がワイシャツを握る手が弱まり、もはや手を置いているだけになった。

 

「ありがとうございます指揮官」

 

 相変わらず彼女の顔は火照ったままだが、彼女の浮かべる微笑みには緊張は見て取れない。

 

「どういたしまして」

 

 彼からの礼を受け取ったAR-15は、彼から与えられた勇気に報いるように自分のワイシャツを掴むと、

 

「ど、どうぞ……」

 

 緊張に震えた手でワイシャツを広げ、スラリとしたシルエットの上半身を露わにした。

 

 彼女の整った裸体を目にした瞬間、指揮官は思わず息を飲んだ。

 

 くびれた腰、可愛らしい小さなおへそ、なだらかな胸の中心にある小さな果実、汗で色香を漂わせる白い砂浜のような汚れを知らない肌。

 

 芸術品のように整ったそれらが、指揮官の視線を釘付けにして離さない。

 

「ど、どうでしょうか……。胸に関しては私より背の低いSOPⅡよりも小さいので……余り魅力的では無いかも知れませんが……」

 

 消え入るような声で言うAR-15。彼女が主に所属するAR小隊は確かに胸の大きなモデルが多い。その事を彼女も密かに気にしていたのかもしれない。

 

 しかし指揮官には関係ない。だって、彼が好きなのはAR-15で、彼はAR-15の体型に釘付けになってしまっているのだから。

 

「あなた……?」

 

 不安の波風が立つ海色のAR-15の瞳。彼女の掻き消えそうな声と緊張と不安で波打つ彼女の瞳に気づいて、やっと指揮官は呼吸を再開し、

 

「綺麗だ……」

 

 ただ一言、たったそれだけの褒め言葉を伝えた。

 

「嬉しいです……」

 

 その言葉でAR-15も安心感を得て、自然と口角を持ち上げる。彼が発したのはたった一言。だけれども、その一言に彼の伝えたかった全てが詰まっていることを彼女は感じ取ったから。

 

 指揮官の指先はAR-15のなだらかな胸に触れる。今更ながら彼女がブラの類をつけてないことに気付いたが、その事を聞く心の余裕は無く、彼女の胸に触れたいと言う探求心が勝った。

 

「あっ……」

 

 僅かに膨らん彼女の胸は、はっきりとした柔らかさを彼の指に伝える。指で押すたびに返す焼きたてのパンのような柔らかさと弾力は指揮官を虜にするには十分なもの。

 

 過激なスキンシップによって胸を腕に触れさせられたりと言うのは何度かあったが、自身の意志で胸を触った事は無いため、その柔らかさに感動していたのだ。

 

 指揮官は触診でもするかのように彼女の胸を指先で堪能する。

 

「んんっ……あっ……」

 

 じっくりと体に快感を馴染ませるような刺激に、AR-15は体を震わせ小さく声を漏らす。

 

「んっ……あなたは……私の胸が好きですか……?」

 

「なんで、そんなことを聞くんだ?」

 

「私は……あまり大きくは無いので……。それに、大きい方が男性は喜ぶと聞きますし……あんっ!」

 

 彼女が一際大きな声をあげたのは、指揮官が胸の突起を突如摘んだから。AR-15の背筋に性感が奔り、それ以上の言葉は出ない。

 

 指揮官はAR-15の柔らかい突起を指先で弾く。

 

 その度に、「んっ!やぁっ!」と大きな嬌声を上げるのがなんとも楽しい。

 

「確かに世の男は大きな胸の方が好きかも知れないが、俺はAR-15の胸が好きだよ。他の胸はちゃんと見た事すらないし、触った事も無い。だから、俺はAR-15以上の最高の胸は知らないよ。だから、俺はAR-15の胸は好きだよ」

 

「あっん……!そんなのっ!ズルいですっ!やっ……!そんなこと誰にでも言えるでしょうに……!」

 

 敏感な突起を摘むたび、AR-15の身体は小さく跳ね指揮官から与えられる刺激を受け止める。だけれど、彼女の目は大人しく快楽を受け入れようとする目では無い。もっと特別な言葉が欲しいと訴えている。

 

 指揮官はAR-15の敏感な突起を片方は弾く様に、もう片方は強く摘んでそれぞれ違う刺激を与えながら、イヤイヤと頭を振りながら彼を睨む彼女へ、その言葉を贈った真意を伝える。

 

「そうかも、しれないな……。だけれど、誰にでもいえる言葉を、AR-15にしか言わないとすれば、誰でも言える言葉じゃなくなるだろ?」

 

 何処か誇らしげに目を細める指揮官。誰にでも言える言葉を、最愛の一人にしか言わないと言う表明。それは回りくどい、特別な言葉を贈ったと言う意味。

 

 だから、だからこそだろう。ただ単にAR-15の身体を好きだと言ったのは。だって、彼にとって彼女は特別でない特別な言葉を贈るに相応しい存在なのだから。

 

 それと同時に彼の手が、愛撫によって硬さを増したAR-15の敏感な突起を同時に摘む。

 

「あっ、ああ!!あなた!!あ、あなたっ!!」

 

 壊れたようにあなたと呼ぶAR-15。彼女は彼からの特別な言葉と、鋭敏な刺激に耐え切れなくなって、自分一人だけが幸せな気分になるのが勿体なくて、何よりも息苦しくなって――彼の唇から出る酸素を求めて自分から口づけた。

 

「んんっ!ちゅうっ!じゅるる……!ふぅ……!」

 

 舌を交えはしたなく唾液を零しながら二人は奥の奥まで繋がる。言葉では伝えきれない想いを再び伝える為に。歯列をなぞったりも、唾液を送りあうことは今回はしない。ただただ口付ける角度を変えて、お互いに深く深く繋がれるように、心の奥底も交わるようにとAR-15は必死に舌を伸ばす。

 

 ――私はとても幸せです。あなたの特別になれて……

 

 互いに息が続かなくなるまで口づけをしたせいで視界が涙で歪む。でも、それは決して不快な事では無い。この曇ったフィルムは、幸福の証だから。

 

 唇を離すとAR-15は指揮官の顔を視界に収めて自然と微笑む。特別な彼が目の間に居てくれる幸福に。

 

 しかし、彼は優しいだけの人間では無い。彼は好奇心の人なのだ。それこそ、AR-15に飲酒を勧めた時の様に。それに、彼の紳士の皮はもうすでにボロボロになって今か今かと鎌首をもたげている。

 

 深いキスで息を荒くしたAR-15の整った貌。大きく息をする事で膨らむ胸。汗で彩られた肌。今以上の刺激を期待して、彼の脚に絡む彼女のしなやかな脚。何よりも彼を誘うのは、熱に浮かされた顔で幸せそうに微笑む姿。

 

 今まではリードしよう、AR-15の緊張をときほぐそう。その思いだけで、何とか理性を保っていた彼であったが、その箍が完全に外れようとしていた。

 

「ごめんAR-15……」

 

 とってつけたような謝罪の言葉。彼女の身体を、彼女の全てを求めようとする獣欲を抑えて発した言葉はそれが限界だった。

 

 自分の浴衣の帯を解き、即座に脱ぎ捨ててパンツだけになった指揮官。彼の身体には火が付き、このまま衣服をまとったままだと、熱中症になって倒れてしまいそうだったから。

 

「あなた……」

 

 彼のパンツがテントを張っているのをAR-15は見てしまった。それと同時に実感した。自分の身体で、彼は確かに満足しているのだと。

 

 指揮官は、AR-15の黒いスカートの中に手を入れ、スカートとシーツにも染みが出来る位に濡れた純白の下着に指を置き、彼女の秘裂をなぞる。

 

 指揮官は何とか一欠けらの理性を動員して、彼女の身体を解そうとしている。

 

「んんぅ!やあっ……!はあぁ!」

 

 下着越しになぞられて尚、水音を立てる彼女の秘裂からは、先程胸を触られた時とは比べ物にならない程の快楽が駆け巡る。

 

 そのままゆっくりと、彼女の身体を刺激に慣らしてあげたいと指揮官は思っていたが、そこまで冷静な思考は残っておらず、彼女の下着をズラし、人差し指を彼女の秘裂に侵入させた。

 

「ああっ……、はあああっ!」

 

 突然の刺激に腰を跳ねさせるAR-15。指揮官はそんなのお構いなしと、彼女から溢れ出る愛液を指に纏わせながら奥へ奥へと突き進む。

 

 精巧につくられた彼女の秘裂は、彼からの指を迎え入れるように抱擁し、そのまま離すまいと引っ付いてくる。そんなに歓迎してくれるのならばと、指揮官は指をもう一本増やし、彼女の秘裂へと忍び込ませる。

 

 一度、彼の男性器を咥えこんだことのAR-15の秘裂は歓迎するように日本の指に絡み、奥へ奥へと自分から促してくる。

 

 手厚い歓迎をする秘裂から指を抜こうとすると彼女の中は切なそうに脈動し、再び中に指を押し込むと帰還を喜ぶように迎え入れる。

 

「やっあ!あなた……、これ……、ひゃあっ!あなた、あっ!あああっ!」

 

 彼から与えられる刺激は秘所だけには収まらない。彼はAR-15の胸を舌で舐めたかと思うと、そのまま敏感な突起に吸い付き、舌で彼女の突起を味わおうとしてくるのだ。

 

「あっ、んん……!わたし、はぁっ!わたし……!あなた……」

 

 AR-15が息も絶え絶えになりながら何かを伝えようとしてくる。秘裂の中を動き回り中をくすぐる指、大きく乳首をなぞり、舐め、時には吸い付いてくる彼の舌と唇。

 

 強烈な二つの刺激で、AR-15の身体は限界を迎えようとしていた。だから、彼女は言葉より行動で示すことにしたのだ。自分のことを気持ちよくしてくれる彼を抱きしめる形で、彼から伝わってくる愛を返そうと。

 

 AR-15の震えが大きくなる。彼の指は激しさを増し、彼女から分泌される粘液を掻きだすかのようで、彼の吸い付いてくる強さは母乳を求めているかのよう。

 

 彼の頭を慈しむように撫でていると、AR-15にも限界が訪れてきた。

 

「あなたっ……!んんんんん!!!!!!」

 

 彼が与えてくれた激しい秘裂の愛撫と乳首を唇で挟まれる強烈な刺激で、AR-15は大きく体を震わせて絶頂を迎えた。

 

 AR-15は真っ白な視界の中で腕を持ち上げて宙に曝す。まるで何かを求めているかのように。

 

 自分の中の獣の昂ぶりが一時的に収まった指揮官は彼女の手を即座に握る。

 

「温かい……」

 

 胸を大きく膨らませて呼吸をする彼女は、彼の手に安心感を覚えて微笑む。

 

 AR-15は手を握られるのが好きなのだ。それは、指揮官と誓約してからの生活をずっと自分にとっての都合がいい夢のように感じていたから。だから、彼はAR-15の手を握りながらこう伝えたのだ『夢の世界にこの体温は持っていけない。だから、この体温を感じれているのなら、それは夢の中の出来事でない』と。

 

 その言葉が彼女にはとても響いた様で、ことあるごとに彼の手を握るようになった。キスよりも抱擁よりも手を繋ぐこと。手を繋いでその暖かさを感じ取る事が、彼女にとっての大きな安心材料だから。

 

 AR-15は指揮官の大きな手を握り返す。

 

「夢じゃないんですね……」

 

「ああ、夢じゃない……。現実だよ」

 

「ええ、現実です。これからもっと幸せになっていく、現実です」

 

 AR-15の視線は、大きくテントを張る彼のパンツへと向けられる。その目は、これからの事への期待に満ちていて、蕩け落ちてしまいそうだった。

 

 一度理性が戻った時点で指揮官は、初めてちゃんとした性行為で疲弊しているAR-15の状態を考えて、今はここまでにする事も検討したが、それは余計なお節介になろうとしていた。

 

「……いいのか?」

 

 獣からの最後の警告。それは、AR-15を想っての言葉でもあり、自分の箍が外れてないか確認する為の言葉。

 

 AR-15は息を整えて、黒いスカートのホックを外して脱ぎ去る。スカートが無くなって現れたのは、ピンクのリボンがついた純白のショーツとショーツのクロッチをズラされる形で露わになった濡れそぼった彼女の秘裂。

 

 艶めかしい彼女の秘裂に、指揮官は生唾を飲み込む。

 

 彼の飢えた獣のような視線を確認したAR-15は満足そうに微笑む。

 

「いいです指揮官……。私をもっと求めてください……」

 

 愛しい人からの求められる言葉。その言葉で指揮官の理性は最後の枷が砕け散った。

 

 彼は荒々しくパンツを脱ぐ。露わになったのは、パンツを穿いていても凶暴さを隠せなかった剛直が天を貫かんとばかりにそそり立っている。

 

 その大きさは、AR-15が指揮官に対して逆レイプをしかけた時よりも一回りも二回りも大きい。あの時はアルコールが入っていたから完全では無かったのか、或いは彼女の身体と愛撫で高ぶったのか――いや、その両方だろうとAR-15は感じ取る。これこそが、本来の彼の剛直なのだろうと、不思議と直感でわかった。

 

「んっ……」

 

 指揮官はAR-15の腰を掴むと、剛直の先端の狙いをAR-15の秘裂に合わせ、慣らす様に先端を当てる。

 

 それすらも今の彼女にとってはじれったい。今すぐにでも彼と一つになりたい。自分の全てを彼に捧げたい。

 

 AR-15は腰に添えられた指揮官の手を掴むと、妖艶に微笑む。

 

「あなたをください」

 

 その言葉が、二人が一つになる為の合図となり、彼の剛直がAR-15の身体を貫いた。

 

「はあああっ……!!」

 

 それだけで、AR-15の身体は仰け反り、大きく震える。彼のモノを受け入れた。それだけで、AR-15は一度達してしまった。

 

 一度彼の剛直を受け入れたAR-15ではあったが、その時よりも圧迫感は強い。まるで、自分の秘裂が彼専用のモノへとモデルチェンジをしていくかのよう。

 

「ぐっ……動くぞ……」

 

「もっと……もっと……来てください!」

 

 対する指揮官も、限界が近かった。彼女の迎えいれるような秘所は指揮官のモノをいますぐにと言わんばかりに欲していて、少し動くだけでも自分の欲望の全てを吐き出してしまいそうだったから。

 

 指揮官の剛直をAR-15の秘所が締め付ける。その度に指揮官は堪えるような声をあげる。彼にも意地がある。最後を迎えるならAR-15と一緒にと言う意地が。

 

「あっ、はぁ……!あんんっ!あなたぁ!あなたぁ!!」

 

 AR-15は感情の処理に追われていた。今まで感じた事の無い幸福感の処理に。快楽の処理も、性感の処理も、言語処理も、映像処理も、全て全て追いつかない。追いつかない代わりに彼女の感情モジュールから一つの結論が下される。それは自分が幸せだという演算結果。STAR-15と言う戦術人形は指揮官の特別に、一つになれて幸せだと言う答えを。

 

 彼女の瞳から雨が零れる。それは恵みの雨。二人のこれからを祝福する幸福の涙。

 

 指揮官は腰の動きを速めつつも、AR-15の手を取る。最後の時まで、いやこれからもずっと一緒だと、彼の目が語り掛けてくれている。

 

 その優しさが、AR-15の涙腺を温めるから雨が降りやむことを許してくれない。

 

「あなた……!」

 

「AR-15!」

 

 二人は自ずと唇を重ねる。自分の全てを相手に捧げるような激しいそれでは無く。今、この時の幸せを共有するための優しい口づけを。

 

 このまま永遠に時間が止まってしまえばいいのにAR-15は思った。そうしたら、幸せなままずっと居られるから。でも、それでは駄目だとすぐに否定した。それ以上の幸せがこれから先に待っているかもしれないから。

 

 唇を離すと、二人は視線を交わして、お互いに手を握る。

 

 指揮官からの抽挿のペースが早まり、AR-15に限界が訪れることを知らせる。彼女は彼の手を握りしめる形で彼に伝える。

 

 ――来てください。あなたを感じさせてください

 

「あぁ!AR-15!!」

 

「あなたっ!――――ッッッあああああああ!!!!」

 

 指揮官が雄叫びをあげるように彼女の名前を呼ぶのと同時に、AR-15は彼の剛直を強く強く抱きしめて、彼からの所有印を自分の最奥に受領した。

 

 

 

 

 

 

 その後、限界を迎えて息を荒げる指揮官にAR-15がまたがる形で何度も何度も交わった。それこそ、頂点に合った月が45度の傾きになるまで、AR-15は本来の彼の剛直を堪能したのであった。

 

 体の水分と言う水分が抜けて、しなびかけてる指揮官にAR-15は口移しで水分を補給させてあげる。そのままAR-15の中のスイッチが入ってしまい、更なる延長ラウンドが加算されたのはここだけの秘密である。

 

 延長ランドも終わり、AR-15は訓練によって程よい筋肉がつけられた指揮官の腕を枕代わりにしてベッドで横になる。ベッドのシーツは、お互いの汗やらAR-15の愛液やら、指揮官の精液やらの滲み祭りとなっているのだが、情事の後の倦怠感に包まれた二人は、明日の自分達にまかせることにした。

 

 彼の腕を枕代わりにして猫のように目を細めて堪能していたAR-15だが、ふと思い至ったように彼の顔を見上げた。

 

「あなた」

 

「うん?」

 

「なんで私を選んだのですか?」

 

 それはずっと抱いていた疑問。AR-15は誰にも負けるつもりは無い、と彼との誓約した時に公言したが、彼女から見ても魅力的な戦術人形や高機能な戦術人形は多数いる。様々な魅力が溢れる他の戦術人形を差し置いて、何故自分が選ばれたのか、気になっていた。

 

 指揮官は、彼女からの問いかけに気恥ずかしそうに頬を掻く。

 

「選んだ理由か……。それはAR-15の事が好きだから、かな?」

 

「そ、そうかもしれませんけど……。じゃあ、私を好きになった理由は何ですか?」

 

 AR-15は照れはしたが、それだけでは納得しきってくれない様子。指揮官が困った様に目を逸らすと、少しずつ言葉を捻り出す。

 

「好きになった理由、か。AR-15が影ながらの努力家であるところとか、冷静に皆を導こうとしてくれるところとか、嫉妬している所が痛いけど可愛らしいとか、負けず嫌いでそれこそ――」

 

「い、一番の理由はなんですか!?」

 

「一番か……。それは、AR-15がサクラの花に似てるから、かな」

 

「サクラ、ですか?」

 

「そう、サクラ。私の持ってる武器に刻んであるエンブレムがあるだろ?あれがサクラなんだ」

 

 指揮官は滅多に武器を出さない。それもその筈、彼はメインの戦闘要員では無い。だから、そもそも指揮官がグリフィンから支給された武器では無く、彼が祖父から譲り受けたと言う武器がある事を知っている戦術人形自体が殆どいない。

 

 AR-15とて、彼と同棲するようになって初めて知ったのだ。彼は家族の事が好きだ。だから、家族から譲り受けたものに傷をつけるような事をしたく無いのだろう。もっとも彼は自分の武器を隠していた理由を『銃が旧世代でメンテナンス方法がよくわからないし、それでバカにされたくないから』と誤魔化していたが。素直に言わないのが、なんとも彼らしいといった所だろう。

 

 彼の武器には花のエンブレムが刻まれている。Vの字に先が切れた五枚の花弁の花びらのエンブレム。あの花がサクラだと言う。

 

「あの花は、AR-15の髪みたいな綺麗な桃色の花なんだ。まぁ、私も祖父の持つ写真とかの資料でしか見たこと無いんだが」

 

「その花に私が似てるから、私を選んだのですか?」

 

「理由の一つだけどな。サクラは一番好きな花だから。それに、AR-15によく似合ってる花だからさ」

 

「一度も本物を見た事が無いのに?」

 

「そう。一度も見た事も無いけどな」

 

「私は高嶺の花と」

 

「いや、そんなつもりじゃ……」

 

「ふふっ冗談です」

 

 AR-15は指揮官の身体を抱きしめる。自分の好きな所と、選んでくれた理由を教えてくれてありがとうと礼を伝えるように。

 

 本当はもっと理由があるのだろう。いっぱいいっぱい好きになった理由を伝えたかったのだろう。そんな中で、一番の理由が好きな花に似ているからと言うのは流石に予想外ではあったが。

 

 だからこそ、AR-15は興味を持った。彼の語るサクラの花のことが。

 

「あなた」

 

「なんだ?」

 

「仕事が落ち着いたら、一緒にサクラを探してみませんか?」

 

「サクラを?滅んだ極東の国にしかないと聞いたが……」

 

「もしかしたら、それと似たのがあるかもしれません。指揮官が好きな花なんだもの。絶対にどこかに残ってる筈」

 

「……そう言って貰えると、探す勇気が出てくるな」

 

「ええ、探しましょう。一緒に。指揮官が好きな花に似てると言ってくれたんですから。それに」

 

「それに?」

 

「サクラと私、どっちが綺麗なのか、決めて貰わないと」

 

「……ははは」

 

 AR-15は花にまでしっとするのかと心の片隅で冗談交じりに想いながら、彼女の身体を抱きしめ返す。

 

 一緒に探してくると言ってくれてありがとうと。幻のモノだと決めつけて諦めていた中で、希望を与えてありがとうと。

 

「探すか、一緒に」

 

「探しましょう、一緒に」

 

 二人は再び視線を交わし、自然と微笑み合い、どちらからともなく唇を重ねる。

 

「大好きです。あなたを慕っています、あなた」

 

「大好きだ。君を愛するよ、AR-15」

 

 微笑みを向けあう二人の影を、地平線へと向かう月の光が祝福していた。




「お父さん」

「お前か」

「あの子、相手を決めたいだね」

「全く、PMCなぞやると思ったら、人形と婚約か。全く考えが読めんな」

「ははっ。時代の流れってやつだよ。」

「……わからんものだな」

「あの子もやっと性的な被害に困ることは無いんじゃないかな」

「……俺達の一族の男は、昔から結婚するまで悩まされることだからな」

「ははっ、だね。僕も悩まされたなー」

「お前はお人好しが過ぎる。だから襲われるんだ」

「お父さん、お父さんも人のこと言えないんじゃないかな?」

「…………」

「でも、それは結婚するとぱたっと収まるんだよね。結婚て偉大だね」

「本当に、今まで何だったのかと思う位にな……」

「でもさ。僕、心配事があるんだよ。それはさ、人形とは何人と婚約しても問題ないってこと。だからあの子のことを諦めない子ってまだまだ居そうだなーって僕は思ったんだけど」

「……それ以上を考えるのはやめるか」

「……だね。……うん。飲もうかお父さん……」

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