灯りを消した薄暗い自室。十人ほどが横になれる大きさのベッドで、俺は一人の美女を犯していた。柔らかいベッドに両膝を突き、腰を乱暴に前後させる。そうすることで、俺の前で四つん這いになる褐色肌の美女は三つ編みにした長い赤髪を揺らし、俺の肉棒を狭い膣内で受け止めた。
「あっ、あんっ、あっ、ジロウ様ぁ……!」
頭に赤い犬耳を生やした人型の美女、ルプスレギナ・ベータは甘い声を上げて俺へと振り向いた。整ったその顔には活発的な明るさを感じさせる普段の笑顔ではなく、見る者に妖艶さを抱かせる笑みを浮かべていた。宝石のように黄色く輝くような瞳には情欲の色が湛えられ、ただの人ではない俺の姿を映し出していた。
ルプスレギナの瞳に映るのは、漆黒の厚い体毛に覆われた狼と人間を混ぜ合わせたかのような異形の姿だった。細く鋭い目の内側には血のような赤い瞳が煌々と輝いている。開かれた長い口からは生え揃った鋭い牙が見えていて、唾液を滴らせる長く赤い舌も窺えた。
記憶にある姿とは違う、変わり果ててしまった自分の姿。しかし、今はそのようなことに思考を費やしている暇はない。考えるよりもまず欲望を優先し、股間で怒張する肉の槍のような性器で膣を穿つ。
「ん、はぁっ……!」
子宮にごりっと亀頭が押しつけられ、ルプスレギナがまた鳴いた。俺はその声に欲望を煽られ、ルプスレギナの括れた腰を掴みながら必死に腰を振る。もっと鳴かせたい。その一身で行った腰遣いは、犬の交尾のように荒々しかった。
「はっ、はっ、はっ……!」
荒い呼吸を繰り返し、ただひたすら美女と繋がり合う。夢のような時間。膣内で締め上げられた肉棒が膨張し、膣壁をごりごりと擦りながら子宮へと亀頭を思い切り押しつけたときだった。
ぶるりと全身が震えるほどの快楽。それは股間を中心にして波のように襲う。とてもではないが抗うことはできない。俺は強烈なその快感に身を委ね、股間の奥底から湧き上がってきた欲望の塊を解放した。
欲望の向かう先は、ルプスレギナの子宮だ。
どびゅるるるっ、ごびゅびゅびゅっ、ぶびゅるるるっ、びゅるーっ、どびゅーっ。
「あ、んんっ――!? あっ、はぁっ……!」
俺へと綺麗な尻を向けたまま前を向き、傷一つない背中を仰け反らせた。気持ち良さそうな声が漏れ、俺の耳に届いた。その声にまた肉欲を刺激させられ、俺は大量の子種を子宮にまき散らした。
あり得ない。こんなに気持ちいいことは知らない。俺は体を倒し、ルプスレギナの背中に抱き着く。回した両手で鷲掴むのはルプスレギナの豊満な胸。頂きに綺麗な桜色の頂を咲かせる褐色の豊かな丸みに指を沈ませる。
そうしながら、伸ばした赤い舌。それは再び後ろを向いたルプスレギナの口内で受け止められる。歯も歯茎も頬の内側も、全て俺の舌に付着した唾液で濡れていく。それに満足しつつも俺は口づけを止められず、俺に対して従順なルプスレギナの中に大量の唾液を注ぎ込んだ。
数分間も続いた長い射精によって、ルプスレギナの腹は妊婦のように膨らんでいた。俺の精液が子宮を満たし、内側から広げたためだ。出産間近の赤子一人いてもおかしくはないと思える大きさのボテ腹に、俺は満足感を覚えて笑みを浮かべた。
最高だ。射精に伴う欲望の発散によってわずかながら戻った理性の光。俺はルプスレギナに抱き着いて胸を揉みしだきながらここに至るまでの経緯を思い出す。
数時間前まで、俺はこことは違う別の世界にいた。その世界というのは俺が生きてきた現実の世界だ。自然は荒廃し、人工的な建造物だけが土地を支配する枯れた惑星。汚染されて有毒物質が含まれた大気によって、空すらまともに拝むことのできない陰惨な世界だ。
そんな世界で俺は会社員として、低賃金の長時間労働に身を浸していた。仕事で失態を犯して上司に怒鳴られ、それを挽回するために労働時間は嵩み、また別の失敗を起こしてしまうという負の連鎖。
いつになれば解放されるのか。粘度の高い泥の中を暗中模索するような、息苦しく、先行き不透明な日々。いっそ死んでしまえばどれだけ楽になれるのかと思ったことは数知れず。かと言って死ぬこともできずに日々を過ごしていた。
明日もこんな日々が続くのだろう、と休憩を含めた長いトイレ休憩から職場へと戻ったときのことだ。ビル内の廊下を歩いていると、突然眩暈を覚えた。歩いていることもままならない虚脱感と嫌悪感。俺は近くの壁に体をぶつけるように預け、そのまま壁に沿うようにして倒れ込んだ。
吐き気と強烈な頭痛に襲われ、俺は床の隅に蹲ってもがいた。この気持ちの悪さからいったいどうすれば解放されるのか。脂汗を掻きながら苦しみに耐え続けた俺だったが、どうやら誰の助けも来ないまま俺は気を失ったようだった。
次に目を覚ましたときには、俺の肉体も取り巻く環境も激変していた。起きた場所は柔らかいベッドの上。広く豪華絢爛な寝室にあった鏡には、犬に似た黒い耳を生やした黒髪の男が映っていた。野性味溢れる整った顔と、漆黒の改造ジャケットに身を包んだ筋肉質な肉体には覚えがあった。
現実に生きていた俺がもう一つの現実と認識していた世界。ゲーム『
北欧神話を舞台にした複数の世界を冒険し、未知を求める作品に己の分身として生み出した存在。それが、
つまり俺は、自作キャラクターとして目を覚ましたということだ。しかも、目を覚ました場所は俺が所属していたギルド、『アインズ・ウール・ゴウン』の拠点である『ナザリック地下大墳墓』。全十階層で構成されるうちの九階層に存在する自室だった。
目覚めた直後はただ困惑していた。自宅に帰って専用のゲーム機材を装着したわけでもないのに、どうしてゲームの世界にいるのか。俺は職場で気を失ったはずだ。意識が遠ざかる瞬間まで明確に覚えているが故に、突然ゲームの世界にやって来た経緯が理解できなかった。
しかも、あり得ないことにゲームの世界からログアウトすることもできなかった。開けるはずのメニュー画面は開くことはないし、ゲームを運営している
しばらく自室を歩き回り、部屋の隅にあった姿鏡に身を映して己の姿を見つめ続けた。そして思考を続ける。仕事でもこれほど物事を考えたことはないと思えるほどに、頭を悩ませた。
しかし、答えは出なかった。元々大した頭脳を持っていないということもあったが、それにしたって今の状況は突拍子がなさ過ぎた。思考を放棄しないまでも、一時的に考えるのをやめても仕方がないと思える状況だ。
取り敢えず部屋を出て、各階層でも巡ってみようかと思った。
だけど、それは数分で頓挫することになるとは俺は思ってもみなかった。
自室を出て白亜の床に靴音を響かせ、第九階層からさらに地下へと続く階段へ。幅広い階段に敷かれた絨毯の柔らかさを感じて驚きつつ、そのまま降りていった先に見えた広間。ナザリックの最深部である第十階層。玉座へと至る途中の道の脇に、頭を下げた数人の人影を捉えた。
その姿に俺は覚えがあった。一番手前にいたのは、白い髭を蓄えた老人。老人とは言っても体付きはしっかりとしていて、燕尾服を身に纏った体の背筋も真っ直ぐ伸びている。堀の深い顔には皺が浮かんでいるが、鋭い眼光を目にするとやはりただの老人とは思えない。
その老人の名前はセバス。俺と同じくギルドに所属している仲間が一から作り出した存在。その横に立ち並び、俺を目にしたセバスと同時に頭を下げたメイド服姿の美女たちもまた、仲間たちが作り出した
仲間の作った子どものような存在を見て、どういう名前だったか、製作者は誰だったかを思い出そうとしたとき、俺の目は黒い帽子を被った赤髪の美女を捉えた瞬間、理性を失った。
何が起きたのか。俺にはわからなかった。ただ、自分とよく似た匂いのような何かを感じ取り、強烈な肉欲に中てられたのだという認識を抱いた。
気がつくと、俺は赤髪の美女、ルプスレギナを自室に連れ込んで犯していた。自分と同種族の人狼であるルプスレギナに欲情したのだろうか。ここがゲームの世界であることも、普通のゲーム世界ならば十八禁行為はただちに罰則されることも意識せず、生じた原初の本能に従って犯し続けた。
それにしても、ここは本当にゲームの世界なのだろうか。俺と同じギルドに所属する、四十一人の仲間たちもこの世界にいるのか。わからないことが多すぎるというのに俺の頭は理性よりも欲望を優先した。ルプスレギナの膣内に挿入したまま肉棒がたちまち勃起し、再び膣内を征服する。それを感じ取ったルプスレギナは笑みを浮かべ、俺へと笑いかけた。
「ジロウ様……。どうぞ、お好きなだけお使いください……」
その言葉に、俺は抗うことはできなかった。今はとにかく欲望を発散させよう。そうしてから考えても遅くはないはず。そう決断した俺は、欲望を発散させるように大きく吠えた後、再び腰を動かし始めた。