※この作品はR-18です。

仮面ライダーフューリー   作:あまぞん特撮系物書き

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前回までのあらすじ

キョウスケは少年時代に実の母から虐待を受けていた。



理由は“自身を捨てた夫(キョウスケの父)に似てきたから”。
殴る蹴る、罵倒、食事を与えない等。心身ともに衰弱していたキョウスケだが、不思議と母の事は嫌いになれなかったという。


しかし、そんな地獄の日々もある日終わりを告げ。キョウスケは父の義兄弟のもとで一時ながら沢山の人に愛され幸せな日々を送る。


抗争に破れ、解散した父の義兄弟の組。
流れに流れ別の組の下っ端となったキョウスケはある日弟シンスケと再会する。


再会を喜び合う2人。
お互いの現状を話し合った2人は日を改めて再び会うことを約束した。


当日、弟シンスケはバスの事故に巻き込まれた。
現場に駆けつけたキョウスケはそれがディアーボルスの仕業であることを知る。



自身も襲われそうになるが、針ネズミ型に助けられ事なきを得る。
シンスケも無事だった。





だが、その2週間後。
シンスケは実母と義父と無理心中を謀った。












キョウスケの壮絶な過去に強い怒りと悲しみを覚えるカイト。
まるで自身の事のように怒り悲しむカイトの姿にキョウスケは自身の人生が少し救われたように感じた。



同時刻。
キョウスケの弟、シンスケが病室で目を覚ました。


第六話【決意】

ーーー翌日、午前10:00ーーー

シンスケの入院する病院は血の海と化していた。

医者も看護師も患者も.........死体となって辺り一面に転がっている。

 

 

そして、そんな“地獄絵図”とも言える空間に針ネズミにも似た化け物が1匹......。

鼻歌を歌い、ご機嫌な様子でまた1人また1人と病院内の人間を殺害していった。

 

 

 

化け物はその場にしゃごみ、床に転がる死体からむしり取った腕を1口かじる。

そして、こう呟いた。

『.....早く来ないかな~。兄ちゃん』

 

 

 

 

 

 

ーーー同時刻 志藤邸リビングーーー

 

『皆、集まったようだな』

サトミは言った。

 

『急遽予定変更だ。ターゲットはディアーボルス針ネズミ型 究極体』

 

『既にライダーに変身する事の出来るアキラ様,001,003には前線に出てもらう。他の者は前回同様後方で見ていろ』

 

 

 

 

『はい、質問』

ユウキが手を挙げてサトミに言った。

 

 

 

 

 

『何だ004』

サトミは返事をする。

 

 

 

 

『正直、私達が行く意味ってあるんですか? 何て言うか...その......戦えないし』

ユウキは恐る恐る言った。

 

『足手まといですよね...?』

 

 

 

 

 

 

『ぼっ...僕もそう思います』

サトルがキョドった様子で言った。

 

 

 

 

 

『そうよ...!! あんな思いはもう、ごめんだわ』

アヤカが強い口調で言う。

 

 

 

 

 

『志藤様のご命令だ。貴様らに拒否権は無い』

サトミは3人を睨み付けながら言った。

 

 

 

 

『...命令命令って。 あんた達いったい何様なのよ!!』

アスカは怒りを露にした。

 

 

 

 

 

『...人類の希望だ』

サトミは言った。

 

 

 

 

『はぁ! あんたふざけてるの? 全然答えになってないわ!』

アスカは強い口調で言った。

 

 

 

 

『お前達に答えてやる義理はない』

 

『ちなみに、ここから出たからといって自由の身にはなれないぞ』

 

『従わないなら殺しても構わない...政府から許可は降りている』

サトミは言った。

 

 

 

 

 

『殺しても構わない.........ですって?』

アスカは背筋が冷たくなるのを感じた。

 

 

 

 

 

『やっぱり...、あの高待遇には裏があったんだ』

ユウキは苦笑いしながら言った。

 

 

 

 

 

皆、黙ってしまった。

 

カイトは固唾を飲んだ。

...逃げたら殺されるんだ。

 

 

 

 

 

『なかなかクレイジーですね。さすがは志藤先生だ』

ハヤトだけ何だか余裕そうだ。

 

 

 

 

 

『...』

...こいつは随分と余裕だな。

サトミは思った。

 

『話を戻すぞ』

 

『場所は......来栖総合病院だ』

サトミは言った。

 

 

 

 

 

『来栖総合病院...!!』

キョウスケは驚いた。

 

 

 

 

『...!?』

カイトはキョウスケが急に大きな声を出したのでビクッとした。

 

『キョウスケ...さん?』

カイトは不思議そうに尋ねる。

 

 

 

 

 

『弟が、......シンスケが入院してんだよ』

キョウスケは冷や汗をかき、動揺している。

 

 

 

 

『そんな...!』

カイトは驚いた。

 

 

 

 

 

『おい 暴力女!! 患者は無事なのか!?』

 

『弟が...!! 弟が入院してんだよ‼』

キョウスケはサトミの両肩を掴みに必死に尋ねる。

 

 

 

 

『...!?』

『わからない...。通報後すぐに出動させた部隊との連絡もついていないくてな......』

 

『弟が入院していたのか。 気の毒だが......』

普段はクールなサトミもさすがにキョウスケを気の毒に思ったようで表情が曇る。

 

 

 

 

『...冗談じゃねぇ‼ 今すぐ連れてけ‼ 弟を......、シンスケ助けに行くんだよ‼』

キョウスケはサトミに懇願した。

 

 

 

 

 

『言われなくてもそのつもりだ。行くぞ』

サトミは少し動揺している。

 

 

 

 

するとリビングに部隊集団が次々と押し寄せユウキとサトルとアヤカを無理矢理ヘリへと連れていった。

 

 

 

 

 

 

『...待ってろよシンスケ』

キョウスケは拳をより強く握りしめる。

その目には覚悟のようなものが垣間見えた。

 

 

 

 

 

『キョウスケ君』

ハヤトはキョウスケに話しかけてきた。

『僕もライダーとして...、弟くんの救出に協力させてもらうよ』

 

『大丈夫。僕と坊っちゃんとカイト君が必ず弟君を助け出してみせる』

ハヤトはそんなキョウスケの肩をポンと叩いて優しく微笑んだ。

 

 

 

 

『お前...』

キョウスケはハッとした。

 

 

 

ーーー30分後 来栖総合病院に到着ーーー

あまりにも悲惨は現場に一同は言葉を失った。

『これは...』

サトミも思わず顔が曇る。

 

 

自動ドアには中の様子が全く伺えない程に血がべっとりと付着しており、やっと見つけた隙間からは複数の死体が見え隠れしていた。

老人、子供、成人男性、成人女性......。

 

 

我が子を庇おうとした結果なのだろうか、子供の死体に覆い被さった女性の死体はあまりにも無惨で思わず目を背けたくなる。

 

 

 

 

『坂本班は生存者を探せ!! 仁王班,藤咲班は我々と共にターゲットの討伐に向かう』

サトミは3人の武装した男女にそう指示した。

 

 

 

 

『了解』

優しそうな顔の男性は言った。

 

 

 

 

 

『....了解。 全く...、志藤さん家のご令嬢はお人使いが荒い』

無精髭を生やした酒臭い男性が気だるそうに言った。

 

 

 

 

 

『おい仁王!! そんな言い方ねーだろ‼』

髪の短いボーイッシュな女性が仁王に怒った。

 

 

 

 

『アキラ坊っちゃ~ん♥ 既にこちらにいらしてたんですね~♥』

ハヤトが手を振りながら嬉しそうにアキラに駆け寄っていった。

 

 

 

 

『...』

アキラはそんなハヤトを無視して自身だけ早々にライダーへと変身し、病院内へと入っていった。

 

昨夜、キョウスケが言っていた通り顔には傷1つ無かった。

 

 

 

 

『あっ...ちょっと待ってくださいよ~♥』

ハヤトもライダーに変身し、アキラの後を追うように病院内へと入っていった。

 

 

 

 

 

『...』

カイトはベルトを握りしめたままその様子をじっと見ていた。

...入りたくない。怖い。

 

 

 

 

 

『何をしている001。早く変身しろ』

サトミは言った。

 

 

 

 

『えっ...、あっ...その.........』

カイトは戸惑っている。

 

 

 

 

『無茶言っちゃいけませんよご令嬢。1度は変身出来たかも知れませんけど、それはきっとまぐれだ......こんなガキに戦えなんてあまりにも酷ですよ』

 

『ね~』

先程“仁王”と呼ばれていた男性がカイトの肩に手を回してきてバカにするようにそう言った。

 

『...死にたくなきゃ黙ってそこで見てな。こりゃあ“遊び”じゃねーんだよ』

その男性はカイトにそう耳打ちした。

 

 

 

 

 

『...!?』

カイトはハッとした。

 

 

 

 

 

 

『......シンスケ‼』

キョウスケは病院内へと走っていってしまった。

 

 

 

 

 

『待て007!!』

サトミは叫んだ。

 

『何をしている007を追え‼』

サトミは武装部隊に命令した。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

院内はどこも血の海で死体の山。

 

 

キョウスケは時折、死体につまづいたり血で滑って転びながら必死に弟を探し回った。

『シンスケ‼ ...いるなら返事してくれ‼』

 

 

 

キョウスケはシンスケの病室を開ける。

『...シンスケ‼』

 

 

そこにはシンスケの姿は無かった。

 

だが、不思議とその病室の一帯にだけ血も死体も見受けられなかった。

 

 

 

ーーー3階を捜索中のアキラとハヤトーーー

 

『いゃあ~。それにしても酷いありさまですね。どこもかしこも死体死体死体......』

ハヤトは辺りを見渡しながら言う。

 

『奴はどれだけ腹ペコだったんでしょうね。しかも、食べ方汚いし...。どんな教育を受けてきたんだか』

ハヤトは無惨に食い荒らされている1人の看護師の死体の前にしゃごみ、合掌した。

 

 

 

 

 

『...』

アキラも何か思うところがあるようで妊婦と思われる女性のお腹に布団をかけた。

 

 

『....サトミ。ターゲットの位置情報を教えてくれ』

アキラは無線機に向かってそう言った。

 

 

 

 

 

『B棟の屋上駐車場です』

無線機越しにサトミが言った。

 

 

 

 

 

『屋上か。......確かエレベータ使えないですもんね。じゃあ、階段かぁ...』

ハヤトは溜め息をついた。

 

 

 

 

 

『...』

アキラは窓ガラスを割ってそこから飛び降りた。

 

 

 

 

 

『ちょっ...!? アキラ坊っちゃん!?』

 

ハヤトは慌てて割れた窓ガラスから下を覗きこんだ。

だが、そこにアキラの姿は無くふいに上を見上げる。

 

 

 

そこには右手首に内蔵されたフックショットで屋上へと向かうアキラの姿があった。

 

 

『なるほど。その手がありましたね』

ハヤトもフックショットを使って屋上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

ーーー非常階段で屋上へと向かうサトミ達ーーー

 

カイトもその中に混じって屋上へと向かう。

あまりの恐怖に...もう帰りたい。 ...逃げ出してしまいたい。何度も思った。

 

 

 

そう思っているといつの間にか屋上に到着した。

 

 

 

 

...アキラさん‼

カイトはハッとした。

 

既にアキラとハヤトは戦闘を始めている。

 

 

 

 

 

『あーもう!! 針を逆立てるの禁止!!』

 

『僕の攻撃全然入んないんだけど‼』

ハヤトは悔しそうに地団駄を踏んだ。

 

 

 

 

 

アキラは天に無数の矢を放ちディアーボルス針ネズミ型の頭上に“矢の雨”を降らせる。

 

 

『おっと...! 危ないなぁ』

 

『はいこれ、お返し』

針ネズミ型は屈んだ体制でそれを耐えて逆に背中の無数の針を発射しアキラとハヤトに“針の雨を”降らせた。

 

 

 

 

全て自身の武器で跳ね返すアキラと地面に自身の武器を床に叩き込みその反動で針の威力を殺すハヤト。

 

 

 

 

 

『援護射撃を開始!! 打て!!』

サトミは武装部隊に命令した。

 

武装部隊は援護射撃を始めた。

 

 

 

 

『うわっ そっちからも来たの?』

 

『ちょっと~。邪魔しないでよ~』

射撃を受けた針ネズミ型は気だるげにそう言った。

 

 

『...!?』

そして、その武装部隊の切れ間からある人物の存在を発見し、突如嬉しそうに叫んだ。

『兄ちゃん...‼』

 

 

 

 

 

 

一瞬で武装部隊を全てなぎ倒し、その人物の前に立った針ネズミ型は変化を解除した。

 

『...会いたかった。兄ちゃん』

シンスケはその人物に優しく微笑んだ。

 

 

 

 

 

『...シンスケ!?』

キョウスケは驚いた。

 

その人物とはキョウスケの事だったのだ。

 

 

 

 

 

『...!!』

カイトはハッとした。

...あの化け物はシンスケ君だったの!

 

 

 

『...!!』

ハヤトはハッとした。

 

『...嘘でしょ』

ハヤトは戸惑っている。

 

 

 

 

『...』

アキラはただ黙ってそれを見ていた。

 

 

 

 

 

 

針ネズミ型の正体はシンスケだったのだ。

『会いたかったよ兄ちゃん‼ さぁ!一緒に家に帰ろう』

 

『もう兄ちゃんを虐めるあの女もいないんだ! これからは僕達2人で...』

シンスケは血塗れの両手でキョウスケの両手を取り笑顔でそう言った。

 

 

 

 

『....っ』

キョウスケは掴まれた両手を真っ青な顔をして見つめて黙ったままだ。

 

 

 

 

 

 

『...何で何も言ってくれないの?』

シンスケは上目遣いで言った。

 

 

『 僕、兄ちゃんの為にあの女を殺したんだよ? いつもいつも兄ちゃんを虐めていたあの女を』

『ねぇ 兄ちゃん褒めてよ。そうだ...、昔みたいに頭を撫でてよ』

 

『それにね...、もっとも~っと強くなる為に沢山人間も食べたんだ。これからは僕が兄ちゃんを守る』

シンスケはそう言ってキョウスケの右手を自身の頭に乗せようとした。

 

『だから...』

 

 

 

 

 

『....っ!?』

 

『やめろ...!!』

キョウスケはその手を振りほどいて数歩後退りした。

その顔は、恐怖に満ち溢れていた。

 

 

 

 

 

 

『なんで逃げるの...? 全部兄ちゃんの為なのに...』

シンスケは悲しそうな表情で言った。

 

『あの時の僕は弱かったから兄ちゃんの事を守れなかった......。でも、今なら兄ちゃんを守れる。 また昔みたいに一緒に暮らせるんだよ?』

 

 

 

『ほら、見てよ兄ちゃん。今の僕は片手だけで簡単に人が殺せるんだ』

そう言ってシンスケは再び針ネズミ型に変化し、まだ息のあった1人の隊員の首を鷲掴みにして無理矢理立ち上がらせた。

 

『...見てて』

そう言って隊員の首をゆっくり折り始めた。

興奮しているのだろうか、シンスケはとても息が荒い。

 

 

 

 

『やめ...』

 

『もう、やめて‼』

カイトはシンスケに体当たりした。

 

 

 

 

シンスケは舌打ちをする。

『うるさいよお前。 今、兄ちゃんに強さを見てもらってんの‼ 邪魔しないでくれない?』

 

シンスケはカイトを蹴り飛ばした。

 

『今、大事なとこなんだからさ』

そして、シンスケは隊員を見る。

 

 

 

 

 

 

『......っ!?』

 

『シンスケ...、どうして』

キョウスケは真っ青な顔をしてその場で腰を抜かした。

 

 

 

 

 

 

...このままではあの人が死んでしまう。

 

 

『...変身!!』

カイトは変身して再びシンスケに体当たりした。

 

『シンスケ君! もう、やめるんだ‼』

 

 

 

 

『ちょっ......お前本当しつこいんだけど‼』

シンスケは強い口調で言った。

 

隊員の首からシンスケの手が離れる。

 

 

 

 

 

 

『カイト君ナイス‼ じゃあこれ...上手く避けてね‼』

ハヤトは必殺技を発動した。

 

 

 

 

 

『...』

アキラも必殺技を発動した。

 

 

 

 

 

 

カイトは突き飛ばされた。

そして、間髪いれずに蹴りを食らわされ屋上から投げ出される。

『うわぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

 

 

 

 

『カイト君‼』

ハヤトは叫んだ。

 

 

 

 

 

『...っ!?』

...『彼を助けなきゃ!』アキラの脳裏にそんな声が聴こえた。

 

アキラは屋上から飛び降りた。

 

 

 

 

ここは10階以上ある建物。落ちたらひとたまりもない。

 

 

 

自分はここで死ぬのだと覚悟したカイト。ギュっと目を閉じた。

すると次の瞬間、何者かがカイトの体を強く抱き締めた。

『...!?』

 

 

恐る恐る目を開くとそこにはライオンに似た装甲をしたライダーがいた。

 

『あっ......アキラさん!!』

カイトは驚いた。

 

 

 

 

 

『...しっかり掴まっていろ』

そう言ってアキラは窓を蹴破り病院内へと突入した。

 

 

 

 

 

カイトはアキラに覆い被さるような体制になった。

 

 

 

 

 

...助かった。

カイトはそう思った。

 

それにしてもこの人からは何だかとても懐かしい匂いがする。

 

 

 

 

...初めて嗅いだ気がしないこの匂い。

 

何だかずっと追い求めてきたような、自分はこの人に会うために産まれてきたんじゃないか。

そう思えるほどに急に感情が込み上げてきた。

 

 

 

 

『スペルビア......』

カイトは急に涙が込み上げてきてアキラの頬に優しく触れた。

 

 

 

 

 

『...!?』

アキラは動揺した。

だが、それと同時に

 

『フューリー...』

アキラは自身の頬に触れているカイトの手を握る。

 

 

 

アキラは我に帰り、咄嗟にカイトの手から自身の手を離す。

そして、カイトに頭突きする。

『...触るな。汚らわしい』

 

 

 

 

 

 

カイトも我に帰り、あまりの痛さに床をゴロゴロしながら悶絶した。

 

 

 

 

 

『...気色の悪い奴だ』

アキラは起き上がり、そう吐き捨てた。

仮面の上からでも充分伝わってくるくらいのこちらに対する嫌悪感だ。

 

 

 

 

 

ーーーその頃の屋上ーーー

 

『カイトくん‼ アキラ坊っちゃん‼』

 

『嗚呼....2人とも落ちちゃった。僕だけで彼を倒すなんて無理だ』

下を見下ろして嘆くハヤト。

 

 

 

 

『これで邪魔者は君だけみたいだね』

シンスケは鼻で笑う。

そして、ジリジリとハヤトに迫る。

 

 

 

 

突如、屋上のドアが開いた。

仁王班が遅れてやって来た。

 

『いゃあ~ご令嬢殿すまんすまん。最新兵器のメンテしてたら遅くなっちまった』

仁王がヘラヘラしながら言った。

 

 

 

 

 

『仁王...、貴様!』

倒れているサトミは仁王を睨み付けながら言った。

 

 

 

 

『よぉ化け物。これが何だかわかるか?』

仁王はドヤ顔をした。

手には対ディアーボルス用のロケットランチャーがある。

 

 

 

 

 

『知ってるよ。対ディアーボルス用のロケランでしょ?“来栖先生”が言ってた』

シンスケは言った。

 

 

 

 

 

『御名答~。...さて、じゃあもう1つ質問だ』

 

『これを撃ったらテメーはどうなる?』

仁王はニヤリとして言った。

 

 

 

 

 

 

『死ぬんでしょ? 天に向けて放ったらそこから分裂した針が無差別に辺り一帯の生命体を串刺しにする......』

シンスケは言った。

 

『そんなの使ったらおじさんも死んじゃうよ?命は惜しくないの?』

シンスケは鼻で笑う。

 

 

 

 

『バーカ.....。命が惜しかったらこんな仕事やってねーよ』

仁王は笑う。

 

『......丁度、あの人もいねーみてーだしな』

仁王はロケットランチャーを構えた。

 

 

 

 

 

『......っ!?』

 

『嘘でしょ!? おじさん頭おかしいんじゃないの‼』

シンスケは焦った様子でキョウスケを抱き抱えて屋上から飛び降りた。

 

 

 

 

 

『待ちやがれ‼』

仁王は叫んだ。

 

 

 

 

 

無事に着地したシンスケはキョウスケを優しく地面におろし、こう耳打ちした。

『また会いに来るよ...。それまで待っててね。兄ちゃん』

 

その時のシンスケの声はあの時と同じ......優しい声だった。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

今回の一件での死者は病院内にいた被害者と隊員を合わせて82人、重軽傷者は18人。

 

その日の夜。

現場の詳しい調査が行われた。

 

 

 

 

 

ーーー志藤邸 キョウスケの自室ーーー

 

キョウスケは自室で今日の出来事を思い出していた。

『お前がああなっちまったのは...俺のせいなのか。 .........シンスケ』

キョウスケは悲しげな表情を浮かべ呟いた。

 

 

 

 

部屋がノックされた。

 

 

 

 

 

『キョウスケさん。いらっしゃいますでしょうか』

ドアの向こうから女性の声がした。

 

 

 

『...何だよ』

キョウスケがドアを開けるとそこにはメイドが1人いた。

 

 

 

メイドはキョウスケの顔を見て、一瞬ビヒった。

 

『夜分遅くに失礼いたします。志藤様がお呼びですので私と共に来ていただけないでしょうか』

メイドは恐る恐るキョウスケに言った。

 

 

 

 

『...』

 

『わかった』

キョウスケはそう言ってメイドの後をついていった。

 

 

 

メイドはドアを開けた。

『...どうぞ』

 

 

キョウスケは志藤の書斎に通された。

 

 

 

 

 

『やぁ。よく来たね鼠田君』

 

『そこに座りたまえ』

志藤はキョウスケに向かい側のソファに座るよう促す。

 

 

 

 

 

キョウスケは促されるままソファに座った。

 

 

 

 

 

『実は君に大切な話があってね...』

志藤は言った。

 

 

 

 

 

『奇遇だな...、俺もだ』

キョウスケは真剣な眼差しで言った。

 

 

 

 

 

『...シンスケ君の事かな?』

志藤は言った。

 

 

 

 

『嗚呼...』

キョウスケは真剣な眼差しだ。

 

 

 

 

『来栖総合病院....。以前から手術の成功率100%、医師は名医揃いなんて言われて高い医療技術を誇る病院として有名だったが、それは全くの嘘だ』

 

『あそこは院長である来栖日南子が造り出した人権なんて全く顧みない研究員達の隠れ蓑...』

『人体実験場だったんだ』

 

志藤は溜め息をついた。

 

 

 

 

『人体実験場...!?』

キョウスケは驚いた。

 

 

 

 

 

『調べによると......君の弟は幼い頃は呼吸器系の疾患を持っていたようだね』

『そして、君の母親はそれを治す為に来栖総合病院を訪れた』

 

『そこでの手術のおかけでその疾患はすっかり改善したようだが......それを境に時折暴力的になるようになったらしい』

志藤は書類を見ながら言った。

 

 

 

 

 

『暴力的...?』

 

『...!』

キョウスケは同級生達が言っていた言葉を思い出した。

...まさか。

 

 

 

 

 

『恐らく彼も手術と表して人体実験をされた1人だろうね』

 

『それに...君らの母親は虐待をしていたのだろう? それも相まって精神が歪んでしまったんだろうね...』

志藤は悲しげな表情で言った。

 

 

 

 

 

『シンスケは虐待されてねーよ。 されてたのは俺だけだ』

キョウスケは悲しげな表情で言った。

 

 

 

 

 

『自分がされていなくたって彼の精神的ショックは大きいものだったと私は思うよ』

 

『彼の心境を思うと...、心が痛むよ』

志藤は悲しげな表情で言った。

 

 

 

 

 

『......助けてぇ』

キョウスケは真剣な眼差しで志藤を見た。

 

 

 

 

 

『助ける...とは?』

志藤は尋ねた。

 

 

 

 

 

『とぼけんじゃねーよ。テメーがそんな話する為だけに俺を呼んだわけねーだろ』

 

『......俺もカイトみたいにしてくれ』

キョウスケは真剣な眼差しで言った。

 

 

 

 

 

『フフっ......話が早い。そうだね、ライダーになれば彼を止められるかもしれない』

 

『それに...私なら彼を人間に戻す事だって出来る』

志藤は真剣な眼差しで言った。

 

『だが、...怖くないのかい?』

 

 

 

 

 

『正直......手の震えが止まんねー。 けど、俺がやるしかねーんだよ』

 

『シンスケを止めれんのはもう......、俺しかいねーから』

キョウスケは真剣な眼差しで言った。

 

 

『俺を......ライダーにしてくれ』

 

 

 

 

 

 

 

第6話【決意】 END

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