※この作品はR-18です。

仮面ライダーフューリー   作:あまぞん特撮系物書き

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第七話【カイト】

ーーー志藤邸 手術室ーーー

手術室のベッドの上で眠るキョウスケ。

 

眠るキョウスケに志藤がこう声をかける。

『鼠田君、起きたまえ。手術は無事に成したよ』

『今日から君は仮面ライダーアヴァリツィアだ』

 

 

声かけに反応せず、ぐっすりと眠るキョウスケの姿を見て志藤はクスッと笑った。

『おや、麻酔が効きすぎたかな?』

 

『ゆっくり眠りたまえ。目覚めた頃に...、また来るよ』

 

 

 

 

 

 

ーーー同時刻 アキラ自室ーーー

 

アキラは何故自分はあの時あの男(カイト)を助けたのか考えていた。

 

普段なら同じような状況の者を見ても助けようと思った事は1度も無い。

 

もし、自分がそいつを助けない事で仮にそいつが死んだとしても、すぐに志藤が何処からともなく人員を補充するからである。

 

 

 

それなのに、今回は違った。

反射的に体が動いてしまったのだ。

 

 

それにあの男が自分の名を呼ぶ悲しそうな声......アイツと重なって危うくほだされるところだった。

何故だ......? やはりあの男がフューリーに変身できるからか?

 

あの姿(フューリー)を見るとどうしてもアイツを思い出してしまう。

......長い人生の中で俺が最も愛し、そして最後は自らの手で殺した女を。

 

 

 

 

まだ過去に囚われているのか......自分でも本当に情けなく思う。

いや....きっとこれからも囚われ続けるのだろう。

 

 

 

 

『まさかあれだけの事をしたのにまた変身できる奴が現れるなんてな...』

 

『カノン.....これはお前を殺めた俺への復讐か』

そう言ってアキラは自室に飾ってある1つの写真を手に取った。

 

 

 

『死してもなお......俺を苦しめるんだな』

 

そこには仲睦まじく映る1組の男女が写っていた。

男の方はアキラ。そして隣に映る暗めの茶髪なロングヘアの女性がカノンだ。

 

 

 

 

 

ーーー同時刻 カイトの自室ーーー

 

『....』

自室のベッドへ思いきりダイブし、しばらく声にならない声を発しながら手足をジタバタさせたカイトは呟いた。

 

 

『....気まずい』

カイトは頭をかきむしる。

 

『それにしても何であんな事を...』

カイトは考えた。

 

 

『もしかして......僕はアキラさんの事が』

 

『いやいやいや‼ 確かにアキラさんは綺麗だけど、男だし。ましてや僕にそんな趣味は......』

カイトは必死に過去の恋愛を思い出した。

 

 

 

自慢ではないがカイトはこう見えて学生時代はそこそこモテた。

いろんな女の子とお付き合いしたし、デートもした。

しかし、どれもデート止まりだった。

 

そういえば、相手に触れたいとか守りたいとかそういう強い感情を抱く事も無かった。

付き合ってほしいとお願いされたから特に断る理由も無いので付き合っていたって感じだった。

 

 

 

...でも、今回(アキラさんに)はめちゃくちゃ触れたいし、守りたいって思ってる。

 

 

......記憶がぶっ飛ぶ程に。

......他人を傷つける事も厭わない程に。

 

 

 

 

『僕......男が好きなの?』

カイトは真っ青な顔をした。

 

そして現実から逃げるように布団に潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

ーーー翌日の11:00 志藤邸中庭ーーー

 

『キョウスケさんも......、なったんですか!?』

カイトは動揺した。

 

 

 

『ああ、ライダーになった』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

『やっぱりシンスケ君の......』

カイトは言った。

 

 

 

 

『シンスケがああなっちまったのは俺のせいだからな.........。でも、実はそれ以外にもあんだよ』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

『それ以外?』

カイトは尋ねた。

 

 

 

『ぶっちゃけオメーら弱すぎんだよ』

 

『じぃさんあの調子だと...、変身できねー奴もこれからバンバン任務につかせる気らしいからな』

 

『オメーらなんかに命預けてたら命がいくらあっても足りねーし』

キョウスケはへへっと笑った。

 

 

 

 

 

『....面目ないです』

カイトは申し訳なさそうに言った。

 

 

 

 

 

『まあ...アキラだっけ? アイツはなかなか出来るみてーだけど。お前とあの医者はダメだな』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

 

『...』

カイトは申し訳なさそうにしている。

 

 

 

 

 

『お前、ケンカとかした事ねーだろ?』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

 

『いや...普通に生活してたら友達とそれなりにはしますけど...』

カイトは言った。

 

 

 

 

 

『いやいや、俺が言ってんのはそんなあまっちょろいもんじゃなくて。もっとこう...血が沸いて肉が踊る感じのやつだよ』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

 

『そんな事、普通に生活してたらあるわけないじゃないですか......』

 

『もうなんなんですか? キョウスケさんはどこぞの戦闘民族か何かなんですか...』

カイトは呆れた様子で言った。

 

 

 

 

 

『...だよな。お前そんな顔してる』

キョウスケは笑いながら言った。

 

 

 

 

『もう、茶化さないで下さい。......ちょっとでも心配した僕がバカでした』

カイトは言った。

 

 

 

 

 

『ははっ。 悪かったって。 たくっ怒んなよ~』

キョウスケは笑った。

 

 

キョウスケはしばらく笑ってから急に真剣な眼差しでこう言った。

『...だから。今日から俺が稽古つけてやる』

 

 

 

 

 

『稽古...?』

カイトは言った。

 

 

 

 

 

『心配すんな。 最初のうちは手加減してやるよっ』

キョウスケはそう言って急にカイトに殴りかかった。

 

 

 

 

 

『うわぁ...!!』

カイトは避けた。

 

 

 

 

 

『お~!! 良い反応だな。 じゃあこれならどうだ‼』

キョウスケは蹴りをくり出した。

 

 

 

 

 

『ちょっ...!! 本当にやめてください‼』

カイトはこれも避けた。

 

 

 

 

『まだまだこんなもんじゃねーぞ‼ おりゃあっ‼』

キョウスケはさらに蹴りやパンチを容赦なく打ってきた。

 

 

 

 

 

キョウスケは一見楽しそうだが、やはり頭の中はシンスケ君の事でいっぱいのようだ。

そのどこか無理をしているようにも見える楽しそうな姿が見ているこっちとしては逆に心苦しい。

 

 

 

 

 

中庭を通りがかったアキラ。

ふと2人のそんな姿が目に入った。

『....』

アキラは足を止め、その様子をただ黙って見つめていた。

 

 

 

 

『もう.....いい加減にしてください‼』

カイトはそう言ってキョウスケの右腕を捕らえ思いきり投げ飛ばした。

 

 

 

 

 

『......っ!?』

アキラはその投げ技に見覚えがあった。

...あれは、カノンの!?

 

アキラはカノンに出会って間もない頃、彼女に投げ飛ばされた事を思い出した。

 

 

 

 

 

『うおっ...!!』

キョウスケは地面に思いきり叩きつけられた。

『イテテ。 ......なんだよ。やればできんじゃねーか』

 

 

 

 

『...っ!? すっ...すいません!!』

カイトはキョウスケに駆け寄った。

 

『怪我...してないですか?』

カイトはキョウスケを心配そうに見つめる。

 

 

 

 

 

『こんくらいどってことねーよ。 ...にしてもスゲーなこれ。イテテ...』

 

『お前さ、柔道か何かやってたのか?』

キョウスケは起き上がって言った。

 

 

 

 

 

『...いいえ全然。 僕、帰宅部ですから』

カイトは立ち上がってキョウスケの肩を支えた。

 

『今のも...反射的に』

カイトは言った。

 

 

 

 

 

『反射的に...か』

 

『あークソ。師匠の面目丸潰れだなこりゃ』

キョウスケは照れくさそうに頭をかいた。

 

『まあ、いいや。反射神経は良いみてーだから午後からはパンチとキックの練習な』

 

『次は負けねーから。覚悟しとけよ』

キョウスケは無邪気な笑顔を見せた。

 

 

 

 

 

『かっ...覚悟って、そんなぁ』

カイトは困っている。

 

 

 

 

 

『...しゃっ!! じゃあ昼飯食いに行くか~』

そう言ってキョウスケは先に食堂へと戻っていった。

 

 

 

 

 

『あっ‼...待ってください! キョウスケさん!』

カイトはキョウスケの後を追うように食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

ーーー午後2:00ーーー

 

カイトとキョウスケは再び中庭で稽古をしていた。

 

 

 

 

『よ~しっ‼ そろそろ休憩すっか』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

『はっ...はい』

カイトはもうクタクタだ。

 

 

スポーツドリンクを飲む2人。

 

 

 

 

カイトはふと演習場を見るとそこには数名のメイドが中を覗きこんでキャッキャッと騒いでいた。

 

...イケメンな部活の先輩の練習風景見てる女子高生みたいだな。

カイトはそう思った。

 

 

 

 

 

『騒がしいよなアイツら。中で何してんだ?』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

『行ってみますか?』

カイトは言った。

 

 

 

 

『...だな。演習場の中身も気になるしよ』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

2人は演習場を覗く事にした。

 

『こんにちは。何を見てるんですか?』

カイトはメイド達に尋ねた。

 

 

 

 

『あら、カイトさんキョウスケさんこんにちは。私たちはアキラ様の弓の稽古を拝見してるんですよ』

1人のメイドが答えた。

 

 

 

 

『それにしてもアキラ様は何をお召しになってもお似合いだわ』

『私もあの弓で射られた~い』

メイドはアキラにみとれながら言った。

 

 

『あら、私はハヤトさんも負けてないと思うわ~』

もう一人のメイドはハヤトにみとれながら言った。

 

 

 

『...』

カイトとキョウスケはメイド達のテンションに少し引いた。

 

 

 

 

中を覗くとそこには弓道着姿のアキラとハヤトがいた。

 

的に意識を集中させ、見事に的の中央を射ぬくアキラ。

ハヤトはそれを見て『お見事』と笑顔で拍手している。

 

 

 

カイトはその凛とした姿に思わず息を飲んだ。

 

チラッとこちらを見たアキラ。

こちらを見るカイトの姿に気づきハッとした表情をした。

 

だが、すぐに不機嫌そうな表情に変わり弓矢を元の位置に戻して演習場から出ていった。

 

 

 

 

アキラのその態度でこちらに気づいたハヤトは笑顔でこちらに手を降ってからアキラの後を追って演習場を出ていった。

 

 

 

 

 

元からあまり良くは思われていなさそうだが、昨日の一件のせいでますます嫌われた...。

カイトはそう思った。

 

 

 

 

 

『愛想の無ぇー奴。 まあ、俺もあんま人の事は言えねーか』

キョウスケはへへっと笑った。

 

『行くぞ。カイト』

キョウスケは何だかノリノリだ。

 

 

 

 

『......はい』

カイトは戸惑いながら言った。

 

 

 

 

 

ーーー19:00 志藤邸 志藤家専用のリビングダイニングーーー

 

志藤、アキラ、ミサトは3人で夕食を摂っていた。

3人とも無言で食べている。

 

 

 

 

 

『聞いたよアキラ。屋上から転落したカイト君を助けてあげたんだってね。我が子がそんな勇敢で優しい子に育ってくれて......私は父としてとても嬉しいよ』

志藤はにこやかな表情で言った。

 

『だが、本当に珍しい。普段のお前なら見捨てるだろうに』

 

 

『やはり彼が“フューリー”に変身できるからかい?』

志藤は言った。

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間にアキラは食事を止め、志藤へフォークを投げる。

 

 

 

 

 

それを咄嗟に防いだサトミの左手にそのフォークが貫通した。

『...っ』

サトミはその痛みに思わず顔をしかめる。

 

 

 

 

 

『...何故止める』

アキラはサトミを睨み付けた。

 

 

 

 

 

『志藤様をお守りするのが、私の使命ですから......』

サトミはそう言ってフォークを引き抜いた。

 

『はぁ...はぁっ』

抜いた途端にその傷はみるみる塞がった。

 

 

 

 

 

『......相変わらずバカな女だな』

アキラは苛立った様子で言った。

 

 

 

 

 

すると、すかさずメイドが新しいフォークをアキラの手元に持ってくる。

 

それを受け取ったアキラは再び食事を開始した。

 

 

 

 

『...全く、フューリーの事になるとお前はいつも冷静さを失うね』

 

『まあ...、普段クールなお前が珍しくムキになる姿は。お前の幼い頃を彷彿とさせて私としては微笑ましいがね』

志藤は言った。

 

 

 

 

ーーー同時刻 キョウスケ自室ーーー

 

キョウスケは手術後に志藤に言われた言葉を思い出していた。

 

 

 

 

ーーー回想シーン 手術後ーーー

 

目を覚ましたキョウスケは手術台から上体だけを起こして自身の体を見回す。

 

 

 

 

『鼠田君。気分はどうかな?』

志藤がサトミに車イスを押されながら現れた。

 

 

 

 

『いや......別に痛くも痒くもねーけど』

『ただ...めちゃくちゃ腹へった』

 

 

『傷も無ぇーし。これってマジで手術したのか?』

キョウスケは答えた。

 

 

 

 

『勿論したさ。傷や痛みが無いのはきっと君が“彼”とのシンクロ率が高いからだね』

 

『まあ、当たり前か。“彼”にとって君は“大切な存在”なのだから...』

 

『それにしても、そうかお腹が空いたか。彼にとっては数十年ぶりの食事だからね。どうか沢山食べてあげてやってくれ』

志藤はにこやかな表情で言った。

 

 

 

 

メイドがキョウスケの目の前に沢山の料理を運んできた。

 

 

『......ああ』

キョウスケはそう言って食事を食べ始めた。

 

 

『鼠田君。食べながらで良いから聞いて欲しいんだが...』

『実は君にお願いがあってね』

志藤は食事を摂るキョウスケの隣まで自ら車イスを自操して言った。

 

 

『...何だよ』

キョウスケは言った。

 

 

『鳴滝カイト君を知っているかね?』

志藤は言った。

 

 

『ああ...知ってるよ。カイトがどうしたんだ?』

キョウスケは言った。

 

 

 

 

『どうか彼を......君の力で鍛え直して欲しい』

志藤は言った。

 

 

『...は?』

キョウスケは言った。

 

 

 

『彼は大変大きな力を秘めているんだ。だが、残念な事に今の彼はそれを忘れていてる』

志藤は言った。

 

 

 

『アイツが......』

キョウスケは自身の身の上話をした時にまるで自身の事のように怒り悲しんでくれたカイトの姿を思い出した。

 

そして、その優しさにかつてのシンスケを重ねていた。

 

 

 

『......やってくれるかい?』

志藤は言った。

 

 

 

『....わーったよ。やれば良んだろやれば』

1つ溜め息をついてからキョウスケは言った。

 

 

 

『ありがとう鼠田君。やはり君は優しい人だね』

志藤は言った。

 

ーーーーーー

 

『鍛え直せ......ねぇ』

 

 

 

『イテテ......にしても随分良いのもらっちまったぜ』

 

 

 

『なぁ...カイト。お前は何者なんだ』

キョウスケは呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

第7話【カイト】END

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