カイト、アキラ、ハヤト、キョウスケの4人はリビングに集められた。
サトミが言う。
『ただ今より、作戦を説明する』
『はい、質問』
ハヤトは挙手した。
『他の3人は呼ばなくて良いんですか?』
ハヤトは言った。
『非戦闘員である奴等には他の任務に当たってもらっている』
『今回の任務は私の班と仁王班...あとアキラ様と貴様ら3人で行う』
サトミは言った。
『それはいったいどのような?』
ハヤトは言った。
『東京中の定点カメラの監視だ』
サトミは言った。
『へぇ~。監視ね』
ハヤトは言った。
『...で? 任務って何だよ』
キョウスケは言った。
『遊園地に出現したディアーボルス蜂型の討伐だ』
サトミは言った。
『えっ! ディアーボルスって動物だけじゃないんですか』
ハヤトは興味津々だ。
『嗚呼、我々の調査によると動物型や昆虫型以外にも植物型も存在している』
『昆虫型や植物型には群れで活動するものや毒を持つものも多い為、階級に関わらず必ず苦戦を強いられる』
サトミは言った。
『敵が群れをなす“虫”ってんならボス叩けば楽勝じゃねーのか?』
キョウスケは言った。
『理屈はそうだ。だが、女王蜂は警戒心が人一倍強く滅多に姿を表さないからな...』
サトミは難しそうな顔をして言った。
『何か、ボスのくせになさけねーな』
キョウスケは言った。
すると1人の隊員がリビングに入ってきてこう言った。
『サトミ様。ヘリの準備ができました』
ーーーその頃のモニター室ーーー
『任務に行けって言ったり、はたまたモニターで東京中を監視しろって言ったりさ~。ここの偉い人...確か志藤だっけ? 本当ワケわかんないよね』
ユウキは言った。
『にっ...任務に行けって言われるよりは良いじゃないですか。こういう地味な仕事のほうが...』
サトルはユウキを見てそう言った。
...この人は今日も露出度が高いな。
『...サトル君は相変わらず挙動不審だね~。そんなに私って怖いかな?』
ユウキは上目遣いでサトルの顔を覗き込んだ。
『いや...何て言うかその......三次元の女の子との関わり方がわからなくて...』
サトルは赤面し、目を反らした。
...嗚呼、谷間が見えてる。
『フフっ....何かサトル君かわいい。 じゃあ、私が三次元の女の子がどんなものなのか教えてあ・げ・る♥』
ユウキはそう言って胸元付近の布を下げて谷間をより際立たせる。
『あっ...いや......そんな』
サトルはますます挙動不審になった。
...見えてる。
『そこのクソビッチ、仕事なさい』
アヤカはユウキを睨む。
『はいはい。わかりました~。 相変わらずお局様はお厳しいですね~』
ユウキは粗か様に不機嫌そうにそう言った。
『...』
アスカはユウキを再び睨み付けた。
『あー怖い怖い。目を合わせたら呪い殺されそう』
ユウキはそう言って体の向きを変え、液晶画面に視線を戻した。
『...っ』
アスカは急に頭痛に見舞われた。
またか...最近、多いんだよね。
アスカは瞳を閉じて深呼吸した。
『...!?』
ユウキはある1つのモニターに目が止まった。
そこには如何にも売れなさそうなバンドって感じの集団が映っていた。
その中でも一際目を引く長身の男がいた。
『タクヤ...』
ユウキは呟いた。
ーーーカイト達は目的地に到着したーーー
『広いね~。さすがは都内有数の大規模遊園地』
『さて、...じゃあ、ここからは二手に別れようか』
ハヤトはにこやかにそう言った。
『しゃーねーな、行くかカイト』
キョウスケはそう言ってカイトを自身のほうに引寄せた。
『ちょっと待って。効率を考えたら僕とキョウスケ君、アキラ坊っちゃんとカイト君で組むのが得策だと思うんだ』
ハヤトは言った。
『えっ...!! いや、ハヤトさんそれはちょっと......』
カイトは動揺し、アキラをチラッと見た。
『そんな事言われたって...。僕とアキラ坊っちゃんはそれなりに場慣れしてる。でも、カイト君達はまだ場慣れしてないでしょ?』
ハヤトは言った。
『ならせめて僕がハヤトさんと......』
カイトは言った。
『そんなに好いてくれてるのは嬉しいんだけど、近接武器だけで組むっていうのもね...』
ハヤトはフフっと笑って言った。
『いや、そんなつもりは....』
カイトは苦笑いをした。
『カイト君.......僕泣くよ』
ハヤトは泣きそうな顔で言った。
『ふざけてる場合じゃねーだろ......ほら、さっさと行くぞ。ヤブ医者』
キョウスケはそう言ってハヤト(仮面ライダーグラ)の鬣部分を鷲掴みにして引っ張った。
『はいはい、わかったわかった。じゃあそういう事だからアキラ坊っちゃんとカイト君も捜索よろしくね~』
仮面の上からでもわかる
『ちょっ...キョウスケ君。 ちゃんと歩くからそこ掴むのやめて』
ハヤトは捜索を開始した。
『......』
カイトはアキラを見る。
『......』
アキラは1度もカイトを見ること無くハヤト達とは反対方向に歩いていった。
『...我々も行くぞ』
サトミは自身の班の者達に言った。
『...さぁ~て、俺達も行きますかね~』
カイトをチラッとだけ見てから仁王も自身の班の者達にそう言った。
ーーーーーー
『いないね~』
ハヤトは言った。
『...だな』
キョウスケは言った。
『先生から聞いたよ。弟くんを止めるためにライダーになったんだって?』
ハヤトは遊具ややゴミ箱の中など探りながら言った。
『先生?』
キョウスケは尋ねる。
『志藤先生の事だよ。ほら、君を手術してくれた人』
ハヤトは言った。
『ああ、あのじーさんそんな名前だったのか...』
キョウスケは呟いた。
『君ねぇ...。まあ、無理もないか』
ハヤトは呆れていた。
『それにしてもライダーになる決意を固めさせる程の存在か.....僕、一人っ子だからちょっと羨ましいよ』
『そういうお前は何の為にライダーになったんだよ』
ハヤトは尋ねた。
『君の理由に比べたらしょーもないから言わない』
ハヤトは微笑みながら言った。
『...んだよ。 人のは勝手に聞いておいて』
ハヤトは言った。
『ごめんごめん』
ハヤトはクスクスと笑った。
『...嫌な奴』
舌打ちをしてからキョウスケはそう呟いた。
そして、メリーゴーランドの馬車の中を覗き込んだ瞬間。蜂型が襲い掛かってきた。
『うおっ......!?』
キョウスケは驚いた。
次の瞬間。ハヤトはキョウスケ目の前に割り込んできてのその蜂型の頭をハンマーで叩き潰した。
倒れた。蜂型の腹部にハンマーの柄でトドメを指す。
『もう、キョウスケ君ったら気を抜いちゃダメだよ~』
キョウスケは言った。
『...っんだよ‼ 元はと言えばテメーがっ』
キョウスケは言った。
すると何処からともなく蜂の羽音のような音が複数聴こえてきた。
キョウスケとハヤトは思わず耳を塞いだ。
しばらくするとその羽音は止み、辺りを見渡すとそこには数えきれないほどの蜂型がいた。
『....どうやら無駄話はこれくらいで終わりにしたほうが良さそうだね』
『ほら...同胞を殺されたから敵討ちの為に沢山の“お仲間”が集まってきたみたいだよ』
ハヤトはそう言って武器を構えた。
『仲間が殺されたら寄ってくるとか......蜂の習性まんまかよ』
キョウスケも武器を構えた。
ーーーその頃のカイト&アキラーーー
『......』
カイトは何もしゃべらない。
『......』
アキラは何もしゃべらない。
『サトミ...女王蜂は何処だ』
アキラは無線に言った。
『申し訳ありません。こちらからは位置情報を未だ特定出来ていません』
サトミの声が無線越しに聴こえた。
『...そうか』
アキラは言った。
『.........』
アキラは急に立ち止まり深呼吸をした。
全く動かない。どうやら意識を集中させているようだ。
『....!?』
カイトは後方から殺気を感じ振り返る。
そこには蜂型がいた。
今にもカイト達に攻撃を放とうとしている。
『....アキラさん!!』
カイトはアキラを庇うように覆い被さった。
蜂型の放った攻撃はカイトの行動により回避できた。
『触るな...!! どけ‼』
アキラはカイトを突き飛ばす。
蜂型がウジャウシャとわいてきた。
その中に一際大きい女型がいた。
恐らくあれが“女王蜂”だろう。
女王蜂の合図で周りの蜂型達が一斉に襲い掛かってきた。
『...わざわざそちらからお出ましとはな』
アキラはそう言って天に無数の矢を放つ。
その矢によって倒れていく蜂型達。
幸いその矢の雨から逃れた奴が間髪入れずに襲い掛かってくる。
『......アキラさん逃げましょう‼ この数は無理です‼』
カイトはアキラの二の腕を掴み言った。
『黙れ...!! 逃げたければお前だけで逃げろ』
アキラはカイトの手を振りほどき言った。
『....!?』
カイトはそんなアキラの必死な姿にライダーとしての覚悟というかそんなものを感じた。
『このままじゃダメだよね....』
カイトは呟いた。
剣を握り震える自身の右手首を自身の左手でしっかりと掴んで、カイトは蜂型を見つめる。
『うおォォォォォォォォ!!』
カイトは迫りくる蜂型に剣を振るう。
いかにも素人の剣裁きと言った感じである。
だが、剣を振るっているうちに自身の中の何かが目覚めたような感覚がした。
すると瞬く間に剣裁きが良くなり次々と蜂型を切り殺していった。
『......!?』
アキラはその剣裁きにかつての恋人カノンを重ねた。
アキラの活躍もあり、あらかた雑魚は片づいた。
カイトは遂に女王蜂との一騎討ち。
カイトは呼吸を整えてじりじりと女王蜂に詰め寄る。
ケタケタと笑う女王蜂。
すると突然、自身の6本の足をフォークのように使い辺り一面に転がる蜂型達の死体を喰らい始めた。
『奴に手下を喰わせるな...!!』
アキラは矢でそれを阻止する。
『えっ...?』
カイトは言った。
アキラは女王蜂に弓で斬撃を食らわせる。
『お前も早くしろ‼』
『はっ...はい‼』
カイトはそう言って必殺技を発動する。
そして、それを見事女王蜂に命中させた。
女王蜂、爆散。
『お......終わっ...た』
カイトは崩れるようにその場に膝をついた。
『......おいっ‼』
アキラは駆け寄った。
『アキ...ラさん......。怪我し...てないで......すか?』
カイトは言った。
『...人の心配をする前にまずは自分の心配をしたらどうだ?』
アキラは言った。
そして、自身は何をしているのかとハッとした。
アキラはすぐにカイトから離れようとしたが
『です...よね。.......すい..ませ......ん』
そう言ったカイトの変身は解除されアキラの胸にダイブするような形で意識を失った。
『......』
アキラはそんなカイトを受け止めたまま。しばらくその場から動く事が出来なかった。
遊園地にこびり付いた蜂型達の血を洗い流すかのように雨が振りだした。
ーーーーーー
帰りのヘリの中。
タオルで自身の身体を拭きながらハヤトはこう言った。
『いゃあ~。それにしても凄い数だったね』
『急に弱体化したから良かったものの元気な状態のまま襲いかかって来られてたら......死んでたよね』
『...あんだけ蜂共殺しといて何言ってんだよ』
キョウスケは言った。
『キョウスケ君だって沢山殺してたじゃない。初陣にしてはなかなか良かったよ』
ハヤトは言った。
『...そうかよ』
キョウスケは言った。
『まあ、僕にはおよばないけどね~』
ハヤトは言った。
『おいっ...!!』
キョウスケは言った。
キョウスケとハヤトな何だか仲良さげにワチャワチャしている。
アキラはそんな二人をしばらく眺めてから再び向かい側に眠るカイトに目をやった。
初変身の時といい、今回といい......。
この男は完全に自身の中の“アレ”に体が全くついていけていない。
恐らく基礎体力、精神力共に乏しいんだろう。
このままでは...“アレ”に何もかも持奪われ、ただの“動く屍”になるのも時間の問題だ。
何故、志藤はそんな貧弱な男に“アレ”を......。
俺の精神をかき乱せればこの男の命など造作もない...という訳か。
何処から来たのかはわからんがそんな事の為に命を捨てるなんて。
正直、この男には同情する...。
そう考えながらアキラは眠るカイトを眺めていた。
カイトは夢を見ていた。
部屋の一室。その部屋は自身が現在しようしている部屋に似ていた。
『僕の部屋...?』
『....膝枕してくれ』
目の前に暗い表情を浮かべたアキラが立っていた。
『....はい?』
カイトは動揺した。
動揺するカイトを無視し、アキラは強引にカイトをソファの端に寄せて自身の頭をカイトの膝に乗せた。
『えっ......いや、アキラさん!?』
カイトはますます動揺する。
『やはりお前の膝の上は落ち着くな......』
アキラは言った。
『いやいやいやいやいや...‼ アキラさん落ち着いてください‼ 男の膝なんて』
カイトは言った。
『...今日も沢山殺したんだ』
『.......中には人間と所帯を持っている者もいた』
アキラは言った。
『......っ!?』
カイトは驚いた。
『人を喰った事もなければ戦いすらした事がない.........』
『それを庇った人間の女も......生後間もない赤ん坊も...』
『殺したんだ......この手で』
アキラは自身の手を天井にかざしながら言った。
『アキラさん......』
カイトは言った。
アキラは急に起き上がり悲しそうな表情で言った。
『なぁカノン。俺達のやっている事は本当に正しいのか...?』
『俺.........もう、わからないよ』
アキラは涙を流した。
『......』
アキラを抱き締めようと手を伸ばした瞬間その夢は覚めた。
『カイト...!! 良かった。目覚めたんだな』
キョウスケが言った。
『...ここは?』
カイトは言った。
『医務室だよ』
ハヤトは言った。
『それにしてもカイト! スゲーよなお前。女王蜂倒したのお前なんだろ?』
キョウスケは言った。
『えっ......いや、あれはアキラさんが協力してくれて』
カイトは言った。
『えっ...そうなの!? あのアキラ坊っちゃんが手柄を人に譲るなんてね~』
ハヤトは言った。
『それに僕、作戦にはもう何度かご一緒させてもらってるけど手柄を譲られるとかましてや共闘なんてさせて貰ったこと無いんだ』
『お前が極端に嫌われてるだけなんじゃねーの?』
キョウスケは言った。
『ちょっと...!! キョウスケ君‼』
ハヤトは言った。
再びキョウスケとハヤトは仲良さげにワチャワチャし始めた。
すると突然、医務室のドアが開きサトミがキョウスケとハヤトを呼んだ。
『イチャついているところ悪いが003、007至急会議室まで来い』
『イチャついてねーよ‼』
キョウスケは言った。
『そうですよ。仮に誰がとイチャつかなくちゃいけないのなら折角ならアキラ坊っちゃんと......』
ハヤトは言った。
全て言い終わる前にハヤトを殺気に満ちたサトミの瞳が睨む。
『やだな~冗談ですよ。それにしてもサトミさんは怒った顔も素敵ですね』
ハヤトは言った。
『...いいから早くついて来い』
サトミは言った。
『あの.....僕は』
カイトはサトミに言った。
『...001はもう少し休んでいろ』
サトミは言った。
『は......はい』
カイトは言った。
キョウスケとハヤトはサトミと共に会議室へ向かった。
医務室に1人残されたカイト。
先程まで見ていた夢を思い出した。
遂に夢にまでアキラさんが......。
カイトはそろそろ自分はダメだと頭を抱えた。
しかも、(夢の中だけど)膝枕を要求されてしまった。
それに、夢の中のアキラさんは
泣いていた。
それに“カノン”って誰...?
突如、医務室のドアが開いた。
そこにはアキラが立っていた。
『えっ...ちょっ......アキラさん!?』
カイトは驚いた。
『....入るぞ』
アキラは言った。
『えっ...あっ.......はいただいまぁぁぁ』
カイトはベッドから飛び起きて椅子を用意する。
椅子の上を丁寧にパンパンとあるはずもない埃を払った。
『どっ...どうぞ』
『...?』
アキラはその椅子に座った。
『あの...その......今日はどういったご用件で』
カイトはアキラを直視できない。
『単刀直入に言わせてもらう....今のままではお前、死ぬぞ』
アキラは言った。
『......えっ?』
カイトはフリーズした。
『あのじじいにどのように唆されてライダーになったかは知らないが、命が少しでも惜しいのならばもうライダーに変身するのはよしたほうがいい...』
アキラは言った。
『変身をですか...?』
カイトは言った。
『嗚呼、そうだ』
『普段なら見殺しにしておくところだか......今回は借りが出来てしまったからな。せめてもの情けだ』
アキラは言った。
『いっ......嫌です』
カイトは俯きながら言った。
『命が惜しくはないのか?』
アキラは言った。
『勿論、死ぬのは怖いです......でも、僕にはそれよりももっと怖い事があるんです』
カイトは言った。
そして、自身の中の“声”がそう言えと叫ぶ。
『...貴方が.......傷つく事です』
カイトは悲しそうな表情で言った。
『......っ!?』
アキラは驚いた。
『貴方は...戦いながら身も心も傷ついている』
『本当は戦いなんて大嫌いなのに....』
カイトは悲しそうな表情で言った。
『......っ!?』
アキラは昔カノンにも同じ事を言われた事を思い出した。
『や......めろ』
『やめ......て...くれ』
カイトがますますカノンと重なりアキラは酷く動揺する。
『貴方(アキラ)の為なら....僕(私)は死んだって構わない‼』
カイトは言った。
その言葉はアキラの耳にはカノンの声と反響して聴こえた。
『...やめろ‼』
アキラは叫んだ。
『......っ!?』
カイトは我に帰る。
『僕、今なんて...?』
『とっ...兎に角。忠告はしたからな......』
アキラはそう言って若干ふらつきながら医務室をあとにした。
『えっ...アキラさん?』
カイトは呼び止めようとするもその声は無視された。
アキラはそんなふらついた状態で志藤の書斎を訪れた。
『おや? どうしたんだいアキラ』
志藤は言った。
アキラは志藤に掴みかかり、こう問いただした。
『鳴滝カイト......あの男はいったい何者なんだ!!』
『前にも言っただろう? 私にもわからないと...』
志藤は言った。
『フューリーに変身できるだけじゃない。剣裁きも...言動も...雰囲気も。 全てがアイツを......カノンを思い出させる』
『...あの男はなんなんだ? 教えろ‼ 志藤!!』
アキラは言った。
『...今、私がわかっているのは“彼がフューリーになりえる遺伝子を持っていた”......ただそれだけだ』
『彼の存在についてはむしろ私が聞きたいくらいだよ』
志藤は困ったような表情で言った。
アキラは志藤から手を離してこう言った。
『もういい......。自分で調べる』
アキラは書斎を出ていった。
アキラは何かを決意したかのような真剣な眼差しで廊下を歩いた。
『.....』
仁王はウイスキーをラッパ飲みしながらアキラのその姿を離れた場所から悲しそうに見つめていた。
第8話【面影】 END