はい、食べます、食べますからそれに触らないでください許してください。
……食べますから。
そうだ、切って食べよう。
はい、ちゃんと食べます食べます、食べまスよ、ねぇ。
焼いて食べる。煮て食べる。生でも食べるし揚げても食べます。綺麗に切り分けて細かくしてしまえば何の肉か判らなくなる。
うん、美味しい。
美味しい美味しい、美味しいでスよ。大丈夫。ちゃんと美味しいから、美味しいでスから。
だから止めてください、返してくださいお願いします。
ごめんなさい、許してくださいごめんなさいごめんなさい……それを返してください……
はい、泣きません。俺は泣きません。
はい、俺はあなたの言った通りにします。だから止めてください許してください。
これ以上はお願いします、ごめんなさい返してください…。
……それも食べますから、触らないでください。
…あ…ご、ごめんなさい…反抗しません、許してください…それに触らないでください止めてください、止めてください、止めてください、止めてください、止めてください、止めてください、止めてください、触らないで……嗚呼……返してください…
嫌です、ごめんなさい止めてください、これだけは触らないでください、食べたくありません、嫌です嫌、嫌だ……
大きな肉塊は食べれます、でも小さい方だけは許してください。
何でだろう、あんなに食べたくなかったのは。
まぁ良いか、もう食べてしまったし。
……何故でしょうか、命を奪いたく無いのです。
ええ、あなたが命令、もとい仰有るのならばコロしますが。
ええ、ええ、そうです。
俺はあなたの物です、所有物で御座います。
昔の事は、覚えておりません。
気が付けばあなたとこの御屋敷に……ええ、ありがとうございます、こんな身寄りの無い、孤独で取り柄もない妖怪風情を置いて下さって…あまつさえ名前まで下さって…はい、俺に出来る事なら…はい、この歌留葉…今宵も夜伽の御相手を努めさせて頂きます。
はい、俺は貴女の所有物であり、式であります。
俺は貴女がスきです、大スきです、あイしてます。
はい、はい、離れません、何があっても。
……俺はオカシクなったのか。
いや違う、俺はオカシクなんかない。
オカシイのはあの女だ、俺はオカシクなんかない。俺じゃない。アイツがオカシイんだ。
あ……お帰りなさいませ。
食事の準備が出来ております、直ぐに温めますのでお待ちください。
はい、俺は貴女を愛していますよ。紫様。
やはり無理があったみたいね。
あの状態から無理矢理、式にしたのだもの無理はないわ。
此処は一つ、策を練りましょう。
手始めに少しだけ遠ざけてみましょうか。
とは言っても、貴方を未来永劫離したりはしないけどね、歌留葉。