※この作品はR-18です。

東方愛狂録   作:ソーヤー麺

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六話 忘年会

 

 

 

ーー12月30日ーー

 

今日は忘年会だ。

正直、行きたくは無いけれど、こればっかりは仕方無い。

八雲紫から直々の誘いを断れば、後が恐ろしいからな。

 

「…と、言う訳なので。楓さんには少しの間だけ留守番をお願いしたいのです」

 

「忘年会、ですか…」

 

「はい、妖怪やら何やらが集まるので…貴女は連れては行けません」

 

「……判りました、お留守番任せてください!」

 

「ではお願いします」

 

彼女が聞き分けの良い人間で良かった。

俺は人間が嫌いだが、彼女の様に純粋な人間は…嫌いでは無い。

まぁ、根っから純粋な人間等存在しないと思うがな…

彼女もその内、化けの皮が剥がれる日が来る筈だ。

 

それまでは、一緒に居ても…良いと思える自分が解らない。

 

「……ではそろそろ行ってきます、日付が変わる前には帰りますので」

 

「行ってらっしゃい!…ませ」

 

「…行ってらっしゃい、で良いですよ」

 

「っ…い、行ってらっしゃい…///」

 

犬の様に見送る彼女の頭を撫でてから、俺は外に出る。

外は既に雪が降り、鼻先を凍み付かせる様な寒さが俺を襲う。

 

嗚呼、彼女の髪は…何故あんなに柔らかく細かいのだろうか。

ずっと触って居たい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー博麗神社前ーー

 

神社からは既に、騒音が漏れ出していた。

ガヤガヤと楽し気な声が聴こえる度に俺の心境は複雑な物へと変化して行く気がした。

今からあの神社へと入らなければならないと思うと、今すぐ帰りたい気持ちが強くなっていく。

八雲に挨拶をしてすぐに帰ろう。

 

「……で、何時まで隠れてるんですか、射命丸さん」

 

「あやや…バレてましたか…」

 

そう言いながら木陰から出てくる烏天狗、改め射命丸文。

どうやら俺を見るなり隠れていたらしく、その真意も何となく察しが付く。

大方、俺の独り言を聴いてソレを記事にでもするつもりだったのだろう。

何とも…賎しい奴だ。

 

「何の用ですか?」

 

「連れないですね~、その性格少しでも治したらどうなんです?」

 

「余計なお世話です」

 

「…そう言えば、最近偉く仲の良い人間が居るみたいですねぇ…?」

 

……何故知っているんだ、この天狗は。

 

「あれ?今、コイツ何で知っているんだーって、思いましたね?」

 

「…思ってません、それと近付かないでください」

 

「何故だと思います?」

 

「……………どうでも良いです」

 

「そうですか?でも一つだけ覚えて置いてください。私の眼から、逃れる事は出来ませんから」

 

そう言って、嫌な笑みをその顔面に貼り付ける天狗。

俺はコイツが心底嫌いだ。

他人の不幸、死、幸せ全てを飯の種に変える女。

 

「…取り敢えず、中に入りましょう?」

 

「……そうですね」

 

嗚呼、帰りたい……

 

 

 

 

 

 

ーー博麗神社内ーー

 

神社の中は…一言で言えば「地獄」だった。

既に酔い潰れた妖怪や、暴れる妖怪。

悪乗りが過ぎる妖怪も居るが、ソレを止める者は誰も居ない。

 

「歌留葉!やっと来たのね…」

 

博麗霊夢、この幻想郷で一、二を争う実力を持つ巫女。

人間で在りながら、それだけの力を持つとは…やはり血統は争えない様だ。

 

「どうもです、これどうぞ」

 

「あら、何時も悪いわね。じゃあ楽しんで行ってね」

 

俺は持参した酒を、霊夢に手渡す。

霊夢は酒を引ったくる様に受け取ると、早速酒を振る舞いに席に戻った…欲深い奴だ。

 

「…紫さんは、奥か」

 

俺は騒がしい宴会場を抜け、奥の部屋へと向かう。

何度も声を掛けられた気がしたが、聴こえない振りをして切り抜けたのは内緒だ。

やがて襖が閉じられた一室の前に立ち止まる、中からは静かな話し声が聴こえてくる辺り、どうやら二人以上は居る様だ。

 

「…失礼します」

 

ゆっくり襖を開けて中に入ると、八雲紫と西行寺幽々子が酒を酌み交わしていた。

 

「あら柊じゃない、来てくれたのね」

 

「…俺が貴女の誘いを断れ無いのを知っている癖に、良く言いますよ」

 

「そうね、ふふふ」

 

口元に扇子を当て、クスクスと笑う八雲紫。

嘲笑とも取れるその行為に、俺の苛立ちは更に増加する。

 

「…兎に角、顔は見せたので帰ります。では」

 

「待ちなさい…」

 

「…何でしょうか?」

 

八雲紫の纏う雰囲気が、一気に変貌するのが見て取れた。

嗚呼、嫌な予感がする…

 

「貴方の命を救ったのは私よ、私の命令が訊け無いの?」

 

「…………」

 

西行寺幽々子がニヤニヤと笑っている、何とも言い表せ無い感情が俺の心中に渦巻く。

 

「何を、しろと?」

 

「…私に…口付けをしなさい」

 

…またこれか。

 

「…解りました」

 

八雲紫は何時も接吻をせがむ。

何でも俺を愛しているらしい。

何故かと訊いても答えは無い、この女の考えている事が解らない。

取り敢えず今は、我慢して命令に従っていれば良いのだ。

 

「…眼は閉じなくて良いんですか?」

 

「…そうね……はい、良いわ」

 

既に酒が入っているせいか、頬を紅潮させた八雲紫の肩を掴む。

痛め無い様に、優しく…そしてゆっくりと顔を近付けて見る。

鼻先と鼻先が当たりそうな距離にまで近付くと、八雲紫は俺の背中に腕を回してくる。

そして八雲紫が腕に力を込めると…

 

「……っ…」

 

「んっ…//」

 

八雲紫の唇と、俺の唇が合わさった。

そのまま五秒程合わせたままでいると、八雲紫が俺の着物をキュッと握る、それが合図だ。 

 

「……ん…」

 

「…んん…っ…ふ…ぅ///」

 

俺は八雲紫の唇に舌を這わせる、二つの双丘の割れ目にゆっくり、ゆっくりと…

そしてその双丘を舌で割り、八雲紫の口内へと舌を挿入する。

 

八雲紫の舌と、俺の舌がねっとりと絡み合い、甘味のある唾液が互いの口内を満たす。

やがて溢れ出した唾液は、八雲紫の口端から一筋の光となり、畳にポタリと滴り落ちた。

 

やがて俺の服を掴む、八雲紫の力が弱まったのを感じると、俺は八雲紫の唇から唇を離す。

 

「…は…っ…満足ですか?」

 

「ぷはっ……んん、そう、ね…満足よ…//」

 

八雲紫は息も絶え絶えに、妖艶な笑みを浮かべながら俺を見上げる。

俺はそんな八雲紫から目線を外すと、直ぐに襖を開ける。

 

「…じゃあそろそろ帰ります、今日は招いて頂いてありがとうございました」

 

「待ちなさい、最後に一つ…」

 

「………何でしょう」

 

「貴方、最近人間を拾ったのね…」

 

「……射命丸さんですか」

 

「…良い?あまり人間とは関わらない事よ。泣きたく無いのならばね」

 

「……ご忠告ありがとうございます、では」

 

俺は部屋を出て、襖を閉める。

最後まで西行寺幽々子は笑みを絶さなかった…

小走りで神社の外へと向かう途中、再び呼び止められた気がしたが…また無視した。

 

それよりどうしよう?

彼女の事が、八雲紫に知られてしまった。

嫌な予感がしてならない、嗚呼、どうしよう…

 

 

 

射命丸…文……

 

あのクソ烏が…

取り敢えず家に帰ろう、今は楓に会いたい。

 

 

 

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