バッドエンド注意。
(ティラナ視点・アニメ7話冒頭からの続きです。)
奴は私を乱暴にベッドへ放り投げると、うつ伏せにして両手首をテープで素早く縛り上げた。
抵抗しようとしたが、短剣(ディナンゲ)を出す隙も無かった。かなりの手練れだ。
両足首も縛られ、動くことができなくなってしまった。
奴は私を仰向けにすると、その汚らしい舌で私の頬を舐めた。
ナメクジに這われたような感触に、背筋に悪寒が走る。
「外道が!生まれてきたことを後悔するがいい!
剛力の腕(マイナ・ボルヘ)・・・、・・・?!」
身体強化の術(ミルディ)を唱えようとするが、奴の腕が喉元を締め付ける。
「自己紹介をしよう。僕は筋トレが趣味でね。握力は130kgを超えているんだ。」
息ができない。奴の手から逃れようと藻掻けば藻掻くほど、一層苦しくなる。
暴れるたびに唇の端から唾液が漏れ、枕にいくつもの染みを作った。
意識が途切れそうになる直前で奴は手を離した。
「!・!!・・ッ、クハッ、ゴホッ」
新鮮な空気が喉を貫く衝撃にむせ返る。
遅い。ケイが来ない。もう部屋に入って来てもいいのに。
「君が警察の犬だっていうのはわかってるんだよ。お仲間はいくら待っても来ない。
残念だったねぇ。仕事柄、こういった情報を掴むのには慣れていてね。
いいかい、政治家として重要なことの一つは、相手の十歩先を読んで行動することなんだ。」
奴の手から、盗聴器の破片がパラパラと床に落ちる。
「もちろん、隠しカメラも見つけて壊してある。」
どこまで見破られていたのか。力よりも、その周到さに恐怖を覚えた。
自分はなんて恐ろしいものを罠にかけようとしていたのか。
そして今、どんな恐ろしい罠にかかっているのか。
この男は危険だ。ここで始末しなければならない。
でも、どうやって。術(ミルディ)は封じられ、短剣(ディナンゲ)も使えない。
ケイも来ない。ケイ・・・。
いつの間にか全身が震えていた。太腿の間からシーツの上に染みが広がる。
「おやおやぁ。お漏らしかい?もう少し我慢してくれると思ったのに。」
男の指先が湧き出した源泉の近く、下着の表面を舐るように触れる。
もう足掻くことすらできない。自分を圧倒する存在に、唇を震わせて、ただ、懇願するしかなかった。
「やっ・・・。お願・・・い・・・、やめ・・・、て・・・」
シーツをすべるようにしてベッドの上を逃げる。
「わかった。君のお願いを聞いて、やめてあげよう。」
男は舌なめずりすると、耳元で言葉を続けた。
「ただし、それがいつになるかは約束できないけどね。」
・・・
それから先はよく覚えていない。
ケイが部屋に入ってきたとき、部屋に男の姿はなかった。
私は差し出されたケイの手を掴むことすら怖くて、
ベッドの端で枕を抱きながら、「ラケバイ・・・、ラケバイ・・・」とつぶやいていた。
数日後、警察がおとり捜査のためにデートクラブに未成年女性を出入りさせているというニュースが報道され、警察には問い合わせが相次いだ。これもあの男の仕業なのだろう。
・・・
もう、どうでもいいことだ。
故郷へ帰る船の上で、自分の映る水面を見つめる。
ヴァイファート鋼の鎧はよく沈むだろうか。
唱え慣れた詠唱を口ずさむ。空には鳥の群れが見えた。
「秩序の盾、戦神の加護よ(ロゴ・ダイテイ、ラブナ・イエ・ギゼンヤ)」
風は凪いで、海面は穏やかに光を讃えている。
誰も気づかないぐらい小さく、波が少しだけ音を立てた。
朝に寝ぼけた状態で書いたら、コップクラフト7話と握力130kgのプログラマーの話が混ざってこんな風になりました。