なんやかんやあってワールドクラッシャーと致すことになったリア二人。
まず先んじてアイリールが積極的に、且つ急ぎ過ぎない程度にルクラと触れ合っていた為、エロゲ主人公を撃ち堕としたテクニックを有するアイリールによって彼女は既に蕩け顔になっていた。
「うあぁ……♡」
「これならもう大丈夫そうだね」
「お、おう」
その見事な手腕には相棒である夜も軽く引いていた。やり方もそうだが段取りが即興のソレではない。
まず手を握って囁きながら警戒を解いていき、次は首筋や胸を撫でまわして徐々に体を熱くしていく。
リア勢の想像以上にルクラが感じやすい体質だった為少し工程を飛ばして、今度はパンツの上からルクラの秘所を
ここで更にルクラが濡れやすい体質だったという衝撃の新事実も発覚。うっすらと濡れてパンツを少し湿らせた様子を見て、多少のペースアップを図った。
そこからあーしてこーしてこうなって、今に至る。ベッドの上に座り、背中から完全に体重を夜に預けているルクラの瞳には既にハートマークが。
そう、まだ繋がっていないにもかかわらず既に数回ほどアイリールが彼女を甘イキさせていたのだ。元エロゲヒロイン恐るべし、といった所か。
「そろそろ……夜」
「わかった」
アイリールの意図を察した夜は一度ルクラの頭を撫でると、彼女の耳元に顔を近づけてから囁く。
「ルクラ。これから
「す、する……?」
「うん、あの本みたいに、ルクラのここに──」
囁きをしながら夜は右手をルクラの股の間に伸ばした。
そして既に大洪水を起こしている彼女の秘所に指で触れ、その恥核──クリトリスを軽く撫でる。
「ひゃあぁっ♡♡ そこっ、あんまりさわっちゃ……ぅぁっ♡」
「……。」(あんなにアイリールに弄られたのに元気だな……)
ルクラの精力、強い弱いで言えば圧倒的に強い方だ──そう夜は察した。
察したのだ。今日はここからも大変だぞ、と。
「……ここに。
「いれるって……?」
ルクラを膝上に乗せたまま陰茎を露出する夜。既に硬く起立した彼の肉棒が彼女の股の下に宛がわれた。
今のルクラからすれば眼下に夜の竿があり、角度的には自分の股から肉棒が生えているようにも見える。
すると、夜のソレを見たルクラは顔を赤くしてしまった。
「あ、あうぅ……」
「ルクラっ」
そこですかさず彼女の傍に寄り、フォローを欠かさないアイリール。
ルクラは耳元で囁かれればだいたい九割のことには従うと彼女は既に知っている。
「手で顔を隠しちゃダメだよ。ほら、しっかり見て」
「でも、でもぉ……」
「大丈夫。私も一緒に見てあげるから。二人なら怖くないよ」
駄々をこねるラスボスの頭を撫でて励まし、トドメに頬へのキスをして勇気づける。
すればルクラは怯えながらも顔から両手をゆっくりと退かし、眼下にある肉棒へと視線を注いだ。
「……う、うわわっ」
「こわくない、こわくない」
狼狽するルクラの頬にアイリールは自分の頬をくっつけ、全く同じ目線で陰嚢を眺めながら彼女の手を握ってあやした。
直ぐにとはいかないものの、そんな彼女の献身によって徐々にルクラは肉棒に慣れ始めていく。
(………あわわわわ)
しかしながら余裕を気取っている
(なにこれぇ……! 夜のおち──んんっ、お、大きくなるとこんなに……)
こんな心の声を漏らすわけにもいかず必死に脳内で咀嚼するが、動揺する心臓は鼓動を早めるばかりだ。
それもその筈。確かにアイリールはほぼ毎日夜のシャワーに突撃しているが、いつも下を隠す夜の配慮によって彼の陰茎をまじまじと見つめたことはなかった。
それに一番大事な事として、レンや小春と違って彼女は夜との肉体関係はそもそも皆無。一度も彼の陰茎に触れたことすらなく、それどころか間接キス程度で顔を赤くする始末だ。夜との、言葉そのままの意味のキスなど想像したことすらない。
(あ、でもルクラは慣れてきたみたい。よかったぁ……)
そしてアイリールは、互いに繋がった経験もある海夜兄妹とは違い、状況に流されて行為に及ぶことはない。それはすなわち、間違っても夜の竿に触れたり、ましてやルクラと合わせて夜に抱かれる事も無いということだ。
こんな状況でさえもやはり、このリア二人が一線を越えることはない。
「じゃあ夜、十分濡れてるし、もう挿入れちゃっても大丈夫だと思う」
「わかったけど……ルクラは大丈夫か?」
「へ、平気だっ。我はワールドクラッシャーだからな!」
ついに挿入の時が来た。先程まで弱々しかったルクラもこの場面をしっかりしないと駄目だと察したのか、一人称と口調をいつもの高慢モードに戻している。
「かかってこい……!」
「じゃあ──いくぞ」
ベッドの上に座っている夜の膝上にルクラが座っている形になる為、今の体勢はいわゆる背面座位というものになる。
後ろ側にいる夜がルクラの腰を掴んで軽く浮かせ、アイリールと彼女の触れ合いを見て大分前から興奮して勃起していた肉棒を、未経験少女の秘所の入り口に宛がった。
「んっ……♡」
「夜、ゆっくりね」
「うん」
そして膝の上に乗せているルクラを少しずつ下ろしていき──
ずぶっ、ずぶぶぅぅ……。
「──ひぃ゛っ」
まだ亀頭が少し入っただけだが、ルクラは股の間に異物が入り込む不快感と、まるで裂けるような痛みに悶えて小さな悲鳴を挙げる。
「いっ、だ……ぁ!」
早くも涙目になっている彼女を何とかしたい夜だが、今の彼の両手はルクラを支えている状態の為身動きが取れない。
そこで夜はアイリールにアイコンタクト。相棒同士の掛け合いは見事に通じ、彼の意志を察したアイリールはルクラの両手を正面から恋人繋ぎした。
「ルクラ。私の手をぎゅって掴んで」
「ふぅ゛っ、うぅぅ……!」
言われた通りに彼女の手を必死に強く握りこむルクラ。自らの痛みを我慢するべく、握りつぶしてしまいそうな程にアイリールの手へ苦痛を発散していく。
「やっ、ぁぁ……っ、いたっ、い……」
「大丈夫、大丈夫だよ」
「ふっ、ふぅっ……! うっ、ぐ……む、むりぃ……痛いよぉ……」
未だに破瓜の痛みから逃れられないルクラを案じ、しかしこのままでは埒が明かないと感じた銀髪少女は少年に指示を伝える。
「このままじゃ辛いだろうから、もう全部入れちゃって」
「えっ、いいのか?」
「全部入った状態から慣らした方が手っ取り早い。ルクラは私が何とかするから」
「……わかった」
何とかする、という相棒の言葉を信じた夜はゆっくりとルクラの腰を下へ下へと降ろしていく。
「あぅぅぅ……!」
ぐぐぐっ、クチュッ。グブッ、ず、ぶっ……。
「こっちを向いて、ルクラ」
「うぁぁっ、ひっ、ぐ……ぇ、え?」
顔を俯かせて耐えているルクラに語りかけるアイリール。
彼女の声を聞いた少女はゆっくりと顔を上げ──
「んっ」
「んむっ……!」
涙を浮かばせながら痛みに悶えるルクラに、アイリールは優しいキスを施した。
まだ舌は侵入させずにゆっくりと丁寧に口づけを交わしていく。
「ちゅ……んちゅっ」
「あんぅ……んむっ、ちゅぅ……」
それによって先程まで強張っていたルクラの唇が解放された。これ幸いとアイリールは身を乗り出し、彼女と両手を繋ぎながら舌を交えたディープキスを始める。
「んぷぅっ、ちゅぅ……っ、んふっ」
「あむぅ、んちゅっ♡ れぅろ……んむっ……♡」
段々と頭がボーっとしてくるルクラ。どうやらアイリールのキスによる痛み緩和作戦は成功したらしい。
キスに夢中になりながら頭が沸騰していく今のルクラに、先程までの様な苦悶の表情は見受けられない。
「ちゅ……っ、ぷは。ぁ、ふあぁぁ……♡♡」
「んっ、これで大丈夫かな」
その見事な手腕によってルクラを落ち着かせたアイリールは一旦右手を離し、蕩け顔になったルクラの頭を撫でた。
行為を始める前にやっていた夜の行動のおかげで、ルクラは頭を撫でられることが一番落ち着く行為だということが判明している。
膣内に肉棒が入り込む感覚に慣れてきた今こそ手を抜かず、抽挿をしても問題ないよう更にルクラの精神を安定させる必要があるのだ。
これは(一応)世界の命運が賭けられた戦いなので手を抜くことは許されない。そう肝に銘じてリアの二人は事に及んでいる。
「くぅっ、ルクラの
体型の小さなルクラは当然膣内も狭く、夜の肉竿には彼女の締め付けによって途方もない快感が押し寄せていた。気を抜けば射精も簡単にできてしまう程に。
だが。
いつもはレンや小春にいいように扱われている夜のよわよわチンポだが。
(根性みせろ俺ぇ……!)
今回ばかりはなんとか耐え抜いている。世界の命運という重荷を背負った今の彼の心構えは、あの穴兄妹に襲われている普段とは段違いだ。
(これ以上こいつを失望させる訳にはいかない……!)
そして何より、過去に自らが傷つけてしまった目の前の少女を、今度こそしっかりと喜ばせてやりたいという熱い
「い、今から動くぞ。いいか?」
「ぁ…………う、うん」
夜に耳元で囁かれ、少し怯えながらもコクンと頷くルクラ。
そんな健気な彼女に、精一杯尽くしてやりたい、
「──っ♡♡ ああぁっ♡ 」
「ふっ、ふっ……」
ピストンとまではいかない程のゆったりとした抽挿。僅かに腰を動かすことで、膣内に収まった肉棒でほんの少し彼女の内側を刺激すれば、ルクラは直ぐに甘い声を出した。
「はぅぅ……♡ おちんちんがっ、私の
夜が今まで体験してきた激しい『交尾』とは全く程遠い、甘くキスをするような
「きもちっ、いぃ……♡」
下からゆっくりと突き上げられる感覚がルクラの体の力を奪い、快感に溺れかけた彼女はフラフラと揺れる。
「うぅっ、あ、アイリール、頼む」
「りょーかい」
何とか刺激を我慢するので精一杯な夜は、相棒にルクラの支えを要求した。
その指示通りに動いたアイリールは再び彼女の両手を恋人繋ぎで掴み、正面からバランスを取ろうと頑張る。
「っ♡ んぅっ♡ うくぁあっ♡♡」
そんな彼らの献身もあってルクラは行為に夢中な少女へと変化。
普段の強がりも冷静さもかなぐり捨て、ただ目の前の快楽へ必死に抱きついていた。
そこで夜は彼女へ新たな快楽を与えようと模索する。
(リアのときは
思考のままに夜は後ろから手を伸ばし、シャツがはだけて露出しているルクラの胸に指で触れた。
「んひゃあっ!? ふあぁっ、ひ、ひうぅ……♡♡」
人差し指と親指で軽く乳首を摘んでみれば、夜の予想通り彼女は腰と肩をビクつかせて嬌声を挙げた。
経験不足ゆえに乳首が性感帯なのかは判別がつかないものの、少なくとも刺激されて悦ぶ箇所だということは理解できた。
くり、クリリ……と、金庫のダイヤルを操作するかのようにそっと乳首を指二本で刺激していく。
「ぁあ……ぅ、あ♡」
「ここ、どうだ?」
「ち、乳首いじっちゃ、やぁ……♡」
質問すれば帰ってくる甘い声音のセリフ。
そんな男の本能を刺激する様な猫なで声を聞かされた夜だったが、目の前にいるアイリールのおかげで冷静さは保っていられる。
「あッ♡ はぁあッ♡♡ んんッ……ひぁあッ♡♡」
乳首と膣奥を同時に刺激されて全身がビクビクと跳ねるルクラを見て、もうひと押しだと悟ったアイリールはズイッっと前に出た。
「ルクラ。ルクラ」
「ふひゃぁ……♡ う、ぁっ♡ ……ふあ、だ、だぐす、とりあ?」
「もう一回キスしたい。……いい?」
敢えて自分から求める
「い、いいよっ♡ きしゅっ♡ ちゅーしよ♡♡ ううん、したいっ♡ だぐ──あ、アイリともっとちゅーしたいっ♡♡」
「ありがとう、嬉しい」
「え、えへへっ♡ ん、んん──」
そんな彼女の思惑を知ってか知らずか、ともかくキスを欲しがるルクラにアイリールは唇を重ね合わせる。
先程よりも深く、今度は本気のディープキスをするために。
「んんむっ、んぶっ、ぢゅぷぅ……っ」
「あむぅ、んちゅっ♡ れぅろ……んむっ♡♡」
舌が激しく絡み合い互いの甘い唾液が行き交う、貪り合うようなキスで脳内が沸騰していくルクラ。
「んふぅっ♡♡ ちゅ……レロッ、ぢゅぷぷぅっ♡♡」
(そろそろ、かな)
気を見計らってアイリールは一度ルクラとのディープキスを中断した。
それを確認した夜は後ろから強くルクラを抱きしめ、ゆったりとした抽挿を少し早めてピストンへと移行させる。
「んあぁぅっ♡♡ は、はげしっ♡ みしゃきのおちんちんっ♡♡
「うっ、く……!」
その間も乳首への愛撫を止めることはなく、彼女の全身へくまなく快楽を伝えていく夜。その甲斐あってルクラは腰をビクつかせると同時に、体の内側から湧き上がってくるような快感の波、その前兆を感じ取ることができた。
「い、イキそうなのか、ルクラ……!」
「あひっ♡♡ あっあぁぁっ♡♡ いっひゃう、うぅっ♡♡ またビリビリきひゃうぅぅぅっ♡♡♡」
(ど、どうすれば──!)
ここで困り果ててしまう美咲夜。ルクラが絶頂しそうなことは解ったものの、自分もそろそろ肉棒に纏わりつく快感を我慢できそうにない。
はたして本当にこのまま自分もイっていいのだろうか。
中出しは流石にまずいのではなかろうか。
そもそも彼女に妊娠機能は備わっているのか。
(っ! 夜が!)
そんな彼の葛藤を表情だけで読み取ったアイリールが、事態を一番良い方向へと進展させる為に動く──!
「る、ルクラっ、もうイッちゃう? また気持ちいいの来る?」
「きちゃうぅぅぅ♡♡ もう無理ぃぃっ♡♡」
「どうしようか……一番気持ちいいやつ、まだやってないけど」
「ふえぇっ?」
これまでの快感よりも更に上のモノがある、といった発言を受けて一瞬ルクラの意識が戻ってきた。
そこを逃さずアイリールは彼女の耳元で淫靡に囁く。
「
「あ、アレ……? ───あっ♡」
アイリールの言葉によって一秒前まで忘れていた事を思い出したルクラは、顔を斜め上に向けて後ろにいる夜へ語りかけた。
「……な、なかっ、だ、し……」
「えっ、ルクラ?」
「中出しっ♡
それは正真正銘ルクラの“おねだり”だった。そんな彼女の可愛らしい要求を聞いた夜は、最後の引き金を引くことを決めた。
「わかったっ、もう出す……! ルクラも一緒に……っ!」
一気にピストンを早める夜の肉棒がカリや亀頭で膣壁を抉り、膣内を蹂躙されてルクラの全身に快感が駆け抜ける。
「んひゃあぁぁっ♡♡ ひっ、ひぐぅぅっ♡♡ あ、アイリっ♡♡ アイリもぉっ♡♡♡」
「うんっ、キスしながらいっぱいイッちゃっていいからね──んっ」
「んぷぅっ♡♡ ちゅぅぅぅ♡♡ んぷっ、ちゅっ♡♡ んうぅぅぅぅっ♡♡♡♡」
乳首と膣奥と舌を同時に責められる三点バーストでルクラは限界に達してしまう。
もはや我慢することは叶わない。その快感の波に浸ることで、彼女は改めて性の快楽をその身を以て思い知ることとなるのだった。
「んむぅぅっ♡♡ んちゅっ、ぢゅるるぅぅぅぅ♡♡ んぷぅぅっ、んんっ、ん゛ン゛───ッ♡♡♡♡♡♡」
びゅくんっ!! ぶびゅるるるぅ……っ♡♡♡ どぶっ、ぶびゅるるるるぅぅぅぅぅ……っ♡♡♡
ぷしっ、ぷしぃっ、ぷしゃあぁぁぁ──っ♡♡
「──ッッ!!? っっ♡♡♡♡ ~っ♡♡♡ っッ♡♡♡♡」
アイリールに口を塞がれたまま声にならない嬌声を挙げ、全身を打ち上げられた魚のように跳ねさせるルクラ。
彼女の脳内にはバチバチと快楽の電流が迸っており、その虚ろな目は完全に蕩けきっている。どうやら完全に性欲の虜へと変貌してしまったようだ。
「はぁっ、はぁっ……」
「んっ、ぷはっ。……ふぅ、ふぅ」
そんな彼女を全力でもてなしたリア二人も些か疲労が見える。いわゆる接待プレイとは精神と体力と同時に消費する大変な行為なのであった。
最高の絶頂を体験できたルクラ。
しかし、彼女の性欲は夜の見立て通り相当なものらしく、既にルクラは体勢を変えて今度は正面から夜に抱きついている。
まだまだ満足しそうにない覚えたての少女を前にして少し困惑する二人。
だがここまで来たら最後まで付き合う以外の選択肢は存在しない。
そんなこんなで、この三人の夜はまだ───
★ ★ ★ ★ ★
「すぅ……すぅ……」
「……寝たな」
「……うん、寝ちゃったね」
あれから数時間に及んで様々なプレイをルクラに体験させた夜とアイリールは、疲れ切ってようやくベッドで眠ったルクラを見ながら椅子に座って休憩をしていた。
「いやぁ、なかなか疲れた……腰がいてぇ」
「お疲れ様。……はい、ココア」
「お、サンキュ」
労いの言葉と共に渡されたマグカップを手に取り、夜はゆっくりとそれを味わっていく。彼らもこれを飲み終わったらルクラと共に眠るつもりだ。
「んくっ。……ふぅ。アイリールの方こそお疲れ様。本当に助かったよ」
「ふふん、もっと感謝してもいいよ」
「いやマジで。もしアイリールに怒られないで最初の調子乗ったテンションのままやってたら……考えるだけでゾッとするわ」
「……んー、夜って別にえっちに強い訳じゃない(むしろ弱い)から、多分すぐにギブアップしてたと思うよ」
「辛辣な評価をどうも……」
談笑と言えるほど綺麗な話題ではないものの、二人の会話は弾んでいる。
久しぶりの共同作業を終えた後の相棒との談話は楽しい。そんな風に考えているのだ。
夜一人だけが。
(………だめ、何で……)
今のアイリールの心境を夜は察していない。察せる筈もない。ポーカーフェイスが上手いアイリールの心を読み取るには、まだ至らない。
(こんなの違う……)
必死に心の中で自分のもう一つの声を殺そうとする彼女に気づくことが、まだ今の彼には叶わない。
(夜が困るような事、考えちゃダメなのに……!)
感情を振り払う。彼に気づかれない程度に首を横に振り、脳内のふざけた思考を消し去ろうと試みる。
だが、消えない。今アイリールの中で渦巻いている感情は、正しく彼女の心そのものであるからだ。
(…………怖い、なんて)
アイリールは怯えていた。
夜がルクラと繋がるその姿を目の当たりにして、焦燥感と恐怖が胸を駆り立てていた。
(この二人が、二人だけの世界に入りそうになった時……不安になっちゃった。こんな事で動揺しちゃうなんておかしい……)
夜が関係を持っている
彼らが夜と行為に及ぶ際はこんな気持ちにはならなかった。
それは何故か?
当然、自分が夜と一つになっていたからだ。アクセスウォッチに潜むことで心を同じ場所に置き、場合によっては夜がリアに
(あの兄妹だって、リアにはなれない筈だから)
たとえレンや小春が夜とどんな行為に及ぼうと、どれだけ性の繋がりを交わしたとしても──夜と一番近い距離にいるのは間違いなく自分だ。
性行為で互いに快感を得るのではなく、全く同じ感覚を共有できるのは自分だけ。
(どこまで夜を愛そうとも、一番深い部分で繋がっているのは私だけ)
一種の優越感。独占欲。
それは何よりもアイリール自身が嫌う感情だった。自分をモルモットとして拉致した悪の組織員たちと同じ、身勝手で無責任な感情だから。
しかしそれらは間違いなく、今現在の『アイリール・ダグストリア』という少女を形作る要素の一つだ。
(でも、でも──)
自分と繋がっていない、一人の人間の状態である夜とルクラが体を重ね合うその光景を見て、心を支えている傲慢な優越感が、僅かに揺らいだ。
ルクラの件を解決するには二人じゃないと駄目だから、感覚を共有できない個人に分かれたことで──
夜が他人と繋がるその光景を、初めて別々の人間として目の当たりにして、手が震えた。
──取られてしまう。そんな不安が脳裏によぎった。
(ちがう、ちがう、そんなんじゃない……夜は私の物じゃない、所有物なんかじゃない。取られるなんて考え方は間違ってる)
必死に心を誤魔化しながら行為を手伝った。心に深い傷を負ったルクラという少女を安心させるために、自分に出来る事を精一杯やった。
達成感はある。彼との共同作業をしたという事実も胸を躍らせる。
だがやはり、薄れこそしたが心の不安は払拭できない。
見当違いな独占欲が自分の心を黒く染めようと暗躍している事実に、心底辟易した。
(だ、だめ、これ以上考えたら、私──!)
「んくっ……!」
泥濘から抜け出せなくなってしまう。黒い感情に支配されてしまう。
それを危惧したアイリールは一気にココアを飲み干して、無駄な思考を打ち切ったのだった。
「うっ、げほっ、けほ……」
「ちょ、急に何やってるんだ! 大丈夫か!?」
熱いココアを突然一気飲みして噎せた相棒を心配して駆け寄る夜。
そんな、自分を心配してくれた彼を目の前にして、アイリールの心を少しだけ“我が儘”が操った。
「…………ねぇ、夜」
「何だ、水か?」
「ううん、それは大丈夫。それよりお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
か細い声で語りかける相棒の様子を目の当たりにして、夜は動揺した。
彼女のこんなにも心底寂しそうな顔を見たのは、きっと今日が初めてだったから。
怖がった姿を見たことはある。怯えてる姿も見たことがある。
だが、こんなにも──不安に押し潰されそうな顔を見たことは、今まで一度もなかった。
「……何でも言ってくれ」
ならばやる事は一つ。
彼女の望みを叶えてやればいい。
アイリールの事は世界で一番、誰よりも理解しているのだ。
そして傍に居てやれるのもきっと自分だけだ。出来る事ならなんだってやってやる。
この程度で狼狽えてたら相棒失格だぜ───と、意外にも夜は夜なりに考えていたらしい。
気持ちを読み取ることができないのなら、せめて傍にいる。そして彼女から話してくれるのをジッと待ち続ければいい。
四六時中一緒にいる相棒なのだ。時間を掛けて距離を詰めていこう。
「……私にアクセス、して欲しい。ずっとじゃない。朝、起きる時まででいいから」
「了解だ、ちょっと待ってな」
「えっ」
予想以上に迷うことなく机の上のアクセスウォッチを腕に取り付け始めた夜を前にして、アイリールは困惑した。
ルクラの件はデリケートに、そして相棒でしかない自分が望み過ぎてもいけない。
そう考えたアイリールは、せめて朝まで
少しでも一つになっていれば、きっとこの心の迷いも消えると思ったから。
だが──こんなにも夜の呑み込みが早いのは予想外だった。
「うっし、準備できた」
「は、はや」
「じゃあ行くぞ。──
「うわわっ──」
間髪入れずに変身の掛け声。
腕時計のスイッチを起動させることで夜とアイリールの体が発光し、程なくして二人は一人に変身した。
夜であり、アイリールでもある──彼女の名はリアだ。
「変身完了っと。それじゃ寝るか」
(う、うん……)
なんだか思ってた展開と少し違う、なんて考えるアイリールの気持ちを知ってか知らずか、ともかくリアはルクラの眠るベッドの中へと潜り込んでいった。
──ちなみにアイリールは先ほどまでルクラの事を危惧していたようだが、そんな思いとは裏腹にルクラはどちらかと言えばアイリールの方に好意を向けているのだという事実を、今の彼女はまだ知らない。
つまり彼女の心配は杞憂に終わるというワケだ。
めでたし、めでたし。