割りと楽しんでるようです
ひーふーみーと机上の数字を数えて計画を建てる。
前の鎮守府ではボーキサイトが足りなくなるのに苦しんだので、意識して節約していたら今度はボーキが余り燃料や弾薬が足りなくなっていた。
「うーん、どうしようか」
「素直に私をもっと出撃させたら良いのでは?」
「赤城さんはうちの切り札だから……」
前の鎮守府から連れてきた、当鎮守府唯一の女性型艦娘赤城。彼女の練度は実験場として作られたこの鎮守府において場違いな程の高さを誇る。
だが、出撃はさせない。彼女は緊急時の防波堤であり手元から動かしたくない。というのが私の方針だ。
「規定量に足りなくなった分は本土から来るとはいえ、節約するのに越したことは無いのに」
「この子達もだんだん強くなって来たので、そのうちにちょっとずつ良くなりますよ」
そう言って、私は膝の上に乗せた彼の頭を撫でる。するとそれを見た赤城が呆れたようにため息をつく。
「……提督。趣味も良いですが、それで任務に支障をきたすことはしないようにしてくださいね」
「趣味じゃないよ。これも大切な業務何だから。ねー、響くん」
彼の耳に息をフーッとかけると、ひぁぁと小さな鳴き声が出た。あぁ、かわいい。
あまりのかわいさに、数字に向かわせていた意識を机の下の左手に移して、動きをより洗練させる。
彼はやや敏感なため、僅かな刺激をサワサワと与えると刺激から逃げようと腰が引けて、お尻が私に押し付けられる。
「……容姿は良いのに、何でこんな性格に」
「誉めてくれてありがとう」
とてもいい気分に成ったので、醒めないうちに終わらせようと思い、机を見るとちり紙が切れているのを思い出した。
「赤城さん、ちり紙取ってきてくれません?」
「……はぁ、分かりました」
こんな下らないお願いを聞いてくれる辺り、何だかんだ彼女は親切だ。
彼女が部屋から出るのを見てから、響くんに話しかける。
「もうちょっと我慢してね。出しちゃダメだよ」
響くんは、ぼうっとした顔でこちらを向いた。
その目はいつもより潤み、少し荒くなった呼吸が僅かに空いた口から漏れ出る。ちろりと赤い舌と小さな歯が除くのを見ると、何故かそれに私は目を奪われてそのままどんどん顔を近づけて……
「提督!今帰還したよ!」
バン!と扉を開けた大きな音と共に大きな声が入ってくる。
「暁!この扉軽いから気を付けなさいって前にも言ったじゃない!」
「喧嘩はやめるのです。せっかく遠征終わったのに……」
「あー疲れた!提督、もっと人数増やしてくれよ!やっぱ軽巡がオレだけとかキツいって!」
危なかった。もう何拍か遅れてたら見られていた。彼らからは私の左手は机に隠れて見えてないから大丈夫、ばれてない。
「お疲れ様。ごめんね遠征を少人数で頼んじゃって……。なかなか人員強化の許可が落ちなくてね」
「増やせないのはしょうがないのです。小規模な鎮守府なので、増えちゃったらさらにご飯が混むのです」
「はぁ……上は俺達が戦果挙げることは求めてねぇのかな」
「天龍さん、私達はキッチリ仕事をして男性型艦娘の採用するかの材料になることが戦果なんだよ」
「暁……お前たまに良いこと言うなぁ」
「真の紳士を目指すものにとって当然だね!」
ワイワイと話しているところを切り上げる。
「遠征中の記録はいつも通り明日回収するから、もう今日は自由時間にしていいよ。お疲れ様」
「了解なのです。……響は今日はいつまで秘書艦なのです?」
「六時までだよ。終わったらゲームの続きを続けよう」
「楽しみなのです。遠征中に考えた作戦で圧勝してやるのです」
皆がパタパタと部屋を出ていく。
「ねぇ、響くん。ちょっと焦ったね」
空いてる右手で彼の頬をつつく。
「様子がおかしいのとか良くバレなかったよね」
人差し指で彼の唇に触れる。
「おかしいね?私の左手に沢山何かが溜まってるね。……出したら落ち着いたのかな?」
左手を彼の目の前に出す。
「出しちゃダメって言ったよね?」
小さな頷き。
そして私は左手を彼の口元に持っていく。
「無かったことにしなさい」
彼の小さな口に白い物が流れていく。その量は多く、粘度も煮こごりを思い出させるほどだ。とはいってもたかだか私の手に収まる量。難なく飲み終わる。
手を少し開いてそのまま口から離さずにいると、彼はペろぺろと私の手を舐めて、綺麗に無かったことにした。
「何もないね」
「はい」
「遠征帰還の予定は?」
「明日正午に2つです」
「こっち向いて」
「はい」
私は彼の口を綺麗にしてあげることにした。
彼の口は熱くて、甘くて、青い匂いがした。
「提督、ちり紙です」
「……ふはぁっ。……動じないし静かに入ってくるね」
「やはり男性型艦娘は個体によっては性欲の処理が必要なのは大きな欠点ですね」
「欠点とか言わないで愛嬌っていってあげてよ」
「欠点です」
「もーっ」
ギュウと胸の中の響くんを抱き締める。
これが欠点なんてとんでもない。
「はぁ早く元の鎮守府に帰りたい……」
赤城さんに愛想を尽かされないように手を打とうと考えながら、私は再び響くんに口付けをした。