異世界に転生した女子高生がサキュパスと暮らし始める話です
転生して2か月が経ったある日。その訪問者は突然やってきた。
「お願いします! 中に入れて下さーい!!」
コンコンコンッ!と扉を叩く音と、はきはきとした女の子の声が部屋に響く。「はぁ」と私はため息を吐き、扉を開けると、ピンク髪のびしょ濡れの女の子が、ポツンと立ち尽くしていた。よく見ると角と尻尾が生えている。きょとんとした表情は捨てられた子猫のような可愛らしさを醸している。身長は私と一緒くらいなのに、私にはない愛嬌がこの子にはある。
異世界に召喚されて2か月の私は、立派な家こそ特別な力のおかげで持っているけど、友達と呼べるような相手は居なかった。私は奥手、つまるところコミュ障なのだ。目の前にいる女の子もぶっちゃけ知らない子だけど、追い返すのはちょっとかわいそうだと思う。話だけ聞いて雨風が止むまでは泊めてもいいかもしれない。
「どちら様……? とりあえず中で話は聞くから入って」
「え? ありがとうございます!! どなたか存じ上げませんが貴女は女神様のような慈愛に満ちたお方です!」
大袈裟な感謝感激の言葉に気圧されつつ、私は見知らぬ女の子を家に招いた。流石に雨で濡れたまま歩き回られても困る。バスタオルと着替えを渡し、ひとまず話を聞くために居間に誘う。
「わ……私ね? お金が今なくて宿にも泊まれなくて――うぅ、ひっぐ、娼館の仕事に就いたけど男の人が実は苦手で……何も出来なくて仕事も辞めさせられちゃって……」
「うん……大変だったね。一応聞くけど何で私のところに来たの?」
「何件も周ってここしか入れてくれませんでした! 私サキュパスなので、変態とか病気がうつるって……」
秘め事の出来ないサキュパス。仕事もなくて無一文で、雨風を凌ぐ家すら持ってないときた。別に私はお金には困ってないし、彼女を泊めてあげてもいいと思っていた。そこには異世界にきてあまり人と話せてなくて、人肌に飢えているみたいな個人的な感情も混じってる。
「うーんじゃあ。良かったら私の家にしばらく住む? 出て行きたくなったらいつでも出て行っていいし、困ったら頼っていいよ」
「ほほほほ本当ですか!? あのっ! お名前を教えてください! 私はエリスです!」
「私は近衛雪。雪って呼んでいいよ」
食事と入浴を済ませ、眠くなった私は寝室に入る。仄かな照明を消して、薄暗い照明を代わりに付ける。
ベッドに入るとエリスも隣に入ってきた。
「雪、あの……実は話さないといけない事があります」
「何かなエリス」
「私たちサキュパスは魔力を糧に生きてます。そ、それで雪に頼みがあるのです……」
身体を横に向けて、暖か毛布の中で真剣なまなざしを向けるエリス。頬は紅潮し、口をごにょごにょとさせ次の言葉を言えずにいる。
「き、きききキスを! キスをしてください!」
「なっ/////]
「恥ずかしいのは承知です! でもやらないと私……」
「い、いいよ。どうぞ」
始まったばかりのサキュパスとの共同生活に早くも波乱が巻き起こる。
最後の展開雑でごめんなさい