この小説は拙作『もしもハクの初期レベルが50、レベルキャップが100だったら』のIfです。が、別にもしハクの方は見なくても大丈夫なようにしています。
全ての黒幕である主人公の兄。
いずれ大国の頂点に立つ男は、過保護なマッドサイエンティストだった。
そんな彼が、盛大にやらかしたら。
あとは大体タイトルから想像できる通りです。


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ご無沙汰しております。メッセージを頂き執筆意欲が爆上げされた結果何故かR18を書いていました。どういうことだってばよ……
あまりにも、あまりにも酷いタイトル。でも多分これが一番内容に合ってると思います。
益荒男ゲージを溜めに溜め、時々暴発させながら書いたこの作品、皆さまの健やかライフの一助になれれば幸いです。

念押しですが、今作は拙作『もしもハクの初期レベルが50、レベルキャップが100だったら』のIfの小説になります。
が、『もしハク』の方を読まなくても大丈夫なように書いている(はずです)ので、ご安心ください。



あと、クオン好きの皆さまごめんなさい。


頭がいい馬鹿とは彼の事

 花咲き鳥が舞う、生命に満ち溢れた地上の世界。

 そこから逃れるように地下深くに作られた、人間を生かす為の施設があった。

 薄暗い部屋の中、人工の明かりが鈍色の壁を頼りなく照らしている。

 そんな無機質な部屋で、白衣を着こんだ男が一人佇んでいる。

 その視線はメディカルポッド、その中に眠る一人の男に向けられている。

 眠る長髪の男は、白衣の男の弟だ。

 白衣の男は、自身の研究ーー人類が再び地上へと戻る為の身体改造研究ーーの投薬の実験台として弟を選んだのだ。

 ふと、研究者の指がメディカルポッドのガラス面に触れた。

 実験には万全を期している。

 動物実験は数えきれないほど繰り返したし、無駄に高められた人類の技術を駆使した未来予知に近しい経過予測でも100%の値をたたき出した。

 それでも、他に選択肢がなかったとしても。例え同意を得ていたとしても。どうしても実の弟を投薬実験の被験者にすることに心苦しさを感じていた。

 

 男は研究者だ。人類全体を生かす為に、どんな犠牲を払ってでも研究を完成させなければいけなかったのだ。

 

「すまない、とは言わない」

 

 誰も聞く者のいない部屋で、男はまるで懺悔するような表情で言葉を零した。

 

 

 

「その代わりと言ってはなんだが、お前の身体を改良しておいたぞ」

 

 

 

 表情だけで懺悔しつつ、男は自分の所業をぺら回す。

 

「お前は健康に気を遣えと言っても全然聞かなかったな。でももう気を遣う必要はない」

 

 いつ目覚めるかわからない弟は、地下に引きこもった他の人間達と比べても引きこもりであった。

 体力面が心配だったのでとりあえず身体機能を人類の限界まで引き上げた。副作用はない。

 

「少しは女に興味を持て。まぁこれからは言われずとも興味津々だろうが」

 

 いつ目覚めるかわからない弟は、どこか女性に対して一歩引いた態度を取っていた。

 弟の子供が見たかったので、とりあえず性欲を10倍にしておいた。副作用はなく、計算上は1日10発までなら毎日発射できる。

 

「お前はやればできるのに……いや、これは別にいいか」

 

 いつ目覚めるかわからない弟は、言われてようやく動き出す怠け者であった。

 娘が楽しそうに弟の世話を焼いているので、怠け癖は治さないでおいた。代わりに学習能力を10倍にしておいた。当然副作用はなく、怠け者に変わりはないので娘も安心して世話を焼ける。

 

 過保護な研究者は、眠っている弟に微笑みかける。

 兄弟なのだからこれくらいは当然だ、と。

 そうして男はメディカルポッドを作動させようとして。

 起動スイッチを押す指が、ふと止まった。

 

「もし、こいつが目覚め、伴侶を見つけて結婚したとして……果たして童貞のこいつが、相手を満足させる事ができるのか……」

 

 クソ大きなお世話だった。

 だが不幸なことに、この部屋には男の暴挙を止める存在がいなかった。

 不意に身を翻し研究者が向かったのはメディカルポッド制御用のパソコン。

 指を滑らせ、一心に何かを入力し、そしてエンターキーが押される。

 息を吐き、満足げに再びメディカルポッドへ向かった男は、今度こそ起動スイッチを押す。

 ガラス面が強い光を放つ。その光が男のマジキチスマイルを照らす。

 

「大丈夫だ、お前は何も心配しなくていい」

 

 まるで詐欺師がカモに語り掛けるように、男は弟に語り掛ける。

 

 

 

「私たちは兄弟なのだから、これくらいは当然だ」

 

 

 

 

 

 

 余談ではあるが。

 動物には、異性に影響を与える能力がある。

 分泌することにより、異性に己を異性として認識させる生理活性物質。

 

 

 

 そう、性フェロモンだ。

 

 

 

 

 

 ・身体能力上昇

 ・性欲10倍

 ・学習能力10倍

 ・媚薬体質←new!

 

 

 

 

 

 吐く息は白く、すぐさま風にかき消される。

 足を踏み入れると同時に通路に光が灯る。明らかに自然のものではないその光は、ここが古の時代の遺跡である証左だ。

 『ヒト』特有の白い毛に覆われた耳をぴくりと動かし、少女ーークオンは遺跡の中を進む。

 外よりは幾分マシになった寒さに逆立った尻尾の白毛をしっかりと外套の中にしまい込みながら、クオンは被っていた紺のフードを視界確保の為に脱ぐ。

 整った容姿がさらけ出され、金の瞳を横切るように艶やかな黒髪が一房零れた。

 

(見つけられたのは、運がよかったかな)

 

 遥か昔。

 最低でも数百年は前に栄華を極めた旧人類ーー大いなる父(オンヴィタイカヤン)

 彼らの残した遺跡を巡っていたクオンは、この極寒に閉ざされた遺跡を調べている最中、ふと壁面にできたひび割れから中に入れることに気付いた。

 恐らく、誰も足を踏み入れたことのない場所。

 もしかしたら、大いなる父に関する情報が得られるかもしれない。

 そんな期待に胸を膨らませつつ遺跡を探索するクオンは他の部屋とは意匠の異なる部屋で、目を刺すような眩い明りを放つ繭のような装置を見つけた。

 恐る恐る中を覗き込むと、そこには無地の服を着た長髪の男が眠っていた。

 ドクンと、クオンの心臓が跳ねる。

 

(まさか、大いなる父(オンヴィタイカヤン)……っ!)

 

 無意識か、あるいは期待に動かされてか。

 クオンの指先が機械のガラス面に触れた瞬間に、空気の抜ける音と共にガラスの蓋が消失した。

 

「えっ、何ーー」

 

 その言葉を言い切るより早く、男が立ち上がった。

 否、勃ち上がった。

 緑の生地を押し上げるそれを呆然と見ていたクオンに、微かに男の体臭が漂ってきて。

 次の瞬間には、クオンは男の大いなる父(オンヴィタイカヤン)をゼロ距離で凝視していた。

 

(あ、れ……? 私(わたくし)、なんで……)

 

 自分が認識するより早く本能に従い男根に顔を寄せたクオンは、混乱する頭で何が起こったのかを必死で考えながら、一生懸命に小鼻をひくつかせて男の匂いを嗅ぐ。

 誰が見ても手遅れな発情姿を晒しながら、おもむろに口を開く。

 

「……そ、そう! これは診察! 立派な医療行為かな! 異常がないか調べないと!」

 

 大人のお医者さんごっこを主張し終えたクオンは、恐る恐る男の大いなる父(オンヴィタイカヤン)に手を触れる。

 するとすぐさま男の服にジワリと染みができた。我慢汁だ。

 クオンはそれを、一瞬の躊躇いもなく口に含む。

 

(ん、少ししょっぱーー)

 

 その直後に。

 ボッーーと。

 そう表現するしかない勢いで、男が射精した。

 服を突き破り飛び出した、飛距離20メートルは超えるであろう精液流を口で受け止めたクオンは、まるで至近距離でヘッドショットされたように後ろにひっくり返る。

 

(ーーあっ)

 

 口の中に感じる生暖かい子種の感触に腰を浮かせながら、クオンはまるで当たり前のように、それを飲み込んだ。

 

 

 

 ゴッーーーー

 

 

 

 喉が動き、口の中にある精液がクオンの腹へと消えてゆく。

 まるで陸に打ち上げられた白魚のように。或いは海中で酸素を求めもがく人のように、全身を痙攣させるクオン。

 仰向けのまま、手足の指を曲げては伸ばす。その動作が繰り返される度に痙攣が徐々に大きくなってゆく。

 着慣れた民族衣装は乱れ、股間の染みが広がる。

 そうして限界に至ったのか、クオンは拳を力一杯握りしめて。

 

 

 

 ----クン

 

 

 

 糊のような粘度の精液をようやく飲み干すと同時に、限界まで腰を持ち上げて絶頂する。

 プシャァァと股間から聞こえる潮吹きの音は、外から隔絶された遺跡の静けさに消えていった。

 自身の絶頂の有様を全身で表現し終えたクオンは、ゆっくりと腰を下ろし、呆然と天井を見上げた。

 

(知ら、なかった……こんな気持ちいい事……知らなかったかな)

 

 精液臭い息が白く立ち昇り、天井を染める。

 未だ燻る獣欲に子宮を疼かせながら、クオンはポツリと呟く。

 

「……もっと」

 

 そっと男の方へ視線を向けると、破けた服からギンと伸びる男根があった。

 無意識に頬が緩み、身体に力が入る。

 外界から隔絶されているとは言えこの場所は寒く、長時間居れば凍死の危険性もある。

 

(だから、この人を連れて帰らなきゃ)

 

 ゆっくりと立ち上がり、男を横抱きにしたクオンは自身の張ったテントを目指して歩き出す。

 足を伝う愛液が点々と、情事が確かにあったと示すかのように通路に残されていた。

 

 

 

 

 

「も、無理……っ! 我慢できないかな!」

 

 性欲を煽り立てる男を抱えたままの移動は苦行にも等しく。

 テントに戻るや否や、寝台に男を寝かせたクオンは男の服を剥ぎ取った。

 筋肉の無い身体。傷らしい傷がない綺麗な裸体に、普段のクオンならば男の出自を推測していただろう。

 だが今ここにいるのは、媚毒に犯された哀れな少女だけ。

 その目は男の股間以外は全く映していなかった。

 

「す、すご……」

 

 改めて男の陰茎を見たクオンは、思わずといった様子で呟く。

 鍛えられた様子のない男の身体とは打って変わって、その男性器は筋骨隆々としか表現しようがなかった。

 ごつごつとした見た目と脈打つ力強さは武術家の佇まいにも似ていて、クオンは喉を鳴らして唾液を飲み込んだ。

 

「ぜ、絶対気持ちいい……」

 

 言葉を零すのと、クオンが己の衣服に手を掛けるのは同時だった。

 暖房器具のお陰でテント内は寒さが和らいでいた。

 だからクオンは何の躊躇いもなく、自身の服を全て脱ぎ去る。

 白い、芸術作品と見紛わんばかりのきめ細やかな肌が惜しみなく晒される。

 控え目ながら美しい流線を描く乳房の頂点で、薄桃色の乳首が興奮のあまり、普段の倍にまで大きさを増している。

 長い髪を纏めていた黄色い布を取り去ると濡羽色の髪が零れた。

 

「んっ……はぁ」

 

 はらりと肌を掠める髪の感触に、クオンは熱い吐息と共に身震いする。

 白い、毛並み豊かな尻尾が期待に揺れる。

 ゆっくりと、仰向けに寝る男に覆いかぶさったクオンは。

 最後に残った乙女心がそうさせたのか、自身の唇をそっと男の唇に重ねる。

 舌を入れる訳でもない、ただの唇の接触。

 数秒ののち顔を離したクオンの瞳には既に理性のかけらもなかった。

 

 

 

「ちゅっ……ん、れろ」

 

 クオンがまず初めに行ったのは、男の顔を舐りまわすことだった。

 ぺろぺろと、まるで自分の所有物だと主張するように、耳や唇、果ては瞼までしっかりと丹念に唾液を塗り付けた。

 定期的に男の口を啜り、口内の渇きを潤しながらのマーキング。

 まるで獣が獲物を貪るような情交の様相は、男が施された身体改造の、女を強制的に発情させる体質が原因だ。

 だがその事実を知らないクオンからすれば、自分は現状は眠り続ける見知らぬ男を一方的に犯している性犯罪者。

 今までの自身の価値観が、一舐めするたびに崩れ去ってゆく。

 快感が体内で脈打つたびに、淫乱な己の性に絶望してゆく。

 自分を諦めるたびに、陰裂から零れ落ちる愛液が増してゆく。

 そうして、もはや男の顔でクオンの舌が触れていない場所がなくなり。

 

「はぁ……次、身体……ん」

 

 首筋を味わい、喉仏に強く吸い付く。

 両肩に噛みつき、痕をちろちろとなぞる。

 胸を舐め上げ、乳首を起たせる。

 脇の毛に鼻先を埋め、深く深く息を吸う。

 みぞおちに頬擦りし、へそを丁寧にほじくり返す。

 或いは、それはこれから起きる情事を少しでも遅らせようという無意識の抵抗だったのかもしれない。

 

「あ……」

 

 それも、ついに終わりを迎えた。

 たどり着いた先、雄々しく聳え立つ肉棒に、クオンはただポカンと口を開けることしかできなかった。

 

(大きい……ほんとうに。わたくしの腕よりも大きいかな)

 

 大きい訳がない。

 だが、男の体液に犯されたクオンの脳は、残念ながら情報を正常に認識することができないでいるのだ。

 主観で自分の腕よりも大きな男性器を前に、クオンはまるで神を敬うかのように頭を下げた。

 感謝か、畏怖か。

 数秒の土下座を終え、再びに向き合い。

 クオンは、そっとその竿に舌を伸ばす。

 

(かたい……すごく、びくびくしてる)

 

 上下に、何度も。

 舌先で、舌全体で、舌裏で。

 刺激に反応して跳ねる陰茎を唇で抑え込み、何度も何度も舐めあげる。

 唾液を塗り重ねるように執拗に舌を這わせたクオンは、ゆっくりとその先端に狙いを定めた。

 

(しってる、きとう……おつゆこぼれてる)

 

 眼前にある鈴口から先走り汁がぷくりと漏れ出るのを見て、クオンの子宮は激しく疼く。

 

「まってて、もうすぐだから」

 

 言い聞かせるように呟き、舌先で裏筋をなぞる。

 先走り汁が舌に触れ、精液よりも薄い男臭さに子宮が強く収縮して愛液が吹き出す。

 軽い絶頂に身を震わせてから、意を決したクオンは口を大きく開けて陰茎を頬張った。

 

「んぐ……はほ、はふへほふ」

 

 顎、外れそう。と亀頭を口に含ませて言葉を零すと、口の中で陰茎が跳ねる。

 

(きもちいい、のかな)

 

 そうだったら嬉しいと頬を緩ませ、クオンは亀頭を舌であやす。

 一度も性交の経験がないクオンにそれ以上の口淫を求めるのは酷な話で。

 自分にできる精一杯で男性器に媚びるクオン。

 零れた涎が男の竿とクオンの陰裂を濡らす。

 水音が、外の風の音より大きくクオンの耳に響く。

 そうして、どれだけの時間が経ったのか。

 男の先走り汁を飲み、絶頂すること数度。

 クオンはゆっくりと陰茎から口を離した。

 興奮のあまり荒くなったクオンの息が、先ほどとは逆に、男の腹を、胸を、首を、唇を撫で上げる。

 男の竿にクオンの陰裂が重なる。

 微かに湿った音が鳴った。

 

「は……ぁ……ごめん、なさい」

 

 最後の一線を越える直前、クオンの口から出たのは謝罪の言葉だった。

 精一杯の愛を注いでくれた義父、優しく見守ってくれていた母親達、幼い頃から自分に仕えてくれた親友。

 そして、目の前で眠り続ける、名前すら知らない男に対しての謝罪だった。

 

(いまから、おんなになります)

 

 擦るたびに鳴る卑猥な水音。

 腰が男の上を滑り、愛液が陰茎に濡れる。

 硬くなった陰核が潰されると同時に、まるで雷に打たれたかのように大きく痙攣させた。

 クオンは脱力した身体を震わせながら、ゆっくり持ち上げる。

 

「あつい……」

 

 限界をとうに超えた興奮に陰唇は膨らみ赤みを帯びている。

 パクパクと、餌を強請る雛鳥のように開閉する膣口。

 そこに、亀頭が触れた。

 

「すごく、あつい」

 

 先に待つ快楽への期待に陰茎が脈打つ。

 ゆっくりと、ゆっくりとクオンは腰を下ろす。

 

「はいって、きてるぅ……」

 

 誰も足を踏み入れたことのない少女の膣がゆるゆると蠢き、侵入してきた肉棒を歓迎する。

 自らの初めてを己で散らす、そんな倒錯した快感がクオンの脳を甘く焼き。

 亀頭が、処女膜に触れた。

 

「しょじょ……わたくしのはじめて……」

 

 止まった腰が、僅かに震える。

 ここでやめるという思考は、クオンの中に一欠片もなく。

 淫蕩に瞳を潤ませ、微かに持ち上げた口角に喜色を滲ませながら。

 クオンは、一気に腰を下ろした。

 

「い゛っーー」

 

 処女膜が破れた音がクオンの脳に響く。

 尻尾の毛が逆立ち、弓のように逸らされた身体が小刻みに震える。

 徐々に大きくなる震えが胸に、硬く尖った乳首に伝わり揺れた。

 見開いた目に天井を映し、口元に唾液を光らせながらクオンは一筋の涙を零した。

 

「ーーくぅぅぅぅぅっ!」

 

 絶頂。

 今までの比ではない、価値観を崩壊させかねない大絶頂がクオンを襲った。

 処女を失った痛みなど消し飛ばす快感をなんとか逃がそうと逸らした身体は、男の肉棒によって支えられる。

 逃げることもできないまま、寄せては返す絶頂の波に攫われるクオン。

 そこから先は、滅茶苦茶だった。

 

「イく、イくっ! だめだめ、またイくぅっ!!」

 

 快楽を貪る事しか考えていない腰使いが、男の身体を激しく揺らす。

 打ち付けられた腰が乾いた音を鳴らす。

 既に破瓜の血は愛液で流され、陰茎を貪る水音がクオンの鼓膜をくすぐる。

 

「すごいすごいすごいっ、ーーイっっっっっぐぅ!!!」

 

 男の下に敷かれたシーツを破かんばかりに握りしめ、絶頂に身を震わせては再び腰を跳ねさせるクオン。

 その様相は、10を超える絶頂を終えた辺りで変わった。

 ゆっくりと、陰茎をいたわるかのような艶かしい腰使いになったのだ。

 短時間にあまりにも多い回数の絶頂を貪ったクオンの体力は、限界に迫っていた。

 それでもクオンが腰を振るのををやめないのは、子宮に灯る熱が消えないからだ。

 その熱は、胎に精液を飲ませる事でしか消えないと、本能で理解していたからだ。

 

「あ、イく、またイく……ぅぅっ」

 

 緩やかな、夕焼けのような優しい絶頂に、男の胸板に縋り付きながらクオンは鳴く。

 涙と唾液が男の胸を濡らし、溶けるような笑みのまま、まるで恋人の睦事のように男の胸元に頬擦りするクオン。

 

「あ……」

 

 ふと何かに気付いたのか、クオンは声を漏らした。

 腰を揺らすと、陰茎が今までとは明らかに違った震え方をしたのだ。

 

「でる……? あなたも、イくの……?」

 

 身体を起こし眠る男に視線を落としたクオンは、男の胸に両手を置いた。

 腰が上がり、下ろされる。

 

「あは、いいよイって」

 

 笑みを浮かべ、クオンは再び狂ったように腰を打ち付ける。

 汗で額に張り付いた髪を整えることもせず、ただ男から精液を搾り取る為に腰を振る。

 

「だして、だしてだして! おなかがさみしいのっ! げんかいなの!」

 

 男根が震え、クオンが絶頂する。

 それでも、腰振りが止まることはない。

 

「いっぱい、いっぱいだして! わたくしを、はらませてっ」

 

 

 

ーー腰を振るスピードが、落ちた。

 

 

 

「ぁ……だめ……」

 

 初めからクオンの中にあった性交や妊娠に対する恐怖が、自らが発した「はらませて」という言葉で浮かび上がってきたのだ。

 

「だめ、こわい……にんしん、こわいの……」

 

 いやいやをするように首を振るクオン。

 その脳裏には、かつて故郷でみた妊婦の姿があった。

 信じられなかった。

 自分の身体がいつかああなるなんて、想像できなくて。

 だから、恐怖した。

 

「お願い、止まって私の身体……っ!」

 

 男の陰茎は、限界を訴えるように一層震える。

 クオンの膣も、限界を訴え強く収縮する。

 それでもクオンの心は快楽を拒絶した。

 快楽ではなく、恐怖で身を震わせながら。

 歯の根が合わないクオンが、叫んだ。

 

「母親になるの怖いから、止まってーーーーーー」

 

 

 

ーー止まった。

 

 

 

 男根が震えているのを、クオンは膣内で感じ取った。

 荒い息を吐きながら、クオンは男を見下ろす。

 男は、射精していなかった。

 

(……よかった、まだでてない)

 

 胸を撫でおろし、安堵のため息を吐くクオン。

 既に体力は尽き、腰を上げて肉棒を抜くことすらできない状態で、それでもクオンはそっと身体の力を抜いた。

 あとは興奮が収まるまで待って、あるいは体力が戻ってから肉棒を抜けばいいと。

 そう考えている最中に、男の陰茎が跳ねた。

 

「ーーえっ、なん、で……?」

 

 射精している訳ではない。

 それはつまり、男に新たな快楽が与えられているということで。

 ハッと自身の下腹部に視線を向けると、ヘソの少し下ーー子宮がある部分がくいとへこんだ。

 

「ーーあ、え、うそ」

 

 それは、限界まで快楽を貪った罰なのか。

 クオンの子宮は精液を求めるあまり、クオンの意思を無視して膣を収縮させ始めたのだ。

 膣内で男根が跳ねるのを感じる。

 甘く奔る快感に、クオンはぽろぽろと涙を零した。

 

「ど、どうしよう……このままだと射精されちゃう」

 

 辺りを見回すが、掴まる物はない。

 足に力は入らず、助けてくれる人も居らず。

 クオンは震えながら、ただ射精される時を待つしかなかった。

 横に転がれば容易に陰茎を抜くことができるのだが、媚毒に犯されたクオンの脳細胞がそんな名案を出せる筈もなく。

 だから、クオンは涙を零し。

 男の腰に恥骨を押し付け、肉棒を膣でくい締めながら、懇願することしかできなかった。

 

「負けっ、私の負けでいいからっ、おちんちんでも尻尾でも、舐めるからっ」

 

 始まってすらいない勝負に負けた女が、眠り続ける男に必死に縋り付く。

 

「お願いだから、妊娠させないでください……」

 

 男は応えない。

 当たり前で、クオンも男が助けてくれはしないとわかっていたから。

 喋り終えたクオンにできることはなく、ただ射精されるのを待つだけだった。

 

 

 

 

 

「肉便器」

 

「これはもう……手遅れですね、ご愁傷様です」

 

 突然、声が響いた。

 クオンの目の前、まるで鏡写しのように2人の少女が立っていた。

 円錐をモチーフとした衣装に身を包んだ、白い肌の少女が口を開く。

 

「残念」

 

 ぶっきらぼうな、短い言葉。

 それを補足するように、三角をモチーフとした衣装に身を包んだ褐色肌の少女が口を開く。

 

「私達が一番乗りだと思ったのですが……いえ、それはこれから挽回しましょう」

 

「……ぁ、た、助けてっ」

 

 少女達の放つ言葉の意味がわからず目を白黒させるクオンは、数瞬ののちに目の前の2人が現実の存在だと認識し救けを求める。

 それに対する少女達の反応は、僅かに首を傾げるだけだった。

 

「意味不明」

 

「何からどう助ければいいのでしょうか?」

 

「妊娠、怖いの! だから、おちんちん抜くの手伝って!」

 

 叫ぶ。その振動が膣を震わせ肉棒を締め付ける。

 もう一刻の猶予もないことを悟り、クオンは恥も外聞もなく泣き叫ぶ。

 

「お願い、私一人じゃおちんちん抜けないの! お願い、お願いします!」

 

「……仕方ない」

 

「わかりました、お手伝いします」

 

 クオンの必死の様相に、鏡合わせの2人は渋々頷き、クオンの後ろに回り込んだ。

 両脇から2人で膝裏を抱え背中を支えるその姿は、まるで幼児に小水を促すようで。

 恥ずかしさの余り赤面するクオンを、2人はゆっくりと持ち上げる。

 

「くっ……ぅあ、気持ちいぃ……」

 

 安堵からか、ガクガクと腰を震わせ素直に快楽に身を委ねるクオン。

 膣口から、愛液に塗れた肉棒がゆっくりと抜け出してゆく。

 そして、亀頭冠がクオンの体内から姿を表し。

 腰が、勢いよく落とされた。

 

「ーーああぁぁぁ、イくイくっ、なんでっ、またイくっ!!」

 

 ズンと、全身に響くほどの衝撃と快感が、クオンを襲った。

 不意打ちの絶頂が重なり、陰茎に押し広げられた膣口から潮が吹き出す。

 

「なん、なんでぇ……」

 

 涙で頬を濡らし、絶頂に鳴くクオン。その乳房に白色の少女が舌を這わせる。

 

「愚問」

 

 褐色の少女が、首筋に吸い付く。

 

「お手伝いですよ。このお方の子を孕むお手伝いです」

 

「う、そ……いや、いやぁ……イ、っくぅぅぅ……」

 

 現実を認めたくないと、悲しげに泣きながらクオンは首を横に振り、弱々しくイく。

 もう、限界だった。

 ぎりぎりのところで耐えていた心が、安堵で緩んでしまったのだ。

 一度緩んだ緊張はすぐには戻らない。だから、クオンはもう言葉による抵抗すらもできなくなって。

 諦めた心が、身体が少女達の愛撫で絶頂を繰り返しては男根に媚びる。

 

(あ、だめ……せいしのぼってきてる……)

 

 予感があった。

 この一度の射精で、今まで自分が積み上げてきたものが崩されると。

 自我を捨て、男に媚びることしかできない肉便器になってしまうのだという確かな予感が。

 腹を膨らませている己の未来を幻視し、クオンは泣きじゃくる。

 そんなクオンに、少女達は話しかけた。

 

「疑問」

 

「何故、怖がっているのですか?」

 

「にんしん、こわいの……おなかおっきくなるの、こわいの」

 

 正常な思考回路が破壊されたクオンは、まるで幼い子供のような言葉遣いで答える。

 その言葉に得心がいったのか、少女たちは笑う。

 

「安心して」

 

「大丈夫ですよ、女なら誰だっていずれ子を孕むものです。貴女にとってそれが今というだけのこと」

 

 そっと、しゃくりあげるクオンを抱きしめるように少女達は身体を寄せる。

 慈母のような2人の笑顔は、クオンの心にそっと安心という毒を差し込んで。

 

「怖くない」

 

「こんなに気持ちのいいことが、悪い訳がありません」

 

 その言葉は、クオンにとって青天の霹靂だった。

 思考能力が失われた脳に注がれた2人の言葉は全身を巡り、快楽を浮き彫りにさせる。

 

(そっか、きもちよくなっていいんだ……)

 

 そう、快楽を肯定した瞬間に再び絶頂する。

 そうして、膣内で震える射精直前の肉棒がたまらなく愛おしくなり。

 

「見守る」

 

「私達が傍にいますので、安心して孕んでください」

 

 その言葉に、クオンはこくりと頷く。

 

「うん、はらむ……わたくし、ははおやになる」

 

 そして、再びクオンの身体が持ち上げられる。

 二人の手が臀部を掴み、膝裏を通されたもう片方の手がそれぞれクオンの手を握る。

 孕むのは怖くないと諭すように。

 怖気づいても逃げ出せないように。

 ゆっくり、ゆっくりとクオンの身体が持ち上げられ。

 最高の絶頂を迎える直前に、肉棒が擦れる快感に震えていたクオンは、ふと尻尾が引っ張られるのを感じた。

 見ると、自分の尻尾が男の身体に巻き付いていた。

 離れないよう、無意識に巻き付けられたそれは、紛れもなく親愛の籠った性交時の所作。

 

(あぁ……わたくし、もうこのひとのおんなにーーーー)

 

 再び、腰が勢いよく落とされた。

 

「あーーーーーー」

 

 思考を寸断するように絶頂が全身を駆け巡り、口をぽっかりと開けたままクオンは目を見開く。

 

 

 

 そして、男が射精した。

 

 

 

 糊のような粘度を誇るソレが勢いよく肉棒から放たれ、まるで子宮口などなかったかのように通り抜けて子宮を満たす。

 押さえつけられてなお暴れまわるクオンの身体。その両乳に少女達が吸い付き、硬くなった桜色の突起を舌で絡めとる。

 絶頂が、重なる。

 視界が真っ白になるほどの衝撃に意識が染まる。

 まるで貫通型の性具になったかのような感覚が戻れない所にまで絶頂を後押しし。

 身体を這い回る少女達の愛撫が、クオンが絶頂から降りる事を許さない。

 白目を剥き、ダラダラととめどなく唾液を零し、何も知らない赤ん坊のように無意味な言葉を垂れ流し。

 クオンは、理性を捨て。

 一人のヒトから、一匹の雌へと堕ちたのだった。

 

 

 

「断罪」

 

「彼の者に全てを奪われた大いなる父達の敵を討つべきでしょうが……この方の子を孕む事で、罰としましょう」

 

「まだ、これから」

 

「1人だけでは足りません。もっともっと、貴女に産んで貰わなければいけません」

 

「再臨」

 

「貴女の父親が奪った大いなる父と同じ数を産む事で、その穢れた血に宿る罪を全て赦しましょう。永遠の時の中で孕み続けてください……あら?」

 

 言葉を交わし合う少女達は、唐突に聞こえた水音に首を傾げた。

 見ると、弛緩した身体を2人に預けていたクオンが小水を漏らしていた。

 しょろしょろと尿道から流れ出した小水が、男の腹を伝ってシーツを濡らす。

 一瞬だけ眉を寄せた2人は、すぐに仕方がないと苦笑する。

 

「幼児」

 

「生まれ変わったばかりの赤ん坊なので、お漏らしするのも仕方ありませんね」

 

 気を失い2人に支えられているクオンは。

 まるで、無垢な赤子が母親の腕の中で眠るように。

 あどけない笑みを浮かべていた。




冷静に考えるとウィツァルネミテアの血を継いだ人間がぽこぽこ生まれたら余裕で世界滅亡なんですが、ハクの媚毒に頭をやられたウルサラ(後半に出てきた白色と褐色の少女2人の事)と作者の頭ではそんなことも考えつかなかったのでした(賢者モード)

まあなんとかなるでしょ。原作でも仮面の複製(ライコウが装着したやつ)の出力を制限するかしてアクルカを作り出したんだし。
そうなるとこの小説で生まれたクオンの子孫は仮面を制御する仮面をつけることを強いられるんだよなぁ。

まぁいいか(投げやり)


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