※この作品はR-18です。

信じ続ける、明日はきっと晴れだって   作:柳しをん

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今回はまたまた面倒くさい(私の改変によって)ほむらちゃんのお話です。
では、どうぞ。


私は許されない罪を背負っているの

…。

ここは…どこ…?

私は…家にいたはず…。

なのに…どうしてビル街の中にいるの…?

『さやかちゃんを殺したのはあなた』

何なの…何なのよ、この張り紙は!?

私は苛立ちながらその紙を剥がし、破り捨てる。

少し歩くと、新しい張り紙がある。

『杏子ちゃんを殺したのもあなた』

…!

また破り捨てる。

『マミさんを殺したのもあなた』

破り捨てる。

そして、次に現れたのは。

『私を殺したのもあなた』

その張り紙をもった、まどかだった。

「あんたが…あたし達を地獄におとした。」

さやかが言う。

「おまえが…あたしたちを苦しめた。」

杏子が言う。

「あなたが…私達を悲しませた。」

マミが言う。

「あなたが…私達を殺した。」

まどかが言う。

「あんたは…」

「おまえは…」

「「あなたは…」」

「「「「悪魔だ!」」」」

 

「はぁっ…!ゆ…め…。」

時計を見ると、まだ二時。

まどかも、さやかも、杏子も、マミさんもまだ寝ている。

「何なのよ…今の…。」

私が…悪魔…?

悪魔…。

あく…ま…?

「あぁぁぁ!!うぅぅっ!?」

頭に声が響く。

まどかの声。

まどかの声は私の頭を殴りつけるように響いている。

「がぁぁあ!!」

それは、私の罪の記憶。

思い…出した。

私がやってきたこと。

まどかが…私を本当はどう思っているのか。

その瞬間、意識が途絶えた。

 

「…むらちゃ…!…ら…ちゃん…!」

「ほむらちゃん…!」

「ん…まど…か…。」

「よかった…よかったよぉ…。」

まどかは私を強く抱きしめてくる。

「いったいどうしたんだよ。いきなり大声上げて倒れてさ。」

「それに、三時間も気を失ってたのよ?」

「まどかはずっとほむらの名前を呼んで泣いてるし…どうなることかと思ったよ…。」

…やっぱり、みんな優しいのね。

本当の私は…悪魔だというのに。

「…離れなさい、まどか。」

「え…?」

「離れなさいと言っているのよ、まどか。」

「う、うん…。」

このままでは、皆をまた地獄に落としてしまう。

いつか、私が皆を殺す日が来てしまう。

なら、皆に嫌われて、私に関わらないようにするまで。

「もう、私には関わらないで。あとは私がやる。」

「は?なにをいって…」

「黙りなさい。私が話しているの。」

「な…!」

「これ以上私に関わるようなら、私は手段を選ばない。」

「な、なにをいってるの、ほむらちゃん!?」

「…まどか、もう私とあなたは恋人などではないわ。」

「え…!?」

「これからは赤の他人として、生きていきましょう。」

「…どうして!?どうしてそんなこというの!?」

「っ…。私と関わると不幸になるからよ。いつ、私があなた達を殺すかもわからない。だから、私とは関わらないことね。」

「ふざけないでよ…!勝手になにを…!」

「いいから出ていきなさい!!邪魔なのよ!!」

「…っ!」

「…まどか、マミさん、杏子、行こう。」

「でも!」

「いまのほむらは混乱してる。しばらく一人にしておこう。」

「…わかった。」

 

みんな出ていった。

私は…孤独。

始めからこれでよかったのだ。

私には日常を謳歌する権利など、なかったのだ。

それだけの罪を背負っているのだから。

もう、取り返しのつかない罪を…。

「ごめんなさい…みんな…。」

 

 

 

 

 

 

 

「ほむらちゃん、どうしたのかな…。」

「さぁね…あいつのことだから、なにか隠してるんじゃないの?」

「でも、隠してるってなにを…?」

「まだ魔法少女の真実のことでも隠してるとか?」

「それはないと思うわ。暁美さんはそんな人じゃないから。」

「…私達に、引け目を感じてるのかな。」

「え?」

「きっと、思い出したんだよ。あの記憶を。」

そう。いつまでもほむらちゃんを苦しめる、あの記憶。

「それって、キュゥべえが言ってたあれ?」

「多分、だけど…。」

ほむらちゃんは優しいから、私達に引け目を感じているんだと、私は考えました。

…ちょっとやり方が強引すぎるのも、ほむらちゃんらしいです。

「でも、それがわかってもどうしようもないじゃん。あいつ自身が解決しない限り、ずっとあのまんまだと思うけど?」

「確かに…でも、さっきのほむらには解決するなんて選択肢はない、ってカンジだったけど。」

「それなら、結局私達がなんとかするしかない、ってことね。」

「それじゃあ、作戦会議だね!」

「え…?作戦会議…?」

「そう!ほむらちゃんを救うの会!結成だよっ!」

「お、おー…?」

「マミ、そこは無理に乗る必要はないんだぜ…。」

 

と、言うわけで…私たちはほむらちゃんを元に戻すために活動をはじめるのでした…!

…でも、現実はそんなに甘くはありませんでした。

 

「ほむらちゃん、学校休むって…。」

「はぁっ!?…これじゃあ、作戦が成立しないじゃん!どうするのさ、まどか!」

「…放課後、ほむらちゃんの家に行くしかない!プランzだよ!」

「bじゃなくて、zなのね…って、最終手段じゃん、それ!」

「うっ…仕方ないじゃん!まさか、学校にすら来ないとは思わなかったんだもん!」

「あー、わかった、わかった!放課後、みんなで行こう!」

 

そして、放課後。

「どうして家にもいないの!?」

「まさかねぇ…こうなることを見越していたのかしら。暁美さん、頭がいいから。」

「むぅー…こうなったら…プランzzだよ!」

「zz!?…ただ言いたいだけだろ…。」

「それで、どうするのさ?」

「手分けして探す!それしかないよ!」

「…まぁ、そうだろうね。」

「それじゃあ、私は西を探すわ。美樹さんは南の方を…佐倉さんには、東を。鹿目さんは北をお願い。」

「わかりました!」

「暁美さんを見つけ次第、連絡をするように。それじゃあ、行くわよ。」

みんなはものすごい速度で消えて行ってしまった。

…私、出遅れてる!?

 

 

 

 

 

 

「おーい!ほーむら!どこにいるんだー!」

あたしはマミに言われたとおり、東を探していた。

ビル街の中に隠れているかと思ったが、そんな気配はない。

「どこいったんだよ…っと…?」

あれは…。

「ほむら!」

「…っ!」

「あ、待て!」

逃げるほむらを、あたしは追う。しかし、なかなか追いつけない。

「待てよ、おいっ!なんで逃げるんだよ!」

「くそっ、追いながらじゃ、連絡できねぇ…!」

そのまま、路地裏に逃げ込んだほむらを追う。

微弱な魔力反応を辿ると、疲れているのか、へたりこんだほむらがいた。

「…もう逃さないぞ…!」

「くっ…!」

「こないで!来るなら…撃つわよ!」

ほむらはそう言って、銃を構える。

その銃はセーフティが外され、トリガーさえ引けば、あたしのソウルジェムを貫通するようになっていた。

「…分かった…分かったよ…。」

手を上げ、抵抗する意思はない、と示す。

「ただ、一つだけ聞きたいことがある。」

「…なにかしら。」

「どうして…あたしたちを避けるんだ?」

「…私は悪魔だからよ。皆を不幸にする、悪魔。」

「私と関わった今までのあなた達は皆、死んでしまった。」

「私は許されない罪を背負っているの。…ただ、せめてもの罪滅ぼしとして、ワルプルギスの夜は討伐するわ。安心して。」

「私はもう行くわ。…杏子、まどかを頼んだわよ。」

「おい、待てっ…!」

なんなんだよ…アイツ…。

悪魔だと…?

…とにかく、連絡をしなきゃな…。

 

 

 

 

 

 

「あら…佐倉さんから連絡…?」

逃げてきた方面は…ちょうどこっちね。

「さて、どう待ち伏せたものかしら…。」

私がそんなふうに考えを巡らせていると、黒い髪の美少女を発見する。

あれは間違いなく、暁美さんだ。

幸い、向こうはこちらに気がついていないようね。

好都合だわ。

誘い込んで、捕まえることにしましょう。

『暁美さん…暁美さん…私、今あなたの近くにいるわ。』

その瞬間、黒髪は身構える。

『大丈夫よ、あなたがなにも抵抗しなければ、手荒な真似はしない。そのまま路地のほうに行きなさい。』

黒髪はこちらに気づくこともなく、素直に路地に入っていく。

「さて、今のうちに連絡を…!んぐっ…!?」

後ろから口を抑えられる。そして、拳銃を押し付けられる。

「そうはさせない。…それにしても、ずいぶんと汚い手を使うのね。」

まさか…バレていたの?

「あなたは自分がどれだけ目立っているのか、しっかり考えるべきだったわね。」

「人通りがまったくないこの場所で、隠れていたつもりなのでしょうけど…丸見えよ。」

「少し演技をしただけでまんまと引っかかって…自覚が足りないんじゃないかしら?」

「んー!」

そんなこと…なくなく…ない…かも…。

「もう私に関わるのは止しなさい。私といるとあなたは不幸になるわ。」

「…お願いだから、放っておいて。」

最後にそう言った暁美さんの声は寂しそうだった。

去ろうとする暁美さんにせめても、として声をかける。

「暁美さん!私たちはあなたとずっと一緒にいたい!私はあなたにいてほしい!これだけは覚えていて!」

「…心得ておくわ。」

暁美さんはそのまま立ち去ってしまった。

…本当に、一人になることを望んでいる人の言葉じゃなかった。

なにかが…彼女を苦しめていたに違いない。

でもきっと、それを解決できるのは…。

 

 

 

 

 

 

「ほむら…どこにいんのよ…。」

あたしは、高い建物から見渡して見てるけど、全然見つからない。

…ん?ビルの上をぴょんぴょんしてるのは…。

前言撤回。いた。

あれは…ほむらだ!

「待てぇー!」

あたしは脚力を強化して、ほむらを追いかける。向こうもあたしに気がついたみたいで、スピードが上がる。

でも、あたしの方が早いっぽい。

「あと…少しで…!」

ほむらとの距離はどんどん縮まっていく。

「つか、まえたぁ!」

私は後ろから抱きついて押し倒すと、キャッ、とかわいい越えを出しながら倒れた。

「は、離しなさい!」

ほむらはジタバタと手足を振る。

「痛い痛い痛い!でも、離さないよ!」

「くぅっ…!…分かった、降参よ…。だから、拘束を…」

「嫌だね。ほむらのことだから、拘束を解くと同時に逃げるでしょ。」

「…。」

「沈黙は肯定の証っと…。それじゃあ、いくつか質問に答えてもらうよ。」

「…仕方ないわね。」

「まず一つ目。ほむらは自分のコトを悪魔って言ってたケド、どうして?」

「そんなの、言葉の通りよ。私は皆の命を奪う悪魔なの。私がいれば、この街を、皆を…まどかを殺す。…必ずね。」

「あっそ…。じゃあ、二つ目。どうしてそんなコトを言い出したの?」

「…全部、思い出したの。私の罪の記憶を。」

「私は許されないことをしたわ。何度も何度も…私はあなた達を見捨て、殺した…。」

「だから、私はその罪を背負って生きなければならない。その罪にあなた達を巻き込むわけにはいかない…!」

ほむら…そんなふうに自分を追い込んで…。

こりゃ、あたしが何言っても無駄、かな…。

「じゃあ、最後。…まどかはどうするの?」

「…!」

「本当にこのままでいいの?悲しんでるまどかがいても、あんたはまだそんなコトを言っていられるの?」

「…ええ。もうまどかとは関わらない。影から守って行くわ。それで私は十分よ。」

「ほむらは何も分かってない…。まどかがどれだけあんたを大切にしてるのか!」

「…!余計なおしゃべりはここまでよ!」

その瞬間、あたしの体が地面に押し付けられ、頭に銃が押し付けられる。

「抵抗しないで。いくら魔法少女でも、頭を撃ち抜かれたらどうなるでしょうね?」

「くっ…。」

「…お願いだから、私に関わらないで…。これ以上あなた達に優しくされると、私は弱い自分に戻ってしまう…。」

「もう、あなた達を傷つけたくない…だから、私を一人にして…!」

ほむらはそう言い残して、去ってしまった。

「…ほむら…。」

アイツ…泣いてたんだ…。

凄く苦しそうな声だった。

あたしには、ほむらを説得できる気がしない…。

でも、まどかなら…!

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!ほむらちゃーん!どこに行ったのー?」

杏子ちゃんから連絡があって、ずっと探しているのですが、どこにもいません。

「はぁ…ほむらちゃん…どこに行っちゃったの…?」

「寂しいよ…ほむらちゃん…。」

私が公園のベンチで休憩しようとすると、先客がいました。

そう。

「ほ、ほむらちゃん!?」

向こうも私に気がついたのか、慌てて逃げようとします。

「待って!」

案外すんなりと捕まりました。

「離して。」

「嫌!」

「お願い、離して…。」

「絶対に離さないよ!」

ここで離してしまえば、二度と会えない。

そんな気がしたのです。

私の直感が正しければ、ここで説得できなければ、ゲームオーバーということです。

「ねぇ、ほむらちゃん、どうして逃げるの?」

「…皆、そのことを聞くのね。」

「当たり前だよ。みんな、ほむらちゃんが心配なんだから。」

「心配、か…。私には、心配される権利なんてないわ…。」

「どうしてそんなことを言うの?」

「私が悪魔だから。いくつもの命を奪って、ここに私はいるのよ…。」

悪魔。

ほむらちゃんは自らを、そう呼ぶようになりました。

「何度も何度も、あなた達を救えず、私だけが生き残って、先に進もうとしている…。」

「たくさんの犠牲があっても、私は何もできない…むしろ、被害は広がっていく一方よ…。」

「ここ何度かのループだって、さやか、マミさん、杏子が生きていたことはほとんどなかった。」

「全部全部、まどかの言うとおりだったのよ。私は悪魔。この街を破壊し、皆の命を奪っていくのよ…。」

私の…言うとおり…?

「私、ほむらちゃんのことを悪魔なんて言ったことないよ?」

「ええ、あなたは言ったことないわ。…過去のまどかに言われたのを思い出したの…。」

また、過去の私。

いつまでもほむらちゃんを苦しめ続ける私。

できることなら消し去りたい、私。

「…だとしたら、その私はバカだよ…!」

「え…?」

「ほむらちゃんが悪魔なんて、有り得ない!」

そう。

悪魔なんかじゃない!

「私達を助けようとしてくれる、女神だよ!」

「め、女神…?」

「だって、ほむらちゃんは、どんなに辛くたって、私達を助けるために、自分を削ってここにいるんでしょ?」

「私だったら、そんなの絶対に無理だもん。」

「…まどか。でも、私は…いくつもの命を…!」

「そうならないために、ほむらちゃんはここにいるんじゃないの?」

「それは…。そう…だけど…。」

「過去を振り返るのも大事。でも、それを乗り越えて、未来への糧にすることはもっと大事なの。」

「それに、いままで犠牲になった人たちだって、ほむらちゃんに希望を託して送り出したと考えればいいんだよ。」

「…でも…私には、皆と笑い合う権利なんてないのよ…。もう…取り返しがつかないの…。」

「もう…!どうしてそう、変なところで頑固なのかな…。」

「これだけは…絶対に譲れないの。たとえ、まどかだとしても…。」

万策つきたか…そう思ったそのとき。

ポケットに紙が入っていました。

それは、過去の私からほむらちゃんに送った、あの手紙。

「ほむらちゃん、これ見て!」

「これは…。まどかからの手紙…?」

そう。

『ひとりぼっちにならないで。』

その言葉が、今のほむらちゃんに必要、そう思ったのです。

「ほむらちゃん。今の私とこの私の気持ちは同じ。ひとりぼっちにならないで。」

「だから…皆のところに帰ろう?」

「…いいの…?私が…皆の中に戻っても…?」

「うん!皆、ほむらちゃんを待ってるんだよ?」

「うぇぇん…!私っ…つらかったの…!」

「皆を失うのが…怖かったの…!」

「そんなの…もう、見たくなかった…だから、逃げたの…。」

「こんな…こんな私を許してくれますか…?」

「もちろん。だって、私たちはほむらちゃんが大好きだから!」

「えへ…ありがとう…。」

 

「ほら、ほむらちゃん。いつまでも私の後ろにくっついてないの。皆にごめんなさいって言うんでしょ?」

「う、うん…。でも、ちょっとだけ怖いの…。」

「もう…皆が許さない、なんて言う人だと思うの?」

「ううん…思わない…。」

「なら、信じようよ。皆のこと、もっと信じてみよ?」

「…うん!信じてみる!」

 

「あ、あの…本当に、ごめんなさい!勝手にひとりぼっちになって…銃まで突きつけて…。」

「大丈夫よ、暁美さん。皆、怒ってなんかいないわ。」

「そうだよ。むしろみんな、喜んでるよ!ね、杏子?」

「…ああ、そうだね。おかえり、ほむら。」

「杏子…!」

「うんうん…解決ですな。どうやったのかはあえて聞かないでおくケド。」

「そうね。無理に詮索するのも、野暮よね。」

 

「…で、今日も泊まっていくの?」

「うん。当たり前だよ。」

私はもとよりそのつもりでした。

「そうだよ。当たり前なんだよ。」

さやかちゃんは言います。

「私は…なんとなく、ね。」

巴先輩は言います。

「あたしは家がないし、もとから居候させてもらってたしな。」

…もとから?聞き捨てならない言葉が…。

「まぁ…いいけど。楽しいし。」

「なんだよー!今日はやけに素直じゃん!」

「…素直な私は…嫌…かしら…?」

「うっ…上目遣いは反則だってば…。嫌じゃない、嫌じゃないよ!」

「えへへ…良かった…。」

「…ねぇ、まどか…ほむらってこんなキャラだったっけ?」

「本当のほむらちゃんはこんなふうに素直で良い子なの。だから、もとからだよ。」

「あぁ…そうですか…。」

 

【私は許されない罪を背負っているの】

ーFinー




いかがでしたでしょうか。
最近は急ぎ足になっているせいで、長さがちょっと…って感じですかね。
その分、話数が増えていきます。
では、またお会いしましょう。
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