※この作品はR-18です。

信じ続ける、明日はきっと晴れだって   作:柳しをん

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はい、なんとか構想がまとまってきたので、次話投稿いたしました。
多分前中後編です。
今回はタイトルの通り、雲行きの怪しい展開なので、シリアスです。
ほぼほぼおふざけはない…と思います…。
取り敢えず、このままシリアスふうに進めていく予定でございます。
ただ、シリアスばかりだと、私のまどほむ欲求が充たされないので…。
おまけ、としてまどほむ達の夏休みを描いていきます。
諸事情によって、夏休みよりもあとから物語が再開したので、描けなかったんですけどね。
ここで消化していこうかなと。
前編では、まどほむ、ある夏の日のこと、として日常ふうになっております。
中編では、まどほむ+みんなで楽しくキャンプ編、の予定です。
後編では、まどほむ浴衣でお祭りデート、の予定です。
念の為言っておきます。
今回の前編のおまけまどほむは、エロ注意です。
見たくないという方は、プラウザバックして頂いて…。
あ、いきなりエロしてないので安心してください。
…おまけが本編よりも長いかも、しれないです…。
欲求が溢れてるんですわ。

では、どうぞ!


立ち込める暗雲、新たな恋 前編

「それで、ここの資料から、〜〜ってことが読みとれるでしょ?ほら、直ぐにメモする!じゃないと会議で恥かくことになるわよ!」

「は、はい…。」

私は世代交代のために、マミさんから生徒会長のイロハを教わっていた。

生徒会長というのは、皆の前に立ってヘラヘラして、媚を売っているだけの易しい役職ではない。

裏では走り回り、週一回の生徒会会議に向け、毎日のように資料を読み耽る、そんな生活。

唯一の休息は、お昼だけ。

「…ふぅ〜…。疲れたでしょ?お茶、淹れてくるから。」

「ええ、ありがとう、マミさん…。」

私は生徒会長の椅子にもたれかかる。

「はい、紅茶。って言っても、家で出てくるようなのは期待しないでね?学校で出来ることは限られてるから。あ、あとこれは佐藤くんの分。ちょっと休憩しない?」

「…私ですか?では、いただきます。」

佐藤さんはずっとにらめっこをしていたパソコンから離れて、紅茶を飲む。

「…ん。美味しいですね。」

「んー…ちょっと違うけど、美味しいことは間違いないわ。」

「ふふっ、ありがとう。…あ、暁美さんには関係なくなっちゃうんだけど…佐藤くん、進学先って何処にしたの?」

「私は、県立見滝原大附属高等学校、ですが…それが何か?」

「やっぱり!実は、私も同じなの!」

「巴会長も…。何故ですか?巴会長なら、もうワンランク上だって目指せるのでは…?」

「そういう佐藤くんだって。…もしかして、アレ?」

「アレ、とは?」

「もう、アレよ、アーレ。」

「はぁ…。」

「…はぁ、つれないわね。料理よ、料理!あそこは見滝原市唯一の料理専門の学科がある場所でしょう。」

「…まさか、とは思いますが…。」

「ん?なぁに?」

「巴会長…パティシエコース志望、ではないですよね…?」

「あら、どうして分かったの?私、パティシエコース志望よ?」

「…はぁぁ…。やはり…。」

「佐藤くん?」

「実は、ですね…。私も、パティシエコース志望なんです…。」

「ふーん…えぇぇぇ!?」

「え、え、えぇ…!?」

「うるさいわね…。」

隣で騒ぐマミさんに、わざとらしく耳をふさいでみせる。

しかし、当の本人は意に介さず、騒ぎ続ける。

「まさか、こんな身近に仲間がいたなんて…!」

「いえ、私達は仲間という表現よりも、敵、という表現の方が相応しいと思うのですが。」

「て、敵なんて悲しいこと言わないでよ!ほら、受験は団体戦だって、よく言うじゃない!」

「私には受験は団体戦、の意味が理解できないのですが。志望校が同じものは、狭き門を巡り争うのですよ?明らかにデスマッチという方が合っていると思うのです。」

「むぅ…本当に佐藤くんは真面目ね。嫌になっちゃうわ。ねぇ、暁美さん?」

「…そこで私に話を振る?」

「ええ。」

「…。私は好きですよ、佐藤先輩の性格。なんというか、サバサバしてて、精神年齢が高くて。クール、ですよね。」

特に気にしたこともない佐藤先輩の性格を世間ではこういうのではないか、と言ってみる。

「…ありがとう、ございます。」

…案外チョロい。

「あー、佐藤くん、照れてるでしょ?」

「なっ!」

「そう、そうよねぇ?こんな、美人な後輩に褒められたら、鼻の下のばすのも無理ないわよねぇ?」

「て、照れてなんていません!」

「本当かしら?」

「くっ…。」

「…でも、私も佐藤くんの性格、嫌いじゃないわよ。」

「え…?」

「…その、カッコいいじゃない。周りの男子にはない、冷静さがあって…。」

え?何この雰囲気?

もしや、私を挟んで行われる新手のプレイかなにかでございますか?

「…ありがとうございます…。」

なんか両方とも照れて下向いてるし。

佐藤先輩はいいにして、マミさんは完全に自滅じゃない。

「あー、あー…。お楽しみ中失礼します、先輩方。そろそろ、生徒会の仕事について教えてくださいますかー?」

私は手をパンパンと叩き、わざとらしく言う。

「そ、そうね!ほら、佐藤くん!」

「は、はい。」

二人は焦って、プロジェクターの準備を始める。

途中、マミさんが片付けていたプリントで手を切ってしまう。

「痛っ!」

その瞬間、佐藤先輩がマミさんの手をとる。

「大丈夫ですか、マミさん!?」

「う、うん…大丈夫よ、佐藤くん…。」

佐藤先輩は自分のした事に気がつき、顔を赤くして、マミさんの手を離す。

「あっ…えっと、すみません…。」

「う、ううん!心配してくれて、ありがとう…。嬉しかったわ。」

「い、いえ。私は、当たり前の事をしただけです…。」

「それでも、嬉しかったの。もう、佐藤くんは私の感謝を素直に受け取ってればいいの。」

「…分かりました…。」

また始めたわよ、この人たち…。

なんなのよ、この漂う初々しいカップル感…。

ハートがこっちに飛んできそう。

「あー、まだでしょうかー?」

「ご、ごめんなさい、暁美さん!さ、準備しましょう!」

 

先輩方の初々しいカップルっぷりのせいで、中々の時間がかかったのだが、準備が済み、いよいよ会議のデモンストレーションが行われようとした、その時だった。

「会長!…いえ、巴会長!大変です、中庭で…!」

生徒会メンバーが、駆け込んで来たのだ。

「中庭…?今すぐ向かいます、佐藤くん、行くわよ。…あと、暁美さんも来なさい。今から生徒会の一番大変な仕事を教えてあげる。」

「…?」

 

私達が中庭に到着したとき、そこは戦場だった。

「おらぁっ!この、死ねぇ!」

「痛ぇ!?てめぇ、なにすんだよ!?」

そう、やんちゃな男子どもが、喧嘩をしていたのだ。

周りには男子が群がり、声を上げている。

「…いい?私達生徒会は、こういう生徒間のいざこざにも介入しなければいけないの。基本的には放っておいてもいいのだけど、こうなったら私達の出番よ。」

「会長、そろそろ。」

「分かってるわ、佐藤くん。…皆さん、静粛に!」

マミさんが大きな声で呼びかけると、あたりから、げっ…生徒会だ…などという声が上がる。

「私は生徒会長、巴マミです。校内での暴力行為は校則に反するものです。ただちにやめなさい。さもなくば、こちらは実力行使でいきます。」

え、実力行使?

実力行使だと…!?

え?まさか、やっちゃうの…?

そんなの聞いてないわよ!?

マミさん、そんな危険なことしてるの!?

「…へっ、生徒会長ごときが、偉そうに…。やれるもんならやってみろよぉ!?」

男子Aは突如としてマミさんに殴りかかる。

「…遅いわ。」

マミさんはその拳を受け止め、投げ飛ばした。

…えぇと、そんなことしてもいいの…?

周りの男子が、うおぉ…といって一歩下がる。

「…さぁ、ここまでにしておきなさい。痛い目に合いたくないなら。」

マミさんは冷酷な雰囲気を纏わせ、言う。

男子は散るように逃げていく。

「暁美さん、そこの男子、捕まえて!」

「え!?こ、この人!?」

私は言われるがまま、逃げる男を掴む。

「は、離しやがれ!」

男子は私の手を振りほどこうとするが、びくともしない。

だって私は魔法少女だもの、当たり前のことよ。

「…こんのぉ…!」

男子は無理やり、私を正面に捉え、殴りかかってくる。

「…本当、遅いわね…。」

その拳を弾き、頭を掴んで地面に叩きつける。

「化け物め…!」

「わーぉ…豪快…。」

「マミさんだって、これくらいやってたじゃないの。」

「まあ、そうなんだけどね。佐藤くん、このまま反省室へ連れてくわよ。暁美さんは、担当の先生…加賀美先生呼んできて。」

「分かったわ。」

 

「失礼します。加賀美先生はいらっしゃいますか。」

「はーい、どーしたのかね、君?」

「生徒会長の巴マミからです。校内での暴力行為をした生徒二人を例の部屋に連れ込んでおいたので、後におこしください、との伝言を預かっています。」

「はーぁ、またやったのかね、巴君は。」

またって、前にもこんなことしてるってこと…?

「ありがとうとーね、君。では、私はこれで。」

加賀美先生はゆっくりと歩いていってしまった。

「…この学校、何かがおかしいわ…。」

とりあえず、生徒会室に戻ろう。

…しかし、佐藤先輩は不思議に思わないのだろうか。

背丈が一回りも大きい男子を投げ飛ばす私達を。

まさか…。

 

「あら、おかえりなさい、暁美さん。さて、講義の続きを…」

私が生徒会室に戻ると、マミさんと佐藤先輩が講義の準備をして待っていた。

しかし、私には聞きたいことがあった。

「待って。…マミさん、ちょっとこっちに…。」

「え…?ごめんなさい、佐藤くん、ちょっと行ってくるわね。」

 

「…それで、なんの話かしら暁美さん?」

「もしかして、何だけど…佐藤先輩に魔法少女のこと、バレてないわよね…?」

私の質問に、マミさんは視線を中に泳がせ、俯いてからこう言った。

「…バレて、ます。」

「はぁぁ!?」

「しぃ〜!」

マミさんに口を塞がれる。

「ん〜!」

「…仕方がないじゃないの。そう、あれは私が初めて生徒会長として生徒の鎮圧に向かったときのことよ…」

 

 

回想…。

「やめなさい!校内での暴力行為は校則によって禁止されています!これより、取り締まりを行います!暴力行為を行ったものは速やかにこちらに来なさい!」

思い返せば、まだまだ私も未熟だったわ…。

そんな簡単に投降するわけがないのに、言葉だけでなんとかしようとしてたわね…。

「あぁん…?なんだ、絶好調の生徒会長様じゃねぇか…?」

「へへ、前から思ってたんだけどよ、いい乳してるよな、コイツ!」

「なっ…!」

「…。」

そうそう、その時は佐藤くんも一緒だったの。

私が色々言われてるのを、後ろで見てるだけだったけどね。

「ほらほら、触らせてよ〜!」

で、その暴力生徒が私の方に来て、セクハラをしようとしたわけ。

私は無我夢中で、魔法で強化した力で突き飛ばしちゃったわけ。

「がぁっ…!?」

もう、みんなびっくりよ。

私が少し触れただけで、数メートル吹っ飛んで。

その生徒は運良く軽傷で済んだんだけどね。

「こ、こいつ、何なんだよ!?化け物か!?」

そりゃそう思うのも無理はないわよね…。

だって、自分よりも大柄な男をふっ飛ばして見せたんだから。

私も、どうしたものかとアタフタしてたの。

そうしたら、佐藤くんがね…。

「これは、私がやったということにしましょう。」

って言ったの。

その場にいた全員が、は?ってなったわ。

「私がやったことにすれば、ある程度の説明はできます。私は一応、武道を習っていますから。それに、身体

的にも違和感はないでしょう。」

庇ってくれたんだ、って嬉しくなった。

それで佐藤くんは、暴力生徒に佐藤くんがやったことにするように無理やり言いつけたの。

生徒会としては悪いお手本なんだけど…。

まぁ、どんな組織にも闇はあるものだし。

…で、佐藤くんは勘がいいから…

「巴会長。先程の異常なまでの腕力は一体何なのですか?今回は私の仕業、ということにしましたが、正体をお教えにならないのなら、これから先は会長ご自身の仕業、ということにしますよ?」

って、半ば脅しみたいに詰め寄られたの。

勿論、私は教えるわけにはいかなかった。

でも、佐藤くんはこう言ったの。

「大丈夫です。私は口が堅いので、誰にも口外したりはしません。例えば、母のへそくりは冷凍庫の奥に隠してあるとか、友人の健介は、一年前のテストの結果が悪く、未だに母に報告していないという秘密は誰にも口外したことが…あっ…。」

「えっと、その…今のは、聞かなかったことに…。」

その時、私は確信したの。

この人は、悪い人じゃないんだって。

そして、真面目で優しいんだって。

利用しようとか、変な事を企んでるわけじゃない。

ただ、私の力になろうとしてくれてるだけなんだって。

だから、なのかな。

その頃は周りに魔法少女も居なくて、一人で活動してたから…。辛いっていうのもあるかもしれないけどね。

話したの、魔法少女の事。

佐藤くんは、茶化すこともなく、確証もない私の話を一生懸命聞いてくれた。

私が魔法少女の事を話してて泣いちゃったら、彼、抱きしめてくれたの。

ただ、大丈夫って言って。

…嬉しかった。

この人は、私の理解者なんだって。

片手で数えられるくらいにしかいない、大切な人なんだって。

だから、今でも彼に魔法少女の事を話したことは後悔したことはないの。

 

現在に戻る…。

「…なるほどね…。そんな事情があったの…。」

私も、中沢君に話してしまったのだから、あまり人の事は言えないが。

彼女には、彼女の事情があったのだ。

マミさんはマミさんで、苦しんでいたのだ。

「…ごめんなさい、訳も聞かないで責め立てようとして…。」

「いいのよ、私が話さなかったのも問題だから。」

「…だから、あんなふうにマミさんがありえない力を見せても、私が叩きつけても、驚いたりしなかったのね…。」

「まぁ…さっきよりも前から、暁美さんが魔法少女だってことも見抜かれてたの。」

「なぁっ!?」

「だから言ったじゃない、佐藤くんは勘がいいんだって。」

…知らなかった。

ここ最近、魔法少女の認識が広まってる気がする…。

まぁ、その一因は私なのだが。

「佐藤くん曰く、魔法少女は目つきが違う、らしいわ。どこか大人びていて、世界のずっとずっと奥を見つめているようだ、って。」

「せ、世界のずっと奥…?」

私、そんなところ見てないと思うけど…?

「…まぁ、彼の表現の方法が、あくまでそういうものっていうだけだから。」

「はぁ…。でも、まさかバレているなんて…。」

「まぁ、バレたのが佐藤くんでよかったじゃない。」

「それはそうだけど…魔法少女っていうのは、戦争の兵器にもなりかねない恐ろしい存在なのよ?通常兵器では撃退が不可能な程の身体能力、強力な固有能力、不死身の身体。こんな好条件の兵士、中々いないわよ。」

「もし、戦争屋なんかに私達の存在が知られれば、私達は私達で居られなくなるの。どこからどう漏れるかわからないのだから、迂闊にこのことを口外するのはやっぱり…。」

「…まぁ、そうよね。魔法少女が公然の秘密になってしまえば、私達は本当に人間として見られることもなくなってしまう。ごめんなさい、暁美さん…。」

「いいの…もうバレてしまったことはどうしようもないから。これからどうやって魔法少女が知られないように隠し通していくかが問題なのよ。」

「大丈夫。佐藤くんはその辺りは徹底してるから。」

「…ならいいのだけど…。」

 

「ごめんね、佐藤くん…いきなり出て行っちゃって…。」

「いえ、気にしていません。私は会長の判断に従うだけです。」

「ふふ、ありがとう。それじゃあ暁美さん。講義を再開するわね。」

 

「はぁ〜…やっと終わった…。」

「あらあら、これだけでギブアップ?」

「うっ…やることが多くて不安になっただけよ!」

「大丈夫よ、生徒会は一人じゃないんだから。いざとなったら志筑さんを頼りなさい。」

「毎回がいざとなったらになりそうよ…。」

「ほらほら、早く帰る支度をしなさい。私達は特例でこうやって残らせてもらってるんだから、早く帰らないと怒られるわよ。」

「会長、鍵は私がしめておきます。ですから、暁美さんと帰ってください。」

「そんな、悪いわ。」

「いいんですよ。私は会長のサポートが出来ることが嬉しいんですから。」

「…!そ、そう。ならお願いするわね…。」

あーあ…また始まったよ、夫婦漫才…。

鬱陶しいわ、あぁ、鬱陶しい。

「あー、はいはい。ごちそうさまです、マミ会長殿。早く帰るわよ。」

私は無理矢理にマミさんの手を引いていく。

「あ、ちょっと暁美さん!?」

 

「…マミさん、一つだけ質問、いいかしら?」

「え?ええ、どうぞ。」

「もしかして、佐藤先輩の事、好きなの?」

「なっ!?そ、そ、そんなわけ、ないじゃないの!」

「ふーん…別に、カッコよくて、周りの男子にはない冷静さがあって、怪我したときに心配してくれる、優しい佐藤先輩のことなんて好きじゃない、と…。」

「…。」

マミさんは顔を真っ赤にして、俯いてしまう。

こんなマミさんは中々見られない。

なので、写真を一枚。

「な、なんで撮るのっ?」

「ふふ、秘密。…そう、佐藤先輩の事、好きじゃないのね…誰かが佐藤先輩の事を奪っていくかもしれないわねぇ?」

私は耳元で囁く。

「…!ダメよ、それはダメ!」

「どうして?あんなカッコいい男の人、中々いないからみんな狙ってるかもしれないわよ?」

「ま、まさか…暁美さんも…?」

「何馬鹿なこと言ってるのよ。私はあんな男には興味はないに決まってるじゃない。私はまどか一筋って、出会ったときから決めてるの。浮気なんてとんでもない。」

「よ、よかった…。」

「…で?本当のところ、佐藤先輩のことどう思ってるの?」

「…これ以上は隠し通すのは無理ね…。ええ、好きよ、私は佐藤くんのことが好き。もちろん、そういう意味で…。は、恥ずかしい…。」

「やっぱりね…。」

「やっぱりって、気づいてたの!?」

「ええ、みんなね。」

「えぇ!?そんな…恥ずかしいわ…。」

マミさんはトマトのような頭をブンブンと振る。

ここでも動画を回す。

「…?あ、暁美さん?何、してるの?」

「いいえ、なんでも。それで、佐藤先輩のどんなところが好きなの?」

「え、言わなきゃいけないの…?」

「もちろん。」

「…え、えっと…その、クールで、カッコよくて、仕事が出来て、眼鏡がよく似合ってて…優しくて、後は…。」

「ふふ、沢山あるのね。」

「…こ、これだけよ!もう、恥ずかしい…。」

「ありがとうマミさん。面白いのが撮れたわ。ほら。」

「え?え?」

私はスマホの画面をマミさんに見せる。

「あっ…!撮ってたのね、消しなさい!」

「ダメよ。これは証拠なんだから。」

「証拠って…!最初からこのつもりだったのね!?」

「ええ、そうよ。」

「酷い、酷いわ!騙したのね!」

「騙したなんて人ぎきの悪い。聞かれなかったから、答えなかっただけよ。」

「キュゥべえみたいなこと言わないの!ほら、消しなさい!」

「…マミさん、私はこの動画を誰かに送りたくて撮ったわけじゃないわ。」

「え…?」

「私はね、魔法少女だからって、学校生活も、恋も楽しめてないマミさんを何回も見てきた。一人で殻に閉じ籠って、魔法少女以外の人付き合いを拒絶して。」

「だから、私は凄く嬉しいの。こうやって、魔法少女だからなんて言わないで、幸せそうなマミさんを見ることができて。」

「恋をして、魔法少女としてじゃなくて、一人の人間として楽しんでるマミさんが居たんだ、っていう証拠ってことよ。」

「…暁美さん…。あなたって人は、本当に…!」

「ほら、泣かないの、マミさん。仮にも私の先輩なんだから…。」

「でもっ…嬉しくて…!暁美さんが、私の事をそんなに考えてくれてるなんて、知らなかったから…!」

「私はね、いつだって皆の事を考えてるの。まどかだけじゃない。さやかも、杏子も、マミさんも。」

「皆、大好きで、大切な仲間達だもの。」

「…ぐすっ…もう…そうなら最初からそう言って…!勘違いしちゃったじゃないの…!」

「ごめんなさい、聞かれなかったから。」

「だから、キュゥべえみたいなこと言わないの…!」

 

「…それで?告白、しないの?」

「こ、こ、告白!?そんなの、恥ずかしくてできるわけないじゃないの!」

「ティロフィナーレはできるのに?」

「あれは恥ずかしくなんかないもの!ティロという語の響きの美しさ…フィナーレという、いかにも迫力に満ちた、力強い言葉…!その二つが合わさったとき、形容しがたい美しさが…!」

「はいはい、すごいすごい。…本当に告白しないの?佐藤先輩もマミさんのこと、好きだと思うのだけど。というか早く付き合っちゃいなさいよ。もうあなた達夫婦よ、夫婦。」

「ふ、夫婦!?そんな、気が早いわよ!」

「気が早いってことは、将来は…?」

「あぁもう、そういうことじゃないわよ!」

「でも、するなら早くしたほうがいいわよ。いくら進学先が同じだとしても、環境が変わって、気持ちだって変化することだって少なくない。もし、佐藤先輩がマミさんを好きでいて、進学したら別に好きな人ができたらどうするの?」

「…それ、は。」

「あのね、私は誰にも後悔してほしくない。特に、常に命を地獄の淵に置き続ける魔法少女には。私達は、いつどこで、どうやって死ぬのかを常に警戒しなければならないの。」

「だからこそ、短い一生であったとしても後悔がなかった、毎日が楽しかったって死ねるのがベストだと思う。」

「だから、恥ずかしいとか、恐いだとかいう理由で、目の前の可能性から逃げてほしくない。…って、前の生徒会選挙の時に学んだのよ。」

「…そうね。あれだけ暁美さんに生徒会長を勧めておいて、私だけが勇気を出さないなんて卑怯、よね。」

「暁美さん、私やるわ。佐藤くんに告白してみる。」

「ふふ、やる気になってくれてよかった。」

随分と手のかかる先輩だ。

 

次の日、土曜。

「さて、全員集まったわね。それじゃあキュゥべえ、話って何かしら。」

私達は突如としてインキュベーターに呼び出されていた。

まどかとのデートが控えているのだから、早くしてほしい。

…しかし、この胸に感じる嫌な感じ…。

ザワザワする。

『今日君たちに集まってもらったのは、ある報告と警告をしなければならないからだよ。』

「報告…警告…。」

『まず、報告の方から。ここから中田町を挟んだ向こうにある、広先市の魔法少女が全滅した。』

「は…?広先っていうと、みのりがいた場所じゃんかよ…あいつ、死んだのか?」

「嘘…嘘よ、彼女は相当の手練よ?そんな簡単に死んだりは…!それに、約束したのに…!」

「みのり…みのりって誰なの?」

「…ここらで結構な強者って言われてた魔法少女だ。かなりのベテランで、もう五年になるはずだ。あたしらからすれば、お手本みたいな人さ。」

「あの人は、私の師匠の一人なのよ…まさか、そんな…。」

みのりとは、広先市というところで魔法少女をしていて、この辺りでは相当の手練…。

そして、マミの師匠の一人…。

そんな魔法少女が、死んだ…?

『残念だけど、広先市の縄張りは中田町の魔法少女がここぞとばかりに奪っていったからね。』

「そんなこと言われなくても、最初からそんなことしないってば。」

「…それで、警告って何かしら。」

『あぁ、忘れていたよ。警告っていうのはその広先の魔法少女を全滅させた魔女が見滝原の方向に逃げているんだ。中田町の魔法少女がそうなるように仕組んでね。』

「なぁっ…!?」

「嘘、でしょ…?」

「そんな…そんな…!?」

皆それぞれに不安を口にする。

『まぁ、そんなに落ち込まないでくれ。しっかりと魔女の情報も仕入れてきたんだ。』

『この魔女の本質は、偽りの幸せ。この魔女は魔法少女の感情に最も入り込みやすい姿に変身し、幸せを提供した後、魔法少女を捕食する。その時、不思議な空間に取り込まれ、外部とのリンクが遮断され、自力でないと魔女結界からは抜け出すことはできなくなるそうだ。なお、一般人を捕食することは殆どない。魔法少女の持っている魔力を欲しているからだ。』

「…つまり、遭遇したとしたら、一人で戦わなくちゃいけないってこと…?」

『そういうことになると思ってもらっていいよ。』

「…さやか。」

「…?」

「さやかはこの魔女が討伐されるまではパトロールは禁止。また、外出も極力禁止よ。」

「な、なんで!?」

「さやか一人では危険だからよ。貴方はこの中で一番未熟だし…彼の事だってある。きっと、辛いだけでしょうから、やめておきなさい。」

「…分かった。あたしはおとなしく引き下がるよ。」

「ありがとう。」

「…パーティープレイが出来なくなると…かなり戦術の見直しが必要になってくるわね…。」

「あたしはまだ一人でやってたときのが身にしみてるからね。問題ないよ。」

「…私も、ある程度なら。」

『良かったよ、いい返事が聞けて。ここで君たちに脱落されてしまうと、ノルマがまた遠ざかってしまうからね。』

「はいはい、分かったからとっとと出てけ。スペアが無駄になる前にね。」

『やれやれ、頼んだよ。』

インキュベーターは、そう言い残し去っていった。

「ったく、面倒くさいことになったな…。」

「でも、油断せず、丁寧に対処すれば問題ないわ。こちらには情報があるのだから。…マミさん?大丈夫?」

「…皆にお願いがあるの。」

「お願い?」

「この魔女は、私に倒させて。」

「は?」

「この魔女は、私の恩師を殺した…私は仇討ちをしなければいけないの。彼女の無念を晴らすためにも、私が…!」

「マミさん、それは…!」

「…あぁ、マミに任せる。」

「杏子!?あなた…」

「だから、コイツをちょっと借りてくよ。さやかとでも作戦会議してな。」

「ちょ、離しなさい…!」

「いいから、ついてこい。」

私は杏子に引っ張られる。

そのまま外へと連れ出される。

「もう、何なのよ杏子?」

「…今のアイツに何言っても無駄だ。それに、マミはこの中で一番の実力者なんだ、やれるさ。」

「でも、憎しみだけでは何もできないのよ…!?」

「分かってるさ。いざとなったら、あたしたちが止めるんだよ。」

「杏子、あの魔女は外部からの干渉をカットするのよ?分かってる?」

「だーから、やばかったら、あいつが接触する前に止めるんだよ。」

「…でも。」

「たまにはさ、マミのやりたいことやらせてやれよ。アイツだって、悔しいんだ。自分の師匠を殺されて、腸が煮えくり返るくらい、怒りが溜まってるんだよ。」

「…分かった。その代わり、監視を徹底するのよ。」

「分かってるさ。…ほら、ほむらはまどかの所に行ってやんなよ。きっと今頃泣いてるぞ?デートすっぽかされたーってな!」

「なっ、何言ってるのよ!?…もう…じゃあ、後は任せたわよ!」

 

私は、胸に残るわだかまりの正体がなんなのかわからぬまま、まどかとの待ち合わせ場所へと向かった。

 

 

 

 

おまけ

 

今年の夏休みは、ほむらちゃんがいる

 

いよいよ、待ちに待った夏休み。

今年は、二週間の間だけ、ほむらちゃんの家に泊まる…もとい住むことが許可された。

これは、そんなある日のこと。

 

「ん〜…もう朝ぁ…?」

私はけたたましい音を鳴らす目覚ましアラームを止め、伸びをする。

そして、隣で眠る天使の髪を掬い、撫でる。

「ふふ、かわいいなぁ…。」

その寝顔は、どこか幼さを感じさせ、いつものような大人びた雰囲気はどこへやら。

しかし、彼女の寝顔というのは形容しがたい美しさを持っている。

芸術などという言葉では片付けられない、素晴らしさ。

まさに、神が創りし美しさの化身。

周りからは言い過ぎだの、バカップルだのと言われるが、私は大袈裟でもなんでもないと思っている。

「んん〜…まどか…。」

起きてしまったようだ。

「おはよ、ほむらちゃん。」

「おはよー…今、何時…?」

「ほむらちゃんはまだ寝てても大丈夫だよ。今日は、私が家事当番の日だからね。」

「まどかが起きるなら、私も起きるもん…。」

ほむらちゃんは目をこすり、私に抱きついてくる。

「このまま洗面所まで連れってぇ…。」

「もー…甘えん坊さんなんだから…。」

「えへへ…まどかー、頑張ってー。」

こんなふうに、ほむらちゃんは二人きりかつ、ほむらちゃんの家の中限定で、こんなふうになるのだ。

私としては、クールなほむらちゃんも大好きだが、甘えてくれるほむらちゃんはもっと大好きだ。

なぜなら、私だけに見せてくれる本当のほむらちゃん、のような気がするからだ。

「ほら、ついたよほむらちゃん。」

「顔、洗ってほしいな…?」

「もー…それくらい自分でやらないと、将来大変だよ?」

「いつもは一人でやってるもん…。今日は、まどかにしてもらいたい気分なの。」

「…はいはい、ほら顔こっちに向けて。やってあげるから、ね。」

「えへへ、ありがとう。」

ほむらちゃんは笑いながらこちらに顔を向けてくる。

その笑顔は、まさに可愛さという可愛さを詰め込んだ素晴らしいものであった。

だから、ついつい見惚れてしまった。

「…まどかー?まだー?」

「あ、ごめんね、今やるからね!」

 

しばらくして、甘えん坊モードから戻ったほむらちゃんはエプロンをつけ、お料理を始めた。

鼻歌まじりに楽しそうにお料理するほむらちゃんを見ていると、自然と笑顔が溢れる。

私は、日常にいるのだ。

ほむらちゃんとの、幸せで、当たり前の日常。

ある種の牢獄であり、一生の間囚われるべき場所。

できることならば、いつまでも囚われていたい。もちろん、ほむらちゃんと二人で。

そして、この日常はふとした瞬間に、日常ではなくなることも分かっている。

きっと私はその時、揺れるだろう。

契約という、誘惑に。

ほむらちゃんという存在を望むのか。

ほむらちゃんという感情を望むのか。

私は、選べないだろう。

そんなことを考えていると、ほむらちゃんはお料理を終わらせて、運んできた。

「さて、朝ごはんできたわよ。今日の朝ごはんはベーコンエッグ、ベーコンはカリカリにしておいたわ。」

私は、余計なことを全て頭の隅に追いやり、目の前の最高の料理に意識を向ける。

「わぁ〜!美味しそ〜!」

「ふふ、さ、食べましょうか。」

「うん!いただきまーす!」

 

「ふ〜…美味しかったぁ…。」

「よかった。それじゃあ、何しましょうか?」

「うーん…今日はお天気だし、お出かけなんてどうかな?」

「そうね…今日は久しぶりの晴れだし、お出かけにしましょうか。」

 

ということで、私とほむらちゃんはいつものショッピングモールに来ていた。

特に何をするとはいうのはいつも決めないでいる。

なぜなら、計画するのが面倒だからだ。

だから、ショッピングモールについてから、適当に場所を決めることにしている。

「今日はどこから行こっか?」

「そうねぇ…試しに、服屋巡りでもしてみましょうか?」

「うん!それがいい!行こ、ほむらちゃん!」

 

「えーと…本当にこの服着るの?」

「うん!ほむらちゃんに似合うと思ったんだ。」

「…まぁ、まどかが言うなら…。」

私がほむらちゃんに着させようと(半ば無理矢理に)しているのは、うす紫をベースとした白い模様がついたフリフリのワンピース。後ろについた大きめのリボンが特徴的だ。

このワンピースを見た瞬間、即座にこう思った。

ほむらちゃんに着せたい、と。

きっとこれを着たほむらちゃんは、神から賜った芸術作品の更に上をいく可愛さに決まっている。

衣擦りの音を聞きながら、頭の中で、恥ずかしがりつつも私に、

「どう…かな…?似合ってる、かな…?」

と見せてくれるところを想像して興奮する。

そして、試着室のカーテンが捲られる。

「…まどか、どうかしら?似合う?」

ほむらちゃんは優雅にワンピースの裾を掴んで、お嬢様の挨拶のポーズをしてみせた。

「わぁ…!かわいいのにカッコよくて、お嬢様みたい…!」

想像していたのを更に上回ってくるのがほむらちゃん。

「…あ、ありがとう。も、もう着替えていいかしら?これ、案外下の丈が短くて、恥ずかしいのよ…。」

「すみませーん!この服くださーい!」

「まどか!?」

 

「ごめんなさい、服買ってもらちゃって…今は手持ちがないけど、近いうちにお返しを…」

「いいよ、いいよ!お返しなんていらないよ!私がほむらちゃんに着てほしいっていう我が儘なんだから!」

「でも…。」

「じゃあ、お返しはその服でお出かけすること!」

「…まどかが望むなら、いつだって。」

 

その後なん店舗かを見て回り、ほむらちゃんに着せ替え人形ような勢いで気に入った服を着させ、本当にほしいものの目星をつけておいた。

 

そして、お昼。

「ん〜…どっちにしようかなぁ…。」

「まどか、何と何で迷っているの?」

「あのね、新作のてりたまバーガーか、いつものチーズバーガーかで迷ってるんだけど…。」

「そう…。じゃあ、私はチーズバーガーにするから、まどかはてりやきバーガーにしましょうか。」

「え?でも、それだとほむらちゃんの食べたいものが…。」

「ううん、私もこの二つで迷ってたの。ふふ、運命なのかしらね。」

ほむらちゃんはそう言って微笑む。

運命。

私の頭に衝撃が走る。

運命。

ほむらちゃんはどうして私を掻き立てる言葉ばかりをチョイスするのか。

いや、ほむらちゃんだからなのか。

ほむらちゃんが言うからこそ、私を掻き立てるのだ。

「えへ、運命…えへへ…運命〜…。」

「…まどか?まどかー?」

「ひゃ、ひゃい!ど、どうしたの?」

「注文してくるけど、他に食べたいものはない?」

「あ、うん!大丈夫だよ!」

「じゃあ、いつものセットでいいわね。少し待ってて。」

…ニヤニヤしてるところ、絶対に見られた。

恥ずかしいぃ…。

 

「はい、てりたまバーガーのセット。シェイクはストロベリーで、ポテトはMよ。」

「ありがとう、ほむらちゃん!」

ほむらちゃんはチーズバーガーに、シェイクはチョコレート、ナゲットのセットだ。

いつもこのセットを頼んで、交換をしているのだ。

「さて、いただきます。」

「んん〜…てりたまバーガーおいひい…。」

「まどか、一口ちょうだい?」

「うん!はい、ほむらちゃん、あーん…。」

「ん…美味しいわね。二つとも頼んで正解だったわ。」

「ほむらちゃん、チーズバーガーちょうだい!」

「ええ。はい、あーん。」

「あーん…。ん〜、こっちも美味しい〜!」

「ふふ、よかった。あ、ナゲット食べる?」

「うん!あーん…。」

 

私達は昼食を食べ終え、近くにある比較的人の少ない公園のベンチに座っていた。

ほむらちゃんは座っていても手を繋ぎたがる。

しかも、甘えた声でこう言うのだ。

「まどか…まどかの暖かい手、ちょうだい?」

これで手を差し出さないまどかが何人いるのか。

 

「はぁ〜…美味しかったねぇ…。」

「ええ。…でも、あんまり食べるとお腹まわりが怖いのよね…。」

「ダメーっ!それ以上はダメだよっ!」

「え?」

「…体重、増えちゃったの。幸せ太りで…。」

「そう、だったの…。ごめんなさい、まどかのことも考えないで失礼なことを言って…。」

ほむらちゃんは下を向いて、本当に申し訳なさそうにしてしまう。

「…本当に、ごめんなさい。」

「い、いいの!気にしないで!」

「でも…。」

「もー…本当に気にしてないってば!これ以上、でもでも言ってると、ほむらちゃんのこと嫌いになっちゃうよ?」

「…!そ、それはダメ…。」

ほむらちゃんは涙目で私の顔を見つめてくる。

その顔に心臓がどくんと跳ね、頭がぼやーっとしてくる。

「さ、さっきのこと、もう気にしたりしないから…だから、嫌いにならないで、お願いまどか…。」

遂にほむらちゃんの堤防は決壊し、涙がポロポロと零れ落ちていく。

「…意地悪しちゃってごめんね、ほむらちゃん。」

私はほむらちゃんをそっと抱きしめる。

柔らかく、細い体にまた気分が昂ぶる。

「まど、か…?」

「最初からほむらちゃんの事、嫌いになる気なんてないんだ…。でも、こうでも言わないとほむらちゃんは、いつまでもふさぎ込んじゃうから…。」

「…まどかぁ…。酷いよ、本当に嫌われるんじゃないかって、怖かったんだからね…!」

「ごめんね、ほむらちゃん…。大丈夫だよ、私はほむらちゃんのこと大好きだから…。」

「もう、嘘は嫌だよ…?」

「やだなぁ…ほむらちゃんが嫌がること私がするわけないじゃない…。」

「…今まで、沢山された、けど…」

「あぁー、なんのことだろうなぁー?」

私はほむらちゃんを強く抱きしめる。

「わわっ…まどか、胸が…んん…。」

「ふぅ…これで喋れないでしょ。」

これだけ聞くと悪役のそれだが、致し方あるまい。

「んん〜!んー、んー!」

「え?なになに?」

「んんん、んん〜…んん、ん〜!」

よくわからないが、多分こんな感じ。

「まどか、苦しい…お願い、離して〜!」

「えへへ、ごめんね。今緩めるからね。」

「はぁ…もう!いきなり強く抱きしめないでよ…。」

「だって、あれ以上喋ったら私の心が傷ついちゃうからね。」

私はおどけたふうに言う。

「…まだ、伝えてないことがあるのに…まどかが喋れないようにするから…。」

「え?」

「…私は、まどかに沢山嘘だってつかれたし、嫌なことだってされたし、酷い言葉だってかけられた…。」

「…。」

このとき、私は確信した。

これは私の話であって、私の話ではないのだ。

「でも、まどかのその行動は全部、誰かを救いたい、心配だから、でた行動なんだって分かってるの。さっきだって、私を元通りにさせようとした嘘なんでしょう?」

「だから、私はそんな行動をするまどかだって大好き、だよ…。」

ほむらちゃんは下を向きながら、私にそう言う。

「…ほむらちゃん、こっち向いて?」

「…?」

私はほむらちゃんの唇を無理矢理に奪う。

ほむらちゃんは静止の言葉を投げかけてくるが、口は素直だ。

甘い。いつもより、甘い。

「ん…ぷはぁ…。」

「ま、まどか…いきなりキスするなんて…それに、ここは公共の場所だよ…?」

「えへへ、かわいすぎるほむらちゃんが悪いんだよ?」

「そ、そんな…。…も、もう帰るわ!」

「うん、そうだね。…もっと、家で続き、する?」

「…!…うん…。」

 

「ん、んちゅ…。」

私とほむらちゃんは、ベットの上で抱き合っていた。

寝室には卑猥な水音が響き、甘い香りに包まれていた。

ほむらちゃんは既に出来上がっていて、何回もキスを求めてくる。

私が唇を離す度、とろんとした目で、

「もう一回…お願い、まどかぁ…。」

と言ってくるのだ。

もちろん私が我慢できるわけもなく、そのまま深いキスに沈んでいく。

「えへへ、暑いね…。」

「うん…熱い…。」

そう、今は夏真っ只中。

そんな季節だというのに、私達は冷房をつけることも忘れ、お互いの愛を確かめあっているのだ。

「ほむらちゃん、脱がせてあげる…。」

「うん…お願い…。」

私はほむらちゃんの服のボタンを、ゆっくりと、一つずつ取っていく。

その度に、私の気分は昂ぶっていく。

今にも押し倒して、全ての身ぐるみを剥いで、思うがままに襲ってしまいたい、という衝動に支配される。

しかし、そこには愛がないのだ。

私は、愛が欲しいのだ。

「あ…ほむらちゃん、いつもとブラが違う…。」

「…ちょっと、大人っぽいのにしてみたの…どう、かな…。」

「えへへ、凄く似合ってるよ。」

「ありがとう…。」

顔を真っ赤にして、微笑んで見せるほむらちゃんにまた心臓の鼓動は早くなる。

「…それじゃあ、下も脱がせるね…。」

はやる鼓動を抑え、ゆっくり、丁寧に…傷をつけてしまわないようにほむらちゃんの服を脱がせていく。

長いスカートで覆われていた、ほむらちゃんの白く、スベスベの肌が顕になっていき、私の頭は真っ白になりかけていた。

いつも見ているはずなのに、初めてではないのに、いつになく私は興奮していた。

常に意識していなければ、私はほむらちゃんを襲ってしまうくらい、興奮していた。

既にほむらちゃんの下着は、蜜で濡れていた。

私がその部分をまじまじと見つめていると、

「は、恥ずかしいよ…。」

と手で覆ってしまう。

私は、

「恥ずかしくなんてないよ、ほら、見せて…。」

とほむらちゃんの手を退ける。

ほむらちゃんは、あ…と声を出すが、反抗はしてこない。

私は下着を丁寧に剥ぎ取り、顕になった秘部を一度、撫でる。

ほむらちゃんは、甘く、熱を帯びた声を出す。

私の頭はその声に殴られたように響く。

その声がまた聞きたくなって、もっと撫でてみる。

その度に甘い声を出すほむらちゃんが愛おしくて、気分がどんどん昂ぶっていく。

私は撫でているだけでは足りなくなり、秘部を舐めてみたいと、甘い蜜を吸いたいという衝動に駆られる。

私はその衝動に従い、秘部を舐める。

それだけではもの足らず、上の突起にまでも手を出す。

ほむらちゃんは更に甘く、上ずった声を出す。

私は無我夢中で舐め続ける。

ほむらちゃんは体をうねらせたり、のけぞらせたりする。

一度舐めるのを止め、ほむらちゃんの全身を舐め回すように見つめる。

色っぽく息を切らせるほむらちゃんは、とても魅力的に映る。

太ももにある、小さなほくろ。

慎ましやかで、先は桜色の胸。

陰毛一つ生えていない秘部。

これは私しか知らないほむらちゃんなのだ、と思うと更に興奮する。

そして、その全てが恐ろしく魅力的。

私は予告もなしに、ほむらちゃんの胸にむしゃぶりつく。

ほむらちゃんは大きく喘ぎ、私を抱きしめてくる。

もう、我慢などできなかった。

これだけの魅力を前にして、正気でいられるわけがなかったのだ。

ほむらちゃんは私の名を何度も呼び、私を求めてくる。

私もそれに応えるように、何度もほむらちゃんの胸を貪る。

そして、ほむらちゃんの身体が大きく反る。

私はこのとき確信した。

彼女は、私の舌で絶頂したのだ。

そう、私の舌で。

その事実は私を更に掻き立てた。

私達は深い口づけを交わし、お互いの愛を確かめる。

そして、更に深い快楽に沈んでいく。

 

その後のことはよく覚えていない。

朝目覚めれば、私とほむらちゃんは裸で抱き合っていた。

ほむらちゃんの寝顔は安らかなもので、昨日のような艷やかさとは無縁。

しかし、どちらの彼女も私には魅力的だ。

いつまでも、この顔を…私にか見せることのない、表情を。

私だけが独占したい、そう貪欲な願いが私の中に満ちる。

私はほむらちゃんを抱きしめ、全身にダイレクトに伝わる感触を楽しみながら、もう一度眠りに落ちていった…。

 




はい、前編はここまででございます。
こんなふうに何かが起こる予感、悪い予感がする…。
っていうのはど定番の書き方でございますね。
まぁ、物語としては何かが起こってくれないと困るわけですし。

あ、途中で出てきた見滝原大付属高校というのは、私立大学にくっついてる高校のことでございます。
普通科、普通科大進Ⅰ(そのまま見滝原大への進学を目指す)、普通科大進Ⅱ(有名私立や、国立大への進学を目指す)という基本の科と、芸術科、音楽科、調理科、総合科を設け、多彩な才能を育てる…というよくあるようなキャッチコピーに現代ではありえないほどの規模の高校です。
まぁ、日本規模で有名な学校ってことで…。
…ここまで説明した理由は、勘のいい人ならお分かりかと思いますが…。
まぁ、そういうことです。

マミさんと佐藤先輩…。
どうなるんでしょうかねぇ…。
では。
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