いやぁ…大変ですねぇ、この世の中…。
休み休みで…別の意味で疲れました。
で、今回のお話は…。
マミさん、急展開です。
佐藤くんと、お泊りです。
それ以上は読んでみて下さい。
あとおまけは…。
マミさんが妹プレイをします。
それ以上は読んでみて下さい。
それでは…どうぞ!
「お待たせ、まどか。」
「ほむらちゃん!」
「じゃあ、帰りましょうか。」
「うん!」
私は生徒会長の仕事から取り敢えず開放され、まどかと二人で帰ることができたのだ。
いや、正確にはマミさんが、意図的に早く終わらせたのだ。
ちょうどまどかと、下校できるように。
…しかし、これには深い訳がある。
ただまどかといちゃいちゃしたいというよりも、心配なのだ。
インキュベーターの言っていた、【偽りの幸せの魔女】。
あれは、魔法少女を捕食すると言っていた。
インキュベーターは一般人は襲わないと言った。
きっと、あれは嘘ではないだろう。
だが、魔法少女を喰らうというのは、魔力を喰らうということ。
ならば、強大な魔力を内に秘めているまどかは…?
考えただけでもゾッとする。
それに、このことはまどかに伏せていたほうがいい。
あまり魔法少女関係の問題に巻き込んで、危険な目にあわせるわけにはいかないのだ。
彼女には、辛い思いをさせてはいけない。
例え、私の勝手な我儘だとしても。
「…ほむらちゃん、どうしたの…?」
「え?」
「だってほむらちゃん…顔が怖いよ…?」
しまった。
顔に表れていたか。
何を考えていたのか詰め寄られれば、私は素直に答えるしかなくなってしまう。
「な、なんでもないわ。少し生徒会の仕事を考えてただけよ。」
「…そっか。」
「…それでね、今日さやかちゃんがねー!」
よかった。
気づかれていないようだ。
このまま、隠し通して倒してしまえばいい。
まどかから、危険を遠ざけなければ…。
「じゃあね!また明日!」
「ええ、また明日ね。」
まどかを家に送っていく間、不思議な魔力は感じなかった。
まだ、この辺りにはいないのか?
それとも、特殊な能力か何かで自身の魔力波動を消しているのか…?
どちらにせよ、早く討伐してしまわねば。
マミさんは特に怪しい動きというのは見せてはいないが…。
杏子からもこれといった報告もないし、ただの杞憂ですむかもしれない…。
そうなるに越したことはない、しかし…。
嫌な予感がする。
胸がザワザワして、何かが起こると直感が言っている。
しかし、それがなんなのか、何が起こるのかなど、私に分かるわけがない。
私だって、人間なのだから。
「…ほむらちゃん…。」
ほむらちゃんは、何かを私に隠している。
きっと、生徒会の仕事なんかじゃない。
そう、魔法少女のこと。
「恋人なんだから…少しくらいは頼ってくれてもいいじゃん…。ほむらちゃんのバカ…。」
私は悔しかった。
魔法少女じゃないから、という一言のせいで、ほむらちゃんは私を頼ってくれない。
私はそんなにも頼りないか。
私には、ほむらちゃんの役に立てるほど力はないというのか。
そんな酷な話があるものか。
恋人が隣で悩み、苦悩しているというのに、私には何もできない。
魔法少女など、この世から消えてしまえばいいのに。
私は心からそう思った。
「どこなの…どこにいるの…!?」
私の師匠に代わって、必ず討たなければいけない。
私の師匠の命を奪ったのだ、その魔女にも同じ苦しみを味わってもらわなくては。
それに、幻惑魔法だなんて…佐倉さんに任せるわけにもいかない。
彼女は、幻惑魔法にトラウマがあるでしょうし…。
暁美さんにも、生徒会長の仕事に専念してほしい。あれだけ頑張って、血のにじむような努力の末に勝ち取った座なのだから。
美樹さんには…単純に荷が重い。
彼女の魔法少女としての能力はそこまで高くはない。
それに、美樹さんの戦い方は、チームプレイ前提で指導しているから…。
その分、私はソロ期間は長いし、失うものも少ない。
…いや、そんなことはどうでもいいのだ。本当は。
憎い、魔女が。
私の師匠を二人も奪った、魔女共が。
しかし、私に勝てるのだろうか。
師匠を殺した魔女に。
気がつけば、辺りは暗くなり、夜の帳がおりていた。
時計を見れば、もう九時。
流石に疲れてしまい、休憩をしようとした、その時。
「巴会長、何をしてるんですか?こんな真夜中に。」
突然、声を掛けられた。
その正体は。
「さ、佐藤くん!?…あ〜、えっと…まぁ、アレよ。佐藤くんこそどうして?」
「…アレ、ですか。私は塾が終わったあと、合気道の稽古に行っていました。稽古は欠かすことはできませんから。」
「すごいわねぇ…塾に行って、稽古に行って…。尊敬しちゃう。」
「巴会長には及びませんよ。こんな夜遅くまでアレ、をしているだなんて知りませんでしたから。」
「う…ま、まぁ…魔法少女からすれば、これくらいは普通よ。」
「…そうですか。…巴会長、ちょっと着いてきてください。」
「え…?う、うん…。」
私はわけもわからぬまま、佐藤くんに着いていく。
心は、揺れていた。
恩師を喪ったことによる復讐心と、想い人からのお誘いに弾む恋心と。
彼といると、醜い心の形は融けていく…そして、美しい形に融合する。
そんな、気がした。
「いらっしゃいませー!」
「こ、コンビニ…?佐藤くん、私をコンビニにつれていきたかったの…?」
「いえ、そういうわけでは。しかし、話をするには食べ物があったほうがいいかと思って。」
佐藤くんは、似合わないスナック菓子や、酒のおつまみをカゴに放り込んでいく。
「マミさんは何を飲みますか?」
佐藤くんは炭酸水をニ本カゴに入れながら、そう聞く。
「あ、じゃあ…ミルクティー、かな…。」
「…夜にカフェインはよくないですよ。あまり睡眠をしないと、美しさが損なわれて…。」
「も、もう!余計なお世話よ!」
「…すみません。では、会計してきますね。」
私達はコンビニを出て、外を歩く。
話を聞けば、目的地は私の家らしい。
「許可は取れましたから。普段の行いに免じて、許してくれるそうです。」
「そ、そう…寛大なご両親なのね。」
「自慢ではありませんが、偉大な両親だと、私も自負はしています。」
「…そっか。家族、だもんね…。」
「…すみません、辛いことを…。」
「あ、ううん、気にしなくていいの。勝手に私がブルーになってただけだから。」
「…それでも、私は、巴会長の悲しんでいる所は見たくないです。」
「え…?」
「毎日頑張っていて、誰にも褒められなくても必死で街を守り続ける巴会長には…私といるときくらい、楽しんでいてほしいんです。」
佐藤くんが、輝いてみえた。
私の近くに、こんな優しさを持った人間が、魔法少女以外にいたのか。
私の辛さを、理解し、受け入れてくれる人が。
「…さ、佐藤くん…。」
「私は、そういう台詞が似合わないですね…。すみません、今のは…」
「…私は、嬉しかった。」
「…?」
「佐藤くんが、私の事を考えて、心配してくれるって分かって…嬉しかった…。」
「一人ぼっちなんかじゃ、ないんだって。」
「巴会長…。」
「…ね、佐藤くん…マミ、って呼んでほしいな…。」
「し、しかし…。」
「前だって呼んでくれたじゃない…。それに、二人っきりのときくらい…ね…?」
「…は、はい…マミ、さん…。」
「…。」
「…。」
「さ、寒いわね!」
「そ、そう…ですね。」
「…あ、あの…佐藤くんさえよかったら、なんだけど…。」
「…?」
「て、て…手を、繋がない…?」
「マミさん…!?そ、それは…!」
「あ、ご、ごめんなさい…嫌よね…。」
「そ、そんなわけ無いですよ!」
「さ、佐藤くん…。」
「あ…すみません…。」
「う、ううん…気にしないで…。」
私が伸ばしていた手を引っ込めようとすると、佐藤くんに手を掴まれる。
「さ、佐藤くん…!?」
「…マミさんの手、暖かいですね…。」
「も、もう…。」
「…い、急ぎましょう。このままでは、補導されてしまいます。」
「そ、そうね!急ぎましょう!」
そんなことを言いながらも、私達は手を離すことなどしなかった。
お互いの温もりを、離そうなどと、考えもしなかった。
「…ふぅー…佐藤くん、上がったわよ。お風呂、入って?」
「はい。ありがとうございます。」
佐藤くんのいなくなった部屋で、大きく溜息一つ。
「はぁ〜…。」
胸が、高鳴っていた。
鼓動は、おさまる事を知らず、常に全速力。
「…告白、かぁ…。」
暁美さんから言われた、あの言葉が私の頭を更に掻き回す。
後悔を、しないように生きる。
それは、普通の人ではない、魔法少女だからこそ分かる、大切な事。
分かっている。
そんなことくらい、分かっている。
実際、そうしてきたつもりだった。
しかし、佐藤くんの登場によって、その信念が揺らがされた。
いや、勝手に揺らいだという方が相応しいか。
…私は、どうするべきなのか。
暁美さんには、すると言ってしまった。
あそこで拒否していれば、彼女の全てを否定することになっていたから。
その点、彼女はその辺りをしっかりと割り切れている。
割り切れているから、鹿目さんという恋人がいる。
生徒会長という肩書きがある。
彼女はあくまで、ヒトとして生きている。
魔法少女ではない。
私も、そうであったはず。
あったはずなのだ。
私は、暁美さんにこう問いたい。
死が、怖くないのか。
想い人を一人置いて、先に逝ってしまうという恐怖はないのか。
私には、耐えられない。
何度も、何度も…置いていかれているから。
あの恐怖は、いつまでも忘れない。
そんな恐怖を、想い人にはさせたくない。
暁美さんは、このことについて何と答えるだろう。
彼女は強い。
どんな困難でさえも、彼女の前では屈服する。
そして、暁美さんには心通う恋人がいる。
私からみても、二人が揃えばなんでもできる、そんなふうに見える。
彼女たちは、恋人という関係を超越している。
だから、きっとこう答えるだろう。
「怖いけど、その死は今じゃない。その死すら乗り越えることができるくらいに楽しい毎日を過ごすの。後悔なんてない、そう言えるようにね。」
…。
それに比べて、私はどうだろう。
死というゴールに怯え、自分のしたいことすら失いかけた。
今でこそ立ち直ったが、新たな悩みに苦しめられる。
魔法少女、それがすべての元凶。
私は…告白を…すべきなのか…。
自分のために生きるのか、彼を守るために生きるのか。
答えは、出ない。
出せない。
「…マミさん、今上がりました。」
「あ、あら、おかえり…。」
「どうしたんですか、深刻そうな顔をして…。」
「い、いえ…なんでもないわ。」
「…お願いですから、一人で抱え込まないでください。」
「だから、なんでもないって…!」
「嘘はやめてください。…私は…分かるんです。マミさんが、悩んでいて、辛いということが。」
「だから、今日はマミさんに…」
私は、葛藤していた。
そして、腹を立てていた。佐藤くんに。
どうして原因の彼に、問い詰められなければならないのか。
「…佐藤くんに…佐藤くんに、何がわかるっていうのよ!?」
「マミさん…?」
「ええ、そうよ!私は悩んでるの!佐藤くん、あなたのせいでね!」
「わ、私ですか…!?」
「どうせ、分かりもしないのに…偉そうに、話せとか言わないでよ!私だって、話せなくて辛いんだから…!」
「マミ…さん…。」
佐藤くんは、困惑していた。
同時に、悲しそうな目をしていた。
それは、私のせい。
「…ごめんなさい…ただの、八つ当たりね…。」
「そ、そんな…私こそ、謝らなければ…。」
「優しいのね…。」
「…マミさん。」
「…?」
「やっぱり、話してもらえませんか。悩み。」
「…無理よ。」
「お願いです、マミさん。」
「無理って言ってるじゃない…。」
「マミさん!」
「だから…無理よ…私には、そんな勇気…ないから…。」
「…大丈夫です、マミさん…私が…勇気を分けますから…。」
そう言うと、佐藤くんは私を抱きしめる。
「ちょ、ちょっと佐藤くん…!?」
「これが、私の勇気です。」
「…やめてよ…お願いだから…。」
「やめません。」
「私は…話せないから…いえ、話しちゃいけないの…。」
「そんなこと…ないですから。」
「…頑固なのね…。」
「マミさんのことなら、特に。」
「…だから…だから…。」
「なら…もう少し、私が勇気を出します。」
「え…?」
佐藤くんは私から離れると、私を見つめる。
その瞳は恐ろしいくらいに真っ直ぐで、勇敢だった。
「マミさんに、伝えたいことがあるんです。」
「な、なにかな…。」
「…私は…好きな人がいるんです。」
その言葉は、私を焦らせ、興奮させ、ありとあらゆる感情を震えさせた。
「…そ、そうなの。知らなかったなぁ…。」
などと、白々しい言葉しか紡ぐことができなかった。
「その人は、凄く魅力的なんです。」
「優しくて、気さくで、面白くて。こんな私といることすら、楽しいと言ってくれる人です。」
「…佐藤くんは、案外高望みなのね。」
「そうかもしれません。でも、たまたま好きになった人がそうだっただけです。」
「…そっか。」
「それと、その人は…私なんかとは比べ物にならないくらいに、立派なんです。」
「…。」
「毎日、自分の身を削って、皆の為に色々な事をしていて…いつだって、誰かの為になることを、って…。」
「そんなふうに考えているせいで、自分の悩みをいつまでも内側にしまいこんでしまう、放っておけない人なんです、その人は。」
「…本当に立派なのね、その人は…。」
「ええ、凄く。そして、その人はすぐそばにいるんです。手を伸ばせば、届いてしまうくらいに。」
そう言って、佐藤くんは私の頬に手を伸ばす。
そして、そのまま頬を撫でる。
「さ、佐藤くん…?」
「ほら…こんなふうに、手が届くんです。」
「え…え…?」
「私が好きな人…それは…。」
「マミさん…です。」
私は、頭が真っ白になるのを感じた。
全てのことがぐちゃぐちゃに混ざり、わけがわからなくなる。
ただ一つ分かるのは、佐藤くんが私の頬に置いた手と、目の前の佐藤くんだけ。
それ以外なんて、分かるわけがなかった。
「あ、あ、あの…!?さ、佐藤くんは、今なんて…!?」
「分からなかったのなら、何度でも言います。私は、マミさんが好きです。愛しています。」
はっきりと言われるその言葉に、私の心臓は張り裂けそうになる。
「…本当…?」
「ええ、もちろん。私はこんな嘘なんてつきませんから。」
「…ずるい…ずるいよ…そんな、事…。」
「私は…なんて答えればいいの…?」
「私は…魔法少女なのよ…!?私は…あなたが言うような、立派な人じゃない…!」
「…そうだとしても、私はマミさんが好きです。少なくとも、私の中では。」
「でも…でも…!」
「…マミさん!」
「…!」
「あなたは…自分の事に、もっと素直になるべきです。そして、自分の魅力を理解するべきです。」
「…素直に…。」
「あなたが思っているほど、悩みというのは解決しないものではありません。」
「だって、私だって今、悩みが解決しましたから。」
「マミさんが好きと伝えるか、伝えないか、という悩みが。」
「佐藤、くん…。」
「マミさんの悩みは、そんなに難しいことですか?私には、とても解決できないような悩みですか?」
「…それ、は…。」
「…魔法少女なんて、関係ないんです。」
「…!」
「私にとって、魔法少女だとか、魔法少女じゃないとかは関係ないんです。」
「きっと、どっちだったとしても、私は…マミさんに恋していたと思いますから。」
「…佐藤くんは…私が、魔法少女だとしても…あなたよりも、早く死んでしまうとしても…一人ぼっちにしてしまうとしても…好きでいてくれるの…?」
「ええ、もちろん。」
「あなたを…苦しめることになったとしても…?」
「苦しむことすら、マミさんとなら楽しめると思いますから。」
「なんでっ…なんで、そんなに強いの…?」
「強くなんかありません。マミさんがいるから、マミさんと一緒だから、強くなれるんです。」
この人は、私の欲しい言葉をくれる。
私が、強くなれる、信じられる言葉をくれる。
だから、好きになった。
上辺だけなんかじゃない、本当の言葉。
「…佐藤くん、私ね、好きな人がいるの。」
「その人は、冷たかったり、酷いことだって言うけど、いい意味でも悪い意味でも素直な人。」
「でもね、その言葉には全部思いやりがこもってる。」
「私は、そう気づいてる。」
「その人は、不器用なの。」
「一生懸命になりすぎて、変なことを言ったり…。」
「…でも、私はそんなところも好き。」
「その人は…凄く優しいの。」
「いつだって、温かい言葉を持ってる。温かい行動ができる。」
「それは偽物なんかじゃなくて、本物ってすぐに分かるの。」
「…その人は、愛されてるんですね。」
「ええ、私は…その人の事を愛してる。」
「…そして、その人は…私が手を伸ばせば届くところにいるの。」
私は、佐藤くんの頬に手を置く。
そして、撫でる。
「…!」
「ほら、こんなに近く…。手だって触れられる…。」
「…マミさん…。」
「私は…佐藤くんが好き。愛して、ます。」
「マミさん…!」
「佐藤くん…!」
「…ずっと、一緒だったんですね…私達は…。」
「ええ…。同じだったのに、こんなにすれ違って…。」
「でも…。」
「もう、迷わない…。」
「だって、私達は…。」
「こんなにも、愛し合ってるから…。」
佐藤くんは、私の唇にそっと、口づけする。
愛を確かめる、そんなふうに。
「ふふ…佐藤くん…。」
「どうしたんですか、マミさん?」
「ううん、なんでも…。ただ、幸せだなって…。」
「幸せ、ですか…。」
「うん…こうやって、佐藤くんと肩を寄せ合うことができるから…。」
「それなら、良かった。」
「…ねぇ、この幸せは…嘘じゃないわよね…。」
「ええ…間違いなく、本当のことですよ…。」
「そうよね…幸せは…。まだまだ、続くわよね…。」
「もちろん。私が、一緒ですから。」
「頼りにしてるわ、佐藤くん…。」
私達は、そっと口づけを交わす。
約束の、口づけを。
幸せの淵に囚われかけた、その時だった。
いつも通り、パトロールをしていた。
待ちに待った、求めていた反応。
「…この辺り…魔女反応が…。まさか…!?」
「間違いない…奴が…奴が、ここに…!」
そう、奴。
なんとなく、そんな気が。
確信していた、訳もなく。
そして、結界を見つけた。
その結界は、いつもよりも禍々しい、そんな気が。
いや、私の中の何かがそうさせていた。
「やるしかない…どれだけ、強くたって…!」
「私には、守らなきゃいけない人がいるから…!」
私は、飛び込んだ。
その先に、何が待っているのかも知らずに。
おまけそのニ
夏休み、涼風吹く避暑地にて
「おぉ…!」
「山だ!川だ!キャンプだぁー!」
私達(まどか一家、私、さやか、マミさん、杏子)は、まどかのお母様に誘われて、会社所有の別荘地に来ていた。
別荘の邸宅の方を使用しない代わりに、敷地内は自由に使って良いとのこと。
「凄い…ね、ほむらちゃん…。」
「ええ…。まどかのお母様に感謝、ね。」
「お、あれ見てよ、杏子!」
「おぉー!バーベキューコンロだー!」
二人はバーベキューコンロの元に駆けていく。
「あらあら…美樹さんにも佐倉さんもはしゃいじゃって…。ごめんなさい、二人共。私は二人のところに行ってくるわ。」
「あ、分かりました。」
マミさんも青と赤の元へと駆けていき、何やら注意をしている。
「はーい、ちゅーもーく!」
まどかのお母様が大きな声を出す。
「今から、あたしらが昼の料理の準備をするから、みんなは遊んでこい!ただし!ここに十二時ぴったりに戻って来るように!」
はーい、とさやかと杏子は答えると、川の方へと行ってしまった。
イエロードリルもあとを追っていく。
「…私達はどうしよっか?」
まどかは手を取って、私に問う。
少し上目遣いなまどかに、ドキッとする。
「そうね…私達は山の方に行きましょうか?」
「うん、そうだね!」
今日のまどかは、いつもよりも魅力的だ。
真っ白いワンピースに、大きなリボンがアクセントの麦わら帽子。
さらにファッションに合わせて髪もおろしている。
「ほむらちゃん?どうしたの?」
「…ふふ、今日のまどかは、いつもよりもオシャレだなって。」
「えへへ…ありがと。どう、かな。」
まどかは裾を持って、広げてみせる。
「凄くかわいいわ。いつもは愛らしいのに、今日は少し大人びていて。でも、まどかの可愛らしさが残っていて。素晴らしいわ。」
「も、もう…恥ずかしいよぉ…。でも、この服着てきてよかった…。」
「どうして?」
「だって、ほむらちゃんに褒めて貰えたんだもん。嬉しいに決まってるよ。」
「まどかったら…。」
まどかははにかみながら、走って行ってしまう。
「えへへ、ほら、ほむらちゃん、こっちこっち!置いてっちゃうよー!」
「あっ、待ちなさい、まどかー!」
「ほら、捕まえたー!」
「わー、捕まっちゃったー!」
「ふふ、いきなり走ると危ないわよ?」
「えへへ、その時はほむらちゃんが助けてくれるって信じてるもん。」
「そうね、必ず助けるわ、まどか。」
そんな会話をしながら、奥に進んでいく。
歩いていくうちに、日光が木々によって遮られ、暗くなっていく。
「なんだか…不思議な気分…。違う国に来ちゃったみたいだよ…。」
まどかと繋ぐ手が強く握られる。
「ええ…。でも安心して。いざとなったら私が守るから。」
「…うん。ありがと、ほむらちゃん。」
そんなこんなで歩くこと十分。
道が広がっていき、大樹が一本。
木漏れ日さす、広場に出た。
「わぁ…!」
辺りには、色とりどりの季節の花々が咲き誇っていた。
「すごい…キレイ…!」
まどかははしゃぐ子供のように大樹へと駆けていく。
私もその後をゆっくりと、ついていく。
「ほむらちゃん、ほむらちゃん!」
まどかは私を手招きする。
「見て見て!」
まどかの指差す先には、小さな湖。
水面には太陽の光が反射し、キラキラと光っている。
「あら…ここ、すごいわね…。」
「ねー!…あ、ちょっと待っててね!」
まどかは花畑の方に歩いていき、花を摘みだした。
「まどか、何してるの?」
「えへへー、秘密だよ!」
まどかは鼻歌交じりに何かをしている。
あまりに楽しそうなので、そっとしておくことにした。
私は湖を見ていた。
湖というには少し小さいが。
水は透き通っていて、遠くには水が湧き出ているのが見える。
私は水を一掬いする。
とても冷たく、気持ちがよかった。
このまま足を湖に投げ出したくなるが、この後のこともあるので、やめておいた。
魚はいないものか、と見回すが一匹も見当たらない。
私はとうとうすることもなくなったので、大樹の方へと歩いて行く。
私は大樹に腰掛け、未だに何か作業をしているようなまどかを横目に、持ってきていた本を取り出し、読書をする。
本は、村上春樹の1Q84。
二人の特徴的な主人公を軸として、奇妙な出来事が起こっていく、代表的な長編小説。
【人間にとって死に際というのは大事なんだよ。生まれ方は選べないが、死に方は選べる。】
私はこの言葉が好き、というか、常に魔法少女として意識していたい、ということである。
話の内容といえば、なんとも村上春樹らしい。
難解な設定、一文が短く、まるで翻訳した文章のような独特の雰囲気。
かれこれ、この本を読むのは三回目。
三回読んだ今でも理解できない部分が多い。
「できたー!」
数十ページほど読んだところで、まどかが叫んだ。
私はその声に少し驚きつつ、本に栞を挟む。
「まどか、何を作ってたの?」
私が問うと、まどかは微笑みながらこちらにそれを見せてきた。
「花冠だよ!よくできてるでしょー!」
まどかが自信ありげに見せる花冠は、確かに良くできていた。
「あら…すごいじゃない、まどか。」
「えへへー、昔ママに教えてもらったの、まだ覚えてたからね!」
「あ、ほむらちゃんのもあるよ!はい、どうぞ!」
まどかは私に紫色をメインに、桃色の花が一輪混じった花冠を手渡す。
「多分、紫色のお花はアガパンサスで…ピンク色のお花はダリアだと思うけど…。」
「私も、ほむらちゃんとお揃いの花冠にしたの。…ほむらちゃんと…。」
「ふふ、ありがとう、まどか。後で皆に自慢しましょう。」
「うん!…皆の分まで作っちゃったけど、迷惑じゃないかな…。」
後ろを見れば、青色や赤色、黄色…他にもいくつかの花冠があった。
不安がるまどかを抱き寄せ、こう囁く。
「こんな愛らしいまどかからの贈り物を、喜ばない人なんていないわ…。誰だって嬉しいものよ、プレゼントって。」
「えへへ…ありがと、ほむらちゃん。」
まどかは私の胸に顔を埋めてくる。
私はまどかの麦わら帽子を外し、花冠をつけてやる。
「ふふ…よく似合っているわ、まどか。」
「ありがとう、嬉しい…。ほむらちゃんも、しゃがんて?」
私は催促されるまま、しゃがむ。
まどかは頭に手を置いて、髪を掬う。
「まどか、くすぐったいわ…。」
「だって、ほむらちゃんの髪が綺麗だから…。」
「も、もう…。それより、花冠をつけてほしいわ…。」
「えへへ、ごめんね…。今、つけるからね…。」
「ん…できたよ。…お揃いだね…。」
「ええ…お揃いね…。」
まどかは微笑んで、私を見つめる。
私はその笑顔に見惚れてしまう。
「ね、ほむらちゃん…したい、な…。」
何が、とまで言わなくとも全てわかった。
「…ええ、私も…。」
私はそっと、まどかの頬に手を置く。
まどかは嬉しそうに微笑んでから、目を瞑る。
私は一息置いて、まどかの瑞々しい唇に口づけする。
まどかは私の頭を掴んで、より深く潜り込んでくる。
私もまどかをより強く抱きしめる。
今日のキスは、いつもよりも激しい。
「ん…ぷはぁ…。」
「…えへ、かわいい…。」
まどかのふと呟いた言葉は、私の頭を強く殴る。
思わず、まどかを強く抱きしめてしまう。
「わわっ、ほむらちゃん、どうしたの?」
「み、見ないで!顔、見せられないくらいに酷いと思うから…!」
私は完熟したトマトよりも真っ赤な顔をしているだろう。
そして、恐ろしいくらいに情けなく蕩けているはず。
「…ホント、かわいいなぁ…。」
「や、やめてよ…。」
「…あっ!?」
「わっ!?」
「まどか、あと十分で集合時間…!」
「えぇぇ!?も、もうそんな時間なの!?」
「は、早くしないとママに怒られちゃうよぉ!ほら、ほむらちゃん、走るよ!」
「ま、待ってまどか〜!」
私はまどかに手を引かれるまま、走った。
その感覚は決して悪いものではなく、懐かしささえ覚えた。
そう、あの時のように。
まどかは、まどかなのだから。
魔法少女だとかは関係ない。
彼女の魅力は、そんなものに左右されたりはしないのだ。
「はぁ…はぁ…ふぅ〜…ギリギリセーフ!」
「アウトだよ、バカ。」
まどかはまどかのお母様に頭をコツン、と叩かれる。
まどかは、痛、とわざとらしく縮む。
「はは、ごめんね、ほむらちゃん。どうせまどかが無茶言って遅くなったんだろう?」
「あ〜!酷いよ、パパ!私だけのせいじゃなくて、ほむらちゃんだって…」
このまま続ければ、まどかはキスの事を言ってしまうだろう。
まどかのご両親に私達のそっち方向は知られたくない。
思春期なのだから。
「んん!?ん〜、ん〜!」
取り敢えず、まどかの口を塞ぐ。
「えぇと、森の奥に凄く素敵な場所があってですね!そこで寛いでしまったんです、はい!」
「ん〜!んん!」
「…な、なんだかよく分からないけど、楽しそうで何よりだよ。さ、二人もバーベキューを楽しんできなよ。」
まどかのお父様が指す方向では、信号機が肉や野菜を焼いて楽しんでいた。
「は、はい!ありがとうございます!」
私はまどかの口を塞いだまま、少し離れた場所に行く。
「んん…!ぷはぁ…。もう!何するの、ほむらちゃん!」
まどかは頬を膨らませて怒っている。
「だってまどか、あのままじゃキスのこと言ってしまいそうだったから。」
「あ…う…。それは…。」
「…あれは、私達だけの秘密、にしておきましょう、ね?」
「…うん!」
「あ、おっそーい!もうバーベキュー始めちゃったよ?」
「ごめんね、さやかちゃん。それじゃあ、私達も食べよっと…。」
まどかは肉か野菜かで食材がおいてある場所をうろうろしている。
私はそんなまどかを横目に肉と野菜、両方を取る。
まどかはそれを見て、私の真似をするように肉と野菜を取る。
自慢げなまどかに、つい笑みが溢れてしまう。
「わ、笑わないでよぉ…。」
「ふふ、可笑しくって、つい。」
「むぅ〜…それよりも早く焼こ!」
「そうね…どれから焼こうかしら…。」
参考に、と信号機を見るが、皆思い思いに焼いているので、まったくもって参考にならない。
まどかといえば、私の焼くスペースがなくなるくらいに食材を敷き詰めてしまっている。
「まどか?これじゃあ、私が焼けないのだけど…。」
「えっとね、私とほむらちゃんは食材を共有すればいいんじゃないかなって。」
「きょ、共有…?」
「そう、共有。半分ずつなんて、寂しいでしょ?」
「…そうね、そうしましょうか。」
「あ、お肉焼けたみたいだよ!はい、ほむらちゃん、あーん!」
「あ、あーん…。んん…美味しいわね。」
「えへへ、よかったー!じゃあ、私も…。」
「待って、まどか…。」
「ふぇ?」
「…この辺り、魔女がいるわ…。」
「えぇっ!?」
「静かに…。あまり強くないみたいだから、私とマミさんで狩ってくるわ。まどかは、ご両親にもっともらしい理由でもでっち上げておいてほしいの。」
「う、うん。気をつけてね、ほむらちゃん…。」
「…そんな悲しそうな顔しないの。私が帰ってきたら、また食べさせてあげるから。」
「うん…。頑張ってね…!」
「ええ。」
まどかの頭を撫でてやりながら、マミさんにテレパシーを飛ばす。
『マミさん…マミさん…。』
『暁美さん、気がついた?』
『ええ。魔女反応ね。』
『やっぱり…こっちは準備できてるわよ。』
『いえ、マミさんと私だけで十分よ。あまり大人数では、まどかのご両親に怪しまれてしまうわ。』
『それもそうね…分かったわ、二人にも伝えておく。』
「さてと…この辺りだと思うんだけど…。」
「おそらく、あの奥よ。」
マミさんは洞窟のような場所を指差す。
「え…あそこ行くの…?」
「仕方がないじゃない、魔女がいるんだから!」
マミさんはそのまま洞窟に入っていく。
「ま、待って、マミさん!置いていかないで!」
「暗いわね…魔法がなければ迷ってたわ…。」
「な、なんで、よりにもよってこんな場所に魔女結界を作るのよぉ…。」
「ほら、いつまでも私の腕にしがみついてないの。」
「だ、だって…暗いの怖いし…。」
「もう…小学生じゃないんだから…。」
「一昨年までは小学生だったもの!」
「屁理屈いわない。ほら、離れなさい。」
「嫌よ!意地でも離さないわ…!」
「…はぁ。」
その時、奥からコウモリが飛んでくる。
「キャァァ!?」
「…コウモリね…。」
「な、な、なんでそんな冷静でいられるのよぉ…!?」
「だって、コウモリくらいいるに決まってるじゃないの。そんな当たり前の事で驚いたりはしないわ。」
マミさんは怖がる私をよそに、ずんずんと進む。
「ま、待ってぇ…置いていかないでぇ…。」
「ほら、ハキハキ歩く!」
「ひゃい…怖いよぉ…。」
「はぁ…あなた本当に暁美さん?」
「え、ええ…私は…正真正銘、暁美ほむ、うひゃあ!?」
足元に、ネズミの死骸。
「うっ…ちょっとグロいわね…。」
「グロいどころじゃないわよ!?もう嫌ぁ…帰って、まどかにあーんしてほしいぃ…。」
「甘えない!ほら、どんどん魔力反応が強くなってるわ、あと少しよ。」
「ひぃぃ…私、もう無理よぉ…。」
「我慢なさい。あなただって、魔法少女でしょうが。」
「私は魔法少女である前に一人の人間よぉ!」
「ガンダムパイロットみたいな言い訳しないの。魔女を倒せるのは、魔法少女だけ。だから仕方がないことなのよ。」
「うぅぅ…あ…開けてきた…。」
「あら…ここ、魔女結界があるじゃないの。ここだったのね…。」
「早く行きましょう、ええ!とっとと倒して、帰るのよ!こんな洞窟、二度とごめんよ!」
「…帰り道もここを通るのだけど…。」
「…もう嫌ぁ…。」
それから私とマミさんは、特に苦戦することもなく、魔女を片付けた。
「ふぅ〜…さて、帰りましょうか。」
「うぇぇん…嫌だよぉ…あのネズミ、もう一回見たくないよぉ…。」
「…暁美、さん、よね…?」
「だから、私は暁美ほむらよぉ…。」
「はぁ…ほら、手を繋いであげるから、ついてきなさい。」
「うん…。」
「…くすっ、なんだか妹ができたみたい。」
「妹…?」
「こうやって、手を繋いで歩いてると、お姉さんになったみたいで、ね。」
「顔も、髪も…む、胸も似てないじゃない…。」
「そういう問題じゃないの。似てるとか、似てないとかじゃなくて…そう、楽しいのよ。」
「楽しい…?この状況が…?」
「ええ。きっと、妹が私にいたら、こんな感じなんだろうなって。私が手を引いて、前に進む。そんなふうに思うのよ…。」
「…マミさん…。」
「そうだ!暁美さん、試しに、マミお姉ちゃんって呼んでみて!」
「えぇ!?い、嫌よ!」
「じゃあ、この手を離すわよ?」
「そ、それも嫌!」
「じゃあ、マミお姉ちゃんって呼びなさい?」
「くぅぅ…この恨み…いつか晴らしてあげるわ…。」
「…ま、マミお姉ちゃん…?」
「ん〜…いい響きねぇ…もう一回!」
「マミお姉ちゃん…。」
「…あぁ…今感じるこれが…幸せなのね…。」
「あ、えっと…ま、マミさん…?」
「ダメよ!!この洞窟を出るまではマミお姉ちゃんって呼びなさい!!」
「ひっ…わ、わかりました…。」
「うん、よろしい。それにしても、敬語で喋られると、本当に年下感が出てくるわねぇ。」
「そ、それは…自然と…。」
「まぁいいわ。さ、行きましょうか?」
「は、はい…マミ、お姉ちゃん…。」
私はこんな訳の分からないプレイに巻き込まれたせいで、洞窟への恐怖は完全に、マミさんに向いたのであった。
「あ、おかえり〜、ほむらちゃん、マミさん!」
「遅かったじゃないか、二人共。バーベキュー、もう終わってしまったよ。」
「ご、ごめんなさい…。」
「まぁ、探検するのもいいけど…程々にな。」
「は、はい…。」
どうやら私とマミさんは、探検をしていた、ということになっているらしい。
「ほむらちゃん、マミちゃん。肉と野菜、まだ残ってるから、食べて。」
まどかのお父様は、食材を差し出してくる。
「あ、ありがとうございます。」
「じゃあ、二人で食べましょうか。」
「ふふ…どうやら、私は一人で食べることになりそうね。」
マミさんが指差す方向には、まどかが居た。
「まどか?まどかがどうかしたの?」
「ほら、凄く暁美さんと食べたそうじゃない、あの子。」
まどかはこちらをじっと見つめている。
「はは…ごめんよ、ほむらちゃん。まどかもまだ食べてないんだ。ほむらちゃんが帰ってくるまで食べないー、って聞かなくてね。」
「…まどか…なにもそこまで…。」
「私は邪魔みたいだから、そっちで美樹さんと佐倉さんと雑談でもしながら食べるわ。楽しんでね。」
「え、ちょ、マミさん…。」
「ほら、ほむらちゃん。まどかを頼んだよ。」
まどかのお父様に催促され、まどかの元に歩んでいく。
「…まどか…一緒に食べましょうか。」
「え!?い、いいの…?」
「ふふ…強がらなくてもいいのよ。お昼、まだなんでしょ?」
「あ…う…うん…。ほむらちゃんと、食べたかったから…。」
「ごめんなさい、一人にしてしまって…。」
「寂しかったんだからね、一人ぼっちで…。」
「でも、もう…一人にしないから…。」
「うん…。約束。」
「ええ、約束。」
私は、まどかの手に口づけをする。
まどかも満足そうな表情を浮かべる。
「…さ、食べましょうか。」
「さってー!夜だよ、夜ー!」
「うるさい、さやか!」
「いいじゃん、こういうときくらいさー!」
「まぁまぁ、落ち着きなさい美樹さん。」
「むー…。わかりましたよー…。」
「それで、今から何をするの?」
「うーん…特に、なにも…?」
「もう辺りも暗いし…遠出はできないわね…。」
「精々、歩いて十分、二十分くらいの所かしら。」
「…あ。」
悩んでいると、まどかがふと声を出す。
「あそこはどうかな、ほむらちゃん?」
「…あそこ…?」
最初、まどかがどこの事を言っているのか分からなかった。
しかし、すぐに理解した。
「…ああ!あそこね!」
「あそこ、あそこって…どこだよ?」
「ここから山に歩いて十分ちょっとくらいに、凄くいい場所があるの。」
「多分、あそこなら…綺麗な星空が見れると思うんだ。」
「星空…いいね、なんかキャンプっぽい!」
「それじゃあ、私が許可を取ってくるから、暁美さんと鹿目さんは光源を集めておいて。美樹さんと佐倉さんは…何もしなくていいわ、そこで待ってて。」
「…なんか、複雑だな…。」
「まぁ、あたし達にやらせたら色々面倒だからね。」
「…さて、まどか、行きましょうか。」
「うん。懐中電灯があればいいんだけど…。」
「こんなに古い建物だと、そういう物が常備されてる可能性も低いかもしれないわね…。」
「確かに、そうだね…。」
私とまどかが、何かないかと探していると…。
「あ!見てみて、ほむらちゃん!これ!」
まどががこちらに見せているのは、ランタン。
「…使えるかしら?」
「多分…?これ、何で動いてるんだろ…?」
「ガソリン式とか、電池式とか…色々だけど、それは…電池、っぽいわね…。」
「うーん…ここを押せばいいのかな?」
まどかがボタンを押すと、煌々と辺りをランタンが照らす。
「眩しい…!…うん、大丈夫そうだね。他にも…二個あるけど…持っていったほうがいいかな?」
「一つだけだと心もとないから…持っていきましょうか。」
「うん、分かった。」
「さぁ、出発よ!」
無事に許可が貰えた私達は、例の場所に向かっていた。
「いやー…夜の道って、案外怖い…。」
「わかるわ…!凄くわかる、さやか!」
「おお…仲間がいた…。」
「はぁ…なにを今更…最初っから分かってたでしょ…。」
「ま、まぁ…それはそうなんだけどさ…。」
「…怖い…。」
「ほら、ほむらちゃん、こっちおいで?明かりがあるから、怖くないよー?」
「うん…怖くない、まどかと一緒なら、怖くない…。」
「杏子〜!マミさぁん〜!怖いです〜!」
「わざとらしい…。」
「ふふ…妹二号は美樹さんね…。」
「い、妹…?」
「ううん、なんでもないわ。さ、行きましょうか。」
様々な思惑が交差しつつ、私達は例の場所に向かう。
それはある意味、平和そのもので、魔法少女とはかけ離れたものであった。
たまにはこんな日常を楽しむことも、天は赦してくれるだろう。
「ん…道が開けてきたね。そろそろだよ!」
「わぁ…凄い…。」
「うぉ…予想以上…。」
「星が…綺麗ね…。」
皆、驚いているようだ。
私もここまでとは思わなかった。
「凄い…。凄いね、ほむらちゃん…。」
「ええ…神秘的ね…。」
花々は風に揺られながら、月明かりを浴びている。
泉には、満月が反射していて、透き通った水に綺麗に浮かび上がっている。
まるで、別世界だった。
まどかの朝の、別の国に来たみたい、という言葉のままだった。
「ね、ほむらちゃん…あそこの大樹の所で休もうよ。」
まどかは私の手を引く。
「そうね…それがいいわ。」
私もその提案にのり、まどかに引かれるがまま。
「よいしょっと…う〜ん…涼しいね…。」
「風が冷たくて、気持ちがいいわね…。」
私とまどかは、手を繋いだまま、肩を寄せ合う。
「…。」
「…。」
しばらくの沈黙。
私は残りの三人に目を移す。
三人はそれぞれに、辺りを探索している。
花に目を奪われている者、泉の周りを探索する者、星空を観察する者。
そのどれもが楽しそうだった。
「…ねぇ…ほむらちゃん…。」
「うん…?」
「えへへ、呼んでみただけだよ…。」
「もう…。まどか?」
「なぁに?」
「呼んでみただけよ…。」
「ほむらちゃんったら…。」
「ふふ…お互い様よ…。」
幸せ。
これが、幸せなのだ。
いくつもある幸せの形の一つ。
いくつもあるのに、中々手に入れることができない物。
だからこそ、楽しむ必要がある。
これは、限りあるものなのだから。
いつかどこかで、喪ってしまうかもしれないから。
幸せは、無限じゃない。
だからこそ、幸せなのだ。
このことを、いつまでも忘れない。
まどかと、幸せを…育てていく。
それこそ、幸せなのだ。
いかがでしたか?
長いですねぇ…こんなんばっかやってるから、更新が遅くなるんですよ…。
分かってます、分かってます…。
でも…身体が勝手に…!
まぁ、茶番はここまでに…。
とりあえず、マミさんが付き合っちゃいましたね。
いちゃいちゃ、いちゃいちゃ…。
させたいです。
マミさんは、後輩の前では先輩ぶってますけど、佐藤くんの前では素直なんですよ。
一応。
マミさんは大人っぽい喋り方をするように見えて、TV三話みたいな中学生らしい喋り方とあるんですね。
それを参考にしてます(つもり)。
たーだ…。
大人っぽいと、ほむらっぽくなるし、中学生っぽいと、まどかっぽくなるし…。
ここに来て一番むずいキャラだってことが判明いたしました。
ていうか、本編で生きてた時間が短すぎて、よくわからんのですよ。
マギレコ参考にしたら、ただのヤバイ巨乳オネーサンになりかねないし…。
つまり、杏子以上に(私にとって)書きにくいキャラだったわけです。
はい、どうでもいいですね。
では。