まさかまさかの…2日連続…になる予定でしたが30分ほど遅れてしまいました。
ともかく、今回のお話はですね…。
魔法少女同士の抗争。
そして、魔法少女の力を利用した、外骨格…【マギアフレーム】のお話です。
なんじゃその有名どころのラノベみたいなのはって思われるでしょう。
しかぁし、マギアフレームについてはまだ名前だけで。
これは物語の根幹ですからね…。ふっふっふっ…。
というわけで、そんなお話の始まり始まり〜!
では、どうぞ!
中田町、某所。
「…準備は出来たか?」
少女に似つかわしくない、あまりに無骨な格好と、落ち着いた低い声で話す。
「はい、隊長。問題ありません。【マギアフレーム】その第一号…正常に機能しています。」
そしてその少女に跪いて、これまた無骨な格好の少女。
しかし声はその年相応のもの。
そして、隊長と呼ばれた少女の傍らに置かれた、全身を覆い尽くすような漆黒のスーツ。
「うむ。あくまでこれは魔法少女の能力が生み出した産物に過ぎん。いつ壊れるか分からない、それは覚えておけ。」
「分かっています。…これを使って、他の魔法少女を駆逐する…。そして、我らだけの理想郷を創り上げる…そのための【マギアフレーム】です。」
「そうだ。まずは見滝原…あそこを手始めに制圧する。そして、それをあのお方への手向けにするのだ。奴…コードネーム、スコーピオンがうまくやってくれることを期待する。」
「はっ…。全てはリリア様のために…。」
見滝原市、マミの部屋。
「…それじゃあ、まだ魔女本体は倒せていないの?」
マミは不安そうに言う。
「ええ…。残念だけど、それらしき魔女反応すら見つけられていない。」
「こんな時に、見滝原の特性が邪魔してくるなんてな…。」
そう、見滝原市は広い。
私達魔法少女四人で全てを管理しきれないほど。
だからこそ魔女も多く出現する。
狩場としてはかなりの好条件な土地なのだが。
今になってそれが悪い方向に働いている。
「不味いわね…魔力を奴が欲しているのなら、魔法少女の素質をもった一般人を襲いかねないわ…。」
「そうなったらもう…。」
「…まどか…。」
「まどかは大丈夫。私が理由をつけて、まどかの家に泊まり込みで警護をしているから。」
「流石、ほむらだな。」
…当たり前だ。
まどかは魔法少女としての大きな素質を秘めているのだ。狙われるに違いない。
しかし彼女は魔法少女ではなく、万が一遭遇してしまったら、対抗手段を持たないため殺されてしまうだろう。
そんなことはさせない、させてはいけない。
それに、その種を撒いたのは私なのだ。
何度も何度も繰り返すことでまどかの因果を育てたというのなら、私が責任をもって守り通す。
…恋人しても、という義務もあるが。
「まどかの方は大丈夫そうだけど…魔法少女の素質を持ってるのはまどかだけじゃないだろうし…。」
「流石にそいつらを守ってやれるほど人数はいないし、そもそもどいつが素質があるかなんて分からないからな。」
「…つまり、一秒でも早く見つけ出して倒すしか手はないってことね…。」
全員が溜息をつく。
確かに、それ以外の手はない。
そんな中、杏子が口を開いた。
「…あ、あとさ…今言うべきじゃないかもしれないけど…中田の魔法少女の動きがおかしい。何かアイツら企んでるらしい。」
「中田の魔法少女が…?」
「えーっと…中田っていうと、広先の隣で、こっちにあの魔女を誘導したっていう、あの…?」
「そうだ。」
「それで、その中田の魔法少女が怪しいってどういうこと?」
「さっきも言ったとおり、なにか企んでるらしいんだ。具体的に何をするのかは分からないけど、魔法少女を増やしてるらしい。」
「魔法少女を増やす…?」
「あぁ。…あと、これは確かな情報じゃないんだけどさ…。広先の魔法少女は、中田の魔法少女に吸収されて、仲間になったとか…。」
「…インキュベーターが嘘をついている…?」
「いや、どうもそういうわけじゃないらしい。確かにアイツらは死んだ、それを見てた奴がいたからな。」
「じゃあますますおかしいじゃん。死んだなら仲間になんてできるわけないし。」
「あたしもそう思ったんだけどさ…聞いたら…蘇生をしてるらしい。」
「…蘇生…?」
「あぁ…信じられないけど、生き返らせることが出来るらしい。そんな魔法少女の噂なんて聞いたことないけどよ…。」
蘇生。
つまり、一度死んだ人間を生き返らせること。
そんな化物じみた能力の持ち主が…?
「でも、これは確かな情報じゃない。完全な裏も取れてない。鵜呑みにするのは危険かもしれない。」
「そう…。中田の魔法少女が…。」
これは頭の片隅に置いておくべきかもしれない。
魔女以上に魔法少女同士の戦闘は辛く、厳しいものとなる。
「…さやか、あなたにも戦ってもらうことになるかもしれない。魔法少女同士の戦いというのは…過酷で、とても気分のいいものじゃない。それでも…やってくれるかしら?」
「…うん。あたしだって、見滝原の魔法少女なんだ。戦争になったとしたら、戦わなきゃいけないことくらい…分かってるから。」
「さやか…。」
「杏子、さやかの特訓は頼むわよ。…対魔女だけじゃなくて、対魔法少女を想定したものを。あと、単独での戦い方を覚えさせておいてほしい。」
「分かった。さやかには、もっと強くなってもらわなきゃいけない。あたしたちが一緒じゃないときに襲われたら、おしまいだからね。」
「分かってる。杏子、ビシバシお願い。」
「へへっ、随分と強気だな。心強いじゃん。」
そんなふうに笑っている杏子とは裏腹に、さやかの顔は真剣そのものだった。
いつかどこかの世界で見た、彼女のように。
見滝原市、西区のビル街。
「それで暁美さん、これからどうするの?」
「さやかと杏子は訓練とまどかの警護をしているから、私達は魔女探し。」
「まぁ、そうよね。」
私とマミさんの二人で魔女探し。
まどかの方は、杏子とさやかに任せてきた。
警護ついでに訓練…というのは少し言い方が悪いかもしれないが。
「流石にパトロールを一人でやらせるわけにはいかないわ。もし遭遇してしまったら、前回の二の舞になってしまう。」
「それもそうね…。一人ではあまりに危険、だから私と暁美さんでパトロールをすることになったのね。」
「ええ。効率は悪いけれど、やっぱりね。」
「…さて、始めましょうか。」
夜の帳が降り、人通りもそこそこの中、私達はパトロールを始める。
ステルス迷彩の魔法をかけ、ビルの屋上を伝っていく。
西区は見滝原の中で最も大きい区。
独自の地名ではなく、東西南北で分けているあたり、特に古い歴史がないことが想像できる。
「…暁美さん、待って!」
私がそんなことを考えていると、マミさんが叫ぶ。
「はっ…魔力反応…!?」
「ええ、そうよ!…でもこれは…。」
奴じゃない。
別のもの。
そして、もう一つある。
「でも、魔力反応には違いないわ。行きましょう、暁美さん!」
「ええ。」
「くうっ…!あうっ…!」
私達が到着すると、既に戦闘になっていた。
必死に剣を振るって、魔女を攻撃する少女。
「あれは…?」
「見たことのない顔ね、新人かしら?」
「そんなことはどうだっていい。加勢するわよ。」
「はぁ…わかったわ、暁美さんは突っ込んであの子のサポートお願い。私は後ろから牽制する。」
「了解。」
盾からスコーピオンを取り出し、魔女に照準を合わせる。
「そこの魔法少女、下がりなさい!」
叫びつつ、トリガーを引く。
「え、え!?は、はい!」
私の突然の発砲に驚きつつも下がる彼女の前に立ち、盾になるように撃ち続ける。
「マミさん、私が閃光手榴弾を投げたら、ティロフィナーレを!」
「了解!」
私は彼女に伏せるように指示し、閃光手榴弾を投げる。
爆発し、魔女が怯む。
「マミさん、今よ!」
「任せて!ティロ、フィナーレ!」
放たれた巨大な砲弾は、相変わらずの威力で魔女を消し飛ばした。
「ふぅ…。大丈夫?えっと…名前は?」
私が手を差し出すと、申し訳なさそうに手を掴む。
「えっと…私は、ミカです。穂波、ミカ。」
ミカと名乗る少女は、美人というよりは、可愛らしい顔立ちに、茶髪の長い髪を一つ結びにしている。
声は幼く、身長もたいして高くない。まどかくらいか。
「そう。あなた、どこの魔法少女なの?」
後ろから来たマミさんが優しげな笑みを浮かべながら言う。
しかし、私は知っている。
この笑顔は、相手を威圧するためのものだと。
「え、えっと…私、魔法少女になったばかりで…よく、分からないんです…。」
「じゃあ、どこの出身?」
「もともと、市外に住んでて…最近、見滝原に引っ越して来たんです。」
「本当かしら?」
「マミさん、あまり威圧しないの。あ、ごめんなさい、私達はここで魔法少女をやってるの。魔法少女には、縄張りというものがあって、狩場が決まっている。」
「私達はそれを荒らされるわけにはいかない。狩場っていうのは、生命線だから。」
「だからこんなことをいきなり聞いてしまったの。ごめんなさいね。」
「は、はぁ…。」
穂波さんは困ったように私とマミさんの顔を交互に見つめる。
「あ、あのぉ…お二人は、なんて名前なんですか…?」
モジモジしながら尋ねるその姿は、どこかまどかのような印象。
「あぁ、そういえば名乗ってなかったわね。私は暁美ほむら。見滝原中学の二年生よ。それでこっちが…」
「同じく見滝原中学校三年生、生徒会長の巴マミです。よろしくね、ミカさん?」
…何故生徒会長の肩書をいれたのかしら。
というか、もう生徒会長は私に…。
「あ、あぁ〜!生徒会長の…!」
どうやら見覚えがあったらしく、マミさんに頭を下げたす。
「と、というか暁美ほむらさんって…次期生徒会長…!わぁぁ…私、すっごい人達と知り合いになっちゃった…。」
この口ぶりと格好から察するに、最近見滝原中学に転入してきた一年生の魔法少女、というところか。
「よく知ってるわね…。」
「だって、クラス中で暁美さんのお話してますから!」
「へ、へぇ…どんな…?」
怖いながらも、聞いてみることにした。
いめーじせんりゃく、ってやつよ。
どんなイメージかのかは知っておかないとね。
…場合によっては、絞める…ごほん。生徒指導をしてあげないと。
「えっと…美人で、クールビューティーで、頭が良くて…ちょっと胸が足りないけど、モテる人…みたいな…?」
「む、胸が…足りないですって…!?」
私が憤っていると、マミさんがクスクスと笑っている。
穂波さんは慌てたように私に弁解してくる。
「あ、あくまでクラスでの評判ですから!わ、私は小さい胸も…好きですから!」
そう言って、決して小さくはない、大振りな胸をたゆんたゆんさせながら穂波さんは私の手を取る。
その様子を見て、マミさんは大笑いする。
「…なんなのよ…。」
「…とにかく、これからどうするかを決めましょう。」
「そうね…こんな未熟な子を放っておけば、いつ奴の餌食になるかわからないから。」
「え、えぇっと?」
私達は穂波さんをチームに入れるかどうかの話をしていた。
まだまだ武器の扱いに不慣れな彼女を入れるということは、特訓も必要になる。
さやかの特訓をしている今、更に投入するとなると…。
「穂波さん、あなたの武器ってなんなのかしら。」
先程は剣を振り回していたが(どちらかというと、彼女が振り回されていた)、やはり剣なのか。
「えっと…ちょっと待ってくださいね…。」
穂波さんは変身する。
中世の洋風騎士の軽装装備のようであるが、色が鮮やかであまり金属質ななイメージは与えさせない衣装。
可愛らしさを残しつつ、隠すべき場所はしっかり隠す。
どちらかといえば、さやかとまどかの衣装をミックスしたような。
そして取り出したのは…。
「杖…かしら?」
「あ、えっと、この杖は…いろんなものに形を変えられるんです。例えば、剣とか…銃とか…。」
彼女が言うたび、変幻自在に形を変えるその杖。
「あら…凄いわね…。」
ここでさやかか杏子あたりがいれば、ずるいずるいなどと子供っぽい愚痴をこぼしていることだろう。
「ということは、どの距離でもいけるオールラウンダーってことね…。」
「それなら私達でも教えられるわね。銃の扱いは誰よりも自信があるもの。」
確かに、ワルプルギスの夜相手に渡り合った魔法少女なのだ、誰よりもというのは信憑性がある。
「固有能力は?」
「固有能力って…あれですよね…なんか、その人だけが使えるとか得意みたいな…。」
「ええ。」
「それなら多分…しゅ、瞬間移動だと思います。」
「瞬間移動…!?」
「いやっ、あの…というより…時間移動…なんですかね…?」
「えっ?」
穂波さんのちぐはぐな説明に、全く追いつけない私達。
「えっとぉ…瞬間移動…っていうか、別の次元を移動して…この次元に戻ってくる…みたいな…?」
「…??」
「なるほど…私達が存在する次元よりも時間の流れが遅い次元に移動して、もう一度こちらの次元に戻ってくることで、さも瞬間移動しているように見せる、ということね?」
「そ、そうです!」
…流石、マミさんね。
この手の話には詳しいもの。
「なんか暁美さんの能力に似てるわね。」
「似てるって…別に、時間停止と瞬間移動は似てないじゃないの。」
「…!!」
穂波さんの顔が強ばる。
「穂波さん…?」
「あ、いえ、なんでもないんです!あはは…。」
「そう?…もう夜も遅いし、私達はパトロールを切り上げましょうか。穂波さんはどうする?」
「わ、私ですか…?う〜ん…どうしようかなぁ…。」
「ねぇ穂波さん、よかったら家に来ない?私達チームはあと二人メンバーがいるの。」
「暁美さん!?」
「いいんですか…?」
「えぇ。同じ見滝原の魔法少女ですもの、協力しましょう?」
もちろん、私がそんな優しいだけの理由で彼女を迎え入れるわけではない。
利用価値があるものは、最後まで使う。
非情だとか、最低だとか罵られたって構わない。
ここは、そういう世界なのだ。
『暁美さん、あなた…何言ってるの!?この子が危険じゃないなんて可能性はゼロじゃない!スパイかもしれない!分かってるの!?』
テレパシーで私を批判するマミさん。
『分かってるわ。でもこの子がスパイだったとして、私達の敵じゃない。数で圧倒しているもの。それに、私達は手札が少ない。使えるものは使っておきたいわ。』
『それは、50%じゃない?99.99%?』
『ええ。この子がスパイだったとして、制圧できる確率が、ね。』
『…知らないわよ。どうなっても。』
マミさんのもっともな抗議を受け流し、私なりの思惑を話す。
…しかし、それ以上に…情に流されたのかもしれない。
かつてのまどかのような、弱々しさを彼女に重ねたのかも。
非情でも、最低でもない理由なのかもしれないわね。
「…さて、行きましょうか。」
「ただいま。」
「…ふん…ただいま。」
「お、お邪魔…しまーす…?」
三者三様の挨拶とともに、私の家に入る。
「あっ、おかえり!ほむらちゃん、マミさ…誰…?」
出迎えてくれたのは何故かまどか。
そして、穂波さんを見て固まる。
「まどか、こちらの方は穂波ミカさん。最近見滝原に引っ越してきて、新米の魔法少女。」
「えっ…?」
「よ、よろしくお願いします…!」
相変わらず硬直しているまどか。
そんなまどかを横目に頭を下げる穂波さん。
「なんだなんだ?」
「どしたのー、何かあったのー?」
さやかと杏子も私達が中々入ってこないので、心配をして見に来たようだ。
「…って、誰だそいつ?」
「こら、杏子!失礼でしょ!…あの、どちら様ですか?」
さやかから敬語が飛び出すとは。
成長したな、などと親気分に浸っていたが、説明をしなければ。
「えっと、穂波…ミカです。」
「穂波…ミカさん…?」
「私が説明するわね。…と、その前に上がってもいいかしら?お腹空いちゃって。」
「あ、ご、ごめんねほむらちゃん…いまどくから…。」
玄関を塞いでいたまどかが動いて、私達は中へ入る。
相変わらず不服そうなマミさんに声をかける。
「…お願いだから、三人に変なことを吹き込まないでちょうだいね?」
「分かってるわよ、そんなの…。素性が分からないうちに妙な噂流して肩身狭くさせたくないし。」
…あぁ、その言葉が過去のマミさんの中にあったのなら、私はどれだけ早くまどかを救えていたのだろう。
そんな不謹慎なことを考え、馬鹿馬鹿しくなった。
「まどか!料理の手伝いお願いできる?」
「あ、うん!今行くね、待ってて!」
いそいそと可愛らしいエプロンをつけ、こちらに走ってくるまどか。
「今日は何にするの?」
「そうね…折角穂波さんがいるのだから、穂波さんの好きなものを作りましょうか。」
「…うん、そうだね。」
一瞬暗い顔をしたまどかが気になるが、大抵こういうときは、大丈夫と言ってごまかされてしまう。
皆がソファーに腰掛けて談笑しているのに、一人ダイニングテーブルに座って難しい顔をしている穂波さんに声をかける。
「穂波さん?」
「ひゃっ!?」
「あ…ごめんなさい、驚かせるつもりは…。」
「あ、いえいえ…気にしないでください…。それで、どうかしたんですか…?」
「今日のお夕飯は穂波さんの好きなものを作ろうかと思って。なにか食べたいものはある?」
「わ、私ですか…?う〜ん…あ、クリームシチュー…が好きです。」
「…クリームシチュー。」
…クリームシチュー好きな彼女は、私の後ろで穂波さんを睨みつけている。
しかし、クリームシチューか…。
まさか、ここまで似ているなんて。
「ちょっと待っててね。」
「…まどか、材料は…。まどか?まどかー?」
私が呼びかけても冷蔵庫の前から動こうとしないまどか。
「…ほむらちゃん…ほむらちゃん…。」
不気味に私の名前を呼ぶまどか。
少し異常感を感じながらも、身体を揺さぶる。
「まどか!」
「わっ…ど、どうしたのほむらちゃん…?」
「ふぅ…まどか、どうしたの?私の呼びかけにも中々反応しないし…。」
「あ、ううん、なんでもないんだ。それより、クリームシチューだよね?材料、あるよ!」
そう言って冷蔵庫から野菜や肉を取り出すまどか。
「ほむらちゃんは、ホワイトソースの材料探してくれる?」
「え、ええ。」
塩コショウ、バター、玉ねぎ、牛乳…。
それらを取りながら、まどかの様子を窺う。
野菜を刻んでいるその姿は、いつものまどかだった。
杞憂かな、とホワイトソース作りに集中することにする。
「できましたー!」
まどかがそう叫ぶと、青赤が駆けてくる。
「おぉー!クリームシチューだ!」
「まどかっ!早く早く!」
「もう〜!焦らないの!」
「ふふ…本当に賑やかな子たち…。」
私がご飯を運ぶ準備をしていると、穂波さんが声をかけてきた。
「あのっ…暁美さん!私、お手伝いします!」
「あら…いいのよ、休んでて。」
「いえ、右も左も分からない私を助けてくださって、ご飯までご馳走になって…。こんなことしかできないけど、お礼がしたいんです!」
「…ふふ、真面目でいい子なのね、穂波さんは。それじゃあ、これを運んでくれる?」
「は、はい!」
…気のせいだろう、まどかが一瞬こちらを睨んだのは。
「いただきます。」
「いっただきまーす!」
「…い、いただきます…。」
「んー!ほみゅらこれうみゃいぞ!」
「もう、口の中に入れたまま喋らないの。それに、これを作ったのは私だけじゃない。まどかにも言いなさい。」
「わあったよ…んっ、まどか、このシチュー旨いな!」
「えへへ、ありがと。」
そんな何気ない会話。
それは突如として破られた。
「…ねぇ、穂波さんってなんでうちに来たの?」
さやかの、確かな敵意の混じった声。
「さやか…!」
「だって、こんな時期に連れ込んでくるなんて…ほむら関連ってことは、魔法少女ってことでしょ?」
こういうときに限って勘のいい…。
「…ええ、そうよ。まだ新米で危なっしいからうちのチームに加えることにしたの。」
『…もちろん、戦力増強のためにも。』
そうテレパシーで付け加える。
「…!!…信じらんない…!」
「仕方がないことなのよ、さやか。」
『これが魔法少女。自身が生き残るためには、手段を問わない。私と一緒にいるのだからそれくらい身に染みているかと思ったのだけどね?』
「…そんなの、おかしいよ…。」
「あ、あのっ…私、邪魔者…ですか…?」
「そんなことないわ。大丈夫よ、穂波さん。」
「…ほむらちゃん、私も反対だな。穂波さんのこと。」
予想外の場所から矢が飛んでくる。
「…何故?」
「なんでって…えっと、その…。」
「…?」
「そう!今まで四人でやってたことを変えなきゃいけないでしょ?それに、穂波さんが入ると近接2、遠距離2が崩れて…」
「あぁ、それは大丈夫。穂波さんは武器を自由に形を変えて使うことができるから。遠距離も近接もどちらでもいけるのよ。ね、穂波さん?」
「は、はい!」
「…。」
まどかは俯いてしまった。
つい言い過ぎたか。
そう思って声をかけようとしたとき。
「それでも、ほむらちゃんは私だけのものだもん!」
そんなことを平気で叫んで抱きついてくる。
「まどか…ダメよ、こんなところで…。」
「だってぇ…。」
「あ、あのぉ…?」
引き攣った笑顔で尋ねる穂波さん。
「あぁ、いいの。気にしないで。この子、こういうところがあるから。」
「…馬鹿にしてるでしょ…?」
「いいえ、そんなところも可愛いってことよ。」
「えへへ…。」
「…ごめんなさい、穂波さん。この二人はいつもこうなの。気にしないで。」
マミさんのフォローが入り、一区切り。
「…さて、まだ彼女を仲間に迎えいれることに異議がある人は?遠慮なく言ってちょうだい。」
「…。」
「…。」
「あたしは…ないね。」
「…ふん…。」
皆、納得してくれたようだ。
…いや、一人は言いくるめたという方が正しいか。
「…それじゃあ、穂波さんは私達のチームに入ることになりました。穂波さん、改めて自己紹介を。」
「は、はい。えっと、穂波ミカです。見滝原中学校に通ってて、一年生です。その…私、人見知りで…よくドジって言わちゃうんですけど…よ、よろしくお願いしますっ!」
勢いよくお辞儀をする穂波さん。
皆も拍手をして、受け入れたよう。
「…はい、今日はここまでね。というかまどか、あなたどうしてここにいるの?」
皆が帰りだしているというのに、中々帰らないまどか。
今更ながら、純粋な疑問をぶつけてみる。
「え?だって、ほむらちゃんがいるからだよ。」
「…はい?」
噛み合わない会話。
「だから…大好きな…恋人の…ほむらちゃんが…いるから…ね…?」
自然と胸に入り込んできて、服を掴んで上目遣い。
…あざとい。
でもそこがいい。
「…もう。」
そのまま寝室に行って、あんなことやこんなこと(決して意味深な行為ではない。断じて!)をしたのはまた別のお話。
「…こちらスコーピオン。佐久間隊長。」
『スコーピオンか。どうした?』
「目標に接触。ターゲットの懐に入り込むことに成功しました。」
『うむ。よくやった。期待していた通りだ。』
「はっ。お褒めに預かり光栄です。…隊長、【マギアフレーム】のほうは…?」
『ふふ、問題ない。明日にでも試験運用を開始する。完成し次第そちらに贈ろう。』
「はっ…ありがたき幸せ…!」
『そなたの活躍、期待しているぞ。蠍のように、一撃で決めてみせよ。』
「はっ…全てはリリア様のために…!」
いやぁ、いかがでしたかねぇ。
ホントはうっふんあっはんシーン書きたかったんです。
ただ、この先のことも考えると削らざるを得ないってことになりました。
…次!次は…そういうシーン…入れます…(ボソッ
にしても…スコーピオンさん、誰なんでしょうねぇ…ふふ…。
ありがち…ありがちだなぁ…。
あ、【マギアフレーム】の日本語名は…魔法少女専用魔術外骨格…っていう厨二チックなメチャクチャな名前です。
まぁとにかく、魔法少女だけがつけられて、魔法の力で動いてます、ってことです!
それでは。
頑張らないとなぁ。