『お主なぁ……情けなさ過ぎるぞ』
クソザコを見つめるような目でそんな感じの言葉をいただきました。本当にありがたくないです生きててごめんなさい。
「いや……普通は緊張もしますよ?あのレベルの差は……」
『レベルというのはお主の【アナライズ】で見た場合の目安に過ぎん。レベルというのは言ってみれば“魂の器”の総量のことを指すのだからな』
アナライズで見る『MAG』というのはその「器」が持っている魂の総量だというまざはろ様の説明から考えるに“デジタルで再現された悪魔の『
――いや、それでも怖いもんは怖いって(素)
『
『自身を弥勒菩薩に例えるとはギリシャ神族はこわいのぉ♪』
脳内で始まる論戦から意識を移して二階に上がる。遅れてついてくるコボルトが後方を警戒しながら、俺は2階に足を踏み入れた。
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「―――熱っつ……!!」
2階に上がった俺を待ち受けていたのは『火炎地獄』と言っても過言ではない炎の世界だった。
2階のフロア全域をぶち抜いた解放感ある奥行きのフロアと、そのフロア全域を覆いつくす圧倒的な炎、炎、炎。
肌を舐める炎に焙られる感覚があるのだが、熱さは感じられるが身を焼く感覚はなく、火傷の類もない。不思議な感覚だ。
『これは……
まざはろ様がそんなことを呟きつつ考え込むタイムに入る。ヘスティアー様の方もぶつぶつと何やら相手の特定を目指しているようだ。
となれば火生三昧というのは文字通り、火を生み出すことに専念した世界だろう。炎というのなら有名なのは不動明王。孔雀王でもなんか真言で炎を起こせるアレだったはずだ。
『
何か微妙に聞いたことない名前を出された件。
『現代の子らにはあまり馴染みが無い名前かもしれませんね』
『きちんと祭られておる神社も存在するがな』
そんなこんなで始まる【まざはろ様のお勉強会~烏枢沙摩明王編~】
烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)。
天台宗では密教における五大明王の一尊に数えられるくらいメジャーな存在である。インド神話における名前は『アグニ』、不浄を焼き払う炎を司ると言われているので厠にお札を貼っているところも多い、らしい。名前を聞いたことないだけでどっかで目にしている可能性があっただろう とまざはろ様。
つまるところこの“火生三昧”という異界は『ダーク属性絶対焼き殺すワールド』と言い換えることができるのではないか?となると問題は―――なんでこんなカオス陣営にとって役に立たない異界の存在を物件として持ってたか?という話になる。
「ガイアーズにはインド密教系の人間もいますし、ここはその拠点的なモノだった。ってことですかね?」
『かもしれぬし、違うかもしれぬ。そも、烏枢沙摩明王は品川に祭られておる神社が二か所も存在するからのぅ』
普通に考えるなら品川区の神社を拠点としているはずだ。というまざはろ様の言葉に脳内をフル回転させる俺氏。
俺のメガテン知識が確かなら―――品川区は大破壊後にメシアンの拠点になってたはずである。品川区には大聖堂が出来上がっていて、そこに召喚されたハニエルを筆頭に、メシア教徒とメシアに傾倒する代わりに保護された民草が集って唯一神四文字様に祈りを捧げ、最終的に“TOKYOカテドラル”の原型となった場所のはずだ。
そらそんな場所に拠点構えてたら現時点でも封印されてる可能性あるよなぁ……?
「―――どちら様、ですか?」
唐突に聞こえた声に、脳内で“戦闘態勢をとれ”と警鐘が3つ響き渡る。自身のものと、ヘスティア様とまざはろ様の3人分にグラグラ脳を揺らされながらバックステップでその場から跳ね退いて身を低く構える。胸元に隠してあるスパルトイにいつでもMAGを送り込んで呼び出せるように手を添えて声の出所を探る俺と、その影に潜むように半身を潜り込ませて周囲を見回しているコボルトという構図に
「ああ、いえ、警戒なさらずとも結構です。異界の中にいるとは言え、この身は超劣化分霊と言っても過言ではない程弱っておりますので、あなた様に敵うとは思って居りません」
そう言ってゆらりゆらりと現れたのは、年代を感じさせる着物姿の女性だった。
―――上半身は、だが。
「わたくしは、この異界にて烏枢沙摩明王様の御力にて生まれ変わりました、生まれは紀伊は熊野の真砂にて庄司を務めし藤原真砂清重が長子、名を一文字戴いて“清”と申します。」
ゆるりと蛇の下半身をくねらせると人の姿を取り、ゆっくりとお辞儀をする“清”。名乗りは戦国、或いは鎌倉か平安か、いずれにしても大昔の和風の名乗りである。
「不躾で申し訳ない。――【アナライズ】」
清と名乗る女性を目に力を入れて“視”る。
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名前:キヨヒメ(転生分霊) 種族:邪龍 → 龍王
属性:NEUTRAL-NEUTRAL MAG:
Lv 17 HP 800(異界ボス補正アリ) MP 166
力 11 魔 10 体 11 速 4 運 5
耐性:銃撃・物理軽減 氷結・破魔無効 火炎・水撃吸収 電撃・神経・呪殺弱点
スキル アクエス 噛みつき エナジーシャワー マハ・グライ
スキル(種族)【龍胴締め】 自身の周囲に移動阻害の結界を展開し、意識を引き付ける
スキル(加護)【転身火生三昧】 罪業を焼き払う炎の中で生まれ変わったことを示すアグニの加護。 火炎属性への絶対的な態勢を得る
スキル(神話伝承)【三昧火】 嘘を吐いた想い人を焼き殺した伝承の炎。罪人を浄化する炎の特性により【ダーク】特攻
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一発で全データぶっこ抜けたが全く安心できない能力をしておる件orz
「不作法をすみませんね。敵か味方かわからない相手にはまず調査から入ってしまうもので」
「いえ、こちらも手の打ちを明かしましたのでできれば初手は穏便にお願いしたくお願いいたします」
物腰柔らかに、それでも間合いはとったまま花がほころぶ様な微笑みをこちらに向ける【キヨヒメ】。
だが油断してはいけない。アレがもしも伝承にある【キヨヒメ】なのだとしたら適当に会話して適当に相槌打ってたら「貴女嘘つきましたね」ってなって「道明寺ファイヤー!」されてミディアムからウェルダン。いかに本体は炉の神様と言えど肉体はあるし今はしがない運命の女神。火炎に耐性が付いてるわけでもなし、焼き殺されたら普通に死ぬ。
「それで――この場所に何の御用でしょうか?こちらは烏枢沙摩明王様の炎を絶やさぬように静かに祀る場所。そっとしておいていただけるとこちらとしても安心できるのですが……」
一先ず会話に応じてもらえるようなので、ガイアの虚無僧さんから貰った書類を取り出して広げてみる。
「えー……掻い摘んでい言うと、ビルと土地の所有者が私になりました。なのでこのビルは私の所有物ってことになります。なので異界も含めてまるっとウチの領土ということになるとありがたいのですが……」
「そんな!!ああ……邪龍のそしりを受け、烏枢沙摩明王様のお力でやっと龍王に転身(弱体化)を果たして生まれ変わったというのに、明王様の本体は封じられ、残り火を護ろうと日々暮らしていただけだというのに……この仕打ち……やはり清は幸せになってはならぬというのですか……!?」
よよよと泣き崩れるキヨヒメ。若干演技も入っているのだろうか、或いは自己陶酔しているのかオーバーアクション気味ではあるが、感情は本物っぽいし、罪悪感が湧かないでもない。
でもそれはそれとして拠点を得ないとこっちも詰むのは変わらないのである。
「“なれば我が配下として腕を振るえ、そして己の居場所を己で勝ち取るが良い”」
俺の口を使ってそんなことを言ったのは―――まぁ当然まざはろ様だった。
「我らはこの地で成り上がり、神聖ローマ帝国を日本国に興国するつもりでおる。そのための配下はいくらおっても足りぬ。お主が身を粉にして働くというのであればこのビルを拠点とするのは変わらずとも、烏枢沙摩明王の異界であるこの場所はそのまま残してやるとしよう」
まざはろ様の言葉にやや考える様子のキヨヒメ。その言葉に嘘が無いのはおそらくキヨヒメの特性から理解しているのだろうが、話が飛躍しすぎて若干ついて来れていないに違いない。
「お言葉はわかりました。ですが、私はすでに烏枢沙摩明王様に信仰を捧げた身、ろぉまに属するは聊か躊躇いがございます」
そこは日本の古風な考え方。二君に仕えずを貫く平安~鎌倉貴族的な思考で返すキヨヒメに
「何を言う。良いか?ローマはシルクロードで中国とも通じ交易を行っていた。その道を通り、かの玄奘三蔵も天竺、印度の都市まで旅をしたという話もある。つまりはシルクロードの途中にインドがあったと言うことよ。
つまり―――インドはローマなのだ」 ※weak charm!!
「――成程!!そういうことであれば問題はありませんわね!!」
それまでの躊躇が何だったのか、目の中にハートマークを浮かべたような顔でパッと笑顔を見せると、周囲にハートを振りまくような明るい様子で胸元から扇を取り出し、ふわりとひとつ舞を舞った。
「火神烏枢沙摩明王様が巫女にて、生まれは紀伊が真砂の庄司、藤原真砂清重が長子、父より一文字戴いて名を清。生まれ変わりし名を【キヨヒメ】。この名に誓い、ローマと烏枢沙摩明王様に忠義を。
―――末永く宜しくお願いいたします。
邪龍改め“龍王”キヨヒメが仲間に加わった―――!!(例のBGM)
拠点『烏枢沙摩明王の神域“火生三昧”』を手に入れた―――!!
*******
『さて、ではお主の強化案件じゃな』
「えっ」
『そうですね……スパルトイとキヨヒメ。この二人を配下にしておくレベルにあなた自身が見合っていません』
「えっ」
まざはろ様とヘスティア様から同時にダメ出しを喰らう俺氏。フルボッコである。日々地霊をぶっ殺すウーマンになっていたのと、こないだジャックリッパーを倒した時に強敵との戦闘で強化されたとはいえ、それでもまだ足りないらしい……。
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名前:八月(やつき)・花音(かのん) Age:16
属性:NEUTRAL-NEUTRAL(Light-Law) 職業:人型悪魔(女神:フォルトゥナ)
Lv 18 HP 288 MP 312
力 11 魔 15 体 12 速 14 運 25
耐性:魅了無効・破魔無効 疾風耐性 電撃弱点
スキル ポズムディ メ・ディア ガル スク・カジャ ディアラマ New!!
スキル(継承) 二分の活泉 二分の魔脈
スキル(使用不可) バビロンの杯(アライメント不一致)
重要:【大淫婦の契約】:魔人マザーハーロットと結ばれた契約の証。下腹部に紋様として残る。内容は『いつの日にか再び我が下へ至れ』
重要:【女神の加護(ギリシャ)】:オリュンポス神族の加護を得ている。
女神・地母神への合体に補正。NEW!!
重要:【加護:すべての道はローマに通ず】:進化・合体先の神族が【ローマ】に変更される。
重要:【因果:感電死】:自身の【弱点】が電撃に固定される。これは上書きできない。
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『やや現世では動きにくくなるだろうが、お主の言うところのレベルでなら最低でも20を目指さんとな』
『当主が弱小のままだと下が育たないうえ、見限られる可能性も出てきますので』
この辺りの視点は為政者というか支配階級の人なのか全く同じ意見の二人である。俺氏としては本当、ただただのんびり過ごしたいんだが……
ああでも放置してたら平穏なんかICBMでもろともに吹っ飛ぶんだよなぁぁぁぁ!!!!
「人生クソゲーか詰みゲーしかない気がしてきた……」
『安心せよ。それでも道が続く限り、その道はローマに通じておる』
―勢力を作ろうれべるわん 拠点を手に入れよう 了―