※この作品はR-18です。

女神“混”生   作:米ビーバー

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ちまちま停滞しそうなのではつとうこうです()


第3話

 ―――【背に腹は代えられない】という諺がある。

 

 どうしようもない状況下にある場合、最悪を引くよりは次点を行う方がまだマシ。という意味合いである。

 意思疎通ができる相手をぶっ殺すのと、男相手にヤることヤるのとを天秤に懸けるのならば―――

 

 

―――いくら今生は女だったとしても悪魔をぶっ殺す方を選ぶだろう。

 

 

 

―――ぐしゃぁという生々しい響きと、生々しい感触が足先から伝わる。

 

 へっぴり腰で蹴っ飛ばした地霊コボルトの首がぽーんぽーんとサッカーボールの様に地面に転がった。

 

『―――な……?』

 

 驚愕の声を上げるコボルトたちの一人に向けて、身を屈めて、地面スレスレから真上に向けて手刀で切り上げるように手を振り上げる。

 

「―――【ガル】ッッ!!」

 

手を振り上げた先にいるコボルト一体が足元から発生した竜巻に飲み込まれ切り刻まれ、絶命した。

 

 

『―――!!アォォォォーーーーーン!!!』

 

 

 一匹が遠吠えのような声を上げると、残ったコボルトたちが撤収し始める。が、逃げる分には逃げるに任せて、俺は現場の惨状を見やる。

 

「―――烈風拳(レップゥーケッ)はザン系の方だったかぁ……」

 

 頭部のない獣人の遺体だとか、全身細切れに刻まれたネギトロめいた死体だとか、そういったグロ画像を見てもあまり罪悪感などもない。食欲は減るけど。

そう考えると、改めて思考が【悪魔】に寄っているのだと理解できる。

 

『まぁ、微々たる量だが、足しにはなろう。早く“食らう”が良い』

 

 脳内のまざはろ様の声に導かれるように、死体に手を伸ばす。

手が振れたところからじんわりとその死体が溶けて、不定形の物質に解けて吸収されていく。

 

―――マグネタイトの残滓というのは悪魔の死後、その存在が確かなものである程長くその場にとどまり、場合によっては別の悪魔に成り代わるらしい。その前に残滓を他の悪魔が『捕食』したり、COMPを使うデビルサマナーが『回収』することで、マグネタイトは初めてマグネタイトになるのだとか。

 

「―――アナライズ」

 

 脳内でカチリとピースがハマるようなイメージが浮かんだので、改めてアナライズを呼び出す。対象は細切れになったコボルトの死体。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

名前:コボルト  種族:地霊

属性:NEUTRAL-NEUTRAL MAG:36

Lv 6  HP 47  MP 24

力 3  魔 3  体 4  速 5  運 4

耐性:破魔無効・呪殺耐性・疾風弱点

スキル ラク・カジャ スク・カジャ パトラ メ・ディア

スキル(種族)【獣の跳躍】

獣族の直感による身体能力。攻撃後のリカバリが早い。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「―――うわぁ……雑魚い」

『それは当然であろう。何しろ今のGPはまだ5~6といったところであるからな。GPより力量の高い悪魔は表になぞ出て来れぬよ』

 

 脳内で響くのはまざはろ様の声。

 

 戦っている間、悪魔たちとの戦闘中に“カチリ”“カチリ”と何かパズルのような感じでピースが埋まっていく感覚を感じていた。まざはろ様曰く、『アナライズの活用編』らしい。

 DDA―――デジタルデビルアナライズシステムというのは、悪魔が同じ悪魔を『視て』その力量を測るための能力をアナライズ機能にしたもの―――だという話だ。何処まで本当かはわからないが。兎も角、対象となる相手との戦闘時間が長ければ長い程、同じ対象と戦えば戦う程、その精度は増していく。まるでジクソーパズルのピースを埋めていくようにして行き……最終的に『完成した』と脳内で感じた時、相手の細かいステータスや耐性、持っているスキルなどを完全に理解できるらしい。この能力は相手との力量差によって変化し、強い相手へのアナライズは中々溜まらず、弱い相手だと割かしぽこじゃか溜まっていくらしい。

 そんなわけでコボルト相手に脳内データが溜まったことを確認するためにアナライズしてみたわけである。

 しかし、目に見えている脅威をデータ化して見れるというのはどうにもゲーム的なイメージを感じてしまう、元々非現実的な感覚で生きてる分余計に。

 

『しかしまぁ、最初はどうなることかと思ったが、一歩目をちゃんと踏み出してくれたことに安堵を覚えたぞ』

「はっはっは―――忘れてくださいお願いします」

 

 脳内に響くまざはろ様の声に“一番最初の戦闘テスト”を思い出して脳内の相手に懇願する俺。

 そう、実はこの辺りのGPでは強い部類に入るコボルトを相手にしているのには理由があった。当初はまず弱い部類に入る【妖精】をターゲットに、メガテンシリーズの基本にして最初の仲間枠、ピクシーを狙って妖精たちのたまり場になってると噂の代々木公園に向かったのだったが……

 

『まずは軽く【威】を示す意味で―――鏖殺であろうな』

『まずは対話から始める必要があるでしょう。妖精なら会話が通じますし、【魔石】を交渉で得られるならば高純度マグネタイトの塊である魔石で肉体維持は可能です―――多分』

 

 脳内の二人から二者二様の選択肢が用意された。そんで、いきなり鉄火場はアレかと思ってヘスティア様の選択を採用。友好的に話しかけてみたのだが―――

 

 

「アハハハッッ♪―――【ジオ】!」 

―――バチィ!!「ひぎぃぃぃぃっっ!?」 ※WEAK!! SHOCK!!

 

 

 交渉で会話が友好的に進んでいたと思ったらいきなり不意打ちされたのだった。加えてジオ系―――電撃の副次効果でショック状態に陥り数秒間動けなくなったところに

 

「あははは♪女神様びくんびくんしてるぅ♪面白ーい♪【ジオ】!!」

―――バチィッ 「ふぎんにゃぃぃぃッッッッ!!!?」 ※WEAK!! SHOCK!!

 

 

新たに何処からか飛んできたピクシーたちによる『熱烈!ジオハメ祭り』が発生。幸いレベル差とか諸々の関係上ダメージは微々たるものだったが、無邪気極まりない妖精たちに散々玩ばれ、リアルで「バチバチらめぇ!ひぎぃ!」と叫ぶ羽目になった俺のメンタルはボロッボロで……しばらくピクシーの顔は見たくないと公園から這う這うの体で逃げ帰ったのであった―――。

 

『―――何故……何故このようなことに……』

『は?当然であろうに』

 

脳内で呻くような声を上げるヘスティアー様に対して冷めた声の割に意外そうな様子のまざはろ様の声が続く。

 

『妖精郷(あやつら)は英国圏の神話が原典の悪魔だぞ?ローマの神話由来の存在を赦すはずがなかろう?特にヨヨギ公園の妖精郷にはオベローンとティターニアが居るのだから余計にな』

『それを早く言いなさい!!ああ……ごめんなさい、ごめんなさい』

 

 

 こう、唐突にさめざめと泣かれても……困る(焦り)

 

 

 ―――その後始まるまざはろ様による【たのしいローマ帝国の歴史~いんぐらんどとの因縁編~】

 

 イングランド(ブリテン島)は元々狩猟民族の集まりで、北緯がロシア北部並みの島国で獲物を狩猟しては獲物が居なくなるたび国内移動して獲物を探すだけという原始人状態だったらしい。そこに鉄器技術が入ってきて、漸く鉄を使い始めた。そんで、そんな鉄を使い始めただけの【ST●NE WOR●D】な生活をしてたのだが、紀元前~紀元後の0年前後あたりにイギリス海峡を渡ってやってきたのが―――そう、ローマである。

 ―――余談だがこの頃ギリシャでは文化爆弾が発生した上、マケドニアのイスカンダルが東方・南方に遠征しまくってギリシャ文化をエジプトまで伝えまくってたらしい。

 そんでローマによってギリシャもイギリスもヨーロッパ全域(スイスやノルウェー方面の北欧の半島を除く)はほぼローマに染まり、多くの国をまとめるために王政だったローマは共和制になり、最終的に帝政になってローマ帝国になった―――が、200年くらい経ってからアッティラ大王に押し出されて南下・西下してきたゲルマン人とかにぶっ飛ばされてローマは分断。その後帝政ローマは解体されて歴史の中に埋もれてしまったのだという。

 

『ゲルマン人という名前から想像がつくだろうが、今で言うドイツ方面に押し出されて来てな?その結果、寸断されて孤立してしまったのが当時の英国南側と、そこを通じて文化交流していた相手であるヒベルニア(現アイルランド北部)なのだ』

 

 ああうん。向こうからすれば【早々に切り捨てられた要らない子みたいな扱いされた国】って認識なのか。そりゃ拗れるだろう。

 

―――とまぁ、そんな感じでクソミソでトラウマ案件になった公園での一件は脳の端っこに追いやり、自身のステータスとにらめっこした結果……「お、【ガル】あるやん」ってことに遅まきに気付き、ゲームなどでは特攻扱いになる『地霊』を専門に狙っていくことに方針転換したのだった。

 ただまぁ……一つだけ問題があったとするならば……

 

「―――大丈夫大丈夫、周辺で適当に湧き出てる連中を狩ってるだけだから……」

 

 

―――ここが【千駄ヶ谷秘密研究所】だという点であろうか?

 

 

※メガテン言語解説【千駄ヶ谷秘密研究所】

 真1でエコービルのイベント終了後に【ターミナル】を起動させた主人公たちがターミナルを使ってワープした先の研究所。元々はスティーブン関連でターミナルシステムを開発していた研究所だったが、ゴトウによって攻撃を受け押収された―――らしい?ゴトウはターミナルシステムを応用して魔界の扉を開くことで悪魔を呼び出して日本を天使から護ろうとしていたのだとか。

 

 

『MAGを稼ぐだけでなく命乞いする悪魔を傘下に加えていくことも忘れるでないぞ?そのための―――征服(ローマ)である』

 

 脳内で響くまざはろ様の声に「はいはい」と返しつつ、とりあえずその場の悪魔たちを全て吸収し終えると、コロンと音を立てて魔石が転がった―――このドロップアイテムができる原理も良くわからないんだよなぁ。【残留マグネタイト残滓】が凝縮して稀にアイテム化するとかなんとか……?まぁそういう原理とかそういうのとかに疑問はあるけど興味はないので脳の隅に追いやって―――

 

―――毎日毎日【地霊】を狩りまくっていた結果……

 

 

 

『グルルル……アネサン!こっちですぜ!!』

「あ、うん。道案内よろしく」

 

 

 低姿勢で山道を先導して歩くコボルトの一匹。その尻尾は畏怖に丸まっている。

 

 割とこの辺にいるコボルトをボコボコに殺しまくった結果、なんか一匹に命乞いと股くぐりをされたのだが……

 

『では汝が盟主、夜の女王ヘカテと己の名前、そしてローマに忠誠を誓え』

「へぇ!誓わせていただきやす!!夜の女王ヘカテとコボルトの名前、ローマに忠誠を誓います」

 

 俺の口を借りて勝手にしゃべり出したまざはろ様の言葉にペッコペッコ土下座してたコボルトが契約を受け、俺の配下におさまった―――らしい。らしいというのは俺の取得したMAGの一部がこの『配下システム』とでも呼ぶべき上下関係を通じて与えられているかららしい。代わりにコボルトが得たMAGは全額吸い上げて還元されるというブラック企業なシステムソースになっているのだが……

 

『まずローマに全ての富を集積させ、必要な分を分配する。何も間違っていないであろう?』

「まさかCOMPもなしに仲魔ができるとは思わなかったですけどね……」

 

独り言ちる俺に、まざはろ様から声が響く

 

『仲魔ではない、配下だ。其処は間違えるなよ?仲間とは苦難を分かち合うものだが、配下は使いつぶすことを厭わずとも好い。その代わり、仲間が信頼で軛と為すように、配下は下賜を持って信を為すのだ。その関係性を勘違いしたままだとどちらにとっても不幸にしかならぬ』

 

唐突に神妙な言葉になるまざはろ様に返事もできない俺に、まざはろ様は「もっとも」と続ける。

 

『コボルトはドイツ圏内の伝承をもとにした悪魔である。故に―――【ローマ】である。なので問題はない、ガンガン使いつぶして行くが良い』

「―――台無しだよ!!」

 




真1本編の時間軸とリンクするまでもうちょーっとだけかかるんじゃー()
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