※この作品はR-18です。

Nightcrawler~夜に堕ちる彼女たちへ~   作:イツカ・ドコカデ

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11.『三日目』真祖と淫魔・後編

 淫魔の手が、ゆっくりと真祖の肉棒を扱いていく。両手で強引に握って、上から下で。精液は扱かれる度にぐちゃりぐちゃりと泡立ち、濃厚なザーメンの匂いを刷り込まれていった。

 

「さすが真祖、魔力によって凶悪になるんだけど……自分で自分の、咥えられちゃうんじゃない?」

 

 確かに五月雨やアルスヴィズのそれは長く、太い。立派な剛直であり、二人の体が小さいというのもあるだろうが、ほんの少し傾けるだけで口元に届いてしまう

 

「あ、あ……あ?」

 

 濃厚な精液の匂いに、くらりと来る。五月雨は自分の心臓の音に聞き入りながら、ゆっくりと舌を伸ばしてしまう。

 

「ひ、あ……あん」

 

 鈴口のカウパーを舌先で啜られた感触と同時に口の中に広がった味に、五月雨がぶるっと震える。左右から淫魔たちにM字開脚のまま持ち上げられ、竿部分の半ばを握られて両の頬に刷り込まれていき――。

 

「あ、む……」

 

 く、ちゅう、と水音をさせながら、五月雨は亀頭を小さな口に含んだ。喉奥にとろとろと流し込まれる精液混じりのカウパーの味に、ぞくぞくと黒い真祖の少女が震える。

 

「ふふ、おそろいね。この子も咥え始めたわよ?」

「……ん、ふう……ん」

 

 そうからかいと共に運ばれてきたのは、五月雨と同じように咥えこんだアルスヴィズだ。普段の無表情さとは打って変わり、淫魔の調教で蕩けきった幼い少女の表情をしていた。

 

「お互い、相手のいやらしい顔もよく見ただろうし自分のも見てみましょうね?」

 

 そう言って、二人の真祖は鏡の前に持っていかれる。本来であれば鏡に映らない吸血鬼だが、異能の力で作り上げられた鏡は別だ。

 

「ふ、ん、んんんんんんんんんんんんう!?」

「……んう、んんんんんんんう……」

 

 見せたい、見たい、見られたい……そう思った時にだけ映ってしまう鏡に、淫らな真祖の少女たちが晒された。自分の生やされたふたなりを咥えている姿など、もはや言い訳無用だ。五月雨とアルスヴィズは同時に絶頂し、自分の吐き出した精液に溺れてしまう。

 

「ああん、もったいない。飲んじゃ駄目よ? 口の中に溜めといて?」

「わたしたちにもちょうだい? 魔力たっぷりの蕩けザーメン……っ」

 

 快感に痛いほど尿道を突き抜けていく精液が、口から引き抜かれたと同時に撒き散らされる。淫魔たちは口の中や口の端からこぼれたもの、撒き散らされた白濁を丁寧にすすって掃除していった。

 ただ、お掃除フェラだけはしない。蛇口が壊れたホースのように、ずっと射精が続いていて切りがないからだ。

 

「今度は別の口から……ね?」

 

 そして、淫魔たちは真祖たちの拘束を解いていく。大小問わず、淫魔たちは四つん這いになる――蠱惑的なものや小ぶりなもの、引き締まったものにほどよく肉のついたもの、それぞれだ。

 共通しているのが、その一つ一つが自分を貪ろうという雄を徹底的に搾り取ろうという貪欲な性器ばかりだということ――。

 

「ちゅ、んっ……ん」

「……あむ、ん……」

 

 五月雨とアルスヴィズが抱き合い、唇を重ねる。お互いの精液を与え合うと、誘われるように淫魔たちへと近づいていった……。

 

  †   †   †

 

「あひゃあ、すごい、すごいい!?」

「は、げし……ああん……はげしいい! イく、イかされちゃう、あああん!」

 

 淫魔たちが、揃いも揃って嬌声を上げさせられる。幼い少女二人が腰を掴み乱暴に犯す、獣のような腰つきは快感を貪る雄そのものだった。それに加え、真祖の無限の魔力と体力、不死さえ可能にする耐久力で犯されてはさしもの淫魔たちも屈していくしか無い。

 

「……すごいことになってね?」

「あら、イフリータ様も? 今日は千客万来ね」

 

 店にこっそりと入ってきた魔神に、一人離れて眺めていた淫魔の女が微笑む。この空気でもまだ自我を保てるほど、この淫魔が突出して優秀な個体だという証明に他ならない。

 

「イフリータ様も混じっていきます?」

「いや、オレは様子を見に来ただけだし」

「様子……です?」

 

 揃って視線を向ければ、そこにあるのは淫魔でさえ溺れる淫獄があるだけだ。淫魔は、やはり理解できないという表情でイフリータに向き直った。

 

「何故、アルスヴィズまで溺れるような真似を? あの子が自主的にするとは思えないけど……」

「いや、驚くべきことに自主的なんだけどな。サミダレが溺れるなら、一緒に溺れたいんだと」

「……あらあら」

 

 聞いて納得した淫魔の表情に、イフリータは肩をすくめる。微笑ましい、そう言いたげな表情のまま淫魔は続けた。

 

「本当に、心から大事にしてるのねぇ」

「そんぐらいじゃないと、『縁』の意味がないらしいけどな」

 

 イフリータたちの目的、大きな世界に留まれるようになること――そのために必要な生贄が五月雨とほのか、そしてこれから送り込まれるだろう異能者たち……そのはずだ。

 

「アルスヴィズの場合、初めて会った真祖ってのもあんだろうがな……」

 

 目的に対して、白い真祖に打算の感情は無かった。同じ永遠を生きられる者として、受け入れたい――それは今まで同じ時で生きる命を持たなかったからこその、孤独から来るのだろう。

 

 そう思えば、自分たち四人の中じゃ一番あいつが切迫してたんだなぁ、と今更ながら思い知った気分だった。

 

「……あんだよ?」

 

 ふと、自分の頬を人の悪い笑みで突く淫魔に、イフリータは半眼する。淫魔はクスクスと鈴の音のような声で笑って言った。

 

「だって、イフリータ様ったら。今、まるで母親みたいな眼差しなんだもの」

「ああん!? オレはアルスヴィズより年下ですぅ!」

 

 アルスヴィズは八〇〇年ほど。イフリータは六〇〇年ほどか。少なくとも、正確な長さは憶えていない。

 

「それによぅ、せめて姉とか保護者とか言い方あんだろよ?」

「はいはい、ではそれぐらいで手を打ちましょうね」

 

 ニコニコと笑う淫魔に、イフリータは肩をすくめる。それこそ、念じれば燃やし尽くせる相手だ。いつでも殺せるという自覚と確信は、逆にいつでもいいやと思わせるものだ。

 

「正直、イフリータ様ほど理性のある方を私も知らないのですが……普通に話せば、あの世界も受け入れてくれるのでは?」

「理性のあるヤツが、戦争とは言え自分の世界を滅ぼさないって」

 

 パタパタと手を振って言うイフリータに、淫魔は苦笑する。否定する要素が、どこにもなかったのだ。

 

 イフリータの故郷、元いた世界は滅んだ。アルスヴィズの場合はすべての命を殺し尽くした結果だが、イフリータの場合は違う。自分たちと同等の相手と殺し合った結果、どこかの馬鹿が死なば諸共とド派手にやって世界が耐えきれなくなり滅んだ。

 

 ――理性があったなら言ってたわな、「この程度で止めとかねぇか」ってよ……。

 

 だが、結局その一言が誰からも出ることなく、世界は滅んだ。世界なんてものは思ったよりも脆くて、そうと気付いた時には大概が手遅れなのだ。

 

「……そう考えればオレは前科持ちだからな。まずは大丈夫だという証拠が必要だろうよ……シニストラに乗せられてる自覚はあるけどな」

 

 世界というのは単純ではない。世界を守る側に理由があるように、滅ぼしてしまう側にも事情があるものだ。いっそのこと敵は叩き潰すのに遠慮のいらない『悪』であってくれるなら――気は楽になるのだろうが。

 

 いや、そうでないならば『悪』だとしてしまえばいいのだ。例えば言い出して、計画を立てたのはシニストラだ。きっと、自分の把握していない場所まで、あの魔女なら完璧に考え込んでいるだろう。そこに自分は関与していない、ならばその点に関しては自分は悪くない――そう言い張る『余地』はあったはずだ。

 

 だが、イフリータは同時にこうも思うのだ。それでもゴーサインを出したのは自分自身だし、協力すると言い出したのも自分だ。それを無かったことにはできない。

 

 誰かのせいにする、それだけで、なくとも心は少し軽くなるはずだ。なのに、そうできない……しないのは、イフリータという魔神が――『女』が、皮肉なまでに精神的に強いからだ。

 

「ま、五月雨やほのかにとってはいい迷惑だろうしな。ははは、自分たちのために淫獄に堕ちてくれってのもよ、うん」

「……そうね。快楽は苦痛よりも精神を変容させるから。その想いが計画の上だとしても……ええ、残酷な幸福ってあるものよ」

 

 淫魔は笑う。そっちに関しては、自分たちこそ専門である、と言いたげに。イフリータも、それを否定はしなかった。

 

「オレもきちんと相手ができてりゃあ、あれこれ考えなくていいんだろうけどなぁ」

「……言葉遣いとか態度と違って、イフリータ様って生真面目だものねぇ」

「ほっとけ」

 

 しなだれかかってからかってくる淫魔を、しっしっと適当に魔神はあしらう。今の接触も、本来なら心から蕩けきって流されてもおかしくないはずのものだ。しかし、力を持つとはいえ、それを跳ね除けてみせたのは見事な精神力としか言えない。

 

「……イフリータ?」

「おう」

 

 ふと、いつの間にか嬌声が止んでいたことに気付く。名を呼ばれて振り返れば、アルスヴィズと五月雨が持てれかかるように、伸びた淫魔たちの間に座り込んでいた。

 そんな五月雨の股間に、アルスヴィズは自慢するように手を伸ばす。

 

「……見て? これで孕ませあえる」

「は、ふっ! あん……」

「はいはい、もう十分楽しんだろ? 寝てろ、持って帰ってやっから」

 

 連れて帰る、と言わなかったのは、なんとなく抵抗があったからだ。イフリータの言葉に、白黒の真祖はコクリと頷いて意識を手放した。

 

「んじゃ、もう帰るけど、後始末よろしくな?」

「はーい。次はお迎えじゃなくて、あなたも楽しんでいってね? イフリータ様」

「へいへい」

 

 イフリータがアルスヴィズと五月雨に手をかざせば、一瞬にして白濁はかき消えいつものゴスロリ服姿に戻る。よっと、と二人を抱きかかえて去っていく魔神の後ろ姿に、淫魔はクスクスと笑みをこぼした。

 

「……本当、あなた方がただ世界を滅ぼすだけのモノなら良かったでしょうに」

 

 過ちというのは、償えるものと償えないものがある。終わっていなければいい、まだやり直せるのだから。しかし、終わってしまい取り戻せなくなればそれはもう償うことはできなくなる――まさに、今の彼女たちのように。

 

 力があろうと無かろうと、それだけは変わらない。そのことが、ただ淫らでしかない淫魔には、救いのない地獄にしか思えなかった……。




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