Nightcrawler~夜に堕ちる彼女たちへ~ 作:イツカ・ドコカデ
日笠友里の日常は、ある日一変した。
「ふ、あ……ああ、あ……あ、あ……」
「ふふ、そんなに熱心に抱きついちゃって。友里は甘えっ子なのね」
クスクスとからかわれた瞬間、友里の体が火が点いたように熱くなる。友里が抱きつく相手は、クマのぬいぐるみだ。しかも、ただのぬぐるみではない。大の大人よりも大きい、一抱えあるサイズのぬいぐるみだ。
「あ、あああ、あ……あ、ああん」
ぬいぐるみに抱きついたまま、友里はのけぞった。友里の制服のスカート、その下からするヴヴヴヴヴヴ……という振動音と淫らな水音がする。
「どう? ぬいぐるみに犯されちゃうのは?」
「きもち、いい……で……んんん!」
答えている途中で肩を押さえられ、友里は喘ぐ。ぬいぐるみに生えたバイブは奥、子宮口を強く押し上げ、堕ちろと命じてくる……それに抗う術もなく、蕩けさせられていく。
三人の笑い声を聞きながら、友里はこみ上げてくる快感に流され甘い鳴き声を上げながら絶頂へと押し上げられていった……。
† † †
西園寺弥生と加賀宮紅葉・楓姉妹は、夕霧女学院でも有数の『お嬢様』として知られていた。三人とも親の関係で幼馴染であり、学業は有数。弥生は文武両道で知られ中学時代は陸上の走り高跳びにおける当時の県内記録を持ち、紅葉・楓の双子の姉妹は華道でその名を知られる知る者ぞ知る有名人であった。
ただ、決して人格に問題があった訳ではない――表向きは、特に。彼女たちは自分が注目されやすいことを自覚していた。だからこそ、周囲の視線を意識した生活を心がけていたのだ。優秀だからこそ、醜聞がどんな影響を未来に残すかよく理解していた。
だが、そんな彼女たちの理性は結城夏絵という同級生との出会いであっさりとタガが外された。いや、より正確に言えば意識しながら生活していた記憶を、爛れた快楽に溺れる思い出に上書きされたのだ。
彼女たちは、『妹』を欲していた。それが植え付けられた願望なのか、元よりあったものなのか、もう判別はつかない。それほど、彼女たちの動機に根ざしてしまっていた。
幸か不幸か、彼女たちには欲望を叶えることができる環境があった。いや、だからこそ目を付けられてしまったと言うべきか――夕霧女学院の『聖域』は、今や淫獄の中心点だった。
† † †
「本当、友里は素直でかわいいわ……」
「あ、りがとう、ございます……紅葉お姉様……楓お姉様……」
左右から一卵性の双子に抱きかかえられ、友里はビク、ビクと快感に体を跳ねさせながらその名を呼んだ。甘い愛おしさと、自分が囚われた籠の中の玩具だと理解している諦観……その入り混じった嬌声混じりの呼び声に、紅葉と楓は嗜虐の笑みで両側から友里の耳に口づけていく。
「ああ、あん……ああ、ああ……あっ」
ピチャ、ピチャと舐める音が耳の奥を犯す。ぞわぞわぞわっと走る悪寒。脳を直接舐められたように錯覚する甘い痺れに、友里は震えながら喘ぎ声をこぼす。
夕霧女学院の『聖域』――選ばれた者しか入ることができない校舎、その一室。そこは友里のためにあつらえた籠だった。放課後に呼び出されればそこで首輪に繋がれ待機させられ、訪れた『お姉様』たちを満足させるために淫らに鳴く……ここでの友里の価値は、それしかなかった。
最初は五月雨のクラスメートだから。今では、手塩をかけて躾けた『妹』として。友里には素質があった。その愛嬌のある顔立ち。背の低さにしては目立つ大きさの胸。何より一人っ子であるため姉妹という存在に憧れをいだき――その上で、被虐願望さえ持っている。
こんな玩具、彼女たちが興味を抱かないはずがなかった。そう誘導された、とは彼女たちも気づかない。この環境に目をつけ、育んだ魔女にとって彼女たちは利用価値がまだまだあるからだ。
「次に来るのが誰かはわからないけど……こういう場も、重要だもの」
夏絵――シニストラが、椅子に腰掛けながらそう微笑む。隠蔽の場として、時に人質として。何より、魔法や呪いにおいてそういう想念や積もり積もった場は、何よりも価値があるのだ。
「んん、んんう……ん、んっ!」
魔女の陰茎に奉仕するほのかは、その言葉を聞いていない。口いっぱいに頬張って、頭をゆっくりと上下させる。舌で、口の内側で、喉奥で――口の中を満たす魔女の肉棒を、熱心に奉仕するだけだ。
「……んう……ん」
時折、魔女に頭を撫でられると嬉しそうに奉仕に熱が帯びる。その光景が視界の隅に入ると、友里が更に蕩けてしまう――憧れの存在が自分と同じように『妹』にされている……そのことは、麻薬のように理性や意識を溶かしていくのだ。
――そうね。利用しない手はないもの。
シニストラがほのかを最初に手にした時から、考えていたことではあった。九条家、魔法使いとしてこの国の暗部に知れ渡った名家を、調べないはずもない。
九条家の開祖は遠く、平安の時代へと遡る。境界防衛局の前身である陰陽寮の立ち上げに関わり、更にその魔法の期限を辿っていけば天竺にまで至るとされた、まさに魔法使いのサラブレッドとも言うべき家だ。
加えて、九条家は『血』を混ぜることにも貪欲だった。混血――人である九条の一族が異能の者と交わり、その異能を自らの一族に取り込んでいったのだ。本来であれば、一世代で人間という枠から外れていただろう。しかし、一〇〇〇年を超える歳月、今もこうして九条家は人間であり続けた。
――凄まじいわね、狂気の沙汰だわ。
それはどこかで蝶が羽ばたくだけでも狂う、繊細かつ膨大な計算が可能とした綱渡りだ。
どの血をどれだけ取り込めば人から外れるか? それを正確に把握するということは、どこまで取り込んでも人から外れないという確信と同じだ。
いかに強大な力を手に入れても、人から外れてしまえば意味がない――それが開祖から続く九条家のスタンスだ。それは五〇〇年続けば偉業、一〇〇〇年を超えるなど奇跡と言うほか無い。
その奇跡の結果こそが、ほのかであり、その姉にして当主であるのぞみだった。
ただ、九条家の『血』を取り込んできた結果――ないし、その影響は残っている。ほのかがこの状況を受け入れ、雌として媚びるその態度も本能が強い異能を求めるからこそだろう、と。
「きっと、あなたのお姉さんも同じなのでしょうね」
「――ぁッ!」
シニストラがそう囁いた瞬間、ぶるっとほのかが震えた。強い『血』に求められる、そのことに雌を疼かせる――本能に刻まれた、孕みマゾの絶頂だった……。
※アンケートをまた、後ほどさせていただきますねっ!