Nightcrawler~夜に堕ちる彼女たちへ~ 作:イツカ・ドコカデ
同好の士がこんなにいる、もう何も怖くない……!
平行世界という概念がある。例えば六面体のサイコロを転がした時、一から六の出目の可能性の分だけ世界が分岐し、別の世界になるというものだ。
これはより正確には、どうサイコロが転がったか、あるいはサイコロを転がさない事を選択したかなど、一つの動作や行動でも無限の可能性を秘めている。いわば、世界とは刻一刻と増えているというのが平行世界の考えだ。
そう、この世界以外にも過去に分かたれた膨大な異世界が存在している。空想と言われた技術、生物は、そんなものが存在する可能性という世界からやって来るものだった。
その中でも吸血鬼、特に真祖と呼ばれるモノは強大な力を持っている。吸血鬼によって血を吸われたのではなく、ある世界で生み出された転化の魔法によって吸血鬼となったモノだけが真祖だ。
その不死性は、血を吸われて吸血鬼になったモノの比ではない。まさに不老不死。永遠の昼と夜を生きる存在。真祖に並ぶものなど高位の天使や悪魔、魔神、戦神、古竜などのただの一個で世界を滅ぼせるほどの存在だけだ。
――本当に、厄介……。
だからこそ、五〇〇年生きた五月雨にして同じ真祖と戦うのは初めての体験だった。個々の資質や適正によって能力に差異は生まれるものの、元は同じ魔法によって転化したモノ同士だ。
真なる不老不死。あらゆる手段で殺せず、その腕力や霧などによる霧散化や使い魔の創造能力は竜でさえ殲滅される暴力を持つ。真祖同士の戦いとは、まさに鏡に殴りかかるのと変わらない。殺せず、殺されない――永遠に決着のつかない戦いだった。
「不毛って、知ってる癖に……」
「だから、何?」
苛立つ五月雨に、白い少女アルスヴィズが淡々と返す。速度や身体能力ではわずかに五月雨が勝り、霧化に関しては霧ではなく氷化を可能とするアルスヴィズの方が汎用性で勝っていた。だが、勝っていても勝敗を決めるほどの差ではない。
黒い『拳』と白い『拳』の連打が、二人の間で鎬を削る。速度で勝る五月雨が手数で圧そうとするも、『拳』の硬さで勝るアルスヴィズがそれを許さなかった。
――ほのかの『匂い』が追えなくなる。その前に……。
目の前の敵を引き離し、ほのかを救出。体勢を建て直さなくてはならない。五月雨がそう思考を巡らせた瞬間だ。
「「――――ッ!」」
黒い槍がアルスヴィズの胸を貫き、白い鎖が五月雨の下腹部に突き刺さる。互いが防御ではなく、攻撃に重きを置いた攻撃を行なったからだ。アルスヴィズはすぐに体を再生、五月雨は全身を霧化させ抜け出そうとした、その時だ。
「……うん。シニストラの言った通り」
アルスヴィズが、かすかに微笑む。それが勝利を確信している笑みだと五月雨が悟るよりも刹那に速く、両者の決定的な差が現れた。
それは敵が真祖であると知っていたかどうか? 敵に合わせた対処法を用意していたか否かだった。
ドクン、と鼓動が一つ大きく打って、視界が歪んだ。体が、霧化しない。下腹部からこみ上げる『熱』に五月雨が戸惑った瞬間、目の前にアルスヴィズが迫っていた。
「――いただきます」
幼い顔に艶やかな笑みを浮かべたアルスヴィズが、五月雨の首筋に牙を突き立てた。
† † †
「あ、ああああ、ああああああああああああああああ――!?」
のけぞった五月雨の口から漏れたのは、明らかな嬌声だった。吸血鬼の吸血は、血を吸われた相手に性的快楽を与える。それは血を捧げた相手への褒美であり、魂の陵辱だった。生物は苦痛を耐えられても、快楽を耐えるようには出来ていないからだ。
「ああ、ひ、あああ、あああああああああああああ!」
それは真祖でさえ同じだ。下腹部の『熱』は耐えきれないほどに燃え上がり、目の前は絶頂に白く染まり続ける。こうなってしまえば、真祖の不死性こそ地獄の元凶だ。いくら血を吸われても死ねない五月雨は、ただただ快楽の渦に飲み込まれるだけだ。
「ん、んん……ここに、ね……ん」
「んあ!? ああ、ああッ!」
乳児が母乳を求めるように血をすすりながら、アルスヴィズが五月雨の下腹部に服越しに人差し指を這わせる。黒いスカートをめくり、その下腹部にハートに茨が絡みついた紋様が刻まれている事を見せつける。
「んん、淫紋? んん、だって……私の許可無く、んん……吸血鬼の力を使おうとすると……私が与えた一番の快感が、再現される、の……んん、あ、ん」
「ひ、い!? ああ、んあ!」
それは絶望の情報だった。今、与えられた吸血の快感。それが常に襲うなど、もはやまともに力を使う事など――。
「んん、だから、ね。これから、その快感を……あげる……んん」
アルスヴィズの純白のスカートにスリットが生まれると、胸まで届きそうな巨大な肉棒が現れた。その肉棒を目にした瞬間、愛液まみれだった五月雨の黒いショーツを貫いて小水が漏れる。その真祖の聖水が五月雨の細い足を伝わって、足元に水たまりを作るのを見て、アルスヴィズは哀れなネズミを前にした猫のように微笑んだ。
† † †
かつては駐車場であった更地で、黒白の少女二人が抱き合っていた。遠目に見れば、愛らしいじゃれ合いだ。しかし、その破壊をもたらした超越者二人であり、あまりにも淫らな絡み合いだった。
「あう、ああ、ああっ! ああく!? あああ、あああああああああ!」
対面座位の体勢で、首筋から血を吸われながら五月雨だけが腰を振る。正確にはあまりの肉杭の長さに奥にあっさりと届いてしまい腰が勝手に跳ねて、また自分の重みで腰が落ちてしまう――その繰り返しだった。
「ぷは……ごちそうさま。今なら、話せる……?」
どれだけ血を吸い続けただろう、アルスヴィズはようやく首筋を開放した。それに、五月雨が声を押し殺しながら、口を開いた。
「なんの、つ、もり……?」
「最初に言った。あなたを私のものにする」
「んあ!?」
宣言と共に一度下から突き上げられ、五月雨が軽くイかされる。そうなると再び腰の動きが再開してしまった。
「そんな、あひ!? くだらな、い……ことでっ、んぐ!」
「くだらなくない。私たちにはとても重要」
「……た、ち……?」
複数形、それは明確に単独犯ではなく徒党を組んでの計画だと白状したようなものだ。しかし、アルスヴィズは構わない……もう計画は成功したようなものだから。
「魔女に魔神、高位悪魔……そして、私。私たちの共通点は、帰る世界がないこと」
「つ、いほう……さ、れた……?」
「シニストラとベネトナシュは、そう。私とイフリータは、世界が壊れちゃったから」
ん? とここまで告げてから、ぐいぐいと亀頭で五月雨の子宮口を突きながらアルスヴィズは修正した。
「私は、違った。世界を壊しちゃったから」
「あぐ! あ、あああ、あ!」
五月雨がぎゅうとアルスヴィズの首元に抱きつく。それがよほど嬉しかったのか、アルスヴィズも背中に腕を回して抱き返した。
「異世界は、私たちぐらいになると簡単に受け入れてくれない。だから、先に『縁』を作る」
「……え、ん?」
「この世界にあると根ざしたモノ、あなたやあの魔法使い……異能でありながら、世界に受け入れられたモノ。それとセットだって、世界に誤認させる」
可能性の数だけ分岐する世界は、本来ならあるはずもなかった可能性を受け入れない。だからこそ、『門』は小規模であれば自動的に消滅する――そんなものがある可能性は、この世界にあってはならないからだ。
だから、先にこの世界が受け入れている異能と関係があるモノだと『縁』を作るのだ。そして、その『縁』は強ければ強いほど、効果がある。
「ねぇ、あなたの名前は?」
アルスヴィズの問いかけに、五月雨は視線を逸らす。答えてやるか、というその態度に、アルスヴィズは黒い少女の腰に手を添えるとゆっくりと下へと力を込めていった。
「あ! あ! あ! あ!」
「……あなたの名前は?」
子宮口に噴水のように溢れる先走りを押し付けられて、五月雨は大きくのけぞる。再び問いかけられた言葉に、五月雨は肺から押し出される息と共に答えてしまった。
「さ、みだ、れ……ぇ」
「そう、サミダレ。ねえ、サミダレ。どんな関係がいい? 親子? 姉妹? 恋人? 飼い主とペット? 私は、夫婦がいい。シニストラが言うから、せっかく生やしたんだもん」
鈴の音が鳴るような声で笑い、アルスヴィズは腕に力を込めていく。この白い少女を知るモノがここにいれば、驚きを隠せなかっただろう。長い歳月の中で、アルスヴィズがこれほど饒舌に話すなど初めてのことだ。
「サミダレは子供は何人欲しい? 私は何人でもいい、全部可愛がる。私とサミダレの子供だもの、全部かわいい女の子だよ? 間違いない」
「ひ、な……!?」
「その子たちもいっぱい可愛がって孕ませてあげてもいいし、生やしてサミダレを孕ませるのもいいかも。家族、たくさんできるよ」
「ば、か……ありえ、な……ひう!?」
口で否定しても、下腹部の熱が増していく。子宮が精液を求めるように、下がっていく――孕ませて、と白い少女に強請るかのごとく。
増した圧迫感を感じたのだろう、口の端を小さく持ち上げてアルスヴィズが軽く腰を上げる。
「ほら、ここはもう欲しいって言ってるよ」
「そ、んな、こと……な……いっ……」
「んー、ならサミダレも生やす?」
「……は?」
「いいよ、サミダレの子供なら産んであげる。お互い交互に孕もうか? 最高だろうね。子供同士も仲良くさせたり、子供を交換して孕ませたり、孕ませられたり……うん、色々と楽しめそう」
夢見る乙女のように囁きながら、アルスヴィズの男根が五月雨の子宮口を押し開いていく。白い少女の舌が再び自分の首筋を舐めると、その意図を理解して五月雨は弱々しく首を左右に振った。
「駄目、やめて……お願い、それは駄目……耐えられない、無理、耐えられない……」
五〇〇年の歳月を生きた真祖が、ぼろぼろと涙をこぼしながらそう懇願する。見た目相応の、幼い少女の悲痛な訴えに――アルスヴィズは、ぞくぞくと背筋を震わせて笑みを綻ばせた。
「耐えられなくてもいいよ、壊れても愛してあげる。だって、ようやく会えた同じ永遠を生きる真祖だから」
アルスヴィズがゆっくりと歯を五月雨の首筋に突き立てていく。柔らかで張りのある肌をぷつりと貫き、アルスヴィズは血に舌を這わせて――。
「お、ちちゃう……そ、んなの、堕ちちゃ――あ、あああああああああああッ!!」
肉棒が子宮口を貫き、子宮に押し込まれるのと同時、白い少女は牙を突き立てる。吸血と子宮内を満たす大量の精液に、五月雨は人生最大の快楽に溺れ狂っていった。
無理のない範囲で、頑張っていきたいと思います。
次は五月雨とほのかに、もっと堕ちていって貰う予定です、はい。