※この作品はR-18です。

Nightcrawler~夜に堕ちる彼女たちへ~   作:イツカ・ドコカデ

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書ける時に書いていくスタイルでございます。

多くの人に読んでもらえる、反応がある。それが原動力となっております!


6.『二日目』妹たちは姉の玩具になる

 日笠友里は夕霧女学院一年い組に所属する、どこにでもいる普通の女子高生だった。

 

 ――あ、九条先輩!

 

 ……いや、少し普通ではないかもしれない。朝の人混みの中、鷹の目のような視線で憧れの先輩を見つけるあたり、普通から逸脱していた。

 

「お――――」

 

 いつも通り挨拶しようとして、友里は言葉を切る。今日は珍しく、一人での登校ではないから――。

 

 ――いや、違う。九条先輩は、いつも三人で登校していたはずだ。

 

 一人は三年生の結城夏絵先輩。見た目通り楚々とした美人で、九条先輩とソチラの人気を二分している『みんなのお姉様』だ。そして、九条先輩の隣にいるのが結城先輩の妹である結城五月雨……自分と同じい組のクラスメートだ。

 

 ――……あれ?

 

 何であんな目立つ二人をほんの一瞬でも意識から除外できたのだろう? そして、よくあんな美少女三人組に挨拶出来ていたものだ。さすが私、と褒めてやりたい。

 

「……あ」

 

 などと考えている内に、三人が校舎へと入ってしまった。タイミングを逸してしまった、と友里は思わず、その場に膝を屈してしまいそうだった。

 

  †   †   †

 

「――ずるい」

「……急に、何?」

 

 一限目の後、休み時間。唐突に友里から向けられた不満に、五月雨は胡乱げに問い返した。夕霧女学院生徒の間で『理想の妹像』と噂される五月雨である。その小さな体や幼い顔立ちから、どこからどう見ても中学生は愚か小学生にしか見えない五月雨は同級生からすら妹にほしいと言われている……ただ、時折表情がとても大人びていて、妹という感じがしないのだが。

 

「結城先輩という姉がいながら、九条先輩からも妹ポジションを確保している……それがずるいと言ったの」

「九条センパイ……ほのか?」

「そう、その……くっ! 自然と名前呼び!?」

 

 友里は愕然とした。自分と五月雨の妹力の差はもちろん、名前で呼ぶほど親しいのだと思い知ると嫉妬がこみ上げてくる。だから、友里は五月雨の生温い優しい笑顔の意味に気づかない。

 

 そう、あれが姉ポジションに見えるんだ。良かったね、ほのか。あなたの日々の努力は成功している、と微笑ましくあったが、五月雨は敢えて口にはしない。吸血鬼の真祖にだって、情けはあるのだ。

 

「……ようは、ほのかを姉にしたいの?」

「姉のいるあなたにはわからないでしょうね! 一人っ子が兄弟姉妹に憧れる気持ち……!」

「うーん……そうかも?」

 

 実際は五〇〇年以上生きているので、老人だって年下だからなのだが。改めて、五月雨は自分に親しげに語りかけてくる、初めて話す相手を見た。

 

 自分よりもニ〇センチは高いが、十分に低いと言える背丈。だが、五月雨と大きく違うのは黒いセーラー服の胸元を強調するように盛り上がった胸だ。軽くウェーブのかかった長い髪に愛嬌のある顔立ちといい、全体的に柔らかさを感じる少女だ。

 

 シニストラの催眠暗示は、学院の教師や生徒だけではなく自分にもかかっていた。ようするに、目の前にいる彼女の名前が日笠友里と言い、自分と同じい組の生徒で……。

 

「…………」

 

 そこまで考えて、知りたくもない『情報』に至ってしまった。じっと友里を見上げると、気圧されたようにクラスメートが唸る。

 

「な、何……?」

 

 戸惑うクラスメートに、密かに五月雨はため息をこぼす。意識させるように、淫紋のあたりが疼くのだ。その疼きの意味を悟って、五月雨は口を開いた。

 

「……日笠、放課後は暇?」

 

  †   †   †

 

 夕霧女学院は、古き伝統と新しい方式を受け入れた歴史がある。始まりは富裕層のお嬢様のみを集めた全寮制の女学院だった。年月は流れ、夕霧市が政令指定都市として開発された二〇世紀後半あたりから、一般の女生徒も受け入れるようになったのだ。

 

 ――う、うわぁ……。

 

 友里が、声に出さないように内心で呻いた。木造の廊下、その先は一般の生徒が踏み込む事のない領域だ。古き伝統に乗っ取り、一部の生徒――噂によれば多額の寄付を行なった家の子女のみだとされているが、真相は定かではない――のみが入る事を許された、まさに夕霧女学院の『聖域』だった。

 

「い、いいの? 本当に……」

「あー……いい、と思う。そのはず」

「頼りないなぁ、もう!」

 

 放課後、五月雨に誘われて友里は『聖域』へやって来た。だが、もう入り口付近で場違い感を感じて、逃げ出したくてたまらなかった。

 

 五月雨は勝手知ったる我が家と言わんばかりに、迷わず進んでいく。実際は、植え付けられた記憶の通りに進んでいるけだが――そんなこととは露知らず、友里はクラスメートの後に続いた。

 

「うわ……!」

 

 五月雨が開けた扉の先を見て、ついに友里は声を上げてしまった。そこにあったのは、何と室内プールだったからだ。もちろん、授業に使うプールではない。一部の生徒のみが、遊びに使うためのプールである。

 

「あら、その子が?」

 

 聞こえた声に、友里の心臓が調子外れに鼓動を打った。声の方を向けば、そこにいたのは結城夏絵だった。姉と妹、そう考えればおかしくない組み合わせだが問題は夏絵の格好だ。

 

 夏絵が着ていたのは、黒のビキニだ。ただでさえ大人びたモデル然とした夏絵が、似合わないはずがない。腰に巻いたクロアゲハ柄の黒いパレオもあって、雑誌から抜け出てきたような華やかさがあった。

 

「日笠友里、クラスメート」

「ああ、この子が日笠さんね。いつもうちの五月雨がよくしてもらってるみたいで……」

「い、いえ! そんなこと!?」

 

 挙動不審になってしまうのは、許してほしいと思う。九条先輩一筋の友里であるが、ここまで完璧な姉の挙動を見せられて姉が欲しい女子が揺れないはずもない。

 

「もう少しでみんなも来るわ、水着も用意してあるから今日は楽しんでいってね?」

「……え?」

 

 思わず、友里は五月雨を振り返る。五月雨が首を左右に振ると、逃げられない事を悟った友里がこわばった表情で答えた。

 

「……ハイ」

 

  †   †   †

 

「……先に行ってる」

 

 五月雨がそう言って更衣室を出ていったのは、もう一〇分も前の事だった。

 

「結城妹、恐ろしい子……まさか、あの水着で迷うことなく堂々と……」

 

 友里は思い出す。五月雨に用意されていた水着は俗に言うスクール水着だった。ワンピースタイプのそれは華奢で、それでいて僅かながら胸の膨らみが見える五月雨には異常に似合うものだった。

 

 しかし、問題はそこではない。結城先輩というハードルを前に、水着姿が晒せるかという話だ。不幸中の幸い、友里に渡されたのはスクール水着ではなかった。なかったが……さすがにピンクのチュープトップビキニは挑戦が過ぎるのではないか?

 

「サ、サイズがあってるのが怖いんだけど……」

 

 深い溜め息をこぼし、友里は精神統一する――大丈夫、覚悟を決めろ。私は晒し者、添え物、比べられても最初から月とスッポンなんだから泣いたりしない!

 

「ふふ、思った通り似合ってるわ」

「あ、ありがとうございます……?」

 

 覚悟を決めてプールに戻ってくると、夏絵に笑顔で出迎えられた。あからさまな褒め言葉とわかるだけに、複雑な笑みで礼を返すのがやっとだ。

 

「……あれ?」

「ああ、五月雨なら『いつも通り』みんなと遊んでるわ」

 

 あそこよ、と夏絵が指を指す方向へ視線を向けると、プールの一角に三人の女生徒の姿があった。見知らぬ生徒ばかりだ、おそらくはここを使う資格を持つ上級生なのだろう。

 

「――え?」

 

 そこで、友里は気付く。三人の上級生に囲まれて、五月雨の姿があった。より正確には左右の足を二人にM字になるように持ち上げられ、背後の一人に後ろから抱きかかえられていた。

 

「あ、あ――あっ……あ、あ……っ」

 

 ぱしゃん、と小さな飛沫を飛ばして、抱えられた五月雨の腰が跳ねる。遠目にはわからないが、左右で足を抱えている二人が水着の股間部分の横から指を忍ばせてクリトリスと秘所を責め立てていたからだ。

 

「ねぇ、五月雨ちゃん。どのお姉さんにいじられてる場所が一番気持ちいい?」

 

 背後の女生徒が、水着の脇から手を入れて五月雨の僅かに膨らんだ胸を揉みしだく。きゅ、きゅ、と指の間に挟んだ小さな乳首を刺激する五月雨が自分の胸にのけぞって体を預けてくるのを蕩けた笑みで見下ろした。

 

「ぜんぶ、ぜんぶきもちいいの! おねえちゃんたちにされるの、きもちいい!」

 

 快感ニ流されると、植え付けられた記憶によって『いつも通り』にはしたなく答えてしまう。こうされたのも初めてだし、彼女たちの事を五月雨は知らない――だが、全てを知っている。知るようにされているのだ。

 

「また選べないのね。じゃあ、いつものお仕置きの時間だよ―」

「や、やだっ! それやだああ!!」

 

 首を強く左右に振って五月雨がお仕置きを拒む。その時、初めて五月雨と友里の視線が合った。

 

「やだ、みないでひがさ、みないでええええええ!」

「――っ」

「はい、目を背けちゃ駄目よ?」

 

 後ろから夏絵に抱きしめされ、友里がビクリと体を強張らせる。それだけで、まるで魔法にかかったように友里は五月雨から視線を逸らせなくなる。

 

「はーい、今日もスイッチ押しちゃうよ」

 

 水着の股間部分がずらされ、下腹部が押された。そこにあった淫紋に意識が集中した瞬間、ちょろ、と小水が漏れて――。

 

「あ――やだ、やだやだやだやだやだああああああああああああああ!!」

 

 聖水が弧を描き、プールに注がれていく。びくんびくん、と震えながら五月雨は自分をあざ笑いながら見下ろす三人の視線に、ぞくぞくと怯えた瞳を向けた。

 

 じょぼ、じょぼ……と全部出し切ってぐったりとした五月雨に、三人は容赦なく全身を愛撫しながらからかう。

 

「あーあ、気持ちよくなるとおもらししちゃう癖がついちゃったね、五月雨ちゃん」

「あ、あ! ご、ごめんな、さ……ひゃん!」

「五月雨ちゃんは見た目通り、小さな子供だもの。仕方ないわよ」

「あう、ちが……ちが、う……!」

「本当かなー? じゃあ、押してみよっか?」

「あ、あ、あ、あ、あ! だめ、でちゃう! またでちゃう、ああ、あああああああ!!」

 

 三人に翻弄される五月雨を一部始終目撃した友里が、不意に下腹部を撫でられる。ビクっと振り返った友里に、夏絵はいつもの清楚な笑みを向けた。

 

「あの子達、妹が欲しいって言うから五月雨をいつも貸してあげてたの。そうしたら、あの子の友達にもお姉さんに憧れてる子がいるって言うから……ね?」

「わ、わたし、は……っ」

「ね? 蕩けるぐらい甘えさせてあげる――」

 

 夏絵の囁きに、友里の体から力が抜けていく。自分の心臓の鼓動がひどく大きく、弄ばれて嬌声を上げる五月雨の声が聞こえない……喉が乾いていくのを感じながら、友里はかすれた声で答えた。

 

「……は、い……」

 

 ――その日から、二人の『妹』には姉たちの玩具になるという日課ができた……。




『二日目』五月雨サイドです。

次回は『二日目』ほのかサイドとなります。


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夕霧市に応援で訪れる異能者アンケート

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