セイバー。
目の前の、恐ろしい、美しい、妖艶な女性は、自らをそう名乗り上げた。
ピッチリとした、ツルツルラバー素材っぽいレオタード風の衣装の上に、内股がくり抜かれた袴のような足鎧、そして両肩には豪奢な刺繍の施された大きな肩鎧を装備し、大きい、スイカかメロンと見間違うような胸を固定するかのように、胸当てを着けている。
また、彼女の周囲の空間からは、
彼女自身の容姿は、可愛らしさ、幼さを感じさせながらも、大人という雰囲気を纏う特徴的な顔立ち。美人とも、綺麗だとも、可愛いとも、格好良いとも言い表せる。東洋風の顔立ち・・・・・・まあ、立ち振る舞い、鎧からして日本人なのは間違いない。
黒髪ポニーテールが、その憶測を確信づける。
「ええと、セイバー・・・・・・で、良いかな」
「ええ、今はそのように。申し訳ありません旦那様。真名は、今は誰がいるか解らない外であるためまたの機会に・・・・・・」
まただ。
英霊。セイバー。そして、真名。
目の前の女性は、知っているのだろうか。いや、自分で言ったんだ。絶対に知っている。
・・・・・・正直、僕が一目惚れされた、という事に関しても聞いておきたい。どういう事か。
「じゃあ、移動しながらその真名ってもの以外の、今の状況、そして、君の事について教えてくれ。僕はこんな現代ファンタジーじみた状態に陥ってかつ君が現れたものだから、頭の整理がついていないんだ」
敵かどうか、はあえて聞かない。そんなもの、聞く必要が無い。敵だったならこんな化け物塗れの状況下で僕を助けたりしないだろう。
それに、僕を初見で見た時の、あの表情。
血濡れで恐ろしさもあったが、それでも、まるで恋い焦がれた誰かに対して漸く出会ったかのような、そんな顔をしていた。
そのような顔を、僕に対してするような、してくれるような女性を、あまり疑いたくない。
「旦那様は装いからして一般人ですから知らないのは当然でしょう。それでは、隠れられるような場所を探しながら話しましょうか。ご安心下さい。このあたりの怪物共は、あの巨龍が現れた時から食われまいと逃げておりますから、ゆらりと話しながら歩いていても襲われる事は無いです・・・・・・怪物には」
「そうか、わかった。じゃあ、僕の家に行こう。実は近くの商店街に、家があるんだ。大判焼きのお店をやっていてね。遮光カーテンで窓全部遮れば、外から中は見えない筈だよ」
「そうですか。では、そのように」
そう言って、歩み始める。
セイバーは、僕が歩く三歩後ろを、しゃなりしゃなりと歩き始めた。
「ああ、そうだ。僕の名前を名乗っていなかった。僕は___」
「ええ、存じております。
「・・・・・・その、契約っていうのは?」
振り返らずに、セイバーに問う。
セイバーは、一拍おいて返した。
「そうですね・・・・・・心臓付近の素肌を見てみて下さい」
言われた通り、Tシャツの裾をまくり、心臓付近を見てみる。
そこには果たして、三本の傷痕のような紅い線が、心臓を中心に、縦に走っていた。
「それは、令呪というものです。私が押しかけた時にあなたに刻まれた、主従の証・・・・・・勿論、貴方がマスターです。今は、その主従の証とでも思っていて頂ければ」
「これが、契約書がわり、って訳かい?」
「そう。奪われれば私、他の人の女となってしまいます。それだけは絶対に嫌ですので、その胸元の令呪は絶対になくさないで下さいね? 他の人のものになるくらいなら私喉笛掻っ切りますので・・・・・・」
「あ、ああ、解った」
鬼気迫るような声音にびくつく。
この胸元の赤い三本線は何があっても絶対に奪われないように気を付けようと思った。
阿智神社からすぐ近い場所に商店街はあるから、そんな話をしていれば直ぐに商店街入口付近に着く。入口付近には、大きな木製の看板を掲げたお店がある。僕の店だ。どうやら、ほぼ無事のようである。
「ほら、そこにあるお店が僕のお家さ。入りたまえよ」
「お邪魔致します」
化け物共にどうやら壊されていなかったようで、僕の家は無傷だった。
何時、何処で化け物に見つかるか解らないから、セイバーを招き入れると直ぐに僕は扉を閉め、鍵を閉め、カーテンをかけた。
「・・・・・・ご家族の方々はたしか・・・・・・いらっしゃらないのでしたね?」
「うん、母さん、父さんは顔が思い出せないくらい前にいなくなっちゃってさ。この店兼家はね、僕の爺さんのお家なんだよ。因みに爺さんは今入院中。病院無事だと良いんだけれど・・・・・・」
「そうでしたか。では、ここである程度説明を行った後は貴方の祖父をお迎えに・・・・・・」
「あー、かなり遠い病院に居てね。まず地方が違うんだよ。僕は携帯を持っていないから、後で家電で連絡を取ろうと思っている」
家の窓を閉め、カーテンをかけながら雑談で情報を出していく。
僕のことを
だからだろうか。
積極的に、僕に、僕自身の事について質問してくる。
それは、好きな動物だったり、食べ物や趣味だったり。学校生活での思い出話や、好きな女性のタイプまで。なにもかもを知ろうとした。
全てのカーテンを閉め切り、ドアの前にバリケードを拵えた頃には、ある程度の信頼が彼女に対して芽生える程度にはなっていた。
「ふぅ、これで、ある程度は安全だろうか……さっきの怪物クラスの化け物が来なければの話だけれど、ね」
「油断は禁物ですが、ある程度ならば大丈夫でしょう……では」
「……ああ。教えてほしい。僕と貴女の身の回りに起こっていること全てを」
さっき、歩きながら教えてもらえたのは令呪についてのみ。
それ以外のことについては、話がずれてしまったからまだ知ることが出来ていない。
だから今、ここで。
セイバーの知っている全てを話してもらおう。
真名ヒント2
日本の英霊
三つの、圧倒的な覇気を纏った気配
前書きの圧倒的なステータス
お暇があれば考えてみて下さい。
次回、真名出るかもです。