「・・・・・・アタシや余所様の家はボロボロにぶっ壊されたってのに馬鹿義理息子の家が無傷って・・・・・・運良すぎだろお前」
「ここぞ、という時の運は一番だと自負しているとも」
帰り着いた我が家の居間に、おんぶしていたまり姉さんを下ろす。
三つの圧倒的な気配、いや、
「おい馬鹿義理息子」
「なんだい、まり姉さん」
僕のすぐ側に座ったまり姉さんは、僕の事をじっと見る。
あ、これ多分「連絡くらい早くしろ馬鹿」とかそんな理不尽が飛んでくる、と覚悟していたら。
「事情は大体「黄金のセイバー」を自称するあのパーカー野郎に聞いた。お前が無事で本当に良かったよ」
そう言われて、抱きしめられた。
包容力と母性があって安心できる、そんな温もりが僕に伝わってくる。
衝撃的だった。
初めて、まり姉さんに優しく抱きしめられた。
された事がないまま会えなくなったお母さん。そんな人に抱きしめられたら、こんな、暖かい気持ちを味わえるのだろうか。
僕は、そう思いながら、まり姉さんを抱きしめ返す。
「ああ、僕も、まり姉さんが生きていてくれて、本当に良かった」
「もう高校二年生にもなっているのに携帯持たせてなかったのが悪かったな。ここいらの電話線切れて心細かったろ」
「・・・・・・まり姉さんが無事かどうかずっとヒヤヒヤしていた、という意味では心細かったかな。近くにはずっとセイバーがいたからこそ、僕は今冷静でいられるのだと思う。本当に、心配だった・・・・・・」
僕を抱きしめる力が強くなる。でも、不思議と痛くはなくて。
なんだか、僕を離さないようにぐっと力を込めて、相手に自分は此処にいると解らせているようで。それがどうにも、まり姉さんが生きている事を実感出来るようで、そんな事実が感じられて、僕の心に響いた。
「・・・・・・どうか。
で、話は変わるが・・・・・・お前のサーバントもセイバーのクラスなのか」
「サーバント?」
「ん? ああ、英霊の事を別称でサーバントって言うんだと。知らなかったか?」
「初耳だ。なるほど、召使い、か。確かに、僕等がマスターならその言い方はしっくりくる」
抱き合った状態から離れて、二人で漸く、ゆっくり会話が出来る。
一昨日まで毎日のように会って話しているけれど、昨日の事もあってか随分久しぶりに感じられた。それ程までに、昨日から今日にかけての体験が濃密で、現実離れしているのだ。
「で、まり姉さんの英霊の「黄金のセイバー」って言うのは?」
「ああいや、真名を言い触らすと良からぬ族に正体ばれたら弱点が増えるってんでアタシにも伏せてるんだと」
「そういえば。まり姉さんは秘密だとか嘘だとかを隠すのが下手だからね。黄金のセイバーとやらは短い付き合いの割に良く解っているじゃないか」
「うるっさい。そういう馬鹿義理息子はどうなんだ」
「教えてもらっている。けれども、この日本じゃあビッグネーム過ぎて外で呼べない、っていうのは同じかな。外じゃあずっとセイバー呼びだ」
「マジか。そんな大英雄なのかよあのドスケベボディ」
「マジだ。多分幼稚園入りたてのガキンチョでも知っているレベル。だからまり姉さんに教えるとちょっと危ないかも」
「その言い草はねぇわ」
「事実、勢いでついポロッと言っちゃうでしょまり姉さん」
「否定出来ねぇ・・・・・・ッ」
こういう、まり姉さんと雑談っぽいお話をするのがどれだけ今、心の救いになっているか。
考えただけで涙が出そうになるけれど、ぐっと堪える。もう十七歳なんだ。再開してすぐわぁわぁ泣くのは僕的には格好悪過ぎる。
「ところでまり姉さん。黄金のセイバーって、どんな剣を使うんだい。僕のセイバーは太刀を使っているけれど」
「・・・・・・アイツとの付き合いは昨日今日って感じだが・・・・・・戦ってる時そういや剣持ってっとこ見たことねぇわ」
「えっ、ホントかいそれ?」
「おう、マジだ」
衝撃を受けた。まさか、剣を持たずに戦うセイバーが居るとは、思いもしなかったのだ。
「炎で焼いたり、怪力でぶっ飛ばしたりだとかは見たけれど、剣は一切見てねぇ」
「剣を戦闘で使わないセイバー、か。それってセイバーと言えるのか・・・・・・?」
黄金のセイバー、まさかクラスを偽っているんじゃないだろうか。そう思いはじめて少しして。
只今戻りました、というセイバー・・・・・・桃太郎の声が聞こえた。小脇には、血まみれの英霊・・・・・・恐らくは、黄金のセイバーであろう英霊が抱えられていた。
「お帰り、桃」
「はい、当麻。お初にお目にかかります。まり様」
「おう、ご丁寧にどうも。そして死んでねぇか? 黄金のセイバー」
「俺はどうにか生きてるよ、マスター。全く、まさか冥界の番犬に手こずる時がくるとは思わなかった」
「おうそうか。どうでも良いから取り合えず風呂入りに行くぞ。積もるお話をその後にしよう。とにかく血の匂いが凄いぞ黄金セイバー」
黄金セイバーは、どこか中東アジアの少年っぽい感じの英霊だった。
中東アジア・・・・・・ペルシャかエジプトであろうか。その辺りに有名な英雄がごまんといるだろう。黄金を名乗っているのは、恐らくは生前の逸話か、それとも武具が黄金なのか。
まり姉さんが黄金セイバーを引き取り、風呂場へと向かったあと、今度は桃が隣に座ってきた。
「お疲れ様、桃。怪我は無いかい」
「ええ、一刀の元に切り伏せましたので。現世に来る間に霊格が落ちて魔獣クラスに弱体化した番犬程度、私のお供と比べればどうという事はありません」
大鎧姿から、僕の渡した着物姿にいつの間にか着替えていた桃は、僕に自慢げに胸を張る。胸を突き出したような姿勢となり、目立つほどに大きく豊満なそれがぷるん、と揺れた。
それを見て下半身の一部がガチガチに硬くなっていくのを押さえながら、話を続ける。
「怪我が無いならよかった。君にもしものことがあったらそれは凄く悲しいことだから、ね」
僕が何気なく放った一言。ここから少し、桃の雰囲気が変わった。
「それは、私が大切だから、ですか?」
「い、言わせないでくれよぉ……意地悪」
恥ずかしくて言えない。僕も外見で一目惚れしかけて、その甲斐甲斐しい性格と体つきがもうたまらなく好きで自分のモノにしたいだなんて、そんな最低な告白を言えるわけがないのだ。
「その反応、私がもう貴方にとって大切だ、という認識でいいですね?」
だが、その逃げを桃は許してくれなかった。問い詰めるような、そんな格好となって桃と僕の距離が物理的に縮まる。
むにゅぅ、とそれはもうたわわな女性の象徴が僕の腕に押し付けられる。歪んで、形を変えるほどに。
それを見て、もうたまらなく興奮し、もう隠せないくらいにまで剛直がズボンを押し上げる。
「あら、まぁ……」
「あの、これは、その」
立 っ て い る の が ば れ た 。
僕の股間に桃は視界が吸い込まれ___にやぁ、と、口を釣り上げた。
まるで、獲物を見つけた獰猛な肉食獣であるかのように、目がぎらついている。
「我慢せずとも、今、この場で押し倒されても構わないというのに……」
「構うよ馬鹿。風呂場に黄金セイバーとまり姉さんがいるんだぞ!?」
「あのお二人であれば空気を読んで無視してくださいますよ」
「そういう問題じゃ……」
文句を言い垂れようとした瞬間だった。
急に、下半身を中心に甘い感触が広がり、びくんっ、と体が跳ねる。
ねっとりと、剛直をなでられていた。
抵抗しようとするが、万力のような腕力で体を抱きしめられていて、うまく身動きが取れない。
「う、ぁぅう……」
「ふふ、ほら、素直になってください。気持ちいいですよね……?」
耳元で、蜂蜜よりも粘って、どろっとした甘ったるい声が響く。
じわり、じわり、と体中を突き抜ける甘い快感。ゾクゾクと背筋が震えて、吐息が熱くなる。
先っぽの方を念入りに撫でられて、がくがくっ、と腰が震える。にじゅ、にじゅ、とくぐもった水音が僕の股間から聞こえ始める。
「あ、貴方のがびくびくっ、て震えだしました。昨日今日と、恐らく抜いてない筈ですので、たまっていますよね……?
「ふぅー、ぁ、はっ」
桃も興奮しているのか、耳に吹きかけられる吐息がだんだん熱くなって、声の甘ったるさが増す。
だんだんと弄られている剛直から溢れる液の量が凄くなってきて、ぐじゅっ、ぐじゅっ、っと音が重くなってきた。
頭が真っ白になってきて、性欲と快感で真っ白がピンクに塗り替えられる。
「ほぉらぁ、
「はぁぁっ、ぅううう」
ずじゅ、ずじゅ、ずじゅっ、と水音が激しくなって、スパートをかけられる。
ぐつぐつと玉のほうからマグマのように熱い快感がせりあがってくる。
もう少しで、もう少しで、今までで一番気持ちいいことが起きる。
もう少し、もう少し、くる、くる、すごいのがくる……!
「よぉしっ、これできれいになったな!」
威勢のいい声が脱衣場から響いた瞬間、急速に快感が体の内側に戻っていく。
ぐずぐずにとろけた頭で、それがまり姉さんの声と認識するやいなや、理性が少しづつ戻ってくる。
「洗い方が荒い上にふき取り方も荒いっ、ええい畜生、外見は女神と同等かそれ以上の癖してガサツが過ぎるぞマスター!」
「ガサツは誉め言葉だし、嬉しいこと言ってくれんじゃねぇか」
「この女の感覚が理解できないんだが」
脱衣場の方から聞こえてくる楽し気な声。
それと同時に、とても残念そうな桃の声が耳元で響く。
「もう少し、だったのですが……」
先ほどの声とは打って変わって、冷静な、何時もの桃の声。
雰囲気の違いに、先ほどの暴力的な悦楽と性欲の高ぶりは勘違いだったのでは、夢だったのではと思えてくる。
が、ズボンのまたぐらが今も尚テントを張るかのように盛り上がり、ぐしょぐしょに濡れていることから、現実に起きていたことだと思わされる。
まだ、心臓がドキドキしている。スイッチは未だ入ったままだ。
熱い体をどうにかして覚まそうと、深い呼吸を繰り返し、冷たい空気を体に巡らせる。
……が。
「……中途半端に終わってしまったので、不完全燃焼ですよね……?」
また、熱い吐息とともに甘い言葉で脳を犯されて、体が火照る。
「私も、そうです。体が、熱くて、熱くて、貴方の立派なこれが、欲しくてたまらないのです……」
言葉とともに、優しく、直立したままの剛直を撫でられる。
どくん、どくん、とまるで別の生き物のように、撫でられるたびに震える。
その様子をみて、喜悦を顔に浮かべると、桃は、僕の耳に限りなく唇を近づけて、
「今夜、忍んで参ります」
ちゅぱっ、と、耳の穴付近に接吻してから、何より甘く、ドロリとした声音で言ったのだった。
というわけで次回、やります。