原作:抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?
タグ:R-18 ぬきたし 不倫は文化祭 抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか? オムニバス
その中で起こった4つの小噺です。
―――不倫は文化祭。
水乃月学園で開かれる文化祭の名前だ。
一般的な文化祭同様にクラス毎にイベントを企画するのだが、他のイベントの例に漏れず何もかもがドスケベ仕様だ。
しかしそれも過去の話。
新条例が施行されてから観光目的の客が増え様々なイベントの見直しが進められた結果、このイベントもドスケベと非ドスケベの共存が謀られることになった。
今回はそんな「不倫は文化祭」に関わった色んな人の色んなお話―――
1.カリスマビッチアイドル奈々瀬
「文化祭か」
先ほど渡された手紙には文化祭の実施要項が書かれていた。
「名前の時点で俺的にはアウトなんだよな・・・」
でかでかと印刷された「不倫は文化祭」の文字。新条例になっても名前だけはドスケベ要素を貫くというという強い意志を感じる。
「まあ名前は確かにアレだけど、今年は普通の出し物も結構増えるみたいだし、楽しめると思うわよ」
「奈々瀬」
いつのまにか奈々瀬が近くに来ていた。
「去年とか本当に大変だったんだから」
「やっぱりSEXとか誘われるのか」
文化祭なんて大イベント、逃げる側からしたらたまったもんじゃないはずだ。
「それもあるけどね。・・・実はアタシ、去年開会式で歌って踊ったのよ」
「え!?」
衝撃的すぎるカミングアウトだ。
「SSの人たちに頼まれてね。練習は大変だったけどSEXの誘いを『今日は練習があって~』って断れたからまあそこは良かったかしら」
「いや奈々瀬お前、そんなアイドルみたいなことできるのか?」
「無理に決まってるじゃない。言ったでしょ、練習が大変だったって。何とか乗り切ったけどね」
しかし奈々瀬がアイドル活動とは、アイドル・・・アイドル・・・まるで想像できん。
「あーその顔、さては信じてないでしょ?」
「すまん、馬鹿にしてる訳じゃないんだ。ただ実際に見てみないと何とも言えんな・・・」
「アタシ、その映像持ってるよ」
「ん、郁子か」
背後から郁子が声をかけてくる。
「ヤッホー、ダーリンにナナセちゃん♪楽しそうなお話が聴こえてきたからこれからの見回りサボってこっちに来ちゃった」
「真面目にやりなさい」
「まあまあダーリン。それでさ、アタシ去年の奈々瀬ちゃんの映像持ってるんだけど、見たい?」
そりゃあそんなお宝映像見たいに決まって・・・
「やめて!!!!」
「ぬおわ!?」
奈々瀬が俺と郁子の間に割って入る。
すげぇビックリした・・・・・・奈々瀬ってあんな声出せるのか。
「いいじゃんいいじゃん。私流行りの音楽とか躍りとかあまり詳しくないけど、去年のは凄い良かったと思うよ~」
「前半はね!?でも後半は嫌!よりによって淳に見られるのだけは絶っ対に嫌!お嫁に行けなくなる!」
なんだなんだ、前半とか後半とか色々面白そうな話が聞こえてきたぞ。
「分かった分かった。じゃあ奈々瀬ちゃんが好きなタイミングで止めていいから。ね、いいでしょ?」
そう言うと郁子は奈々瀬に自分のスマホを渡した。
「う~~~、淳、本当に見たいの?」
「そりゃまあ。嫌なら無理にとは言わないけど」
「はぁ・・・まあ前半だけならいいですけど」
奈々瀬は渋々了承してくれた。
三人で郁子のスマホを覗き込む。
画面には体育館のステージ上でマイク片手にパフォーマンスをする奈々瀬の姿が映っていた。
ちゃんと歌ってるしちゃんと踊ってる。凄いな、本物のアイドルみたいだ。
・・・うわよく見たらバックダンサー全員ハメドリくんだ。めっちゃおぞましい光景じゃん。
「ナナセちゃんが歌ってるだけで男子のおちんちんが次々に勃ってたし、曲の最後になると射精しちゃってたから掃除が大変だったんだよね~。懐かしいな~」
地獄か?
「はい!終わり!」
奈々瀬が再生を止めてしまう。恐らくこの先が後半部分なのだろう。
「えー、ここからが良いところなのにー。ダーリンにも見てもらおうよー」
「ダメなものはダメ!ここまでだって充分恥ずかしいんだから」
「ちぇー。じゃあ私そろそろ見回りに戻るね。バイバーイ」
「おう、サボるんじゃないぞー」
郁子は風のように去っていった。
・・・後半も見たかったな。
「ふぅ、そろそろ寝るか」
日課のオナニーを済ませると、眠気とともに心地よい疲労がやって来た。
「・・・ん?」
スマホを確認すると、いつの間にか郁子から一本の動画が送られてきていた。
『昼間見た動画だよー』
『間違って送っちゃった⭐』
『ナナセちゃんも嫌がってたみたいだし見ないであげてねー』
白々しいメッセージも一緒に受信していた。見るも見ないも俺の自由ということか。
「いや、流石にこれはな」
俺と奈々瀬は仲間の中でも一番古い付き合いだ。俺個人の感情で易々裏切るほど浅い関係ではない。
それに奈々瀬が嫌だと言ってるなら見ない方がいいだろう。
「寝よう、うん」
ベッドに入り部屋の電気を消す。
睡眠・・・睡眠・・・。
・・・・・・・・・・・・
気になりすぎて眠れない。脳が完全に覚醒してしまった。
「・・・前半だけなら良いよな?」
奈々瀬が気にしていたのは動画の後半部分。そう自分に言い訳して郁子から送られてきた動画を開く。
数分後、奈々瀬が止めてしまったところまできた。そのまま再生を続ける。どうやら次の準備をしているようだ。
「これは、郁子か?」
更に数分後、ステージ上に郁子と数人のSSが現れ奈々瀬と郁子がWセンターとなる形になった。アサちゃんに見せてあげたら発狂ものだろう。
『みんなヤッホー♪SS一番隊隊長の郁子ちゃんだよー♪おまんこー♪』
『『『『おまんこー!!!』』』』
「今なんて?」
最悪なレスポンスが聞こえた気がする。
『ナナセちゃんのおかげでみんな大盛り上がりだね。じゃあ最後はやっぱりこの曲、ドスケベ音頭!今日はナナセちゃんも一緒に踊ってくれるからみんなも一緒に踊ってね♪それじゃあイッくよー♪』
「何だって・・・?」
B世界で嫌というほど聞いたあの迷曲、ドスケベ音頭。
あれを奈々瀬が踊る???そんなバカな。
しかし、画面には確かにドスケベ音頭を踊る奈々瀬の姿が映し出されていた。少々動きはぎこちないが何とか他のSSについていってる
これは・・・・・・凄いな。
奈々瀬があれほどまでに見せるのを嫌がった理由をようやく理解した。
そして動画も終盤に差し掛かる。画面内では生徒が躍り狂いらんちき騒ぎをしている。
『オナりイクならパコらにゃ♪』
『『『『あん♥️あぁん♥️』』』』
完全にコールが完成している。フロア大熱狂だ。
曲が終わり、ステージが暗転するとともに動画も終了した。
「すまない、奈々瀬・・・」
俺の心は奈々瀬への謝罪の念でいっぱいだった。
郁子には悪いがこの動画もろともトーク履歴を消してしまおう。それがいい。
しかしまた奈々瀬に頭が上がらなくなってしまった。
・・・明日以降これまで通りに話せるかな。
2.冷泉問答-裏-
「皆さんこんにちは。SS代表兼水乃月学園生徒会長の冷泉院桐香です」
文化祭当日、校庭に作られた特設ステージの上に会長が現れる。
「本日は『不倫は文化祭』にお越しいただき誠にありがとうございます。ご存知の通り昨年旧条例が廃止され、我々は新しい共存への道を歩み始めました」
共存への道ーーー会長がよく言っている言葉だ。
「性産的行動が可能な地区の区分け、イベントの見直し、その他様々な改良等を加え、すべての人の居場所になれるような島を目指してここまでやってきました。無論完璧には程遠いですが。我々は生徒一丸となってこの日のために様々な用意を進めてきました。ドスケベと非ドスケベの共存、そしてこの島の新しい未来を皆さんに感じていただけたら大変嬉しく思います。・・・さて、長話もなんですしそろそろ挨拶を閉じさせていただきます。それでは『不倫は文化祭』開演です♪」
最後に深々とお辞儀をし会長はステージ裏へと消えていった。
「すみません、少し通ります」
沸き立つ人混みの中を抜け、ワタシもステージ裏へと入っていく 。
「お疲れ様。桐香ちゃん」
「あら、水引さん。わざわざ来てくださったのですか?」
ステージ裏、桐香ちゃんは休憩用の椅子に座っているところだった。
「うん、ワタシも一応生徒会メンバーだからね」
一応、と付けたのはハメドリくん役が凛ちゃんに代替わりしたせいで最近はまるで何もしていないからだ。
気づけば文化祭関連の事務仕事も全部会長が片付けていたし、本当にワタシが副会長でいいのかと考えてしまう
「しかし凄い量の人だね。去年もこんなに来てたっけか?」
「あくまで感覚ですが、去年の開会式の時よりも多くの人に来ていただけている気がしますね。一般の観光客の方が多いからでしょうか」
「うん、そうだといいね」
二人で校庭の方に目を向ける。ところ狭しと出店が並んでおり本格的な昼時前ながら中々繁盛しているようだった。
「・・・水引さん。もし時間があるのでしたら一個だけ私の質問にお答えしてもらえませんか?」
「ん?いいけど」
桐香ちゃんがワタシに向き直る。いつもと同じ笑みを浮かべているが雰囲気はかなり真面目だ。
「水引さんは今の青藍島での暮らしをどう思っていますか?」
青藍島での暮らしをどう思うか。そんなの決まってる。
「毎日楽しいよ。橘くんや中村くんとお話したり色んなお店に行ったり。少し前まではこんな日常考えられなかったよ」
「そうですか。ええ、それは良かったです」
そこで話が途切れる。
...何か違うと直感的に感じる。
きっと桐香ちゃんが聞きたいのはそんなことじゃないのだろう。
桐香ちゃんの本当の気持ちを推し量る。
もうまったく・・・ウチの会長はいつもこうなんだから。
「恨んでないよ」
「え・・・」
「だから、ワタシは桐香ちゃんのことこれっぽっちも恨んでない」
相変わらず桐香ちゃんの質問は真意が分かりにくい。
丁度いい機会だ、思ってたこと全て話してしまおう。
「確かに前はこの島のことが嫌いだったよ。でもね、それでもワタシがここまで頑張ってこれたのは間違いなく桐香ちゃん、あなたのお陰なんだよ」
正直言うと橘くんから別世界のワタシの話を聞いたときはにわかには信じられなかった。
しかし改めて考えてみると、自分が島に復讐するという選択をすることだってあり得るような気がしたのだ。
もし橘くんのように戦う力を手にしていたら、桐香ちゃんに副会長としてスカウトされていなかったら、分岐点はいくらでもある。
「ワタシは知ってるよ。ワタシがハメドリくんの中にいる間色々サポートしてくれてたこと。ハメドリくんだけじゃない。私生活でも助けてくれたよね」
桐香ちゃんに助けられたことはいくらでも思い出せる。
「ワタシが別世界の私のような復讐を選ばなかったのは間違いなく桐香ちゃんのおかげなんだ」
「いえ私は・・・そんな。あなたをハメドリくんに縛り付けるようなことを」
きっと本人も無意識でやっているのだろう。桐香ちゃんは他人はおろか自分の心にまで疎いし、それに不器用なんだから。
でも当人も気づいていないだけで、桐香ちゃんはいつもSSの皆のために頑張っているんだ。
「いいんだよ。とにかくありがとう。どんな形であれ、桐香ちゃんはワタシを助けてくれた、ワタシを認めてくれた恩人なんだよ。だからそんな顔しないでよ」
桐香ちゃんは不安げにワタシを見つめている。
何か言いたそうな、でも必死に押さえ込んでいるような。
「そう、ですか・・・。無駄じゃ、なかったんですね」
それはワタシが初めて見た桐香ちゃんの涙だった。
「あなたをハメドリくんに縛り付けるようなことをして、でも私はそれが互いにとって一番だと思ってて・・・」
でもそれは悲しい涙じゃない。
「おかしいですね。元はと言えば私のせいなのにそれでもあなたが、家族が今幸せだと言ってくれてとても嬉しくて」
心のつっかえになっててた氷が溶けたみたいな、安堵の気持ちからくる涙。
「ふふっ、いけませんね。完全無欠の生徒会長が私の売りなのに」
「えー、桐香ちゃん階段もまともに使えないダメダメ生徒会長じゃん」
「ええそうですよ、実はダメダメ生徒会長なんです。本当に、ダメダメですねぇ」
うふふと二人で笑い合う。
ダメダメな生徒会長とダメダメな副会長。
少し、いやかなり時間がかかってしまったが、ここからが二人の新しいスタートだった。
3. 突撃!隣の文化祭
「おはよう文歌」
遺影に向かって手を合わせる。
「今日は水乃月の方で文化祭が開かれるんだ。文乃のクラスはレストランをやるらしい」
橘くんから色々聞き出し事前のリサーチも済ませた。
しかし文乃が同学年の友人と協力して何かをする姿が見られるとは。
「親がいなくとも子供は勝手に育つものなのだな・・・くぅ!」
いかんいかん。こんなところで泣いているようでは現地でどうなってしまうか分かったものではない。
「失礼します仁浦様。そろそろお時間です」
「ああ、そうだな」
今日は会社を休みにした。本来なら彼女も休んでいていいはずなのだが。
「君も奇特な奴だな。休みの日までこんな老いぼれの側にいて、もっと楽しいことだってあるんじゃないか」
「私はあなたのお側にいるだけで・・・いえ、何でもありません。そのお姿もお似合いですよ」
「そうか、では行ってくる」
秘書に見送られながらビルを後にする。
後は文乃に会うだけだ。
「いらっしゃいませー!」
「射的やってまーす!2年4組に是非お越しください!」
水乃月学園はこれまでにない盛り上がりを見せている。
まあ私を倒して手にいれた共存の道だ。これくらいしてくれないと困ってしまう。
地図を頼りに文乃がいる教室へと向かう。丁度この時間帯が文乃のシフトらしい。
すれ違う人は私のことを気にも止めていないようだ。
県政から退いたとは言え、未だに私を信奉している者は多い。
騒ぎにならないように髭を剃り髪を黒く染め、いつもと違うシャツを着てきて正解だった。
「ここか」
家庭科室の外にテーブルが用意されている。食べながら家庭科室内の調理風景が見られる、というわけか。都合がいい。
メニューには全て「ドスケベジャンヌダルク監修!」とつけられている。
橘くんによれば文乃は一人だけ腕が違いすぎてしまうから、全体のバランスをとるために他の生徒の指導に徹しているらしい。合理的な判断だ。
文乃が作った飯が食べられないのは少々残念だが、他の有象無象が文乃の飯を食わなくて済むと考えれば少しは気分も晴れる。
「いらっしゃいませー、1名様ですね、こちらにどうぞー」
元気なウェイトレス案内され席につく。時刻は10時30分と昼前にも関わらず教室内はほぼ満席だった。
文乃は・・・どうやらフロアにはいないようだ。
とりあえず注文しよう。さて、何を頼もうか。
・・・・・・・・・。
「かしこまりましたー。少々お待ち下さーい」
注文を終え厨房の方に目を向ける。
文乃、文乃は・・・いた!
急いでカメラを連写する。
A等部の制服の上からエプロンをつけた格好で、指示を出したり食器を洗ったりしている。
「あ、ドスジャンちゃんだ!私生で見たの初めて!」
「本当だ、改めて見ると凄い美人だな」
他の客の視線も一斉に文乃に集まる。
あれ俺の娘なんだぞ。
そうだ、橘くんに連絡しなくては。
『文乃いた』
『(文乃の写真)』
『(いら○とやのウサギのスタンプ)』
『(流行りのアニメキャラが涙を流して喜んでいるスタンプ)』
『親がいなくとも子供は勝手に育つものなのだな・・・』
文章を打ち込みながら泣きそうになる。
文歌、見ているか?俺たちの娘は立派に育ったよ。
―――そして待つこと数分。
「お待たせいたしました。こちらはご注文のオムライスになります。」
「ああ、どうも・・・」
「・・・・・・」
なんと料理を運んできたのは文乃だった。
何とも言えない微妙な空気が場を包む。
こういう時って父親として何て話しかけるのがいいんだ?
「あーなんだ。その、えー」
「・・・ケチャップをかけさせていただきますね」
「え、あ、どうも」
作業を始められてしまう。
もしや気づかれていないのか?いやそれはそれで悲しい!
「あのー、一緒に写真撮らせていただいても」
「お控えください」
「はい」
そりゃそうよね。
「完成いたしました。・・・ごゆっくりどうぞ」
やることだけやって文乃は足早に厨房へと戻ってしまった。
結局ろくに話せなかったが、まあ文乃を近くで見れたし別に良いだろう。
さてオムライスをーーー
早 く 帰 っ て
「――――――っ!!!!!」
卵の上にケチャップで書かれていた文字を見て絶句する。
やはり気づいてたか、にしたってこんなことしなくてもいいじゃん。写真には収めるけど。
「もっとこう優しい言葉とかあっただろ・・・」
お父さん大好きとか、いつもお疲れ様とか。
独りごちりながらオムライスを口に運ぶ。
「う " ま " い " !!!」
文乃監修の料理だからなのか、オムライスは文歌が作ってくれた料理によく似た味がした。
―――最悪です。
来るだろうなと思ってはいましたが、まさかこんなに早く来るとは。
髭を剃り、髪を染めて、さんぐらすを着けているようですが、あんな変装で我が豊玉の瞳は欺けません。
「ねえねえ文乃ちゃん。あれ仁浦元県知事だよね」
早速私以外にも見破られてしまいました。
「はい、いつもと見た目は異なりますが。間違いないかと」
「うわー!私、生で見るの初めてなの。凄いかっこいいね!」
「そうでしょうか・・・」
あの人は同学年の皆さんからとても人気があります。文乃にはまるで理解ができません。
「私もあれくらいカッコいいお父さんが欲しかったなー」
「やめておいた方がいいですあんな人」
「そうは言っても文乃ちゃんわざわざ仁浦元県知事にだけ手料理作って持っていってあげたじゃん。皆で文乃ちゃんは料理しないって決めてたのに」 「それは、大変ご迷惑をおかけしました。しかし皆さんの素晴らしいお料理をあの人が食べる資格はありません。私程度ので充分です」
「照れ隠し・・・って訳でもないのよね。なんとも難しい親子ねー」
ふと外を覗けばあの人は多くの人に囲まれていました。大方お客様にも変装がばれてしまったのでしょう。とても迷惑です。
「もう、ほんっとうに恥ずかしい人なんだから・・・」
4.No Love No Seirantou
「うわー、すごいねぇ。もうお客さんでいっぱいだよ」
舞台袖から客席を覗いたヒナミが感嘆の声をあげる。
「流石に緊張してきましたね・・・尻の穴が引き締まる思いです」
「へー、美岬ちゃんでも緊張することってあるんだ?」
「当然ですよ。アナルに新しいものを挿れるときはいつもドキドキしてます」
「ごめんねイクが悪かったよ。本番前にする話じゃないね」
まるで緊張してなさそうな美岬と郁子。こういう時に平常心を保てるのは素直に尊敬できる。
「アサちゃん、緊張してる?」
「いえいえ奈々瀬しゃん私は奈々瀬しゃんといさえすれば百人力ですよぶへへへへそれとポッキーいかがです?」
「あらありがとう。頂くわね」
麻沙音も大丈夫そうだ。何だかんだ肝っ玉だけは太い奴だ。奈々瀬がついていれば問題ないだろう。
「先輩」
「どうした桐香」
「いえ、今日は私のお願いを聞いてくれてありがとうございます」
NLNS鋼鉄の6人とSSBIG3のトークショーがしたい。
ある日桐香がそう俺たちにお願いをしにきたのだ。
文化祭で見たいものを生徒から聞いたところ、多くの票を獲得したのがこのトークショーらしいのだ。
内容はかのドスケベ戦役がメインだ。俺たちの、というより文乃の話が聞きたい人がほとんどらしい。
「今日はお前が主役なんだ。頼んだぞ文乃」
「はい。わが主の命とあらば、文乃はとーくしょーとやらもこなしてみせましょう」
「文乃はカタカナ語を言うだけで可愛いな!よしよししてやる」
「のっへっへっ・・・」
「あらあら、目の前で見せつけてくれるなんて私のことを良く理解していらっしゃいますね」
「黙らっしゃい」
「冷泉院さん」
「ひうっ!ごめんなさいごめんなさい」
「いえ、今のは叱ろうとしたわけでは・・・むべ」
「皆、そろそろ時間だ。入場準備をしてくれ」
礼先輩の声で皆の気が一気に引き締まる。緊張感とわくわくと、色んな気持ちが込み上げてくる。
「あ、そうだ。皆の写真撮っていいか?」
「ん・・・時間的にはもう少しだけあるか。ちゃっちゃと撮ってしまうか」
女子たちが集まるなか、俺は近くの台に乗り少し上から皆を見下ろすようにカメラを構えた。
「よし、撮るぞー」
「おや、先輩は入らないのですか?」
「まずは女子組だけだ。そう言えばお前たちだけの写真って撮ったことなかったなって気づいてな。こういうのも必要だろ」
「兄は将来『この時の俺モテモテだったな~』みたいな自己満に浸りたいだけなんでどうか許してやってください」
「別にそんなんじゃねーし!」
「おいさっさとしろ!時間がないんだ!」
「くっ、アサちゃん後で覚えとけよ!ハイ、チーズ!」
カシャリ。
よし、中々にいい写真だ。NLNSとSSの集合写真、これだけで充分すぎる価値がある。
「それじゃあ、本当に行きましょうか。淳、いつもの"アレ"やっちゃって」
「そうだな」
周りを見渡せば仲間と、お客さんがいる。
俺たちが守ったこの島で暮らす人が、この島を愛する人がいる。
ならばこそ俺はこの言葉を叫び続ける。
俺たちはここにいるぞと皆に示すために。
「行くぞ、開演《エンゲージ》!」
さあ、幕が上がるーーー。