※この作品はR-18です。

魔女の天下取り   作:hidenyan

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<07話 弦に触れる少女達は唄う 05>

「ほれよ、鬼沢」

「どうも」

 

 俺がコーラを飲み干したのを察したのだろう。

 源さんがコーラを分けてくれた。

 そして残りのコーラもテーブルに置き。

 龍澤の分は片手投げで――バシッ! プシュッ!

 

「サンキュー源さん――ゴキュ!」

 

 龍澤も左手でナイスキャッチ。

 喉を潤していく。

 

「なぁ龍澤よ~」

「なんですか松沢さん?」

「今更だけど……なんで、こんなモヒカンっぽい体格と顔付きの輩が……ドンピシャで集まっているのよ? おかしくないか」

 

 それはギルド内部や、その周囲の巡回をした時。

 俺も思っていた事だ。

 確かに映画の撮影でもないのに。

 ……如何にもそれっぽい連中ばかりなのだ。

 

「その件の原因になるのですが、どうもPMC『モヒカン旅団』はベンチャー企業の出資で、最近出来たようで、先にそちらの経緯を説明しますわ――ちょっと、止めますね」

 

 そう言うと龍澤はリモコンを操作。

 画面にはテクニカル車両の荷台に搭乗したまま。

 山道を進む集団。

 頭部に……シダ類や草花の造花を盛り付け。

 顔に戦場でのお化粧。

 ドーランを塗って、満面の笑みになった。

 野戦装備のモヒカン達が……静止画像で映っている。

 モヒカン旅団の装備を見た限り。

 

 銃火器の類いは国防軍や州軍が放出した、国産の銃火器だ。

 それらにドットサイトやフラッシュライトを装着。

 各個人用に使いやすくした、改造型なのは珍しくない。

 

 ハンドガン以外のサイドアームに選んでいる、艶消しをしたマチェットのよう短刀は、草木の多い、山中なので違和感はないが……暴徒制圧用の軍用警棒も選んでいるのが珍しい。

 だが、脱走隊員を捉えるのが目的なら。

 非殺傷兵器の類いも必要だろう。

 

「なぁ鬼沢、あのモヒカン連中の頭見て、なんか思い出さないか」

 

 いきなり松沢隊長に話題を振られた。

 だが、全く何も思い出せないので、答えは一つだ。

 

「いえ、自分は何も心当たりがないですね」

 

「小林だよ。賞金稼ぎに転職した『パトカー壊しの小林』、あいつがあんな感じの草花を頭に乗っけた、女子中学生の出てくる、戦前のアニメを詰所や男子寮で、よく視ていたんだよ……花の盛り方がクリソツだぜ……俺の娘も好きだったな」

 

「確かに小林はアニメが好きでしたね」

 

 何と無くだが、言われてみれば草はともかく。

 見た覚えがある、花の盛り方だ。

 松沢隊長の言葉がきっかけになって、俺の記憶には頭部に花を盛った、アニメキャラの女子中学生達が、超能力で市街戦をするアニメ。

 大戦前の平和な時代に流行った、アニメを夢中になって観ていた男達。

 

 静かに視聴する奴。

 泣く奴。

 喜ぶ奴。

 盛り上がったシーンで叫ぶ奴。

 語り合う奴。

 

 今は亡き……殉職していった仲間。

 SWAT隊員や警官の姿が蘇ってきた。

 

 確かに小林が高い金を払って入手した、当時の円盤を使い。

 小林が男子寮で、上映会を今の龍澤みたいにしていた。

 

「ハハハ! 花の盛り方! そこは盲点だったな! 松沢隊長のお子さんいい趣味していますね。でも、そのアニメは大戦前のだけど、最近の若い子でも――」

 

「娘は大戦前にコミックバザールにいったまま、行方不明だよ……生きていたら龍澤と同い年だな……済まない。話を進めてくれ」

 

「失礼しました。ではこちらの映像を――」

 

 確か松沢隊長には、大戦前にも妻子がいたが、行方不明になった。

 その話を知る人間は少ない。

 偶々聞いた俺も、わざわざ人に話す様な話題でもないので、龍澤には話してなかったが。

 こうなるのも仕方ないか。

 だが、コミックバザール。

 今も毎年、年二回は行われるイベント。

 同人誌即売会で行方不明という事は、あの有名な事件の被害者なのだろう。

 参加サークルのブースごと、その関係者が大勢の人の前で消失した事件。

 数多くの物証と映像、証言があるにも関わらず。

 公式にはテロリストによる、爆破テロになっている『コミバ参加サークルブース消滅事件』という無慈悲な行方不明事件の……。

 

 俺の思考に大戦前の思い出が溢れそうになった瞬間。

 源さんの陽気な声が響いた。

 

「ほぉ~やはり、あのモヒカンはパワードスーツだったか!」

「おいおいマジかよ!」

 

 画面の映像は切り替わって、モヒカン型パワードスーツの開発映像が流れ始めた。

 

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