※この作品はR-18です。

魔女の天下取り   作:hidenyan

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<07話 弦に触れる少女達は唄う 07>

「おお、ようやく出番か。ところで龍澤よ」

「なんですか源さん?」

「今時、一万円札なんてどこで見つけた?」

「おお、そうだな! それにその一万円札と、この映像の関連性を知りたいね」

 

 松沢隊長と源さんからも疑問の眼差しが集まる。

 龍澤の指先に挟まれた一万円札。

 おそらくその出処は昨日。

 俺達がスラム街で救助した対象。

 ……若者の周囲に散らばっていた物。

 俺達の後に現場に来た、NEETの連中が念入りに回収していた物だ。

 

「鬼沢さんは、これの出処分かりますよね」

 一斉に源さんと松沢隊長、マロンの視線が俺に向いた。

「ああ、昨日俺達が救助して、本日護衛した対象。紐無しバンジーをした、男の周囲に落ちていた物だな……ところで龍澤、お前どうやって回収した」

 

「いやいや、ストレッチャーのタイヤにくっついているのを整備中に、偶々見つけましてね……まぁその時に色々と気付いて、調べ始めたら即効でモヒカン達から有力な情報を見つけた理由ですよ。それにこういうヤバイ情報の共有は経験上、速い方がいい。そうでしょ鬼沢さん」

 

 龍澤は勘が冴えている。

 価値ある情報を見つけ。

 関連がありそうな、情報を更に探すのが得意だ。

 こいつのそういう部分に、第三次大戦中。

 NEETに勤めていた頃は……よく助けられた。

 俺は微かに昔を懐かしみつつ。

 口を開いた。

 

「……相変わらずお前は冴えているよ。まだ映像があるのなら。話を進めながら、その一万円札についても、説明してくれ」

 

「了解です。先ずは紙幣判別機の電源を入れて――よし。通しますね」

 

 龍澤は一万円札をきれいに伸ばし。

 紙幣判別機に通した。

 ビー!

 

「それ、偽札じゃないか!」

「そうなの源さん?」

「ああ、そうじゃ松沢! 龍澤、ちょいとその諭吉を見せてくれ!」

「はいよ。それと源さんの尻の下にある、俺の枕こっちに下さい」

『ウウ~ワン!』

「マロン、今度新しいクッション買ってやるから我慢な」

『ワン!』

 

 どういう事だ?

 偽札の一万円札とか――使えない紙幣の偽札に何の価値がある?

 隣の源さんは、龍澤に尻の下の枕を龍澤に渡し。

 龍澤から渡された、一万円札をじっくりと見つめ。

 懐からクリアファイルに入った、お札の見本を使い――入念に見比べている。

 

「ほぉ~龍澤。それが、エルフっぽい連中の使っていた武器か?」

 

 俺は松沢隊長の声を聞き。

 視線をモニターに戻した。

 そこには、モヒカン達が鹵獲した武器。

 ゴブリンと思しき小動物が使っていた、刺々しい短剣。

 そして……金属で出来た……杖や弓が映っている。

 

「ええ、恐らく短剣以外は、エネルギー兵器の類いだと思いますが……内部に機構らしきものは、ご覧の通り――モヒカン達も分解して調べていますが、皆無です。みんな次の映像を見てください」

 

「……燃えカスか?」

「どれどれ、ほぉ~それが動力源かの?」

「鹵獲した武器のグリップ部分のパーツの内部から……黒い粉と……何か見慣れた紙が出てきたでしょ」

 

 それは丁度、源さんの手元にある龍澤から渡された紙と同じ。

 

「…………龍澤、それ一万円札だよな…………」

 

「そういう事です鬼沢さん……そうだ、源さんの見立てだと、その一万円札はどんな感じですか?」

 

「ん……細部の模様が違うから、こんな感じで本物と比べたら丸分かりだな。ところで、龍澤聞きたいのだが、お前……この札を見つけた時点で、偽札だと気付いていただろ」

 

「ええ、その通りです。昔、先程話した鬼沢さんが丁度退職した、数ヶ月後位かな。自称異世界からの転移者が持っていた、遺品の中から……コイツが出てきたんですよ」

 

 そう言うと龍澤は、マロンの毛が付いた枕カバーを取り。

 中からクッションを抜き出し。

 ビニールに包まれた一万円札の札束を……テーブルの上に二束。

 約二百万円分を置き。

 口を開いた。

 

「源さん、そいつも取り出して全部判別機に通して見てくれ。俺が渡した一万円札と同じ結果になる筈だ」

 

 ――数十分後――

 

 ――市警察東署 別棟廊下――

 

「なぁ鬼沢」

「なんですか松沢隊長」

 

 俺達はモヒカンの映像を見終わり。

 龍澤が持っていた、自称転移者の遺品は調べた結果。

 全て偽札だった。

 だが……源さんが比較して調べた結果。

 昨日、俺達がレスキューした男の周囲に散らばっていた札と。

 全く同じデザインだった。

 

「今から見る死体の事は、ここにいる連中だけの秘密だぞ」

「分かっていますよ。だけど――」

 

「ねぇねぇ! 松沢隊長! これから死体安置所で肝試しですかね!?」

「若菜~あんたは元気ね。ねぇ隊長、マロンまで連れてくる必要ありますか?」

『ワン!』

「しょうがないだろ。マロンも、ついてきたいみたいだしな~それと若菜、麗華、これから見聞きする事は他言無用だぞ。これは上官としての命令だ」

 

「「は~い」」

 

 ……何故かガンナーとドライバーの二人も呼ばれ。

 キャミソール姿で此処にいるのだ。

 そして珍しい事に気まぐれな犬。

 マロンも、俺達について来ている。

 

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