※この作品はR-18です。

魔女の天下取り   作:hidenyan

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<08話 目覚めた者達 06>

             ――市警察東署周辺 バイパス道路――

 

 警察車両が真っ赤にパトライトを輝かせ。

 サイレンを鳴らし――――頻繁に往きかう――――高架のバイパス道路。

 市警察東署に近い事から、署内では滑走路などと呼ばれる道路だ。

 そんな路上で堂々と車列を組み。

 市内に向けて進む……数両編成の装輪装甲車の車列があった。

 車体には中部州軍の部隊表記がペイントされた、州軍の戦闘車輌だ。

 州内では一般人にも、治安維持活動等で見慣れた車両である。

 

 だが――その砲塔が実際に――旋回し。

 走行中の警察車両を照準に捉え――ダダダ!

 40ミリ機関砲が火を噴き。

 

『こ、こちら地域課05! しゅ、州軍から攻撃を受けている! 繰り返す!? やべ! 対戦車ミサ――』

 

 シュパァアン!

 ボオォオオン!

 

 砲塔側面に搭載した誘導兵器。

 対戦車ミサイルが発射され。

 街中で……次々と警察車両を容赦なく。

 破壊しながら疾走する姿は誰も見た事が無かった。

 

              ――同時刻 市警察東署 署長室――

 

「なんや! なんや! これは何事ですか!?」

 

 ◇

 

「署長、状況を確認したい」

「承知しました!」

 

 突如、聞こえた機関砲の発砲音と爆音。

 それと同時に窓側の装甲板が自動起動。

 どうやら――ガガガァアン!

 ……ここが機関砲弾でノックをされる程に。

 派手な襲撃を受けているのは間違いない。

 署長はデスク上の端末を握り。

 

「――――そんな馬鹿な事があるか! 州軍の装甲車が攻撃してきただと!?」

 

 真っ先に署長が叫んだ内容。

 青ざめた表情から大体。

 外の状況は察する事が出来た。

 故に私がすべき事は簡単だ

 カチャ――ピピ。

 

「私だ。州軍と思しき武装勢力の攻撃を受けている。周囲に作戦中の州軍部隊は確認出来るか?」

『了解。確認します』

 

 本来なら私が出勤している場所。

 市警察本部の戒厳指令室。

 そこに控えているスタッフ。

 我社の通信員に専用端末で通信を行い。

 

『鬼頭司令官。現在、市警察東署周辺で作戦行動中の州軍部隊は皆無――』

 

 市警察以外の情報源からも状況を確認。

 

『――偵察衛星、ドローンの画像解析が出ました。その装甲車は春先の暴動で盗難された州軍の装甲車と確認。武装勢力は州軍に偽装したゲリラの類いと判断します。本社の情報部から緊急入電――』

 

「署長、戒厳指令室とは通信が取れた。我々は電波妨害を受けていないようだ」

「幸いそのようです! 既に応援もこちらに急行中です!」

 

 確かに襲撃者達が電波妨害を平然と行う。

 州北部を根城にする、反政府ゲリラで無いのは幸いだ。

 だが――。

 

『――市警察東署周辺に未確認の魔力反応多数! パターンからして魔術兵器です!』

襲撃者は反政府ゲリラより、もっと厄介な敵。

『魔力反応の座標は装甲車と一致!』

 

 魔術兵器を扱う敵。

 異世界人の武装勢力が我々の相手のようだ。

 

               ――同時刻 装甲車内部――

 

 ◇

 

「官憲の車輌を破壊! 鹵獲した誘導兵器の残弾はゼロ!」

「隊長、間もなく目的地です! 群衆は――」

「――障害は現地兵器の掃射で排除! 突破口を作れ!」

「了解!」

「総員、装填を確認!」

「ハッ!」

 

 装甲車内に搭乗する、襲撃者達。

 身につけている衣服は皆、州軍の軍服だ。

 中にはハッチから身を乗り出し。

 ガチャ――――異世界の小型兵器である魔杖を――――上空に向けて構え。

 シュパパパァアアン!

 ……ボボォン!

 

「航空脅威を撃墜! 迎撃を継続!」

 

 魔術兵器での対空攻撃を手馴れた動作で平然と行っている。

 ……彼らが持つ魔術兵器。それは対魔物戦ではなく。

 軍事力との交戦を前提とした軍用装備。

 全長を短くした魔杖や魔弓に魔剣――中には魔杖を切り詰め。

 カービン銃の銃身下部に装着。グレネードランチャーの様にした者達もいる。

 

「諸君、我々の目的は蘇生した裏切り者である、ハーフエルフの奪還。もしくは『完全な殺害』である! 展開地では官憲の激しい抵抗が想定されるが容赦するな!」

「ハッ!」

 

 返事を返した者達の戦意に併せ。

 彼らの笹穂耳がピクっと立った。

 襲撃者達の正体は戦いに慣れた……エルフ達だった。

 

       ――同時刻 特別軍事法人NEET第七研究所 屋外訓練場――

 ◇

 

「……義明さんよ。これからどうなると思う?」

「昨晩に続いて、ロクな事にはならないだろうね」

 

 俺達が訓練場の観客席から離れようとした直後。

 上空には先程の宅配ドローンと違い。

 ボコボコになった観光バスを吊り下げた、大型輸送ヘリが到着。

 観光バスと中に搭乗していた方々。

 何やら興奮気味の転移者達を訓練場のど真ん中に降ろし。

 何処かに飛び去っていった。

 今は転移者達と機動隊の様な装備をした、警備部隊が睨み合っている。

 当然だが、睨み合っている転移者達から向けられる、俺達への視線は厳しい。

 尚、葉菜や紅菜、由美の三人は進行の準備があるようで。

 観客席にいるのは妖精族達と。

 俺と神谷。他のメンバー数名。

 葉菜達と入れ替わりで俺達の周囲を囲む。

 黒服の護衛達だけだ。

(一体、何が始まるのか……とりあえず)

 ……俺の肩に座る御方に聞いてみるか。

 

「アゲハさん」

「なんだい?」

「…………彼らは何で傷だらけで泥だらけなのかな」

「会話からするにゴブリン退治の後みたいだね~」

「なるほどね」

 

 先程、ナゲットを抱えていた妖精が話した。

 目撃談との辻褄も合いそうだ。

 ん? またヘリか?

 

『転移者達に告ぐ。今から朝食だ。各自、今から設営されるテントの下に向かいなさい』

 

 警備部隊が拡声器でその様に伝えると、山陰から一機の大型ドローンが接近。

 グランドの端に着地して変形。

 機体の両側面に翼の如くテントを展開。

 機体内からはグレー色の小包がボトボトと溢れ出た。

 

                ――十数分後――

 

「――なぁ。バスを片隅に移動させたのは分かるけどさ」

「あのステージは何ですかね」

 

 神谷達の言う通りだ。

 警備部隊の隊員がバスを運転してグランドの片隅に移動させ。

 その後、再び別の大型ドローンが到着。

 今度はバスが着地した場所でステージに自動変形しているのだ。

 

 どことなくだが、ワームと化した更新データを運営が配布した結果。

 俺の愛機。エイリアンなゲーミングPCが破壊される前日まで。

 プレイしていた、ファンタシーでオンラインなネトゲの歌姫キャラが唄うステージ。

 そんな印象を勝手に感じてしまう…………俺にとってはご縁がある。

 懐かしい…………デザインだ。

 

 しかし、その周囲を何故か。

 ……警備部隊が守りを固めている。

 

「アゲハさん達は何かご存知ですか?」

「( ´艸`)秘密だよ~♪」

「(*´・ω・)(・ω・`*)ネー 葉菜ちゃん達の頑張りは見てからのお楽しみだよね~」

 

 どういう事だ?

 葉菜達の頑張りって――!?

 ポポポォオン!

 突如ステージから煙が噴出。

 無数に伸びて動く――――様々な色合いのレーザー光線。

 そして俺達がさっきまで聞いていた。

 少女達の声が陽気なBGMに載せ――――大音量で響いた。

 

『皆さん! 異世界にようこそぉおおおおおおお!』

 

 ステージの土台から水着姿の葉菜達が飛び出した。

 葉菜や紅菜と由美達の3人は髪の色に合わせた水着。

 ビキニをチョイスしている。

(さっきのスケスケは下着じゃなくてビキニか!)

 

『わ、わ、私は司会進行の葉菜です! 転移者のみ、み、皆さんよろしく。♥。・゚♡゚・。♥。・゚♡゚・。♥。』

 

 紅菜や由美はノリノリで転移者達に愛想をアピール。

 ……何やら二人は手馴れた感じだ。

 それに釣られ。

 

「ウェエエイイ!」

 

 連戦続きの転移者達も叫びを上げ。

 中には服を脱ぎ始め。

 片手でブンブンと振り回す者達もいる。

 何せ異世界転移にモンスターとの戦闘。

 脳内麻薬が出過ぎる、ハードでロックな初体験の後だ。

 これに美少女のビキニ姿と大音量の音楽を流せば。

 当然の結果だろう。

 

 そして、何やら一人だけ慣れていないであろう少女。

 葉菜は顔を真っ赤にしながらも。

 ピョンピョン飛び跳ね。

 胸元を揺らし。

 笑顔で――ゴブリン化寸前とでも言うべき。

 男達に手を振っている。

 

『さて、皆さん! ゴブリン退治お疲れ様です!』

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 代わって話し始めたのは紅菜だ。

『私も一昨日、退治しましたよ! ゴブリンの群れを――こんな感じでね』

 

 ダン! 紅菜がウィンクをしてから――――美脚を動かし。

 ステージの床を強く華麗に踏んだ。

 床からは赤く細長い筒が飛び出し。

 バシッ! 片手でキャッチ。

 同時に観客とでも言うべき。グラウンドの転移者達の真上数メートル上空に向け。

 オレンジ色の物体がステージの側面から扇状に射出。

 シュパパパパン!

 赤い光線がオレンジ色の物体。

 全てを撃ち抜き……パラパラ……と転移者達の頭上に残骸を撒いていた。

 

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