※この作品はR-18です。

魔女の天下取り   作:hidenyan

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読者の皆様お久しぶりです。
相変わらずの不定期投稿で恐縮ですが、今年初めての投稿になります。


<08話 目覚めた者達 11>

 

 

 ――市警察東署 周囲――

 

 ブチャァアア! ゴトッ!

 

「伍長ぉおおおおお!」

 

 チュィイカカカァアン!

 

「せ、先頭車両の魔力障壁貫通! カーク伍長が戦死! 大口径による狙撃です!」

 

「馬鹿が! 対空姿勢のまま攻撃を継続するからだ! 全車ハッチ閉鎖! 車内から間接照準で射撃体制を取れ!」 

 

『こちら後続班、作戦域に到着。指示を乞う』

 

「全車後退! 突入体制に移行! これより敵拠点の制圧戦を開始する! 後続班は我々の後方から敵拠点を包囲して展開! 魔力弾の砲撃で我々の突入と離脱を支援しろ!」

 

『了解!』

『後続班了解。展開を完了次第、支援砲撃を行う』

 

「隊長! 官憲側の生存者が後退を開始! 迎撃態勢を整えています!」

「ちっ! 連中……防御も手馴れてやがる……仕方ない……突っ込むぞ!」

 

テロリストの襲撃を受けた、市警察東署と……その周囲。

そこから避難する人影や人々の悲鳴と怒号。

拡声機から響く、警官達の警告は消え失せ。

 

 タタタタ! ズドン!

 

 銃声や鈍い爆音。

 

 ジャリジャリ! ガタガタ!

 

襲撃者達が操縦する、装輪装甲車の駆動音。

壊れたパトカーから唸る、狂い気味のサイレン音だけが響いていた。

だが、この空間を飛び交う電波。

警察無線は賑やかだった。

 

『――こちら警備中隊! た、隊長が戦死! 死傷者多数! 至急増援を――』

『――市警察西署! 送った増援がハイウェイで各個撃破されている! 至急本部と州軍へ――』

『――市警本部より緊急通達! 市内各地の分署が自爆テロを受けて――』

『――本部より展開中の全警察官に告ぐ! 州兵との同士討ち防止の為、IFF(敵味方識別装置)を起動――』

 

 ◇

 

――同時刻 市警察東署 廊下――

 

割れたガラスや空薬莢が散乱し。

装甲シャッターに一定間隔で設置された穴。

ガンポートには自動小銃を構えた署員や署内に避難した者達。

 

「こんな所で死ねるか!」

 

賞金稼ぎが雑多な銃火器を構え……射撃体勢で控える廊下。

瞬く間に前線と化した廊下で、通信機を背負った部下を引き連れ。

歩きながら署員達に指示を出す者。

使い込んだカービン銃を携える……一人の男がいた。

 

 ◇

 

「――銃を撃てる署員は全員出撃! 記者や歩ける負傷者はシェルターに急げ! 敵の射程圏で動けない重傷者の救助と遺体回収は後だ! 総員! 脅威を排除しないと何も出来ない事を肝に銘じろ!」

 

冗談じゃない。記者会見の最中にカチコミかよ!

最悪だぜ! いや、それよりも敵の狙いは一体何だ!?

 

「監視班より報告! 敵装甲車搭乗員一名を狙撃で射殺! 敵の装甲車は後退! 屋上に敵の砲撃が着弾! 狙撃班が被弾! 生死は不明! 報告は以上です!」

 

 先ずは狙撃でワンキルか。

 それにしても敵は挨拶がしっかりしている。

 殺しに慣れた連中の動きだ。

 となると、次は――。

 

「今の攻撃は威力偵察だ! 迎撃態勢を整えろ! 直ぐ突入してくるぞ!」

 

警察署にカチコミをする以上、敵も覚悟の上だろう。

盛大に歓迎してやる!

 

「了解!」

 

 後、気掛かりな事は――。

 

「署長はどこだ!?」

「確認します!」

 

 奴は戒厳司令と一緒だったか?

 

「――報告! 署長は機密保持の為、戒厳司令と来客を連れて署を離脱! ここの最高指揮官は松沢隊長です!」

 

 大体の状況、指揮系統は把握できた。

 ならば、後は――後悔しないようにやるだけだ。

 

「了解だ! 俺がこのまま指揮を執る! 装備課は武器庫を戦時体制で緊急解放! 署内に避難した賞金稼ぎにも小銃と弾薬、対戦車火器を渡せ! 責任は俺が取る!」

 

「ハッ! こちら東署HQ、装備課は武器庫を緊急解放せよ――」

 

 ガチャ。

 まさか……突入が十八番の俺達SWATが突入されるとか。

 ガシャ!

 

「舐められたものだぜ!」

 

 ジャキーン!

 

――同時刻 名古屋市内 地下空間の一角――

 

 キィイインズドォン!

 

「緊急避難カプセルの到着だ! ハッチを開けろ!」

 

 プシュゥウウ!

 

「司令官ご無事で! 其方は!?」

 

「同行者だ。私に同行してもらう。彼らも指揮所に案内してくれ」

 

「了解! 既に本部長と市長が指揮所でお待ちしております」

「なんや! なんや! あのカプセルは!? まるでリニアみたいな乗り心地でしたな!?」

「田中社長! 要人警護用の緊急脱出カプセルですので、この件は内密にして頂きたい!」

「マジですか署長さん!?」

 

「田中社長、後で機密保持の誓約書にサインして貰いますので、よろしくお願いします」

 

「了解ですわ! 鬼頭さん!」

 

市警察本部、地下指揮所に本来いるべき者。

戒厳司令官の鬼頭は二人の同行者。

……田中社長と署長を共に連れ、市警察本部に帰還していた。

 

 ◇

 

―― 二十数分前 市警察東署 地下屋内射撃場 ――

 

 パシュン……ビシッ!

 

「……いい感じに当たるな」

 

 ガシャコン!

 

俺は松沢隊長の命令通り、屋内射撃場がある署の地下空間。

元々は多国籍通販企業の巨大倉庫だったエリアで、松沢隊長から拝領した鹵獲品。

狙撃銃を撃っている。

撃ち始めて気付いたが、この狙撃銃は奇妙だ。

ガサッ……。

 

「鬼沢! 元気にしていたか?」

「なんだ、お前らかよ」

 

 射撃を終えた俺の横に現れた二人。顔見知りのSWAT狙撃部隊の射手と観測手。

 SWATの中でも古株の連中だ。

 

「なぁ、鬼沢はマークスマンに復帰できそうか?」

 

「どうだろうな。人員の補充が出来ないと今の編成じゃ、どの部隊でも無理があるぜ。それでも、マークスマンとしてのトレーニングは欠かさないけどな」

 

「なんだよ~結局、何処の部隊も懐事情は同じか。松沢隊長の部屋から、お前が出てきたから期待していたんだぜ~」

 

「……屋上から見ていたのか」

 

「今日は市街の狙撃ポイントの周回警備だったからな。スコープ越しに見たときは驚いたぜ! じゃあ、またな。こっちは毎日、炎天下の屋上巡りで忙しいぜ」

 

 そういうと古株の二人は射撃場を去り。

 入れ替わりで整備服を着た、おっさん連中が現れた。

 

「鬼沢~お前らの装甲車、整備終わったぞ~」

「ありがとうございます」

「久しぶりにこっちで一服どうだ?」

「ご一緒しますよ」

 

◇

 

―― 市警察東署 屋内射撃場 喫煙室 ――

 

 

「ふぅ~整備後の一服はたまらんぜ~これでタバコが安けりゃ言う事は無いけどな~」

「ハハハ! 間違いないな!」

「……」

 

俺と整備班の連中。

数名は豪華なソファーに座って。

一服中だ。

元は多国籍通販企業の所長さんの部屋だからだろう。

灰皿代わりに使っている、頑丈な壺も値段が高そうな感じだが――以前。

俺が市警察に入る前。誰かがこの壺を売りさばこうと目論み。

ネットでこの壺を画像検索したら、大戦前の新興宗教の画像が大量にヒットしたらしい。

それ以降、行き場が無いこの壺は灰皿として、この部屋の必需品になっているそうだ。

 

 

「鬼沢~車載ミサイルも申請が通ったから、先に装甲車に搭載しといたぞ」

「助かります」

 

「お前らの班は春先の暴動で派手にやったからな~確か暴徒に鹵獲された、州軍の電子戦車輌を破壊したんだったか?」

 

「ガンナーが配属初日から派手にやりましたからね」

 

 マジであの時は焦った。

 戦闘ログで鹵獲防止が証明されたから、幸いにも俺達にお咎めは無かったが。

 

「確かよ~州軍の歩兵中隊からはクレームが酷かったよな~」

 

だが、流石に対戦車ミサイルの供給元。

 

「ええ、歩兵中隊の中隊長から猛抗議でしたが、噂だとあの人、降格したみたいですからね。出来れば現場で会いたくな――」

 

州軍からは供給を断たれたのは仕方ないが、一体何処から調達――お?

 

「この車載ミサイル、新型ですよね? それもNEET製の」

 

「みたいだな~何でも市長がNEETのお偉いさんと仲が良いみたいだからよ、融通してもらえたみたいだぞ」

 

 だろうな。

 留置場で暇つぶしに市警察業務サーバーの記録を見た限りじゃ。

 昨日、俺達が警備したNEETの連中と市長は研究所で合流していたみたいだし。

 

「そういえば鬼沢~お前らの班の嬢ちゃん達――」

 モワ~。

「格闘も強いな!」

「そうそう! マロンも食い意地だけじゃねぇえ! 逃げずにやる時はやるから、ありゃ、いい犬だぜ!」

 

「俺も二人の成績がいいのは知っていましたが――」

 

確かに麗華と若菜の二人が訓練時と違い。

格闘に対して異様に強すぎる、その実態は俺も数時間前。

目の前で直接知った事だが、二人の常人離れをした独特の身のこなし。

 

それは二人の出自が……ストレージチルドレンだからだろう。

 

髪や眉毛を染めているのは、警察官という公職に就いた際に余計なトラブルを避けるためだろう。

だが、陰毛までは染めていないようで、乱戦中に偶然見えてしまった。

 

(俺には市警察上層部の狙いは分からないが、プライバシー保護も部隊の能力を適切に発揮する上では考えものだ――なんだ!?)

 

「おお! 久しぶりに警報が鳴りだしたぞ!」 

「なんだ~銃を持ったジャンキーでも署内に迷い込んだか!?」 

「いやいや、お祭り騒ぎの地上で暴動でも起きたんじゃねーか?」

「たくよ~赤いランプはパチンコの大当たりだけにしてくれよ!」

「はは! そりゃ違いねぇえ!」

 

 ワンワン!

 

「お、マロンじゃねーか!」

「鬼沢~お迎えだぜ~一緒に散歩にいってやれよ」

「そうしたいんですが、俺は武装待機中です」

 

 警報がもう一段階、跳ね上がれば出撃だが。

 そんな事は御免だ――!?

 

『全署員に通達! 警邏中のPCが州軍と思しき装甲車から攻撃を受け大破! 被害は拡大中! 武装待機中の機動隊員、SWATは迎撃態勢に移れ! 繰り返す――』

 

「おいおい!」

「鬼沢よ~これは州軍の御礼参りじゃねーのか?」

 

「たく! 冗談じゃねー!」

 ガチャガチャ!

「マロン行くぞ!」

 

 ワン!

 

「鬼沢とマロンよ~」

「生きて戻って来いよ~」

 

 ワォオオン!

 




相変わらずの不定期更新ですが読者の皆様、今後もよろしくお願いします。
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